(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126315
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】スポットサイズ変換器
(51)【国際特許分類】
G02B 6/122 20060101AFI20240912BHJP
G02B 6/125 20060101ALI20240912BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G02B6/122 311
G02B6/125
G02B6/12 361
G02B6/12 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034615
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520124752
【氏名又は名称】株式会社ミライズテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】小田 敏宏
【テーマコード(参考)】
2H147
【Fターム(参考)】
2H147AC04
2H147BA02
2H147BB02
2H147BD01
2H147BE15
2H147BE22
2H147EA14A
2H147EA14B
2H147FC07
2H147GA00
2H147GA19
(57)【要約】 (修正有)
【課題】結合効率を向上可能なスポットサイズ変換器を提供すること。
【解決手段】スポットサイズ変換器は、クラッド層12上に積層され、第1方向に延びる第1コア層20と、第1コア層における第3方向の一方側および他方側の少なくとも一方側において第1コア層に離隔して設けられ、第1方向に延びる第2コア層30と、を備える。第1コア層は、第3方向の大きさに比較して第2方向の大きさが小さい扁平形状であって、出射方向に沿って第3方向の大きさが小さくなる第1テーパ部22を有する。第2コア層は、第2方向の大きさが第1コア層の第2方向の大きさより大きく形成され、出射方向に沿って第3方向の大きさが大きくなる第2テーパ部34を有する。第2テーパ部は、第3方向において第1テーパ部の少なくとも一部に重なる位置に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を所定の出射方向に出射するスポットサイズ変換器であって、
クラッド層(11、12、13、14)上に積層され、前記出射方向に沿う方向である第1方向に延びる第1コア層(20、60、70)と、
前記クラッド層および前記第1コア層が積層される方向を第2方向、前記第1方向および前記第2方向に直交する方向を第3方向としたとき、前記第1コア層における前記第3方向の一方側および他方側の少なくとも一方側において前記第1コア層に離隔して設けられ、前記第1方向に延びる第2コア層(30、40、50)と、を備え、
前記第1コア層は、前記第3方向の大きさに比較して前記第2方向の大きさが小さい扁平形状であって、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが小さくなる第1テーパ部(22、62、72)を有し、
前記第2コア層は、前記第2方向の大きさが前記第1コア層の前記第2方向の大きさより大きく形成され、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが大きくなる第2テーパ部(34、44、54)を有し、
前記第2テーパ部は、前記第3方向において前記第1テーパ部の少なくとも一部に重なる位置に配置されているスポットサイズ変換器。
【請求項2】
前記第1コア層は、1つ設けられており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である第1コア面(25)を有し、
前記第2コア層は、前記クラッド層上に積層されており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である第2コア面(31、41、51)を有し、
前記第1コア面および前記第2コア面は、前記第2方向において重なっている請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項3】
前記第1コア層は、前記第2方向において前記クラッド層を介して複数並んで設けられている請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項4】
前記クラッド層は、複数設けられ、
複数の前記第1コア層それぞれは、複数の前記クラッド層うち、互いに異なる前記クラッド層上のいずれか1つに形成されており、
複数の前記第1コア層は、前記第2方向における複数の前記第1コア層が順に形成されていく方向を積層順方向、前記積層順方向とは反対方向を積層逆方向としたとき、前記積層逆方向側の面である第1コア面(65)を有し、
前記第2コア層は、複数の前記第1コア層のうちの所定の第1コアが形成される前記クラッド層上に形成されており、前記積層逆方向側の面である第2コア面(41、51)を有し、
前記第1コア面および前記第2コア面は、前記第2方向において重なっている請求項3に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項5】
前記第2コア層は、前記出射方向とは反対方向側の端部における前記第3方向の大きさが前記第2方向の大きさより小さく形成されている請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項6】
前記第1テーパ部は、前記出射方向の単位長さ当たりの前記第3方向の変動量の絶対値が、前記第2テーパ部における前記出射方向の単位長さ当たりの前記第3方向の変動量の絶対値より大きい請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項7】
前記第1テーパ部の前記出射方向に反対方向側の端部および前記第2テーパ部の前記出射方向に反対方向側の端部それぞれの前記第1方向の位置が一致している請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項8】
前記第1テーパ部の前記出射方向側の端部および前記第2テーパ部の前記出射方向側の端部それぞれの前記第1方向の位置が一致している請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項9】
前記第2コア層は、前記第1コア層における前記第3方向の一方側に設けられる一方側第2コア層(40)と、前記第1コア層における前記第3方向の他方側に設けられる他方側第2コア層(50)と、を含む請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項10】
前記一方側第2コア層は、前記クラッド層上に積層されており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である一方側第2コア面(41)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記クラッド層上に積層されており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である他方側第2コア面(51)を有し、
前記一方側第2コア面および前記他方側第2コア面は、前記第2方向において重なっている請求項9に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項11】
前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層それぞれを伝搬するレーザ光を合成する光合成部(46、56、81、90)と、
前記光合成部によって合成されたレーザ光を該スポットサイズ変換器の外部へ導く第3コア層(80)と、を備える請求項9に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項12】
前記一方側第2コア層は、前記出射方向側の端部に、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが小さくなる一方側合成部(46)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記出射方向側の端部に、前記第3方向において前記一方側合成部に対向するとともに前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが小さくなる他方側合成部(56)を有し、
前記第3コア層は、前記一方側合成部と前記他方側合成部との間に配置される合成対向部(81)を有し、
前記光合成部は、前記一方側合成部と、前記他方側合成部と、前記合成対向部と、によって構成されている請求項11に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項13】
前記合成対向部は、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが大きくなっている請求項12に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項14】
前記一方側第2コア層は、前記一方側合成部より前記出射方向とは反対方向側に、前記合成対向部に近づくように屈曲することで前記一方側合成部と前記合成対向部との前記第3方向の距離を小さくさせる一方側内屈曲部(47)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記他方側合成部より前記出射方向とは反対方向側に、前記合成対向部に近づくように屈曲することで前記他方側合成部と前記合成対向部との前記第3方向の距離を小さくさせる他方側内屈曲部(57)を有する請求項12または13に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項15】
前記第1方向において、前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層と、前記第3コア層との間に設けられる多モード干渉器(90)を備え、
前記多モード干渉器は、入力側に前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層それぞれの前記出射方向側の端部が接続され、出力側に前記第3コア層の前記出射方向とは反対方向側の端部に接続されており、
前記光合成部は、前記多モード干渉器よって構成されている請求項11に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項16】
前記一方側第2コア層は、前記出射方向における前記多モード干渉器が接続される部位より手前に、前記他方側第2コア層から離れるように前記第3方向に屈曲する一方側外屈曲部(48)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記出射方向における前記多モード干渉器が接続される部位より手前に、前記一方側第2コア層から離れるように前記第3方向に屈曲する他方側外屈曲部(58)を有する請求項15に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項17】
前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層それぞれを伝搬するレーザ光の位相を調整する位相調整部(5)を備え、
前記位相調整部は、前記一方側第2コア層の前記光合成部が配置される部位より前記出射方向とは反対方向側および前記他方側第2コア層の前記光合成部が配置される部位より前記出射方向とは反対方向側のうち、少なくとも一方に設けられる請求項11に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項18】
前記位相調整部は、前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層を加熱するヒータ(5)によって構成されている請求項17に記載のスポットサイズ変換器。
【請求項19】
前記第1コア層および前記第2コア層は、窒化ケイ素を含んで形成されている請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スポットサイズ変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導波路を構成する上部コア層および下部コア層が積層されたデュアルメサテーパー型のスポットサイズ変換器が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のスポットサイズ変換器は、例えば、レーザモジュールと光ファイバとの間に設けられる。ここで、レーザモジュールおよび光ファイバそれぞれの導波路は、互いの導波路におけるレーザ光の出射方向に直交する断面積が異なっている。スポットサイズ変換器は、レーザ光を出射するレーザモジュールの導波路とレーザモジュールから出射されるレーザ光を受光する光ファイバの導波路とを効率的に結合させるために用いられる。
【0003】
このスポットサイズ変換器は、上部コア層におけるレーザ光の出射方向の一方側の端部からレーザ光が入射されると、当該レーザ光が上部コア層におけるレーザ光の出射方向の他方側の端部で下部コア層に遷移される。そして、下部コア層に遷移されたレーザ光は、下部コア層におけるレーザ光の出射方向の他方側の端部から出射される構成となっている。
【0004】
また、このスポットサイズ変換器における上部コア層は、メサ幅がレーザ光の出射方向に沿って小さくなっている。これに対して下部コア層は、メサ幅がレーザ光の出射方向に沿って大きくなっており、且つ、幅方向の大きさに比較して積層方向の大きさが小さい薄板扁平形状となっている。
【0005】
このように構成されるスポットサイズ変換器は、メサ幅がレーザ光の出射方向に沿って小さくなる上部コア層において光の閉じ込めがレーザ光の出射方向に沿って徐々に弱くなる。このため、上部コア層を伝搬するレーザ光が徐々に下部コア層に遷移される。
【0006】
また、メサ幅がレーザ光の出射方向に沿って大きくなる下部コア層では、レーザ光の出射方向に沿って幅方向における下部コア層の電界強度分布が拡げられる。さらに、薄板扁平形状である下部コア層では、積層方向における光の閉じ込めが小さくなる。このため、積層方向における下部コア層の電界強度分布が拡げられる。
【0007】
これにより、特許文献1に記載のスポットサイズ変換器は、レーザモジュールから出射される際のレーザ光の電界強度分布を、光ファイバの導波路に伝搬される際のレーザ光の電界強度分布に近づくように拡げることができる。そして、このスポットサイズ変換器は、レーザモジュールの導波路と光ファイバの導波路とを効率的に結合させることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明者らは、特許文献1に記載のスポットサイズ変換器を光ファイバと光集積回路との間に設け、光ファイバから射出されるレーザ光を、当該スポットサイズ変換器を介して光集積回路に導くことを検討した。ここで、光集積回路の導波路は、光ファイバの導波路に比較して出射方向に直交する断面形状の大きさが著しく小さい。この場合のスポットサイズ変換器は、光ファイバから出射される際のレーザ光の電界強度分布を、光集積回路の導波路に伝搬される際のレーザ光の電界強度分布に近づけて、光ファイバの導波路と光集積回路の導波路とを効率的に結合させることを求められる。
【0010】
ここで、発明者らは、光ファイバから照射されるレーザ光を、下部コア層におけるレーザ光の出射方向の他方側の端部から入射させ、上部コア層におけるレーザ光の出射方向の一方側の端部から光集積回路へ出射させることを検討した。
【0011】
しかしながら、発明者らの鋭意検討によれば、上部コア層における下部コア層が接続される側の端部(すなわち、上部コア層における出射方向とは反対側の端部)の幅は、製造上の制限から少なくとも数100nm程度の大きさとなる。
【0012】
このようなスポットサイズ変換器において、下部コア層および上部コア層によって構成される導波路のうち、上部コア層における出射方向とは反対側の端部を通過する直前の導波路の出射方向に直交する断面形状は、下部コア層の形状となる薄板扁平形状となる。これに対して、上部コア層における出射方向とは反対側の端部を通過した直後の導波路の出射方向に直交する断面形状は、下部コア層に上部コア層が積層された断面形状となる。そして、この断面形状は、薄板扁平形状の下部コア層に、断面が矩形状であって数100nm程度の幅を有する上部コア層が積層された形状となる。
【0013】
したがって、スポットサイズ変換器内の出射方向に直交する導波路の断面形状は、上部コア層における出射方向とは反対側の端部を通過する直前に比較して直後の形状が、薄板扁平形状の上に矩形状が突出した形状となる。そしてこれにより、上部コア層における出射方向とは反対側の端部を通過した直後では、下部コア層および上部コア層が積層される方向における光の閉じ込めが急激に変化する。
【0014】
発明者らの鋭意検討によれば、スポットサイズ変換器内において導波路の光の閉じ込めが急激に変化すると、当該光の閉じ込めが急激に変化する部位をレーザ光が通過する際にレーザ光の電界強度分布が急激に変化することが判った。そして、電界強度分布が急激に変化すると、スポットサイズ変換器内において光が伝搬される際に損失が発生することが判った。これは、スポットサイズ変換器内において光が導波路を伝搬する際の透過効率の悪化の要因となり、レーザ光の出射方向に直交する断面積が互いに異なる2つの導波路をスポットサイズ変換器が結合させる際の結合効率が悪化する要因となる。
【0015】
本開示は、結合効率を向上可能なスポットサイズ変換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の発明は、
レーザ光を所定の出射方向に出射するスポットサイズ変換器であって、
クラッド層(11、12、13、14)上に積層され、出射方向に沿う方向である第1方向に延びる第1コア層(20、60、70)と、
クラッド層および第1コア層が積層される方向を第2方向、第1方向および第2方向に直交する方向を第3方向としたとき、第1コア層における第3方向の一方側および他方側の少なくとも一方側において第1コア層に離隔して設けられ、第1方向に延びる第2コア層(30、40、50)と、を備え、
第1コア層は、第3方向の大きさに比較して第2方向の大きさが小さい扁平形状であって、出射方向に沿って第3方向の大きさが小さくなる第1テーパ部(22、62、72)を有し、
第2コア層は、第2方向の大きさが第1コア層の第2方向の大きさより大きく形成され、出射方向に沿って第3方向の大きさが大きくなる第2テーパ部(34、44、54)を有し、
第2テーパ部は、第3方向において第1テーパ部の少なくとも一部に重なる位置に配置されている。
【0017】
これによれば、レーザ光が第1コア層の出射方向の端部に位置する第1テーパ部から第2コア層の出射逆方向側の端部に位置する第2テーパ部へ遷移される。
【0018】
また、第1コア層の出射方向側の端部において第1コア層が第3方向へのレーザ光の拡がりを閉じ込めることができる。このため、第1コア層の出射方向側の端部において、第3方向の一方側および他方側の少なくとも一方に第2コア層が設けられる構成であっても、第2コア層の存在に起因する第3方向における光の閉じ込めの変化を抑制することができる。
【0019】
これにより、スポットサイズ変換器は、第2コア層の出射方向とは反対方向側の端部をレーザ光が通過する際のレーザ光の電界強度分布の変化を抑制することができる。そして、電界強度分布の変化を小さくすることで、光が伝搬される際に発生する損失を抑制し、光透過効率の悪化を抑制することができる。したがって、レーザ光の出射方向に直交する断面積が互いに異なる2つの導波路を結合させる際の結合効率を向上させることができる。
【0020】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図4】スポットサイズ変換器に接続される光ファイバを示す図である。
【
図5】スポットサイズ変換器に接続される光集積回路を示す図である。
【
図9】
図8のIXで示す矢印の方向から見た比較変換器の上面図である。
【
図11】比較変換器の電界強度分布を示す図である。
【
図12】比較変換器のテーパ長と結合効率との関係を示す図である。
【
図13】比較変換器の結合効率を説明するための図である。
【
図14】第1実施形態のスポットサイズ変換器の電界強度分布を示す図である。
【
図15】第1実施形態のスポットサイズ変換器のテーパ長と結合効率との関係を示す図である。
【
図16】第1実施形態のスポットサイズ変換器の結合効率を説明するための図である。
【
図17】第2実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図20】第2実施形態のスポットサイズ変換器の結合効率を説明するための図である。
【
図21】第3実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図24】第3実施形態のスポットサイズ変換器の電界強度分布を示す図である。
【
図25】第3実施形態のスポットサイズ変換器のテーパ長と結合効率との関係を示す図である。
【
図26】第3実施形態のスポットサイズ変換器の結合効率を説明するための図である。
【
図27】第4実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図28】
図27に示すXXVIII-XXVIII断面図である。
【
図30】第4実施形態のスポットサイズ変換器の結合効率を説明するための図である。
【
図31】第5実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図33】
図31に示すXXXIII-XXXIII断面図である。
【
図34】第5実施形態のスポットサイズ変換器の結合効率を説明するための図である。
【
図35】第6実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図37】
図35に示すXXXVII-XXXVII断面図である。
【
図38】第6実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図39】第7実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図40】第8実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図41】第9実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図42】第10実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【
図43】第11実施形態に係るスポットサイズ変換器の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0023】
(第1実施形態)
本実施形態のスポットサイズ変換器1について、
図1~
図16を参照して説明する。
図1~
図3に示す本実施形態のスポットサイズ変換器1は、レーザ光の出射方向に直交する断面積が互いに異なる2つの導波路を効率的に結合させるために用いられる。例えば、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図4および
図5に示すようなレーザ光の出射方向に直交する断面積が互いに異なる光ファイバFの光ファイバ導波路FWと光集積回路Cの回路導波路CWとの間に設けられる。そして、スポットサイズ変換器1は、光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとを効率的に結合させる。
【0024】
ここで、光ファイバ導波路FWのコア径は、一般的に10μm程度である。これに対して、回路導波路CWは、一般的に、レーザ光の出射方向に直交する断面形状が矩形状であって、当該矩形状を形成する4つの辺それぞれの大きさが1μm以下である。このように、回路導波路CWは、光ファイバ導波路FWに比較して出射方向に直交する断面形状の大きさが著しく小さい。
【0025】
そして、回路導波路CWを伝搬される際のレーザ光の電界強度分布は、
図6および
図7に示すように、光ファイバ導波路FWを伝搬される際のレーザ光の電界強度分布に対して大きく乖離する。このため、光ファイバ導波路FWおよび回路導波路CWを直接結合する場合、光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとの結合効率は比較的低くなる。例えば、
図6および
図7に示すような電界強度分布の剥離がある場合、光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとの結合効率は7.2%である。なお、
図6および
図7や後述の
図11等では、電界強度分布の強さをハッチングの濃さで示しており、電界強度分布が強いほど濃いハッチングで示している。
【0026】
スポットサイズ変換器1は、回路導波路CWの電界強度分布および光ファイバ導波路FWの電界強度分布を近付けることで、光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとを効率的に結合させる。本実施形態では、スポットサイズ変換器1の入力側が光ファイバFにおけるレーザ光を出射する側に接続され、出力側が光集積回路Cにおけるレーザ光を入射する側に接続されており、光ファイバFから出射されるレーザ光を光集積回路Cに導く例について説明する。
【0027】
本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図1~
図3に示す通り、複数のクラッド層11、12、13および複数のコア層20、30を備えている。そして、複数のクラッド層11、12、13および複数のコア層20、30は、不図示の基板上に積層されて形成されている。具体的に、スポットサイズ変換器1は、不図示の基板上に形成される第1クラッド層11と、第1クラッド層11上に形成される第2クラッド層12および第2コア層30と、第2クラッド層12上に形成される第1コア層20と、を含んで構成されている。また、スポットサイズ変換器1は、第1コア層20および第2コア層30を覆う第3クラッド層13と含んで構成されている。なお、以下では、第1クラッド層11、第2クラッド層12および第3クラッド層13を第1クラッド層11~第3クラッド層13と記載する場合がある。また、
図1では、第3クラッド層13を省略している。
【0028】
第1コア層20および第2コア層30は、第1クラッド層11、第2クラッド層12および第3クラッド層13より屈折率が大きくなっている。このため、第1コア層20および第2コア層30は、スポットサイズ変換器1において光ファイバFから入射されるレーザ光を光集積回路Cに導く光導波路として機能する。
【0029】
以下、
図1等に示すように、スポットサイズ変換器1内においてレーザ光が伝搬される方向に沿う方向を第1方向Daとする。第1方向Daは、スポットサイズ変換器1がレーザ光を出射する方向に沿う方向である。また、第1方向Daにおけるスポットサイズ変換器1がレーザ光を出射する方向を出射方向Da1、出射方向Da1とは反対方向を出射逆方向Da2とする。
【0030】
そして、
図2および
図3等に示すように、第1コア層20、第2コア層30、第1クラッド層11、第2クラッド層12および第3クラッド層13が積層される方向を第2方向Db、第1方向Daおよび第2方向Dbに直交する方向を第3方向Dcとする。また、第2方向Dbにおける第1クラッド層11、第2クラッド層12、第1コア層20および第3クラッド層13が順に積層される方向を積層順方向Db1、積層順方向Db1とは反対方向を積層逆方向Db2とする。そして、第3方向Dcにおける一方側を一方側第3方向Dc1、一方側第3方向Dc1とは反対方向を他方側第3方向Dc2とする。
【0031】
図1および
図2に示すように、第1クラッド層11は、第1方向Daが長手方向である立方体形状に形成されている。そして、
図3に示すように、第1クラッド層11上に第2クラッド層12および第2コア層30が形成されている。第2クラッド層12は、第1クラッド層11上における第2コア層30が形成される部位を除く部位に形成されている。そして、第2クラッド層12は、第2方向Dbの大きさが第2コア層30の第2方向Dbの大きさより小さく形成されている。すなわち、第2コア層30は、第2クラッド層12から積層順方向Db1に突出している。また、第2クラッド層12上に第1コア層20が形成されている。第3クラッド層13は、第2クラッド層12上に形成されており、第1コア層20および第2コア層30における第2クラッド層12から突出している部位を覆っている。
【0032】
これら第1クラッド層11、第2クラッド層12および第3クラッド層13は、例えば、絶縁体である酸化シリコン(すなわち、SiO2)で構成されている。
【0033】
第1コア層20は、
図1および
図2に示すように、第2クラッド層12上の第3方向Dcにおける略中央において、第1方向Daに沿って延びて形成されている。また、第1コア層20は、第3方向Dcの大きさに比較して第2方向Dbが小さい薄板扁平形状で形成されている。本実施形態の第1コア層20は、第3方向Dcの大きさに比較して第2方向Dbの大きさが著しく小さくなっている。第1コア層20は、窒化ケイ素(すなわち、SiN)で構成されている。第1コア層20は、スポットサイズ変換器1における出射逆方向Da2側の端部から離隔して形成されている。
【0034】
第1コア層20は、第1伝搬部21と、第1テーパ部22とを有する。第1伝搬部21および第1テーパ部22は、出射方向Da1に沿って、この順に形成されている。
【0035】
また、第1コア層20は、出射逆方向Da2における端部に第1出射逆側面23を有し、出射方向Da1における端部に第1出射側面24を有する。第1出射逆側面23は、光ファイバ導波路FWから出射されるレーザ光を受光する面である。第1出射逆側面23は、第1出射側面24よりスポットサイズ変換器1における出射逆方向Da2側の端部に近い側の面であって、スポットサイズ変換器1における出射逆方向Da2側の端部から離隔している。第1出射側面24は、第1コア層20における第1出射逆側面23とは反対側の面である。
【0036】
そして、第1コア層20は、
図2に示すように、第2方向Dbにおける第2クラッド層12側の面である第1コア面25を有する。第1コア面25は、第1コア層20が形成される第2クラッド層12に接する側の面である。
【0037】
第1伝搬部21は、光ファイバ導波路FWに光学的に結合される部位であって、光ファイバ導波路FWから伝搬されるレーザ光を出射方向Da1に導くものである。また、第1伝搬部21は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第2方向Dbの大きさおよび第3方向Dcの大きさが一定になっている。具体的に、第1伝搬部21は、第2方向Dbの大きさが0.050μmであって、第3方向Dcの大きさが2.0μmで形成されている。第1伝搬部21は、第2コア層30より出射逆方向Da2側に形成されている。すなわち、第1伝搬部21は、第3方向Dcにおいて第2コア層30と重ならない位置に形成されている。第1伝搬部21は、出射方向Da1側に第1テーパ部22が接続されている。
【0038】
第1テーパ部22は、第1コア層20を第2コア層30に光学的に結合させる部位であって、第1伝搬部21に伝搬されるレーザ光を第2コア層30に遷移させる部位である。第1テーパ部22は、第1コア層20の第1方向Daにおける出射方向Da1側の端部に配置されている。
【0039】
また、第1テーパ部22は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第2方向Dbの大きさが一定になっている。これに対して、第1テーパ部22は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に小さくなっている。具体的に、第1テーパ部22の第3方向Dcの大きさは、出射逆方向Da2側の端部が2.0μmであって、出射方向Da1側の端部が0.2μmとなっている。このため、第1テーパ部22は、出射方向Da1側の端部の第3方向Dcの大きさと出射逆方向Da2側の端部の第3方向Dcの大きさとの差が1.8μmとなっている。
【0040】
そして、第1テーパ部22は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが連続的に小さくなっている。また、第1テーパ部22の第1方向Daにおける大きさは、1000μmとなっている。このため、第1テーパ部22は、出射方向Da1における1μm当たりの第3方向Dcの変動量の絶対が、1.8nmとなっている。
【0041】
ここで、第1テーパ部22における出射方向Da1側の端部における第3方向Dcの大きさは、使用する製造プロセスで、最も小さくできる程度の大きさである。
【0042】
また、第1テーパ部22は、少なくとも一部が第3方向Dcにおいて第2コア層30と重なる位置に形成されている。本実施形態では、第1テーパ部22の全てが第3方向Dcにおいて第2コア層30と重なる位置に形成されている。
【0043】
第2コア層30は、
図1および
図3に示すように、第1クラッド層11上における第1コア層20の一方側第3方向Dc1側において第1コア層20に離隔して設けられ、第1方向Daに沿って延びて形成されている。具体的に、第2コア層30は、第2コア層30における第3方向Dcの中心と第1コア層20における第3方向Dcの中心との間隔が2.0μmとなるように、第1コア層20から離隔して設けられている。第2コア層30は、第1コア層20と同じ材質である窒化ケイ素で構成されている。第2コア層30は、第1コア層20よりスポットサイズ変換器1における出射逆方向Da2側の端部から離隔して形成されている。
【0044】
また、第2コア層30は、第2方向Dbの大きさが第1コア層20の第2方向Dbの大きさより大きく形成されている。具体的に、第2コア層30は、第2方向Dbの大きさが0.30μmで形成されている。そして、第2コア層30は、第1コア層20に対して積層順方向Db1側および積層逆方向Db2側それぞれに突出している。具体的に、第2コア層30は、第2方向Dbの大きさが0.30μmであって、第1コア層20の第2方向Dbの中心から積層順方向Db1側および積層逆方向Db2側それぞれに0.15μmずつ突出している。
【0045】
そして、第2コア層30は、
図3に示すように、第2方向Dbにおける第1クラッド層11側の面である第2コア面31を有する。第2コア面31は、第2コア層30が形成される第1クラッド層11に接する側の面である。第2コア面31は、第2方向Dbにおいて第1コア面25と重なっておらず、第1コア面25に比較して積層逆方向Db2側に位置付けられている。
【0046】
また、
図1に示すように、第2コア層30は、出射逆方向Da2における端部に第2出射逆側面32を有し、出射方向Da1における端部に第2出射側面33を有する。第2出射逆側面32は、第2出射側面33よりスポットサイズ変換器1における出射逆方向Da2側の端部に近い側の面である。また、第2出射逆側面32は、第1出射側面24より出射逆方向Da2側に位置付けられている。すなわち、第2出射逆側面32は、第1出射側面24よりスポットサイズ変換器1における出射逆方向Da2側の端部から近い位置に配置されている。第2出射側面33は、第2コア層30における第2出射逆側面32とは反対側の面である。第2出射側面33は、スポットサイズ変換器1における出射方向Da1側の端部に位置付けられている。
【0047】
そして、第2コア層30は、第2テーパ部34と、第2伝搬部35とを有する。第2テーパ部34および第2伝搬部35は、出射方向Da1に沿って、この順に形成されている。
【0048】
第2テーパ部34は、第1コア層20と第2コア層30とを光学的に結合させる部位であって、第1伝搬部21から第1テーパ部22へ伝搬されたレーザ光が遷移される部位である。第2テーパ部34は、第2コア層30の第1方向Daにおける出射逆方向Da2側の端部に配置されている。
【0049】
また、第2テーパ部34は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第2方向Dbの大きさが一定になっている。これに対して、第2テーパ部34は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に大きくなっている。そして、第2テーパ部34は、出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさが第1テーパ部22の出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさより小さくなっている。また、第2テーパ部34は、出射方向Da1側の端部における第3方向Dcの大きさが第1テーパ部22の出射方向Da1側の端部における第3方向Dcの大きさより大きくなっている。そして、第2テーパ部34は、出射逆方向Da2側の端部における第2方向Dbの大きさが第3方向Dcの大きさより大きく形成されている。
【0050】
具体的に、第2テーパ部34の第3方向Dcの大きさは、出射逆方向Da2側の端部が0.2μmであって、出射方向Da1側の端部が1.0μmとなっている。このため、第2テーパ部34は、出射方向Da1側の端部の第3方向Dcの大きさと出射逆方向Da2側の端部の第3方向Dcの大きさとの差が0.8μmとなっている。
【0051】
そして、第2テーパ部34は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが連続的に大きくなっている。また、第2テーパ部34の第1方向Daにおける大きさは、1000μmとなっている。このため、第2テーパ部34は、出射方向Da1における1μm当たりの第3方向Dcの変動量の絶対が、0.8nmとなっている。
【0052】
したがって、第2テーパ部34は、出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値が第1テーパ部22における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値より小さくなっている。換言すれば、第1テーパ部22は、出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値が第2テーパ部34における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値より大きくなっている。本実施形態では、第1テーパ部22における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値は、第2テーパ部34における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値の2倍以上の大きさとなっている。
【0053】
なお、第1テーパ部22は、出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値が第2テーパ部34における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値より大きい値であれば、その大きさは限定されない。例えば、第1テーパ部22は、出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値が第2テーパ部34における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値の2倍より小さい大きさであってもよい。
【0054】
ここで、第2テーパ部34における出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさは、使用する製造プロセスで、最も小さくできる程度の大きさである。
【0055】
また、第2テーパ部34は、少なくとも一部が第3方向Dcにおいて第1コア層20における第1テーパ部22と重なる位置に形成されている。本実施形態では、第2テーパ部34の全てが第3方向Dcにおいて第1テーパ部22と重なる位置に形成されている。すなわち、第2テーパ部34の第1方向Daの大きさは、第1テーパ部22の第1方向Daの大きさに等しくなっている。
【0056】
このため、第1テーパ部22の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置とが一致している。また、第1テーパ部22の出射方向Da1側の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射方向Da1側の端部における第1方向Daの位置とが一致している。すなわち、第1テーパ部22の第1方向Daの大きさと、第2テーパ部34の第1方向Daの大きさが等しくなっている。
【0057】
このように、スポットサイズ変換器1は、第1テーパ部22の第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に小さくなっているのに対して、第2テーパ部34の第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に大きくなっている。そして、第1テーパ部22および第2テーパ部34は、スポットサイズ変換器1内において導波路として機能する。
【0058】
このため、スポットサイズ変換器1内において、導波路として機能する第1テーパ部22の出射方向Da1に直交する導波路の断面積は、出射方向Da1に沿って徐々に小さくなる。これに対して、スポットサイズ変換器1内において、導波路として機能する第2テーパ部34の出射方向Da1に直交する導波路の断面積は、出射方向Da1に沿って徐々に大きくなる。
【0059】
したがって、スポットサイズ変換器1内の導波路のうち、第1テーパ部22および第2テーパ部34によって形成される部位の出射方向Da1に直交する導波路の断面積は、出射方向Da1に沿ってその面積が変化し難くなっている。そして、第2テーパ部34は、出射方向Da1側に第2伝搬部35が接続されている。
【0060】
第2伝搬部35は、回路導波路CWに光学的に結合される部位であって、光ファイバ導波路FWから伝搬されたレーザ光を回路導波路CWに導くものである。また、第2伝搬部35は、第1方向Daの一方側端部から他方側端部までの第2方向Dbの大きさおよび第3方向Dcの大きさが一定になっている。具体的に、第2伝搬部35は、第2方向Dbの大きさが0.30μmであって、第3方向Dcの大きさが1.0μmで形成されている。第2伝搬部35は、第1コア層20より出射方向Da1側に形成されている。すなわち、第2伝搬部35は、第3方向Dcにおいて第1コア層20と重ならない位置に形成されている。
【0061】
なお、本実施形態のスポットサイズ変換器1を製造するには、まず、不図示の基板上に第1クラッド層11を成膜する。そして、第1クラッド層11上に第2コア層30をパターンニングによって成膜し、その後、第2コア層30上および第1クラッド層11上における第2コア層30が成膜されていない部分に第2クラッド層12を成膜する。そして、第2コア層30上に成膜された第2クラッド層12を、例えば、CMP(Chemical Mechanical Polish)によって、除去する。
【0062】
その後、第2クラッド層12上に第1コア層20をパターンニングによって成膜する。そして、第1コア層20上、第2コア層30上および第2クラッド層12上における第1コア層20および第2コア層30が成膜されていない部分に第3クラッド層13を成膜する。これにより、第1コア層20および第2コア層30が第3クラッド層13によって覆われる。
【0063】
その後、第1コア層20上および第2コア層30上に成膜された第3クラッド層13のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。これにより、不図示の基板上に第1クラッド層11~第3クラッド層13と、第1コア層20と、第2コア層30とが形成された上記のスポットサイズ変換器1が製造される。
【0064】
続いて、本実施形態のスポットサイズ変換器1の作動について説明する。本実施形態のスポットサイズ変換器1は、第1コア層20の第1伝搬部21に光ファイバ導波路FWからレーザ光が伝搬されると、当該レーザ光が第1伝搬部21を出射方向Da1に沿って伝搬し、第1伝搬部21から第1テーパ部22へ伝搬される。そして、第1テーパ部22へ伝搬されたレーザ光は、第1テーパ部22を出射方向Da1に沿って伝搬される。
【0065】
ここで、第1テーパ部22は、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが小さくなっている。このため、第1テーパ部22は、レーザ光が伝搬される際の光の閉じ込めが出射方向Da1に沿って徐々に弱くなる。すなわち、第1テーパ部22は、光閉じ込め係数が出射方向Da1に沿って徐々に小さくなる。このため、第1テーパ部22を伝搬するレーザ光が徐々に第2テーパ部34に遷移される。
【0066】
そして、第2テーパ部34に遷移されたレーザ光は、第2テーパ部34を出射方向Da1に沿って伝搬され、第2テーパ部34から第2伝搬部35へ伝搬される。そして、第2伝搬部35へ伝搬されたレーザ光は、第2伝搬部35を出射方向Da1に沿って伝搬し、回路導波路CWへ伝搬される。
【0067】
また、第1コア層20における光ファイバ導波路FWからレーザ光が伝搬される第1伝搬部21は、第3方向Dcの大きさに比較して第2方向Dbの大きさが著しく小さい薄板扁平形状で形成されている。このため、第1コア層20は、光ファイバ導波路FWの第3方向Dcの電界強度分布を拡げることができるとともに、第3方向Dcの光閉じ込め係数を充分に確保することができる。したがって、第1コア層20では、第3方向Dcの電界強度分布を第1コア層20の第3方向Dcの大きさと同程度まで拡げることができる。
【0068】
そして、薄板扁平形状である第1コア層20では、第2方向Dbにおける光閉じ込め係数が第3方向Dcにおける光閉じ込め係数に比較して小さい。このため、第1コア層20では、第2方向Dbの電界強度分布が拡げられる。したがって、第1コア層20では、第2方向Dbの電界強度分布を第1コア層20の第2方向Dbの大きさより大きく拡げることができる。
【0069】
また、第2コア層30における回路導波路CWへレーザ光を伝搬する第2伝搬部35は、第2方向Dbの大きさが第1伝搬部21の第2方向Dbの大きさより大きくなっている。このため、第1伝搬部21に比較して第2方向Dbの光閉じ込め係数が大きくなる。したがって、第2コア層30では、第2方向Dbおよび第3方向Dcそれぞれの電界強度分布が狭くなる。
【0070】
これにより、スポットサイズ変換器1は、出射方向Da1に直交する断面積が互いに異なる光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとを効率的に結合する。
【0071】
ところで、スポットサイズ変換器1内において、スポットサイズ変換器1の導波路の断面積が急激に変化すると、当該断面積が急激に変化する部位をレーザ光が通過する際にレーザ光の電界強度分布が急激に変化する。そして、電界強度分布が急激に変化すると、スポットサイズ変換器1内において光が伝搬される際に損失が発生し、スポットサイズ変換器1内の光透過効率が低下する。これは、スポットサイズ変換器1内において光が導波路を伝搬する際の透過効率の悪化の要因となり、スポットサイズ変換器1が光ファイバ導波路FWと回路導波路CWと結合させる際の正味の結合効率が悪化する要因となる。
【0072】
ここで、本実施形態のスポットサイズ変換器1内における電界強度分布を説明するために、まず比較例となる比較変換器100内における電界強度分布を、
図8~
図13を用いて説明する。
【0073】
比較変換器100は、
図8~
図10に示すように、第1方向Daに沿って延び、導波路として機能する下側コア層110および上側コア層120を有する。
【0074】
下側コア層110は、
図9および
図10に示すように、薄板扁平形状であって、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが小さく形成される下側テーパ部111を有する。下側テーパ部111は、第2方向Dbの大きさが0.050μmであって、出射逆方向Da2側の端部の第3方向Dcの大きさ2.0μmとなっている。また、下側テーパ部111は、第1方向Daの大きさが1000μmとなっている。
【0075】
上側コア層120は、
図9および
図10に示すように、下側コア層110上に形成され、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが大きく形成される上側テーパ部121を有する。
【0076】
そして、上側テーパ部121は、第2方向Dbの大きさが0.25μmになっている。また、上側テーパ部121における出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさは、製造プロセス上、最も小さくできる程度の大きさである0.2μmとなっている。また、上側テーパ部121における出射方向Da1側の端部における第3方向Dcの大きさは、1.0μmとなっている。また、上側テーパ部121は、第1方向Daの大きさが1000μmとなっており、第1方向Daにおいて下側テーパ部111と重なっている。
【0077】
このように構成される比較変換器100を光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとの間に設け、光ファイバ導波路FWから出射されたレーザ光を回路導波路CWに導いた場合についての電界強度分布について検討する。このように構成される比較変換器100では、光ファイバ導波路FWから出射されたレーザ光が下側コア層110の下側テーパ部111に伝搬されると、当該レーザ光が下側テーパ部111を出射方向Da1に沿って伝搬される。
【0078】
ここで、下側テーパ部111は、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが小さくなっている。このため、下側テーパ部111は、レーザ光が伝搬される際の光の閉じ込めが出射方向Da1に沿って徐々に弱くなる。このため、下側テーパ部111を伝搬するレーザ光が徐々に上側テーパ部121に遷移される。そして、上側テーパ部121に遷移されたレーザ光は、上側テーパ部121を出射方向Da1に沿って伝搬され、回路導波路CWへ伝搬される。
【0079】
また、比較変換器100において、下側コア層110および上側コア層120によって構成される導波路は、上側コア層120の出射逆方向Da2側の端部を通過する直前の出射方向Da1に直交する断面形状が、下側コア層110の形状となる。具体的に、この断面形状は、
図11に示すように、第2方向Dbの大きさが0.050μmであって、第3方向Dcの大きさが2.0μmの薄板扁平形状となる。
【0080】
これに対して、上側コア層120の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後の導波路の出射方向Da1に直交する断面形状は、
図11に示すように、下側コア層110に上側コア層120が積層された断面形状となる。具体的に、この断面形状は、上記薄板扁平形状の下側コア層110に、第2方向Dbの大きさが0.25μmであって、第3方向Dcの大きさが0.2μmの矩形状の上側コア層120が積層された形状となる。
【0081】
なお、
図11に示す導波路の断面図のうち、導波路断面図aが
図9に示す下側コア層110の出射逆方向Da2側の端部のA-A断面図を示し、導波路断面図bが上側コア層120の出射逆方向Da2側の端部のB-B断面図を示している。そして、導波路断面図cが上側テーパ部121の出射方向Da1側の端部のC-C断面図を示している。
【0082】
したがって、比較変換器100内の出射方向Da1に直交する導波路の断面形状は、上側コア層120の出射逆方向Da2側の端部を通過する直前に比較して直後の形状が、薄板扁平形状の下側コア層110上に矩形状の上側コア層120が突出した形状となる。そしてこれにより、上側コア層120の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後では、第2方向Dbにおける光の閉じ込めが急激に変化する。すなわち、上側コア層120の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後では、第2方向Dbにおける光閉じ込め係数が急激に変化する。
【0083】
そして、比較変換器100内において導波路の光閉じ込め係数が急激に変化すると、
図11に示すように、上側コア層120の出射逆方向Da2側の端部をレーザ光が通過する際にレーザ光の電界強度分布が急激に変化する。
【0084】
そして、電界強度分布が比較的大きく変化すると、比較変換器100内において光が伝搬される際に損失が発生し、光透過効率が低下する。比較変換器100では、下側コア層110から上側コア層120における出射逆方向Da2側の端部へ伝搬される際の光透過率は、0.81まで低下した。
【0085】
また、発明者らの鋭意検討によれば、比較変換器100では、下側コア層110に伝搬されるレーザ光の入力を1としたとき、A-A断面図に示した位置における結合効率は、
図12に示すように、0.85であった。これに対して、
図12に示すように、C-C断面図に示した位置における結合効率は、上側テーパ部121の第1方向Daの長さをテーパ長としたとき、テーパ長が500μm程度の大きさまででは、テーパ長を大きくするほど結合効率を大きくできる。しかし、テーパ長が500μm以上では、結合効率が飽和した値となり、その値を飽和した値から大きくすることができない。そして、その飽和した結合効率の値は、0.69であった。
【0086】
ここで、
図12に示す実線は、下側テーパ部111における出射逆方向Da2側の端部の位置における結合効率を示し、破線は、下側テーパ部111における出射方向Da1側の端部位置における結合効率を示す。
【0087】
ところで、比較変換器100が光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとを結合させる際の結合効率は、C-C断面図に示した位置における結合効率である。そして、当該結合効率は、下側コア層110から上側コア層120における出射逆方向Da2側の端部へ伝搬される際の光透過率の値にC-C断面図に示した位置における結合効率の値を乗じた値となる。具体的に、比較変換器100が光ファイバ導波路FWと回路導波路CWとを結合させる際の実際の結合効率である正味の結合効率の値は、
図13に示すように、0.81に0.85を乗じて求められる値である0.69であった。
【0088】
このように、光の閉じ込めが急激に変化する比較変換器100では、導波路内の電界強度分布が大きく変化することで比較変換器100内の光透過率が低下して、正味の結合効率が急激に低下する。
【0089】
続いて、本実施形態のスポットサイズ変換器1内における電界強度分布を
図14~
図16を用いて説明する。
【0090】
本実施形態の第1コア層20は、上述したように、第3方向Dcの大きさに比較して第2方向Dbの大きさが著しく小さい薄板扁平形状で形成されている。このため、スポットサイズ変換器1内では、第1コア層20が配置される部位で第3方向Dcの電界強度分布を拡げることができるとともに、第3方向Dcの光閉じ込め係数を充分に確保することができる。換言すれば、第1コア層20は、第3方向Dcへのレーザ光の拡がりを閉じ込めることができる。
【0091】
そして、薄板扁平形状である第1コア層20では、第2方向Dbにおける光閉じ込め係数が第3方向Dcにおける光閉じ込め係数に比較して非常に小さい。具体的に、本実施形態のスポットサイズ変換器1では、第3方向Dcにおける光閉じ込め係数の値が0.39であるのに対して、第2方向Dbにおける光閉じ込め係数の値が0.01であった。このように第1コア層20は、第2方向Dbの光の閉じ込め非常に小さいため、第1コア層20において第2方向Dbの電界強度分布を拡げることができる。
【0092】
このような第1コア層20に対して、本実施形態の第2コア層30は、第1コア層20の一方側第3方向Dc1側において第1コア層20に離隔して設けられている。すなわち、第2コア層30は、第1コア層20における充分な光閉じ込め係数が確保される第3方向Dc側において、第1コア層20から離隔して配置されている。
【0093】
このため、スポットサイズ変換器1において、第1コア層20および第2コア層30によって構成される導波路は、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部を通過する直前の導波路の出射方向Da1に直交する断面形状が第1コア層20の形状となる。具体的に、この断面形状は、
図14に示すように、第2方向Dbの大きさが0.050μmであって、第3方向Dcの大きさが2.0μmの薄板扁平形状となる。これに対して、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後の導波路の出射方向Da1に直交する断面形状は、第1コア層20と第2コア層30とが離隔して第3方向Dcに並んだ断面形状となる。具体的に、この断面形状は、上記薄板扁平形状の第1コア層20に、第2方向Dbの大きさが0.30μmであって、第3方向Dcの大きさが0.20μmの矩形状の第2コア層30が離隔して並んだ形状となる。
【0094】
なお、
図14に示す導波路の断面図のうち、導波路断面図dが
図1に示す第1コア層20の第1伝搬部21のII-II断面図を示し、導波路断面図eが第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部のIII-III断面図を示している。
【0095】
このように構成されるスポットサイズ変換器1では、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部を通過する直前に比較して直後の断面形状が、第1コア層20の断面形状に第2コア層30の断面形状が増加する形状となる。しかし、第1コア層20は、第3方向Dcにおける光閉じ込め係数が充分に確保されており、レーザ光の第3方向Dcへの拡がりを閉じ込めることができる。このため、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後では、第3方向Dcにおける光の閉じ込めの変化を抑制することができる。すなわち、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後では、第3方向Dcにおける光閉じ込め係数が急激に変化することを抑制することができる。
【0096】
このため、スポットサイズ変換器1は、
図14に示すように、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部をレーザ光が通過する際のレーザ光の電界強度分布の変化を比較変換器100に比較して小さくすることができる。
【0097】
そして、電界強度分布の変化を小さくすることで、比較変換器100に比較して光が伝搬される際に発生する損失を抑制し、光透過効率が低下する際の低下量を小さくすることができる。本実施形態のスポットサイズ変換器1では、第1コア層20から第2コア層30における出射逆方向Da2側の端部へ伝搬される際の光透過率は、0.96であった。
【0098】
また、スポットサイズ変換器1では、第1コア層20に伝搬されるレーザ光の入力を1としたとき、第1コア層20の出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの結合効率は、比較変換器100と同様、
図15に示すように、0.85であった。これに対して、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの結合効率は、
図15に示すように、第2テーパ部34の第1方向Daの長さであるテーパ長を大きくするほど結合効率を大きくできる。
【0099】
そして、本実施形態のスポットサイズ変換器1の正味の結合効率の値は、第1コア層20から第2コア層30における出射逆方向Da2側の端部へ伝搬される際の光透過率の値に第1コア層20と第2コア層30との結合効率の値を乗じた値となる。スポットサイズ変換器1の正味の結合効率の値は、
図16に示すように、0.82であった。
【0100】
ここで、
図15に示す実線は、下側テーパ部111における出射逆方向Da2側の端部の位置における結合効率を示す。そして、破線は、比較変換器100における下側テーパ部111の出射方向Da1側の端部の位置における結合効率を示し、一点鎖線は、本実施形態のスポットサイズ変換器1における下側テーパ部111の出射方向Da1側の端部の位置における結合効率を示す。
【0101】
このように、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側コア層110および上側コア層120が第2方向Dbに積層されて構成される比較変換器100に比較して正味の結合効率を向上させることができる。
【0102】
以上の如く、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、第1コア層20および第1コア層20における一方側第3方向Dc1において、第1コア層20に離隔して設けられる第2コア層30を備える。第1コア層20は、第3方向Dcの大きさに比較して第2方向Dbの大きさが小さい扁平形状であって、出射方向Da1側の端部に、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが小さくなる第1テーパ部22を有する。第2コア層30は、第2方向Dbの大きさが第1コア層20の第2方向Dbの大きさより大きく形成され、且つ、出射逆方向Da2側の端部に、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが大きくなる第2テーパ部34を有する。第2テーパ部34は、第3方向Dcにおいて第1テーパ部22に重なる位置に配置されている。
【0103】
このように構成されるスポットサイズ変換器1では、レーザ光が第1コア層20の出射方向Da1の端部に位置する第1テーパ部22から第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部に位置する第2テーパ部34へ遷移される。
【0104】
そして、第1コア層20の出射方向Da1側の端部において第1コア層20が第3方向Dcへのレーザ光の拡がりを閉じ込めることができる。このため、第1コア層20の出射方向Da1側の端部において、一方側第3方向Dc1に第1コア層20に離隔して第2コア層30が設けられる構成において、第3方向Dcにおける光の閉じ込めの変化を抑制することができる。
【0105】
これにより、スポットサイズ変換器1は、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部をレーザ光が通過する際のレーザ光の電界強度分布の変化を抑制することができる。そして、電界強度分布の変化を小さくすることで、光が伝搬される際に発生する損失を抑制し、光透過効率の悪化を抑制することができる。したがって、レーザ光の出射方向Da1に直交する断面積が互いに異なる2つの導波路を結合させる際のスポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0106】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0107】
(1)上記実施形態では、第2コア層30は、出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさが第2方向Dbの大きさより小さく形成されている。
【0108】
これによれば、このように形成されていない場合に比較して、第2テーパ部34の出射逆方向Da2側の端部を通過する直前と直後とで、スポットサイズ変換器1内の出射方向Da1に直交する導波路の断面形状の変化を抑制することができる。
【0109】
このため、スポットサイズ変換器1内において導波路の断面積が急激に変化することに起因するレーザ光の電界強度分布の変化を抑制することができる。そしてこれにより、スポットサイズ変換器1内においてレーザ光が導波路を伝搬する際の透過効率の悪化を抑制することができる。したがって、レーザ光の出射方向Da1に直交する断面積が互いに異なる2つの導波路を結合させる際のスポットサイズ変換器1の結合効率をさらに向上させることができる。
【0110】
(2)上記実施形態では、第1テーパ部22の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置とが一致している。
【0111】
これによれば、このように形成されていない場合に比較して、第2テーパ部34の出射逆方向Da2側の端部を通過する直前と直後とで、スポットサイズ変換器1内の出射方向Da1に直交する導波路の断面形状の変化を抑制することができる。
【0112】
このため、スポットサイズ変換器1内において導波路の断面積が急激に変化することに起因するレーザ光の電界強度分布の変化を抑制することができる。そしてこれにより、スポットサイズ変換器1内においてレーザ光が導波路を伝搬する際の透過効率の悪化を抑制することができる。したがって、レーザ光の出射方向Da1に直交する断面積が互いに異なる2つの導波路を結合させる際のスポットサイズ変換器1の結合効率をさらに向上させることができる。
【0113】
(3)上記実施形態では、第1テーパ部22の出射方向Da1の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射方向Da1の端部における第1方向Daの位置とが一致している。
【0114】
これによれば、このように形成されていない場合に比較して、第2テーパ部34の出射方向Da1側の端部を通過する直前と直後とで、スポットサイズ変換器1内の出射方向Da1に直交する導波路の断面形状の変化を抑制することができる。
【0115】
このため、スポットサイズ変換器1内において導波路の断面積が急激に変化することに起因するレーザ光の電界強度分布の変化を抑制することができる。そしてこれにより、スポットサイズ変換器1内においてレーザ光が導波路を伝搬する際の透過効率の悪化を抑制することができる。したがって、レーザ光の出射方向Da1に直交する断面積が互いに異なる2つの導波路を結合させる際のスポットサイズ変換器1の結合効率をさらに向上させることができる。
【0116】
(4)上記実施形態では、第1コア層20および第2コア層30は、窒化ケイ素で構成されている。
【0117】
これによれば、第1コア層20および第2コア層30が、例えば、シリコンで構成される場合に比較して、第1コア層20および第2コア層30の光の屈折率を低下させることができる。このため、第1コア層20では、第2方向Dbの光閉じ込め係数が小さくでき、第2方向Dbの電界強度分布が拡げ易くできる。
【0118】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図17~
図20を参照して説明する。本実施形態では、第1コア層20および第2コア層30の第2方向Dbにおける位置関係が第1実施形態と相違している。これ以外は、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0119】
本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図17~
図19に示す通り、第1実施形態に比較して第3クラッド層13が形成されていない。また、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図18および
図19に示すように、第1実施形態と異なり、第1コア層20が第1クラッド層11上に形成されている。そして、第1コア層20は、第2コア層30が形成される第1クラッド層11上に形成されている。換言すれば、第1コア層20が形成される第1クラッド層11は、第2コア層30が形成される第1クラッド層11と同じクラッド層である。このため、本実施形態の第2コア面31は、第2方向Dbにおいて第1コア面25と重なっている。
【0120】
このような本実施形態のスポットサイズ変換器1を製造するには、まず、不図示の基板上に第1クラッド層11を成膜する。そして、第1クラッド層11上に第1コア層20および第2コア層30をパターンニングによって成膜する。その後、第1コア層20上と、第2コア層30上と、第1クラッド層11上における第1コア層20および第2コア層30が成膜されていない部分とに第2クラッド層12を成膜する。これにより、第1コア層20および第2コア層30が第2クラッド層12によって覆われる。
【0121】
そして、第1コア層20および第2コア層30上に成膜された第2クラッド層12のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。これにより、不図示の基板上に第1クラッド層11と、第2クラッド層12と、第1コア層20と、第2コア層30とが形成された上記のスポットサイズ変換器1が製造される。
【0122】
また、このように構成されるスポットサイズ変換器1は、第1コア層20から第2コア層30における出射逆方向Da2側の端部へ伝搬される際の光透過率が第1実施形態と同じく0.96であった。このため、スポットサイズ変換器1の正味の結合効率は、
図20に示すように、0.82であった。このため、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側コア層110および上側コア層120が第2方向Dbに積層されて構成される比較変換器100に比較してスポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0123】
このように、第2方向Dbにおいて第1コア面25および第2コア面31が重なるスポットサイズ変換器1は、第1コア層20および第2コア層30を形成する際、同じ第1クラッド層11上に第1コア層20および第2コア層30を形成することができる。
【0124】
これに対して、第1実施形態のように、第1コア面25および第2コア面31が第2方向Dbにおいて重ならない場合、第1クラッド層11上に第2コア層30を形成後、第1クラッド層11とは異なる第2クラッド層12上に第1コア層20を形成する必要がある。この場合、第1コア層20および第2コア層30毎にクラッド層を形成する製造プロセスが必要となるとともに、第2コア層30上に形成された第2クラッド層12を除去する製造プロセスが必要となる。
【0125】
しかし、本実施形態によれば、第1コア面25および第2コア面31が第2方向Dbにおいて重ならない場合に比較して、第3クラッド層13を不要にすることができるとともに、第2クラッド層12を除去する製造プロセスを削減することができる。したがって、スポットサイズ変換器1を製造する際の製造プロセスを簡易にすることができる。
【0126】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、
図21~
図26を参照して説明する。本実施形態では、第2コア層30が第1コア層20における一方側第3方向Dc1および他方側第3方向Dc2それぞれに設けられている点が第1実施形態と相違している。これ以外は、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0127】
本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図21~
図23に示す通り、第1実施形態に比較して第1コア層20の他方側第3方向Dc2にさらに第2コア層30が設けられている。すなわち、本実施形態のスポットサイズ変換器1では、第2コア層30が第1コア層20に対して第3方向Dcの一方側および他方側それぞれに1つずつ設けられている。以下、2つの第2コア層30のうち、第1コア層20における一方側第3方向Dc1側に設けられるコア層を一方側第2コア層40、第1コア層20における他方側第3方向Dc2側に設けられるコア層を他方側第2コア層50とも呼ぶ。一方側第2コア層40は、第1実施形態で説明した第2コア層30に相当するものである。
【0128】
他方側第2コア層50は、一方側第2コア層40に対して、第1方向Daに沿って延び第1コア層20における第3方向Dcの中心を通過する第1仮想線CL1に対称となる位置に配置されている。そして、他方側第2コア層50は、一方側第2コア層40に対して第1仮想線CL1に線対称となる形状となっている。すなわち、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、第1仮想線CL1を挟んで第3方向Dcに対称の配置および対象の形状となるように設けられている。
【0129】
そして、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、第3方向Dcにおける互いの中心間距離が4.0μmとなるように設けられている。換言すれば、一方側第2コア層40は、一方側第2コア層40における第3方向Dcの中心と第1コア層20における第3方向Dcの中心との間隔が2.0μmとなるように、第1コア層20から一方側第3方向Dc1に離隔して設けられている。また、他方側第2コア層50は、他方側第2コア層50における第3方向Dcの中心と第1コア層20における第3方向Dcの中心との間隔が2.0μmとなるように、第1コア層20から他方側第3方向Dc2に離隔して設けられている。
【0130】
すなわち、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、自身の第3方向Dcの中心と第1コア層20における第3方向Dcの中心との間隔が互いに等しくなるように設けられている。
【0131】
一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれは、第1コア層20と同じ材質である窒化ケイ素で構成されている。
【0132】
図23に示すように、一方側第2コア層40は、第2方向Dbにおける第1クラッド層11側の面である一方側第2コア面41を有する。一方側第2コア面41は、一方側第2コア層40が形成される第1クラッド層11に接する側の面である。また、
図21に示すように、一方側第2コア層40は、一方側第2テーパ部44と、一方側第2伝搬部45とを有する。一方側第2テーパ部44および一方側第2伝搬部45は、出射方向Da1に沿って、この順に形成されている。
【0133】
他方側第2コア層50は、第2方向Dbにおける第1クラッド層11側の面である他方側第2コア面51を有する。他方側第2コア面51は、他方側第2コア層50が形成される第1クラッド層11に接する側の面である。また、他方側第2コア層50は、他方側第2テーパ部54と、他方側第2伝搬部55とを有する。他方側第2テーパ部54および他方側第2伝搬部55は、出射方向Da1に沿って、この順に形成されている。
【0134】
一方側第2コア層40の一方側第2テーパ部44の形状は、第1実施形態で説明した第2コア層30の第2テーパ部34と同じ形状である。また、一方側第2コア層40の一方側第2伝搬部45の形状は、第1実施形態で説明した第2コア層30の第2伝搬部35と同じ形状である。このため、一方側第2テーパ部44および一方側第2伝搬部45の詳細の説明を省略する。また、他方側第2コア層50は、一方側第2コア層40と形状が同じ形状であるため、その詳細の説明を省略する。
【0135】
一方側第2コア面41および他方側第2コア面51は、第2方向Dbにおいて第1コア面25と重なっておらず、第1コア面25に比較して積層逆方向Db2側に位置付けられている。
【0136】
このような本実施形態のスポットサイズ変換器1を製造するには、まず、不図示の基板上に第1クラッド層11を成膜する。そして、第1クラッド層11上に一方側第2コア層40および他方側第2コア層50をパターンニングによって成膜する。その後、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第1クラッド層11上における一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が成膜されていない部分に第2クラッド層12を成膜する。そして、一方側第2コア層40上および他方側第2コア層50上それぞれに成膜された第2クラッド層12を、例えば、CMPによって、除去する。
【0137】
その後、第2クラッド層12上に第1コア層20をパターンニングによって成膜する。そして、第1コア層20上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第2クラッド層12上におけるこれら第1コア層20、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が成膜されていない部分に第3クラッド層13を成膜する。これにより、第1コア層20、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が第3クラッド層13によって覆われる。
【0138】
その後、第1コア層20上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、に成膜された第3クラッド層13のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。これにより、不図示の基板上に第1クラッド層11~第3クラッド層13と、第1コア層20と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50とが形成された上記のスポットサイズ変換器1が製造される。
【0139】
続いて、本実施形態のスポットサイズ変換器1の作動について説明する。本実施形態のスポットサイズ変換器1は、第1コア層20の第1伝搬部21に光ファイバ導波路FWからレーザ光が伝搬されると、当該レーザ光が第1伝搬部21を出射方向Da1に沿って伝搬し、第1伝搬部21から第1テーパ部22へ伝搬される。そして、第1テーパ部22へ伝搬されたレーザ光は、第1テーパ部22を出射方向Da1に沿って伝搬される。
【0140】
そして、第1テーパ部22を伝搬するレーザ光が徐々に一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移される。
【0141】
ここで、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、自身の第3方向Dcの中心と第1コア層20における第3方向Dcの中心との間隔が互いに等しくなるように設けられている。このため、第1テーパ部22から一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されるレーザ光は、それぞれの位相が略揃った状態で遷移される。
【0142】
そして、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されたレーザ光は、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれを出射方向Da1に沿って伝搬される。一方側第2テーパ部44を伝搬するレーザ光は、一方側第2テーパ部44から一方側第2伝搬部45へ伝搬される。他方側第2テーパ部54を伝搬するレーザ光は、他方側第2テーパ部54から他方側第2伝搬部55へ伝搬される。そして、一方側第2伝搬部45および他方側第2伝搬部55それぞれへ伝搬されたレーザ光は、回路導波路CWへ伝搬される。
【0143】
ここで、本実施形態のスポットサイズ変換器1の導波路は、第1コア層20、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50によって構成される。そして、当該導波路は、
図24に示すように、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の出射逆方向Da2側の端部を通過する直前の導波路の出射方向Da1に直交する断面形状が第1コア層20の形状となる。
【0144】
これに対して、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後の導波路の出射方向Da1に直交する断面形状は、第1コア層20、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が並んだ断面形状となる。具体的に、当該断面形状は、第1コア層20に対して一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が離隔して第3方向Dcの一方側および他方側それぞれに並んだ断面形状となる。
【0145】
なお、
図24に示す導波路の断面図のうち、導波路断面図fが
図21に示す第1コア層20の第1伝搬部21のXXII-XXII断面図を示している。また、導波路断面図gが一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の出射逆方向Da2側の端部のXXIII-XXIII断面図を示している。
【0146】
このように構成されるスポットサイズ変換器1では、第1コア層20が、第3方向Dcへのレーザ光の拡がりを閉じ込めることができる。このため、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後では、第3方向Dcにおける光の閉じ込めの変化を抑制することができる。すなわち、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の出射逆方向Da2側の端部を通過した直後では、第3方向Dcにおける光閉じ込め係数が急激に変化することを抑制することができる。
【0147】
このため、スポットサイズ変換器1は、
図24に示すように、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の出射逆方向Da2側の端部をレーザ光が通過する際のレーザ光の電界強度分布の変化を比較変換器100に比較して小さくすることができる。
【0148】
また、このように構成されるスポットサイズ変換器1は、第1コア層20から第2コア層30における出射逆方向Da2側の端部へ伝搬される際の光透過率が第1実施形態と同じく0.96であった。このため、スポットサイズ変換器1の正味の結合効率は、
図26に示すように、0.82であった。このため、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側コア層110および上側コア層120が第2方向Dbに積層されて構成される比較変換器100に比較してスポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0149】
また、スポットサイズ変換器1では、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの結合効率は、テーパ長を大きくするほど結合効率を大きくできる。
【0150】
ここで、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、一方側第2コア層40に加えて他方側第2コア層50を有する。このため、第1コア層20に対して第3方向Dcの一方側および他方側のどちらか一方のみに第2コア層30が設けられる構成に比較して第1コア層20からのレーザ光の遷移が行われ易くなる。したがって、
図25に示すように、テーパ長の増加量に対する結合効率の増加量を第1実施形態のスポットサイズ変換器1に比較して大きくすることができる。すなわち、テーパ長と結合効率との相関関係において、テーパ長に対する結合効率を上昇させ易くできる。
【0151】
例えば、第1実施形態では、テーパ長が1000μmに設定された場合、第1コア層20と第2コア層30との正味の結合効率を0.82まで上昇させることができる。これに対して、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、テーパ長を第1実施形態より小さい400μm程度に設定しても、第1実施形態と同様の正味の結合効率である0.82まで上昇させることができる。
【0152】
ここで、
図25に示す実線は、下側テーパ部111における出射逆方向Da2側の端部の位置における結合効率を示す。そして、破線は、比較変換器100における下側テーパ部111の出射方向Da1側の端部の位置における結合効率を示し、一点鎖線は、第1実施形態の下側テーパ部111の出射方向Da1側の端部の位置における結合効率を示す。また、二点鎖線は、本実施形態の下側テーパ部111の出射方向Da1側の端部の位置における結合効率を示す。
【0153】
このように、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側コア層110および上側コア層120が第2方向Dbに積層されて構成される比較変換器100に比較してスポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0154】
また、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、第1コア層20における一方側第3方向Dc1に設けられる一方側第2コア層40と、第1コア層20における他方側第3方向Dc2に設けられる他方側第2コア層50とを含む。
【0155】
これによれば、第2コア層30が第1コア層20における第3方向Dcの一方側および他方側のどちらか一方のみに形成されている場合に比較して、第1テーパ部22からのレーザ光の遷移をさせ易くできる。
【0156】
このため、このように形成されていない場合に比較して、一方側第2コア層40および他方側第2テーパ部54の第1方向Daにおける大きさを小さくしても、充分に第1テーパ部22からのレーザ光の遷移をさせることができる。このため、スポットサイズ変換器1における第1方向Daにおける大きさを小さくして、スポットサイズ変換器1の筐体の大きさを小さくすることができる。
【0157】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、
図27~
図30を参照して説明する。本実施形態では、第1コア層20と、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50との第2方向Dbにおける位置関係が第3実施形態と相違している。これ以外は、第3実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第3実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0158】
本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図27~
図29に示す通り、第3実施形態に比較して第3クラッド層13が形成されていない。また、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図28および
図29に示すように、第3実施形態と異なり、第1コア層20が第1クラッド層11上に形成されている。そして、第1コア層20は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が形成される第1クラッド層11上に形成されている。換言すれば、第1コア層20が形成される第1クラッド層11は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が形成される第1クラッド層11と同じクラッド層である。このため、本実施形態の一方側第2コア面41および他方側第2コア面51は、第2方向Dbにおいて第1コア面25と重なっている。
【0159】
このような本実施形態のスポットサイズ変換器1を製造するには、まず、不図示の基板上に第1クラッド層11を成膜する。そして、第1クラッド層11上に第1コア層20と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50とをパターンニングによって成膜する。その後、第1コア層20上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第1クラッド層11上におけるこれら第1コア層20、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が成膜されていない部分と、に第2クラッド層12を成膜する。これにより、第1コア層20と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50とが第2クラッド層12によって覆われる。
【0160】
そして、第1コア層20上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上とに成膜された第2クラッド層12のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。これにより、不図示の基板上に第1クラッド層11と、第2クラッド層12と、第1コア層20と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50とが形成された上記のスポットサイズ変換器1が製造される。
【0161】
また、このように構成されるスポットサイズ変換器1の正味の結合効率は、
図30に示すように、0.83であった。このため、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側コア層110および上側コア層120が第2方向Dbに積層されて構成される比較変換器100に比較してスポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0162】
そして、本実施形態の一方側第2コア層40は、第1クラッド層11上に積層されており、第2方向Dbにおける第1クラッド層11側の面である一方側第2コア面41を有する。他方側第2コア層50は、第1クラッド層11上に積層されており、第2方向Dbにおける第1クラッド層11側の面である他方側第2コア面51を有する。一方側第2コア面41および他方側第2コア面51は、第2方向Dbにおいて重なっている。
【0163】
このように、第2方向Dbにおいて第1コア面25、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51が重なるスポットサイズ変換器1は、同じ第1クラッド層11上に第1コア層20、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を形成することができる。
【0164】
これに対して、第3実施形態のように、第1コア面25、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51が第2方向Dbにおいて重ならない場合、第1クラッド層11上に一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を形成する。その後、第1クラッド層11とは異なる第2クラッド層12上に第1コア層20を形成する必要がある。この場合、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を成膜するための第1クラッド層11を形成する製造プロセスが必要になるのに加えて、第1コア層20を成膜するための第2クラッド層12を形成する製造プロセスが必要となる。そして、第1コア層20を形成する前に、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50上に形成された第2クラッド層12を除去する製造プロセスが必要となる。
【0165】
しかし、本実施形態によれば、第1コア面25と、一方側第2コア面41と、他方側第2コア面51とが第2方向Dbにおいて重ならない場合に比較して、第3クラッド層13を不要にすることができる。そしてさらに、第2クラッド層12を除去する製造プロセスを削減することができる。したがって、スポットサイズ変換器1を製造する際の製造プロセスを簡易にすることができる。
【0166】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、
図31~
図34を参照して説明する。本実施形態では、2つの第1コア層60、70が設けられている点が第3実施形態と相違している。これ以外は、第3実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第3実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0167】
本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図31~
図33に示す通り、第1クラッド層11~第3クラッド層13に加えて第4クラッド層14を有するとともに、2つの第1コア層60、70を有する。2つの第1コア層60、70のうち一方は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50に対して第2方向Dbにおける積層順方向Db1側に形成されている。これに対して、2つの第1コア層20のうち他方は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50に対して第2方向Dbにおける積層逆方向Db2側に形成されている。なお、
図31では、第3クラッド層13および第4クラッド層14を省略している。
【0168】
以下、2つの第1コア層20のうち、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50より積層順方向Db1側に形成されるコア層を下側第1コア層60とも呼ぶ。また、2つの第1コア層20のうち、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50より積層逆方向Db2側に形成されるコア層を上側第1コア層70とも呼ぶ。
【0169】
図32および
図33に示すように、第1クラッド層11、第2クラッド層12、第3クラッド層13および第4クラッド層14は、第2方向Db沿って積層されている。具体的に、第1クラッド層11、第2クラッド層12、第3クラッド層13および第4クラッド層14は、積層順方向Db1に沿って、この順に積層されている。
【0170】
第1クラッド層11上には、下側第1コア層60および第2クラッド層12が形成されている。第2クラッド層12上には、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50と、第3クラッド層13とが形成されている。第3クラッド層13上には、上側第1コア層70および第4クラッド層14が形成されている。
【0171】
これら第1クラッド層11、第2クラッド層12、第3クラッド層13および第4クラッド層14は、例えば、絶縁体である二酸化ケイ素(すなわち、SiO2)で構成されている。
【0172】
下側第1コア層60は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50より積層逆方向Db2側に形成されており、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が形成される第2クラッド層12とは異なる第1クラッド層11上に形成されている。また、上側第1コア層70は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50より積層順方向Db1側に形成されており、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が形成される第2クラッド層12とは異なる第3クラッド層13上に形成されている。
【0173】
下側第1コア層60は、上側第1コア層70に対して、第3方向Dcに沿って延び一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の第2方向Dbの中心を通過する第2仮想線CL2に対称となる位置に配置されている。そして、下側第1コア層60は、上側第1コア層70に対して第2仮想線CL2に線対称となる形状となっている。すなわち、下側第1コア層60および上側第1コア層70は、第2仮想線CL2を挟んで第2方向Dbに対称の配置および対象の形状となるように設けられている。
【0174】
そして、下側第1コア層60および上側第1コア層70は、第2方向Dbにおける互いの中心間距離が1.0μmとなるように設けられている。換言すれば、下側第1コア層60は、下側第1コア層60における第2方向Dbの中心と一方側第2コア層40および他方側第2コア層50における第2方向Dbの中心との間隔が0.5μmとなるように設けられている。また、上側第1コア層70は、上側第1コア層70における第2方向Dbの中心と一方側第2コア層40および他方側第2コア層50における第2方向Dbの中心との間隔が0.5μmとなるように設けられている。
【0175】
すなわち、下側第1コア層60および上側第1コア層70は、自身の第2方向Dbの中心と一方側第2コア層40および他方側第2コア層50における第2方向Dbの中心との間隔が互いに等しくなるように設けられている。
【0176】
下側第1コア層60は、下側第1伝搬部61と、下側第1テーパ部62とを有する。下側第1伝搬部61および下側第1テーパ部62は、出射方向Da1に沿って、この順に形成されている。上側第1コア層70は、上側第1伝搬部71と、上側第1テーパ部72とを有する。上側第1伝搬部71および上側第1テーパ部72は、出射方向Da1に沿って、この順に形成されている。
【0177】
本実施形態の下側第1コア層60および上側第1コア層70は、互いの形状が同様である。このため、以下の説明では、下側第1コア層60の形状についてのみ詳細を説明し、上側第1コア層70の形状についての詳細の説明は省略する。
【0178】
下側第1コア層60は、
図31および
図32に示すように、第1クラッド層11上の第3方向Dcにおける略中央において、第1方向Daに沿って延びて形成されている。また、下側第1コア層60は、第3方向Dcの大きさに比較して第2方向Dbが小さい薄板扁平形状で形成されている。下側第1コア層60は、窒化ケイ素で構成されている。第1コア層20は、スポットサイズ変換器1における出射逆方向Da2側の端部から離隔して形成されている。
【0179】
そして、下側第1コア層60は、第2方向Dbにおける第1クラッド層11側の面である下側第1コア面65を有する。下側第1コア面65は、下側第1コア層60が形成される第1クラッド層11に接する側の面である。
【0180】
下側第1伝搬部61は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第2方向Dbの大きさおよび第3方向Dcの大きさが一定になっている。また、下側第1伝搬部61は、第3実施形態における第1コア層20の第1伝搬部21より第2方向Dbの大きさが小さく、第3方向Dcの大きさが大きく形成されている。具体的に、下側第1伝搬部61は、第2方向Dbの大きさが0.025μmであって、第3方向Dcの大きさが3.5μmで形成されている。下側第1伝搬部61は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50より出射逆方向Da2側に形成されている。すなわち、下側第1伝搬部61は、第3方向Dcにおいて一方側第2コア層40および他方側第2コア層50と重ならない位置に形成されている。下側第1伝搬部61は、出射方向Da1側に下側第1テーパ部62が接続されている。下側第1テーパ部62は、下側第1コア層60の第1方向Daにおける出射方向Da1側の端部に配置されている。
【0181】
また、下側第1テーパ部62は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第2方向Dbの大きさが一定になっている。これに対して、下側第1テーパ部62は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に小さくなっている。また、下側第1テーパ部62は、第3実施形態における第1テーパ部22より第2方向Dbの大きさが小さく、第1方向Daの大きさが大きく形成されている。
【0182】
具体的に、下側第1テーパ部62の第3方向Dcの大きさは、出射逆方向Da2側の端部が3.5μmであって、出射方向Da1側の端部が0.2μmとなっている。そして、下側第1テーパ部62は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが連続的に小さくなっている。また、下側第1テーパ部62の第1方向Daにおける大きさは、1000μmとなっている。
【0183】
ここで、下側第1テーパ部62における出射方向Da1側の端部における第3方向Dcの大きさは、使用する製造プロセスで、最も小さくできる程度の大きさである。また、下側第1テーパ部62は、下側第1テーパ部62の全てが第3方向Dcにおいて一方側第2コア層40および他方側第2コア層50と重なる位置に形成されている。
【0184】
また、本実施形態の一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54は、それぞれの出射逆方向Da2側の端部が0.2μmとなっている。一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54における出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさは、使用する製造プロセスで、最も小さくできる程度の大きさである。
【0185】
また、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54は、それぞれの全てが第3方向Dcにおいて下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72と重なる位置に形成されている。
【0186】
このため、下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置と一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれの出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置とが一致している。また、下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72の出射方向Da1側の端部における第1方向Daの位置と一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれの出射方向Da1側の端部における第1方向Daの位置とが一致している。
【0187】
このような本実施形態のスポットサイズ変換器1を製造するには、まず、不図示の基板上に第1クラッド層11を成膜する。そして、第1クラッド層11上に下側第1コア層60をパターンニングによって成膜し、その後、下側第1コア層60上および第1クラッド層11上における下側第1コア層60が成膜されていない部分に第2クラッド層12を成膜する。これにより、下側第1コア層60は、第2クラッド層12によって覆われる。そして、下側第1コア層60上に成膜された第2クラッド層12のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。
【0188】
そして、第2クラッド層12上に一方側第2コア層40および他方側第2コア層50をパターンニングによって成膜する。その後、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第2クラッド層12上における一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が成膜されていない部分に第3クラッド層13を成膜する。これにより、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、第3クラッド層13によって覆われる。そして、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50上に成膜された第3クラッド層13のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。
【0189】
そして、第3クラッド層13上に上側第1コア層70をパターンニングによって成膜し、その後、上側第1コア層70上および第3クラッド層13上における上側第1コア層70が成膜されていない部分に第4クラッド層14を成膜する。これにより、上側第1コア層70は、第4クラッド層14によって覆われる。そして、上側第1コア層70上に成膜された第4クラッド層14のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。
【0190】
これにより、不図示の基板上に第1クラッド層11~第4クラッド層14と、下側第1コア層60と、上側第1コア層70と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50と、が形成された上記のスポットサイズ変換器1が製造される。このように構成される下側第1コア層60および上側第1コア層70は、第2方向Dbにおいて第2クラッド層12および第3クラッド層13を介して並んで設けられている。
【0191】
続いて、本実施形態のスポットサイズ変換器1の作動について説明する。スポットサイズ変換器1は、下側第1コア層60の下側第1伝搬部61および上側第1コア層70の上側第1伝搬部71に光ファイバ導波路FWからレーザ光が伝搬されると、当該レーザ光が下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72へ伝搬される。そして、下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72へ伝搬されたレーザ光は、下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72を出射方向Da1に沿って伝搬される。
【0192】
そして、下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72を伝搬するレーザ光が徐々に一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移される。
【0193】
ここで、下側第1コア層60および上側第1コア層70は、自身の第2方向Dbの中心と一方側第2コア層40および他方側第2コア層50における第2方向Dbの中心との間隔が互いに等しくなるように設けられている。さらに、下側第1コア層60および上側第1コア層70は、自身の第3方向Dcの中心と一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれの第3方向Dcの中心との間隔が互いに等しくなるように設けられている。このため、下側第1テーパ部62および上側第1テーパ部72それぞれから一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されるレーザ光は、それぞれの位相が略揃った状態で遷移される。
【0194】
そして、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されたレーザ光は、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれを出射方向Da1に沿って伝搬される。一方側第2テーパ部44を伝搬するレーザ光は、一方側第2テーパ部44から一方側第2伝搬部45へ伝搬される。他方側第2テーパ部54を伝搬するレーザ光は、他方側第2テーパ部54から他方側第2伝搬部55へ伝搬される。そして、一方側第2伝搬部45および他方側第2伝搬部55それぞれへ伝搬されたレーザ光は、回路導波路CWへ伝搬される。
【0195】
このように構成されるスポットサイズ変換器1の正味の結合効率は、
図34に示すように、0.83であった。このため、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側コア層110および上側コア層120が第2方向Dbに積層されて構成される比較変換器100に比較してスポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0196】
以上の如く、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側第1コア層60および上側第1コア層70は、第2方向Dbにおいて第2クラッド層12および第3クラッド層13を介して並んで設けられている。
【0197】
ここで、スポットサイズ変換器1内の下側第1コア層60および上側第1コア層70が設けられる部位の光の閉じ込め係数は、下側第1コア層60と上側第1コア層70との距離によって調整することができる。このため、下側第1コア層60および上側第1コア層70の間隔を調整することで、スポットサイズ変換器1内の下側第1コア層60および上側第1コア層70が設けられる部位において第2方向Dbおける光の閉じ込め係数を調整することができる。このため、スポットサイズ変換器1内の下側第1コア層60および上側第1コア層70が設けられる部位において、第2方向Dbにおける電界強度分布を所望の大きさに調整することができる。
【0198】
(第5実施形態の変形例)
上述の第5実施形態では、下側第1コア層60および上側第1コア層70が第2方向Dbにおいて第2クラッド層12および第3クラッド層13を介して設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、スポットサイズ変換器1は、下側第1コア層60および上側第1コア層70に加えてさらに1つ以上の第1コア層20が設けられている構成であってもよい。この場合、下側第1コア層60、上側第1コア層70、さらに追加する1つ以上の第1コア層20それぞれの間隔を調整することで、スポットサイズ変換器1内における第2方向Dbおける光の閉じ込め係数を調整することができる。これによれば、第2方向Dbにおける電界強度分布を調整することができる。
【0199】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について、
図35~
図38を参照して説明する。本実施形態では、下側第1コア層60と、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50との第2方向Dbにおける位置関係が第5実施形態と相違している。これ以外は、第5実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について主に説明し、第5実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0200】
本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図35~
図37に示す通り、第5実施形態に比較して第4クラッド層14が形成されていない。また、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、
図36および
図37に示すように、第5実施形態と異なり、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が第1クラッド層11上に形成されている。このため、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、下側第1コア層60が形成される第1クラッド層11上に形成されている。換言すれば、下側第1コア層60が形成される第1クラッド層11と、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が形成される第1クラッド層11は、同じクラッド層である。このため、本実施形態の一方側第2コア面41および他方側第2コア面51は、第2方向Dbにおいて下側第1コア面65と重なっている。
【0201】
このような本実施形態のスポットサイズ変換器1を製造するには、まず、不図示の基板上に第1クラッド層11を成膜する。そして、第1クラッド層11上に下側第1コア層60と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50とをパターンニングによって成膜する。その後、下側第1コア層60上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第1クラッド層11上におけるこれら下側第1コア層60、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50が成膜されていない部分と、に第2クラッド層12を成膜する。これにより、下側第1コア層60と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50とが第2クラッド層12によって覆われる。
【0202】
そして、下側第1コア層60上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上とに成膜された第2クラッド層12のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。
【0203】
そして、第2クラッド層12上に上側第1コア層70をパターンニングによって成膜し、その後、上側第1コア層70上および第2クラッド層12上における上側第1コア層70が成膜されていない部分に第3クラッド層13を成膜する。これにより、上側第1コア層70は、第3クラッド層13によって覆われる。そして、上側第1コア層70上に成膜された第3クラッド層13のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。
【0204】
これにより、不図示の基板上に第1クラッド層11~第3クラッド層13と、下側第1コア層60と、上側第1コア層70と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50と、が形成された上記のスポットサイズ変換器1が製造される。このように構成される下側第1コア層60および上側第1コア層70は、第2方向Dbにおいて第2クラッド層12を介して並んで設けられている。
【0205】
また、このように構成されるスポットサイズ変換器1の正味の結合効率は、
図38に示すように、0.83であった。このため、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、下側コア層110および上側コア層120が第2方向Dbに積層されて構成される比較変換器100に比較してスポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0206】
そして、本実施形態の下側第1コア層60、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、第1クラッド層11上に積層されている。そして、下側第1コア面65、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51は、第2方向Dbにおいて重なっている。
【0207】
このように、第2方向Dbにおいて下側第1コア面65、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51が重なるスポットサイズ変換器1は、同じ第1クラッド層11上に下側第1コア層60、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を形成することができる。
【0208】
これに対して、第5実施形態のように、下側第1コア面65、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51が第2方向Dbにおいて重ならない場合、第1クラッド層11上に下側第1コア層60を形成する。その後、第1クラッド層11とは異なる第2クラッド層12上に一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を形成する必要がある。この場合、下側第1コア層60を成膜するための第1クラッド層11を形成する製造プロセスが必要になるのに加えて、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を成膜するための第2クラッド層12を形成する製造プロセスが必要となる。そして、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を形成する前に、下側第1コア層60上に形成された第2クラッド層12を除去する製造プロセスが必要となる。
【0209】
しかし、本実施形態によれば、下側第1コア面65と、一方側第2コア面41と、他方側第2コア面51とが第2方向Dbにおいて重ならない場合に比較して、第4クラッド層14を不要にすることができる。そしてさらに、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を形成する前に、下側第1コア層60上に形成された第2クラッド層12を除去する製造プロセスを削減することができる。したがって、スポットサイズ変換器1を製造する際の製造プロセスを簡易にすることができる。
【0210】
(第6実施形態の変形例)
上述の第6実施形態では、下側第1コア面65、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51が第2方向Dbにおいて重なっている例について説明したが、これに限定されない。例えば、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51は、第2方向Dbにおいて上側第1コア面75に重なっている構成であってもよい。
【0211】
また、下側第1コア層60と上側第1コア層70との間に、さらに別の第1コア層20が設けられているとする。この場合、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51は、第2方向Dbにおいて当該追加された第1コア層20の第1コア面25に重なっている構成であってもよい。
【0212】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について、
図39を参照して説明する。本実施形態では、第3実施形態に比較して、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の形状が相違するとともに、第3コア層80を備えている点が第3実施形態と相違している。これ以外は、第3実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第3実施形態と異なる部分について主に説明し、第3実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0213】
本実施形態の一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、出射方向Da1側の端部の形状が第2実施形態と相違している。具体的に、
図39に示すように、一方側第2コア層40は、出射方向Da1側の端部に一方側合成部46を有する。また、他方側第2コア層50は、出射方向Da1側の端部に他方側合成部56を有する。これら一方側合成部46および他方側合成部56は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれを伝搬するレーザ光を第3コア層80へ遷移させるものである。
【0214】
一方側合成部46および他方側合成部56は、互いの形状が同様である。このため、以下の説明では、一方側合成部46の形状についてのみ詳細を説明し、他方側合成部56の形状についての詳細の説明は省略する。
【0215】
一方側合成部46は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第2方向Dbの大きさが一定になっている。これに対して、一方側合成部46は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に小さくなっている。
【0216】
具体的に、一方側合成部46の第3方向Dcの大きさは、出射方向Da1側の端部が1.0μmであって、出射方向Da1側の端部が0.2μmとなっている。すなわち、一方側合成部46における出射方向Da1側の端部における第3方向Dcの大きさは、一方側第2テーパ部44における出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさと同じ大きさになっている。そして、一方側合成部46は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが連続的に小さくなっている。
【0217】
ここで、一方側合成部46における出射方向Da1側の端部における第3方向Dcの大きさは、使用する製造プロセスで、最も小さくできる程度の大きさである。
【0218】
第3コア層80は、
図39に示すように、第2クラッド層12上における一方側第2コア層40と他方側第2コア層50との間において、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50に離隔して設けられている。具体的に、第3コア層80は、第3方向Dcにおける一方側第2コア層40および他方側第2コア層50との距離が互いに等しくなるように設けられている。そして、第3コア層80は、一部が第3方向Dcにおいて一方側第2コア層40および他方側第2コア層50と重なっている。
【0219】
また、第3コア層80は、第1方向Daに沿ってスポットサイズ変換器1における出射方向Da1側の端部まで延びて形成されている。第3コア層80は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50と同じ材質である窒化ケイ素で構成されている。第3コア層80は、第1コア層20と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50とともに、導波路として機能する。
【0220】
また、第3コア層80は、第2方向Dbの大きさが一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の第2方向Dbの大きさと同じ大きさで形成されている。具体的に、第3コア層80は、第2方向Dbの大きさが0.30μmで形成されている。そして、第3コア層80は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50と第2方向Dbの位置が重なるように配置形成されている。
【0221】
このため、第3コア層80における積層逆方向Db2側の面は、一方側第2コア面41および他方側第2コア面51と同様、第2方向Dbにおいて第1コア面25と重なっておらず、第1コア面25に比較して積層逆方向Db2側に位置付けられている。
【0222】
そして、第3コア層80は、第3テーパ部81と、第3伝搬部82とを有する。第3テーパ部81および第3伝搬部82は、出射方向Da1に沿って、この順に形成されている。
【0223】
第3テーパ部81は、一方側合成部46および他方側合成部56と光学的に結合される部位であって、一方側合成部46および他方側合成部56からレーザ光が遷移される部位である。第3テーパ部81は、第3コア層80の第1方向Daにおける出射逆方向Da2側の端部に配置されている。そして、第3テーパ部81は、一方側第2コア層40における一方側合成部46と他方側第2コア層50における他方側合成部56との間に配置されている。一方側合成部46および他方側合成部56は、第3方向Dcにおいて対向している。
【0224】
また、第3テーパ部81は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第2方向Dbの大きさが一定になっている。これに対して、第3テーパ部81は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に大きくなっている。具体的に、第3テーパ部81の第3方向Dcの大きさは、出射逆方向Da2側の端部が0.2μmであって、出射方向Da1側の端部が1.0μmとなっている。そして、第3テーパ部81は、第1方向Daの出射逆方向Da2側の端部から出射方向Da1側の端部までの第3方向Dcの大きさが連続的に大きくなっている。すなわち、第3テーパ部81は、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54と同じ形状となっている。
【0225】
ここで、第3テーパ部81における出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさは、使用する製造プロセスで、最も小さくできる程度の大きさである。
【0226】
また、第3テーパ部81は、少なくとも一部が第3方向Dcにおいて一方側合成部46および他方側合成部56と重なる位置に形成されている。本実施形態では、第3テーパ部81の全てが第3方向Dcにおいて一方側合成部46および他方側合成部56と重なる位置に形成されている。すなわち、第3テーパ部81の第1の大きさは、一方側合成部46および他方側合成部56の第1方向Daの大きさに等しくなっている。
【0227】
このため、第3テーパ部81の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置と一方側合成部46および他方側合成部56の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置とが一致している。また、第3テーパ部81の出射方向Da1側の端部における第1方向Daの位置と一方側合成部46および他方側合成部56の出射方向Da1側の端部における第1方向Daの位置とが一致している。
【0228】
ここで、スポットサイズ変換器1は、一方側合成部46および他方側合成部56の第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に小さくなっているのに対して、第3テーパ部81の第3方向Dcの大きさが出射方向Da1に沿って徐々に大きくなっている。そして、一方側合成部46、他方側合成部56および第3テーパ部81は、スポットサイズ変換器1内において導波路として機能する。
【0229】
このため、スポットサイズ変換器1内において、導波路として機能する一方側合成部46および他方側合成部56の出射方向Da1に直交する導波路の断面積は、出射方向Da1に沿って徐々に小さくなる。これに対して、スポットサイズ変換器1内において、導波路として機能する第3テーパ部81の出射方向Da1に直交する導波路の断面積は、出射方向Da1に沿って徐々に大きくなる。
【0230】
したがって、スポットサイズ変換器1内の導波路のうち、一方側合成部46、他方側合成部56および第3テーパ部81によって形成される部位の出射方向Da1に直交する導波路の断面積は、出射方向Da1に沿ってその面積が変化し難くなっている。そして、第3テーパ部81は、出射方向Da1側に第3伝搬部82が接続されている。第3テーパ部81は、合成対向部に対応する。
【0231】
第3伝搬部82は、回路導波路CWに光学的に結合される部位であって、光ファイバ導波路FWから伝搬されたレーザ光を回路導波路CWに導くものである。また、第3伝搬部82は、第1方向Daの一方側端部から他方側端部までの第2方向Dbの大きさおよび第3方向Dcの大きさが一定になっている。具体的に、第3伝搬部82は、第2方向Dbの大きさが0.30μmであって、第3方向Dcの大きさが1.0μmで形成されている。第3伝搬部82は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50より出射方向Da1側に形成されている。すなわち、第3伝搬部82は、第3方向Dcにおいて一方側第2コア層40および他方側第2コア層50と重ならない位置に形成されている。
【0232】
このような本実施形態のスポットサイズ変換器1を製造するには、まず、不図示の基板上に第1クラッド層11を成膜する。そして、第1クラッド層11上に一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50と、第3コア層80とをパターンニングによって成膜する。その後、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第3コア層80上と、第1クラッド層11上におけるこれら一方側第2コア層40、他方側第2コア層50および第3コア層80が成膜されていない部分に第2クラッド層12を成膜する。そして、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第3コア層80上とそれぞれに成膜された第2クラッド層12を、例えば、CMPによって、除去する。
【0233】
その後、第2クラッド層12上に第1コア層20をパターンニングによって成膜する。そして、第1コア層20上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第3コア層80上と、第2クラッド層12上におけるこれら第1コア層20、一方側第2コア層40、他方側第2コア層50および第3コア層80とが成膜されていない部分に第3クラッド層13を成膜する。これにより、第1コア層20、一方側第2コア層40、他方側第2コア層50および第3コア層80が第3クラッド層13によって覆われる。
【0234】
その後、第1コア層20上と、一方側第2コア層40上と、他方側第2コア層50上と、第3コア層80上とに成膜された第3クラッド層13のうち、不要な部分を、例えば、CMPによって、除去する。これにより、不図示の基板上に第1クラッド層11~第3クラッド層13と、第1コア層20と、一方側第2コア層40と、他方側第2コア層50と、第3コア層80とが形成された上記のスポットサイズ変換器1が製造される。
【0235】
続いて、本実施形態のスポットサイズ変換器1の作動について説明する。本実施形態のスポットサイズ変換器1は、光ファイバ導波路FWから第1コア層20にレーザ光が伝搬されると、当該レーザ光が第1テーパ部22へ伝搬される。そして、第1テーパ部22へ伝搬されたレーザ光は、徐々に一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54に遷移される。
【0236】
そして、一方側第2テーパ部44に遷移されたレーザ光は、一方側第2テーパ部44から一方側第2伝搬部45を介して一方側合成部46へ伝搬される。他方側第2テーパ部54に遷移されたレーザ光は、他方側第2テーパ部54から他方側第2伝搬部55を介して他方側合成部56へ伝搬される。
【0237】
ここで、一方側合成部46および他方側合成部56は、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが小さくなっている。このため、一方側合成部46および他方側合成部56は、レーザ光が伝搬される際の光の閉じ込めが出射方向Da1に沿って徐々に弱くなる。すなわち、一方側合成部46および他方側合成部56は、光閉じ込め係数が出射方向Da1に沿って徐々に小さくなる。このため、一方側合成部46および他方側合成部56を伝搬するレーザ光が徐々に第3テーパ部81に遷移される。
【0238】
ここで、第3コア層80は、第3方向Dcにおける一方側第2コア層40および他方側第2コア層50との距離が互いに等しくなるように設けられている。このため、一方側合成部46および他方側合成部56から第3テーパ部81へ伝搬されるレーザ光は、それぞれの位相が略揃った状態で遷移される。
【0239】
そして、一方側合成部46および他方側合成部56から第3テーパ部81に遷移されたレーザ光は、第3テーパ部81において合成され、第3テーパ部81から第3伝搬部82へ伝搬される。そして、第3伝搬部82へ伝搬されたレーザ光は、第3伝搬部82を出射方向Da1に沿って伝搬し、回路導波路CWへ伝搬される。このように、本実施形態の一方側合成部46、他方側合成部56および第3テーパ部81は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれを伝搬するレーザ光を合成する光合成部として機能する。
【0240】
これによれば、スポットサイズ変換器1は、第1コア層20から一方側第2コア層40および他方側第2コア層50に分割されて伝搬されたレーザ光を合成させて出力させることができる。このため、スポットサイズ変換器1とは別に、2つに分割されたレーザ光を合成させる光合成器を用いる必要をなくすことができる。
【0241】
また、第3コア層80において、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれを伝搬するレーザ光を合成することができる。そしてこのように簡易な構成で光合成部を実現することができる。
【0242】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0243】
(1)上記実施形態では、第3テーパ部81は、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが大きくなっている。
【0244】
これによれば、このように形成されていない場合に比較して、第3コア層80における出射逆方向Da2側の端部を通過する直前と直後とで、出射方向Da1に直交する導波路の断面形状の変化を抑制することができる。
【0245】
このため、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50から第3コア層80へレーザ光を遷移させる際において、導波路の断面積が急激に変化することに起因するレーザ光の電界強度分布の変化を抑制することができる。そしてこれにより、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50から第3コア層80へレーザ光を遷移させる際の透過効率の悪化を抑制することができる。したがって、スポットサイズ変換器1の結合効率を向上させることができる。
【0246】
(第7実施形態の第1の変形例)
上述の第7実施形態では、第3コア層80における積層逆方向Db2側の面は、第2方向Dbにおいて第1コア面25と重なっておらず、第1コア面25に比較して積層逆方向Db2側に位置付けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第3コア層80における積層逆方向Db2側の面は、第4実施形態の一方側第2コア面41および他方側第2コア面51と同様、第2方向Dbにおいて第1コア面25と重なっていてもよい。
【0247】
これによれば、第3クラッド層13を不要にすることができるとともに、クラッド層を除去する製造プロセスを削減することができる。したがって、スポットサイズ変換器1を製造する際の製造プロセスを簡易にすることができる。
【0248】
(第7実施形態の第2の変形例)
上述の第7実施形態では、第1コア層20が1つ設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、スポットサイズ変換器1は、第5実施形態および第6実施形態で示したように下側第1コア層60および上側第1コア層70を備える構成であってもよい。
【0249】
この場合、第3コア層80における積層逆方向Db2側の面は、第5実施形態の一方側第2コア面41および他方側第2コア面51と同様、第2方向Dbにおいて下側第1コア面65と重なっていなくてもよい。すなわち、第3コア層80における積層逆方向Db2側の面は、下側第1コア面65に比較して積層逆方向Db2側に位置付けられていてもよい。また、第3コア層80における積層逆方向Db2側の面は、第6実施形態の一方側第2コア面41および他方側第2コア面51と同様、第2方向Dbにおいて下側第1コア面65と重なっていてもよい。
【0250】
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について、
図40を参照して説明する。本実施形態では、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の形状が第7実施形態と相違している。これ以外は、第7実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第7実施形態と異なる部分について主に説明し、第7実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0251】
図40に示すように、本実施形態の一方側第2コア層40は、第7実施形態に比較して一方側第2伝搬部45が廃されており、一方側第2伝搬部45の代わりに一方側内屈曲部47を有している。また、本実施形態の他方側第2コア層50は、第7実施形態に比較して他方側第2伝搬部55が廃されており、他方側第2伝搬部55の代わりに他方側内屈曲部57を有している。
【0252】
一方側内屈曲部47は、出射逆方向Da2側に一方側第2テーパ部44が接続されており、出射方向Da1側に一方側合成部46が接続されている。すなわち、一方側内屈曲部47は、一方側合成部46より出射逆方向Da2側に設けられている。そして、一方側内屈曲部47は、一方側第2テーパ部44および一方側合成部46を連結している。一方側内屈曲部47は、第3方向Dcにおいて一方側第2テーパ部44および一方側合成部46に重ならない位置に配置されている。
【0253】
一方側内屈曲部47は、第3テーパ部81に近づくように屈曲して形成されている。これにより、一方側合成部46は、一方側内屈曲部47によって第3テーパ部81に近付けられる。すなわち、一方側内屈曲部47は、一方側合成部46と第3テーパ部81との第3方向Dcの大きさを小さくさせる。
【0254】
具体的に、一方側内屈曲部47は、一方側内屈曲部47を有さない構成に比較して、一方側合成部46と第3テーパ部81との第3方向Dcの大きさが1/2以下となるように屈曲して形成されている。また、一方側内屈曲部47は、第2方向Dbの大きさが一方側第2テーパ部44および一方側合成部46の第2方向Dbの大きさに等しく形成されている。
【0255】
他方側内屈曲部57は、出射逆方向Da2側に他方側第2テーパ部54が接続されており、出射方向Da1側に他方側合成部56が接続されている。すなわち、他方側内屈曲部57は、他方側合成部56より出射逆方向Da2側に設けられている。そして、他方側内屈曲部57は、他方側第2テーパ部54および他方側合成部56を連結している。他方側内屈曲部57は、第3方向Dcにおいて他方側第2テーパ部54および他方側合成部56に重ならない位置に配置されている。
【0256】
他方側内屈曲部57は、第3テーパ部81に近づくように屈曲して形成されている。これにより、他方側合成部56は、他方側内屈曲部57によって第3テーパ部81に近付けられる。すなわち、他方側内屈曲部57は、他方側合成部56と第3テーパ部81との第3方向Dcの大きさを小さくさせる。
【0257】
具体的に、他方側内屈曲部57は、他方側内屈曲部57を有さない構成に比較して、他方側合成部56と第3テーパ部81との第3方向Dcの大きさが1/2以下となるように屈曲して形成されている。また、他方側内屈曲部57は、第2方向Dbの大きさが他方側第2テーパ部54および他方側合成部56の第2方向Dbの大きさに等しく形成されている。
【0258】
また、本実施形態では、一方側合成部46と第3テーパ部81との第3方向Dcの大きさおよび他方側合成部56と第3テーパ部81との第3方向Dcの大きさが同じ大きさとなるように一方側内屈曲部47および他方側内屈曲部57が形成されている。
【0259】
これによれば、一方側合成部46を第3テーパ部81へ近付けることによって、一方側合成部46から第3テーパ部81へレーザ光を遷移させる際に、レーザ光を遷移し易くできる。また、他方側合成部56を第3テーパ部81へ近付けることによって、他方側合成部56から第3テーパ部81へレーザ光を遷移させる際に、レーザ光を遷移し易くできる。
【0260】
このため、一方側合成部46から第3テーパ部81へレーザ光を遷移させる際に発生する光遷移の損失を低減できるとともに、他方側合成部56から第3テーパ部81へレーザ光を遷移させる際に発生する光遷移の損失を低減できる。
【0261】
また、一方側内屈曲部47を有さない構成に比較して、一方側合成部46の第1方向Daにおける大きさを小さくしても、一方側合成部46から第3テーパ部81へレーザ光を充分に遷移させることができる。そして、他方側内屈曲部57を有さない構成に比較して、他方側合成部56の第1方向Daにおける大きさを小さくしても、他方側合成部56から第3テーパ部81へレーザ光を充分に遷移させることができる。このため、スポットサイズ変換器1における第1方向Daにおける大きさを小さくして、スポットサイズ変換器1の筐体の大きさを小さくすることができる。
【0262】
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について、
図41を参照して説明する。本実施形態では、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50にヒータ5が設けられている点が第8実施形態と相違している。これ以外は、第8実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第8実施形態と異なる部分について主に説明し、第8実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0263】
図41に示すように、本実施形態の一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれには、ヒータ5が設けられている。具体的に、一方のヒータ5は、一方側第2コア層40における一方側合成部46より出射逆方向Da2側であって、一方側内屈曲部47に設けられている。また、他方のヒータ5は、他方側第2コア層50における他方側合成部56より出射逆方向Da2側であって、他方側内屈曲部57に設けられている。
【0264】
ヒータ5は、不図示の制御装置に接続されており、制御装置から制御信号によって加熱温度(すなわち、加熱能力)が制御される。一方側第2コア層40に設けられるヒータ5は、一方側第2コア層40を加熱して一方側第2コア層40の温度を調整することで、一方側第2コア層40を伝搬するレーザ光の位相を変化させる。他方第2コア層30に設けられるヒータ5は、他方側第2コア層50を加熱して他方側第2コア層50の温度を調整することで、他方側第2コア層50を伝搬するレーザ光の位相を変化させる。本実施形態のヒータ5は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれを伝搬するレーザ光の位相を調整する位相調整部として機能する。
【0265】
なお、一方側第2コア層40に設けられるヒータ5は、一方側第2コア層40における一方側合成部46より出射逆方向Da2側であれば、例えば、一方側第2テーパ部44に設けられていてもよい。また、他方側第2コア層50に設けられるヒータ5は、他方側第2コア層50における他方側合成部56より出射逆方向Da2側であれば、例えば、他方側第2テーパ部54に設けられていてもよい。
【0266】
このように、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれにヒータ5が設けられる理由について、以下に説明する。
【0267】
一方側第2コア層40には、第1コア層20から一方側第2テーパ部44へレーザ光が遷移される。また、他方側第2コア層50にも、第1コア層20から他方側第2テーパ部54へレーザ光が遷移される。ここで、一方側第2コア層40と第1コア層20との第3方向Dcの距離が他方側第2コア層50と第1コア層20との第3方向Dcの距離に等しいとする。
【0268】
この場合、第1コア層20から一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されるレーザ光は、互いの位相が揃った状態で遷移される。そして、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されたレーザ光は、位相が揃った状態でスポットサイズ変換器1内を伝搬し、第3テーパ部81において合成される。すると、第3テーパ部81によって合成されるレーザ光は、位相が揃っていない状態で合成される場合に比較して、出力が大きくなる。このため、一方側第2コア層40と第1コア層20との第3方向Dcの距離および他方側第2コア層50と第1コア層20との第3方向Dcの距離が互いに等しくなるように配置されることが望ましい。
【0269】
しかし、製造誤差等の要因によって、一方側第2コア層40と第1コア層20との第3方向Dcの距離および他方側第2コア層50と第1コア層20との第3方向Dcの距離が互いに異なって配置される可能性があるとする。この場合、第1コア層20から一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されるレーザ光は、互いの位相がずれた状態で遷移されることが想定される。すると、一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54それぞれに遷移されたレーザ光は、位相がずれた状態でスポットサイズ変換器1内を伝搬し、第3テーパ部81において合成される。その結果、第3テーパ部81によって合成されるレーザ光は、位相が揃っている状態で合成される場合に比較して、出力が小さくなる。これは、スポットサイズ変換器1が出力するレーザ光の出力低下の要因となる。
【0270】
しかしながら、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれにヒータ5が設けられている。そして、ヒータ5は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれを加熱することで、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれを伝搬するレーザ光の位相を調整することができる。
【0271】
これによれば、一方側第2コア層40と第1コア層20との第3方向Dcの距離および他方側第2コア層50と第1コア層20との第3方向Dcの距離の違いに起因する位相のずれを抑制することができる。そして、位相のずれによる第3テーパ部81で合成されるレーザ光の出力の低下を抑制することができる。すなわち、ヒータ5が設けられていない構成に比較して、スポットサイズ変換器1が出力するレーザ光の出力を大きくすることができる。
【0272】
なお、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれに設けられるヒータ5の加熱能力は、スポットサイズ変換器1から出力されるレーザ光の大きさに基づいて調整してもよい。
【0273】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0274】
(1)上記実施形態では、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50を加熱するヒータ5によって、位相調整部が構成されている。
【0275】
これによれば、簡易な構成で位相調整部を実現することができる。
【0276】
(第9実施形態の変形例)
上述の第9実施形態では、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれにヒータ5が設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、ヒータ5は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50のうちのどちらか一方のみに設けられている構成であってもよい。
【0277】
例えば、一方側第2コア層40のみにヒータ5が設けられている場合、当該ヒータ5によって一方側第2コア層40を加熱することができる。そして、一方側第2コア層40を伝搬されるレーザ光の位相を、他方側第2コア層50を伝搬されるレーザ光の位相に揃うように調整することができる。
【0278】
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について、
図42を参照して説明する。本実施形態では、第7実施形態に比較して、一方側第2コア層40に対して一方側合成部46が廃されており、他方側第2コア層50に対して他方側合成部56が廃されるとともに、第3コア層80に対して第3テーパ部81が廃されている。そして、廃された一方側合成部46と、他方側合成部56と、第3テーパ部81との代わりに多モード干渉器90が設けられている点が第7実施形態と相違している。これ以外は、第7実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第7実施形態と異なる部分について主に説明し、第7実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0279】
図42に示すように、本実施形態のスポットサイズ変換器1は、多モード干渉器90を備えている。多モード干渉器90は、一方側第2コア層40を伝搬するレーザ光および他方側第2コア層50を伝搬するレーザ光を合成させるものであって、多モード干渉(MMI:Multi-Mode Interference)装置とも呼ばれる。
【0280】
多モード干渉器90は、第1方向Daにおける一方側第2コア層40と、第3コア層80との間に設けられる。そして、多モード干渉器90は、第1方向Daにおける他方側第2コア層50と、第3コア層80との間に設けられる。
【0281】
多モード干渉器90は、入力側に一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれの出射方向Da1側の端部が接続されている。具体的に、多モード干渉器90は、出射逆方向Da2側において一方側第3方向Dc1側および他方側第3方向Dc2側それぞれに一方側入力部91および他方側入力部92を有する。そして、一方側入力部91に一方側第2コア層40が接続されている。また、他方側入力部92に他方側第2コア層50が接続されている。
【0282】
また、多モード干渉器90は、出力側に第3コア層80の出射逆方向Da2側の端部が接続されている。具体的に、多モード干渉器90は、出射方向Da1側における第3方向Dc側の略中央に出力部93を有する。そして、当該出力部93に第3コア層80が接続されている。
【0283】
続いて、本実施形態のスポットサイズ変換器1の作動について説明する。本実施形態のスポットサイズ変換器1は、光ファイバ導波路FWから第1コア層20にレーザ光が伝搬されると、当該レーザ光が第1テーパ部22へ伝搬される。そして、第1テーパ部22へ伝搬されたレーザ光は、徐々に一方側第2テーパ部44および他方側第2テーパ部54に遷移される。
【0284】
そして、一方側第2テーパ部44に遷移されたレーザ光は、一方側第2テーパ部44から一方側第2伝搬部45を介して多モード干渉器90の一方側入力部91へ伝搬される。他方側第2テーパ部54に遷移されたレーザ光は、他方側第2テーパ部54から他方側第2伝搬部55を介して多モード干渉器90の他方側入力部92へ伝搬される。
【0285】
そして、一方側第2伝搬部45および他方側第2伝搬部55それぞれから多モード干渉器90に入力されたレーザ光は、多モード干渉器90において合成され、出力部93から出力される。そして、多モード干渉器90の出力部93から出力されたレーザ光は、第3コア層80を介して回路導波路CWへ伝搬される。このように、本実施形態の多モード干渉器90は、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれを伝搬するレーザ光を合成する光合成部として機能する。
【0286】
これによれば、スポットサイズ変換器1は、第1コア層20から一方側第2コア層40および他方側第2コア層50に分割されて伝搬されたレーザ光を合成させて出力させることができる。このため、スポットサイズ変換器1とは別に、2つに分割されたレーザ光を合成させる光合成器を用いる必要をなくすことができる。
【0287】
また、第7実施形態に比較して、一方側第2コア層40の一方側合成部46と、他方側第2コア層50の他方側合成部56と、第3コア層80の第3テーパ部81を不要にできる。
【0288】
ここで、一方側合成部46および他方側合成部56は、出射方向Da1沿って光の閉じ込めを弱くさせる構成として、出射方向Da1に沿って第3方向Dcの大きさが徐々に小さくなる形状である必要がある。このため、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50は、一方側合成部46および他方側合成部56を形成するための第1方向Daの大きさを確保する必要がある。
【0289】
これに対して、多モード干渉器90によって光合成部を構成する形態では、一方側第2コア層40における一方側合成部46および他方側第2コア層50における他方側合成部56を形成するための第1方向Daの大きさを確保する必要が無くなる。また、第3コア層80における第3テーパ部81を形成するための第1方向Daの大きさを確保する必要がなくなる。
【0290】
したがって、一方側合成部46と、他方側合成部56と、第3テーパ部81とによって光合成部を構成する場合に比較して、スポットサイズ変換器1における第1方向Daにおける大きさを小さくすることができる。そして、スポットサイズ変換器1の筐体の大きさを小さくすることができる。
【0291】
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について、
図43を参照して説明する。本実施形態では、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の形状が第10実施形態と相違している。これ以外は、第10実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第10実施形態と異なる部分について主に説明し、第10実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0292】
図43に示すように、本実施形態の一方側第2コア層40は、第10実施形態に比較して一方側第2伝搬部45が廃されており、一方側第2伝搬部45の代わりに一方側外屈曲部48を有している。また、本実施形態の他方側第2コア層50は、第10実施形態に比較して他方側第2伝搬部55が廃されており、他方側第2伝搬部55の代わりに他方側外屈曲部58を有している。
【0293】
一方側外屈曲部48は、出射逆方向Da2側に一方側第2テーパ部44が接続されており、出射方向Da1側に多モード干渉器90が接続されている。すなわち、一方側外屈曲部48は、一方側第2コア層40における多モード干渉器90が接続される部位より出射逆方向Da2側に設けられている。そして、一方側外屈曲部48は、一方側第2テーパ部44および多モード干渉器90を連結している。一方側外屈曲部48は、第3方向Dcにおいて一方側第2テーパ部44に重ならない位置に配置されている。一方側外屈曲部48は、他方側第2コア層50から離れるように屈曲して形成されている。
【0294】
他方側外屈曲部58は、出射逆方向Da2側に他方側第2テーパ部54が接続されており、出射方向Da1側に多モード干渉器90が接続されている。すなわち、他方側外屈曲部58は、他方側第2コア層50における多モード干渉器90が接続される部位より出射逆方向Da2側に設けられている。そして、他方側外屈曲部58は、他方側第2テーパ部54および多モード干渉器90を連結している。他方側外屈曲部58は、第3方向Dcにおいて他方側第2テーパ部54に重ならない位置に配置されている。他方側外屈曲部58は、一方側第2テーパ部44から離れるように屈曲して形成されている。
【0295】
これにより、多モード干渉器90は、一方側外屈曲部48および他方側外屈曲部58を有していない構成に比較して一方側入力部91と他方側入力部92との間隔を大きくすることができる。すなわち、一方側外屈曲部48および他方側外屈曲部58は、一方側入力部91と他方側入力部92との間隔を大きくさせる。
【0296】
具体的に、一方側外屈曲部48および他方側外屈曲部58は、一方側外屈曲部48および他方側外屈曲部58を有さない構成に比較して、一方側入力部91と他方側入力部92との間隔が1.5倍以上となるように屈曲して形成されている。
【0297】
また、本実施形態では、多モード干渉器90における第3方向Dcの中心から一方側入力部91および他方側入力部92それぞれまでの距離が同じ距離となるように一方側外屈曲部48および他方側外屈曲部58が形成されている。
【0298】
ところで、多モード干渉器90において複数のレーザ光を入力させて合成させる際、多モード干渉器90にレーザ光が入力される部位の間隔が大きいほど、多モード干渉器90が光を合成させる際の損失を低減することができる。そして、本実施形態によれば、一方側外屈曲部48および他方側外屈曲部58を有さない構成に比較して、多モード干渉器90にレーザ光が入力される一方側入力部91と他方側入力部92との第3方向Dcにおける間隔を大きくすることができる。したがって、多モード干渉器90内において一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれから伝搬されるレーザ光を合成させる際に発生する損失を低減できる。
【0299】
(第11実施形態の変形例)
上述の第10実施形態では、第9実施形態と異なり、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50それぞれにヒータ5が設けられていない例について説明したが、これに限定されない。例えば、第9実施形態と同様、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の少なくとも一方にヒータ5が設けられている構成であってもよい。ヒータ5が一方側第2コア層40に設けられる場合、ヒータ5は、一方側外屈曲部48または一方側第2テーパ部44のどちらかに設けられてもよい。また、ヒータ5が他方側第2コア層50に設けられる場合、ヒータ5は、他方側外屈曲部58または他方側第2テーパ部54のどちらかに設けられてもよい。
【0300】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0301】
上述の実施形態では、スポットサイズ変換器1が光ファイバFからレーザ光が出射される際の電界強度分布に対して狭くさせる例について説明したが、これに限定されない。例えば、スポットサイズ変換器1の入力側に接続される導波路が出力側に接続される導波路より小さい場合、スポットサイズ変換器1は、第2コア層30側に小さい側の導波路が接続されて第1コア層20側に大きい側の導波路が接続される。この場合、スポットサイズ変換器1は、レーザ光が入力される際の電界強度分布に対して電界強度分布を拡げてレーザ光が出射することができる。
【0302】
上述の実施形態では、第1コア層20の出射逆方向Da2側の第3方向Dcの大きさが2.0μmまたは3.5μmであって、出射方向Da1側の第3方向Dcの大きさが0.2μmである例について説明した。また、第1コア層20の第1テーパ部22の第1方向Daの大きさが1000μmであって、第2方向Dbの大きさが0.050μmまたは0.025μmである例について説明した。
【0303】
そして、第2コア層30の出射逆方向Da2側の第3方向Dcの大きさが0.2μmであって、出射方向Da1側の第3方向Dcの大きさが1.0μmである例について説明した。また、第1コア層20の第2テーパ部34の第1方向Daの大きさが1000μmであって、第2方向Dbの大きさが0.30μmある例について説明した。
【0304】
しかし、第1コア層20および第2コア層30の第1方向Da、第2方向Db、第3方向Dcそれぞれの大きさは光ファイバFの光ファイバ導波路FWの大きさ、光集積回路Cの回路導波路CWの大きさなどに合わせて適宜変更可能である。
【0305】
上述の実施形態では、第1テーパ部22が第1コア層20の出射方向Da1側の端部に配置されている例について説明した。また、第2テーパ部34が第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部に配置されている例について説明した。しかし、第1テーパ部22および第2テーパ部34の配置はこれに限定されない。
【0306】
例えば、第1テーパ部22は、第1コア層20の出射方向Da1側の端部に配置されていない構成であってもよい。この場合、第1コア層20は、第1テーパ部22より出射方向Da1側に、第3方向Dcの大きさが第1テーパ部22の出射方向Da1側の端部における第3方向Dcと同じ大きさであって、第1方向Daに延びる部位を有する構成であってもよい。
【0307】
また、第2テーパ部34は、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部に配置されていない構成であってもよい。この場合、第2コア層30は、第2テーパ部34より出射逆方向Da2側に、第3方向Dcの大きさが第2テーパ部34の出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcと同じ大きさであって、第1方向Daに延びる部位を有する構成であってもよい。
【0308】
上述の実施形態では、第2コア層30の出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさが第2方向Dbの大きさより小さく形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、第2コア層30は、出射逆方向Da2側の端部における第3方向Dcの大きさが第2方向Dbの大きさより大きく形成されていてもよい。
【0309】
上述の実施形態では、第1テーパ部22の出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値が第2テーパ部34における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値より大きい例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1テーパ部22は、出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値が第2テーパ部34における出射方向Da1の単位長さ当たりの第3方向Dcの変動量の絶対値より大きく形成されていてもよい。
【0310】
上述の実施形態では、第1テーパ部22の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置とが一致している例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1テーパ部22の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射逆方向Da2側の端部における第1方向Daの位置とが一致していない構成であってもよい。
【0311】
上述の実施形態では、第1テーパ部22の出射方向Da1の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射方向Da1の端部における第1方向Daの位置とが一致している例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1テーパ部22の出射方向Da1の端部における第1方向Daの位置と第2テーパ部34の出射方向Da1の端部における第1方向Daの位置とが一致していない構成であってもよい。
【0312】
上述の実施形態では、第1コア層20および第2コア層30が窒化ケイ素で構成されている。例について説明したが、これに限定されない。例えば、第1コア層20および第2コア層30は、窒化ケイ素が含まれている構成であれば、窒化ケイ素とは異なる部材が含まれる構成であってもよい。または、第1コア層20および第2コア層30は、窒化ケイ素を含んでおらず、シリコンで構成されていてもよい。
【0313】
上述の第9実施形態では、一方側第2コア層40および他方側第2コア層50に設けられたヒータ5が位相調整部として機能する例について説明したが、これに限定されない。例えば、位相調整部としてPN位相シフタを採用してもよい。この場合、一方側第2テーパ部44および他方側第2コア層50にPN接合を形成し、PN接合のキャリア密度を印加電圧によって調整することで一方側第2コア層40および他方側第2コア層50の屈折率を調整することでPN位相シフタを実現することができる。
【0314】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0315】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0316】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0317】
本開示の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0318】
(本発明の特徴)
[請求項1]
レーザ光を所定の出射方向に出射するスポットサイズ変換器であって、
クラッド層(11、12、13)上に積層され、前記出射方向に沿う方向である第1方向に延びる第1コア層(20、60、70)と、
前記クラッド層および前記第1コア層が積層される方向を第2方向、前記第1方向および前記第2方向に直交する方向を第3方向としたとき、前記第1コア層における前記第3方向の一方側および他方側の少なくとも一方側において前記第1コア層に離隔して設けられ、前記第1方向に延びる第2コア層(30、40、50)と、を備え、
前記第1コア層は、前記第3方向の大きさに比較して前記第2方向の大きさが小さい扁平形状であって、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが小さくなる第1テーパ部(22、62、72)を有し、
前記第2コア層は、前記第2方向の大きさが前記第1コア層の前記第2方向の大きさより大きく形成され、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが大きくなる第2テーパ部(34、44、54)を有し、
前記第2テーパ部は、前記第3方向において前記第1テーパ部の少なくとも一部に重なる位置に配置されているスポットサイズ変換器。
[請求項2]
前記第1コア層は、1つ設けられており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である第1コア面(25)を有し、
前記第2コア層は、前記クラッド層上に積層されており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である第2コア面(31、41、51)を有し、
前記第1コア面および前記第2コア面は、前記第2方向において重なっている請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項3]
前記第1コア層は、前記第2方向において前記クラッド層を介して複数並んで設けられている請求項1に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項4]
前記クラッド層は、複数設けられ、
複数の前記第1コア層それぞれは、複数の前記クラッド層うち、互いに異なる前記クラッド層上のいずれか1つに形成されており、
複数の前記第1コア層は、前記第2方向における複数の前記第1コア層が順に形成されていく方向を積層順方向、前記積層順方向とは反対方向を積層逆方向としたとき、前記積層逆方向側の面である第1コア面(65)を有し、
前記第2コア層は、複数の前記第1コア層のうちの所定の第1コアが形成される前記クラッド層上に形成されており、前記積層逆方向側の面である第2コア面(41、51)を有し、
前記第1コア面および前記第2コア面は、前記第2方向において重なっている請求項3に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項5]
前記第2コア層は、前記出射方向とは反対方向側の端部における前記第3方向の大きさが前記第2方向の大きさより小さく形成されている請求項1ないし4のいずれか1つに記載のスポットサイズ変換器。
[請求項6]
前記第1テーパ部は、前記出射方向の単位長さ当たりの前記第3方向の変動量の絶対値が、前記第2テーパ部における前記出射方向の単位長さ当たりの前記第3方向の変動量の絶対値より大きい請求項1ないし5のいずれか1つに記載のスポットサイズ変換器。
[請求項7]
前記第1テーパ部の前記出射方向に反対方向側の端部および前記第2テーパ部の前記出射方向に反対方向側の端部それぞれの前記第1方向の位置が一致している請求項1ないし6のいずれか1つに記載のスポットサイズ変換器。
[請求項8]
前記第1テーパ部の前記出射方向側の端部および前記第2テーパ部の前記出射方向側の端部それぞれの前記第1方向の位置が一致している請求項1ないし7のいずれか1つに記載のスポットサイズ変換器。
[請求項9]
前記第2コア層は、前記第1コア層における前記第3方向の一方側に設けられる一方側第2コア層(40)と、前記第1コア層における前記第3方向の他方側に設けられる他方側第2コア層(50)と、を含む請求項1ないし8のいずれか1つに記載のスポットサイズ変換器。
[請求項10]
前記一方側第2コア層は、前記クラッド層上に積層されており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である一方側第2コア面(41)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記クラッド層上に積層されており、前記第2方向における前記クラッド層側の面である他方側第2コア面(51)を有し、
前記一方側第2コア面および前記他方側第2コア面は、前記第2方向において重なっている請求項9に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項11]
前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層それぞれを伝搬するレーザ光を合成する光合成部(46、56、81、90)と、
前記光合成部によって合成されたレーザ光を該スポットサイズ変換器の外部へ導く第3コア層(80)と、を備える請求項9または10に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項12]
前記一方側第2コア層は、前記出射方向側の端部に、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが小さくなる一方側合成部(46)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記出射方向側の端部に、前記第3方向において前記一方側合成部に対向するとともに前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが小さくなる他方側合成部(56)を有し、
前記第3コア層は、前記一方側合成部と前記他方側合成部との間に配置される合成対向部(81)を有し、
前記光合成部は、前記一方側合成部と、前記他方側合成部と、前記合成対向部と、によって構成されている請求項11に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項13]
前記合成対向部は、前記出射方向に沿って前記第3方向の大きさが大きくなっている請求項12に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項14]
前記一方側第2コア層は、前記一方側合成部より前記出射方向とは反対方向側に、前記合成対向部に近づくように屈曲することで前記一方側合成部と前記合成対向部との前記第3方向の距離を小さくさせる一方側内屈曲部(47)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記他方側合成部より前記出射方向とは反対方向側に、前記合成対向部に近づくように屈曲することで前記他方側合成部と前記合成対向部との前記第3方向の距離を小さくさせる他方側内屈曲部(57)を有する請求項12または13に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項15]
前記第1方向において、前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層と、前記第3コア層との間に設けられる多モード干渉器(90)を備え、
前記多モード干渉器は、入力側に前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層それぞれの前記出射方向側の端部が接続され、出力側に前記第3コア層の前記出射方向とは反対方向側の端部に接続されており、
前記光合成部は、前記多モード干渉器よって構成されている請求項11に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項16]
前記一方側第2コア層は、前記出射方向における前記多モード干渉器が接続される部位より手前に、前記他方側第2コア層から離れるように前記第3方向に屈曲する一方側外屈曲部(48)を有し、
前記他方側第2コア層は、前記出射方向における前記多モード干渉器が接続される部位より手前に、前記一方側第2コア層から離れるように前記第3方向に屈曲する他方側外屈曲部(58)を有する請求項15に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項17]
前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層それぞれを伝搬するレーザ光の位相を調整する位相調整部(5)を備え、
前記位相調整部は、前記一方側第2コア層の前記光合成部が配置される部位より前記出射方向とは反対方向側および前記他方側第2コア層の前記光合成部が配置される部位より前記出射方向とは反対方向側のうち、少なくとも一方に設けられる請求項11ないし16のいずれか1つに記載のスポットサイズ変換器。
[請求項18]
前記位相調整部は、前記一方側第2コア層および前記他方側第2コア層を加熱するヒータ(5)によって構成されている請求項17に記載のスポットサイズ変換器。
[請求項19]
前記第1コア層および前記第2コア層は、窒化ケイ素を含んで形成されている請求項1ないし18のいずれか1つに記載のスポットサイズ変換器。
【符号の説明】
【0319】
11、12、13、14 クラッド層
20、60、70 第1コア層
22、62、72 第1テーパ部
30、40、50 第2コア層
34、44、54 第2テーパ部