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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126318
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】設置物管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240912BHJP
   G16Y 10/25 20200101ALI20240912BHJP
   G05B 19/418 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
G06Q50/04
G16Y10/25
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034619
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 崇
(72)【発明者】
【氏名】森下 敏之
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
3C100AA42
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB34
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】作業者の煩わしい作業を軽減可能な設置物管理システムを提供すること。
【解決手段】
設置される前の状態である新規設置物を含む設置物Eの設置位置を管理する設置物管理システムは、新規設置物に取り付けられるマーカ11およびマーカの位置を取得して新規設置物の位置情報を取得するモーションキャプチャシステム10と、モーションキャプチャシステムが取得する位置情報に基づいて、新規設置物を設置する目標の位置である目標位置と新規設置物の位置との差である目標差を求める差分算出部と、差分算出部が求める目標差に応じた差分情報を出力する位置情報出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置される前の状態である新規設置物(E2)を含む設置物(E)の設置位置を管理する設置物管理システムであって、
前記新規設置物に取り付けられるマーカ(11)および前記マーカの位置を取得して前記新規設置物の位置情報を取得するモーションキャプチャシステム(10)と、
前記モーションキャプチャシステムが取得する前記位置情報に基づいて、前記新規設置物を設置する目標の位置である目標位置と前記新規設置物の位置との差である目標差を求める差分算出部(23)と、
前記差分算出部が求める前記目標差に応じた差分情報を出力する位置情報出力部(20)と、を備える設置物管理システム。
【請求項2】
前記モーションキャプチャシステムは、前記マーカが取り付けられ、前記新規設置物の位置および前記目標位置に対する基準となる基準位置を定める基準設定部(12)を有し、
前記モーションキャプチャシステムは、前記基準位置を基準とした前記新規設置物の前記位置情報を取得し、
前記差分算出部は、前記基準位置を基準とした前記目標差を求める請求項1に記載の設置物管理システム。
【請求項3】
前記設置物は、設置された状態である既存設置物(E1)を含み、
前記マーカは、前記既存設置物に取り付けられており、
前記モーションキャプチャシステムが取得する前記既存設置物の前記位置情報に基づいて、前記既存設置物の設置位置を示す設置レイアウトを作成するレイアウト作成部(22)を備える請求項1または2に記載の設置物管理システム。
【請求項4】
前記既存設置物は、製品の生産に関する生産設備(E3)および製品の生産を行うために設けられる周辺設備(E4)を含み、
前記マーカは、前記生産設備および前記周辺設備に取り付けられており、
前記レイアウト作成部は、前記モーションキャプチャシステムが取得する前記生産設備の前記位置情報および前記モーションキャプチャシステムが取得する前記周辺設備の前記位置情報に基づいて、前記生産設備および前記周辺設備が設置されている位置を示す前記設置レイアウトを作成する請求項3に記載の設置物管理システム。
【請求項5】
前記位置情報出力部が出力する前記差分情報を表示する位置情報表示部(31)を備える請求項1または2に記載の設置物管理システム。
【請求項6】
前記位置情報表示部は、前記差分情報を、前記目標位置と前記新規設置物の位置との距離に関する情報として表示する請求項5に記載の設置物管理システム。
【請求項7】
前記位置情報表示部は、前記差分情報を、前記新規設置物の形状を模した図形で表示する請求項5に記載の設置物管理システム。
【請求項8】
前記位置情報表示部は、前記新規設置物が搭載され、作業者が操作する手動搬送部(H)に設けられている請求項5に記載の設置物管理システム。
【請求項9】
前記新規設置物が搭載され、駆動部(41)および前記駆動部を制御する駆動制御部(42)を有する自動搬送部(40)を備え、
前記自動搬送部は、前記位置情報出力部が出力する前記差分情報に基づいて、前記新規設置物を搬送する請求項4に記載の設置物管理システム。
【請求項10】
前記新規設置物が前記目標位置に到着した際、前記新規設置物が前記目標位置に到着したことを示す到着情報を出力する到着出力部(32)を備える請求項4に記載の設置物管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設置物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークに対して自動的に作業を施す複数のユニットセルと、複数のユニットセル同士を接続する接続機構と、複数のユニットセルを管理する管理装置とを備えた製造システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この製造システムでは、管理装置に個別かつ統合的に管理された複数のユニットセルが並べられて生産ラインが構成されている。そして、製造システムは、複数のユニットセルそれぞれを部品や半製品などが通過するたびに、ワークに加工や仕分けなどの単位作業が施され、製品が製造されるように構成されている。また、複数のユニットセルは、任意の一のユニットセルの搬入口と任意の他のユニットセルの搬出口とが互いに隣り合う位置にそれぞれ設けられており、任意のユニットセル同士が組み合わせ可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-151770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
新製品を製造したり、製品を増産したりする際に、既存の生産ラインとは異なる新しい生産ラインが必要となる場合がある。この場合、新しい生産ラインは、既存の生産ラインが設置されていない位置に設置される。そして、新しい生産ラインを構成するユニットセルのような新規設置物を設置するにあたり、当該新規設置物を設置する位置に、設置位置を認識するための目印などを設けるケガキ作業が作業者によって行われることがある。
【0006】
しかしながら、ケガキ作業は、ケガキ作業を行う作業者が実際に新規設置物を設置する場所へ行って行う必要があるため、作業者にとって煩わしい。また、ケガキ作業によって設けられた目印などを都度確認しながら行う新規設置物の設置作業は、作業者にとって煩わしい。
【0007】
本開示は、作業者の煩わしい作業を軽減可能な設置物管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
設置される前の状態である新規設置物(E2)を含む設置物(E)の設置位置を管理する設置物管理システムであって、
新規設置物に取り付けられるマーカ(11)およびマーカの位置を取得して新規設置物の位置情報を取得するモーションキャプチャシステム(10)と、
モーションキャプチャシステムが取得する位置情報に基づいて、新規設置物を設置する目標の位置である目標位置と新規設置物の位置との差である目標差を求める差分算出部(23)と、
差分算出部が求める目標差に応じた差分情報を出力する位置情報出力部(20)と、を備える。
【0009】
これによれば、新規設置物の設置するにあたり、位置情報出力部が出力する差分情報を用いることで、新規設置物の設置前に新規設置物の設置位置を作業者に認識させるための目印等を設けるケガキ作業を不要にできる。そして、新規設置物の設置作業を行う際、ケガキ作業によって設けられた目印等を都度確認しながら行う設置作業を不要にできる。このため、設置物管理システムは、作業者の煩わしい作業を軽減することができる。
【0010】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る設置物管理システムの概略構成図である。
図2】既存レイアウトの一例を示す図である。
図3】新規レイアウトの一例を示す図である。
図4】生産ラインの一例を示す図である。
図5】基準設定部を示す図である。
図6】第1実施形態に係る設置物管理システムの電気的構成を示すブロック図である。
図7】位置情報表示部が示す表示の一例を示す図である。
図8】第1実施形態に係るモーションキャプチャシステムが実行する制御処理の一例を示す図である。
図9】第1実施形態に係る制御装置が既存レイアウトを作成する際に実行する制御処理の一例を示す図である。
図10】第1実施形態に係る制御装置が新規レイアウトを作成する際に実行する制御処理の一例を示す図である。
図11】第1実施形態に係る制御装置が目標位置の情報を出力する際に実行する制御処理の一例を示す図である。
図12】設置物管理システムを用いずに新規設置物を設置する際に作業者が行う作業フローを示す図である。
図13】設置物管理システムを用いて新規設置物を設置する際に作業者が行う作業フローを示す図である。
図14】第2実施形態に係る設置物管理システムの概略構成図である。
図15】第2実施形態に係る設置物管理システムの電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0013】
(第1実施形態)
本実施形態の設置物管理システム1について、図1図13を参照して説明する。本実施形態の設置物管理システム1は、製品を製造する工場に設けられており、図1に示すモーションキャプチャシステム10および制御装置20を用いて設置物管理システム1が管理する対称となる設置物Eの設置位置を管理するものである。設置物管理システム1が管理する設置物Eは、図2に示す既に工場に設置された状態である既存設置物E1および図3に示す工場に設置される前の状態のものであって、工場に追加で設置される予定の新規設置物E2を含む。このため、設置物管理システム1は、既存設置物E1および新規設置物E2を含む設置物Eの設置位置を管理する。
【0014】
まず、設置物Eについて、図2および図3を参照して説明する。設置物Eは、工場内に設置されるものであって、図2および図3に示すように、工場内に複数配置される。ここで、図2は、本実施形態の設置物管理システム1が管理する既存設置物E1の設置位置を示す設置レイアウトを示したものである。
【0015】
これに対して、図3は、図2に示す設置レイアウトにおける空地Sに、追加で設定される予定の新規設置物E2を示した設置レイアウトを示したものである。すなわち、図3は、仮に空地Sに新規設置物E2を設置した場合の仮の設置レイアウトを示しており、まだ設置されていない状態の新規設置物E2を破線で示している。
【0016】
なお、図2に示す破線で囲む領域は、工場内においていずれの設置物Eも設置されていない場所であって、新規設置物E2が設置可能な場所を示している。
【0017】
具体的な既存設置物E1および新規設置物E2は、例えば、製品を製造する製造設備、製品を搬送する搬送設備、製品を検査する検査設備、各種設備の作動を制御する制御版など製品の生産に関する生産設備E3を含む。これら生産設備E3は、例えば、図2に示すように、互いに隣り合うように並べられて配置されて、1つの生産ラインLを形成する。すなわち、生産設備E3は、生産ラインLを構成するものである。生産設備E3は、設備毎に、大きさおよび形状が異なっていてもよい。本実施形態では、奥行き方向および幅方向の大きさが異なる生産設備E3が複数並べられて配置されている。
【0018】
また、既存設置物E1および新規設置物E2は、直接製品の生産に関わらないが、製品の生産を行うために設けられる周辺設備E4を含む。周辺設備E4は、例えば、製品を製造するために必要な部品および材料や、製品の加工を行う際に用いられる工具などが収容された棚、薬液が充填された箱、生産設備E3を囲む柵などを含む。周辺設備E4は、例えば、生産設備E3の周辺に配置されており、生産設備E3とともに生産ラインLを構成する。
【0019】
なお、これら生産設備E3および周辺設備E4は、地面に固定されるものであってもよいし、地面に固定されておらず、キャスタなどの移動部材が取り付けられることによって移動可能に構成されていてもよい。
【0020】
本実施形態では、図2に示すように、既存設置物E1である7つの生産設備E3および6つの周辺設備E4によって1つの生産ラインLが構成されている。そして、工場には、7つの生産設備E3および6つの周辺設備E4によって構成される生産ラインLが5つ配置されている例について説明する。
【0021】
また、本実施形態では、図3に示すように、新規設置物E2である7つの生産設備E3および6つの周辺設備E4が工場内に追加され、すなわち、1つの生産ラインLが工場内に追加で設置される場合の例について説明する。追加で設置される新規設置物E2は、後述するように、手動搬送部Hによって搬送可能となっている。以下、図2に示す設置レイアウトを既存レイアウト、図3に示す設置レイアウトを新規レイアウトと示す場合がある。また、既に工場に設置された状態の生産設備E3および周辺設備E4を纏めて既存設置物E1と示し、工場に設置される前の状態の生産設備E3および周辺設備E4を纏めて新規設置物E2と示す場合がある。そして、既存設置物E1および新規設置物E2を纏めて単に設置物Eと示す場合がある。
【0022】
続いて、モーションキャプチャシステム10について、図1図4および図5を参照して説明する。本実施形態のモーションキャプチャシステム10は、設置物Eの現在位置を取得するものであって、マーカ11と、基準設定部12と、カメラ13とを有する。
【0023】
マーカ11は、設置物Eおよび基準設定部12それぞれに取り付けられるものであって、カメラ13によって撮像されるものである。マーカ11は、カメラ13によって撮像されることで、マーカ11が配置された位置の位置情報を位置座標として提供する。マーカ11は、マーカ11が取り付ける設置物Eおよび基準設定部12の位置座標をカメラ13によって取得するためにこれら設置物Eおよび基準設定部12に取り付けられる。具体的に、マーカ11は、既存設置物E1および新規設置物E2それぞれにおける生産設備E3および周辺設備E4それぞれに取り付けられる。
【0024】
これらのマーカ11は、カメラ13の1つの視野範囲内に入ることが可能なように、設置物Eおよび基準設定部12それぞれの表面に取り付けられる。具体的に、マーカ11は、図4および図5に示すように、設置物Eおよび基準設定部12それぞれの上面に3個ずつ取り付けられており、これら3個のマーカ11それぞれの間隔が予め設定された設計値に設定されている。
【0025】
以下、既存設置物E1および新規設置物E2に取り付けられるマーカ11を設備マーカ11a、基準設定部12に取り付けられるマーカ11を基準マーカ11bとも示す。また、設備マーカ11aおよび基準マーカ11bを、単にマーカ11と示す場合がある。
【0026】
基準設定部12は、既存設置物E1および新規設置物E2の現在位置に対する基準位置となるものであって、工場内に1つ固定されている。基準設定部12は、既に工場に設置された状態の生産設備E3、周辺設備E4、および、工場に設置される前の状態の生産設備E3、周辺設備E4の位置を位置座標で示す際の原点を規定するものである。
【0027】
基準設定部12は、図5に示すように、薄板直角三角形状の部材によって構成されている。そして、基準設定部12は、直角三角形状の中央部分が切り欠けられて形成されている。基準設定部12は、直角三角形を形成する各辺の長さがそれぞれ予め設定された設計値に設定されている。そして、直角三角形状の基準設定部12には、3個の頂点部分それぞれに基準マーカ11bが取り付けられている。
【0028】
以下、図1に示すように、直角三角形状の基準設定部12の3つの頂点のうち、直角を形成する頂点部分に取り付けられた基準マーカ11bが取り付けられた位置座標をXY座標系における原点(0,0)とする。そして、基準設定部12、既存設置物E1および新規設置物E2が配置される平面において、原点から残り2つの基準マーカ11bのうちの一方の基準マーカ11bに向かう方向をX方向、原点から他方の基準マーカ11bに向かう方向をY方向とする。
【0029】
これにより、既に工場に設置された状態の生産設備E3および周辺設備E4に取り付けられた設備マーカ11aの位置座標を、原点(0,0)を基準とするXY座標系で示すことができる。また、工場に設置される前の状態であって、手動搬送部Hによって搬送中の状態の生産設備E3および周辺設備E4に取り付けられた設備マーカ11aの位置座標を、原点(0,0)を基準とするXY座標系で示すことができる。
【0030】
カメラ13は、例えば、撮像素子としてCCDやCMOSセンサなどのイメージセンサを備えたデジタルカメラで構成されている。本実施形態では、カメラ13は、工場内において互いに異なる位置に2つ設けられており、既存設置物E1、新規設置物E2および基準設定部12それぞれに取り付けられたマーカ11を互いに異なる方向から撮影可能に配置されている。これにより、カメラ13は、マーカ11が取り付けられた既存設置物E1、新規設置物E2および基準設定部12それぞれの現在位置に関する位置情報を画像情報として取得する。カメラ13は、制御装置20に接続されており、取得した画像情報を制御装置20へ送信可能となっている。
【0031】
なお、カメラ13は、既存設置物E1、新規設置物E2および基準設定部12それぞれに取り付けられたマーカ11を撮影可能であれば、工場の天井に吊るして設置されてもよいし、工場の壁や柱に設置されてもよい。または、カメラ13は、三脚などのカメラ固定器具などに設置されるなど、設置方法が限定されない。
【0032】
カメラ13は、同一の視野範囲内に既存設置物E1および基準設定部12が存在する場合、基準設定部12および既存設置物E1それぞれの現在位置に関する位置情報を制御装置20に送信する。具体的に、カメラ13は、基準設定部12および工場に設置された状態の既存設置物E1に取り付けられた設備マーカ11aを撮影すると、既存設置物E1に取り付けられた設備マーカ11aの位置座標を位置情報として制御装置20に送信する。
【0033】
また、カメラ13の同一の視野範囲内に既存設置物E1および基準設定部12に加えて新規設置物E2が存在する場合、カメラ13は、新規設置物E2の現在位置に関する位置情報も制御装置20に送信する。例えば、カメラ13は、工場に設置される前の状態であって、手動搬送部Hによって搬送中の新規設置物E2に取り付けられた設備マーカ11aを撮影すると、新規設置物E2に取り付けられた設備マーカ11aの位置座標を位置情報として制御装置20に送信する。
【0034】
続いて、制御装置20について、図6および図7を参照して説明する。制御装置20は、CPU、ROMおよびRAM等のメモリ、入出力インターフェースを含んで構成されるマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。メモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成されている。制御装置20は、ROM内に記憶されたプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。そして、制御装置20は、カメラ13から送信される位置情報に基づいてROM内に記憶されたプログラムを実行する。
【0035】
制御装置20は、例えば、キーボードやマウス等の入力デバイスおよびディスプレイ等の出力デバイスを有するパーソナルコンピュータで構成されている。そして、制御装置20は、キーボードやマウス等の入力デバイスが作業者に操作されることによって必要なデータが入力されるとともに、実行したプログラム結果がディスプレイ等の出力デバイスに表示可能となっている。
【0036】
具体的に、制御装置20は、図6に示すように、ROM内に記憶されたプログラムを実行するプログラム実行部として、位置算出部21、レイアウト作成部22および差分算出部23を有する。位置算出部21は、カメラ13から送信される位置情報に基づいて基準設定部12が配置される基準位置を基準とした既存設置物E1および新規設置物E2それぞれの現在位置を取得する。すなわち、位置算出部21は、基準マーカ11bが配置される座標位置を原点(0,0)とした既存設置物E1および新規設置物E2それぞれのXY座標系における位置座標を算出する。
【0037】
レイアウト作成部22は、位置算出部21が算出する複数の既存設置物E1の位置座標に基づいて、既存レイアウトを作成する。すなわち、レイアウト作成部22は、原点(0,0)を基準としたXY座標系において、複数の既存設置物E1の位置座標に基づいた設置レイアウトを作成する。換言すれば、レイアウト作成部22は、モーションキャプチャシステム10が取得する既存設置物E1である生産設備E3および周辺設備E4の位置情報に基づいて、これら生産設備E3および周辺設備E4それぞれの設置位置を示す設置レイアウトを作成する。
【0038】
差分算出部23は、工場内に新規設置物E2が存在する場合、新規設置物E2を設置する際に予め設定される目標の位置である目標位置と位置算出部21が算出する新規設置物E2の位置との差である目標差を求める。すなわち、差分算出部23は、原点(0,0)を基準としたXY座標系において、目標位置の位置座標と新規設置物E2の位置座標とのずれを目標差として求める。換言すれば、差分算出部23は、基準設定部12が配置される基準位置を基準とした目標差を求める。制御装置20は、手動搬送部Hに設けられた表示装置30と無線通信によって通信可能に構成されている。そして、制御装置20は、差分算出部23が求めた目標差に応じた差分情報を当該表示装置30に送信可能に構成されている。本実施形態では、制御装置20が位置情報出力部として機能する。
【0039】
手動搬送部Hは、新規設置物E2を搬送する搬送機であって、作業者の操作によって新規設置物E2を搬送するものである。手動搬送部Hは、例えば、台車、ハンドリフト、フォークリフトなどによって構成される。手動搬送部Hは、新規設置物E2を搭載可能に構成されており、新規設置物E2が搭載された状態で作業者の操作によって新規設置物E2を搬送可能となっている。手動搬送部Hには、図1に示すように、表示装置30が設けられている。
【0040】
本実施形態の設置物管理システム1は、手動搬送部Hに設けられた表示装置30を備えている。表示装置30は、手動搬送部Hによって搬送中の状態の新規設置物E2に設けられた設備マーカ11aをカメラ13が認識する際に、制御装置20が出力する差分情報を表示する表示器である。表示装置30は、図6に示すように、位置情報表示部31および到着出力部32を有する。そして、表示装置30は、制御装置20から受信する差分情報に応じた表示を位置情報表示部31が表示するとともに、差分情報に関する音を到着出力部32が出力可能に構成されている。表示装置30は、例えば、タブレット、スマートフォン、ノートパソコンなどによって構成される。
【0041】
位置情報表示部31は、制御装置20から送信される差分情報を表示する表示部である。位置情報表示部31は、制御装置20から送信される差分情報に応じた画面を表示する。位置情報表示部31が表示する差分情報の一例を、図7を参照して説明する。
【0042】
本実施形態の位置情報表示部31は、図7に示すように、差分情報を、目標位置と新規設置物E2の位置との距離に関する情報として表示可能に構成されている。具体的に、位置情報表示部31は、原点(0,0)を基準とした搬送中の状態の新規設置物E2のX座標およびY座標それぞれの位置座標を表示するとともに、目標位置のX座標およびY座標それぞれの位置座標を表示する。さらに、位置情報表示部31は、搬送中の状態の新規設置物E2のX座標と目標位置のX座標とのずれおよび搬送中の状態の新規設置物E2のY座標と目標位置のY座標とのずれを、目標位置までに必要な移動量として距離で表示する。
【0043】
また、本実施形態の位置情報表示部31は、図7に示すように、差分情報を、新規設置物E2の形状を模した図形で表示可能に構成されている。具体的に、位置情報表示部31は、搬送中の状態の新規設置物E2および目標位置に到着した状態の新規設置物E2を表示し、搬送中の状態の新規設置物E2から視た目標位置に到着した状態の新規設置物E2の位置を表示する。すなわち、位置情報表示部31は、搬送中の状態の新規設置物E2と目標位置に到着した状態の新規設置物E2との相対位置関係を表示する。
【0044】
なお、図7では、搬送中の状態の新規設置物E2を実線で示し、目標位置に到着した状態の新規設置物E2を破線で示している。
【0045】
本実施形態の到着出力部32は、新規設置物E2が手動搬送部Hによって搬送されて目標位置に到着した際に、新規設置物E2が目標位置に到着したことを作業者に音で報知するスピーカである。すなわち、差分算出部23が求める目標差が0となった情報を表示装置30が制御装置20から受信すると、到着出力部32は、新規設置物E2が目標位置に到着したことを作業者に音で報知する。到着出力部32は、例えば、新規設置物E2が目標位置に到着した際に、新規設置物E2が目標位置に到着したことを示す到着情報をアラーム音で出力してもよいし、到着を知らせる音声で出力してもよい。
【0046】
なお、位置情報表示部31が到着出力部32としても機能可能に構成されていてもよい。この場合、位置情報表示部31は、新規設置物E2が目標位置に到着した際に、新規設置物E2が目標位置に到着したことを示す到着情報を例えば、色および到着したことを示す文字などで表示してもよい。これにより、位置情報表示部31は、到着出力部32としても機能することができる。
【0047】
続いて、上記のように構成された設置物管理システム1が既存レイアウトを作成する際の作動について、図8に示すモーションキャプチャシステム10が実行する制御処理および図9に示す制御装置20が実行する制御処理を参照して説明する。
【0048】
まず、モーションキャプチャシステム10の作動について説明する。モーションキャプチャシステム10は、工場に設置された複数の既存設置物E1における生産設備E3および周辺設備E4それぞれの現在位置を検出するために図8に示す各制御処理を実行する。モーションキャプチャシステム10は、図8に示す各制御処理を予め定められた所定の制御周期毎に繰り返し実行してもよい。または、モーションキャプチャシステム10は、制御装置20から既存レイアウトを作成するための複数の既存設置物E1の現在位置の情報を要求する制御信号を受信した際に図8に示す各制御処理を実行してもよい。
【0049】
最初に、ステップS10において、モーションキャプチャシステム10は、既に設置された状態の基準設定部12、複数の既存設置物E1における生産設備E3および周辺設備E4それぞれに取り付けられたマーカ11をカメラ13が撮影する。具体的に、カメラ13は、基準マーカ11bおよび設備マーカ11aを1つの視野範囲内において撮影する。
【0050】
ステップS12において、モーションキャプチャシステム10は、基準マーカ11bおよび設備マーカ11aの撮影画像に基づいて、複数の既存設置物E1における基準設定部12、生産設備E3および周辺設備E4それぞれの位置情報を取得する。そして、ステップS14において、モーションキャプチャシステム10は、これら基準設定部12、複数の既存設置物E1における生産設備E3および周辺設備E4それぞれの位置情報を制御装置20へ送信する。
【0051】
続いて、制御装置20の作動について説明する。制御装置20は、モーションキャプチャシステム10から基準設定部12、複数の既存設置物E1における生産設備E3および周辺設備E4それぞれの位置情報を受信すると図9に示す各制御処理を実行する。
【0052】
最初に、ステップS20において、制御装置20は、モーションキャプチャシステム10から基準設定部12、複数の既存設置物E1における生産設備E3および周辺設備E4それぞれの位置情報を受信する。そして、ステップS22において、制御装置20は、モーションキャプチャシステム10から受信した位置情報に基づいて、位置算出部21が複数の既存設置物E1における生産設備E3および周辺設備E4それぞれの現在位置を取得する。すなわち、位置算出部21は、基準マーカ11bが配置される座標位置を原点(0,0)とした複数の既存設置物E1における生産設備E3および周辺設備E4それぞれのXY座標系における位置座標を算出する。位置算出部21は、既知である基準マーカ11bそれぞれの間隔に基づいて、三角法を用いて基準マーカ11bの1つの位置を原点とした生産設備E3および周辺設備E4それぞれの位置座標を算出する。
【0053】
本実施形態では、上記したように、既存設置物E1である7つの生産設備E3および6つの周辺設備E4によって1つの生産ラインLが構成されている。そして、工場には、7つの生産設備E3および6つの周辺設備E4によって構成される生産ラインLが5つ配置されている。
【0054】
このため、本実施形態の位置算出部21は、工場に配置された5つの生産ラインLをそれぞれ構成する7つの生産設備E3および6つの周辺設備E4それぞれの位置座標を算出する。
【0055】
そして、ステップS24において、制御装置20は、位置算出部21が算出した生産設備E3および周辺設備E4それぞれの位置座標に基づいて、既存レイアウトを作成する。これにより、図2に示す既存レイアウトが作成される。制御装置20には、作成された既存レイアウトがメモリに保存される。
【0056】
続いて、工場に新規設置物E2として生産設備E3および周辺設備E4を設置する際に設置物管理システム1が新規レイアウトを作成する際の作動について、図10に示す制御装置20が実行する制御処理を参照して説明する。
【0057】
最初に、ステップS30において、制御装置20は、作業者によってキーボードやマウス等の入力デバイスによって既存レイアウトの呼び出し操作が行われると、メモリに記憶された既存レイアウトを呼び出す。これにより、制御装置20は、ディスプレイ等の出力デバイスに既存レイアウトを出力する。
【0058】
そして、追加で設置される新規設置物E2として生産設備E3および周辺設備E4それぞれの目標位置の情報が作業者によって入力されると、ステップS32において、制御装置20は、入力された新規設置物E2それぞれの目標位置の情報をメモリに記憶する。制御装置20は、入力された新規設置物E2それぞれの目標位置の情報を位置座標として記憶する。
【0059】
そして、ステップS34において、制御装置20は、入力された新規設置物E2それぞれの目標位置の情報に基づいて、新規レイアウトを作成する。これにより、図3に示す新規レイアウトが作成される。制御装置20には、作成された新規レイアウトがメモリに保存される。
【0060】
続いて、工場に新規設置物E2として生産設備E3および周辺設備E4が搬送される際にモーションキャプチャシステム10が実行する制御処理および設置物管理システム1が実行する図11に示す制御処理を参照して説明する。なお、生産設備E3および周辺設備E4それぞれが搬送される際にモーションキャプチャシステム10および制御装置20が実行する制御処理は、搬送対象が生産設備E3および周辺設備E4のどちらの場合でも同様である。このため、以下では、生産設備E3が搬送される際にモーションキャプチャシステム10および制御装置20が実行する制御処理についてのみ説明し、周辺設備E4が搬送される際の制御処理についてはその説明を省略する。
【0061】
ここで、新規設置物E2として生産設備E3が搬送される際にモーションキャプチャシステム10が実行する制御処理は、図8を参照して説明した制御処理と同じ制御処理である。具体的に、モーションキャプチャシステム10は、ステップS10、ステップS12、ステップS14を実行することで、新規設置物E2における生産設備E3の位置情報を制御装置20へ送信する。
【0062】
モーションキャプチャシステム10は、予め定められた所定の制御周期で繰り返しステップS10、ステップS12、ステップS14を実行することで、搬送中の生産設備E3の位置情報を所定の制御周期で制御装置20へ繰り返し送信する。
【0063】
続いて、制御装置20の作動について説明する。制御装置20は、モーションキャプチャシステム10から搬送中の新規設置物E2における生産設備E3の位置情報を受信すると、当該位置情報を受信する度に、図11に示す各制御処理を実行する。
【0064】
最初に、ステップS40において、制御装置20は、モーションキャプチャシステム10から搬送中の生産設備E3の位置情報を受信する。そして、ステップS42において、制御装置20は、モーションキャプチャシステム10から受信した位置情報に基づいて、位置算出部21が搬送中の生産設備E3の現在位置を取得する。すなわち、位置算出部21は、基準マーカ11bが配置される座標位置を原点(0,0)とした搬送中の生産設備E3のXY座標系における位置座標を算出する。
【0065】
そして、ステップS44において、制御装置20は、位置算出部21が算出した搬送中の生産設備E3の現在位置の情報と、新規レイアウトを作成する際に記憶した当該搬送中の生産設備E3の目標位置の情報に基づいて、差分算出部23が目標差を算出する。ここで、図1に示すように、搬送中の生産設備E3の位置座標を(X1、Y1)とし、当該生産設備E3の目標位置の位置座標を(X2、Y2)とする。
【0066】
差分算出部23は、原点(0,0)を基準とした搬送中の生産設備E3のX座標であるX1から当該生産設備E3の目標位置のX座標であるX2を減算してX座標の目標差を算出する。また、差分算出部23は、原点(0,0)を基準とした搬送中の生産設備E3のY座標であるY1から当該生産設備E3の目標位置のY座標であるY2を現在してY座標の目標差を算出する。これにより、搬送中の生産設備E3の現在位置に対して目標位置とのずれが算出される。
【0067】
そして、ステップS46において、制御装置20は、位置算出部21が算出した搬送中の生産設備E3の現在位置の情報と、当該搬送中の生産設備E3の目標位置の情報と、差分算出部23が算出した目標差に応じた差分情報を表示装置30に送信する。
【0068】
制御装置20は、モーションキャプチャシステム10から搬送中の生産設備E3の位置情報を受信する度に、ステップS40、ステップS42、ステップS44、ステップS46を繰り返し実行する。すなわち、制御装置20は、搬送中の生産設備E3の位置情報を受信する度に、位置算出部21が算出した搬送中の生産設備E3の現在位置の情報と、当該搬送中の生産設備E3の目標位置の情報と、目標差の情報に応じた差分情報を表示装置30に送信する。
【0069】
表示装置30は、これら生産設備E3の現在位置の情報と、当該搬送中の生産設備E3の目標位置の情報と、差分算出部23が算出した目標差に応じた差分情報を受信すると、受信した情報を位置情報表示部31が表示する。具体的に、位置情報表示部31は、搬送中の生産設備E3の位置座標を表示するとともに、目標位置の位置座標を表示する。また、位置情報表示部31は、搬送中の生産設備E3を目標位置までに搬送させるために必要な移動量を、X座標およびY座標それぞれの座標軸での距離で表示する。さらに、位置情報表示部31は、搬送中の生産設備E3と目標位置に到着した状態の当該生産設備E3との相対位置関係を表示する。表示装置30は、制御装置20から生産設備E3に関する現在位置の情報と、目標位置の情報と、差分情報とを受信する度に、受信した情報に対応する表示に更新する。
【0070】
これにより、作業者は、搬送中の生産設備E3に対して現在位置と目標位置とのずれを認識することができるとともに、生産設備E3を目標位置までに搬送させるために必要な移動量を認識することができる。
【0071】
そして、生産設備E3が搬送されて目標位置に到着し、生産設備E3の現在位置と目標位置とのずれがなくなると、制御装置20は、差分算出部23が算出する目標差が0である情報を表示装置30に送信する。
【0072】
表示装置30は、生産設備E3が搬送されて目標位置に到着することによって制御装置20から目標差が0である情報を受信すると、新規設置物E2が目標位置に到着したことを示す到着情報を、到着出力部32が例えば音で作業者に報知する。
【0073】
これにより、作業者は、生産設備E3が目標位置に到着したことを認識することができる。
【0074】
また、新規設置物E2である生産設備E3が目標位置に到着し、当該目標位置に設置された際、モーションキャプチャシステム10がステップS10、ステップS12、ステップS14を実行することで、当該生産設備E3の位置情報を制御装置20へ送信する。これにより、制御装置20は、追加で設置された生産設備E3の位置情報を取得することができる。このため、設置物管理システム1が既存レイアウトを作成する際のステップS20、ステップS22、ステップS24を実行することで、追加で設置された生産設備E3の位置情報を既存レイアウトに反映させることができる。換言すれば、追加で設置されて既存設置物E1となった生産設備E3が設けられた状態の既存レイアウトを作成することができる。
【0075】
続いて、設置物管理システム1を用いずに新規設置物E2を設置する際に作業者が行う作業と、設置物管理システム1を用いて新規設置物E2を設置する際に作業者が行う作業とを図12および図13を参照して比較する。図12では、設置物管理システム1を用いずに新規設置物E2を設置する際に作業者が行う作業フローを示す。また、図13では、設置物管理システム1を用いて新規設置物E2を設置する際に作業者が行う作業フローを示す。
【0076】
設置物管理システム1を用いずに新規設置物E2を設置する場合、ステップS100において、作業者は、ラインレイアウトを作成する。ラインレイアウトとは、新しい生産ラインLを構成する複数の生産設備E3および複数の周辺設備E4それぞれの配置を示すものである。
【0077】
そして、作業者は、作成したラインレイアウトの生産ラインLを既存レイアウトに反映させて新規レイアウトを作成する。ところで、一般的に、既存レイアウトおよび新規レイアウトは、設計ソフトを用いられて設計される。このため、作業者は、設計ソフトで設計されたデータを確認することで新しい生産ラインLを設置する前の既存レイアウトを把握することができる。
【0078】
しかし、工場に設置された既存設置物E1は、設置された設計時から設置位置が変更されることがある。このため、データで管理されている設置レイアウトと工場現場側の実際の設置レイアウトとが異なる場合がある。すなわち、データで管理されている設置レイアウトと工場現場側の実際の設置レイアウトとが一致しない場合がある。したがって、作業者は、ステップS110において、実際に既存設置物E1が設置されている場所に行って既存設置物E1の設置位置を確認する。すなわち、作業者は、工場現場側の実際の設置レイアウトを確認する。
【0079】
そして、既存設置物E1の設置位置を確認後、ステップS120において、作業者は、作成したラインレイアウトの生産ラインLを既存レイアウトに反映させて新規レイアウトを作成する。
【0080】
そして、ステップS130において、作業者は、新規設置物E2を設置する場所に行って、作成した新規レイアウトに基づいて、新規設置物E2の設置前に新規設置物E2の設置位置を認識するための目印等を設けるケガキ作業を行う。
【0081】
その後、ステップS140において、作業者は、手動搬送部Hを用いて新規設置物E2を搬送する。作業者は、搬送作業を行う際、ケガキ作業によって設けられた目印等を都度確認しながら搬送を行う。
【0082】
そして、作業者は、新規設置物E2をケガキ作業が行われた位置まで搬送すると、ステップS150において、当該新規設置物E2を設置する。
【0083】
これに対して、設置物管理システム1を用いて新規設置物E2を設置する場合、ステップS200において、作業者は、ステップS100と同様、新しい生産ラインLのラインレイアウトを作成する。そして、ステップS210において、作業者は、作成したラインレイアウトの生産ラインLを既存レイアウトに反映させて新規レイアウトを作成する。具体的に、作業者は、追加で設置する新規設置物E2の目標位置の情報を制御装置20に入力する。これにより、制御装置20のメモリには、入力された新規設置物E2の位置座標が記憶される。
【0084】
ここで、本実施形態の設置物管理システム1は、上述したステップS20、ステップS22、ステップS24を実行することで既存レイアウトを作成することができる。そして、当該既存レイアウトは、モーションキャプチャシステム10が取得するマーカ11が取り付けられた既存設置物E1の位置情報に基づいて作成されている。そして、モーションキャプチャシステム10は、既存レイアウトを作成する処理が実行された時点での既存設置物E1の位置情報に基づいて既存レイアウトを作成する。
【0085】
このため、工場に設置された既存設置物E1が設置された設計時から設置位置が変更されることがあっても、設置物管理システム1が作成する既存レイアウトは、その変更が反映されて作成される。すなわち、設置物管理システム1に記憶されている既存レイアウトは、工場現場側の実際の設置レイアウトと同じである。このため、設置物管理システム1を用いて新規設置物E2を設置する場合、実際に既存設置物E1が設置されている場所に行って既存設置物E1の設置位置を確認する必要が無い。すなわち、作業者は、設置物管理システム1を用いずに新規設置物E2を設置する場合に必要となるステップS110と同様の作業を行う必要がない。
【0086】
そして、ステップS220において、作業者は、手動搬送部Hを用いて新規設置物E2を搬送する。
【0087】
ここで、本実施形態の設置物管理システム1は、上述したステップS40、ステップS42、ステップS44、ステップS46を実行することで、搬送中の新規設置物E2の現在位置の情報と、目標位置の情報と、差分情報を手動搬送部Hの表示装置30に送信する。
【0088】
そして、表示装置30は、受信したこれら新規設置物E2の現在位置の情報、目標位置の情報、差分情報を表示する。これにより、作業者は、表示装置30の表示を確認することで、搬送中の新規設置物E2に対して現在位置と目標位置とのずれおよび目標位置までの移動量を確認しながら搬送作業を行うことができる。
【0089】
そして、作業者は、新規設置物E2を目標位置まで搬送すると、ステップS230において、当該新規設置物E2を設置する。この際、作業者は、到着出力部32が出力する到着情報によって、生産設備E3が目標位置に到着したことを認識することができる。
【0090】
このように、本実施形態の設置物管理システム1を用いて新規設置物E2を設置することで、設置物管理システム1を用いずに新規設置物E2を設置する場合に比較して作業者が行う作業を減少させることができる。
【0091】
以上の如く、本実施形態の設置物管理システム1は、新規設置物E2に取り付けられるマーカ11の位置を取得して新規設置物E2の位置情報を取得するモーションキャプチャシステム10を備える。また、設置物管理システム1は、新規設置物E2の目標位置と現在位置との差である目標差を求めて、求めた目標差に応じた差分情報を出力する制御装置20を備える。
【0092】
これによれば、新規設置物E2の設置するにあたり、制御装置20が出力する差分情報を用いることで、新規設置物E2の設置前に新規設置物E2の設置位置を作業者に認識させるための目印等を設けるケガキ作業を不要にできる。そして、新規設置物E2の設置作業を行う際、ケガキ作業によって設けられた目印等を都度確認しながら行う設置作業を不要にできる。このため、本実施形態の設置物管理システム1は、作業者の煩わしい作業を軽減することができる。
【0093】
ところで、新規設置物E2の位置情報を取得する方法としては、本実施形態のようなモーションキャプチャシステム10を用いる方法以外に、GPSおよびGNSSなどの人工衛星を用いる方法や位置検出カメラを用いる方法がある。このため、本実施形態の設置物管理システム1において、モーションキャプチャシステム10をこれらGPSおよびGNSSなどの人工衛星を用いる方法や位置検出カメラを用いる方法に置き換えることが考えられる。なお、GPSは、Global Positioning Systemの略である。GNSSは、Global Navigation Satellite Systemの略である。
【0094】
しかし、GPSおよびGNSSを用いる方法は、人工衛星と通信する必要があるところ、場所によっては人工衛星との通信が遮られる場合がある。このため、GPSおよびGNSSを用いる方法は、モーションキャプチャシステム10を用いる方法に比較して、位置情報を検出する際の検出精度が低い。
【0095】
また、人工衛星との通信が遮られない場合であっても、GPSおよびGNSSを用いる方法における検出精度は、一般的に数10cm~数100cmの誤差を有する。そして、工場に複数の新規設置物E2を設置するにあたり、目標位置に対して数10cm~数100cmの設置誤差が含まれると、工場全体に設置する複数の新規設置物E2の設置誤差は、当該誤差が積層されることで非常に大きな誤差となる。
【0096】
また、位置検出カメラを用いる方法は、当該位置検出カメラで新規設置物E2を撮影して新規設置物E2の位置を検出する必要がある。しかし、位置検出カメラだけで新規設置物E2を検出する場合、検出対象である新規設置物E2と、当該新規設置物E2と一緒に撮影される他の設置物Eとの識別を、識別ソフトを用いて自動で識別することが難しい。さらに、位置検出カメラで新規設置物E2の位置を精度良く検出する場合、新規設置物E2の上方から新規設置物E2を撮影する必要がある。
【0097】
そして、搬送される新規設置物E2を広範囲で撮影しようとすると、広い撮影視野を有するパノラマカメラなどが必要となる。しかし、パノラマカメラで新規設置物E2の位置を検出すると、検出精度は、GPSおよびGNSSを用いる方法と同様、一般的に数10cm~数100cmの誤差を有する。
【0098】
これらに対して、モーションキャプチャシステム10を用いる方法は、検出誤差を1mm以下とすることが可能である。このため、モーションキャプチャシステム10を用いて新規設置物E2の位置情報を検出することで新規設置物E2の設置誤差をGPSおよびGNSSを用いる方法や位置検出カメラを用いる方法に比較して非常に小さくすることができる。このように、モーションキャプチャシステム10を用いて新規設置物E2の位置情報を取得することによって、新規設置物E2の高精度な位置検出を可能とすることができる。
【0099】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0100】
(1)上記実施形態では、モーションキャプチャシステム10は、マーカ11が取り付けられ、新規設置物E2の位置および目標位置に対する基準となる基準位置を定める基準設定部12を有する。モーションキャプチャシステム10は、基準位置を基準とした新規設置物E2の位置情報を取得する。制御装置20は、基準位置を基準とした目標差を求める。
【0101】
これによれば、新規設置物E2の目標位置を、基準設定部12によって設定される基準位置を基準に設定することで、新規設置物E2を複数設置する場合であっても、複数の新規設置物E2それぞれの設置位置を管理し易くできる。
【0102】
また、カメラ13の同一視野範囲内に設置物Eおよび基準設定部12を設置可能であれば、設置物Eの現在位置を基準設定部12によって設定される基準位置を基準に求めることができる。このため、カメラ13の設置位置が限定されることもなく、カメラ13の同一視野範囲内に設置物Eおよび基準設定部12を設置可能であれば、カメラ13を移動可能な構成にしてもよい。
【0103】
(2)上記実施形態では、設置物Eは、設置された状態である既存設置物E1を含む。そして、マーカ11は、既存設置物E1に取り付けられている。制御装置20は、モーションキャプチャシステム10が取得する既存設置物E1の位置情報に基づいて、既存レイアウトを作成する。
【0104】
ところで、上述したように、新しい生産ラインLを構成する新規設置物E2の設置位置を決定するにあたり、新規設置物E2を設置するためのスペースがあるか否かの確認をするため、既存の生産ラインLを構成する既存設置物E1の設置位置を把握する必要がある。
【0105】
また、一般的に、設置物Eの設置位置を決めるためのラインレイアウトは、設計ソフトを用いられて設計される。このため、既存の生産ラインLを構成する既存設置物E1の設置位置は、設計ソフトで設計されたラインレイアウトのデータを確認することで把握することができる。しかし、既存設置物E1の設置位置が設計時から変更されていないかを確認するために、実際に既存設置物E1が設置されている場所に行って既存設置物E1の設置位置の確認作業を作業者が行うことがある。このような既存設置物E1の確認作業は、作業者にとって煩わしい。
【0106】
これに対して、本実施形態の設置物管理システム1は、モーションキャプチャシステム10によってマーカ11が取り付けられた既存設置物E1の位置を取得することができる。そして、設置物管理システム1は、モーションキャプチャシステム10によって取得した既存設置物E1の位置に基づいて、制御装置20が既存設置物E1の設置位置を示す設置レイアウトを作成する。
【0107】
これによれば、仮に既存設置物E1の設置位置が設計時から変更されることがあっても、変更された既存設置物E1の設置位置を反映した状態の設置レイアウトを制御装置20によって作成することができる。換言すれば、制御装置20側においてデータで管理されている設置レイアウトを工場現場側の実際の設置レイアウトに同期させることができる。
【0108】
このため、作業者が既存設置物E1の設置位置の確認作業を行うために、作業者が実際に既存設置物E1が設置されている場所に行って、既存設置物E1の設置位置の確認作業を行う必要がなくなる。このため、本実施形態の設置物管理システム1は、作業者にとって煩わしい作業である既存設置物E1の設置位置の確認作業を不要とすることができる。
【0109】
(3)上記実施形態では、既存設置物E1は、製品の生産に関する生産設備E3および製品の生産を行うために設けられる周辺設備E4を含む。マーカ11は、生産設備E3および周辺設備E4に取り付けられている。制御装置20は、モーションキャプチャシステム10が取得する生産設備E3の位置情報および周辺設備E4の位置情報に基づいて、既存レイアウトを作成する。
【0110】
これによれば、レイアウト作成部22は、生産ラインLを構成する生産設備E3に加えて、生産設備E3の周辺に設けられる周辺設備E4の設置位置を反映した設置レイアウトを作成することができる。このため、作業者は、新しい生産ラインLを構成する新規設置物E2の設置位置を決定する際、生産設備E3だけでなく周辺設備E4の設置位置も考慮して新規設置物E2の設置位置を決定することができる。
【0111】
(4)上記実施形態では、制御装置20が出力する差分情報を表示する位置情報表示部31を備える。
【0112】
これによれば、作業者は、位置情報表示部31に表示される差分情報を確認しながら新規設置物E2の設置作業を行うことができる。このため、作業者は、新規設置物E2の設置作業を行う際、目標位置と現在位置とのずれをリアルタイムに確認しながら設置作業をおこなうことができる。このため、作業者が新規設置物E2の設置作業を行い易くなる。
【0113】
(5)上記実施形態では、位置情報表示部31は、差分情報を、目標位置と新規設置物E2の位置との距離に関する情報として表示する。
【0114】
これによれば、作業者は、新規設置物E2の設置作業を行う際、新規設置物E2の目標位置と現在位置とのずれを距離で確認することができる。このため、作業者がさらに新規設置物E2の設置作業を行い易くなる。
【0115】
(6)上記実施形態では、位置情報表示部31は、差分情報を、新規設置物E2の形状を模した図形で表示する。
【0116】
これによれば、作業者は、新規設置物E2の設置作業を行う際、目標位置と現在位置とのずれを視覚的に認識することができる。このため、作業者がさらに新規設置物E2の設置作業を行い易くなる。
【0117】
(7)上記実施形態では、位置情報表示部31は、新規設置物E2が搭載され、作業者が操作する手動搬送部Hに設けられている。
【0118】
これによれば、作業者は、新規設置物E2を手動搬送部Hに搭載して搬送する際、位置情報表示部31の表示を見ながら搬送作業を行うことができる。このため、作業者が新規設置物E2の搬送作業を行い易くなる。
【0119】
(8)上記実施形態では、新規設置物E2が目標位置に到着した際、新規設置物E2が目標位置に到着したことを示す到着情報を出力する到着出力部32を備える。
【0120】
これによれば、搬送作業によって新規設置物E2が目標位置に到着したことを作業者が認識し易くなる。
【0121】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図14および図15を参照して説明する。本実施形態では、設置物管理システム1が自動搬送部40を備えている点が第1実施形態と相違している。これ以外は、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0122】
本実施形態の設置物管理システム1は、図14および図15に示すように、自動搬送部40を備えており、制御装置20が自動搬送部40の作動を制御可能に構成されている。
【0123】
具体的に、本実施形態の制御装置20は、図15に示すように、位置算出部21、レイアウト作成部22および差分算出部23に加えて搬送路作成部24を有する。
【0124】
搬送路作成部24は、レイアウト作成部22が作成する既存レイアウトに基づいて、自動搬送部40が新規設置物E2を搬送する際の搬送路を作成するものである。搬送路作成部24は、新規設置物E2を設置するために新規設置物E2の目標位置が入力された際、新規設置物E2を目標位置まで搬送させるための搬送路を作成する。搬送路作成部24は、既存レイアウトを参照し、自動搬送部40が新規設置物E2を搬送する際に、既存レイアウトを構成する既存設置物E1に自動搬送部40が衝突することを回避する搬送路を作成する。
【0125】
制御装置20は、搬送路作成部24が作成した搬送路の情報および差分算出部23が求めた目標差に応じた差分情報を自動搬送部40に送信する。
【0126】
自動搬送部40は、新規設置物E2を搬送する搬送機であって、作業者が操作することなく新規設置物E2を搬送するものである。自動搬送部40は、例えば、AGV(Automatic Guided Vehicle)によって構成される。自動搬送部40は、新規設置物E2を搭載可能に構成されており、新規設置物E2が搭載された状態で制御装置20から送信される制御信号によって新規設置物E2を搬送可能となっている。なお、本実施形態の自動搬送部40には、表示装置30が設けられていないが、表示装置30が設けられる構成であってもよい。
【0127】
自動搬送部40は、駆動部41および駆動部41を制御する駆動制御部42を備える。自動搬送部40は、駆動制御部42が設置物管理システム1の制御装置20と無線通信によって通信可能に構成されている。そして、自動搬送部40は、制御装置20から、搬送路作成部24が作成する搬送路の情報および差分算出部23が求めた差分情報を駆動制御部42が受信する。駆動制御部42は、制御装置20から受信する搬送路の情報および差分情報に基づいて駆動部41を制御する。具体的に、駆動制御部42は、自動搬送部40が搬送路に沿って走行するとともに、差分情報に基づいて目標位置に近づくように駆動部41を制御する。これにより、自動搬送部40は、既存設置物E1に衝突しないように新規設置物E2を目標位置まで搬送する。
【0128】
以上の如く、本実施形態の設置物管理システム1は、新規設置物E2が搭載され、駆動部41および駆動部41を制御する駆動制御部42を有する自動搬送部40を備える。自動搬送部40は、差分情報に基づいて、新規設置物E2を搬送する。
【0129】
これによれば、自動搬送部40は、制御装置20から送信される差分情報に基づいて新規設置物E2を搬送することができる。このため、作業者は、新規設置物E2の搬送作業を行う必要が無くなる。
【0130】
また、本実施形態では、モーションキャプチャシステム10のマーカ11が新規設置物E2だけでなく、既存設置物E1に取り付けられている。レイアウト作成部22は、モーションキャプチャシステム10によって取得される既存設置物E1の現在位置に基づいて既存レイアウトを作成する。搬送路作成部24は、既存レイアウトに基づいて搬送路を作成する。自動搬送部40は、搬送路作成部24が作成する搬送路の情報に基づいて新規設置物E2を搬送する。
【0131】
このため、自動搬送部40が新規設置物E2を搬送する際、自動搬送部40が既存設置物E1に衝突することを回避することができる。
【0132】
ところで、AGVなどで構成される自動搬送部40は、一般的に新規設置物E2を搬送する際に自動搬送部40が既存設置物E1と衝突することを回避するために、自動搬送部40自身に、既存設置物E1を検出するための超音波センサ等が設けられる。しかし、自動搬送部40が複数存在する場合、それぞれの自動搬送部40に超音波センサを設ける構成にすると、自動搬送部40の数量だけ超音波センサが必要となる。これは、設置物管理システム1の製造コストが上昇する要因となる。
【0133】
これに対して、本実施形態では、既存設置物E1にマーカ11を設けることで、自動搬送部40に既存設置物E1の現在位置の情報を与えることができる。このため、自動搬送部40に、自動搬送部40周囲の設置物Eを検出するための超音波センサ等を設けなくても既存設置物E1の現在位置の情報に基づいて自動搬送部40の走行を制御することで、自動搬送部40と既存設置物E1との衝突を回避することができる。また、モーションキャプチャシステム10に用いられるマーカ11は、超音波センサ等に比較して非常に価格が安い。このため、自動搬送部40に超音波センサ等を設ける構成に比較して、設置物管理システム1の製造コストが抑制することができる。
【0134】
なお、自動搬送部40が既存設置物E1と衝突することを回避するために、自動搬送部40にマーカ11を取り付けてもよい。これによれば、モーションキャプチャシステム10によって新規設置物E2を搬送する際の自動搬送部40の現在位置を検出することができる。
【0135】
このため、自動搬送部40の現在位置と既存設置物E1の現在位置とに基づいて自動搬送部40の走行を制御することで、さらに自動搬送部40が既存設置物E1に衝突することを回避し易くできる。
【0136】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0137】
上述の実施形態では、モーションキャプチャシステム10が基準設定部12を備えている例について説明したが、これに限定されない。例えば、モーションキャプチャシステム10は、基準設定部12を備えていない構成であってもよい。この場合、モーションキャプチャシステム10は、撮影画像内の所定のものを基準に設置物Eの現在位置を求める構成であってもよい。
【0138】
上述の実施形態では、モーションキャプチャシステム10が基準設定部12を1つ備えている例について説明したが、これに限定されない。例えば、モーションキャプチャシステム10は、基準設定部12を複数備えている構成であってもよい。この場合、複数の基準設定部12のうち、所定の基準設定部12が設置される位置を基準にする。そして、当該所定の基準設定部12とその他の基準設定部12との距離を求めることで、その他の基準設定部12が設置される位置を第2の基準位置とすることができる。
【0139】
これによれば、所定の基準設定部12と設置物Eとを同一の視野範囲内で撮影できない場合であっても、その他の基準設定部12と設置物Eとを同一の視野範囲内で撮影することで、所定の基準設定部12を基準とした設置物Eの現在位置を求めることができる。
【0140】
上述の実施形態では、既存設置物E1にマーカ11が取り付けられる例について説明したが、これに限定されない。例えば、既存設置物E1にはマーカ11が取り付けられず、新規設置物E2のみにマーカ11が取り付けられる構成であってもよい。既存レイアウトを作成する必要がなく、新規設置物E2を搬送するだけであれば、新規設置物E2の現在位置のみ検出できる構成であればよい。
【0141】
上述の実施形態では、生産設備E3および周辺設備E4それぞれにマーカ11が取り付けられる例について説明したが、これに限定されない。例えば、生産設備E3および周辺設備E4のうち、どちらか一方のみにマーカ11が取り付けられる構成であってもよい。
【0142】
上述の実施形態では、手動搬送部Hに表示装置30が設けられる例について説明したが、これに限定されない。例えば、表示装置30は、手動搬送部Hに設けられておらず、作業者が携帯可能な構成であってもよい。
【0143】
上述の実施形態では、表示装置30が差分情報を距離に関する情報と、新規設置物E2の形状を模した図形とで表示する例について説明したが、これに限定されない。例えば、表示装置30は、差分情報を距離に関する情報および新規設置物E2の形状を模した図形のうち、どちらか一方のみ表示する構成であってもよい。
【0144】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0145】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0146】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0147】
本開示の制御装置20及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御装置20及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御装置20及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0148】
(本発明の特徴)
[請求項1]
設置される前の状態である新規設置物(E2)を含む設置物(E)の設置位置を管理する設置物管理システムであって、
前記新規設置物に取り付けられるマーカ(11)および前記マーカの位置を取得して前記新規設置物の位置情報を取得するモーションキャプチャシステム(10)と、
前記モーションキャプチャシステムが取得する前記位置情報に基づいて、前記新規設置物を設置する目標の位置である目標位置と前記新規設置物の位置との差である目標差を求める差分算出部(23)と、
前記差分算出部が求める前記目標差に応じた差分情報を出力する位置情報出力部(20)と、を備える設置物管理システム。
[請求項2]
前記モーションキャプチャシステムは、前記マーカが取り付けられ、前記新規設置物の位置および前記目標位置に対する基準となる基準位置を定める基準設定部(12)を有し、
前記モーションキャプチャシステムは、前記基準位置を基準とした前記新規設置物の前記位置情報を取得し、
前記差分算出部は、前記基準位置を基準とした前記目標差を求める請求項1に記載の設置物管理システム。
[請求項3]
前記設置物は、設置された状態である既存設置物(E1)を含み、
前記マーカは、前記既存設置物に取り付けられており、
前記モーションキャプチャシステムが取得する前記既存設置物の前記位置情報に基づいて、前記既存設置物の設置位置を示す設置レイアウトを作成するレイアウト作成部(22)を備える請求項1または2に記載の設置物管理システム。
[請求項4]
前記既存設置物は、製品の生産に関する生産設備(E3)および製品の生産を行うために設けられる周辺設備(E4)を含み、
前記マーカは、前記生産設備および前記周辺設備に取り付けられており、
前記レイアウト作成部は、前記モーションキャプチャシステムが取得する前記生産設備の前記位置情報および前記モーションキャプチャシステムが取得する前記周辺設備の前記位置情報に基づいて、前記生産設備および前記周辺設備が設置されている位置を示す前記設置レイアウトを作成する請求項3に記載の設置物管理システム。
[請求項5]
前記位置情報出力部が出力する前記差分情報を表示する位置情報表示部(31)を備える請求項1ないし4のいずれか1つに記載の設置物管理システム。
[請求項6]
前記位置情報表示部は、前記差分情報を、前記目標位置と前記新規設置物の位置との距離に関する情報として表示する請求項5に記載の設置物管理システム。
[請求項7]
前記位置情報表示部は、前記差分情報を、前記新規設置物の形状を模した図形で表示する請求項5または6に記載の設置物管理システム。
[請求項8]
前記位置情報表示部は、前記新規設置物が搭載され、作業者が操作する手動搬送部(H)に設けられている請求項5ないし7のいずれか1つに記載の設置物管理システム。
[請求項9]
前記新規設置物が搭載され、駆動部(41)および前記駆動部を制御する駆動制御部(42)を有する自動搬送部(40)を備え、
前記自動搬送部は、前記位置情報出力部が出力する前記差分情報に基づいて、前記新規設置物を搬送する請求項4に記載の設置物管理システム。
[請求項10]
前記新規設置物が前記目標位置に到着した際、前記新規設置物が前記目標位置に到着したことを示す到着情報を出力する到着出力部(32)を備える請求項4ないし9のいずれか1つに記載の設置物管理システム。
【符号の説明】
【0149】
10 モード
11 マーカ
20 位置情報出力部
23 差分算出部
E 設置物
E2 新規設置物
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