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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126323
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/71 20150101AFI20240912BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20240912BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240912BHJP
   E04B 1/82 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E05F15/71
G10K11/16
H04R3/00 320
E04B1/82 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034625
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 康夫
【テーマコード(参考)】
2E001
2E052
5D061
5D220
【Fターム(参考)】
2E001DF01
2E001FA31
2E052AA01
2E052AA04
2E052BA04
2E052CA05
2E052EA03
2E052EA14
2E052EB01
2E052EC05
2E052GA05
5D061DD20
5D220BA30
(57)【要約】
【課題】建物内での通風量を確保しつつ、建物の外に漏れる音の大きさを所定レベル以下に抑えるための情報処理装置、及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、建物の建設地における所定位置での、建物内の音源からの発生音の大きさを特定する特定部23と、建物において屋外に面する箇所に設けられた複数の開口部のうち、開口部の開放度合いが制御される2以上の対象開口部を設定する設定部24と、上記の大きさが設定値以下になる場合の2以上の対象開口部の各々の開放度合いの算出値を算出する算出部25と、2以上の対象開口部の各々の開放度合いが上記の算出値である場合の建物内での通風量を示す情報を取得する取得部26と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の建設地における所定位置での、前記建物内の音源からの発生音の大きさを特定する特定部と、
前記建物において屋外に面する箇所に設けられた複数の開口部のうち、該開口部の開放度合いが制御される2以上の対象開口部を設定する設定部と、
前記大きさが設定値以下になる場合の前記2以上の対象開口部の各々の前記開放度合いの算出値を算出する算出部と、
前記2以上の対象開口部の各々の前記開放度合いが前記算出値である場合の前記建物内での通風量を示す情報を取得する取得部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記音源からの発生音を前記建物内で検出する検出器によって検出された前記発生音の大きさが閾値を超える場合に、前記特定部が前記大きさを特定し、前記設定部が前記2以上の対象開口部を設定し、前記算出部が前記算出値を算出し、前記取得部が前記情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記2以上の対象開口部の組み合わせを複数設定し、
前記算出部は、前記算出値を前記組み合わせ毎に算出し、
前記取得部が、前記情報を前記組み合わせ毎に取得し、
前記組み合わせ毎に取得された前記情報に基づき、複数の前記組み合わせの中からいずれか一つの前記組み合わせを選定する選定部を備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数の前記開口部のそれぞれには、前記開放度合いを調整する開閉部材が備わっており、
前記選定部により選定された前記組み合わせに含まれる前記2以上の対象開口部のそれぞれに設けられた前記開閉部材に対して、対応する前記対象開口部の前記開放度合いを変えるための制御を実行する制御実行部をさらに備え、
前記制御実行部は、前記選定部により選定された前記組み合わせに含まれる前記2以上の対象開口部のそれぞれの前記開放度合いが、前記選定部により選定された前記組み合わせについて前記算出部により算出された前記算出値となるように前記制御を実行する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記建物の利用状態に基づいて、前記2以上の対象開口部の前記組み合わせを設定する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記建物内に存在する人及び可動機器の少なくとも一方の数及び配置位置に基づいて、前記2以上の対象開口部の前記組み合わせを設定する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記建物の利用状態に基づいて、前記組み合わせに含まれる前記2以上の対象開口部の各々に対して優先順位を設定し、
前記算出部は、前記大きさが前記設定値以下になり、且つ前記優先順位がより高い前記対象開口部では前記優先順位がより低い前記対象開口部に比べて前記開放度合いが大きくなる場合の前記算出値を算出する、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記取得部は、前記算出値に基づいて、前記建物内での通風量を計算することで前記情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得部は、前記建物内に配置された風速センサの計測結果に基づいて前記情報を取得する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記所定位置は、前記建物の建設地の境界位置である、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
プロセッサが、建物の建設地における所定位置での、前記建物内の音源からの発生音の大きさを特定するステップと、
プロセッサが、前記建物において屋外に面する箇所に設けられた複数の開口部のうち、該開口部の開放度合いが制御される2以上の対象開口部を設定するステップと、
プロセッサが、前記大きさが設定値以下になる場合の前記2以上の対象開口部の各々の前記開放度合いの算出値を算出するステップと、
プロセッサが、前記2以上の対象開口部の各々の前記開放度合いが前記算出値である場合の前記建物内での通風量を示す情報を取得するステップと、を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及び情報処理方法に係り、特に、建物内の音源からの発生音の大きさを建物の建設地の所定位置で一定レベル以下に抑えるための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物には、通常、通風や採光のために複数の開口部が外壁等に設けられているが、開口部は、音の出入口となる。例えば、建物の外側で発生した騒音は、開口部から建物内に侵入して建物内の環境に影響を与え得る。そのため、建物に設けられる開口部に関しては、当該開口部を通過する音の大きさを考慮して、適正な数及び配置位置等を決める必要がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の技術は、建物の給気口を通じて居室内に侵入する騒音レベルの観点から、開口部の配置位置、数及び開口部に付加された遮音機能等を評価するものである。この技術によれば、建物の給気口が過剰機能となるのを抑制できて、設備コストの上昇を抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-211895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開口部では、建物内の音源から発生した音が建物の外に漏れることがある。その場合、開口部から建物の外側に漏れる発生音が一定のレベル以上になると、建物周囲の環境、例えば近隣住宅等において騒音の問題となり得る。
一方、騒音を抑える理由から建物の開口部を全て遮蔽した場合には、建物内での通風量が確保することが困難となり、これが原因となって建物内の快適性が損なわれる虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、建物内での通風量を確保しつつ、建物の外に漏れる音の大きさを所定レベル以下に抑えるための情報処理装置、及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明の情報処理装置によれば、建物の建設地における所定位置での、建物内の音源からの発生音の大きさを特定する特定部と、建物において屋外に面する箇所に設けられた複数の開口部のうち、開口部の開放度合いが制御される2以上の対象開口部を設定する設定部と、大きさが設定値以下になる場合の2以上の対象開口部の各々の開放度合いの算出値を算出する算出部と、2以上の対象開口部の各々の開放度合いが算出値である場合の建物内での通風量を示す情報を取得する取得部と、を備えることにより解決される。
【0008】
上記のように構成された本発明の情報処理装置によれば、建物の建設地における所定位置での、建物内の音源からの発生音の大きさが設定値以下になる場合の、2以上の対象開口部の各々の開放度合いを算出することができる。また、2以上の対象開口部の各々の開放度合いが当該算出値である場合の、建物内での通風量を把握することができる。これにより、建物内での通風量を確保しつつ、建物の外に漏れる音の大きさを所定レベル以下に抑えることが可能となる。
【0009】
また、音源からの発生音を建物内で検出する検出器によって検出された発生音の大きさが閾値を超える場合に、特定部が上記の大きさを特定し、設定部が2以上の対象開口部を設定し、算出部が上記の算出値を算出し、取得部が上記の情報を取得すると、好適である。
上記の構成によれば、建物内で一定レベル以上の音が検出された場合に、建物内での通風量を確保し、且つ、建物の外に漏れる音の大きさを所定レベル以下に抑えるための処理が実行される。これにより、必要に応じて(例えば、建物内の状況等に応じて)、本発明の情報処理装置を利用すれば、各開口部の開放度合いを適切に調整することができる。
【0010】
また、本発明の情報処理装置において、設定部は、2以上の対象開口部の組み合わせを複数設定し、算出部は、上記の算出値を組み合わせ毎に算出し、取得部が、上記の情報を組み合わせ毎に取得してもよい。そして、本発明の情報処理装置は、組み合わせ毎に取得された情報に基づき、複数の組み合わせの中からいずれか一つの組み合わせを選定する選定部を備えると、好適である。
上記の構成によれば、開放度合いが調整される2以上の対象開口部の組み合わせを適切に選定することができる。
【0011】
また、複数の開口部のそれぞれには、開放度合いを調整する開閉部材が備わってもよい。この場合、本発明の情報処理装置は、選定部により選定された組み合わせに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれに設けられた開閉部材に対して、対応する対象開口部の開放度合いを変えるための制御を実行する制御実行部をさらに備えてもよい。そして、制御実行部は、選定部により選定された組み合わせに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれの開放度合いが、選定部により選定された組み合わせについて算出部により算出された算出値となるように制御を実行すると、好適である。
上記の構成によれば、選択された組み合わせに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれの開放度合いを、開閉部材の制御によって調整することにより、建物内での通風量を確保しつつ、建物の外に漏れる音の大きさを所定レベル以下に抑えることができる。
【0012】
また、本発明の情報処理装置において、設定部は、建物の利用状態に基づいて、2以上の対象開口部の組み合わせを設定してもよい。
上記の構成によれば、建物の利用状態を加味して、2以上の対象開口部の組み合わせを適切に設定することができる。
また、上記の構成において、設定部は、建物内に存在する人及び可動機器の少なくとも一方の数及び配置位置に基づいて、2以上の対象開口部の組み合わせを設定すると、好適である。
上記の構成によれば、建物の利用状態として、建物内の人及び可動機器の数及び配置位置を考慮して、2以上の対象開口部の組み合わせを適切に設定することができる。
【0013】
また、本発明の情報処理装置において、設定部は、建物の利用状態に基づいて、組み合わせに含まれる2以上の対象開口部の各々に対して優先順位を設定してもよい。この場合、算出部は、上記の大きさが設定値以下になり、且つ優先順位がより高い対象開口部では優先順位がより低い対象開口部に比べて開放度合いが大きくなる場合の算出値を算出すると、好適である。
上記の構成によれば、各対象開口部の重要度に応じて優先順位を各対象開口部に設定し、その優先順位を考慮して各対象開口部の開放度合いを調整する。これにより、建物の利用状態に応じて、各対象開口部の開放度合いを適切に調整することができる。
【0014】
また、本発明の情報処理装置において、取得部は、上記の算出値に基づいて、建物内での通風量を計算することで上記の情報を取得してもよい。
あるいは、本発明の情報処理装置において、取得部は、建物内に配置された風速センサの計測結果に基づいて上記の情報を取得してもよい。
上記の構成によれば、建物の通風量を示す情報を、適切に取得することができる。
【0015】
また、本発明の情報処理装置において、所定位置は、建物の建設地の境界位置であってもよい。
上記の構成によれば、建物内での通風量を確保しつつ、建物の外に漏れて建物の建設地の境界位置で聞こえる音の大きさを所定レベル以下に抑えることができる。
【0016】
また、前述の課題は、本発明の情報処理方法によれば、プロセッサが、建物の建設地における所定位置での、建物内の音源からの発生音の大きさを特定するステップと、プロセッサが、建物において屋外に面する箇所に設けられた複数の開口部のうち、開口部の開放度合いが制御される2以上の対象開口部を設定するステップと、プロセッサが、大きさが設定値以下になる場合の2以上の対象開口部の各々の開放度合いの算出値を算出するステップと、プロセッサが、2以上の対象開口部の各々の開放度合いが算出値である場合の建物内での通風量を示す情報を取得するステップと、を含むことで解決される。
上記の情報処理方法によれば、建物内での通風量を確保しつつ、建物の外に漏れる音の大きさを所定レベル以下に抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の情報処理装置及び情報処理方法によれば、建物内での通風量を確保しつつ、建物の外に漏れる音の大きさを所定レベル以下に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】建物を示す図である。
図2】建物の内部を上方から見た図である。
図3】本発明の一つの実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】本発明の一つの実施形態に係る情報処理装置の機能についての説明図である。
図5】2以上の対象開口部の組み合わせの一例を示す図である。
図6】2以上の対象開口部の各々の開放度合いが条件達成値である場合の通風量を計算した結果の一例を示す図である。
図7】本発明の一つの実施形態に係る情報処理フローの手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、本実施形態)について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、以降で参照する図面では、説明を分かり易くするために、簡略化及び模式化して各機器(各装置)を図示している。また、図中に示す機器(装置)のサイズ(寸法)、及び機器間(装置間)の間隔等が実際のものとは異なっている場合がある。
【0020】
また、本明細書において、「装置」という概念には、所定の機能を一台で発揮する単一の装置が含まれるとともに、分散してそれぞれが独立して存在しつつも協働して所定の機能を発揮する複数の装置の組み合わせも含まれることとする。
【0021】
<<本発明の一つの実施形態について>>
以下、本発明の一つの実施形態(以下、本実施形態という)について説明する。
本実施形態は、建物内での通風量を確保しつつ、建物内で発生して建物の外に漏れる音(以下、発生音ともいう)の大きさを所定レベル以下に抑える技術に係り、特に、建物の建設地の所定位置における発生音の大きさを一定レベル以下に抑える技術に関する。
【0022】
本実施形態において、建物は、例えば、内部に人及び可動機器が配置されて所定の作業が行われる工場又は建屋(以下、単に工場Fという)である。建物の建設地の所定位置とは、工場Fの敷地の境界位置(以下、敷地境界線という)であり、敷地境界線は、建築基準法等の法規及び土地購入時の契約内容等に従って規定された位置である。
なお、本発明が適用可能な建物は、工場に限定されず、住宅又は施設等のようなその他の建物であってもよい。また、建物の建設地の所定位置は、敷地境界線に限定されず、例えば、建物の外壁から所定距離だけ離れた位置でもよい。
【0023】
建物としての工場Fは、図1に示すように、その内部空間が外壁及び屋根等によって覆われた構造をなしている。また、工場において屋外に面する箇所、具体的には、外壁及び屋根のうちの少なくとも一方には、図2に示すように、複数の開口部K(K1、K2、K3・・・)が複数設けられている。開口部Kには、例えば、工場への出入口をなす開口部(つまり、玄関用の開口部)、採光用の開口部、及び換気通風用の開口部等が含まれる。
【0024】
また、工場Fにおいて、複数の開口部Kのそれぞれには、図1及び2に示すように、開閉自在に設けられた開閉部材Uが備わっている。開閉部材Uは、シャッター、ドア、及び窓等のような開口部Kの開放度合いを調整する機器である。本実施形態において、各開口部Kに設けられた開閉部材Uは、電動型の開閉部材であり、また、後述するコントローラ10によって制御されて作動し、その開閉度(開閉位置)がコントローラ10によって調整される。なお、遠隔制御可能な電動型の開閉部材については、公知の機器が利用可能である。
ここで、開口部Kの開放度合いとは、開口部Kが開いた状態での全面積(開口面積)のうち、開放されている領域の比率、すなわち開口率のことであり、全閉状態では開口度合いを0(%)とし、全開状態では開口度合いを100(%)とする。
【0025】
工場F内には、図1及び2に示すように、人の存否を検出する人感センサSaと、工場F内での発生音を検出する音響センサSbとが設置されている。人感センサSaは、工場F内において異なる複数の位置(厳密には、平面視したときの位置)に配置されている。人感センサSaは、センサ周辺に人が存在する場合に検出信号を出力する公知の人感センサが利用可能である。
【0026】
音響センサSbは、工場F内における発生音を検出する検出器であり、発生音の大きさ、詳しくは音圧に応じた信号を出力する公知の音響センサであり、例えば、収音マイクからなるセンサでもよい。
ここで、工場F内での発生音とは、工場F内に存在する音源からの発生音であり、例えば、工場F内に居る人の声、作業音、工場F内に設置された可動機器の作動音、工場F内に置かれたオーディオ機器等のようなその他の音源からの発生音が該当する。
【0027】
複数の人感センサSaの各々の検出信号、及び音響センサSbの検出信号は、コントローラ10に送信される。そして、コントローラ10は、各センサから受信した信号に基づいて、工場F内に設けられた開口部Kのうち、2以上の対象開口部の開放度合いを制御する。より詳しく説明すると、コントローラ10は、各センサの検出結果に基づいて、2以上の対象開口部のそれぞれに設けられた開閉部材Uに対して、対応する対象開口部の開放度合いを変えるための制御を実行する。
ここで、対象開口部とは、上記の制御の対象となる開口部Kであり、換言すると、コントローラ10に制御されて開放度合いが変わる開口部である。
【0028】
コントローラ10は、上記の制御を実行するに際して、対象開口部及びその開放度合い等を決めるための一連の情報処理を実行する。すなわち、本実施形態において、コントローラ10は、情報処理装置として機能し、工場F内での通風量を確保しつつ、工場F内での発生音が敷地境界線上で聞こえる場合の当該発生音の大きさを所定値以下に抑えるための処理を実行する。
【0029】
コントローラ10は、工場F内に設置されてもよく、工場Fとは異なる場所に設置されてもよい。後者の場合、コントローラ10は、専用の通信用ネットワークを通じて、開閉部材を含む工場F内の制御対象機器と通信して、当該制御対象機器を遠隔制御することになる。
【0030】
コントローラ10の構成について図3を参照しながら説明する。コントローラ10は、例えば、汎用的なコンピュータによって構成され、プロセッサ11、メモリ12、ストレージ13、通信用インタフェース14、入力装置15及び出力装置16を有する。
【0031】
プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、TPU(Tensor Processing Unit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成される。また、プロセッサ11には、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及び、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるための専用の回路構成を有する専用電気回路等が含まれ得る。また、例えば、SoC(System on Chip)等に代表されるように、コントローラ10に搭載された機能すべてを1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサも利用可能である。また、上記のプロセッサ11を構成するハードウェアは、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路(Circuitry)でもよい。
【0032】
メモリ12は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリによって構成される。
ストレージ13は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、FD(Flexible Disc)、MOディスク(Magneto-Optical disc)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SDカード(Secure Digital card)、又はUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)等によって構成される。なお、ストレージ13は、コントローラ10を構成するコンピュータ本体内に内蔵されてもよく、外付け形式でコンピュータ本体に取り付けてもよい。あるいは、ストレージ13が、ネットワーク上に存在する外部サーバ(例えば、データベースサーバやファイルサーバ)によって構成されてもよい。
【0033】
通信用インタフェース14は、例えばネットワークインターフェースカード、又は通信インタフェースボード等によって構成されるとよい。コントローラ10は、通信用インタフェース14を介して、インターネット又はモバイル通信回線等に接続された他の機器とデータ通信することが可能である。
入力装置15は、例えばキーボード、マウス又はタッチパネル等によって構成される。また、入力装置15は、音声入力を受け付ける機器であってもよい。
出力装置16は、例えばディスプレイ17及びスピーカ18等によって構成される。ディスプレイ17には、後述する制御フローにおいて、対象開口部の開放度合いの現在値及び制御値等が表示される。
【0034】
また、コントローラ10を構成するコンピュータには、ソフトウェアとして、オペレーティングシステム(OS)用のプログラム、及び、上記の制御を実行するためのアプリケーションプログラムがインストールされている。
【0035】
また、ストレージ13には、制御フローの実行に必要な各種の情報が格納されている。具体的には、対象開口部を決める際のルール及びそのアルゴリズム、後述する優先順位を決める際のルール及びそのアルゴリズム、発生音の伝播及び減衰に関するシミュレーションモデル、建物内の通風量に関するシミュレーションモデルがストレージ13に記憶されている。さらに、ストレージ13には、各シミュレーションの実施に必要な建物の仕様等に関する数値、例えば、建材の物性値又は特性値等が記憶されている。
【0036】
コントローラ10の構成を機能面から改めて説明すると、コントローラ10は、図4に示すように、受付部21、判定部22、特定部23、設定部24、算出部25、取得部26、選定部27、及び制御実行部28を有する。これらの機能部はコントローラ10が備えるハードウェア機器と、コントローラ10にインストールされたプログラム(ソフトウェア)との協働により実現される。また、一部の機能は、人工知能(AI:Artificial Intelligence)によって実現されてもよい。
【0037】
受付部21は、工場F内に設置された各センサ、具体的には人感センサSa及び音響センサSbの各々から出力される信号、すなわち検出信号を受信して、これらのセンサの検出結果を受け付ける。
【0038】
判定部22は、受付部21により受け付けられた音響センサSbの検出結果に基づき、工場F内での発生音の大きさ(詳しくは、音圧)が閾値を超えているか否かを判定する。閾値は、任意に設定することができ、例えば、室内騒音の許容限界レベルを基準に設定してもよい。具体的には、工場Fに設けられたすべての開口部Kを開放した状態を仮定し、音響センサSbによって検出される音圧レベルが許容限界レベルである室内騒音を基準とし、その基準から5dBほど小さい値を閾値として設定してもよい。また、閾値は、設定後には必要に応じて変更することができる。また、許容限界レベルの室内騒音については、騒音の大きさを下げたい位置(例えば、敷地境界線上)において、その位置での音の大きさが目標値又は規制値と同程度に場合の室内における音圧レベルとしてもよい。
【0039】
特定部23は、工場F内での発生音の大きさが閾値を超えている場合に、敷地境界線での発生音の大きさ(詳しくは、工場F内の音源からの発生音の大きさ)を特定する。具体的には、工場Fに設けられた複数の開口部Kのそれぞれの開放度合いをパラメータとして、工場F内での発生音について、敷地境界線までの伝播及び減衰をシミュレーションし、敷地境界線上での音圧レベルを計算する。シミュレーションには、工場Fの各方位に位置する外壁の断面仕様、遮音性能及び面積、工場F内での音源の位置、音響センサSbにより検出された発生音の音圧等が入力値として用いられる。
【0040】
設定部24は、工場F内での発生音の大きさが閾値を超えている場合に、工場Fに設けられた複数の開口部Kのうち、2以上の対象開口部を設定する。本実施形態において、設定部24は、2以上の対象開口部の組み合わせを複数設定する。以下では、2以上の対象開口部の組み合わせのことを「開放パターン」とも呼ぶこととする。
【0041】
開放パターンは、例えば、工場F内の利用状態に応じて設定され、具体的には、工場F内に存在する人(作業者)及び可動機器(工場内の作業機器)の少なくとも一方の数及び配置位置に基づいて設定される。本実施形態では、工場F内に存在する人及び可動機器のそれぞれの数及び配置位置に基づいて、開放パターンが設定される。
【0042】
より詳しく説明すると、設定部24は、各人感センサSaの検出結果に基づいて、工場F内に居る人の数及び配置位置を特定する。また、工場F内の各可動機器の配置位置は、データ化されてストレージ13等に記憶されており、設定部24は、その配置位置を示すデータを読み出し、当該データから、工場F内に設置された可動機器の台数及び配置位置を特定する。
【0043】
そして、設定部24は、特定された工場F内の人及び可動機器の数及び配置位置に応じて、開放パターンを複数設定する。このとき、予め決められたルールに従って、工場F内の人及び可動機器の数及び配置位置から、複数の開放パターンが自動的に導出されてもよい。開放パターンのルールについては、工場Fの利用状態の変化や工場F周辺の環境の変化に応じて適宜変更されてもよい。
あるいは、コントローラ10の操作者(以下、ユーザともいう)が、工場F内に設置された可動機器の台数及び配置位置に基づいて、開放パターンを複数指定し、その指定操作に基づいて、設定部24が複数の開放パターンを設定してもよい。
【0044】
また、開放パターンを設定する際に、所定の開口部を対象開口部として設定した場合に、その開口部と対応付けられた(関連付けられた)他の開口部も対象開口部として設定し、これらの開口部を同じ開放パターンに含めるようにしてもよい。例えば、所定の方位に配置された開口部(具体例を挙げると、南側のシャッター)を対象開口部として設定した場合には、その反対の方位に配置された開口部(例えば、北側の窓)を対象開口部とし、両方の開口部を同じ開放パターンに含めてもよい。
【0045】
なお、図5には、設定部24により設定された複数の開放パターンの例(パターン1~3)が記載されている。ただし、開放パターンに含まれる対象開口部の数や種類については、特に限定されず、任意に決めることができ、また、開放パターンの間で対象開口部の数や種類が異なってもよい。また、工場F内に人が存在しない場合には、工場Fに設けられた複数の開口部Kのすべてを全閉にしてもよい。
【0046】
また、本実施形態において、設定部24は、設定された複数の開放パターンのそれぞれについて、順位設定を開放パターン毎に実施する。順位設定とは、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部の各々に対して優先順位を設定することである。それぞれの対象開口部に対する優先順位は、工場F内の利用状態、具体的には、工場F内に存在する人及び可動機器の少なくとも一方の数及び配置位置に基づいて設定されてもよい。例えば、開放パターンに含まれる2以上の対象開口部のうち、工場F内における人の配置位置により近い対象開口部に対しては、より高い優先順位を設定してもよい。
【0047】
また、工場Fに設けられた複数の開口部Kの序列、換言すると、開口部間の優劣関係が、工場Fにおける各開口部の設置位置に基づいて事前に決められてもよい。その場合、設定部24は、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部の優劣関係から、それぞれの対象開口部に対する優先順位を設定してもよい。
また、設定部24は、優先順位に関するユーザの入力操作を受け付けて、その入力操作に基づいて、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれに対する優先順位を設定してもよい。
【0048】
算出部25は、工場F内での発生音の大きさが閾値を超えている場合に、設定部24により設定された複数の開放パターンのそれぞれについて、条件達成値を開放パターン毎に算出する。条件達成値は、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれについて、敷地境界線での発生音の大きさが設定値以下になる場合の開放度合いの算出値である。条件達成値は、特定部23が敷地境界線での発生音の大きさを特定する過程において、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部の各々の開放度合いをパラメータとして設定し、上記の大きさが設定値以下になるときのパラメータを探索することで算出される。つまり、条件設定値は、上記のパラメータを変えながら敷地境界線での発生音の大きさを繰り返し計算することによって導出される。
なお、設定値は、任意に決めることができるが、例えば、工場F内での発生音が敷地境界線で聞こえる場合の許容限界値を想定して設定されるのが好ましい。
【0049】
また、本実施形態において、算出部25は、閾値境界線での工場F内での発生音の大きさが設定値以下になり、且つ優先順位がより高い対象開口部では優先順位がより低い対象開口部に比べて開放度合いが大きくなる場合の条件達成値を算出する。つまり、本実施形態において、条件達成値は、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部のうち、優先順位がより高い対象開口部から順に開放度合いがより大きくなるように算出される。
【0050】
取得部26は、工場F内での発生音の大きさが閾値を超えている場合に、設定部24により設定された複数の開放パターンのそれぞれについて、通風量情報を開放パターン毎に取得する。通風量情報は、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部の各々の開放度合いが条件達成値である場合の工場F内での通風量を示す情報である。通風量情報は、算出部25によって算出された条件達成値に基づいて、工場F内での通風量を計算することによって取得される。通風量の計算値は、例えば、開放パターンに含まれる2以上の開口部Kを通じて工場Fを出入りする空気の流れを解析するためのシミュレーション(流体シミュレーション)を実施することで得られる。
【0051】
通風量情報を取得する手順の一例について説明すると、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれについて、その開放度合い(開口率)を条件達成値に設定する。また、2以上の対象開口部のうちの一つを第1開口部とし、残りの対象開口部の一つを第2開口部とした場合、第1開口部と第2開口部との組み合わせに応じて通風係数が決められる。
【0052】
そして、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれについて得られた条件達成値及び通風係数を以下の式に代入することにより、各開放パターンの下での工場F内の通風量が求められる。
なお、以下の式は、n(nは3以上の自然数)個の対象開口部を含む開放パターンを想定して通風量を求めるための式である。
W=S+S+・・・Sn-1
= (C×C×T1*2)+(C×C×T1*3)+・・・・
+(C×C×T1*n
= (C+C×T2*3)+(C×C×T2*4)+・・・・
+(C×C×T2*n
n-1= Cn-1×C×Tn-1*n
上記の式において、Wは、工場F内での通風量を示しており、iは1~nの自然数であり、Cは、第i番目の対象開口部の開放度合いの条件達成値であり、Ti*i+1は、第i番目の対象開口部と第i+1番目の対象開口部との組み合わせに係る通風係数である。
なお、図6には、上記の式を用いた通風量の計算結果の一例が示されている。
【0053】
選定部27は、取得部26により開放パターン毎に取得された通風量情報に基づき、複数の開放パターンの中からいずれか一つの開放パターン(以下、選定パターンという)を選定する。本実施形態において、選定部27は、複数の開放パターンの中で通風量が最大となる開放パターンを選定パターンとして選定する。
【0054】
制御実行部28は、選定部27により選定された選定パターンに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれに設けられた開閉部材に対して、対応する対象開口部の開放度合いを変えるための制御(以下、開閉制御)を実行する。開閉制御では、選定パターンに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれの開放度合いが、選定パターンについて算出部25により算出された条件達成値となるように、各対象開口部に設けられた開閉部材を制御する。
以上の開閉制御が実行されることで、工場F内での通風量を確保しつつ、工場F内での発生音が外に漏れて敷地境界線上で聞こえる音の大きさ(音圧)を所定レベル以下に抑えることができる。
【0055】
<<本発明の一つの実施形態に係る情報処理装置の動作例>>
次に、上述したコントローラ10の動作例として、コントローラ10による情報処理フロー(以下、制御フロー)について、図7を参照しながら説明する。以下に説明する制御フローでは、本発明の情報処理方法が用いられる。つまり、以下に説明する制御フローにおける各ステップは、本発明の情報処理方法の構成要素に相当する。
なお、下記のフローは、あくまでも一例であり、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲において、フロー中の一部のステップを削除したり、フローに新たなステップを追加したり、あるいは、フローにおける2つのステップの実行順序を入れ替えてもよい。
【0056】
本実施形態に係る制御フロー中の各ステップは、コントローラ10が備えるプロセッサ11により、図7に示す順序で実施される。また、制御フロー中の各ステップにおいて、プロセッサ11は、コントローラ10にインストールされたプログラムに規定されたデータ処理のうち、各ステップと対応する処理を実行する。
【0057】
制御フローの実施にあたり、ユーザが初期設定に係る入力を行い、コントローラ10のプロセッサ11が入力操作を受け付ける。初期設定では、前述した閾値及び設定値が入力される。また、初期設定では、発生音に関する前述のシミュレーションに必要な入力値(具体的には、工場Fの各方位に位置する外壁の断面仕様、遮音性能及び面積等)、及び、通風量に関する前述のシミュレーションに必要な入力値(例えば、前述の通風係数等)が設定される。
【0058】
制御フローの開始に際して、先ず、プロセッサ11は、工場F内に設置された人感センサSa及び音響センサSbのそれぞれから検出信号を受信して、各センサの検出結果を受け付ける(S001)。また、プロセッサ11は、音響センサSbの検出結果に基づき、工場F内での発生音の大きさ(音圧)が閾値を超えているか否かを判定する(S002)。
【0059】
工場F内での発生音の大きさが閾値を超えている場合、プロセッサ11は、ステップS003以降の一連のステップを実施する。具体的に説明すると、プロセッサ11は、シミュレーションにより、敷地境界線での発生音の大きさ(音圧)を特定する(S003)。
【0060】
また、プロセッサ11は、工場Fに設けられた複数の開口部Kのうち、2以上の対象開口部の組み合わせ、すなわち、開放パターンを複数設定する(S004)。この際、プロセッサ11は、工場F内の利用状態、具体的には、工場F内に存在する人及び可動機器の少なくとも一方の数及び配置位置に基づいて複数の開放パターンを設定する。
【0061】
また、プロセッサ11は、複数の開放パターンのそれぞれについて、開放パターンに含まれる2以上の対象開口部の各々に対して優先順位を設定する(S005)。この際、プロセッサ11は、工場F内の利用状態、具体的には、工場F内に存在する人及び可動機器の少なくとも一方の数及び配置位置に基づいて、各対象開口部に対する優先順位を設定する。
【0062】
その後、プロセッサ11は、ステップS004にて設定された複数の開放パターンのそれぞれについて、条件達成値、すなわち、敷地境界線での発生音の大きさが設定値以下になる場合の各対象開口部の開放度合いを開放パターン毎に算出する(S006)。このとき、条件達成値は、各開放パターンに含まれる2以上の対象開口部のうち、優先順位がより高い対象開口部から順に開放度合いがより大きくなるように算出される。
【0063】
また、プロセッサ11は、ステップS004にて設定された複数の開放パターンのそれぞれについて、シミュレーションを実施して、通風量情報を開放パターン毎に取得する(S007)。そして、プロセッサ11は、ステップS007にて取得された開放パターン毎の通風量情報に基づいて、複数の開放パターンの中から、通風量が最大となる一つの開放パターンを選定パターンとして選定する(S008)。
【0064】
その後、プロセッサ11は、ステップS008にて選定された選定パターンに含まれる2以上の対象開口部のそれぞれに設けられた開閉部材に対して開閉制御を実行する(S009)。開閉制御では、各対象開口部の開放度合いが条件達成値となるように、各対象開口部に設けられた開閉部材を制御する。
【0065】
以上までに説明してきた手順に従って制御フローが実施されることで、工場F内での通風量を確保しつつ、工場F内での発生音が外に漏れて敷地境界線上で聞こえる音の大きさ(音圧)を所定レベル以下に抑えることができる。
また、制御フローにおける一連のステップは、工場Fの稼働期間中、所定の間隔で定期的に実施されてもよく、あるいは、ユーザが指定したタイミングで実施されてもよい。
【0066】
<<その他の実施形態について>>
以上までに、本発明の情報処理装置、及び情報処理方法に関する一つの実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【0067】
上記の実施形態では、開放パターン、すなわち、2以上の対象開口部の組み合わせを設定する際には、工場Fの利用状態、詳しくは工場F内に存在する人及び可動機器の少なくとも一方の数及び配置位置に基づいて設定することとした。ただし、これに限定されず、既成の開放パターンが予め設定されてもよい。
【0068】
また、上記の実施形態では、通風量情報を、算出部25によって算出された条件達成値に基づいて気流のシミュレーションを実施し、工場F内での通風量を計算することで取得することとした。ただし、これに限定されず、工場F内に風速センサ(不図示)を複数箇所に配置し、それぞれの風速センサの計測結果に基づいて通風量情報を取得してもよく、例えば、複数箇所に配置された風速センサの計測結果の平均値を通風量情報として取得してもよい。この場合、複数の開放パターンのそれぞれについて、開放パターンに含まれる2以上の対象開口部の各々の開放度合いを、当該開放パターンについて算出した条件達成値になるように調整する。そして、その時の風速センサの計測結果(詳しくは、複数の風速センサの計測結果の平均値)を開放パターン毎に取得し、風速センサの計測結果が最大となる開放パターンを、選定パターンとして選定すればよい。
なお、上記の構成において、工場F内に配置される風速センサの数は、1つのみでもよい。また、上記の構成において、人がいない場所に配置された風速センサの計測結果は、通風量情報として利用しなくてもよい。
【0069】
上記の実施形態では、工場F内での発生音の大きさが閾値以上になると、上述の制御フローが実施されることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、工場Fに居る人がコントローラ10を操作して制御フローの実施を要求した場合に、これをトリガーとして制御フローが実施されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
10 コントローラ(情報処理装置)
11 プロセッサ
12 メモリ
13 ストレージ
14 通信用インタフェース
15 入力装置
16 出力装置
21 受付部
22 判定部
23 特定部
24 設定部
25 算出部
26 取得部
27 選定部
28 制御実行部
F 工場(建物)
K(K1~K10) 開口部
Sa 人感センサ
Sb 音響センサ(検出器)
U 開閉部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7