(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126328
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電極部材の製造方法および電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20240912BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20240912BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20240912BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240912BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20240912BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/186 20210101ALI20240912BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20240912BHJP
H01M 4/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/13
H01M10/04 Z
H01M10/052
H01M10/0585
H01M50/569
H01M50/186
H01M50/193
H01M4/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034631
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】坂下 康広
(72)【発明者】
【氏名】石黒 裕嗣
(72)【発明者】
【氏名】夏目 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】衣川 達哉
(72)【発明者】
【氏名】浅井 真也
(72)【発明者】
【氏名】山田 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】松本 倫幸
【テーマコード(参考)】
5H011
5H028
5H029
5H043
5H050
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011FF00
5H011GG01
5H011JJ12
5H011KK01
5H011KK04
5H028AA08
5H028BB01
5H028BB05
5H028BB14
5H028CC05
5H028CC08
5H028CC11
5H028CC19
5H028CC26
5H028HH05
5H028HH08
5H029AJ14
5H029BJ13
5H029BJ17
5H029CJ05
5H029CJ28
5H029DJ05
5H029HJ04
5H029HJ12
5H029HJ14
5H043AA19
5H043BA11
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA13
5H043DA27
5H043HA11E
5H043LA21E
5H050AA19
5H050BA08
5H050BA17
5H050DA20
5H050FA02
5H050FA03
5H050GA07
5H050GA26
5H050HA04
5H050HA12
5H050HA14
(57)【要約】
【課題】本開示は、集電体にシワが生じることを抑制可能な電極部材の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】
本開示においては、電池に用いられる電極部材の製造方法であって、集電体および活物質層を有する電極シートを準備する電極シート準備工程と、上記電極シートの一方の表面上に、上記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第1枠部材を配置し、上記電極シートの他方の表面上に、上記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第2枠部材を配置する枠部材配置工程と、上記第1枠部材および上記第2枠部材を、上記集電体に熱溶着させる熱溶着工程と、を有し、上記枠部材配置工程において、第1枠部材および上記集電体の間に機能性部材を配置し、上記熱溶着工程は、所定の第1溶着処理および第2溶着処理を有する、電極部材の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池に用いられる電極部材の製造方法であって、
集電体と、前記集電体の少なくとも一方の表面上に配置された活物質層と、を有し、かつ、厚さ方向である第1方向から見て、前記集電体の外縁が、前記活物質層の外縁より外側に位置する、電極シートを準備する電極シート準備工程と、
前記電極シートの一方の表面上に、前記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第1枠部材を配置し、前記電極シートの他方の表面上に、前記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第2枠部材を配置する枠部材配置工程と、
前記第1枠部材および前記第2枠部材を、前記集電体に熱溶着させる熱溶着工程と、
を有し、
前記枠部材配置工程において、一端が前記第1枠部材および前記集電体の間に位置し、他端が前記第1枠部材および前記第2枠部材より外側に位置するように、機能性部材を配置し、
前記熱溶着工程は、
前記第1方向から見て、前記機能性部材と重複するように設定した第1加工領域に対して、前記第1方向における両側から、加熱および加圧を行い、前記第1枠部材および前記第2枠部材を、前記集電体に熱溶着させる、第1溶着処理と、
前記第1溶着処理の後に、前記第1加工領域よりも前記活物質層側に設定した第2加工領域に対して、前記第1方向における両側から、加熱および加圧を行い、前記第1枠部材および前記第2枠部材を、前記集電体に熱溶着させる第2溶着処理と、
を有する、電極部材の製造方法。
【請求項2】
前記第2加工領域は、前記機能性部材を含まない領域である、請求項1に記載の電極部材の製造方法。
【請求項3】
前記第1枠部材を構成する樹脂の融点をTM1とした場合に、前記第1溶着処理における加熱温度が、(TM1±10)℃であり、
前記第2溶着処理における加熱温度が、前記第1溶着処理における加熱温度より高い、請求項1に記載の電極部材の製造方法。
【請求項4】
前記第2加工領域は、前記第1方向から見て、前記第1枠部材および前記第2枠部材と重複する前記集電体を含む第1領域と、前記第1枠部材および前記第2枠部材と重複しない前記集電体を含む第2領域と、を含む、請求項1に記載の電極部材の製造方法。
【請求項5】
前記電極シートが、前記集電体と、前記集電体の一方の表面上に配置された正極活物質層と、前記集電体の他方の表面上に配置された負極活物質層と、を有するバイポーラ電極シートである、請求項1に記載の電極部材の製造方法。
【請求項6】
前記機能性部材が、電圧検出端子であり、
前記枠部材配置工程において、前記電圧検出端子が前記集電体に溶接される、請求項1に記載の電極部材の製造方法。
【請求項7】
前記第1方向から見て、前記電極シートの形状は四角形であり、前記四角形を構成する各辺の長さは、それぞれ20cm以上である、請求項1に記載の電極部材の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかの請求項に記載の電極部材の製造方法により、電極部材を準備する電極部材準備工程と、
複数の前記電極部材を、前記第1方向に積層して電極積層体を形成し、前記電極積層体における前記第1枠部材および前記第2枠部材を熱溶着し、シール部材を形成するシール部材形成工程と、
を有する電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電極部材の製造方法および電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
単電池の周囲にシール部材を設けて、短絡(液絡)を防止したバイポーラ電池が知られている。例えば、特許文献1には、単電池の周囲を取り囲み、集電体の間に設けられたシール部材を有し、バイポーラ電池の平面図においてシール部材が集電体の外部へ突出し、さらに隣接するシール部材が互いに接着してなる、バイポーラ電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単電池を構成する集電体の間にシール部材を設けるにあたり、集電体の外縁に沿って、樹脂製の枠部材(シール部材を形成するための部材)を集電体に熱溶着させる場合がある。枠部材を集電体に熱溶着させると、集電体および枠部材の膨張収縮差によって、集電体にシワが生じ、電池のシール性が低下する場合がある。特に、集電体の表面の一部に、端子部材等の機能性部材を配置して、その上から樹脂製の枠部材を溶着しようとすると、機能性部材が集電体表面に対して凸部となるため、枠部材の溶着時のシワが顕著に生じやすくなる。
【0005】
本開示は、上記実情に鑑みてなされたものであり、集電体にシワが生じることを抑制可能な電極部材の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]
電池に用いられる電極部材の製造方法であって、
集電体と、上記集電体の少なくとも一方の表面上に配置された活物質層と、を有し、かつ、厚さ方向である第1方向から見て、上記集電体の外縁が、上記活物質層の外縁より外側に位置する、電極シートを準備する電極シート準備工程と、
上記電極シートの一方の表面上に、上記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第1枠部材を配置し、上記電極シートの他方の表面上に、上記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第2枠部材を配置する枠部材配置工程と、
上記第1枠部材および上記第2枠部材を、上記集電体に熱溶着させる熱溶着工程と、
を有し、
上記枠部材配置工程において、一端が上記第1枠部材および上記集電体の間に位置し、他端が上記第1枠部材および上記第2枠部材より外側に位置するように、機能性部材を配置し、
上記熱溶着工程は、
上記第1方向から見て、上記機能性部材と重複するように設定した第1加工領域に対して、上記第1方向における両側から、加熱および加圧を行い、上記第1枠部材および上記第2枠部材を、上記集電体に熱溶着させる、第1溶着処理と、
上記第1溶着処理の後に、上記第1加工領域よりも上記活物質層側に設定した第2加工領域に対して、上記第1方向における両側から、加熱および加圧を行い、上記第1枠部材および上記第2枠部材を、上記集電体に熱溶着させる第2溶着処理と、
を有する、電極部材の製造方法。
【0007】
[2]
上記第2加工領域は、上記機能性部材を含まない領域である、[1]に記載の電極部材の製造方法。
【0008】
[3]
上記第1枠部材を構成する樹脂の融点をTM1とした場合に、上記第1溶着処理における加熱温度が、(TM1±10)℃であり、
上記第2溶着処理における加熱温度が、上記第1溶着処理における加熱温度より高い、[1]または[2]に記載の電極部材の製造方法。
【0009】
[4]
上記第2加工領域は、上記第1方向から見て、上記第1枠部材および上記第2枠部材と重複する上記集電体を含む第1領域と、上記第1枠部材および上記第2枠部材と重複しない上記集電体を含む第2領域と、を含む、[1]から[3]のいずれかに記載の電極部材の製造方法。
【0010】
[5]
上記電極シートが、上記集電体と、上記集電体の一方の表面上に配置された正極活物質層と、上記集電体の他方の表面上に配置された負極活物質層と、を有するバイポーラ電極シートである、[1]から[4]のいずれかに記載の電極部材の製造方法。
【0011】
[6]
上記機能性部材が、電圧検出端子であり、
上記枠部材配置工程において、上記電圧検出端子が上記集電体に溶接される、[1]から[5]のいずれかに記載の電極部材の製造方法。
【0012】
[7]
上記第1方向から見て、上記電極シートの形状は四角形であり、上記四角形を構成する各辺の長さは、それぞれ20cm以上である、[1]から[6]のいずれかに記載の電極部材の製造方法。
【0013】
[8]
[1]から[7]のいずれかに記載の電極部材の製造方法により、電極部材を準備する電極部材準備工程と、
複数の上記電極部材を、上記第1方向に積層して電極積層体を形成し、上記電極積層体における上記第1枠部材および上記第2枠部材を熱溶着し、シール部材を形成するシール部材形成工程と、
を有する電池の製造方法。
【発明の効果】
【0014】
本開示においては、集電体にシワが生じることを抑制した電極部材が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示における電極部材を例示する概略平面図および概略断面図である。
【
図2】本開示における電極部材の製造方法を例示するフロー図である。
【
図3】本開示における電極部材の製造方法を例示する概略平面図および概略断面図である。
【
図4】本開示における電極部材の製造方法を例示する概略平面図および概略断面図である。
【
図5】本開示における電極シートを例示する概略平面図および概略断面図である。
【
図6】本開示における電池の製造方法を例示するフロー図である。
【
図7】本開示における電池の製造方法を例示する概略断面図である。
【
図8】本開示における電池を例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示における実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。以下に示す各図は、模式的に示したものであり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。また、本明細書において、ある部材に対して他の部材を配置する態様を表現するにあたり、単に「上に」または「下に」と表記する場合、特に断りの無い限りは、ある部材に接するように、直上または直下に他の部材を配置する場合と、ある部材の上方または下方に、別の部材を介して他の部材を配置する場合との両方を含む。
【0017】
A.電極部材の製造方法
まず、本開示における電極部材の製造方法により得られる、電極部材について説明する。
図1(a)は、本開示における電極部材を例示する概略平面図であり、
図1(b)は、
図1(a)における領域Xの拡大図であり、
図1(c)は、
図1(b)におけるA-A断面図である。
【0018】
図1(a)~(c)に示すように、電極部材EMは、電極シートESと、樹脂製の枠部材5と、機能性部材6と、を有する。機能性部材は、後述するように、例えば、集電体に溶接された電圧検出端子である。
図1(c)に示す電極シートESは、集電体1と、集電体1の一方の表面上に配置された正極活物質層2と、集電体1の他方の表面上に配置された負極活物質層3と、を有するバイポーラ電極シートである。
【0019】
図1(a)に示すように、厚さ方向である第1方向D
1から見て、枠部材5は、電極シートESにおける集電体1の外縁O
1に沿って配置される。また、
図1(c)に示すように、第1方向D
1に直交する第2方向D
2から見て、枠部材5は、通常、集電体1の一方の主面pの一部と、集電体1の他方の主面qの一部と、集電体1の外縁を構成する側面rの全体と、を覆う。また、
図1(a)~(c)に示すように、機能性部材6は、一端t1が枠部材5および集電体1の間に位置し、他端t2が枠部材5より外側に位置するように配置されている。
【0020】
図2(a)、(b)は、本開示における電極部材の製造方法を例示するフロー図である。
図2(a)に示すように、本開示における電極部材の製造方法は、電極シート準備工程、枠部材配置工程、熱溶着工程を有する。熱溶着工程では、第1溶着処理および第2溶着処理を少なくとも行う。また、
図2(b)に示すように、熱溶着工程において、第1溶着処理の前に、仮溶着処理を行ってもよい。
【0021】
図3および
図4は、本開示における電極部材の製造方法を例示する概略平面図および概略断面図である。なお、
図3および
図4は、いずれも、
図1(b)および
図1(c)と同様に、
図1(a)における領域Xに相当する領域を示している。また、
図3(a-1)、
図3(b-1)、
図3(c-1)および
図3(d-1)は、本開示における電極部材の製造方法を例示する概略平面図である。また、
図3(a-2)は、
図3(a-1)のA-A断面図であり、
図3(b-2)は、
図3(b-1)のA-A断面図であり、
図3(c-2)は、
図3(c-1)のA-A断面図であり、
図3(d-2)は、
図3(d-1)のA-A断面図である。また、
図3(d-3)は、
図3(d-1)のB-B断面図である。また、
図4(a-1)、
図4(b-1)および
図4(c-1)は、本開示における電極部材の製造方法を例示する概略平面図である。また、
図4(a-2)は、
図4(a-1)のA-A断面図であり、
図4(b-2)は、
図4(b-1)のA-A断面図であり、
図4(c-2)は、
図4(c-1)のA-A断面図である。また、
図4(a-3)は、
図4(a-1)のB-B断面図であり、
図4(b-3)は、
図4(b-1)のB-B断面図であり、
図4(c-3)は、
図4(c-1)のB-B断面図である。
【0022】
まず、
図3(a-1)、(a-2)に示すように、電極シートESを準備する(電極シート準備工程)。なお、
図3(a-1)、(a-2)では、便宜上、電極シートESにおける集電体1のみを示している。次に、
図3(b-1)、(b-2)に示すように、電極シートESの一方の表面と対向するように、機能性部材6を配置し、
図3(c-1)、(c-2)に示すように、電極シートESの他方の表面と対向するように、第2枠部材5bを配置し、
図3(d-1)、(d-2)に示すように、機能性部材6を覆い、かつ、電極シートESの一方の表面と対向するように、第1枠部材5aを配置する(枠部材配置工程)。
【0023】
続いて、熱溶着工程を行う。具体的には、
図4(a-1)、(a-2)、(a-3)に示すように、加熱した治具20を、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bに、それぞれ押し付け、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bを、それぞれ、集電体1に点溶着等により固定する(仮溶着処理)。点溶着等により形成された仮溶着点7は、機能性部材6と重複しないように配置される。次に、
図4(b-1)、(b-2)、(b-3)に示すように、機能性部材6と重複するように設定した第1加工領域R
1に対して、加熱された治具30を、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bに、それぞれ押し付け、第1枠部材5aおよび第2枠部材5aを、集電体1に熱溶着させる(第1溶着処理)。第1加工領域R
1は、熱溶着処理による加工の対象となる領域であり、例えば、枠部材を構成する各辺に対して、それぞれ設定される。
図4(b-1)、(b-2)、(b-3)では、代表的な一つの辺について説明している。次に、
図4(c-1)、(c-2)、(c-3)に示すように、第1加工領域R
1よりも活物質層側(図面上側)に設定した第2加工領域R
2に対して、加熱された治具30を、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bに、それぞれ押し付け、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bを、集電体1に熱溶着させる(第2溶着処理)。
【0024】
本開示によれば、熱溶着工程において、第1溶着処理および第2溶着処理を行うことで、樹脂製の枠部材の溶着に伴う集電体のシワ発生が抑制された電極部材が得られる。上述したように、従来の方法で、集電体に樹脂製の枠部材を熱溶着させると、集電体および樹脂製の枠部材の膨張収縮差によって、集電体に大きなシワが生じる場合がある。集電体に大きなシワが生じると、そのシワが起点となって電池のシール性を悪化させる虞があり、好ましくない。特に、集電体の表面の一部に端子部材等の機能性部材を配置して、その上から樹脂製の枠部材を溶着しようとすると、機能性部材が集電体の表面に対して凸部となるため、集電体にシワが生じやすくなる。
【0025】
これに対して、本開示においては、まず、機能性部材を含む第1加工領域に対して、第1溶着処理により、機能性部材と集電体との段差を埋めるように、枠部材を集電体に溶着させ、その後、第1加工領域よりも内側(活物質層側)に設定した第2加工領域に対して、第2溶着処理により、枠部材を集電体に溶着させる。このように、機能性部材と集電体との段差を埋めるように第1溶着処理を行い、その後、第1加工領域よりも内側(活物質層側)に設定した第2加工領域に対して第2溶着処理を行うことで、上記段差に起因して集電体にシワが生じることを抑制した電極部材が得られる。
【0026】
特に、機能性部材を含む第1加工領域に対して、第1溶着処理により、比較的低温(第2溶着処理における加熱温度より低温)で枠部材を集電体に溶着させ、その後、機能性部材を含まない第2加工領域に対して、第2溶着処理により、通常の溶着温度で枠部材を集電体に溶着させることで、集電体にシワが生じることを抑制しつつ、枠部材と集電体との接着強度が十分に確保された電極部材が得られる。
【0027】
また、特に電極シートが大型化すると、加熱時の集電体および枠部材の伸び量の差も大きくなるため、枠部材の溶着時に集電体にシワが生じやすくなる。これに対して、本開示においては、第1溶着処理および第2溶着処理の2段階で溶着を行うことで、電極シートが大型化することによる集電体と枠部材との伸び量の差の影響を小さくすることができる。また、電極シートが大型化すると、膨張収縮差によるシワの発生に加えて、膨張収縮差による反りの発生が顕著になる。これに対して、本開示においては、第1溶着処理および第2溶着処理の2段階で溶着を行うことで、膨張収縮差の影響を抑制することができるため、反りの発生も低減できる。
【0028】
1.電極シート準備工程
本開示における電極シート準備工程は、集電体と、上記集電体の少なくとも一方の表面上に配置された活物質層と、を有し、かつ、厚さ方向である第1方向から見て、上記集電体の外縁が、上記活物質層の外縁より外側に位置する、電極シートを準備する工程である。
【0029】
図5(a)は、本開示における電極シートを例示する概略平面図であり、
図5(b)は、
図5(a)におけるA-A断面図である。
図5(a)、(b)に示す電極シートESは、集電体1と、集電体1の一方の表面上に配置された正極活物質層2と、集電体1の他方の表面上に配置された負極活物質層3と、を有するバイポーラ電極シートである。また、
図5(a)に示すように、第1方向D
1から見て、集電体1の外縁O
1は、正極活物質層2の外縁O
2より外側に位置している。すなわち、集電体1は、正極活物質層2から枠状に露出している。また、特に図示しないが、第1方向から見て、集電体の外縁は、負極活物質層の外縁より外側に位置している。すなわち、集電体は、負極活物質層から枠状に露出している。また、本開示における電極シートは、バイポーラ電極シートでなくてもよい。具体的に、電極シートは、集電体と、上記集電体の一方の表面上に配置された正極活物質層または負極活物質層と、を有する電極シートであってもよい。
【0030】
集電体は、金属集電体であってもよく、樹脂集電体であってもよい。金属集電体は、樹脂製の枠部材との熱熱膨張率の差が大きいため、枠部材を集電体に熱溶着させる際に、集電体および枠部材の膨張収縮差によって、集電体にシワが生じやすくなる。金属集電体の材料として、例えば、銅、アルミニウム、ステンレス鋼が挙げられる。金属集電体は、単層であってもよく、複数の層を有していてもよい。複数の層を有する金属集電体としては、例えば、アルミニウム層および銅層が積層された金属集電体が挙げられる。一方、活物質層は、活物質を少なくとも有し、必要に応じて、導電材およびバインダーを有していてもよい。
【0031】
第1方向から見た電極シートの形状は、特に限定されないが、例えば、正方形、長方形等の四角形が挙げられる。第1方向から見て、電極シートの外縁を構成する各辺の長さは、それぞれ、例えば20cm以上であり、50cm以上であってもよく、100cm以上であってもよい。一方、上記各辺の長さは、それぞれ、例えば200cm以下である。
【0032】
電極シートの作製方法としては、例えば、集電体の表面上に、活物質、導電材およびバインダーを含有するスラリーを塗工し、乾燥することで、集電体の表面上に活物質層を形成する方法が挙げられる。
【0033】
2.枠部材配置工程
本開示における枠部材配置工程は、上記電極シートの一方の表面上に、上記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第1枠部材を配置し、上記電極シートの他方の表面上に、上記集電体の外縁に沿って、樹脂製の第2枠部材を配置する工程である。本開示においては、第1枠部材および第2枠部材を、単に枠部材と称する場合がある。また、枠部材配置工程において、一端が上記第1枠部材および上記集電体の間に位置し、他端が上記第1枠部材および上記第2枠部材より外側に位置するように、機能性部材が配置される。機能性部材は、例えば、溶接により集電体に固定され、その後、集電体に枠部材が配置される。
【0034】
枠部材に用いられる樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂が挙げられる。また、機能性部材としては、例えば、端子部材が挙げられる。端子部材としては、例えば、電圧検出端子が挙げられる。
【0035】
図3(b-1)、(b-2)に示すように、電極シートESの表面と対向するように、機能性部材6を配置する。機能性部材6は、後述する第1枠部材5aおよび第2枠部材5bの溶着時に動かないように、溶接などで集電体に固定されていることが好ましい。後述する
図3(d-2)に示すように、機能性部材6は、一端t1が第1枠部材5aおよび集電体1の間に位置し、他端t2が第1枠部材5aおよび第2枠部材5bより外側に位置するように配置される。すなわち、機能性部材6の他端t2は、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bから突出している。
【0036】
図3(c-1)、(c-2)に示すように、電極シートESの表面と対向するように、第2枠部材5bを配置する。また、
図3(c-2)に示すように、第2枠部材5bは、通常、第1方向D
1から見て、電極シートESにおける集電体1と重複する部分と、電極シートESにおける集電体1と重複しない部分と、を有する。集電体1と重複しない部分は、集電体1の外縁O
1から外側に、第2枠部材5bが突出した部分に該当する。
【0037】
図3(d-1)、(d-2)、(d-3)に示すように、電極シートESの表面と対向するように、第1枠部材5aを配置する。
図3(d-1)に示すように、第1枠部材5aは、通常、第1方向D
1から見て、電極シートESにおける集電体1と重複する部分と、電極シートESにおける集電体1と重複しない部分と、を有する。集電体1と重複しない部分は、集電体1の外縁O
1から外側に、第1枠部材5aが突出した部分に該当する。また、第1枠部材5aは、機能性部材6を覆うように配置される。
【0038】
3.熱溶着工程
本開示における熱溶着工程は、上記第1枠部材および上記第2枠部材を、上記集電体に熱溶着させる工程である。熱溶着工程では、後述する第1溶着処理および第2溶着処理を少なくとも行う。熱溶着工程では、さらに、後述する仮溶着処理を行ってもよい。
【0039】
(1)第1溶着処理
本開示における第1溶着処理は、上記第1方向から見て、上記機能性部材と重複するように設定した第1加工領域に対して、上記第1方向における両側から、加熱および加圧を行い、上記第1枠部材および上記第2枠部材を、上記集電体に熱溶着させる処理である。
【0040】
第1方向から見た第1加工領域の形状は、例えば、長方形等の四角形である。第1加工領域の形状に合わせて、後述する治具を選択する。また、
図4(b-1)に示すように、機能性部材6における一端t1および他端t2を結ぶ延在方向D
xにおける、第1加工領域R
1の長さをL
1とする。延在方向D
xは、上述した第1方向D
1に直交する方向である。L
1は、例えば10mm以上であり、15mm以上であってもよい。一方、L
1は、例えば50mm以下である。また、上記延在方向に直交する方向における、第1加工領域R
1の長さは、後述する治具の形状に応じて、適宜設定されるが、通常、L
1より大きい。
【0041】
第1溶着処理では、通常、加熱された治具を、第1枠部材および第2枠部材に、それぞれ押し付ける。上記治具は、例えば、インパルスシーラーまたはヒートシーラ―である。第1溶着処理における加熱温度は、第1枠部材および第2枠部材を、集電体に熱溶着させることができる温度であれば特に限定されず、第1枠部材および第2枠部材の材料に応じて、適宜設定される。また、第1溶着処理における加熱温度は、後述する第2溶着処理における加熱温度より低いことが好ましい。
【0042】
ここで、第1枠部材を構成する樹脂の融点をTM1とする。第1溶着処理における加熱温度は、例えば、(TM1±10)℃であることが好ましい。すなわち、第1溶着処理における加熱温度は、第1枠部材を構成する樹脂の融点近傍であることが好ましい。例えば、第1枠部材を構成する樹脂が、融点125℃のポリエチレンである場合、第1溶着処理における加熱温度は、115℃以上、135℃以下であることが好ましい。中でも、第1溶着処理における加熱温度は、TM1℃以上であることが好ましい。例えば、第1枠部材を構成する樹脂が、融点125℃のポリエチレンである場合、第1溶着処理における加熱温度は、125℃以上であることが好ましい。また、第2枠部材を構成する樹脂の融点をTM2とする。第1溶着処理における加熱温度は、例えば、(TM2±10)℃であることが好ましい。すなわち、第1溶着処理における加熱温度は、第2枠部材を構成する樹脂の融点近傍であることが好ましい。中でも、第1溶着処理における加熱温度は、TM2℃以上であることが好ましい。第1枠部材および第2枠部材を構成する樹脂は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第1枠部材および第2枠部材を構成する樹脂が異なる場合、第1溶着処理における加熱温度は、TM1およびTM2のうち、高い融点を基準として、その±10℃の範囲内であることが好ましい。
【0043】
第1溶着処理における加熱温度は、上記のように、第1枠部材および第2枠部材の材料に応じて、適宜設定されるが、例えば90℃以上であり、110℃以上であってもよい。一方、上記加熱温度は、例えば140℃以下であり、120℃以下であってもよい。また、第1溶着処理において印加する圧力(面圧)は、例えば、0.3MPa以上であり、0.5MPa以上であってもよい。一方、上記圧力は、例えば5MPa以下である。また、第1溶着処理における溶着時間は、例えば、0.5秒間以上、5秒間以下である。
【0044】
(2)第2溶着処理
本開示における第2溶着処理は、上記第1溶着処理の後に、上記第1加工領域よりも上記活物質層側に設定した第2加工領域に対して、上記第1方向における両側から、加熱および加圧を行い、上記第1枠部材および上記第2枠部材を、上記集電体に熱溶着させる処理である。
【0045】
第2溶着処理における第2加工領域は、第1溶着処理における第1加工領域より、活物質層側に設定される。特に、
図4(c-1)に示すように、機能性部材6における一端t1および他端t2を結ぶ延在方向D
xに沿って、第2加工領域は、第1加工領域より、活物質層側(図面上側)に設定されることが好ましい。また、
図4(c-1)に示すように、第2溶着処理における加工領域Rは、機能性部材6を含まない領域であることが好ましい。一方、特に図示しないが、第2溶着処理における加工領域は、機能性部材の一部を含む領域であってもよい。
【0046】
図4(c-1)、(c-2)、(c-3)に示すように、第2加工領域R
2は、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bと重複する集電体1を含む第1領域R
21と、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bと重複しない集電体1を含む第2領域R
22と、を含むことが好ましい。
【0047】
第2溶着処理では、通常、加熱された治具を、第1枠部材および第2枠部材に、それぞれ押し付ける。上記治具は、例えば、インパルスシーラーまたはヒートシーラ―である。また、第2溶着処理に用いる治具は、第1溶着処理に用いる治具と同じであることが好ましい。第2溶着処理における加熱温度は、第1枠部材および第2枠部材を、集電体に熱溶着させることができる温度であれば特に限定されず、第1枠部材および第2枠部材の材料に応じて、適宜設定される。第2溶着処理における加熱温度は、第1溶着処理における加熱温度より高いことが好ましい。シール性が良好な電極部材が得られるからである。第2溶着処理における加熱温度と、第1溶着処理における加熱温度との差は、例えば5℃以上であり、10℃以上であってもよく、20℃以上であってもよい。一方、上記差は、例えば50℃以下である。
【0048】
ここで、第1枠部材を構成する樹脂の融点をTM1とする。第2溶着処理における加熱温度は、例えば、(TM1+15)℃以上、(TM1+65)℃以下であることが好ましい。例えば、第1枠部材を構成する樹脂が、融点125℃のポリエチレンである場合、第2溶着処理における加熱温度は、140℃以上、190℃以下であることが好ましい。また、第2枠部材を構成する樹脂の融点をTM2とする。第2溶着処理における加熱温度は、例えば、(TM2+15)℃以上、(TM2+65)℃以下であることが好ましい。第1枠部材および第2枠部材を構成する樹脂は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第1枠部材および第2枠部材を構成する樹脂が異なる場合、第2溶着処理における加熱温度は、TM1およびTM2のうち、高い融点を基準として、+15℃以上、+65℃以下であることが好ましい。
【0049】
第2溶着処理における加熱温度は、上記のように、第1枠部材および第2枠部材の材料に応じて、適宜設定されるが、例えば120℃以上であり、140℃以上であってもよい。一方、上記加熱温度は、例えば170℃以下であり、150℃以下であってもよい。また、第2溶着処理において印加する圧力(面圧)は、例えば、0.3MPa以上であり、0.5MPa以上であってもよい。一方、上記圧力は、例えば5MPa以下である。また、第2溶着処理における溶着時間は、例えば、0.5秒間以上、5秒間以下である。
【0050】
(3)仮溶着処理
本開示における仮溶着処理は、上記第1溶着処理の前に、上記第1枠部材および上記集電体、ならびに、上記第2枠部材および上記集電体を、点溶着により、それぞれ固定する工程である。仮溶着処理を行うことで、第1溶着処理の際に、枠部材および集電体の位置ズレが生じることを防止できる。
【0051】
図4(a-1)、(a-3)に示すように、仮溶着処理では、通常、加熱された治具20を、第1枠部材5aおよび第2枠部材5bに、それぞれ押し付ける。それにより、仮溶着点7が形成される。上記治具において、枠部材への当接面の形状は、特に限定されないが、例えば、円形、四角形が挙げられる。また、上記治具において、枠部材に押し付ける面の径は、例えば1mm以上7mm以下であり、2mm以上5mm以下であってもよい。上記治具は、例えば、溶着コテである。
【0052】
仮溶着処理における加熱温度は、第1枠部材および第2枠部材を、集電体に熱溶着させることができる温度であれば特に限定されず、第1枠部材および第2枠部材の材料に応じて、適宜設定される。ここで、第1枠部材を構成する樹脂の融点をTM1とし、第2枠部材を構成する樹脂の融点をTM2とする。TM1およびTM2は、同じであってもよく、異なっていてもよい。仮溶着処理における第1枠部材側の加熱温度は、例えば、(TM1-15)℃以上、(TM1+5)℃以下であることが好ましい。例えば、第1枠部材を構成する樹脂が、融点125℃のポリエチレンである場合、仮溶着処理における第1枠部材側の加熱温度は、110℃以上、130℃以下であることが好ましい。仮溶着処理における第2枠部材側の加熱温度は、例えば、(TM2-15)℃以上、(TM2+5)℃以下であることが好ましい。
【0053】
仮溶着処理における加熱温度は、上記のように、第1枠部材および第2枠部材の材料に応じて、適宜設定されるが、例えば110℃以上であり、130℃以上であってもよい。一方、上記加熱温度は、例えば170℃以下であり、150℃以下であってもよい。また、仮溶着処理において印加する圧力(面圧)は、例えば、5kN以上であり、10kN以上であってもよい。一方、上記圧力は、例えば30kN以下であり、15kN以下であってもよい。る。また、仮溶着処理における溶着時間は、例えば、0.5秒間以上、5秒間以下である。
【0054】
また、第1溶着処理における第1加工領域は、上記仮溶着点を含むことが好ましい。
図4(b-1)に示すように、仮溶着点7は、機能性部材6における一端t1および他端t2を結ぶ延在方向D
xにおいて、機能性部材6における一端t1の近傍から、集電体1の端部t3(機能性部材6における一端t1および他端t2の間に位置する、集電体1の端部)までに配置されていることが好ましい。また、第2溶着処理における第2加工領域は、上記仮溶着点を含まないことが好ましい。
【0055】
4.電極部材
本開示における電極部材は、電池に用いられる。電池の詳細については、後述する。
【0056】
B.電池の製造方法
図6は、本開示における電池の製造方法を例示するフロー図である。
図6に示すように、本開示における電池の製造方法は、電極部材準備工程およびシール部材形成工程を少なくとも有する。通常は、シール部材形成工程の後に、電解液供給工程および供給孔封止工程を行う。
【0057】
本開示によれば、上述した電極部材を用いることで、集電体にシワが生じることを抑制した電池が得られる。
【0058】
1.電極部材準備工程
本開示における電極部材準備工程については、上記「A.電極部材の製造方法」に記載した内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。例えば、
図7に示すように、電極部材EMとして、バイポーラ電極BP
1、バイポーラ電極BP
2、正極側端部電極CAおよび負極側端部電極ANを準備する。
【0059】
2.シール部材形成工程
本開示における複数の上記電極部材を、上記第1方向に積層して電極積層体を形成し、上記電極積層体における上記第1枠部材および上記第2枠部材を熱溶着し、シール部材を形成する工程である。
【0060】
例えば
図7に示すように、バイポーラ電極BP
1における負極活物質層3と、バイポーラ電極BP
2における正極活物質層2とを、セパレータ4を介して、対向させる。この際、セパレータ4の外縁の少なくとも一部が、隣り合う枠部材5の間に配置される。また、バイポーラ電極BP
1における枠部材5と、バイポーラ電極BP
2における枠部材5との間に、枠部材(スペーサ)15を配置する。次に、正極側端部電極CAを、セパレータ4を介して、バイポーラ電極BP
2に積層し、負極側端部電極ANを、セパレータ4を介して、バイポーラ電極BP
1に積層する。その後、積層された複数の枠部材を熱溶着することで、シール部材が形成される。また、特に図示しないが、電極部材を積層する際に、隣り合う枠部材の間に入れ子を配置し、上記シール部材の形成後に入れ子を抜くことで、電解液を供給するための供給孔が形成される。
【0061】
3.その他の工程
本開示における電池の製造方法は、上述した供給孔を介して、電極積層体の内部に電解液を供給する電解液供給工程を有していてもよい。また、本開示における電池の製造方法は、電解液供給工程の後に、供給孔を封止する供給孔封止工程を有していてもよい。
【0062】
4.電池
図8に示すように、本開示における電池10は、複数の電極シートESが第1方向D
1に積層され、かつ、電解液を含む、電極体EBと、電極体EBの外縁に配置されたシール部材50と、一端t1が集電体1と電気的に接続され、他端t2がシール部材50から突出した機能性部材6と、を有する。
【0063】
本開示における電池は、リチウムイオン二次電池等の二次電池であることが好ましい。また、本開示における電池の用途としては、例えば、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(BEV)、ガソリン自動車、ディーゼル自動車等の車両の電源が挙げられる。特に、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)または電気自動車(BEV)の駆動用電源に用いられることが好ましい。また、本開示における電池は、車両以外の移動体(例えば、鉄道、船舶、航空機)の電源として用いられてもよく、情報処理装置等の電気製品の電源として用いられてもよい。
【0064】
本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本開示における特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本開示における技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0065】
1…集電体
2…正極活物質層
3…負極活物質層
4…セパレータ
5…枠部材
10…電池