(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126330
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 25/09 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
A61M25/09 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034633
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】390030731
【氏名又は名称】朝日インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111615
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】中川 雄太
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA29
4C267BB03
4C267BB11
4C267BB12
4C267CC08
4C267CC20
4C267CC23
4C267FF03
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】簡易な構造でありながらも、病変部位や狭窄部位の裂け目に押し込みやすい医療デバイスを提供する。
【解決手段】医療デバイス(ガイドワイヤ)10は、長尺状の本体1と、本体1の軸方向に沿って本体1の外周に設けられている少なくとも一の構造体2a、2bと、を備える。構造体2a、2bの軸方向に垂直な断面における外形の大きさが、本体1の軸方向に垂直な断面における外形の大きさよりも小さくてもよい。構造体2a、2bが複数設けられている場合において、複数の構造体2a、2bの一部が、本体1の外周の第一領域に設けられており、複数の構造体2a、2bの残りが、本体1の軸を挟んで第一領域に対向する第二領域に設けられていてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の本体と、
前記本体の軸方向に沿って前記本体の外周に設けられている少なくとも一の構造体と、を備える医療デバイス。
【請求項2】
前記構造体の軸方向に垂直な断面における外形の大きさが、前記本体の軸方向に垂直な断面における外形の大きさよりも小さい、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記構造体が複数設けられている場合において、
複数の前記構造体の一部が、前記本体の外周の第一領域に設けられており、
複数の前記構造体の残りが、前記本体の軸を挟んで前記第一領域に対向する第二領域に設けられている、請求項1又は2に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に挿入される医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ガイドワイヤやカテーテル等の医療デバイスを体内に挿入する際、例えば消化管壁に形成された穿孔や、疾患により狭窄した部位のような通過しにくい場所によって、目標位置へと前進させていくことが難しくなることがある。このような閉塞部であっても容易に通過できるように、例えば特許文献1には、先端部の外周面に螺旋状の凸部(ねじ山部材)が形成されたガイドワイヤが開示されている。このようなガイドワイヤの先端部を閉塞部に押し込み、ガイドワイヤをねじ山部材の螺旋形パターンに合わせて所定の方向に回転させながら押し込んでいくことで、ガイドワイヤの先端部が閉塞部に螺旋状に進入し続け、最終的に閉塞部を通り抜けることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているような医療デバイスでは、スムーズに先端部を閉塞部に進入させていくために、回転させながら押し込んでいかなければならず、手技者に負担がかかるという問題がある。また、医療デバイスの先端部にねじ山部材を形成することが、当該医療デバイスの製造工程を複雑化させることにも繋がりかねない。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構造でありながらも、病変部位や狭窄部位の裂け目に押し込みやすい医療デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、長尺状の本体と、前記本体の軸方向に沿って前記本体の外周に設けられている少なくとも一の構造体と、を備える医療デバイスを提供する(発明1)。
【0007】
一般に、体内の閉塞部では組織が層状に重なっていることが多く、その層状になっている部分の裂け目を拡げるようにして医療デバイスを押し込むことができれば、医療デバイスを回転させたり、強く力を入れたりすることなく、医療デバイスを進入させていくことができる。かかる発明(発明1)によれば、本体の外周に本体とは別体の構造体を軸方向に沿って隣設することにより、進入方向から見た医療デバイスの外形が楕円形状(一方向の幅が直交する他方向の幅よりも大きい形状)に近づくため、簡易な構造でありながらも、病変部位や狭窄部位の裂け目に医療デバイスを押し込みやすくなる。また、医療デバイスが通過した後に閉塞部に形成された孔が楕円形状になることで、後続のデバイスが当該閉塞部を通過しやすくなる。
【0008】
上記発明(発明1)においては、前記構造体の軸方向に垂直な断面における外形の大きさが、前記本体の軸方向に垂直な断面における外形の大きさよりも小さいことが好ましい(発明2)。
【0009】
かかる発明(発明2)によれば、進入方向から見た医療デバイス全体の外形が、より楕円形状に近づくため、病変部位や狭窄部位の裂け目に医療デバイスをより押し込みやすくなる。
【0010】
上記発明(発明1、2)においては、前記構造体が複数設けられている場合において、複数の前記構造体の一部が、前記本体の外周の第一領域に設けられており、複数の前記構造体の残りが、前記本体の軸を挟んで前記第一領域に対向する第二領域に設けられていることが好ましい(発明3)。
【0011】
かかる発明(発明3)によれば、構造体が本体の両側に配置されることになり、進入方向から見た医療デバイス全体の外形が、より扁平な楕円形状に近づくため、病変部位や狭窄部位の裂け目に医療デバイスをさらに押し込みやすくなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構造でありながらも、病変部位や狭窄部位の裂け目に押し込みやすい医療デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤの構造を示す説明図である。
【
図2】同実施形態に係るガイドワイヤの先端部の構造を示す説明図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係るカテーテルの構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態に係るガイドワイヤ10を図面に基づいて説明する。ガイドワイヤ10は、血管や消化器官等にカテーテルを挿入する際に用いられる医療デバイスであり、ガイドワイヤ10の先端側が体内に挿入される側、ガイドワイヤ10の基端側が医師等の手技者によって操作される側である。本発明は、以下に説明する実施形態にのみ限定されるものではなく、記載された実施形態はあくまでも本発明の技術的特徴を説明するための例示にすぎない。また、各図面に示す形状や寸法はあくまでも本発明の内容の理解を容易にするために示したものであり、実際の形状や寸法を正しく反映したものではない。
【0015】
本明細書において、「先端側」とは、ガイドワイヤの軸線方向に沿う方向であって、ガイドワイヤが標的部位(拡張対象となる穿孔や部位)に向かって進行する方向を意味する。「基端側」とは、ガイドワイヤの軸線方向に沿う方向であって、上記先端側と反対の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「基端」とは、任意の部材または部位における基端側の端部をそれぞれ示す。さらに、「先端部」とは、任意の部材または部位において、その先端を含み上記先端から基端側に向かって上記部材等の中途まで延びる部位を指し、「基端部」とは、任意の部材または部位において、その基端を含みこの基端から先端側に向かって上記部材等の中途まで延びる部位を指す。なお、
図1においては、図示左側が体内へと挿入される「先端側」であり、図示右側が手技者によって操作される「基端側」である。
【0016】
図1は、本実施形態に係るガイドワイヤ10の全体構造を示す説明図であり、
図2は、ガイドワイヤ10の先端部の構造を示す説明図であって、
図1におけるA-A線上の切断面(軸方向に垂直な断面)を示す断面図である。
図1に示すように、ガイドワイヤ10は、長尺状の本体1と、本体1の先端部の外周に設けられた二つの構造体2a、2bとを備える。本体1は、長尺状のコア3と、コア3の外側に設けられた筒状体4とを備え、本体1の先端には、コア3と筒状体4とを接合する先端チップ5が設けられている。また、筒状体4の基端には、コア3と筒状体4とを固定する固定部6が設けられている。
【0017】
コア3は、ガイドワイヤ10の軸となる長尺状の部材である。
図1及び
図2に示すように、コア3は、先端から基端まで外径が一定に形成された円柱形状を有している。コア3は、例えばステンレス合金(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金、タングステン等の材料で形成することができるが、これに限られるものではなく、コア3自身の切断を防止しかつ柔軟性及び回転伝達性が確保できるものであれば、それ以外の公知の材料によって形成されていてもよいし、複数の異なる素材を組み合わせて形成されていてもよい。また、軸方向においてコア3の外径が部分的に変化していてもよい。
【0018】
筒状体4は、コア3の先端部の外周を覆うようにコア3に巻回されている。筒状体4は、円形断面の1本の素線を螺旋状に巻いて円筒形状に形成した単コイルであってもよいし、複数の素線を撚り合わせた撚線を円筒形状に形成した中空撚線コイルであってもよい。また、筒状体4は、単コイルと中空撚線コイルを組み合わせて構成されていてもよい。筒状体4は、例えば、ステンレス合金(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成することができるが、これに限られるものではなく、上記以外の公知の材料によって形成されていてもよい。本実施形態においては、筒状体4は全体が同一材料の材料で単一の部材として形成されており、その外径は先端から基端まで一定に構成されている。
【0019】
ガイドワイヤ10の先端(すなわち、コア3の先端)には、コア3と筒状体4とを接合する先端チップ5が形成されている。先端チップ5は、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだによって形成され、この金属はんだにより、コアシャフト3の先端と、筒状体4の先端とが固着されている。なお、先端チップ5をエポキシ系接着剤などの接着剤によって形成し、コア3の先端と筒状体4の先端とを接着剤により固着するものとしてもよい。
【0020】
筒状体4の基端には、コア3と筒状体4とを固定する固定部6が形成されている。固定部6は、銀ロウ、金ロウ、亜鉛、Sn-Ag合金、Au-Sn合金等の金属はんだによって形成され、この金属はんだにより、コア3に対して筒状体4の基端が固着されている。なお、固定部6をエポキシ系接着剤などの接着剤によって形成し、コア3と筒状体4の基端とを接着剤により固着するものとしてもよい。
【0021】
本実施形態においては、本体1(の筒状体4)の先端部の外周に、本体1の軸方向に沿って二つの構造体2a、2bが設けられている。二つの構造体2a、2bは同一の形状を有しており、先端から基端まで外径が一定に形成された円柱形状を有している。
図2に示すように、構造体2a、2bの軸方向に垂直な断面の形状は略正円形状であるが、その先端部は先端方向に向かって徐々に断面が小さくなる先細り形状となっている。なお、構造体2a、2bは、本体1の軸方向に沿って設けられているものであれば、特にその形状が限定されるものではない。
【0022】
構造体2a、2bは、例えば、ステンレス合金(SUS302、SUS304、SUS316等)、Ni-Ti合金等の超弾性合金、ピアノ線、ニッケル-クロム系合金、コバルト合金等の放射線透過性合金、金、白金、タングステン、これらの元素を含む合金(例えば、白金-ニッケル合金)等の放射線不透過性合金で形成することができるが、これに限られるものではなく、上記以外の公知の材料、例えば樹脂等によって形成されていてもよい。
【0023】
構造体2a、2bは、例えば筒状体4の外周に溶接することによって本体1に固定されてもよいし、接着等その他の公知の固着手段を用いて本体1に固定されていてもよい。
【0024】
本実施形態に係るガイドワイヤ10は、本体1の外周に本体1とは別体の構造体2a、2bが軸方向に沿って隣設されており、これによって進入方向から見たガイドワイヤ10の外形が楕円形状(一方向の幅が直交する他方向の幅よりも大きい形状)に近づいているため、簡易な構造でありながらも、病変部位や狭窄部位の裂け目に押し込みやすくなる。また、ガイドワイヤ10が通過した後に閉塞部に形成された孔が楕円形状になるため、後続のデバイスが当該閉塞部を通過しやすくなる。
【0025】
図2に示すように、構造体2a、2bの軸方向に垂直な断面における外形の大きさは、本体1の軸方向における垂直な断面における外形の大きさよりも小さくなっている。すなわち、軸方向に垂直な断面において、構造体2a、2bの外郭線で囲まれた領域の大きさが、本体1の外郭線で囲まれた領域の大きさよりも小さい構造体2a、2bを本体1に隣設することで、進入方向から見たガイドワイヤ10全体の外形が、より楕円形状に近づくため、病変部位や狭窄部位の裂け目にガイドワイヤ10をより押し込みやすくなる。なお、ここでいう構造体2a、2bの軸方向に垂直な断面における外形の大きさというのは、構造体2a、2bの軸方向に垂直な断面における断面積ではなく、構造体2a、2bの外郭線で囲まれた領域の大きさである。つまり、構造体2a、2bが中実構造であっても中空構造であってもその外径が同一であれば、軸方向に垂直な断面における外形の大きさは同じであるということになる。また、本体1の軸方向における垂直な断面における外形の大きさというのも、同様に、本体1の軸方向に垂直な断面における断面積ではなく、本体1の外郭線で囲まれた領域の大きさ(本実施形態においては、本体1の先端部にはコア3の周囲に筒状体4が設けられており、当該先端部の外周に構造体2a、2bが設けられているため、コア3の外側に設けられた筒状体4の外郭線で囲まれた領域の大きさ)である。
【0026】
構造体2a、2bは、少なくとも一つが本体1の先端部の外周に設けられていればよく、三つ以上の構造体が設けられていてもよい。本実施形態のガイドワイヤ10では、二つの構造体2a、2bが本体1の軸を挟んで対向するように設けられている。このような構成とすれば、構造体2a、2bが本体1の両側に配置されることになり、進入方向から見たガイドワイヤ10全体の外形が、より扁平な楕円形状に近づくため、病変部位や狭窄部位の裂け目にガイドワイヤ10をさらに押し込みやすくなる。なお、三つ以上の構造体が設けられている場合においては、それらの構造体の一部を本体1の外周の第一領域に設け、それらの構造体の残りを本体1の軸を挟んで第一領域に対向する第二領域に設けてやれば、構造体が二つのグループに分かれて本体1の両側に配置されることになり、進入方向から見たガイドワイヤ10全体の外形が、より扁平な楕円形状に近づくこととなる。
【0027】
以上、本発明に係る医療デバイスの一例として、ガイドワイヤ10について図面に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。例えば、上記実施形態では構造体を先端から基端まで外径が一定に形成された中実構造の円柱形状としているが、構造体が中空形状であってもよいし、外径が一定ではなく断面形状が変化するものであってもよい。また、構造体を、例えば複数の金属素線を巻回して形成されたワイヤロープ構造としてもよい。さらに、構造体は、本体の軸方向に沿ってある程度の幅を有する形状であれば、必ずしも線状/柱状部材でなくともよく、立方体形状や球形状の構造体を本体の外周に設けるようにしてもよい。
【0028】
上記実施形態においては、構造体を本体とは別体としたが、構造体を本体と一体に形成してもよいし、ガイドワイヤの本体の外周面、あるいは本体に構造体を設けたその外周面を、例えば表面に親水性を付与するための親水性樹脂等で、全体的又は部分的にコーティングしたものとしてもよい。また、本体をコアのみで構成し、コアの先端に筒状体が取り付けられていなくてもよい。
【0029】
上記実施形態において説明したガイドワイヤ10の変形例を、
図3を参照しながら以下で説明する。
図3に示された各変形例のガイドワイヤにおいて、上述のガイドワイヤ10と同じ構成については同じ符号を用いており、その説明は省略する。
【0030】
<変形例1>
図3(a)のガイドワイヤ10Aでは、本体1(の筒状体4)の先端部の外周に、本体1の軸方向に沿って二つの構造体2c、2dが、本体1の軸を挟んで対向するように設けられている。二つの構造体2c、2dは同一の形状を有しており、先端から基端まで断面が一定に三角形状に形成された三角柱形状を有している。本体1の軸方向に沿って設けられているものであり、かつ筒状体4の外周に固定可能な形状であれば、構造体の形状は特に限定されるものではない。
【0031】
<変形例2>
図3(b)のガイドワイヤ10Bでは、本体1(の筒状体4)の先端部の外周に、本体1の軸方向に沿って四つの構造体2e、2f、2g、2hが設けられている。四つの構造体は全て円柱形状を有しており、構造体2e及び構造体2gは、構造体2f及び構造体2hよりもそれぞれ外径が小さくなっている。構造体2eと構造体2fとは、二つを重ねて固定した状態で筒状体4の外周に固定されている。同様に、構造体2gと構造体2hとは、二つを重ねて固定した状態で筒状体4の外周に固定されている。
【0032】
四つの構造体2e、2f、2g、2hのうち、構造体2e及び構造体2fが配置されている本体1の外周の領域と、構造体2g及び構造体2hが配置されている本体1の外周の領域とは、本体1の軸を挟んで対向するように設けられている。このような構成とすれば、四つの構造体構造体2e、2f、2g、2hが二つのグループに分かれて本体1の両側に配置されることになり、進入方向から見たガイドワイヤ10全体の外形が、より扁平な楕円形状に近づくため、病変部位や狭窄部位の裂け目にガイドワイヤ10をさらに押し込みやすくなる。
【0033】
<変形例3>
図3(c)のガイドワイヤ10Cでは、本体1(の筒状体4)の先端部の外周に、本体1の軸方向に沿って二つの構造体2i、2jが、本体1の軸を挟んで対向するように設けられている。構造体2iは中実構造の円柱形状、構造体2jは中空形状の円筒形状を有しており、構造体2iは構造体2jよりも外径が小さくなっている。このように複数設けられている構造体の大きさや形状が異なるものであってもよく、本体1の軸を挟んで対称に配置されていなくてもよい。
【0034】
<変形例4>
図3(d)のガイドワイヤ10Dでは、本体1(の筒状体4)の先端部の外周に、本体1の軸方向に沿って五つの構造体2k、2l、2m、2n、2oが設けられている。五つの構造体は全て同一の円柱形状を有しており、構造体2k、2l、2mの三つの構造体が配置されている本体1の外周の領域と、構造体2n、2oの二つの構造体が配置されている本体1の外周の領域とは、本体1の軸を挟んで対向するように設けられている。また、構造体2k、2l、2mの三つの構造体は接した状態で、構造体2n、2oの二つの構造体は離した状態で、本体1の外周に固定されている。このように複数の構造体をアンバランスに分けて本体1の軸の両側に配置してもよい。
【0035】
〔第2実施形態〕
ガイドワイヤ以外の医療デバイス、例えばカテーテル等に本発明を適用することもできる。
図4には、本発明の第2実施形態に係るカテーテル7の構造が示されており、(a)はカテーテル7を部分的に断面で示した全体図であり、(b)は、(a)におけるB-B線上の切断面(軸方向に垂直な断面)を示す断面図である。カテーテル7は、ルーメン72を内部に有するシャフト71を備え、シャフト71の先端には先端チップ73が、シャフト71の基端にはコネクタ74が取り付けられている。なお、ルーメン72を内部に有するシャフト71が本発明における「本体」に相当する。
【0036】
ルーメン72は、先端側の開口がシャフト71の先端に取り付けられた先端チップ73の内部に配置されて先端チップ73に接続されており、基端側の開口がシャフト71の基端に取り付けられたコネクタ74の内部に配置されてコネクタ74に接続されている。
【0037】
シャフト71及びルーメン72は、例えば、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、シリコーン、フッ素樹脂など樹脂材料等で形成することができるが、これに限られるものではなく、体腔内に挿通されることを考慮して、抗血栓性、可撓性及び生体適合性を有している上記以外の公知の材料によって形成されていてもよい。
【0038】
先端チップ73は、シャフト71の先端に接続された筒状(中空形状)の部材である。先端チップ73を構成する材料としては、シャフト71を構成する材料よりも柔軟な材料で形成するものとすることができ、例えば、ポリウレタン、ポリウレタンエラストマー、ポリアミド、ポリアミドエラストマーなどの樹脂材料等が挙げられる。また、X線を照射した際に視認することができるよう、これらの樹脂材料にはタングステン等の粉末が混錬されていてもよい。
【0039】
コネクタ74は、手技者が当該カテーテル7を把持するための樹脂製の部材であり、シャフト71の基端に接続されている。
【0040】
本実施形態においては、シャフト71の先端部の外周に、シャフト71の軸方向に沿って二つの構造体75a、75bが設けられている。二つの構造体75a、75bは同一の形状を有しており、先端から基端まで外径が一定に形成された円柱形状を有している。構造体75a、75bの軸方向に垂直な断面の形状は略正円形状であるが、その先端部は先端方向に向かって徐々に断面が小さくなる先細り形状となっている。
【0041】
本実施形態に係るカテーテル7は、シャフト71の外周にシャフト71とは別体の構造体75a、75bが軸方向に沿って隣設されており、これによって進入方向から見たカテーテル7の外形が楕円形状(一方向の幅が直交する他方向の幅よりも大きい形状)に近づいているため、簡易な構造でありながらも、病変部位や狭窄部位の裂け目に押し込みやすくなる。また、カテーテル7が通過した後に閉塞部に形成された孔が楕円形状になるため、後続のデバイスが当該閉塞部を通過しやすくなる。
【符号の説明】
【0042】
10、10A、10B、10C、10D ガイドワイヤ
1 本体
2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i、2j、2k、2l、2m、2n、2o 構造体
3 コア
4 筒状体
5 先端チップ
6 固定部
7 カテーテル
71 シャフト
72 ルーメン
73 先端チップ
74 コネクタ
75a、75b 構造体