(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012635
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】単面板セット及び多面板
(51)【国際特許分類】
A47G 1/02 20060101AFI20240123BHJP
A47G 1/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A47G1/02 M
A47G1/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023195124
(22)【出願日】2023-11-16
(62)【分割の表示】P 2023044088の分割
【原出願日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】P 2022045727
(32)【優先日】2022-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】522114014
【氏名又は名称】株式会社SPACE BEAUTY LAB
(74)【代理人】
【識別番号】100151367
【弁理士】
【氏名又は名称】柴 大介
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】笠原 修司
(57)【要約】
【課題】屈曲及び折畳可能で軽量な(多面鏡として使用する場合は被着体に取り外し可能に接着できる)多面板を構成できる単面板のセット及び当該単面板セットで構成される多面板を提供する。
【解決手段】 複数の単面板で構成される単面板セットであって、
前記単面板は、対向する2表面を備え、前記2表面の各表面は端縁部を備え、
前記複数の単面板は互いに、それぞれの単面板の端縁部で連結及び連結解除をすることができ、
連結された前記単面板が、前記端縁部で、
互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ、
互いに対して折畳及び展開をすることができ、さらに、
前記単面板が鏡体であり、前記多面板を多面鏡として構成する場合は、
前記連結された単面板で構成される前記多面鏡を、被着体に取り外し可能に接着でき、
前記連結された単面板を、地球重力環境下で使用する場合は、前記単面板の重量が500g以下である単面板セット。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単面板で構成される単面板セットであって、
前記単面板は、対向する2表面を備え、前記2表面の各表面は端縁部を備え、
前記複数の単面板は互いに、それぞれの単面板の端縁部で連結及び連結解除をすることができ、
連結された隣接する前記単面板が、前記端縁部で、
互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ、
互いに対して折畳及び展開をすることができ、さらに、
前記単面板の対向する2表面の少なくとも1表面が鏡面として機能する鏡体であり、
前記複数の単面板が連結された多面板は、
宇宙船内の被着体に取り外し可能に接着できる態様で、前記宇宙船内の無重力環境で使用するためのものである、単面板セット。
【請求項2】
請求項1記載の多面板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単面板を構成する複数の単面板を連結して折畳可能な軽量な(多面鏡として使用する場合は被着体に取り外し可能に接着できる)多面板として使用できる単面板セット及び多面板に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の単面板を連結した折畳可能な多面板は、しばしば日用品や作業用具として使われる。
例えば、典型的な例として折畳可能な三面鏡が挙げられる。
【0003】
通常、人が鏡で自身を見る場合、単面鏡を固定して、当該単面鏡の鏡面の前で人が自身の体を水平方向に回転させて、自身の前面、側面及び背面(以下では、側面及び背面を「背面側」ともいう)を当該単面鏡で見ることが多い。
【0004】
しかし、人が自身の前面を固定した単面鏡の鏡面に向け、人の背面側に鏡面を向けた三面鏡を固定して、固定された前面の鏡面に反射して映る三面鏡に映る自身の背面を見ることも可能である(例えば、特許文献1)。
【0005】
特許文献1では、人の背面側を映すための三面鏡は、特許文献1
図1のように天井から伸びる支持体と結合した「天井収納方式」(「天井吊り下げ固定式」(特許文献1段落0010))又は「台付き床置き方式」が好ましいとされる(特許文献1段落0007)。
【0006】
「台付き床置き方式」としては、例えば、特許文献2
図1に開示される態様が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3114105号公報
【特許文献2】特開平10-137032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1及び2に開示される人の背面側に鏡面を向けた三面鏡は、各単面鏡が折畳及び展開が自在にできても、各単面鏡が相応に重く、収納ケース等付属品の重さも加わり、折り畳んで携帯するには適当とはいえない。
【0009】
本発明は、屈曲及び折畳可能で軽量な(多面鏡として使用する場合は被着体に取り外し可能に接着できる)多面板を構成できる単面板のセット(以下「単面板セット」という)及び当該単面板セットで構成される多面板を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
〔1〕複数の単面板で構成される単面板セットであって、
前記単面板は、対向する2表面を備え、前記2表面の各表面は端縁部を備え、
前記複数の単面板は互いに、それぞれの単面板の端縁部で連結及び連結解除をすることができ、
連結された前記単面板が、前記端縁部で、
互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ、
互いに対して折畳及び展開をすることができ、さらに、
前記単面板が鏡体であり、前記多面板を多面鏡として構成する場合は、
前記連結された単面板で構成される前記多面鏡を、被着体に取り外し可能に接着でき、
前記連結された単面板を、地球重力環境下で使用する場合は、前記単面板の重量が500g以下である単面板セット(以下「本発明1」ともいう)、
〔2〕複数の単面板で構成される単面板セットであって、
前記単面板は、対向する2表面を備え、前記2表面の各表面は端縁部を備え、
前記複数の単面板は互いに、それぞれの単面板の端縁部で連結及び連結解除をすることができ、
連結された前記単面板が、前記端縁部で、
互いに対して所定の範囲の角度φで屈曲形態をとることができ、
互いに対して折畳及び展開をすることができ、
連結された1組の単面板における一の単面板に隣接する単面板の端縁部が、当該一の単面板と当該隣接する単面板との連結部を跨いで、当該一の単面板の一方の面に接触して、当該一の単面板と当該隣接する単面板とが所定の角度を超えないように構成されており、
さらに、
前記単面板が鏡体であり、前記多面板を多面鏡として構成する場合は、
前記連結された単面板で構成される前記多面鏡を、被着体に取り外し可能に接着でき、
前記連結された単面板を、地球重力環境下で使用する場合は、前記単面板の重量が500g以下である単面板セット(以下「本発明2」ともいう)、並びに、
〔3〕前項〔1〕又は〔2〕記載の複数の単面板の端縁部が連結してなる多面板(以下、「前項〔1〕記載の複数の単面板の端縁部が連結してなる多面板」を「本発明3-1」、「前項〔2〕記載の複数の単面板の端縁部が連結してなる多面板」を「本発明3-2」、本発明3-1及び本発明3-2をまとめて「本発明3」ともいう)に関する(以下、本発明1~3をまとめて「本発明」ともいう)。
【0011】
なお、「鏡体」とは、単面板の表面の少なくとも1つが鏡面として機能している場合及び単面板の表面に鏡面板が積層して構成される場合を含む単面板の態様をいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、屈曲及び折畳可能で軽量な(多面鏡として使用する場合は被着体に取り外し可能に接着できる)多面板を構成できる単面板のセット及び当該単面板セットで構成される多面板を提供することができる。
【0013】
なお、本明細書における単面板及び多面板についての説明は、単面板が単面鏡で、多面板が多面鏡の場合にも成立する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明1における単面板の形態例であり、(a)正面図、(b1)単面板(1)の表面がほぼ平行(θ≒0°)で単面板(1)の内部の一部が空洞である場合の平面図、(b2)単面板(1)の表面(SF)がほぼ平行(θ≒0°)で単面板(1)の内部が密実である場合の平面図、(b3)単面板(1)の表面(SF)が平行でなく(θ>0°)、単面板(1)の内部が密実である場合の平面図、(c1)平面図(b1)に対応する右側面図、(c2)平面図(b2)に対応する右側面図である。
【
図1-2】本発明1における単面板(1)の、正面図(a1)、平面図(b1)及び右側面図(c1)で示される形態例2、並びに、正面図(a2)、平面図(b2)及び右側面図(c2)で示される形態例3である。
【
図2】本発明1における単面板(1)の形態例であり、(a)表面(SF)の形状が楕円形の単面板と(b)表面(SF)の形状が平行四辺形の単面板(1)である。
【
図3】本発明1の単面板(1)で構成された本発明
3の多面板(2)が四面板の場合の平面視の形態例であり、太い直線は単面板(1)の平面視の側面の模式図、黒丸は単面板(1)と単面板(1)を連結する連結部(JT)の平面視の模式図であり、(a)隣接する単面板(1)が全て連結部で連結されている形態、(b)(c)(d)(e)1か所が連結されておらず、4枚の単面板(1)が屈曲して連結する場合、(f)1か所が連結されておらず、単面板(1)が屈曲せず真っ直ぐに連結する場合、(g)1か所が連結されておらず、単面板(1)が折り畳まれている場合である。
【
図4】本発明1の単面板(1)で構成された本発明
3の多面板(2)が四面板であり、連結部(JT)を構成する屈曲自在シート(SJT)が、(a)連結する端縁部の方向の一部だけ両単面板(1)の端縁部に跨って結合している場合であり、(b)連結する端縁部の方向に沿って両単面板(1)の端縁部に跨って結合している場合であり、形態(b)の四面板において、(c)両端の単面板(1-1及び1-4)が連結部(JT-1及びJT-3)で折り畳まれて、(c1)隣接する内側の単面板(1-2及び1-3)上に折り畳まれている形態であり、(c2)さらに内側で隣接する単面板(1-2及び1-3)が連結部(JT-2)で折り畳まれた形態である。
【
図5-1】屈曲形態の四面板(2)の接着部(AM)の被着体(AH)の面への取り外し可能な接着態様の、平面視での模式図である。(a)四面板(2)の連結部(JT)に接着部(AM)がある場合の垂直な被着体(AH)の面への接着態様である。(b)四面板(2)の1つの単面板(1)の表面に接着部(AM)がある場合の垂直な被着体(AH)の面への接着態様である。(c)四面板(2)の4つの単面板(1)の表面に接着部(AM)がある場合の垂直な被着体(AH)の面への接着態様である。(d)四面板(2)の1つの単面板(1)の表面に接着部(AM)がある場合の傾斜した被着体(AH)の面への接着態様である。傾斜した被着体として、例えば、
図5-1(d)の被着体(AHS)のように、置台(AHM)上に、被着用プレート(AHP)を結合した、例えば、向きを自在に変えられるフレキシブルアーム(AHF)を設置した被着用スタンド(AHS)を用意して、被着用スタンド(AHS)を好みの場所に置き被着用プレート(AHP)を好みの向きと角度にして、被着用プレート(AHP)表面に四面板(2)の接着部(AM)を接着させた接着態様である。
【
図5-2】屈曲形態の4面板(2)の接着部(AM)が単面板(1)の端縁部にある場合の、垂直な被着体(AH)の面への接着態様の正面視の模式図である。(e)接着部(AM)が連結部(JT)に沿った方向に設置されている場合の接着態様である。(f)接着部(AM)が連結部(JT)に垂直な方向に設置されている場合の接着態様である。
【
図6】四面板(2)の末端の単面板(1)が、隣接する単面板(1)に対して、連結部(JT)で捩じれた向きに回転することができる態様の模式図である。
【
図7】四面板を屈曲・展開可能で屈曲形態を維持できるように、隣接する単面板(1)の連結する側の端縁部に、両単面板(1)の端縁部に跨って、取り外しが可能であるように屈曲自在シート(SJT)で、単面板を結合する屈曲自在シートジョイントの形態例1である。
【
図8】多面板(2)を屈曲・展開可能で屈曲形態を維持できるように、隣接する単面板(1)の連結する側の端縁部に、両単面板(1)の端縁部に跨って、取り外しが可能であるように、屈曲自在シート(SJT)で、単面板(1)を結合する屈曲自在シートジョイントの形態例2で、(a)屈曲自在シート(SJT)が、シートジョイント用ベルト通し(SJTBC)に通したシートジョイント用ベルト(SJTB)をシートジョイント用ベルト止め(SJTBS)で固定した態様例と、(b)屈曲自在シート(SJT)が、シートジョイント用スリット(SJTS)に通したシートジョイント用ベルト(SJTB)をシートジョイント用ベルト止め(SJTBS)で固定した態様例である。
【
図9-1】隣接する単面板(1)の連結される側の端縁部の方向に沿って、互いに抜き差し可能にヒンジ(HG)又はトルクヒンジ(TH)を設置し、互いに差し込んだ状態(例えば、
図9-1(a)(b))でヒンジ(HG)(トルクヒンジ(TH)に置き換えても同様である)の回転を固定したり解除するようにする回転固定ジョイントの態様例である。
【
図9-2】単面板(1)が回転固定ジョイントで連結された四面板(2)の態様例であり、(a)はその正面図であり、(b)はその平面図である。
【
図10】単面板(1)の少なくとも端縁部を磁性素材で形成して、隣接する単面板を磁力で連結する磁性ジョイントの態様例である(屈曲形態を維持するため、連結部の一部を屈曲形態固定ジョイント(3)で固定している)(a)4枚の単面板(1)を並列させて磁性ジョイントで連結した四面板(2)の態様例と、(b)全ての端縁部が磁性素材で形成されている4枚の単面板(1)が、縦横2枚ずつ連結した四面板(2)の態様例と、(c)4枚の単面板(1)を並列させて磁性ジョイントで連結し、さらに、左から2つ目の単面板(1)の上下に単面板(1)を連結してなる六面板(2)の態様例である。
【
図11】隣接する単面板(1)の屈曲部端縁の側面に互いにスライドレール(SR)を設置し、スライドレール(SR)のレール沿いに自在に移動できるようにスライドフック(SH)を差し込み、さらに、それぞれのスライドフック(SH)を、スライドレール(SR)とスライドフック(SH)の間に挟んだスライドリングレール(SRR)内に差し込んで連結してなるスライドレールジョイントの態様例であり、(a)はその正面図であり、(b)はその平面図、(c)は、スライドレールジョイントで連結された四面板の態様例の平面図である。
【
図12】単面板(1)の表面又は内部の面方向に糸、ゴム又はワイヤー等の紐状体(ST)が通る溝を面全体に格子状に作り、当該溝に紐状体(ST)を通して、隣接する単面板(1)を跨いで繋げることで、隣接する単面板を屈曲・展開させることができるインナーストリングジョイントの態様例である。
【
図13】端縁部で連結する単面板(1)の一方の側の端縁部の側面が屈曲自在シート(SJT)の収納スペース(SP)を有し、(a)屈曲形態が確定したら、(b)屈曲自在シート(SJT)を収納スペース(SP)の出入口(SPM)から収納スペース(SP)に収納し、隣接する単面板の距離(連結した端縁部間の隙間)を小さく(δを最小又は約0に)調整することができる連結部収納式の収納可能ジョイントの形態例である。
【
図14】単面板(1)の連結部の側に、隣接する単面板(1)を出し入れできる出入口(SPM)と収納スペース(SP)を設け、収納スペース(SP)内のスライドレール(図示されていない)に沿って、単面板(1)を出し入れすることができる単面板スライド収納式の収納可能ジョイントの形態例である。 出し入れする単面板(1)の端縁部と収納スペース(SP)の出入口(SPM)とはジョイント機構(図示されていない)で連結しており、出し入れする単面板(1)が収納スペース(SP)の出入口(SPM)から全て露出すると、ジョイント機構によって、露出した単面板(1)は出入口(SPM)と収納スペース(SP)を備える単面板(1)との連結を維持したまま屈曲形態をとることができる。
【
図15-1】任意の角度φを維持できるクリップジョイント(CLJT)(ヒンジ又はトルクヒンジであることが好ましい)で連結された二股クリップ(CL)形態の屈曲形態固定ジョイントの態様例である。 クリップジョイント(CLJT)が二股クリップ(CL)の側面と隣接しており、(a)は、ヒンジ部分から二股クリップ(CL)までの長さが小さい態様であり、(a-1)はその平面図であり、(a-2)はその正面図であり、(a-4)はその側面図であり、(a-3)は、クリップジョイント(CLJT)が角度φで屈曲した場合の平面図である。(b)はヒンジ部分から二股クリップ(CL)までの長さが大きい態様であり、(b-1)はその平面図であり、(b-2)はその正面図であり、(b-4)はその側面図であり、(b-3)は、クリップジョイント(CLJT)が角度φで屈曲した場合の平面図である。
【
図15-2】任意の角度φを維持できるクリップジョイント(CLJT)(ヒンジ又はトルクヒンジであることが好ましい)で連結された二股クリップ(CL)形態の屈曲形態固定ジョイントの態様例である。(c)は、左側のクリップ(CL)の右端にクリップ(CL)面に垂直に捩じれた金属板又は樹脂等の硬質プレート(HP)が接続し、右側のクリップ(CL)の左端にクリップ(CL)面に垂直に捩じれた金属板又は樹脂等の硬質プレート(HP)が接続し、両方の硬質プレート(HP)の端部を重ねて、両方の硬質プレート(HP)の回転状態を締緩できるように、ネジのような締緩機構で固定している。(c-1)はその平面図、(c-2)はその正面図、(b-4)はその側面図であり、(c-3)は、クリップジョイント(CLJT)が角度φで屈曲した場合の平面図である。(d)は任意の角度φを維持できる平蝶番型クリップジョイント(CLJT)で連結された二股クリップ(CL)形態の屈曲形態固定ジョイントの態様例である。(d-1)はその平面図であり、(d-2)はその正面図であり、(d-4)はその側面図であり、(d-3)は、クリップジョイント(CLJT)が角度φで屈曲した場合の平面図である。
【
図16-1】屈曲形態固定ジョイントで屈曲形態が固定された四面板(2)態様例である。(a)
図15-1の態様(b)の屈曲形態固定ジョイントを使用した場合の態様例であり、 屈曲形態固定ジョイントは、単面板(1)の上端部近傍に設けたスライドレール(SR)に沿ってスライドできる。(b)
図15-1の態様(a)の屈曲形態固定ジョイントを使用した場合の態様例である。
【
図16-2】
図15-2(c)に示される二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)で、隣接する単面板(1)をクリップした多面板の形態例である。(a)は、二股クリップジョイント(CLJT)の平面視の拡大写真である。(b-1)(b-2)は、隣接する単面板(1)が平らになった状態(φ≒0°)でクリップされた形態の正面図で、(b-1)はδ>0の形態例で、(b-2)は(b-1)で単面板(1)をクリップ(CL)沿いにスライドさせてδ≒0にした形態例である。(c)は、隣接する単面板(1)が屈曲状態(φ>0°)でクリップされた形態例の斜視図であり、クリップされた単面板(1)は、屈曲状態のまま、クリップ(CL)に沿って二股クリップジョイント(CLJT)の(矢印の)方向にスライドできることを示す。
【
図16-3】
図15-2(c)に示される二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)で、4枚の単面板(1)を連結した四面板(2)の形態例の正面図であり、(a-1)(a-2)(a-3)は表側、(b-1)(a-2)は裏側を示す。(a-1)は、二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)のそれぞれが、隣接する単面板(1)のそれぞれをクリップして、四面板(2)を平らな状態(φ≒0°)で、かつδ≒0になるように固定された形態例である。(a-2)は、二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)の一方のクリップ(CL)が、隣接する単面板(1)の両方をクリップすることで、四面板(2)の平らな状態(φ≒0°)をより強固に固定した形態例である。(a-3)は、左から1枚目と2枚目の単面板(1)が、二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)のそれぞれにクリップされて、屈曲(φ>0°)しており、左から2枚目と3枚目の単面板(1)の距離δが大きくなるように調整され、左から3枚目と4枚目の単面板(1)は平らな状態(φ≒0°)で、1クリップでクリップされるような屈曲形態である。(b-1)(b-2)では、任意の角度φを維持できる二股クリップジョイント(CLJT)の二股クリップ(CL)で、隣接する単面板の幅方向の上下両方の端縁部をクリップする場合であって、上側の端縁部をクリップするクリップ(CL)と下側の端縁部をクリップするクリップ(CL)とが、クリップホルダー(CH)によって接続されている形態である。
【
図17】隣接する単面板(1)の隣接する側の端縁部沿いに収納スペース(SP)が設けてあり、当該収納スペース(SP)内に、端縁部沿いに係合バー(CB)が設置され、隣接する係合バー(CB)に跨って嵌合クリップ(SICL)を嵌め込んで隣接する単面板(1)を連結する屈曲形態固定ジョイントの態様例である。 隣接する係合バー(CB)に嵌合クリップ(SICL)を嵌め込まれて隣接する単面板(1)が連結された四面板の態様例の(a)正面図及び(b)A-A断面図並びに(c)嵌合クリップ(SICL)の斜視図である。
【
図18】多面板(2)を構成する単面板(1)の表面に被着体(AH)に取り外し可能に接着する接着部(AM)を設け、当該接着部(AM)を被着体(AH)の表面に接着させて、多面板(2)を被着体(AH)の表演に固定する接着態様例であり、(a)接着部(AM)が磁性体(MG)である場合の態様例、(b)接着部(AM)がマジックテープ(MT)である場合の態様例、(c)接着部(AM)が吸盤(MT)である場合の態様例である。
【
図19】屈曲形態の安定性の試験方法の模式図である。 隣接する単面板(1)がジョイント機構で連結する四面板(2)について、隣接する単面板(1)のなす角度φにした状態で、末端の単面板(1)の表面の重心を一方の固定端(EE)になるように、伸びずに切れない紐状体(ST)を上方の水平板(HP)の固定端(FE)に接続し、四面板を紐状体(ST)で吊り下げた状態の模式図である。
【
図20-1】実施例の四面鏡(2)である。(a)凹型に屈曲(
図3(d))させた場合(
図20-1(a))の形態である。(b)W型に屈曲(
図3(e))させた場合(
図20-1(b))の形態である。(c)平らな状態(
図3(f))にした状態(
図20-1(c))の形態である。
【
図20-2】実施例の四面鏡(2)の接着形態の例である。(a)実施例の四面鏡(2)の接着部(AM)である。(b)実施例の四面鏡(2)を屈曲させて壁に接着した態様の1例である。(c)実施例の四面鏡(2)を平らな状態にして壁に接着した態様である。
【
図20-3】実施例の四面鏡(2)の屈曲形態固定ジョイント(
図16(b)のタイプ)である。屈曲形態固定ジョイントで単面鏡(1)を連結して、(a-1)φ>0°の屈曲形態で固定している場合の1例であり、(a-2)φ>0°の屈曲形態で固定している場合の1例であり、(b)φ≒180°の屈曲形態(平らな状態)で固定している場合の1例であり、(c)φ≒0°の屈曲形態(折畳状態)で固定している場合の1例である。
【
図20-4】実施例の四面鏡(2)の再端部の単面鏡(1)に折畳収納具(FS)を設置した折畳収納具付き携帯多面板で、(a)は四面鏡(2)を展開して四面鏡として使用する場合であり、(b)四面鏡(2)の一部を折り畳んで三面鏡として使用する場合であり、(c)は四面鏡を折り畳んで折畳収納具に収納した場合を示す。
【
図21】
図1-2(a2)(b2)(c2)に示される形態例3の4枚の単面板(1)を使用した場合の、ジョイント機構10(連結部遮蔽ジョイント)で連結され多面板(2)の、(a)0<φ<180°で展開した形態と、(b)φ≒180°で展開した形態における右側面図である。
【
図22】実施例2の、実施形態例3の単面板(1)を4枚連結してなる本発明3-2の四面鏡(2)で、鉛直下にφ≒180°に展開した四面鏡(2)の(a)はプレート2(PL2)側(1枚目と4枚目のプレート2表面に雌側マジックテープ(MT♀)が設置されている)、(b)はプレート1(PL1)側(壁に設置した雄側マジックテープ(MT♂)にプレート2表面の雌側マジックテープ(MT♀)が接着して、四面鏡(2)は壁に固着されている)であり、(c)は四面鏡(2)の長さ方向の端縁部を机表面に、0<φ<180°の角度で置くか固着させた態様である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
《本発明1》
本発明1は、複数の単面板で構成される単面板セットであって、
前記単面板は、対向する2表面を備え、前記2表面の各表面は端縁部を備え、
前記複数の単面板は互いに、それぞれの単面板の端縁部で連結及び連結解除をすることができ、
連結された前記単面板が、前記端縁部で、
互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ、
互いに対して折畳及び展開をすることができ、さらに、
前記単面板が鏡体であり、前記多面板を多面鏡として構成する場合は、
前記連結された単面板で構成される前記多面鏡を、被着体に取り外し可能に接着でき、
前記連結された単面板を、地球重力環境下で使用する場合は、前記単面板の重量が500g以下である単面板セットである。
【0016】
〔単面板〕
本発明1における単面板(1)は、対向する2表面(SF)を備え、当該2表面(SF)の各表面(SF)は端縁部(ED)を備える(例えば、
図1)。
【0017】
本発明1における単面板(1)の対向する2表面とは、単面板(1)の外部に向く面(以下「単面板の表面」又は「表面」(SF)ともいう)をいい(例えば、
図1(a))、単面板の表面(SF)に挟まれる単面板(1)の内部は一部が空洞であっても(例えば、
図1(b1)(c1))、密実であってもよく(
図1(b2)(c2))、単面板の表面(SF)の間が一定の距離を保つ構造であればよい。なお、以下では、対向する2表面の端縁部(ED)を接続する最小の面積の面を、「単面板の側面」(SD)という。
【0018】
単面板の表面(SF)の態様は平面、凸面又は凹面であってよく、2つの単面板の表面(SF)の態様が異なっていてもよいが、単面板(1)で構成される多面板の折畳状態のコンパクト性の観点から、
両方の単面板の表面(SF)が平面であるか、両方の表面が凹面であるか、
一方の単面板の表面(SF)が平面で他方の表面が凸面又は凹面であるか、
一方の単面板の表面が凸面で他方の表面が凹面であることが好ましい。
【0019】
1つの単面板(1)の2つの表面(SF)の接平面(単面板の表面が平面である場合は当該平面、単面板の表面が凸面の場合は凸部頂点の接平面、単面板の表面(SF)が凹面の場合は凹部頂点の接平面)のなす角度θ(
図1(b3))は、単面板(1)で構成される多面板(2)の折畳状態のコンパクト性の観点から、好ましくは0~45°より好ましくは0~30°、更に好ましくは0~15°、更に好ましくは0~10°、更に好ましくは0~5°、更に好ましくはほぼ0°又は0°(即ち、2つの表面(SF)の接平面の向き合う面がほぼ平行又は平行(
図1(b1)(c1)(b2)(c2))である。
【0020】
単面板の表面(SF)の形状は、任意の曲線及び/又は直線で囲まれた形状であってよく、円形を含む楕円形(例えば、
図2(a))、平行四辺形(例えば、
図2(b))、三角形、多角形、星形、雲形等の任意の曲線及び/又は直線で囲まれた形状であってよいが、単面板(1)で構成される多面板(2)の折畳状態のコンパクト性の観点から、
好ましくは、円形を含む楕円形、平行四辺形、三角形、正多角形を含む多角形、星形又は雲形であり、より好ましくは、楕円形、三角形、平行四辺形又は正多角形であり、更に好ましくは、三角形、矩形又は正六角形であり、更に好ましくは、矩形である。
【0021】
単面板の表面(SF)の面積は、単面板(1)で構成される多面板(2)の折畳のコンパクト性の観点から、好ましくは100~1500cm2、より好ましくは150~1000cm2、更に好ましくは200~800cm2、更に好ましくは250~600cm2、更に好ましくは300~500cm2、更に好ましくは300~400cm2である。
【0022】
単面板の表面(SF)の正面視の輪郭と2点以上で交わる直線が、当該輪郭で切り取られる最長の線分(
図2(a))(単面板(1)の表面の正面視の輪郭が平行四辺形(角丸加工されたものを含む)(
図2(b)))である場合は、当該平行四辺形の長辺に平行な当該輪郭で切り取られる最長の線分)L
LG(以下「長さ」ともいう)(
図2b)の大きさl
LGと、
単面板の表面(SF)の正面視の輪郭と2点以上で交わる線分L
LGに垂直な直線が、当該輪郭で切り取られるが最長の線分L
WD(以下「幅」ともいう)の大きさl
WDの比(l
WD/l
LG)は、単面板と多面板(2)の使い易さの観点から、
好ましくは100/600~100/100、より好ましくは100/500~100/100、
更に好ましくは100/400~100/100、更に好ましくは100/300~100/100、
更に好ましくは100/200~100/100、更に好ましくは100/150~100/100である。
【0023】
単面板の構成としては、例えば、以下の形態例が挙げられる。
【0024】
(単面板の形態例1)
対向する2表面(SF)の、
一方の表面(SF
PL1)を構成するプレート1(PL1)と、
他方の表面(SF
PL2)を構成するプレート2(PL2)と、
プレート1(PL1)の裏面とプレート2(PL2)の裏面と貼合する芯材プレート(PLC)の3層からなり、
プレート1(PL1)、プレート2(PL2)及び芯材プレート(PLC)が同一形状(例えば、角丸長方形で、正面図において端縁部が一致している形態(例えば、
図1の正面図(a)、平面図(b2)、右側面図(c2)で示される形態)。
【0025】
(単面板の形態例2)
一方の表面(SF
PL1)を構成する角丸長方形のプレート1(PL1)と、
他方の表面(SF
PL2)を構成する角丸長方形のプレート2(PL2)とが貼合してなり、
プレート1(PL1)とプレート2(PL2)とが、幅方向に伸びる端縁部が長さ方向に距離Δだけずれて貼合している形態(例えば、
図1-2の正面図(a1)、平面図(b1)、右側面図(c1)で示される形態)。
【0026】
(単面板の形態例3)
一方の表面(SF
PL1)を構成する角丸長方形のプレート1(PL1)と、
他方の表面(SF
PL2)を構成する角丸長方形のプレート2(PL2)と、
プレート1(PL1)の裏面とプレート2(PL2)の裏面と貼合する長方形の芯材プレート(PLC)の3層からなり、
芯材プレート(PLC)の幅方向に伸びる両端縁部が、プレート2(PL2)の幅方向に伸びる少なくとも一の端縁部からはみ出して、芯材プレート(PLC)がプレート2(PL2)を被覆しており、
プレート1(PL1)とプレート2(PL2)とが、幅方向に伸びる端縁部が長さ方向に距離Δだけずれている形態(例えば、
図1-2の正面図(a2)、平面図(b2)、右側面図(c2)で示される形態)。
【0027】
単面板(1)の形態例2及び3は、プレート1(PL1)とプレート2(PL2)とを、又は、更に芯材プレート(PLC)を貼合して形成してもよいし、これらの貼合体の外形を樹脂又は金属を押出成形等の一体成型により形成してもよい。
【0028】
なお、芯材プレートは紙材、樹脂材、軽金属のような軽量の材質であることが好ましい。
【0029】
単面板(1)の重量は、多面板(2)にしたときの屈曲形態安定性と操作し易さの観点から、
地球重力環境下で使用する場合は、
好ましくは10~500g、より好ましくは20~400g、更に好ましくは30~300g、
更に好ましくは40~200g、更に好ましくは50~150g、更に好ましくは80~130gである。
【0030】
本発明1の単面板セットは、2枚以上(好ましくは3枚以上より好ましくは4枚以上)の複数の単面板(1)(必要に応じて、隣接する単面板(1)の連結部(JT)を構成するジョイント機構と共に)構成され、複数の単面板(1)を連結したときの多面板(2)の重量が、多面板(2)の屈曲形態安定性と操作し易さの観点から、地球重力環境下で使用する場合は、好ましくは2kg以下、より好ましくは1.5kg以下、更に好ましくは1.2kg以下、更に好ましくは1.0kg以下、更に好ましくは800g以下、更に好ましくは700g以下、更に好ましくは600g以下、更に好ましくは500g以下、更に好ましくは400g以下、更に好ましくは300g以下である。
【0031】
単面板(1)の対向する2つの表面(SF)間の距離は、2つの表面(SF)の一方の表面(SF)を水平面に静置したときに、2つの表面(SF)が鉛直の直線を切り取ってなる線分の最大距離(以下「単面板の厚み」ともいう)をl
TNとし(
図1(a1)(a2)(a3))、単面板の面積が決まれば、多面板(2)にしたときの屈曲形態安定性と操作し易さの観点から、単面板の重量の上述の好適範囲内で、l
TNが小さくなるようにすることが好ましく、好ましくは0.1~50mm、より好ましくは0.2~30mm、更に好ましくは0.5~20mm、更に好ましくは1~10mm、更に好ましくは1.5~5mm、更に好ましくは1.5~3mmである。
【0032】
単面板(1)を構成する素材と加工板材は、上述の好適範囲の重量に調整する観点と単面板及び多面板の実用物性の観点から、以下が好ましい。
【0033】
(1)紙素材を加工した板材
例えば、以下を例示できる:
ボール紙、板紙、ダンボール、これらのクラフト紙等の繊維素材の紙・不織布;
炭酸カルシウムなどの無機充填材及び/又は樹脂(ポリプロピレン樹脂、アラミド繊維等)の成型素材(例えば、TBM社製「LIMEX紙」、ユポ・コーポレーション社製「ユポ紙」、デュポン社製「ノーメックス紙」);
アルミなどの金属の蒸着膜を堆積させた蒸着紙(例えば、北越コーポレーション社製「パスコ」;植物繊維素材紙を塩化亜鉛等の薬品処理して繊維化して圧縮したバルカナイズドファイバー。
【0034】
(2)木素材を加工した板材
例えば、ヒノキ、ヒバ、クリ、ベイヒバ、ケヤキ、ナラ、オーク、カシ、スギ、マツ、パイン、レッドウッド、ニレ、アカタモ等の天然・植林木材が加工されたベニヤ板、合板、単板積層材(LVL)、集成材、直交集成板(CTL)等が挙げられる。
【0035】
(3)樹脂素材を加工した板材
例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ABS樹脂;AS樹脂;ポリカーボネート樹脂;塩化ビニル樹脂;ポリウレタン;変性ポリフェニレンエーテル;ポリアミド;ポリアセタール;ポリフェニレンスルフィド;ポリアリレート;ポリエーテルスルホン;ポリアミドイミド;ポリ乳酸;ポリカプロラクトン:ポリグリコール酸等を使用した押出・切削・発砲等の成形材、繊維強化プラスチックシート(FRP)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の切削加工用プレート(フェルカーボ)、等が挙げられる。
【0036】
ウレタンボード等の軽量樹脂層を組み込んだ金属フレーム内で、PET等の樹脂フィルムを全面均一に緊張力を与えて平滑鏡面として貼り付けて得られる樹脂加工板材(いわゆるフィルムミラーとして市販されている(例えば、J.フロント建装社製「リフェクスミラー」)。
【0037】
軽量化の観点からは、樹脂の比重が、好ましくは0.9~1.3、より好ましくは0.9~1.2、更に好ましくは0.9~1.1であり、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;エチレン酢酸ビニル共重合樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;セルロースアセテート;エポキシ樹脂;ポリビニルブチラール樹脂;ポリビニルホルマール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;酢酸ビニル樹脂;ブタジエンスチレン樹脂;ポリサルフォン樹脂;アイオノマー樹脂;ABS樹脂;AS樹脂;ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0038】
強度、軽量性、易加工性の観点から、樹脂の成形材が、チップウレタン、チップフォーム等の加工ウレタンであってもよい。
【0039】
単面板の強度・耐衝撃性・耐引裂性の観点からは、アラミド繊維、ポリ-P-フェンレンテレンラミド(例えば、デュポン社製「ケプラー」)、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば、DSM社製「ダイニーマ」)、樹脂被覆金属線(例えば、トワロン社製「トワロン」)、高強度ポリエチレン繊維(例えば、ハネウエル社製「スペクトラ繊維」)、ガラス繊維(例えば、旭ファイバーグラス社製「グラスウール」)等の使用が好ましい。
【0040】
(4)金属素材を加工した板材
厚みを薄くしても歪み難い又は柔らかい金属(例えば、アルミニウム、錫、鉛、チタン、ステンレス、マグネシウム、鋼、金、銀、銅、白金、黄銅、ジュラルミン、タングステン、モリブデン、タンタル、これらの合金が挙げられる)を加工した板材が好ましい。
【0041】
(5)金属膜樹脂層複合板材
樹脂層の片面又は両面に金属膜を積層接着して一体化した金属膜樹脂層複合板材も好ましく使用できる(例えば、いわゆる金属サンドイッチパネルが三菱ケミカルインフラテック社等で市販されており、例えば、本発明1の多面鏡(2)としては、発砲ウレタン層の片面又は両面にステンレス膜を積層接着して一体化した、厚みが、好ましくは0.1~50mm、より好ましくは0.2~30mm、更に好ましくは0.5~20mm、更に好ましくは1~10mm、更に好ましくは1.5~5mm、更に好ましくは1.5~3mmの金属サンドイッチパネルが好ましい。
【0042】
(6)セラミックス素材を加工した板材
例えば、合わせガラス、強化ガラス、耐熱ガラス、防火ガラス、デザインガラス、複層ガラス、網入りガラス、光触媒ガラス、熱線反射ガラス、熱線吸収ガラス、電磁波シールドガラス、エコガラス、放射線遮断ガラス、遮光ガラス、プライバシーガラス、抗菌ガラス、蛍光ガラス等のガラス素材を成形・加工した板材が挙げられる。
【0043】
ガラス以外のセラミックス素材としては、ジルコニア、アルミナ、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ステアタイト、コージライト、サイアロ等が挙げられる。
【0044】
〔単面板セット〕
本発明1の単面板セットは、上述した本発明1における複数の特定の単面板で構成されており、単面板(1)が連結されてなる本発明3-1の多面板(2)が所定の機能を有することができるように、後述するジョイント機構を備える連結部材や、
図5-1(d)に示されるような多面板(2)の接着機能を好適に達成するための被着用プレートを備える被着用スタンド(AHS)と共に単面板セットを構成してもよい。
【0045】
《本発明2》
本発明2は、複数の単面板で構成される単面板セットであって、
前記単面板は、対向する2表面を備え、前記2表面の各表面は端縁部を備え、
前記複数の単面板は互いに、それぞれの単面板の端縁部で連結及び連結解除をすることができ、
連結された前記単面板が、前記端縁部で、
互いに対して所定の範囲又は任意の角度φで屈曲形態をとることができ、
互いに対して折畳及び展開をすることができ、
連結された1組の単面板における一の単面板に隣接する単面板の端縁部が、当該一の単面板と当該隣接する単面板との連結部を跨いで、当該一の単面板の一方の面に接触して、当該一の単面板と当該隣接する単面板とが所定の角度を超えないように構成されており、
さらに、
前記単面板が鏡体であり、前記多面板を多面鏡として構成する場合は、
前記連結された単面板で構成される前記多面鏡を、被着体に取り外し可能に接着でき、
前記連結された単面板を、地球重力環境下で使用する場合は、前記単面板の重量が500g以下である単面板セットである。
【0046】
本発明2は、本発明1と対比すると、
本発明1が「連結された前記単面板が、前記端縁部で、互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ」るのに対して「連結された前記単面板が、前記端縁部で、互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ」ない態様も含む点と、
連結の態様が「連結された1組の単面板における一の単面板に隣接する単面板の端縁部が、当該一の単面板と当該隣接する単面板との連結部を跨いで、当該一の単面板の一方の面に接触して、当該一の単面板と当該隣接する単面板とが所定の角度を超えないように構成されて」いる態様に特定されている点において相違する。
【0047】
但し、本発明1は当該特定された連結の態様も含むので、当該特定された連結の態様は本発明3-1の〔ジョイント機構〕(ジョイント機構10:連結部遮蔽ジョイント)において詳細を説明する。
【0048】
本発明2を構成する単面板は、上述した、本発明1を構成する単面板の説明が妥当する。
【0049】
本発明2の単面板セットは、本発明2における複数の特定の単面板で構成されており、単面板(1)が連結されてなる本発明3-2の多面板(2-2)が所定の機能を有することができるように、後述するジョイント機構を備える連結部材や、
図5-1(c)に示されるような多面板(2)の接着機能を多面板(2-2)に適用して単面板セットを構成してもよい。
【0050】
《本発明3》
〔本発明3-1〕
本発明1を構成する複数の単面板(1)が連結されてなる本発明3である本発明3-1の多面板(2)は、以下の機能1~3を有する。
【0051】
(機能1)それぞれの単面板(1)の端縁部で連結及び連結解除をすることができる。
【0052】
(機能2)連結された単面板(1)が、各単面板(1)の端縁部で、互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ。
【0053】
(機能3)連結された単面板(1)が、互いに対して折畳及び展開をすることができる。
【0054】
本発明1は、機能1によって、任意の枚数の単面板(1)によって多面板(2)を構成できるような単面板セットにすることができる。
【0055】
本発明1は、機能2によって、任意の枚数の単面板(1)によって多面板(2)を構成したときに、多面板(2)を任意の屈曲形態にすることができる。
【0056】
例えば、4枚の単面板(1)を連結して四面板(2)を構成すると、四面板(2)は、平面視において、
四角形(単面板(1)を側面とする四角柱)の形態(
図3(a))、四角形の一角が開いた屈曲形態(
図3(b)(c)(d))、W型(屏風の形態の多面板)(
図3(e))、一直線(平らな形態の多面板)(
図3(f))、隣接する単面板の屈曲角度φがいずれも最小になる折畳形態(
図3(g))等の屈曲形態にすることができる。
【0057】
折畳形態(例えば、
図3(g))以外の屈曲形態(例えば、
図3(a)~(f))は展開形態ということができる。
【0058】
なお、
図3では、太い直線は単面板(1)の平面視の側面の模式図、黒丸は単面板(1)と単面板(1)を連結する連結部(JT)(例えば、後述するジョイント機構によって構成できる)の平面視の模式図である(
図5-1、9-2、18及び19も同様である)。
【0059】
多面板(2)の屈曲形態において、連結した単面板(1)が屈曲した形態(隣接する単面板(1)の屈曲角度φがいずれもほぼ180°となる平らな形態の多面板を含む)で、連結部(JT)の隣接する単面板(1)の端縁部の対向する端縁部の輪郭が、当該対向する輪郭と交わる直線を切り取る最小の線分の長さδ(例えば、
図4(a)(b))(以下「隣接する単面板の距離」ともいう)は、連結部(JT)を構成するジョイント機構が見えないようにして単面板の表面(SF)ができるだけ連続する平面に見えるようにする視覚的美観の観点から、好ましくは0~5cm、より好ましくは0~3cm、更に好ましくは0~2cm、更に好ましくは0~1cm、更に好ましくは0~5mm、更に好ましくは0~3mm、更に好ましくは0~2mm、更に好ましくは0~1mmであり、これらの範囲でδを調整できることが好ましい(なお、隣接する対向する端縁部が重なり合っている場合もδ=0とする)。
【0060】
多面鏡(2)の場合、多面鏡(2)が平らな形態になったときに、δが小さいほど、全身を連続的に映して見ることができる姿見として機能する。
【0061】
本発明1は、機能1によって、互いに連結されていない単面板(1)をコンパクトな積層体(当該積層体の状態も「折畳形態」に含める)にすることができ、機能3によって、単面板(1)が連結して構成される多面板(2)をコンパクトな折畳形態(例えば、
図3(g)、
図4(c1)(c2))にすることができ、その状態から、機能2によって、多面板(2)を任意の屈曲形態にして使用することができる(例えば、
図3(a)~(f)、
図4(a)(b)、
図5~6、
図9~13、
図16、
図19)。
【0062】
屈曲形態の安定性は、例えば、地球重力下で、以下のような手順で測定される、連結する単面板(1)の連結部(JT)に加わるモーメントに対する抵抗力で評価できる。
【0063】
(手順1)隣接する単面板(1)が連結部(JT)で連結する多面板(2)について、隣接する単面板(1)のなす角度φを好ましくは30°、より好ましくは45°、更に好ましくは60°、更に好ましくは90°にした状態で、末端の単面板(1)の表面の重心に(多枚板(2)を吊り下げても伸びず切断しない)紐状体(ST)を接続し、水平面(HP)から多面板(2)を吊り下げる(
図19)。
【0064】
(手順2)多面板(2)を吊り下げてから好ましくは3分間、より好ましく5分間、更に好ましくは10分間、更に好ましくは20分間、更に好ましくは30分間はどの隣接する単面板(1)のなす角度φも変化しない場合に、連結部(JT)は屈曲形態維持力があるとする。
【0065】
多面板(2)に屈曲形態維持力を付与するには、連結部(JT)に加わるモーメントを低減するために、単面板(1)の重量と多面板(2)の重量を軽量にするか、連結部(JT)に加わるモーメントに抗することができる強いトルク抵抗力を有するジョイント機構を選択することが好ましい。
【0066】
本発明1を構成する複数の単面板(1)が連結される多面板(2)は、前記単面板(1)が鏡体であり、前記多面板を多面鏡(2)として構成する場合は、好ましくは、さらに、以下の機能4を備える。
(機能4)連結された単面板(1)で構成される多面板(2)を、被着体(AH)に取り外し可能に接着できる。
【0067】
例えば、従来の三面鏡全体は壁面に固定されたスティック状の支持体(特許文献1
図1)に固定されたり、三面鏡が倒れないように支えるための専用の支持体(特許文献2
図2の5及び8)が必要で、このような支持体がないと使用することが困難である。
【0068】
本発明1は、機能4を備えると、任意の屈曲形態の多面板(2)を、壁・支柱・机等の被着体(AH)に取り外し可能に接着することができるので、支持体を必ずしも必要としない。
【0069】
機能4は、多面板(2)を構成する単面板の表面(SF)、端縁部側面(SD)又は連結部(JT)等に被着体(AH)に取り外し可能に接着する接着部(AM)(例えば、後述する接着機構で実施できる)を設け、当該接着部(AM)を被着体(AH)の面に接着させて、多面板(2)を被着体(AH)に固定することができる(例えば、
図5-1、
図5-2、
図18)。
【0070】
本発明1を構成する複数の単面板(1)が連結される多面板(2)は、さらに、以下の機能5を備えることが好ましい。
【0071】
(機能5)連結された単面板(1)が、連結された端縁部で、互いの表面に対して任意の回転角度で(好ましくは可逆的に)捩ることができ、当該任意の回転角度を安定に維持することができる。
【0072】
本発明1は、機能5によって、任意の屈曲形態の多面板(2)の中の任意の連結部(JT)で、隣接する単面板(1)に対して捩じれた向きに回転することで(例えば、
図6)、例えば、多面板(1)をインテリアとする場合に、多面板(2)の屈曲形態のバリエーションを増やすことができ、簡易掲示板とする場合に、各単面板(1)の表裏を掲示物にすれば回転することで両面の掲示物をみせることができ、多面鏡(2)であれば、異なる場所に所在する複数の被写体に合せて単面鏡(1)の回転角度を調整して、一つの多面鏡(2)で複数の被写体の反射像をみることができる。
【0073】
本発明1における単面板(1)の連結部(JT)は、単面板(1)の端縁部のどこのにでも、いくつでも設置してよい。例えば、単面板(1)が矩形の場合は、単面板(1)の四辺の端縁部に、1~4の連結部(JT)を設置できるので、単面板(1)を連結して様々な連結形態の多面板(2)を構成できる(例えば、
図10(a)(b)(c))。
【0074】
なお、本発明3-1の多面板(2)を構成できる単面板セットには、本発明3-1の多面板(2)が上記した機能1~3、機能1~4又は機能1~5を備えれば、地球重力下で使用する際に、重量が500gを超える単面板(重量以外の構成は本発明1における単面板(1)と同じであることが好ましい)が含まれていてもよく、結果として、本発明3-1の多面板(2)を構成する単面板には、地球重力下で使用する際に、重量が500gを超える単面板(重量以外の構成は本発明1における単面板(1)と同じであることが好ましい)が含まれていてもよい。
【0075】
〔ジョイント機構〕
以上の機能1~5は、例えば、以下に例示するようなジョイント機構によって実施できる。
【0076】
ジョイント機構は、単面板(1)とは独立した部品であって、単面板(1)に取り外しが可能であるように(例えば、ネジ、粘着剤、マジックテープ、磁石等の結合部材を介して)単面板(1)に設置できてもよいし、単面板(1)の構造の一部として(必ずしも取り外し可能でない態様で、例えば、抜き差し自在のヒンジのように)、隣接して連結する単面板(1)の連結部(JT)に組込んでおいてもよい。
【0077】
以下に、(図面では、主に、4枚の矩形の単面板が連結する四面板を例にして)ジョイント機構について説明する。
【0078】
(ジョイント機構1:トルクヒンジ)
単面板(1)の端縁部に市販(例えば、スガツネ工業社製)のトルクヒンジ(TH)(ヒンジの軸部に摩擦によるトルクを発生して、任意の角度φで当該角度を維持できるヒンジ(蝶番)であって、フリーストップヒンジとも呼ばれる)を設置して単面板(1)を連結する(例えば、
図9)。
【0079】
(ジョイント機構2:ユニバーサルジョイント)
単面板の端縁部に市販(例えば、マイティ社製)のプラスチック製ユニバーサルジョイントを設置して単面板を連結する。ユニバーサルジョイントを連結部(JT)として設置するとと、
図6の右端の単面板(1)に示されるような屈曲形態も可能となる。
【0080】
回転部分に摩擦によるトルクを発生して、任意の回転角度φで当該回転角度を維持できるユニバーサルジョイントで隣接する単面板を連結してなる多面板(2)は、機能1~5の全てを備えることができる。
【0081】
(ジョイント機構3:屈曲自在シートジョイント)
四面板(2)を屈曲・展開可能で屈曲形態を維持できるように、隣接する単面板(1)の連結する側の端縁部に、両単面板(1)の端縁部に跨って、取り外しが可能であるように、布帛、柔らかく厚みを薄くしても歪み難く屈曲・展開し易い及び/又は捩じり易い金属シート(好ましくは厚みを薄くしても歪み難い又は柔らかい金属、より好ましくは錫、鉛、これらの合金のシート成型物又はメッシュ成型物)等の屈曲・展開可能で屈曲形態を維持できる屈曲自在シート(SJT)で、単面板(1)を結合するジョイント機構の態様である(例えば、
図4(a)(b)、
図7、
図8(a)(b)、
図13、
図16)。
【0082】
屈曲自在シート(SJT)は、連結する端縁部の方向に沿って両単面板(1)の端縁部に跨って結合してもよいし(例えば、
図4(a)、
図16(a))、連結する端縁部の方向の一部だけ両単面板(1)の端縁部に跨って設置してもよい(例えば、
図4(b)、
図6、
図7、
図8(a)(b)、
図13、
図16(b))。
【0083】
(1)形態例1
連結部(JT)で隣接する単面板(1)のそれぞれの連結部(JT)側端縁部に沿って、剥離自在シートを隣接する単面板(1)に跨るように貼付して連結する(例えば、
図7)。
【0084】
図7では、例えば、単面板(1)に裏面に粘着剤が塗布されたマジックテープの雌側シート(SJT♀)を貼付しておき、折曲自在な金属メッシュシート(MMS)(例えば、アルミ合金メッシュシート)が、シートジョイントカバー(SJTC)と雄側シート(SJT♂)の間に挿入されたマジックテープの雄側シート(SJS♂)を、雌側シート(SJT♀)に、取り外し可能に付着させることで、マジックテープの♀側シートと♂側シートが一体となって折曲自在シート(SJT)を構成する。
【0085】
隣接する単面板(1)は、雄側シート(SJT♂)の折曲機能によって、任意の角度φで当該角度を維持した屈曲形態をとることができ(例えば、
図7(a2))、後述する屈曲形態固定ジョイント(3)を併用すると、屈曲形態をより安定に維持できる(例えば、
図16)。
【0086】
(2)形態例2
連結部(JT)で隣接する単面板(1)のそれぞれの連結部の近傍にベルト通し(SJTBC)を設置し、ベルト状にした屈曲自在ベルト(SJTB)をベルト通し(SJTBC)に挿入して(
図8(a)上)、ベルト状屈曲自在ベルト(SJTB)の端部からベルトストッパー(SJTBS)を嵌合して固定して(
図8(a)下)、隣接する単面板(1)を屈曲自在に連結できる。
【0087】
又は、連結部(JT)で隣接する単面板(1)のそれぞれの連結部(JT)の近傍にベルト通しのためのスリット(SJTS)を設け(例えば、
図8(b)上)、ベルト状にした屈曲自在ベルト(SJTB)をスリット(SJTS)に挿入して、屈曲自在ベルトの端部からベルトストッパー(SJTBS)を嵌合して固定するか、ベルト状の屈曲自在ベルト(SJTB)の端部を接続してリング状の屈曲自在リング(SJTR)にして、隣接する単面板を屈曲自在に連結する(例えば、
図8(b)下)。
【0088】
単面板(1)を屈曲自在シート(SJT)で連結すると、多面鏡(2)の折畳・展開が容易にできる(例えば、
図4(c))。
【0089】
屈曲自在シート(SJT)によるジョイント機構によれば、連結された多面板(2)が任意の角度φを維持して屈曲形態を形成できるが、さらに、後述する屈曲形態固定ジョイント(3)を併用すると、屈曲形態をより安定に維持できる(例えば、
図16(a)(b))。
【0090】
金属を使用した屈曲自在シート(SJT)ジョイントは、連結する端縁部の方向の一部だけ両単面板(1)の端縁部に跨って設置すると、金属の材質(例えば、錫)を選べば、隣接する単面板の表面(SF)に対して任意の角度で捩り回転でき、任意の角度を安定して維持できる(例えば、
図6)。
【0091】
(ジョイント機構4:回転固定ジョイント)
隣接する単面板(1)の連結される側の端縁部の方向に沿って、互いに抜き差し可能にヒンジ(HG)又はトルクヒンジ(TH)を設置し、互いに差し込んだ状態で締緩機構(例えば、
図9-1(a)(b))でヒンジ(HG)の長さ方向を、例えば、ネジ(SC♂+SC♀))で締め付けてヒンジ(HG)の回転を固定し(例えば、
図9-1(c))、ネジ(SC♂+SC♀)の締め付けを解除することでヒンジ(HG)の回転の固定を解除するようにする機構)で(例えば、ネジで)締め付けると、隣接する単面板(1)のなす任意の角度φを維持できる(例えば、
図9-2(a)(b))。後述する屈曲形態固定ジョイント(3)を併用すると、屈曲形態をより安定に維持できる(例えば、
図16)。
【0092】
(ジョイント機構5:磁性ジョイント)
単面板(1)の少なくとも端縁部を磁性素材で形成して、隣接する単面板(1)を連結する(屈曲形態を維持するため、例えば、連結部(JT)の一部を後述する屈曲形態固定ジョイント(3)で固定する(例えば、
図10(a))。
【0093】
磁性ジョイントによれば、単面板の任意の端縁部を連結できるので、多面板(2)の形態の自由度が向上する(例えば、
図10(b)(c))
【0094】
(ジョイント機構6:スライドレールジョイント)
スライドレールジョイント(例えば、
図11の2)は、隣接する単面板(1)の屈曲部端縁の側面に互いにスライドレール(SR)を設置し、スライドレール(SR)のレール沿いに自在に移動できるようにスライドフック(SH)を差し込み、さらに、それぞれのスライドフック(SH)を、スライドレール(SR)とスライドフック(SH)の間に挟んだスライドリングレール(SRR)内に差し込んで連結してなる(スライドフック(SH)はスライドリングレール(SRR)内もレール沿いに自在に移動できる)(例えば、
図11(a)(b))。
【0095】
スライドレール(SR)、スライドリングレール(SRR)及びスライドフック(SH)は、寸法安定性の良い金属製又は樹脂製であることが好ましい。後述する屈曲形態固定ジョイント(3)を併用すると、屈曲形態をより安定に維持できる(例えば、
図16)。
【0096】
スライドレールジョイントで連結された単面板は、連結部(JT)で自在に屈曲でき(例えば、
図11(c))、例えば、スライドフック(SH)がネジ状であれば、スライドフック(SH)とスライドレール(SR)をネジで締め付けて固定することによって、屈曲形態を維持することができる。
【0097】
(ジョイント機構7:インナーストリングジョイント)
単面板の表面(SF)又は内部の面方向に糸、ゴム又はワイヤー等の紐状体(ST)が通る溝を作り、当該溝を通る紐状体(ST)が、隣接する単面板を跨いで繋げることで、隣接する単面板を屈曲・展開させることができ(例えば、
図12では、溝が格子状に設けられ、当該溝沿いに紐状体(ST)が移動する)、後述する屈曲固定具を併用することで屈曲形態を維持することができる(例えば、
図16)。
【0098】
(ジョイント機構8:収納可能ジョイント)
(1)形態例1:連結部収納式
端縁部で連結する単面板(1)の一方の側の端縁部の側面が屈曲可能シート(SJT)の収納スペース(SP)を有し、屈曲形態が確定したら(
図13(a))、シートジョイント(SJT)を当該シートジョイント(SJT)の収納スペース(SP)の出入口(SPM)から収納スペース(SP)に収納し、隣接する単面板(1)の距離(連結した端縁部間の隙間)を小さく(δを最小に)することができる(例えば、
図13(b))。連結部(JT)を後述する屈曲形態固定ジョイント(3)で固定すると屈曲形態がより安定する(例えば、
図16)。
【0099】
(2)形態例2:単面板スライド収納式
単面板(1)の連結部(JT)の側に、隣接する単面板(1)を出し入れできる出入口(SPM)と収納スペース(SP)を設け、収納スペース(SP)内のスライドレールに沿って、単面板(1)を出し入れすることができる単面板スライド収納式の収納可能ジョイントの形態例である。出し入れする単面板(1)の端縁部と収納スペース(SP)の出入口(SPM)とはジョイント機構(図示されていない)で連結しており、出し入れする単面板(1)が収納スペース(SP)の出入口(SPM)から全て露出すると、ジョイント機構(図示されていない)によって、露出した単面板(1)は出入口(SPM)と収納スペース(SP)を備える単面板(1)との連結を維持したまま屈曲形態をとることができる(例えば、
図14(ジョイント機構は図示されていない))。
【0100】
(ジョイント機構9:屈曲形態固定ジョイント)
(1)形態例1:二股クリップジョイント
任意の角度φを維持できる二股クリップジョイント(CLJT)の二股クリップ(CL)で(例えば、
図15-1(a)(b))及び
図15-2(c)(d))、隣接する単面板の幅方向の一方及び/又は両方の端縁部を跨ってクリップすることで、隣接する単面板(1)のなす角度φを維持し、多面板(2)の屈曲形態を維持することができる。他のジョイント機構と組み合わせて、連結する単面板(1)の角度φの維持安定性を向上することもできる(例えば、
図10、15,16、20)。
【0101】
例えば、
図15-1(a)(b)及び
図15-2(c)(d)の二股クリップジョイントの場合、2つのクリップ(CL)が二股クリップジョイント(CLJT)で連結されており、二股クリップジョイント(CLJT)がネジ等で回転状態を締緩できるヒンジ(HG)(
図15-1(a)(b)及び
図15-2(c))、又はトルクヒンジ(TH)(
図15-2(d))であり、少なくとも0~180°(好ましくは0~360°の範囲の任意の角度φで開閉することができ、その角度を維持することができるため、二股クリップジョイント(CLJT)の2つのクリップ(CL)にクリップされた隣接する単面板(1)も同じ角度φを維持することができる(例えば、
図10、15、16、20)。
【0102】
図16-1(a)の場合、二股クリップジョイント(CLJT)が単面板(1)の上端縁部に沿ってスライドできるように、単面板(1)の上端縁部に沿ってスライドレール(SR)溝が設けてある。例えば、
図15-1(a-4)(b-4)、15-2(c)-4のクリップ(CL)下端にスライドフック(SH)を設けて、スライドフック(SH)スライドレール(SR)溝に嵌め込んで、二股クリップをスライドレール(SR)に沿ってスライドできるようにして、隣接する単面板(1)の角度φを固定させるときに、二股クリップを単面板の中央部から連結部に跨るようにスライドさせればよい。
【0103】
図15-2(c)の場合の二股クリップジョイント(CLJT)では、左側のクリップ(CL)の右端にクリップ(CL)面に垂直に捩じれた金属板又は樹脂等の硬質プレート(HP)が接続し、右側のクリップ(CL)の左端にクリップ(CL)面に垂直に捩じれた金属板又は樹脂等の硬質プレート(HP)が接続し、両方の硬質プレート(HP)の端部を重ねて、両方の硬質プレート(HP)の回転状態を締緩できるように、ネジのような締緩機構で固定している(
図16-2(a)に
図15-2(c)の場合の実施態様を示す)。
【0104】
図15-2(c)に示される二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)で、隣接する単面板(1)をクリップすると、クリップ(CL)の長さがクリップされる単面板(1)の端縁部の好ましくは10%以上100%未満、より好ましくは20~95%、更に好ましくは30~90%、更に好ましくは40~85%、更に好ましくは50~80%程度あると、クリップされた単面板(1)はクリップ(CL)の長さ沿いにスライドさせることで、隣接する単面板(1)の距離δを調整でき、隣接する単面板(1)の端縁部を接触させてδをほぼ0にすることができる(
図16-2(b-1)(b-2)(c))。
【0105】
図15-2(c)に示される二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)で、
図15-2(c-3)に示すように、ネジで固定された硬質プレート(HP)をクリップ(CL)の後部に位置するようにしておくと、隣接する単面板(1)の距離δを0にしたときに、多面板の締緩機構と硬質プレートの側(以下「裏側」という)でない側(以下「表側」という)から見たときに、締緩機構と硬質プレート(HP)が隣接する単面板(1)に隠されので、多面板(好ましくは多面鏡)の視覚的美観の観点から好ましい。
【0106】
図16-3に、
図15-2(c)に示される二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)で、4枚の単面板(1)を連結した四面板(2)の形態例で、
図16-3(a-1)(a-2)(a-3)は表側、
図16-3(b-1)(a-2)は裏側を示す。
【0107】
図16-3(a-1)では、二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)のそれぞれが、隣接する単面板(1)のそれぞれをクリップして、四面板(2)を平らな状態(φ≒0°)で、かつδ≒0になるように固定している。
【0108】
図16-3(a-2)では、二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)の一方のクリップ(CL)が、隣接する単面板(1)の両方をクリップすることで、四面板(2)の平らな状態(φ≒0°)をより強固に固定している。
【0109】
図16-3(a-3)では、左から1枚目と2枚目の単面板(1)が、二股クリップジョイント(CLJT)のクリップ(CL)のそれぞれにクリップされて、屈曲(φ>0°)しており、左から2枚目と3枚目の単面板(1)の距離δが大きくなるように調整され、左から3枚目と4枚目の単面板(1)は平らな状態(φ≒0°)で、1クリップでクリップされるような屈曲形態である。
【0110】
図16-3(b-1)(b-2)では、任意の角度φを維持できる二股クリップジョイント(CLJT)の二股クリップ(CL)で、隣接する単面板の幅方向の上下両方の端縁部をクリップする場合であって、上側の端縁部をクリップするクリップ(CL)と下側の端縁部をクリップするクリップ(CL)とが、例えば、硬質プレートのようなクリップホルダー(CH)によって接続されている形態である。上側のクリップと下側のクリップがクリップホルダー(CH)で接続されることで、上下のクリップ(CL)のクリップ状態が安定し、δ(
図16-3(b-1)ではδ≒0、
図16-3(b-2)ではδ>0)及び屈曲形態の安定性がより向上し、さらに、クリップ(CL)沿いのスライド状態がより安定する。
【0111】
(2)形態例2:嵌合クリップ
隣接する単面板(1)の隣接する側の端縁部沿いに収納スペース(SP)が設けてあり、当該収納スペース(SP)内に、端縁部沿いに係合バー(CB)が設置され、隣接する係合バー(CB)に跨って嵌合クリップ(SICL)を嵌め込んで隣接する単面板(1)を連結する(例えば、
図17)。
【0112】
嵌合クリップ(SICL)は、例えば、筒状体を半割した2つの半割筒状体(HL)の長さ方向の端縁をジョイント機構(好ましくはトルクヒンジ)で連結した形態であり(例えば、
図17(a))、嵌合クリップ(SICL)を係合バー(CB)に係合した状態(例えば、
図17(b)(c))で、連結部(JT)を一定(例えば、0~180°)の範囲の任意の角度φで維持することで、多面板(2)に屈曲形態をとらせることができる。
【0113】
(ジョイント機構10:連結部遮蔽ジョイント)
連結された単面板において、一の単面板に隣接する単面板の端縁部が、当該一の単面板と当該隣接する単面板との連結部を跨いで、当該一の単面板の一方の面に接触して、当該一の単面板と当該隣接する単面板とが所定の角度を超えないように構成されているジョイント機構である。例えば、以下の形態例3の単面板(1)を使用した場合について説明する(
図21)。
【0114】
形態例3の一の単面板(1)の芯材プレート(PLC)の、プレート2(PL2)からはみ出した端縁部と、形態例2の一の単面板(1)に隣接する単面板(1)の芯材プレート(PLC)の、プレート2(PL2)からはみ出した端縁部とを、所定の範囲の角度φで屈曲形態をとることができるジョイント(例えば、屈曲形態固定ジョイント(3))で連結する(
図21(a)(b))。
【0115】
形態例3の単面板(1)を使用した場合、単面板が連結された多面板(2)をφ=180°近傍に展開したときに(
図21(b))、隣接する端面体を構成するプレート1(PL1)の端縁部間の距離δは小さいことが好ましく、δは好ましくは0~5cm、より好ましくは0~3cm、更に好ましくは0~2cm、更に好ましくは0~1cm、更に好ましくは0~5mm、更に好ましくは0~3mm、更に好ましくは0~2mm、更に好ましくは0~1mmである。
【0116】
連結部遮蔽ジョイントによれば、
当該多面板(2)の単面板(1)を展開すると、連結された隣接する単面板(1)の一の単面板(1)のプレート2(PL2)の背面に、当該一の単面板に隣接する単面板(1)のプレート1(PL1)の端縁部が、、連結部を跨いで接触てし(形態例3の単面板(1)を使用した場合は
図21(b)のεの部分)、当該多面板(2)の隣接する単面板(1)がそれ以上展開することを制止する。
【0117】
形態例3の単面板(1)を使用した場合は、φ≒180°で展開が制止される(
図21(b))。
【0118】
隣接する単面板のプレート1(PL1)の端縁部近傍が、単面板のプレート1(PL1)の表面に対して角度γで曲がっていれば、φ≒γで展開が制止されることになる。
【0119】
展開を所定の角度φで制止する観点から、Δは、単面板の一のプレート1(PL1)の長さの1~40%であることが好ましく、3~30%であることがより好ましく、5~25%であることが更に好ましく、10~20%であることが更に好ましい。
【0120】
連結部遮蔽ジョイントにより連結された本発明3-1の多面板(2)は、例えば、当該多面板(2)の単面板(1)を連結部がφ=180近傍になるように展開すると、単面板(1)のプレート1(PL1)側の連結部は遮蔽され、展開された多面板(2)が全体で一枚の面板のように見えるため、例えば、当該多面板(2)の単面板(1)のプレート1(PL1)側の表面が鏡面であれば、縦又は横に長い姿見として好適に機能し、単面板(1)のプレート2(PL2)側の表面も鏡面であれば、裏表鏡面の姿見として好適に機能する(
図22-1)。
【0121】
〔被着体への接着機構〕
本発明3-1の多面板(2)は、多面板(2)を構成する単面板の表面(SF)、端縁部側面(SD)又は連結部(JT)等に被着体(AH)の面に取り外し可能に接着する接着部(AM)を設け、当該接着部(AM)を被着体(AH)の面に接着させて、多面板(2)を被着体(AH)に固定することができる(例えば、
図5-1、
図5-2、
図18)。
【0122】
(1)形態例1
多面板(2)を構成する単面板(1)の表面(SE)又は連結部(JT)に、粘着剤を塗布するか、ナノテープ等の両面テープを付して接着部(AM)を構成できる(例えば、
図5―1、
図5-2、
図20―2(c))。
【0123】
(2)形態例2
多面板(2)を構成する単面板(1)の表面(SE)又は連結部(JT)に、磁性体(MG)を設置して接着部(AM)とすることができる(例えば、
図18(a))。
【0124】
裏面に粘着剤を塗布した磁性体シートを、多面板(2)を接着させたい被着体(AH)の部分に粘着剤で圧着固定して、当該磁性体シート上に、多面板の接着部を接触して磁力で接着させる(例えば、
図18(a)(磁性体シートは図示されていない))。
【0125】
被着体(AH)に接着させない間は、塗布された当該粘着剤を剥離紙で被覆し、被着体(AH)に接着させる際に剥離紙を剥がして粘着剤を被着体(AH)に圧着固定させる(例えば、
図18(a))。
【0126】
被着体(AH)が磁性体であれば、磁性シートは使用しなくとも良い場合がある(例えば、
図18(a))。
【0127】
(3)形態例3
多面板(2)を構成する単面板(1)の表面(SF)又は連結部(JT)にマジックテープ(MT)の(例えば)雄側(MT♂)を設置して接着部(AM)とすることができる
図18(b)。
【0128】
裏面に粘着剤を塗布したマジックテープ(MT)の(接着部が雄側(MT♂)であれば)雌側(MT♀)を、被着体(AH)の多面板(2)を接着させたい部分に粘着剤で圧着固定して、当該雌側マジックテープ(MT♀)上に、多面板(2)の雌側マジックテープ(MT♂)を接触して接着させる(例えば、
図18(b))。
【0129】
被着体(AH)に圧着固定しない間は、マジックテープ(MT)の雌側の裏面に塗布された当該粘着剤を剥離紙で被覆し、被着体(AH)に圧着させる際に剥離紙を剥がして粘着剤を被着体(AH)に圧着させる。
【0130】
(4)形態例4
多面板(2)を構成する単面板(1)の表面又は連結部に吸盤(AD)を設置して接着部(AM)とすることができる(例えば、
図18(c))。
【0131】
裏面に粘着剤を塗布した吸盤(AD)が吸着し易い平滑な吸着シートを、被着体(AH)の多面板(2)を接着させたい部分に粘着剤で圧着固定して、当該吸着シート上に、多面板(2)の吸盤(AD)を圧着して接着させる(例えば、
図18(c)(吸着シートは図示されていない))。
【0132】
被着体(AH)に圧着しない間は、吸着シートの裏面に塗布された当該粘着剤を剥離紙で被覆し、被着体(AH)に圧着させる際に剥離紙を剥がして粘着剤を被着体(AH)に圧着させる(例えば、
図18(c))。
【0133】
被着体(AH)が吸盤(AD)が接着し易い平滑な材質であれば、吸着シートを使用しなくとも良い場合がある(例えば、
図18(c))。
【0134】
〔本発明の用途例〕
本発明3-1は、多面板(2)として使用しない間は、例えば、単面板(1)の面積に折り畳んで、持ち運びや保管するのに適したコンパクト性を有し、多面板(2)として使用するときには、折畳を展開して多面板(2)にした場合、例えば、以下のような用途に使用できる。
【0135】
(1)携帯用多面鏡
多面板(2)を構成する単面板(1)にフレームを設けて当該フレームに鏡を嵌め込んだり、単面板(1)に鏡を直接固着させたりしてもよいし、鏡そのものが単面板(1)であってもよい。鏡としては、例えば、ガラスミラー、アルミミラー、ステンレスミラー、樹脂ミラー、アクリルミラー、フィルムミラー、シートミラー、カラーミラー、マジックミラー、凸面鏡、凹面鏡、スマートミラー等が挙げられる。
【0136】
(2)機能性携帯多面板
(2-1)携帯筆記具
多面板(2)を構成する単面板(1)にホワイトボード、黒板、電子ホワイトボード、電子黒板の機能が付与された筆記具として使用できる。
【0137】
(2-2)携帯表示装置
多面板(2)を構成する単面板(1)に液晶スクリーン機能が付与されたパソコン用ディスプレイ、DVD等用動画表示用ディスプレイ等の表示装置として使用できる。
【0138】
(2-3)携帯吸音・防音装置
多面板(2)を構成する単面板(1)に防音、吸音機能が付与された多面板(2)で音源を包囲して吸音・防音装置として使用できる。防音、吸音機能の観点から、例えば、単面板(1)をウレタンスポンジ材、ライズ吸音ウール、サウンドSタイル等で構成するとよい。
【0139】
(2-4)携帯光反射装置
多面板(2)を構成する白・黒・シルバー・鏡面の単面板(1)を立体的に組み立てることで、例えば、撮影時にライトを反射したり防いだりするレフ板として使用できる。
【0140】
(2-5)携帯用防弾・防刃シールド
多面板(2)を構成する単面板(1)を高強度繊維素材で構成し、多面板(2)を、SPなどが要人警護をする時など、平時は降りたんでカバンなどに入れておき、緊急時は広げて広範囲を守れる防弾・防刃用具として使用できる。
【0141】
(2-6)携帯防炎シールド
多面板(2)を構成する単面板(1)を不燃性素材を使用することで、防炎範囲に応じて多面板(2)を展開して火事に際して使用できる防炎シールドとして使用できる。
【0142】
(2-7)防音・集音用携帯パーテンション
多面板(2)を構成する単面板(1)を防音材や吸音材で構成して、多面板(2)を、音声・音楽・効果音等の音が付随するアフレコ、ナレーション、レコーディング収録等の作業時に防音や反響音対策用のパーテーションとして使用できる。
【0143】
(2.8)感染抑止用携帯パーテーション
多面板(2)を構成する単面板(1)を透明又は不透明な(好ましくは、さらに抗菌力のある)素材を使用して、多面板(2)を折り畳んでカバンなどに入れておき、必要時は多面板(2)を広げて隣接する人の間に設置して感染抑止パーテーションとして使用できる。
【0144】
(2.9)プライベート空間確保用携帯パーテーション
多面板(2)を構成する単面板(1)を、すりガラスやカラーガラスのような半透明又は不透明な素材を使用することで、必要な時に多面板(2)を展開して自身を囲い、例えば、オフィスでの昼寝時、ロケーション撮影時の着替えスペース、外出時の授乳スペース等のプライベート空間を確保するためのパーテーションとして使用できる。
【0145】
(2.10)携帯簡易掲示板
単面板(1)の表面に、文字、記号、色彩、インターネット経由の画像・動画を表示したり音声を発出し、多面板全体でメッセージを伝えるための、簡易掲示版として使用できる。
【0146】
(2.11)収納具付き携帯多面板
多面板(2)の一の単面板(1)(好ましくは、最末端の単面板(1)に折畳収納具(FS)を設置し、折り畳んだ多面板(2)を当該シートを折り畳んで包納できるようにすると、携帯性が向上する(例えば、
図20-4)。この場合、折畳収納シートに手提げ用持ち手を設けておくとより携帯性が向上する。
【0147】
(3)家具・日用品
(3-1)組み立て家具
多面板(2)を立体的な屈曲形態にすることで、折り畳みデスク・テーブルやイスとして使用できる。
【0148】
(3-2)収納ボックス
多面板(2)を立体的な屈曲形態にすることで、収納ボックスやゴミ箱として使用することができる。
【0149】
(3-3)インテリア
多面板(2)を構成する単面板(1)の表面に、文字・記号・色彩を表示し、多面板(2)全体で美観を有する、被着体(AH)に接着可能なインテリアとして使用できる。
【0150】
(3-4)防災用品
多面板(2)を折り畳んで収納、もしくは多面板(2)を構成する単面板(1)を重ねて収納できることから、防災用品として保管し、非常時には広げて鏡や、パーテーションなどとして使用することができる。
【0151】
(3-5)遊戯具
多面板(2)を様々な屈曲形態にすることで、子供や赤ちゃん、大人も楽しめる、自由に組み合わせて好きな形をつくりだせる知的おもちゃとしてとして使用できる。
【0152】
(3-6)携帯シート用ホルダー
多面板(2)を構成する単面板(1)の表面に、名刺、鏡、写真・絵画・イラストカード、種々ICカード、小型ノート等のシートを取り外し可能に接着させたり、単面板(1)にシート状物を挿入できるポケットを設置して、携帯シート用ホルダーとして使用できる。
【0153】
〔本発明の好適用途:多面鏡〕
本発明1における単面板(1)の少なくとも一面に鏡面の機能を持たせると、本発明3は多面鏡(2)として使用できる。
【0154】
鏡面の機能は、単面板(1)の表面を直接鏡面に加工してもよいし、単面板(1)の表面に鏡面機能を有する鏡面板や鏡面膜を嵌め込んだり、接着積層したりしてもよい。
【0155】
本発明3-1の多面鏡(2)は、従前の多面鏡(2)に比べて軽量で、支持体がなくても、被着体(AH)に取り外し可能に接着でき、両手による操作で単面鏡(1)を任意の角度φに維持できるため、多面鏡(2)で自身の体の前後左右を容易に観察することができ、多面鏡(2)を平面状に展開すれば、自身の全身を見ることができる姿見として機能する。
【0156】
〔本発明の好適用途:宇宙船内の居住環境のQOLの向上〕
宇宙船内では、宇宙飛行士は狭い無機質な居住環境で、一人で作業をする場合が多い。
かかる居住環境で、本発明を宇宙船内の壁や支柱等の被着体に取り外し可能に接着させて、上述した用途で利用できれば、宇宙船内の居住環境のQOL(quality of life)は大きく向上する。
【0157】
特に、宇宙船内で宇宙飛行士同士が会話したり、宇宙飛行士が地上の関係者とモニター越しに情報交換する際に、宇宙飛行士が自身の身だしなみを整えるための簡易に操作でき、船内でコンパクトに保管できる多面鏡(2)は極めて有用である。
【0158】
また、無重力環境では、単面板(好ましくは単面鏡)(1)や多面板(好ましくは多面鏡)(2)の機能を確保するのに、本発明の自重を考慮する必要がないため、素材の選択の選択肢が広がり、本発明の機能1~5に必要な力学的な作用が重力環境におけるよりも微力で達成できることから、本発明は宇宙船内の無重力環境でより有用である。
【0159】
〔本発明3-2〕
本発明2を構成する複数の単面板(1)が連結されてなる本発明3である本発明3-2の多面板(2-2)は、以下の機能12~42を備え、好ましくは、更に以下の機能52を備える。
【0160】
(機能12)それぞれの単面板(1)の端縁部で連結及び連結解除をすることができる。
【0161】
(機能22)それぞれの単面板(1)の端縁部で、互いに対して所定の範囲の角度φで屈曲形態をとることができる。
【0162】
(機能32)連結された単面板(1)が、互いに対して折畳及び展開をすることができる。
【0163】
(機能42)連結された1組の単面板における一の単面板に隣接する単面板の端縁部が、当該一の単面板と当該隣接する単面板との連結部を跨いで、当該一の単面板の一方の面に接触して、当該一の単面板と当該隣接する単面板とが所定の角度を超えない。
【0164】
(機能52)連結された単面板(1)で構成される多面板(2-2)を、被着体(AH)に取り外し可能に接着できる。
【0165】
本発明3―2では、「連結された前記単面板が、前記端縁部で、互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができ」ない態様も含むので、例えば、本発明1の〔ジョイント機構〕において、回転軸においてトルクが発生しないものや、回転軸をネジ等で締結固定しないものや、多面体(2-2)全体を手など外部のサポート機構で支持しないと角度φを維持して屈曲形態を維持できない態様を含む。
【0166】
本発明3―2では、角度φを維持して屈曲形態を維持できない態様を含む以外は、機能12~32を奏するための好適態様は、本発明3―1における機能12~32を奏するための好適態様が妥当する。
【0167】
本発明3―2では、機能42を奏するためには、本発明3―1におけるジョイント機構10の連結部遮蔽ジョイントで、形態例1及び形態例2におけるような屈曲形態固定ジョイントでなく、屈曲形態を維持できないジョイント機構を使用してよい。
【0168】
本発明3―2では、屈曲形態を維持できないため、
地球重力下で、自重で多面板(2-2)が所定の角度まで展開させて、多面板(2-2)全体を姿見として使用する場合は、その状態で多面板(2-2)を被着体(AH)に取り外し可能に接着できるようにしておくことが好ましく、
無重力空間では、多面板(2-2)が所定の角度まで展開させて、多面板(2-2)全体を姿見として使用する場合は、その展開状態を維持できるように、多面板(2-2)を複数個所で被着体(AH)に取り外し可能に接着できるようにしておくことが好ましい。
【0169】
本発明3―2では、角度φを維持して屈曲形態を維持できない態様を含む以外は、機能52を奏するための好適態様は、本発明3―1における機能5を奏するための好適態様が妥当する。
【実施例0170】
《実施例1》
本発明3-1の単面鏡(1)である単面板を屈曲形態固定ジョイントで連結した四面板が四面鏡(2)である場合の実施例を
図20-1~3を参照しながら説明する。
【0171】
〔素材〕
(1)単面鏡(1)(
図20-1):三菱ケミカルインフラテック株式会社製「アルポリックRF PE」(鏡面がアルマイト、芯材がポリエチレンである金属サンドイッチ構造である)
(1-1)幅:150mm (1-2)長さ:210mm (1-3)厚み:2mm (1-4)重量:120g
(1-5)比(幅/長さ):100/140 (1-6)面積:315cm
2
【0172】
(2)ジョイント機構(3)(
図20-3、
図20-4):発明者の自作による屈曲形態固定ジョイントの形態例1(
図15-2(c))とトルクヒンジ(
図15-2(d))のタイプである。
【0173】
実施例の四面体は屈曲形態固定ジョイントだけで単面鏡(1)を連結して屈曲形態:
φ>0°(
図20-1(a)(b)、
図20-4(a)(b));
φ≒180°(
図20-1(c));
φ≒0°(
図20-3(c)))
を固定している。
【0174】
(3)折畳収納具(FS):難燃性の生地(カーボンシート(SG-250、大阪魂社製))を、例えば、単面板の裏面に難燃性両面テープ(No.5011N、日東電工社製)で貼り付け多面板と一体化させて、鏡を折り畳んで包装して携帯できる。
【0175】
実施例の四面体では、屈曲形態固定ジョイントは、単面板の上端縁部沿いにスライドすることができ、
屈曲形態を固定するときは、二股クリップ(CL)が隣接する2枚の単面板(1)に跨る位置にスライドさせて、隣接する2枚の単面板(1)の屈曲形態を形成して固定し(
図20-1(a)(b))、
屈曲形態を解除又は単面板の連結を解除するときは、二股クリップ(CL)が2枚の単面板(1)に跨がらないように、どちらか1方の単面板(1)上にスライドして移動させる(図に示されていない)。
【0176】
〔四面鏡(2)〕
単面鏡(1)にジョイント機構(3)を設置しているため、折畳状態の幅、長さ及び厚みが単面鏡(1)よりもやや大きく、重さが単面鏡(1)の合計よりもやや大きい。
【0177】
(1)平らな状態(隣接する単面鏡(1)の屈曲角度≒0°)の寸法及び重量
(1-1)幅:155mm (1-2)長さ:210mm (1-3)厚み:6mm (1-4)重量:750g
【0178】
(2)折畳状態の厚み:2.5cm
【0179】
(3)屈曲形態
(3-1)凹型に屈曲(
図3(d))させた場合(
図20-1(a))
(3-2)W型に屈曲(
図3(e))させた場合(
図20-1(b))
(3-3)平らな状態(
図3(f))にした場合(
図20-1(c))
(3-4)隣接する単面鏡を折畳形態(
図3(g))にした場合(
図20-3(c))
【0180】
実施例の四面鏡(2)は平らな状態にすると、隣接する単面鏡(1)の距離δがほぼ0になる(
図20-1(a)(b)(c)、
図20-2(a-1)(a-2)(b-2)、
図20-3(b))
【0181】
図20-1(a)(b)は、四面鏡(2)を使用者が両手で広げて持っている状態である。
【0182】
(4)接着態様
(4-1)実施例の四面鏡(2)を屈曲させて、水平方向に、左から2枚目の単面鏡(1)の裏面を被着体の壁(AH)に接着した態様(
図20-2(a-1)(a-2))
(4-2)実施例の四面鏡(2)を屈曲させて、垂直方向に、左から2枚目の単面鏡(1)の裏面を被着体の壁(AH)に接着した態様(
図20-2(b)
(4-3)実施例の四面鏡(2)を平らな状態にして、垂直方向に、最上の1枚目の単面鏡(1)の裏面を被着体の壁(AH)に接着した態様(
図20-1(c))
【0183】
(4-4)
図20-2(c)は、
図20-1(c)の最上の1枚目の単面鏡(1)の裏面に雄側マジックテープ(MT♂)を粘着剤で貼付し、
図20-1(c)の被着体の壁(AH)に雌側マジックテープ(MT♀)を粘着剤で貼付した状態の接着部である(
図18(b)と同様の機構である)。
(4-5)
図20-2(a-1)(a-2)(b)の、左から2枚目の単面鏡(1)の裏面の接着部と被着体の壁(AH)も同様の機構である。
【0184】
図20-2(b)は、被着体の壁(AH)に垂直方向に接着した四面鏡(2)を、使用者が自身の正面像を映して使用している状態である。
【0185】
(5)ジョイント機構
実施例の四面体(2)の隣接する単面板(1)の連結部を構成するジョイント機構である屈曲形態固定ジョイント(3)を
図20-3に示した。
【0186】
図20-3に示す連結部は、2つのクリップ(CL)が二股クリップジョイント(CLJT)で連結されており、二股クリップジョイント(CLJT)がネジで締緩できるヒンジであり、少なくとも0~180°(好ましくは0~360°の範囲の任意の角度φで開閉することができ、その角度を維持することができるため、二股クリップジョイント(CLJT)に結合された2つのクリップ(CL)で固定された隣接する単面板も同じ角度φを維持することができる(
図20-3(a-1)(a-2)φ>0°、(b)φ≒180°、(c)φ≒0°)。
【0187】
図20-4は、多面板(2)の一の単面板(1)(好ましくは、最末端の単面板(1))に折畳収納具(FS)を設置し、折り畳んだ多面板(2)を当該折畳収納具に折り畳んで包納できるようにすると、携帯性が向上する(例えば、
図20-4)。この場合、折畳収納具に手提げ用持ち手を設けておくとより携帯性が向上する。
【0188】
《実施例2》
本発明3-2の単面鏡(1)である単面板を連結部遮蔽ジョイントで連結した四面板が四面鏡(2-2)である場合の実施例を
図21及び
図22を参照しながら説明する。
【0189】
〔素材〕
(1)プレート1(PL1):PETフィルムアルミ蒸着ミラー、堀内鏡工業社製
表面は鏡面、裏面はポリスチレン樹脂。
(2)プレート2(PL2):PETフィルムアルミ蒸着ミラー、堀内鏡工業社製
表面は鏡面、裏面はポリスチレン樹脂。
(3)芯材プレート(1c):チップボール、日本製紙社製
(4)接着剤:超透明ボンド、神東産業社製
(5)接着テープ:アルミガラスクロステープ、ニトムズ社製
(6)マジックテープ:ノーメックス社製
【0190】
〔単面板(1)〕
長方形の芯材プレート(PLC)の一面とプレート1(PL1)の裏面とを、他面とプレート2(PL2)の裏面とを接着剤を介して貼合して、形態例3の単面板(1)1a、1b、1c及び1dの4枚を製造した。
貼合する際、芯材プレート(PLC)の幅方向に伸びる両端縁部が、プレート2(PL2)の幅方向に伸びる少なくとも一の端縁部からはみ出して、芯材プレート(PLC)がプレート2(PL2)を被覆するようにし、
プレート1(PL1)とプレート2(PL2)とが、幅方向に伸びる端縁部が長さ方向に距離Δだけずれている形態(例えば、
図1-2の正面図(a2)、平面図(b2)、右側面図(c2)で示される形態)とした。
【0191】
〔四面鏡(2)〕
隣接する単面板(1)を芯材プレート(PLC)の端縁部をテープで固定して(
図21で、屈曲形態固定ジョイント(3)を接着テープに置き換えた形態である)四面鏡(2)を製造した。
【0192】
四面鏡(2)と構成部材の寸法と重量を表1に示す。
【0193】
【0194】
四面鏡(2)の両末端の単面板(1)のプレート2(PL2)の表面に雌側マジックテープ(MT♀)を設置した(
図22(a))。
【0195】
実施例2は、連結された単面板(1)が端縁部で、互いに対して所定又は任意の角度φを維持して屈曲形態をとることができないこと以外は、
図21の機能の説明が妥当する。
【0196】
〔四面鏡(2)の使用態様例〕
(1)姿見としての使用するため、四面鏡(2)をφ≒180°となるように展開して、壁に設置した雄側マジックテープ(♂)に、四面鏡(2)の雌側マジックテープ(MT♀)を付着させて固定した(
図22(b))。
【0197】
地球重力下では、四面鏡(2)を鉛直下に展開すると、プレート1(PL1)側が自重でφ≒180°になって、隣接するプレート1(PL1)が直接接触して(連結部が遮蔽され)全体で一面の姿見となるが(
図21(b)、
図22(b))、有人宇宙ロケット内のような無重力下では、実施例2のように四面鏡(2)をφ≒180°で展開した状態でのまま、両末端の単面鏡(1)を壁等の被着体(AH)に固着させることが好ましい。
【0198】
(2)地球重力下では、四面鏡(2)の長さ方向の端縁部を机表面に置けば、0<φ<180°の角度で四面鏡(2)として使用でき、無重力下でも、四面鏡(2-2)の長さ方向の端縁部と被着体(AH)表面と固着すれば、0<φ<180°の角度で四面鏡(2)として使用できる(
図22(c))。
【0199】