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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126360
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】樹脂組成物、及び発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20240912BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C08G18/00 L
C08G18/00 K
C08G101:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034680
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】518088211
【氏名又は名称】積水ソフランウイズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100207756
【弁理士】
【氏名又は名称】田口 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(72)【発明者】
【氏名】三村 義雄
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 二夫
(72)【発明者】
【氏名】川端 将史
(72)【発明者】
【氏名】近藤 百華
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034BA07
4J034CA04
4J034CB03
4J034CC12
4J034CC61
4J034CC67
4J034DA01
4J034DB03
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4J034DF12
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4J034EA12
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4J034HA08
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4J034NA07
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4J034QB01
4J034QB10
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4J034RA03
4J034RA05
4J034RA10
4J034RA12
(57)【要約】
【課題】充填材を混合しても、接着強度に優れた樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物と、触媒と、有機充填材と、を含有する樹脂組成物であって、ポリオール化合物及び触媒を含有するポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物に、有機充填材を含有することを特徴とする樹脂組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物と、触媒と、有機充填材と、を含有する樹脂組成物であって、ポリオール化合物及び触媒を含有するポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物に、有機充填材を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【請求項2】
前記ポリオール組成物及び/又は前記ポリイソシアネート組成物に、さらに無機充填材を含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記有機充填材と前記無機充填材の合計含有量に対する前記有機充填材の含有量の割合が0.5%以上であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記有機充填材がポリウレタン系充填材であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
請求項4に記載の樹脂組成物から形成される発泡体。
【請求項6】
前記発泡体中のセルの長軸/短軸の比の平均値が1.1以上であることを特徴とする請求項5に記載の発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を含む樹脂組成物、及び該樹脂組成物により形成される発泡体に関する。
【0002】
一般的に樹脂の物性向上等を目的に充填材の添加が行われている。一方で、樹脂中に充填材が存在するため、その境目の界面が起因して各種強度低下が起こってしまい、それを防ぐために表面処理剤を用いて充填材に表面処理を行った充填材が使われている。
一方、発泡性樹脂組成物の1つである、ポリウレタンフォームは断熱性能に優れ、発泡し、自己接着性を有することにより、狭いすき間に対する高い充填性能を備えている。そのため、建材などの断熱材として広く使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5259039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1では、表面処理した炭酸カルシウムを添加することで、様々な樹脂をベースとしたシーラント、接着剤、塗料において、接着強度等を向上させていることが記載されている。
しかしながら、このような無機充填材を得るためには、各種表面処理剤によって無機充填材を処理する必要があった。また、表面処理した無機充填材を用いても、十分な接着強度が得られていない場合があった。
そこで、本発明は、充填材を混合しても、接着強度に優れた樹脂組成物、並びに該樹脂組成物から形成される発泡体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ポリオール、ポリイソシアネート及び有機充填材を含む樹脂組成物、並びに該樹脂組成物から形成される発泡体により、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下の[1]~[6]である。
[1]ポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物と、触媒と、有機充填材と、を含有する樹脂組成物であって、ポリオール化合物及び触媒を含有するポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート化合物を含有するポリイソシアネート組成物に、有機充填材を含有することを特徴とする樹脂組成物。
[2]前記ポリオール組成物及び/又は前記ポリイソシアネート組成物に、さらに無機充填材を含有することを特徴とする上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記有機充填材と前記無機充填材の合計含有量に対する前記有機充填材の含有量の割合が0.5質量%以上であることを特徴とする上記[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記有機充填材がポリウレタン系充填材であることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]上記[4]に記載の樹脂組成物から形成される発泡体。
[6]前記発泡体中のセルの長軸/短軸の比の平均値が1.1以上であることを特徴とする上記[5]に記載の発泡体。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、充填材を混合しても、優れた接着性を備える樹脂組成物、並びに該樹脂組成物から形成される発泡体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[ポリオール組成物]
本発明のポリオール組成物は、ポリオール化合物、有機充填材、触媒を含有するポリオール組成物である。
該ポリオール組成物と、後述するポリイソシアネート組成物を原料として、ポリウレタン発泡体を形成させることができる。
本発明のポリオール組成物に含まれる各成分について、以下詳細に説明する。
【0008】
[ポリオール化合物]
ポリオール組成物に含まれるポリオール化合物としては、例えば、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、及びポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0009】
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、及びポリバレロラクトングリコール等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、及びノナンジオール等の水酸基含有化合物と、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等との脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
【0010】
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラック等が挙げられる。
脂環族ポリオールとしては、例えば、シクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、及びジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
【0011】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、及びヒドロキシカルボン酸と前記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、イソフタル酸(m-フタル酸)、テレフタル酸(p-フタル酸)、及びコハク酸等が挙げられる。また、多価アルコールとしては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6-ヘキサングリコール、及びネオペンチルグリコール等が挙げられる。
また、ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
ポリエステルポリオールはエステル化反応をあえて不完全に終了し、酸価を高めてもよく、このような酸価の高いポリエステルポリオールを、反応性をコントロールする上で少量添加されていることが好ましい。
酸価の高いポリエステルポリオールの酸価は、好ましくは50~250mgKOH/gであり、より好ましくは150~200mgKOH/gである。
ポリオール組成物に含まれるポリオール化合物全量を100質量部とした場合に、酸価の高いポリエステルポリオールの含有量は、好ましくは0.1~8質量部であり、より好ましくは0.5~4質量部である。このように、酸価の高いポリエステルポリオールを一定量使用することで、ポリウレタン組成物の流動性が向上しやすくなる。
なお、ポリオール化合物の酸価は、JIS K 1557-5:2007に従って測定可能である。
【0012】
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、及びポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、及びメタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、又はこれらの水素添加物等が挙げられる。
【0013】
ポリエーテルポリオ-ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも1種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6-ヘキサンジオ-ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、及びブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0014】
本発明に使用するポリオール化合物としては、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
ポリオール化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上のポリオール化合物を併用してもよい。
【0015】
ポリオール化合物の水酸基価は特に限定されないが、50~500mgKOH/gが好ましく、70~450mgKOH/gがより好ましく、90~400mgKOH/gが更に好ましい。ポリオールの水酸基価が前記上限値以下であるとポリオール組成物の粘度が過度に大きくならず、取り扱い性等の観点で好ましい。いっぽう、ポリオール化合物の水酸基価が前記下限値以上であると発泡体の架橋密度が上がることにより強度が高くなる。
なお、ポリオール化合物の水酸基価は、JIS K 1557-1:2007に従って測定可能である。
【0016】
[有機充填材]
ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物は有機充填材を含有する。有機充填材を含有させることにより、発泡体の接着性を低下させることを抑制することができる。また、有機充填材を表面処理する必要がない。
有機充填材としては、熱硬化性樹脂粉末、熱可塑性樹脂粉末、パルプ粉、木粉、木綿チップ、ゴム粉末等を例示することができる。
有機充填材としては、一種を単独で用いることもでき、また複数の有機充填材を組み合わせて用いることもできる。
特に本発明では、ポリウレタンを含む有機充填材が好ましく用いられる。
【0017】
有機充填材の含有量は、ポリオール100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、20~70質量部が好ましく、30~60質量部がより好ましく、35~55質量部が更に好ましい。前記有機充填材の含有量が前記下限値以上であると接着性が向上する。一方、前記有機充填材の含有量が前記上限値以下であるとポリオール組成物の粘度上昇を抑制できる。
【0018】
[無機充填材]
本発明のポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物は、無機充填材を含有してもよい。
無機充填材としては、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカバルーン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素バルーン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
【0019】
無機充填材の形態は特に限定されず、球状、板状、鱗片状、塊状、繊維状等の形態を例示することができる。
【0020】
無機充填材の含有量は、ポリオール100質量部に対して、0~30質量部が好ましく、0~20質量部がより好ましく、0~10質量部が更に好ましい。
【0021】
有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は0.5~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましく、50~100質量%が更に好ましい。有機充填材の含有量の割合が大きくなるにつれ接着性が向上する。
【0022】
[発泡剤]
本発明のポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物は、発泡剤を含有しても良い。発泡剤により、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合し発泡させて、発泡体を形成させることができる。
発泡剤としては特に限定されないが、例えば、炭化水素化合物、塩素化脂肪族炭化水素化合物、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン化合物、ハイドロフルオロオレフィンなどの有機系発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガスなどの無機系発泡剤、水が挙げられ、中でも有機系発泡剤及び/又は水を用いることが好ましい。
【0023】
上記炭化水素化合物としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
上記塩素化脂肪族炭化水素化合物としては、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等が挙げられる。
上記ハイドロフルオロカーボンとしては、CHF3、CH2F2、CH3F等が挙げられる。
【0024】
上記ハイドロクロロフルオロカーボン化合物としては、ジクロロモノフルオロエタン、(例えば、HCFC141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン))、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)等が挙げられる。
【0025】
上記ハイドロフルオロオレフィンとしては、例えば、炭素数が3~6であるフルオロアルケン等を挙げることができる。また、ハイドロフルオロオレフィンは塩素原子を有するハイドロクロロフルオロオレフィンであってもよく、したがって、炭素数が3~6であるクロロフルオロアルケン等であってもよい。ハイドロフルオロオレフィンは、炭素数が3又は4のものが好ましい。
より具体的には、トリフルオロプロペン、HFO-1234等のテトラフルオロプロペン、HFO-1225等のペンタフルオロプロペン、HFO-1233等のクロロトリフルオロプロペン、クロロジフルオロプロペン、クロロトリフルオロプロペン、及びクロロテトラフルオロプロペン等が挙げられる。より具体的には、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、1,1,3,3-テトラフルオロプロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)、1,1,1-トリフルオロプロペン、1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロブト-2-エン、1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yc)、1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225yez)、(E)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(E))、(Z)-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1233zd(Z))(Z)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン(HFO-1336mzz(Z))、(E)-1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン(HFO-1336mzz(E))、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、トリフルオロエチレン(HFO-1123)、(Z)-2,3,3,3-テトラフルオロ-1-クロロプロペン(HCFO-1224yd(Z))等が挙げられる。
【0026】
良好な発泡体形成や環境負荷を低減させるなどの観点から、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィン及び/又は水を使用することが好ましい。
【0027】
発泡剤の含有量は、有機系発泡剤や無機系発泡剤の場合、ポリオール100質量部に対して、5~90質量部が好ましく、8~80質量部がより好ましく、10~70質量部が更に好ましい。前記発泡剤の含有量が前記下限値以上であると発泡が促進され、流動性が高まり、得られる発泡体の密度を低減できる。一方、前記発泡剤の含有量が前記上限値以下であると発泡が過度に進行することを抑制できる。
【0028】
また、発泡剤として水を用いる場合、ポリオール100質量部に対して、例えば0.1~20質量部、好ましくは0.2~15質量部、より好ましくは0.3~10質量部である。水の配合量をこれら範囲内とすることで、樹脂組成物が適切に発泡しやすくなる。
【0029】
[触媒]
本発明のポリオール組成物は、触媒を含有することが好ましい。触媒を含有することにより、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が適切に進行し、樹脂組成物や発泡体が得やすくなる。
上記触媒としては、例えば、樹脂化触媒、三量化触媒、泡化触媒などが挙げられる。それぞれ単独もしくは複数で使用することができる。
【0030】
[樹脂化触媒]
樹脂化触媒は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進させる触媒である。具体的には、N-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1-エチル-2-メチルイミダゾール、1-メチル-2-エチルイミダゾール、1,2-ジエチルイミダゾール、及び1-イソブチル-2-メチルイミダゾールなど、イミダゾール環の1位の第2級アミンをアルキル基、アルケニル基などで置換した3級アミンが挙げられる。また、イミダゾール環中の第2級アミンをシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物なども挙げられる。
また、N-メチル-N’,N’-ジメチルアミノエチルピペラジン、トリメチルアミノエチルピペラジンなどの3級アミンが挙げられる。
また、ペンタメチルジエチレントリアミン、トリエチルアミン、N-メチルモルホリンビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、ジアザビシクロウンデセン、トリエチレンジアミン、テトラメチルヘキサメチレンジアミン、トリプロピルアミン等の各種の3級アミンなどが挙げられる。
【0031】
金属系触媒としては、鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、カリウム、カルシウム等の金属塩が挙げられ、好ましくは鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、カリウム、カルシウム等の有機酸金属塩である。より好ましくはジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫バーサテート等の有機酸錫塩、ビスマストリオクテート、ビスマストリス(2-エチルへキサノエート)等の有機酸ビスマス塩、オクチル酸カリウム等の有機酸カリウム塩などが挙げられ、中でも有機酸ビスマス塩や有機酸カリウム塩が好ましい。
樹脂化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。樹脂化触媒としては、アミン系触媒及び金属系触媒から選択される少なくとも1種が好ましく、アミン系触媒がより好ましい。
【0032】
樹脂化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.5~7質量部であり、さらに好ましくは1~5質量部である。樹脂化触媒の含有量がこのような範囲であると、ポリオールとポリイソシアネートとの反応が適切に進行しやすくなる。
【0033】
[三量化触媒]
三量化触媒は、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基を反応させて三量化させ、イソシアヌレート環の生成を促進する触媒である。三量化触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4-ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ-S-トリアジン等の窒素含有芳香族化合物、酢酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボン酸アルカリ金属塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラフェニルアンモニウム塩、トリエチルモノメチルアンモニウム塩、カルボン酸4級アンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等を使用できる。上記カルボン酸アンモニウム塩におけるカルボン酸の好適な具体例としては、2-エチルヘキサン酸、2,2-ジメチルプロパン酸、酢酸、及びギ酸からなる群から選択される少なくとも1種である。三量化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが2種以上を併用することが好ましい。
【0034】
三量化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.2~8質量部であり、さらに好ましくは0.3~5質量部である。三量化触媒の含有量がこのような範囲であると、三量化反応を適切に進行させることができる。
【0035】
[泡化触媒]
泡化触媒は、系中の水とポリイソシアネート化合物との反応による炭酸ガスの発生を促進する触媒である。泡化触媒としては、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’-トリメチルアミノエチル-エタノールアミン、ビス(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン、N,N,N’,N’’-テトラメチル-N’’-(2-ヒドロキシル)エチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’’-テトラメチル-N’’-(2-ヒドロキシル)プロピルトリエチレンジアミン、1-(N-(2-(N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-N-メチルアミノ)エチル)-N-メチルアミノ)プロパン-2-オール等の3級アミン等が挙げられる。
樹脂化触媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
泡化触媒の含有量は、ポリオール100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部であり、より好ましくは0.5~7質量部であり、さらに好ましくは1~5質量部である。泡化触媒の含有量がこのような範囲であると、水とポリイソシアネートとの反応が適切に進行しやすくなる。
【0037】
[液状難燃剤]
ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物は、液状難燃剤を含有してもよい。液状難燃剤とは、常温(23℃)、常圧(1気圧)にて液体となる難燃剤である。液状難燃剤の具体例としては、リン酸エステルが挙げられる。液状難燃剤は、固体難燃剤とは異なり保管中に沈殿物が生じ難く、取り扱い性に優れる。
【0038】
リン酸エステルとしては、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。モノリン酸エステルとしては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどのトリアルキルホスフェート、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートなどのハロゲン含有リン酸エステル、トリブトキシエチルホスフェートなどのトリアルコキシホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2-エチルヘキシル)ホスフェートなどの芳香環含有リン酸エステル、モノイソデシルホスフェート、ジイソデシルホスフェートなどの酸性リン酸エステル等が挙げられる。
【0039】
縮合リン酸エステルとしては、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート、ビスフェノールAポリフェニルホスフェートなどの芳香族縮合リン酸エステルが挙げられる。
縮合リン酸エステルの市販品としては、例えば、大八化学工業株式会社製の「CR-733S」、「CR-741」、ADEKA社製の「アデカスタブPFR」、「アデカスタブFP-600」等が挙げられる。
【0040】
液状難燃剤は、上記したものの中から1種単独で使用してもよいし、2種以を併用してもよい。これらの中でも、ポリウレタンフォームの製造を容易にする観点、及びポリウレタンフォームの難燃性を向上させる観点から、モノリン酸エステルが好ましく、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートがより好ましい。
【0041】
液状難燃剤を含有する場合、その配合量は、ポリオール100質量部に対して、5~80質量部が好ましく、8~70質量部がより好ましく、10~60質量部が更に好ましい。
【0042】
[整泡剤]
ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物は、整泡剤を含有すること好ましい。整泡剤は、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物から得られる樹脂組成物の発泡性を向上させる。
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン系整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。中でも、シリコーン系整泡剤が好ましい。これらの整泡剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
整泡剤の配合量は、ポリオール100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~8質量部がより好ましく、1~5質量部が更に好ましい。整泡剤の配合量がこれら下限値以上であると樹脂組成物を発泡させやすくなり、均質な発泡体が得やすくなる。また、整泡剤の配合量がこれら上限値以下であると製造コストと得られる効果のバランスが良好になる。
【0043】
[沈降抑制剤]
ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物は、沈降抑制剤を含有してもよい。沈降抑制剤は、常温又は低温での長期間の保管中に、ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物に分散された有機充填材や無機充填材等の固形物の沈殿を抑制し、液剤を手で振るだけで固形物を均一に分散させやすくする。沈降抑制剤は、一般的に常温、常圧で固体となるものであり、通常、液剤において固形分(不溶分)となる。
【0044】
沈降抑制剤としては、特に限定はない。沈降抑制剤の具体例は、粉状シリカ、有機クレー、カーボンブラック、水添ひまし油ワックス、脂肪酸アミドワックス等である。これらの1種又は2種以上が使用される。
粉状シリカとしては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、シリカゲルなどを使用できる。これらの中では、ヒュームドシリカが好ましく、特に疎水性ヒュームドシリカが好ましい。ヒュームドシリカとしては、日本アエロジル社のアエロジル(登録商標)などを使用できる。
有機クレーとしては、有機物親和性フィロケイ酸塩などを使用できる。
カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャンネル法、サーマル法等の方法で製造されたものを使用できる。カーボンブラックは、市販品を適宜選択して使用すればよい。
水添ひまし油ワックス、脂肪酸アミドワックス等は、液体中で膨潤ゲル構造を形成するものである。
なお、これらは、一般的に、チクソトロピック付与剤、増粘剤、沈降防止剤、たれ防止剤等の名称により市販されており、市販品を適宜選択して使用できる。
【0045】
好ましい沈降抑制剤は増粘作用を有する沈降抑制剤であり、中でも沈降抑制剤を構成する元素としてSiを含むものがより好ましい。増粘作用を有する沈降抑制剤の具体例は、ヒュームドシリカ、有機物親和性フィロケイ酸塩であり、ヒュームドシリカがより好ましい。
【0046】
沈降抑制剤を含有する場合、その含有量は、特に限定されないが、ポリオール100質量部に対して、例えば0.1~20質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。沈降抑制剤の含有量を上記下限値以上とすることで、ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物を増粘し、固形難燃剤及び無機充填剤の沈降を抑制して、その分散性を良好にできる。また、沈降抑制剤の含有量を上記上限値以下とすることで、液剤の粘度が過度に大きくなることによる取扱い性の低下が防止される。
【0047】
[その他成分]
ポリオール組成物及び/又はポリイソシアネート組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、赤燐系難燃剤、ホウ素含有難燃剤、臭素含有難燃剤、塩素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤、金属水酸化物等の固形難燃剤、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の添加剤、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤等から選択される1種以上を含むことができる。
【0048】
本発明の樹脂組成物(以下、単に樹脂組成物ともいう)は、ポリオール組成物及びポリイソシアネート組成物を含む。本発明の発泡体は、樹脂組成物から形成される。具体的には、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合した樹脂組成物を、反応及び発泡させた反応生成物である。
本発明の樹脂組成物は、一般的に2液型であり、別々に保管した本発明のポリオール組成物と、ポリイソシアネート組成物とを混合して、反応及び発泡させて発泡体を得るとよい。ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートを含むものである。ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートのみからなるものであってもよいし、上記した充填材、発泡剤、その他成分などのポリイソシアネート以外の成分が必要に応じて配合されていてもよい。
【0049】
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートを含む。ポリイソシアネートとしては、ポリウレタンフォームの形成に使用される公知のポリイソシアネートを用いることができ、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、及び脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、及びポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0051】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0052】
これらの中でも、使いやすさの観点、及び入手容易性の観点から、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
[イソシアネートインデックス]
本発明の樹脂組成物のイソシアネートインデックスに特に制限はないが、70~600が好ましく、80~550がより好ましい。イソシアネートインデックスが前記下限値以上であると、ポリオールに対するポリイソシアネートの量が過剰になりポリイソシアネートの三量化体によるイソシアヌレート結合が生成し易くなる結果、樹脂組成物の難燃性が向上する。さらに、上記下限値以上とすると、イソシアヌレート結合を有する発泡体、すなわち難燃性と断熱性とを高い水準で兼ね備える発泡体を製造しやすい。また、イソシアネートインデックスが上記上限値以下であると、得られる発泡体のフライアビリティが良好になる。
【0054】
なお、イソシアネートインデックスは、以下の方法により計算することができる。
イソシアネートインデックス
=ポリイソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、各当量数は以下のとおり計算することができる。
・ポリイソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用量(g)×NCO含有量(質量%)/NCOの分子量(モル)×100
・ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用量(g)÷KOHの分子量(ミリモル)
OHVはポリオールの水酸基価(mgKOH/g)である。
・水の当量数=水の使用量(g)/水の分子量(モル)×水のOH基の数
上記各式において、NCOの分子量は42(モル)、KOHの分子量は56100(ミリモル)、水の分子量は18(モル)、水のOH基の数は2とする。
【0055】
また、ポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を混合する際には、両者の体積比(ポリオール組成物/ポリイソシアネート組成物)を例えば1/1.4~1.4/1、好ましくは1/1.2~1.2/1の範囲とすればよい。
【0056】
[発泡体]
発泡体の製造方法は特に限定されないが、予め混練して調製されたポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を作製しておき、両者を混練する方法、樹脂組成物を構成する各成分を混練する方法などが挙げられるが、通常は、ポリオール組成物、及びポリイソシアネート組成物を混練することにより製造される。混練は、公知の方法により行うことができ、例えば、高圧発泡機、低圧発泡機、吹付け発泡機及びハンドミキサー等の公知の装置を用いることにより行うことができる。
【0057】
発泡体のセル形状は特に限定されないが、発泡方向に細長く伸びた異方性を示すことが、フォームの圧縮強度の観点から好ましい。具体的には、セルの長軸/短軸の比が1.1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは1.8以上であり、その上限は、3.0以下、好ましくは2.7以下、より好ましくは2.5以下とされる。
【0058】
発泡体の密度は特に限定されないが、15~120kg/mが好ましく、20~100kg/mであることがより好ましく、25~80kg/mであることが更に好ましい。発泡体の密度は、JIS K7222に準拠して測定される値である。
【0059】
[用途]
本発明の樹脂組成物、及び発泡体の用途は特に限定されないが、建築物、家具、自動車、電車、船等の構造物などの空洞に充填する用途に用いたり、該構造物に対して吹き付ける用途に用いたりすることができる。
また、板状の断熱材として用いることができ、片面又は両面に面材を接合したパネルを例示することができる。
面材としては特に限定されず、鋼板、ステンレス鋼板、アルミニウム板等の金属面材、クラフト紙、アルミクラフト紙等の紙面材を例示することができる。
【0060】
また、構造物に対して吹き付ける用途、すなわち、吹き付け用として用いることもできる。
吹き付けは、吹き付け装置(例えばGRACO社製:A-25)及びスプレーガン(例えばガスマー社製:Dガン)を利用して実施することができる。吹き付けは、別容器に入ったポリオール組成物とポリイソシアネート組成物を吹き付け装置内で温度調整し、スプレーガンの先端で両者を衝突混合させ、混合液をエア圧によりミスト化することで実施できる。吹き付け装置及びスプレーガンは公知であり、市販品を使用することができる。
【実施例0061】
本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0062】
<有機充填材(ポリウレタン粉)の調製>
ポリウレタンの固形物を粗く粉砕した後、微粉砕をして粉末を作製した。この粉末を20メッシュの網を用いて振い分けし、網を通過したものをポリウレタン粉とした。
【0063】
<無機充填材A>
無機充填材Aとしては、粉末グラスファイバー(商品名:「カットファイバー SS05C-404」、日東紡社製)を用いた。
【0064】
<無機充填材B>
無機充填材Bとしては、炭酸カルシウム(商品名:「R重炭」、丸尾カルシウム社製)を用いた。
【0065】
(1)ポリオール
・ポリエーテルポリオールA(商品名「アクトコール GR-84」、三井化学社製)80質量部
・ポリエーテルポリオールB(商品名「エクセノール 5030」、AGC社製)20質量部
(2)液状難燃剤
・リン酸エステル(商品名「TMCPP」、大八化学社製)12質量部
(3)整泡剤
・ポリアルキレングリコール系整泡剤(商品名「SH-193」、ダウ・東レ社製)2.5質量部
(4)触媒
・アミン系触媒A(商品名「カオ―ライザーNo.1」、花王社製)0.5質量部
・アミン系触媒B(商品名「カオ―ライザーNo.14」、花王社製)0.5質量部
(5)発泡剤
・水 8質量部
(6)ポリイソシアネート
・芳香族ポリイソシアネート(商品名「スミジュール44V20L」、住化コベストロ社製)196質量部
【0066】
[ポリオール組成物の調製]
ポリオール、液状難燃剤、整泡剤、触媒、発泡剤を計り取り、20分間攪拌した。その後、充填材を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。
【0067】
[サンドイッチパネルの作製]
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層した厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
【0068】
<セル径 長軸/短軸比>
各実施例及び比較例で作製した発泡体を発泡方向に裁断して、測定試料を作製した。
測定試料の表面を走査型電子顕微鏡(日立製「N-FE-SEM」)により観察し、発泡体のセル径を測定し、セルの長軸とセルの短軸比の平均値を測定した。なお、一つの測定試料につき、異なる3箇所を観察し、合計100個のセルを測定し、その平均値を算出した。観察倍率は50倍、加速電圧1.0kVの条件で測定した。なお、セル径 長軸/短軸比は以下の基準により評価した。
○・・・良好(1.5以上)
△・・・やや良好(1.1以上、1.5未満)
×・・・不良(1.1未満)
【0069】
<強度>
JIS A9511(発泡プラスチック保温材)に基づき、JIS K7220(硬質発泡プラスチック-圧縮特性の求め方)に準拠して、圧縮強度を求めた。なお、強度は以下の基準により評価した。
○・・・良好(8N/cm以上)
△・・・やや良好(4N/cm以上、8N/cm未満)
×・・・不良(4N/cm未満)
【0070】
<接着性>
得られたサンドイッチパネルから縦横が300mm×50mmの測定試料を切り出して、その端部を固定台座に固定し、面材の一つの上端に形成した穴にばね秤のフックを引っ掛け、面材に対して下方約45度方向にゆっくりと引張る、剥離試験を行い、ピーリング強度(単位N/5cm)を求めた。なお、接着性は以下の基準により評価した。
○・・・良好(8N/5cm以上)
△・・・やや良好(3N/5cm以上、8N/5cm未満)
×・・・不良(3N/5cm未満)
【0071】
[実施例1]
ポリオールA80質量部、ポリオールB20質量部、液状難燃剤12質量部、整泡剤2.5質量部、触媒A、B共に0.5質量部、発泡剤8質量部を計り取り、20分間攪拌した。その後、有機系充填材として調製したポリウレタン粉43.0質量部及び無機充填材A28.6質量部を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は60.1%であった。
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインにて注入ノズルを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層したフォーム層の厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
得られたサンドイッチパネルから測定試料を切り出し、セル径 長軸/短軸比、強度、接着性を評価した。その結果を表1に示す。
【0072】
[実施例2]
ポリオールA80質量部、ポリオールB20質量部、液状難燃剤12質量部、整泡剤2.5質量部、触媒A、B共に0.5質量部、発泡剤8質量部を計り取り、20分間攪拌した。その後、有機系充填材として調製したポリウレタン粉43.0質量部及び無機充填材A28.6質量部を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は60.1%であった。
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインにてスプレーノズルを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層したフォーム層の厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
得られたサンドイッチパネルから測定試料を切り出し、セル径 長軸/短軸比、強度、接着性を評価した。その結果を表1に示す。
【0073】
[実施例3]
ポリオールA80質量部、ポリオールB20質量部、液状難燃剤12質量部、整泡剤2.5質量部、触媒A、B共に0.5質量部、発泡剤8質量部を計り取り、20分間攪拌した。その後、有機系充填材として調製したポリウレタン粉12.8質量部及び無機充填材A8.6質量部を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は59.8%であった。
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインにてスプレーノズルを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層したフォーム層の厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
得られたサンドイッチパネルから測定試料を切り出し、セル径 長軸/短軸比、強度、接着性を評価した。その結果を表1に示す。
【0074】
[実施例4]
ポリオールA80質量部、ポリオールB20質量部、液状難燃剤12質量部、整泡剤2.5質量部、触媒A、B共に0.5質量部、発泡剤8質量部を計り取り、20分間攪拌した。その後、有機系充填材として調製したポリウレタン粉38.2質量部を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は100%であった。
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインにてスプレーノズルを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層したフォーム層の厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
得られたサンドイッチパネルから測定試料を切り出し、セル径 長軸/短軸比、強度、接着性を評価した。その結果を表1に示す。
【0075】
[実施例5]
ポリオールA80質量部、ポリオールB20質量部、液状難燃剤12質量部、整泡剤2.5質量部、触媒A、B共に0.5質量部、発泡剤8質量部を計り取り、20分間攪拌した。その後、有機系充填材として調製したポリウレタン粉9質量部及び無機充填材B81質量部を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は10.0%であった。
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインにてスプレーノズルを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層したフォーム層の厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
得られたサンドイッチパネルから測定試料を切り出し、セル径 長軸/短軸比、強度、接着性を評価した。その結果を表1に示す。
【0076】
[比較例1]
ポリオールA80質量部、ポリオールB20質量部、液状難燃剤12質量部、整泡剤2.5質量部、触媒A、B共に0.5質量部、発泡剤8質量部を計り取り、20分間攪拌した。その後、無機充填材B182質量部を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は0%であった。
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインにて注入ノズルを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層したフォーム層の厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
得られたサンドイッチパネルから測定試料を切り出し、セル径 長軸/短軸比、強度、接着性を評価した。その結果を表1に示す。
【0077】
[比較例2]
ポリオールA80質量部、ポリオールB20質量部、液状難燃剤12質量部、整泡剤2.5質量部、触媒A、B共に0.5質量部、発泡剤8質量部を計り取り、20分間攪拌した。その後、無機充填材B182質量部を加えて、30分間撹拌して、ポリオール組成物を調製した。有機充填材と無機充填材の合計含有量に対する有機充填材の含有量の割合は0%であった。
低圧発泡機を備えたサンドイッチパネル製造ラインにてスプレーノズルを使用し、調製したポリオール組成物とポリイソシアネートとを混合、撹拌させて、両面面材として厚さ0.3mmのアルミクラフト紙を積層したフォーム層の厚さが30mmのサンドイッチパネルを作製した。
得られたサンドイッチパネルから測定試料を切り出し、セル径 長軸/短軸比、強度、接着性を評価した。その結果を表1に示す。
【0078】
【表1】