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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126372
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】オーディオ用半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240912BHJP
   H01L 23/50 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L21/60 301F
H01L23/50 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034699
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 陽亮
【テーマコード(参考)】
5F044
5F067
【Fターム(参考)】
5F044AA01
5F044EE00
5F044FF04
5F044FF06
5F044FF09
5F044GG00
5F067AB03
5F067BB00
5F067DF01
5F067EA02
5F067EA04
(57)【要約】
【課題】 オーディオ用途に関する評価指標を向上させることが可能なオーディオ用半導体装置を提供すること。
【解決手段】 オーディオ用半導体装置A1は、複数の電極10を有する半導体素子1と、複数のリード2と、複数の電極10と複数のリード2とを導通接続する複数のワイヤ3と、を備え、複数のワイヤ3は、第1金属を主成分とするワイヤ31と、前記第1金属とは異なる第2金属を主成分とするワイヤ32と、を含む。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極を有する半導体素子と、
複数のリードと、
前記複数の電極と前記複数のリードとを導通接続する複数のワイヤと、を備え、
前記複数のワイヤは、第1金属を主成分とする第1ワイヤと、前記第1金属とは異なる第2金属を主成分とする第2ワイヤと、を含む、オーディオ用半導体装置。
【請求項2】
前記第2金属は、前記第1金属よりも柔らかい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1金属は、前記第2金属よりも電気抵抗率が小さい、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1金属は、Cuである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2金属は、Auである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとは、線径が同じである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
複数の電極を有する半導体素子と、
複数のリードと、
前記複数の電極と前記複数のリードとを導通接続する複数のワイヤと、を備え、
前記複数のワイヤは、第1ワイヤと、第2ワイヤと、を含み、
前記第1ワイヤは、前記第2ワイヤよりも線径が太い、オーディオ用半導体装置。
【請求項8】
複数の電極を有する半導体素子と、
複数のリードと、
前記複数の電極と前記複数のリードとを導通接続する複数のワイヤと、を備え、
前記複数のワイヤは、第1ワイヤと、第2ワイヤと、を含み、
前記第1ワイヤは、前記第2ワイヤよりも短い、オーディオ用半導体装置。
【請求項9】
前記半導体素子は、平面視において矩形状である、請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数のリードは、平面視において前記半導体素子の四辺に沿って前記半導体素子を取り囲むように配置されている、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体素子は、オーディオD/Aコンバータとして構成されている、請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項12】
前記複数の電極は、デジタル信号入力用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、デジタル信号入力用の前記電極に接続された前記第1ワイヤを含む、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記複数の電極は、デジタル電源用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、デジタル電源用の前記電極に接続された前記第1ワイヤを含む、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記複数の電極は、アナログ信号出力用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、アナログ信号出力用の前記電極に接続された前記第2ワイヤを含む、請求項12に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記複数の電極は、アナログ電源用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、アナログ電源用の前記電極に接続された前記第1ワイヤを含む、請求項14に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オーディオ用半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子を備える半導体装置が広く普及している。半導体素子としては、IC(Integrated Circuit:集積回路)またはLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)として構成されたものが、様々な用途に用いられている。特許文献1に開示された半導体装置は、その一例としてオーディオ用の半導体素子と、複数のリードと、複数のワイヤと、封止樹脂とを備えたオーディオ用半導体装置として構成されている。複数のワイヤは、半導体素子の複数の電極と複数のリードとを導通接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-17498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常の半導体装置では、小型化や低抵抗化を目的として、各構成要素の選定等が行われる。一方、オーディオ機器等に用いられるオーディオ用半導体装置においては、小型化や低抵抗化等の指標に加えて、オーディオ機器から出力される音について、人間の聴覚によって評価されるような繊細な評価指標が適用される場合がある。このような評価指標の向上を可能とする半導体装置の構成は、明らかであるとはいえない。
【0005】
本開示は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、オーディオ用途に関する評価指標を向上させることが可能なオーディオ用半導体装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示によって提供されるオーディオ用半導体装置は、複数の電極を有する半導体素子と、複数のリードと、前記複数の電極と前記複数のリードとを導通接続する複数のワイヤと、を備え、前記複数のワイヤは、第1金属を主成分とする第1ワイヤと、前記第1金属とは異なる第2金属を主成分とする第2ワイヤと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、オーディオ用途に関する評価指標を向上させることができる。
【0008】
本開示のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図2図2は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す斜視図である。
図3図3は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図4図4は、本開示の第1実施形態に係る半導体装置の半導体素子を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の第2実施形態に係る半導体装置を示す平面図である。
図6図6は、第1比較例の半導体装置を示す平面図である。
図7図7は、第2比較例の半導体装置を示す平面図である。
図8図8は、第3比較例の半導体装置を示す平面図である。
図9図9は、半導体装置の評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0011】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0012】
本開示において、「ある物Aがある物Bに形成されている」および「ある物Aがある物B上に形成されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接形成されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに形成されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物Bに配置されている」および「ある物Aがある物B上に配置されている」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに直接配置されていること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物を介在させつつ、ある物Aがある物Bに配置されていること」を含む。同様に、「ある物Aがある物B上に位置している」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bに接して、ある物Aがある物B上に位置していること」、および、「ある物Aとある物Bとの間に他の物が介在しつつ、ある物Aがある物B上に位置していること」を含む。また、「ある物Aがある物Bにある方向に見て重なる」とは、特段の断りのない限り、「ある物Aがある物Bのすべてに重なること」、および、「ある物Aがある物Bの一部に重なること」を含む。また、本開示において「ある面Aが方向B(の一方側または他方側)を向く」とは、面Aの方向Bに対する角度が90°である場合に限定されず、面Aが方向Bに対して傾いている場合を含む。
【0013】
図1図5は、本開示の第1実施形態に係るオーディオ用半導体装置を示している。本実施形態のオーディオ用半導体装置A1は、オーディオ用半導体素子1、複数のリード2、複数のワイヤ3および複数の封止樹脂4を備える。オーディオ用半導体装置A1の具体的なパッケージ構造は何ら限定されず、図示されたQFP(Quad Flat Package)は、一例に過ぎない。オーディオ用半導体装置A1の具体的な機能および用途は、何ら限定されない。オーディオ用半導体装置A1の一例としては、たとえばオーディオD/Aコンバータ、オペアンプ等が挙げられる。以降の説明においては、オーディオ用半導体装置A1が、オーディオD/Aコンバータとして構成された場合を例に説明する。
【0014】
オーディオ用半導体素子1は、オーディオ用半導体装置A1の主要な機能を果たす素子である。オーディオ用半導体素子1は、たとえばIC(Integrated Circuit:集積回路)またはLSI(Large Scale Integration:大規模集積回路)として構成されている。一般的に、オーディオ用半導体素子1の機能により、オーディオ用半導体装置A1の用途が決定される。本実施形態においては、オーディオ用半導体素子1は、平面視において矩形状である。
【0015】
図4は、オーディオD/Aコンバータとして機能するオーディオ用半導体装置A1に用いられるオーディオ用半導体素子1のブロック図の一例である。図示された例においては、オーディオ用半導体素子1は、インターフェース部101,103、コントロール部104L,104R、フィルタ部105L,105R、変調器106L,106R、および電流セグメント部108L,108Rを有する。
【0016】
インターフェース部101,103は、デジタル信号が入力されるブロックである。インターフェース部101は、たとえばPCM(Pulse Code Modulation)方式のデジタル信号のためのインターフェースである。入力サンプリング周波数は、たとえば32kHz~768kHzであり、入力データピット長は、たとえば16bit~32bitであるまた、インターフェース部101は、たとえばDSD(Direct Stream Digital)方式のデジタル信号のためのインターフェースである。サンプリング周波数は、たとえば2.8MHz,5.6MHz、11.2MHz、22.4MHz等である。
【0017】
インターフェース部103は、たとえばレジスタ制御の2線方式のインターフェースである。通信速度は、たとえば400kHzである。
【0018】
コントロール部104L、フィルタ部105Lおよび変調器106Lは、オーディオ用半導体装置A1が、ステレオタイプのオーディオD/Aコンバータである場合に、左チャンネルの音声信号を処理するブロックであり、コントロール部104R、フィルタ部105Rおよび変調器106Rは、右チャンネルの音声信号を処理するブロックである。
【0019】
コントロール部104L,104Rは、デジタルオーディオフォーマットを制御するものである。たとえば、PCM方式のデジタル信号について、LRスワップ、ステレオ/モノラル切替、位相反転、等を行う。
【0020】
フィルタ部105L,105Rは、たとえばFIR(Finite Impulse Response)フィルタであり、たとえばシャープロールオフ/スローローフオフ等の機能を有するフィルタを適宜選択可能である。
【0021】
変調器106L,106Rは、たとえばパルス変調を行うものであり、たとえばΔΣ(デルタ-シグマ)変調を行う。
【0022】
電流セグメント部108L,108Rは、左チャンネル用および右チャンネル用のアナログ信号を出力するものである。
【0023】
図3に示すように、オーディオ用半導体素子1は、複数の電極10を有する。本実施形態においては、複数の電極10は、オーディオ用半導体素子1の片面に設けられている。複数の電極10は、オーディオ用半導体素子1の四辺に沿って配置されている。
【0024】
複数の電極10は、複数の第1電極11、複数の第2電極12および複数の第3電極13を含む。
【0025】
複数の第1電極11は、図4における左側の辺に配置されたものを含む。これらの第1電極11は、たとえば「I2S signal」「DSD signal」と称されるコネクタ、あるいは「Serial Control PIn」と称されるコネクタにまとめられた電極であり、デジタル信号入力用の電極である。
【0026】
また、複数の11は、図4における上側の辺および下側の辺に配置されたものを含む。これらの第1電極11は、たとえば「VDD」、「GND」と称される電極であり、デジタル電源用の電極である。
【0027】
また、複数の第1電極11は、図4における右側の辺に配置されたものを含む。これらの第1電極11は、たとえば「AVCC_L」、「AVCC_R」、「AGND」、「AVCC」と称される電極であり、アナログ電源用の電極である。
【0028】
複数の第2電極12は、図4における上側および下側の辺に配置されたものを含む。これらの第2電極12は、たとえば「IOUT_LP」、「IOUT_LN」、「IOUT_RP」、「IOUT_RN」と称される電極であり、アナログ信号出力用の電極である。
【0029】
複数の第3電極13は、図4における右側の辺に配置されたものを含む。これらの第3電極13は、「REF1」、「REF2」、「BIAS1」、「BIAS2」と称される電極である。
【0030】
複数のリード2は、オーディオ用半導体素子1の複数の電極10に導通しており、オーディオ用半導体装置A1をオーディオ機器の回路基板(図示略)等に実装する際に用いられる。リード2の材質は、何ら限定されず、たとえばCu(銅)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)あるいはこれらの合金を主成分とする。本実施形態においては、複数のリード2は、センターリード20、複数の第1リード21、複数の第2リード22および複数の第3リード23を含む。
【0031】
センターリード20は、オーディオ用半導体素子1が搭載されるものである。図示された例においては、図2に示すようにセンターリード20は、封止樹脂4から露出するが、この構成に限定されない。
【0032】
複数の第1リード21、複数の第2リード22および複数の第3リード23は、平面視において封止樹脂4から四方に突出している。複数の第1リード21は、複数のワイヤ3(後述のワイヤ31)を介して複数の第1電極11と個別に導通接続されている。複数の第2リード22は、複数のワイヤ3(後述のワイヤ32)を介して、複数の第2電極12と個別に導通接続されている。複数の第3リード23は、複数のワイヤ3(後述のワイヤ33)を介して、複数の第3電極13と個別に導通接続されている。
【0033】
複数のワイヤ3は、オーディオ用半導体素子1の複数の第1電極11と複数のリード2とを導通接続するものである。ワイヤ3は、たとえばCu(銅)、Au(金)、Al(アルミ)、Ag(銀)、Fe(鉄)等の金属またはこれらの合金を主成分とする。本実施形態の複数のワイヤ3は、複数のワイヤ31、複数のワイヤ32および複数のワイヤ33を含む。
【0034】
複数のワイヤ31は、複数の第1電極11と複数の第1リード21とに個別に接続されている。本実施形態においては、ワイヤ31は、Cu(銅)を主成分とする。
【0035】
複数のワイヤ32は、複数の第2電極12と複数の第2リード22とに個別に接続されている。複数のワイヤ33は、複数の第3電極13と複数の第3リード23とに個別に接続されている。本実施形態においては、複数のワイヤ32,33は、Au(金)を主成分とする。なお、ワイヤ3の線径および長さは、適宜設定される。本実施形態においては、複数のワイヤ3の線径は、同じであってもよい。また、複数のワイヤ3の長さは、同じであってもよい。
【0036】
本実施形態において、ワイヤ31は、本開示の「第1ワイヤ」に相当し、Cu(銅)は、本開示の第1金属の一例である。ワイヤ32およびワイヤ33は、本開示の「第2ワイヤ」に相当し、Au(金)は、本開示の第2金属の一例である。第2金属の一例であるAu(金)は、第1金属の一例であるCu(銅)よりも柔らかい。また、第1金属の一例であるCu(銅)は、第2金属の一例であるAu(金)よりも電気抵抗率が小さい。図3においては、第1ワイヤを黒色の線で表しており、第2ワイヤを黒色縁取り付きの白色の線で示している。この点は、以降の図においても同様である。
【0037】
封止樹脂4は、オーディオ用半導体素子1、複数のリード2の一部ずつおよび複数のワイヤ3を覆っている。封止樹脂4の材質は何ら限定されず、たとえばフィラーが混入された黒色のエポキシ樹脂によって形成される。封止樹脂4の具体的な形状は何ら限定されず、たとえば平面視において矩形状である。
【0038】
次に、図5は、本開示の第2実施形態に係るオーディオ用半導体装置を示している。本実施形態のオーディオ用半導体装置A2は、複数のワイヤ33が、本開示の第1ワイヤとされている点が、上述のオーディオ用半導体装置A1と異なる。すなわち、本実施形態の複数のワイヤ33は、第1金属の一例であるCu(銅)を主成分とする。
【0039】
次に、図6図8は、オーディオ用半導体装置の比較例を示している。図6に示す第1比較例のオーディオ用半導体装置X1は、すべてのワイヤ3が第1金属の一例であるCu(銅)を主成分とする。図7に示す第2比較例のオーディオ用半導体装置X2は、複数のワイヤ31の一部、複数のワイヤ32および複数のワイヤ33が、第2金属の一例であるAu(金)を主成分とする。図8に示す第3比較例のオーディオ用半導体装置X3は、すべてのワイヤ3が第2金属の一例であるAu(金)を主成分とする。
【0040】
図9は、オーディオ用半導体装置A1,A2,X1,X2,X3について、音質評価を行った結果を示している。評価指標として、「透明感」、「臨場感」、「広がり」、「解像度」、「定位感」、「低音の量感」、「音色」、「密度感」が挙げられている。各項目の記号は、A+「特に優秀」、A「優秀」、B「良」、C「可」をそれぞれ示している。ただし、音質評価は、評価者の主観や、意図するユーザがどのような音質を好むのかによって大きく変動しうる。たとえば、評価者が異なると、「透明感」、「臨場感」、「広がり」、「解像度」、「定位感」、「低音の量感」、「音色」、「密度感」の各項目の評価が変動しうる。
【0041】
オーディオ用半導体装置A1,A2,X2では、複数のワイヤ3が、上述の第1ワイヤと第2ワイヤとを含む。この結果、複数のワイヤ3のすべてが第1ワイヤであるオーディオ用半導体装置X1および複数のワイヤ3のすべてが第2ワイヤであるオーディオ用半導体装置X3と比べて、図9に示す評価指標ごとの評価が異なっている。したがって、複数のワイヤ3に含まれる第1ワイヤと第2ワイヤとを適宜設定することにより、評価者の主観やユーザの好み等のそれぞれに応じて、オーディオ用半導体装置の音質評価を向上させることができる。
【0042】
オーディオ用半導体装置A1,A2は、オーディオ用半導体装置X1,X2,X3と比べて全体的に高い評価が得られた。オーディオ用半導体装置A1,A2は、複数の第1電極11のうちデジタル信号入力用の第1電極11およびデジタル電源用の第1電極11に接続された複数のワイヤ31が第1ワイヤとされている。また、複数の第2電極12のうちアナログ信号出力用の第2電極12に接続された複数のワイヤ32が第2ワイヤとされている。この構成が、オーディオ用半導体装置A1,A2の評価向上に寄与したと考えられる。複数の第1電極11のうちデジタル信号入力用の第1電極11および電磁たる電源用の第1電極11に接続された複数のワイヤ31が第1ワイヤであることは、これらのワイヤ31が相対的に電気抵抗率が小さい第1金属(本実施形態においてはCu(銅))を主成分としていることが貢献したと考えられる。また、複数の第2電極12のうちアナログ信号出力用の第2電極12に接続された複数のワイヤ32が第2ワイヤであることは、これらのワイヤ32が相対的に軟らかい第2金属(本実施形態においてはAu(金))を主成分としていることが貢献したと考えられる。
【0043】
さらに、オーディオ用半導体装置A1とオーディオ用半導体装置A2の評価指標を比較すると、オーディオ用半導体装置A1がより優れた評価を得ている。オーディオ用半導体装置A1は、複数の第1電極11のうちアナログ電源用の第3電極13に接続された複数の第1電極11を第1ワイヤとされている。また、オーディオ用半導体装置A1は、複数の第3電極13に接続された複数のワイヤ33が第2ワイヤとされている。この構成が、たとえば「臨場感」、「解像度」の評価指標での特に優れた評価に貢献したと考えられる。
【0044】
なお、第1ワイヤを第1金属が主成分である構成とし、第2ワイヤを第2金属が主成分である構成とすることに代えて、以下の手法を採用してもよい。たとえば、第1ワイヤを第2ワイヤよりも線形が太い構成であってもよい。この場合、第1ワイヤは第2ワイヤよりも抵抗が低い構成となり得る。また、第2ワイヤは第1ワイヤよりも軟らかい構成となり得る。あるいは、第1ワイヤが第2ワイヤよりも短い構成であってもよい。この場合、第1ワイヤは第2ワイヤよりも抵抗が低い構成となり得る。また、第2ワイヤは第1ワイヤよりも軟らかい構成となり得る。
【0045】
以上に述べたように、本開示に係るオーディオ用半導体装置によれば、オーディオ用途に関する評価指標を向上させることができる。
【0046】
本開示に係る半導体装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本開示に係る半導体装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0047】
〔付記1〕
複数の電極を有する半導体素子と、
複数のリードと、
前記複数の電極と前記複数のリードとを導通接続する複数のワイヤと、を備え、
前記複数のワイヤは、第1金属を主成分とする第1ワイヤと、前記第1金属とは異なる第2金属を主成分とする第2ワイヤと、を含む、オーディオ用半導体装置。
〔付記2〕
前記第2金属は、前記第1金属よりも柔らかい、付記1に記載の半導体装置。
〔付記3〕
前記第1金属は、前記第2金属よりも電気抵抗率が小さい、付記1または2に記載の半導体装置。
〔付記4〕
前記第1金属は、Cuである、付記1ないし3のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記5〕
前記第2金属は、Auである、付記1ないし4のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記6〕
前記第1ワイヤと前記第2ワイヤとは、線径が同じである、付記1ないし5のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記7〕
複数の電極を有する半導体素子と、
複数のリードと、
前記複数の電極と前記複数のリードとを導通接続する複数のワイヤと、を備え、
前記複数のワイヤは、第1ワイヤと、第2ワイヤと、を含み、
前記第1ワイヤは、前記第2ワイヤよりも線径が太い、オーディオ用半導体装置。
〔付記8〕
複数の電極を有する半導体素子と、
複数のリードと、
前記複数の電極と前記複数のリードとを導通接続する複数のワイヤと、を備え、
前記複数のワイヤは、第1ワイヤと、第2ワイヤと、を含み、
前記第1ワイヤは、前記第2ワイヤよりも短い、オーディオ用半導体装置。
〔付記9〕
前記半導体素子は、平面視において矩形状である、付記1ないし8のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記10〕
前記複数のリードは、平面視において前記半導体素子の四辺に沿って前記半導体素子を取り囲むように配置されている、付記9に記載の半導体装置。
〔付記11〕
前記半導体素子は、オーディオD/Aコンバータとして構成されている、付記1ないし10のいずれかに記載の半導体装置。
〔付記12〕
前記複数の電極は、デジタル信号入力用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、デジタル信号入力用の前記電極に接続された前記第1ワイヤを含む、付記11に記載の半導体装置。
〔付記13〕
前記複数の電極は、デジタル電源用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、デジタル電源用の前記電極に接続された前記第1ワイヤを含む、付記12に記載の半導体装置。
〔付記14〕
前記複数の電極は、アナログ信号出力用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、アナログ信号出力用の前記電極に接続された前記第2ワイヤを含む、付記12または13に記載の半導体装置。
〔付記15〕
前記複数の電極は、アナログ電源用の前記電極を含み、
前記複数のワイヤは、アナログ電源用の前記電極に接続された前記第1ワイヤを含む、付記14に記載の半導体装置。
【符号の説明】
【0048】
A1,A2,X1,X2,X3:オーディオ用半導体装置
1 :オーディオ用半導体素子
2 :リード
3 :ワイヤ
4 :封止樹脂
10 :電極
11 :第1電極
12 :第2電極
13 :第3電極
20 :センターリード
21 :第1リード
22 :第2リード
23 :第3リード
31 :ワイヤ
32 :ワイヤ
33 :ワイヤ
101 :インターフェース部
102 :インターフェース部
103 :インターフェース部
104L :コントロール部
104R :コントロール部
105L :フィルタ部
105R :フィルタ部
106L :変調器
106R :変調器
107 :コントロール部
108L :電流セグメント部
108R :電流セグメント部
109 :コントロール部
A1,A2,X1,X2,X3:オーディオ用半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9