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2024-126379漫画を動画化して収益化するためのシステム、方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126379
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】漫画を動画化して収益化するためのシステム、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/266 20110101AFI20240912BHJP
   H04N 21/258 20110101ALI20240912BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240912BHJP
【FI】
H04N21/266
H04N21/258
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034712
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】515018091
【氏名又は名称】株式会社オルツ
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】米倉 千貴
【テーマコード(参考)】
5C164
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C164FA06
5C164PA39
5C164SB02P
5C164SC11P
5C164SD12S
5C164YA11
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】漫画を動画化して収益化するビジネスモデルを可能にすること
【解決手段】本発明は、漫画を動画化して収益化するためのシステム等を提供し、本発明のシステムは、ユーザから漫画データを受信する受信手段と、前記漫画データに基づいて、動画を作成する作成手段と、前記作成された動画を配信することによって得られた報酬を取得する取得手段と、前記報酬に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定する決定手段とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
漫画を動画化して収益化するためのシステムであって、
ユーザから漫画データを受信する受信手段と、
前記漫画データに基づいて、動画を作成する作成手段と、
前記動画を配信することによって得られた報酬を取得する取得手段と、
前記報酬に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定する決定手段と
を備えるシステム。
【請求項2】
前記作成手段は、
前記漫画データに基づいて、動画を作成するための処理を自動的に行う処理部と、
前記自動的に行われた処理の処理結果を修正するためのユーザ入力を受信する受信部と、
前記ユーザ入力に基づいて前記処理結果に対する修正を行う修正部と
を備え、前記作成手段は、前記修正された処理結果に基づいて動画を作成する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記決定手段は、
前記ユーザ入力に基づいて行われた前記修正の程度を特定することと、
前記修正の程度に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定することと
を行うように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記決定手段は、前記処理部が自動的に行った処理結果と、前記ユーザ入力に基づいて修正された処理結果とを比較することによって、前記修正の程度を特定する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記決定手段は、前記動画の視聴者による評価にさらに基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定する、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理部は、
前記漫画データに基づいて、前記漫画中の登場人物を識別することと、
前記登場人物のセリフに音声を割り当てることと
を自動的に行う、請求項2に記載のシステム。
【請求項7】
前記作成された動画を動画配信サーバに送信する送信手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記動画配信サーバが前記動画を配信することによって得られた報酬を取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記作成された動画を配信する配信手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記配信手段が前記動画を配信することによって得られた報酬を取得する、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
漫画を動画化して収益化するための方法であって、
ユーザから漫画データを受信することと、
前記漫画データに基づいて、動画を作成することと、
前記動画を配信することによって得られた報酬を取得することと、
前記報酬に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定することと
を含む方法。
【請求項10】
漫画を動画化して収益化するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサ部を備えるコンピュータにおいて実行され、前記プログラムは、
ユーザから漫画データを受信することと、
前記漫画データに基づいて、動画を作成することと、
前記動画を配信することによって得られた報酬を取得することと、
前記報酬に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定することと
を含む処理を前記プロセッサ部に行わせる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漫画を動画化して収益化するためのシステム、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
動画を投稿して配信するときに、動画内に広告を埋め込むことで、動画の再生回数(より具体的には、広告の再生回数)に応じて、報酬を動画投稿者に提供する仕組みが知られている(例えば、Youtube(登録商標)、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-526321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、漫画を動画化して収益化するビジネスモデルを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、漫画を動画化して収益化するためのシステム、方法、プログラム等を提供する。このシステム等では、ユーザからの漫画データから動画を作成し、この動画を配信することによって得られた報酬の少なくとも一部をユーザに提供することができる。
【0006】
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
漫画を動画化して収益化するためのシステムであって、
ユーザから漫画データを受信する受信手段と、
前記漫画データに基づいて、動画を作成する作成手段と、
前記動画を配信することによって得られた報酬を取得する取得手段と、
前記報酬に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定する決定手段と
を備えるシステム。
(項目2)
前記作成手段は、
前記漫画データに基づいて、動画を作成するための処理を自動的に行う処理部と、
前記自動的に行われた処理の処理結果を修正するためのユーザ入力を受信する受信部と、
前記ユーザ入力に基づいて前記処理結果に対する修正を行う修正部と
を備え、前記作成手段は、前記修正された処理結果に基づいて動画を作成する、上記項目に記載のシステム。
(項目3)
前記決定手段は、
前記ユーザ入力に基づいて行われた前記修正の程度を特定することと、
前記修正の程度に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定することと
を行うように構成されている、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目4)
前記決定手段は、前記処理部が自動的に行った処理結果と、前記ユーザ入力に基づいて修正された処理結果とを比較することによって、前記修正の程度を特定する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目5)
前記決定手段は、前記動画の視聴者による評価にさらに基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目6)
前記処理部は、
前記漫画データに基づいて、前記漫画中の登場人物を識別することと、
前記登場人物のセリフに音声を割り当てることと
を自動的に行う、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目7)
前記作成された動画を動画配信サーバに送信する送信手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記動画配信サーバが前記動画を配信することによって得られた報酬を取得する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目8)
前記作成された動画を配信する配信手段をさらに備え、
前記取得手段は、前記配信手段が前記動画を配信することによって得られた報酬を取得する、上記項目のいずれか一項に記載のシステム。
(項目9)
漫画を動画化して収益化するための方法であって、
ユーザから漫画データを受信することと、
前記漫画データに基づいて、動画を作成することと、
前記動画を配信することによって得られた報酬を取得することと、
前記報酬に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定することと
を含む方法。
(項目9A)
上記項目のいずれかに記載の特徴を含む、項目9に記載の方法。
(項目10)
漫画を動画化して収益化するためのプログラムであって、前記プログラムは、プロセッサ部を備えるコンピュータにおいて実行され、前記プログラムは、
ユーザから漫画データを受信することと、
前記漫画データに基づいて、動画を作成することと、
前記動画を配信することによって得られた報酬を取得することと、
前記報酬に基づいて、前記ユーザに提供されるべき報酬を決定することと
を含む処理を前記プロセッサ部に行わせる、プログラム。
(項目10A)
上記項目のいずれかに記載の特徴を含む、項目10に記載のプログラム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、漫画を動画化して収益化するためのシステム等を提供することができ、このシステム等により、漫画を動画化して収益化するビジネスモデルが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】漫画を簡単に動画化することが可能なシステムを利用したビジネスモデルのフローの一例を示す図
図2A】システム100を利用する第1のユーザU1に提示される動画作成画面の一例を示す図
図2B】システム100を利用する第1のユーザU1に提示される動画作成画面の一例を示す図
図2C】システム100を利用する第1のユーザU1に提示される動画作成画面の一例を示す図
図2D】システム100を利用する第1のユーザU1に提示される動画作成画面の一例を示す図
図2E】システム100を利用する第1のユーザU1に提示される動画作成画面の一例を示す図
図2F】システム100を利用する第1のユーザU1に提示される動画作成画面の一例を示す図
図3】漫画を動画化して収益化するためのシステム100の構成の一例を示す図
図4】漫画を動画化して収益化するためのシステム100の具体的な構成の一例を示す図
図5】データベース部200に格納されるデータ構造の一例を示す図
図6】プロセッサ部120の構成の一例を示す図
図7】漫画を動画化して収益化するためのシステムによる100による処理700の一例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
(1.漫画を動画化して収益化するビジネスモデル)
本発明の発明者は、漫画を簡単に動画化することが可能なシステムを開発した。このシステムでは、ユーザが作成した漫画の漫画データを入力すると、自動的にまたは半自動的に漫画が動画化されるのである。具体的には、漫画中の各コマが識別され、各コマ中の登場人物が識別され、各コマ中のセリフが識別されて登場人物と関連付けられ、各セリフにそれぞれの登場人物に関連付けられた音声が付与され、各コマが連続的に結合されることで、動画化される。この動画は、再生されると、自動的に各コマが切り替わり、各コマ中のセリフが読み上げられる。“読者”は、ページをめくる必要なく、コマ送りすらする必要なく、視覚および聴覚の両方で漫画を“読む”ことができる。漫画の動画化は、漫画を簡単に視聴することを可能にすることで、漫画を読むハードルを下げることができ、漫画が多くの人々の目に留まる機会を創出する。
【0011】
例えば、アマチュアの漫画作者は、自身で作成した漫画を広く読んでもらいたいという想いを持っている。しかしながら、無名なアマチュアの漫画作者の漫画は人々の目に留まりづらい。そこで、漫画作者は、本発明のシステムを利用して漫画を動画化し、それを動画配信サイト(例えば、Youtube)で配信することにより、多くの人々の目に留まるようにすることができる。
【0012】
本発明の発明者は、このようなシステムを利用した新たなビジネスモデルも開発した。このビジネスモデルは、漫画作者が作成した漫画が動画化されて配信され、配信された動画の視聴による報酬の少なくとも一部が、漫画作者に提供されるというものである。配信された動画の視聴による報酬の一部が、このビジネスモデルの収益となり得る。あるいは、漫画作者にこのシステムを利用させるための利用料が、このビジネスモデルの収益となり得る。
【0013】
図1は、このビジネスモデルにおけるフローの一例を示す。
【0014】
ここでは、漫画作者である第1のユーザU1がシステム100を利用して、漫画を動画化し、動画配信サーバ1000によって配信される動画を視聴者である第2のユーザU2が視聴することを例に説明する。
【0015】
ステップS1では、第1のユーザU1が、自身が作成した漫画の電子データである漫画データ10をシステム100に提供する。漫画データは、漫画を電子的に表示することを可能にする任意のデータであり得、典型的には、漫画の各ページを表す画像データであり得る。第1のユーザU1は、例えば、自身の端末装置を使用して、ネットワークを介してシステム100に漫画データをアップロードすることにより、漫画データ10をシステム100に提供することができる。提供された漫画データは、システム100によって、動画化されることになる。
【0016】
システム100は、人工知能(いわゆる、AI)を利用して、自動的または半自動的に漫画データを動画化することができる。例えば、第1のユーザU1が、自身の端末装置を介して、システム100によって提供される動画作成サイトにアクセスし、図2A図2Fに示す画面を操作することにより、漫画から動画を作成することができる。
【0017】
例えば、システム100によって作成された動画には、透かし(ウォーターマーク)が挿入されるようにしてもよい。これにより、動画がシステム100によって作成されたものであることを視聴者に保証することができる。これは、システム100を提供するサービスプロバイダのブランド力を動画に付与することにつながる。
【0018】
システム100によって動画が作成されると、動画は、動画配信サーバ1000が提供する動画配信サイトにおいて配信されることになる。
【0019】
このために、ステップS2では、システム100が、作成された動画を動画配信サーバ1000に提供する。例えば、システム100は、ネットワークを介して動画配信サーバ1000に動画をアップロードすることにより、動画を動画配信サーバ1000に提供することができる。このとき、動画配信サーバ1000によって提供される動画配信サイトにおいて、システム100のサービスプロバイダが管理するチャンネルに、動画をアップロードすることが好ましい。このチャンネルは、漫画から作成された動画がアップロードされる専用チャンネルであり得、新しい漫画を簡易に読みたい視聴者が集まりやすく、従って、単にアップロードすることに比べて、動画が人目につく機会を多くすることができるからである。また、漫画作者1人では動画視聴による報酬を得るための条件を満たさない場合であっても、専用チャンネルにアップロードすることで、この条件を満たすことができるという利点もある。
【0020】
ステップS3では、視聴者である第2のユーザU2が、動画配信サイトにアクセスし、視聴したい動画を選択し、選択した動画を視聴する。
【0021】
動画には広告が挿入されており、第2のユーザU2は、動画を視聴することで広告も視聴することになる。これにより、動画の視聴回数分(ひいては、広告の再生回数分)分の報酬が、動画の投稿者に提供されることになる。この報酬は、例えば、広告主からの広告費用、および/または、視聴者からの投げ銭が原資となり得る。
【0022】
ステップS4では、動画配信サーバ1000が、動画の視聴回数に応じた報酬をシステム100に提供する。動画配信サーバ1000は、任意の態様で、報酬をシステム100に提供することができる。例えば、動画配信サーバ1000は、システム100によって指定された銀行口座に報酬を提供するようにしてもよいし、電子マネーまたは仮想通貨で報酬を提供するようにしてもよい。
【0023】
システム100は、動画配信サーバ1000から得られた報酬から、第1のユーザU1によるシステム利用料分および/またはシステム100のサービスプロバイダの収益分を差し引いた額を、第1のユーザU1に提供することになる。あるいは、システム100は、好ましくは、第1のユーザU1が作成した漫画の出来に応じて、第1のユーザU1に提供すべき報酬の額を決定し、その額を第1のユーザU1に提供するようにしてもより。そうすることで、第1のユーザU1の漫画作成へのモチベーションを高め、よりよい漫画の作成に貢献することができるからである。
【0024】
このために、システム100は、動画化された漫画の評価を取得する。評価は、例えば、動画の視聴による直接的な評価であってもよいし、間接的な評価であってもよいし、あるいは、システム100による動画化のしやすさに関する評価であってもよい。
【0025】
動画の視聴者による評価は、例えば、動画を視聴した後に、視聴者が動画配信サイトに入力する評価であってもよいし、動画配信サイトからシステム100が提供するサイトに遷移し、視聴者が、そのサイトに入力する評価であってもよい。視聴者は、例えば、漫画の主題のよさ、視聴しやすさ、シナリオのよさ、描画の良さ、動画化品質のよさ、視聴者指定の観点(例えば、「泣けるか?」)における品質のよさ、漫画作者指定の観点(例えば、「胸がスカッとするか?」)における品質のよさ、漫画作者の将来性への期待度、漫画作者が過去に投稿した動画からの改善度、他の漫画との類似性等のうちの少なくとも1つの観点から、動画を評価することができる。
【0026】
間接的な評価は、例えば、複数の視聴者による行動から導出される評価であってもよいし、複数の視聴者による評価を平均した評価であってもよい。例えば、間接的な評価は、同じカテゴリの動画化された複数の漫画における相対的な評価もしくは順位、動画化された漫画を配信するサイトへの外部サイトからのリンク数、動画化された漫画を配信するサイトへの外部サイトからのアクセス数もしくはアクセス後に視聴を完了した数等であり得る。
【0027】
システム100による動画化のしやすさは、システム100が利用するAIが自動的に作成した動画の精度、すなわち、AIが漫画作者の意図どおりの動画を自動的に作成できたかどうかを指標とすることができる。
【0028】
物語の文脈が分かりやすい漫画、登場人物の見た目が統一されている漫画、セリフの特徴が分かりやすい漫画等は、物語を容易に理解することができ、読者の認知負荷が低い漫画であると言える。AIは、例えば、物語の文脈、登場人物の見た目の統一性、セリフの特徴等に基づいて、登場人物を識別したりセリフに登場人物を割り当てたりして漫画を動画化するため、物語の文脈が分かりやすい漫画、登場人物の見た目が統一されている漫画、セリフの特徴が分かりやすい漫画等は、AIが動画化しやすい漫画であり、AIにとっても認知負荷が低い漫画であると言える。このような考えから、システム100は、読者にとってもAIにとっても認知負荷が低い漫画を良い漫画であると評価し、良い漫画を作成した漫画作者にはより高い報酬を提供するような仕組みを有している。
【0029】
例えば、AIが、漫画中の各コマを識別するとき、コマ割りを正しく識別することができた場合には、動画の精度が高いと評価され、ひいては、動画化のしやすさの程度が高いと評価される一方で、AIがコマ割りを誤って識別した場合には、動画の精度が低いと評価され、ひいては、動画化のしやすさの程度が低いと評価される。AIがコマ割りを誤って識別した場合には、第1のユーザU1が介入して正しいコマ割りを入力することになる。例えば、AIが、漫画中の登場人物を識別するとき、登場人物を正しく識別することができた場合には、動画の精度が高いと評価され、ひいては、動画化のしやすさの程度が高いと評価される一方で、AIが登場人物を誤って識別した場合には、動画の精度が低いと評価され、ひいては、動画化のしやすさの程度が低いと評価される。AIが登場人物を誤って識別した場合には、第1のユーザU1が介入して正しい登場人物を入力することになる。例えば、AIが、各コマ中のセリフを登場人物と関連付けて音声を割り当てるとき、セリフと登場人物とを正しく関連付けることができた場合には、動画の精度が高いと評価され、ひいては、動画化のしやすさの程度が高いと評価される一方で、AIがセリフと登場人物とを誤って関連付けた場合には、動画の精度が低いと評価され、ひいては、動画化のしやすさの程度が低いと評価される。AIがセリフと登場人物とを誤って関連付けた場合には、第1のユーザU1が介入してセリフに正しい登場人物を割り当てることになる。
【0030】
動画化のしやすさの程度は、例えば、AIによって自動的に作成された初期動画と、ユーザの介入を経て最終的に作成された動画との間の差異に基づいて決定されることができる。例えば、AIによって最初に作成された動画とユーザの介入を経て最終的に作成された動画との間の差異が小さいほど動画化のしやすさが高いとみなし、AIによって最初に作成された動画とユーザの介入を経て最終的に作成された動画との間の差異が大きいほど動画化のしやすさが低いとみなすことができる。あるいは、動画化のしやすさの程度は、例えば、動画を作成するときのユーザの介入の量または程度に基づいて決定されることができる。例えば、ユーザの介入が少ないほど動画化のしやすさが高いとみなし、ユーザの介入が多いほど動画化のしやすさが低いとみなすことができる。
【0031】
システム100は、動画化された漫画の評価に基づく額を通常の報酬に増額または減額するように、第1のユーザU1に提供すべき報酬の額を決定するようにしてもよいし、動画化された漫画の評価に基づく割合を通常の報酬に乗じるように、第1のユーザU1に提供すべき報酬の額を決定するようにしてもよい。
【0032】
ステップS5では、システム100が、決定された報酬を第1のユーザU1に提供する。システム100は、任意の態様で、報酬を第1のユーザU1に提供することができる。例えば、システム100は、第1のユーザU1によって指定された銀行口座に報酬を提供するようにしてもよいし、電子マネーまたは仮想通貨で報酬を提供するようにしてもよいし、現金書留で報酬を提供するようにしてもよい。
【0033】
このように、本発明のシステム100を用いたビジネスモデルでは、第1のユーザU1が作成した漫画が、動画化され、第2のユーザU2によって視聴され、ひいては、収益化される。このビジネスモデルによれば、第1のユーザU1は、自身の漫画を多くの人に視聴してもらうことができるのみならず、報酬も得ることができ、また、認知負荷が低い良い漫画を描くほど得られる報酬が増えるため、良い漫画を描くことへのモチベーションを維持することもできる。これは、ひいては、漫画産業の発展に寄与し得る。
【0034】
図2A図2Fは、システム100を利用する第1のユーザU1に提示される動画作成画面の一例を示す。
【0035】
例えば、第1のユーザU1が、自身の端末装置を介して、システム100が提供する動画作成サイトにアクセスすると、図2A図2Fに示される画面が端末装置に表示されることになる。第1のユーザU1は、この画面を操作することにより、簡単に漫画を動画化することができる。
【0036】
図2Aは、漫画データをアップロードするための画面20である。画面20は、ドロップエリア201、「ファイル選択」202ボタンを備えている。
【0037】
第1のユーザU1は、漫画を電子データとして保存し得る。例えば、第1のユーザU1は、デジタル的に漫画を作成することで、漫画を電子データとして保存するようにしてもよいし、アナログ的に漫画を作成した後にスキャナ等でコンピュータに取り込むことで、漫画を電子データとして保存するようにしてもよい。
【0038】
第1のユーザU1は、電子データである漫画データを画面20を介してシステム100に入力する。第1のユーザU1は、例えば、保存してある漫画データをドロップエリア201にドラッグ&ドロップすることで、システム100に入力することができる。あるいは、「ファイル選択」202ボタンを選択して、保存してある漫画データを選択することで、システム100に入力することができる。ファイルが入力されると、画面21に進む。
【0039】
図2Bは、漫画の詳細を設定する画面21である。画面21は、タイトル入力欄211、著作権情報入力欄212、サムネイル設定欄213を備えている。
【0040】
タイトル入力欄211には、漫画データから作成される動画のタイトルが入力され得る。
【0041】
著作権情報入力欄212には、第1のユーザU1が動画化される漫画の著作権を有しているかの情報が入力され得る。漫画の動画化は、漫画の同一性保持権または翻案権等を侵害し得る場合があり、第1のユーザU1が著作権を有していない場合には問題になるおそれがあるからである。
【0042】
サムネイル設定欄213には、作成された動画に付けられるサムネイル用の画像が入力され得る。第1のユーザU1は、例えば、サムネイルにしたい画像をサムネイル設定欄213にドラッグ&ドロップすることで、システム100に入力することができる。あるいは、「ファイル選択」ボタン(図示せず)を選択して、サムネイルにしたい画像を選択することで、システム100に入力することができる。
【0043】
画面21は、漫画の詳細を設定するための他の入力欄を含むことができる。漫画の詳細が設定されると、画面22に進む。
【0044】
図2Cは、システム100による登場人物検出の結果を示す画面22である。画面22は、登場人物表示欄221と、詳細表示欄222と、登場人物追加ボタン223とを備えている。
【0045】
登場人物表示欄221には、システム100によって検出および認識された登場人物が、人物毎に表示され得る。システム100は、例えば、物語の文脈、人物の見た目、シチュエーション、呼び方等に基づいて、自動的に登場人物を検出および認識することができる。図2Cに示される例では、認識された2人の登場人物が表示されている。
【0046】
詳細表示欄222には、同一人物として認識された漫画中の人物の画が表示され得る。例えば、図2Cに示される例では、破線で囲まれた第1の登場人物と同一の人物として認識された人物の画が表示されている。本例では、5つの画の人物が、第1の登場人物と同一の人物として認識されている。5つの画の人物のうち、224で示される人物が、第1の登場人物と同一人物ではない場合、第1のユーザU1は、「×」アイコンを選択して224で示される人物を削除するか、正しい登場人物(ここでは、第2の登場人物)として認識するよう、登場人物表示欄221内の正しい登場人物にドラッグ&ドロップすることができる。このようにして、第1のユーザU1は、システムによる登場人物検出の結果を修正することができる。
【0047】
登場人物追加ボタン223は、システム100によって検出されなかった登場人物を新たに追加するためのボタンである。このボタンを選択すると、漫画内容閲覧画面(図示せず)に遷移し、その画面内で登場人物を手動で特定することで、登場人物をシステム100に認識させることができる。
【0048】
第1のユーザU1が意図したとおりに登場人物が認識されると、画面23に進む。
【0049】
図2Dは、漫画の登場人物に声を割り当てるための画面23である。画面23は、登場人物表示欄231と、音声候補表示欄232とを備えている。
【0050】
登場人物表示欄231には、画面22で特定された登場人物が、人物毎に表示され得る。図2Dに示される例では、2人の登場人物が表示されている。
【0051】
音声候補表示欄232には、各登場人物に割り当て可能な音声の候補が表示されている。例えば、登場人物表示欄231から音声を割り当てるべき登場人物を選択し、その登場人物に割り当てるべき音声を音声候補表示欄232に表示された音声候補の中から選択することで、その登場人物に音声を割り当てることができる。これにより、各登場人物のセリフが、割り当てられた音声で読み上げられることが可能になる。図2Dに示される例では、第1の登場人物が選択されており、音声候補A、音声候補B、音声候補C、・・・の中から、第1の登場人物のイメージに最も適合する音声候補が選択されることになる。例えば、システム100が、登場人物の画に基づいて、自動的に音声を割り当てるようにしてもよい。第1のユーザU1は、自動的に割り当てられた音声がイメージに合っていなければ、適宜変更することができる。
【0052】
すべての登場人物に音声が割り当てられると、画面24に進む。
【0053】
図2Eは、漫画のセリフに登場人物を割り当てるための画面24である。画面24には、システム100によって認識された漫画中のセリフが、セリフ毎に表示されており、各セリフに対して、登場人物表示部241と、セリフ表示部242と、音声再生ボタン243とが表示されている。
【0054】
登場人物表示部241には、そのセリフに割り当てられた登場人物が表示されている。システム100は、例えば、物語の文脈、吹き出しと登場人物との位置関係、吹き出しの形状等に基づいて、自動的にセリフに登場人物を割り当てることができる。
【0055】
セリフ表示部242には、セリフの内容が表示されている。
【0056】
音声再生ボタン243を選択すると、登場人物表示部241に表示されている登場人物に割り当てられている音声で、セリフ表示部242に表示されているセリフの内容が読み上げられる。
【0057】
図2Eに示される例では、第1のセリフ「パパ」に対して、第1の登場人物が割り当てられており、第2のセリフ「歯を矯正したい」に対して、第1の登場人物が割り当てられており、第3のセリフ「どうしたの急に」に対して、第2の登場人物が割り当てられており、第4のセリフ「ここ」に対して、第2の登場人物が割り当てられており、第5のセリフ「歯と歯の間が気になる。」に対して、第1の登場人物が割り当てられている。それぞれのセリフの音声再生ボタン243を選択すると、それぞれの登場人物に割り当てられた音声でそれぞれのセリフが読み上げられることになる。
【0058】
ここで、第1のユーザU1が、第4のセリフは、第2の登場人物ではなく、第1の登場人物のセリフであることを意図していた場合、第4のセリフの登場人物表示部244を選択するとプルダウンが表示され、プルダウンの中から第1の登場人物を選択することで、第4のセリフと登場人物との割り当てを修正することができる。
【0059】
さらに、システム100は、各セリフに効果音(SE)を割り当て、かつ/または、各セリフもしくは各シーンに背景音楽(BGM)を割り当てるようにしてもよい。
【0060】
第1のユーザU1が意図したとおりにセリフに登場人物が割り当てられると、システム100は動画を作成し、動画が作成されると、画面25に進む。
【0061】
図2Fは、作成された動画の公開設定を行うための画面25である。画面25は、公開設定部251と、ダウンロードボタン252と、プレビューエリア253とを備えている。
【0062】
公開設定部251には、作成された動画を、システム100のサービスプロバイダが管理するチャンネル(ここでは、AI Comic公式チャンネル)で公開するか否かが入力される。「公開する」に設定されると、作成された動画は、システム100のサービスプロバイダが管理するチャンネルで公開されることになり、動画の視聴に伴う報酬を得られるようになる。
【0063】
「公開しない」に設定されると、ダウンロードボタン252から動画をダウンロードすることができるようになる。このとき、ダウンロードの対価として、システム利用料を第1のユーザU1に請求するようにしてもよい。
【0064】
プレビューエリア253では、作成された動画のプレビューが再生される。
【0065】
このように、図2A~2Fを操作することにより、第1のユーザU1は、漫画から動画を簡単に作成することができる。特に、登場人物の検出および認識、登場人物への音声の割り当て、セリフの認識、ならびに、セリフへの登場人物の割り当てが自動的に行われ得るので、ユーザの負担は非常に低減され得る。特に、認知負荷が低い漫画であれば、ユーザの介入なく動画が作成されることに加えて、動画の視聴に伴う報酬の額も高くなるという利点がある。このことは、認知負荷が低い漫画を描くことへのモチベーションを高めることにつながり得る。
【0066】
上述したシステム100は、例えば、後述する構成を有することができ、後述する処理により、動画を漫画化して収益化することができる。
【0067】
(2.漫画を動画化して収益化するためのシステムの構成)
図3は、漫画を動画化して収益化するためのシステム100の構成の一例を示す。
【0068】
システム100は、データベース部200に接続されている。また、システム100は、少なくとも1つの第1のユーザ端末装置300にネットワーク500を介して接続されている。第1のユーザ端末装置300は、システム100のユーザ(図1における第1のユーザU1)が使用する端末装置であり、システム100のユーザは、システム100を利用して自身が作成した漫画を動画化する。端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、スマートグラス、スマートウォッチ等の任意のタイプの端末装置であり得る。
【0069】
なお、図3では、3つの第1のユーザ端末装置300が示されているが、第1のユーザ端末装置300の数はこれに限定されない。任意の数の第1のユーザ端末装置300が、ネットワーク500を介してシステム100に接続され得る。
【0070】
システム100はさらに、動画配信サーバ1000にネットワーク500を介して接続されている。動画配信サーバ1000は、投稿された動画を第2のユーザ端末装置400に配信する機能を有している。動画は、任意のソースから投稿され得、例えば、第1のユーザ端末装置300から投稿され得る。システム100も、動画配信サーバ1000に動画を投稿することができる。例えば、第1のユーザ端末装置300は、後述するように、システム100に漫画データを提供し、システム100が漫画データから動画を作成し、システム100が作成された動画を動画配信サーバ1000に投稿することができる。
【0071】
動画配信サーバ1000は、少なくとも1つの第2のユーザ端末装置400にネットワーク500を介して接続されている。第2のユーザ端末装置400は、動画配信サーバ1000から配信される動画を視聴するユーザ(図1における第2のユーザU2)が使用する端末装置である。端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ、スマートグラス、スマートウォッチ等の任意のタイプの端末装置であり得る。
【0072】
なお、図3では、2つの第2のユーザ端末装置400が示されているが、第2のユーザ端末装置400の数はこれに限定されない。任意の数の第2のユーザ端末装置400が、ネットワーク500を介して動画配信サーバ1000に接続され得る。
【0073】
ネットワーク500は、任意の種類のネットワークであり得る。ネットワーク500は、例えば、インターネットであってもよいし、LANであってもよい。ネットワーク500は、有線ネットワークであってもよいし、無線ネットワークであってもよい。
【0074】
システム100の一例は、漫画を簡単に動画化して動画配信サーバ1000に提供するサービスを提供するプロバイダに設置されているコンピュータ(例えば、サーバ装置)であるが、これに限定されない。システム100は、動画配信機能を有することもでき、この場合、動画配信サーバ1000が省略され得る。
【0075】
データベース部200には、少なくとも、システム100によって作成された動画に関する情報が格納されている。また、漫画データから動画を作成するときに行われたユーザ操作に関する情報も格納され得る。
【0076】
図4は、漫画を動画化して収益化するためのシステム100の具体的な構成の一例を示す。
【0077】
システム100は、インターフェース部110と、プロセッサ部120と、メモリ130部とを備える。
【0078】
インターフェース部110は、システム100の外部と情報のやり取りを行う。システム100のプロセッサ部120は、インターフェース部110を介して、システム100の外部から情報を受信することが可能であり、システム100の外部に情報を送信することが可能である。インターフェース部110は、任意の形式で情報のやり取りを行うことができる。
【0079】
インターフェース部110は、例えば、システム100に情報を入力することを可能にする入力部を備える。入力部が、どのような態様でシステム100に情報を入力することを可能にするかは問わない。例えば、入力部が受信器である場合、受信器がネットワークを介してシステム100の外部から情報を受信することにより入力してもよい。あるいは、入力部がデータ読み取り装置である場合には、システム100に接続された記憶媒体から情報を読み取ることによって情報を入力するようにしてもよい。
【0080】
インターフェース部110は、例えば、システム100から情報を出力することを可能にする出力部を備える。出力部が、どのような態様でシステム100から情報を出力することを可能にするかは問わない。例えば、出力部が送信器である場合、送信器がネットワークを介してシステム100の外部に情報を送信することにより出力してもよい。あるいは、出力部がデータ書き込み装置である場合、システム100に接続された記憶媒体に情報を書き込むことによって情報を出力するようにしてもよい。
【0081】
システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、データベース部200に情報を送信し、かつ/または、データベース部200から情報を受信することができる。システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、第1のユーザ端末装置300に情報を送信し、かつ/または、第1のユーザ端末装置300から情報を受信することができる。システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、第1のユーザ端末装置300から漫画データを受信することができる。システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、動画配信サーバ1000に動画データを送信することができる。システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、動画配信サーバ1000から、動画を配信したことによる報酬または報酬に関する情報を受信することができる。システム100は、例えば、インターフェース部110を介して、漫画を動画化して配信したことによる報酬または報酬に関する情報を第1のユーザ端末装置300に送信することができる。
【0082】
プロセッサ部120は、システム100の処理を実行し、かつ、システム100全体の動作を制御する。プロセッサ部120は、メモリ部130に格納されているプログラムを読み出し、そのプログラムを実行する。これにより、システム100を所望のステップを実行するシステムとして機能させることが可能である。プロセッサ部120は、単一のプロセッサによって実装されてもよいし、複数のプロセッサによって実装されてもよい。
【0083】
メモリ部130は、システム100の処理を実行するために必要とされるプログラムやそのプログラムの実行に必要とされるデータ等を格納する。メモリ部130は、漫画を動画化して収益化するための処理をプロセッサ部120に行わせるためのプログラム(例えば、後述する図7に示される処理を実現するプログラム)を格納してもよい。ここで、プログラムをどのようにしてメモリ部130に格納するかは問わない。例えば、プログラムは、メモリ部130にプリインストールされていてもよい。あるいは、プログラムは、ネットワークを経由してダウンロードされることによってメモリ部130にインストールされるようにしてもよい。この場合、ネットワークの種類は問わない。メモリ部130は、任意の記憶手段によって実装され得る。あるいは、プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶され、これを読み取ることによってメモリ部130にインストールされるようにしてもよい。
【0084】
データベース部200には、例えば、システム100によって作成された動画に関する情報が格納され得る。
【0085】
図5は、データベース部200に格納されるデータ構造の一例を示す。
【0086】
データベース部200には、システム100によって作成された動画のそれぞれに、動画を識別する動画ID、動画の作成者を識別する作成者ID、動画を作成するときになされたユーザ介入の程度が関連付けられて格納され得る。さらに、動画が配信された後には、動画の再生回数、動画の再生により得られた報酬額、動画に対する視聴者の評価も、システム100によって作成された動画のそれぞれに関連付けられてデータベース部200に格納され得る。さらに、作成手段122によって自動的に行われた処理結果(例えば、登場人物認識の結果、音声割り当ての結果)も、システム100によって作成された動画のそれぞれに関連付けられてデータベース部200に格納されてもよい。
【0087】
動画の再生回数、動画の再生により得られた報酬額、および/または、動画に対する視聴者の評価は、例えば、動画配信サーバ1000から提供されることができる。例えば、動画の再生により得られた報酬額は、動画の再生回数に応じて算出され得る。
【0088】
本例では、動画に対する視聴者の評価が、A、B、Cの3段階で示されているが、評価の表し方はこれに限定されない。例えば、2段階であってもよいし、3より多い段階であってもよい。例えば、複数の評価項目毎の評価であってもよいし、複数の評価項目の評価を平均した評価であってもよいし、総合評価であってもよい。
【0089】
本例では、動画を作成するときになされたユーザ介入の程度が、A、B、Cの3段階で示されているが、ユーザ介入の程度の表し方はこれに限定されない。例えば、2段階であってもよいし、3より多い段階であってもよい。例えば、システム100によって最初に自動的に行われた処理結果(例えば、登場人物認識の結果、音声割り当ての結果)と、ユーザによって修正された処理結果との類似度として表されてもよいし、システム100によって最初に自動的に行われた処理結果に基づいて作成された動画と、最終的に作成された動画との類似度として表されてもよい。この場合、ユーザ介入の程度が小さければ、類似度が大きくなる一方で、ユーザ介入の程度が大きければ、類似度が小さくなる。
【0090】
データベース部200に格納されている動画に関する情報は、ユーザに提供されるべき報酬の額を決定するために利用され得る。例えば、ユーザに提供されるべき報酬の額は、動画の再生により得られた報酬額と、ユーザ介入の程度とに基づいて算出され得る。一例において、ユーザに提供されるべき報酬の額は、動画の再生により得られた報酬額からシステム利用料相当額または収益分を差し引いた額に、ユーザ介入の程度に応じた額を増減することによって決定され得る。別の例において、ユーザに提供されるべき報酬の額は、動画の再生により得られた報酬額からシステム利用料相当額または収益分を差し引いた額に、ユーザ介入の程度に応じた割合を乗じることによって決定され得る。例えば、ユーザに提供されるべき報酬の額は、動画の再生により得られた報酬額と、視聴者評価と、ユーザ介入の程度とに基づいて算出され得る。一例において、ユーザに提供されるべき報酬の額は、動画の再生により得られた報酬額からシステム利用料相当額または収益分を差し引いた額に、視聴者評価に応じた額を増減し、かつ、ユーザ介入の程度に応じた額を増減することによって決定され得る。別の例において、ユーザに提供されるべき報酬の額は、動画の再生により得られた報酬額からシステム利用料相当額または収益分を差し引いた額に、視聴者評価に応じた割合を乗じ、かつ、ユーザ介入の程度に応じた割合を乗じることによって決定され得る。
【0091】
図3および図4に示される例では、データベース部200は、システム100の外部に設けられているが、本発明はこれに限定されない。データベース部200の少なくとも一部をシステム100の内部に設けることも可能である。このとき、データベース部200の少なくとも一部は、メモリ部130を実装する記憶手段と同一の記憶手段によって実装されてもよいし、メモリ部130を実装する記憶手段とは別の記憶手段によって実装されてもよい。いずれにせよ、データベース部200の少なくとも一部は、システム100のための格納部として構成される。データベース部200の構成は、特定のハードウェア構成に限定されない。例えば、データベース部200は、単一のハードウェア部品で構成されてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されてもよい。例えば、データベース部200は、システム100の外付けハードディスク装置として構成されてもよいし、ネットワークを介して接続されるクラウド上のストレージとして構成されてもよいし、ブロックチェーン技術等を利用する分散型ネットワークとして構成されてもよい。
【0092】
図6は、プロセッサ部120の構成の一例を示す。
【0093】
プロセッサ部120は、受信手段121と、作成手段122と、取得手段123と、決定手段124とを備える。
【0094】
受信手段121は、漫画データを受信するように構成されている。漫画データは、漫画を電子的に表示することを可能にする任意のデータであり得、典型的には、漫画の各ページを表す画像データであり得る。受信手段121は、例えば、インターフェース部110を介して、第1のユーザU1の端末装置300から漫画データを受信することができる。あるいは、受信手段121は、例えば、第1のユーザU1がデータベース部200に格納した漫画データを、インターフェース部110を介してデータベース部200から受信することができる。
【0095】
受信された漫画データは、作成手段122に渡される。
【0096】
作成手段122は、受信手段121によって受信された漫画データに基づいて、動画を作成するように構成されている。作成手段122によって作成される動画は、漫画のコマが自動で切り替わり、漫画中のセリフが、対応する登場人物に割り当てられた音声で読み上げられるというものである。このために、作成手段122は、漫画データに対して必要な処理を行うことができる。
【0097】
作成手段122は、漫画データに基づいて、動画を作成するための処理を自動的に行う処理部を備えている。処理部は、例えば、漫画中の登場人物を識別することと、識別された登場人物のセリフに音声を割り当てることとを自動的に行うことができる。
【0098】
処理部は、漫画中の登場人物を識別するために、例えば、各コマ中の人物を検出し、検出された人物が、漫画の登場人物のうちのどの人物であるかを、特定のファクターに基づいて決定することができる。特定のファクターは、例えば、検出された人物の服装または髪型等の見た目、検出された人物に関連付けられるセリフの特徴、検出された人物が置かれたシチュエーション、検出された人物の呼ばれ方等を含むが、これらに限定されない。各コマ中の人物の検出および特定のファクターに基づく決定は、例えば、人物認識の分野における公知の技術を用いて行われることができる。処理部は、例えば、複数の人物の画を人物毎に分類するように学習された機械学習モデルを利用して、検出された人物を人物毎に分類し、それぞれの人物が、漫画の登場人物のうちのどの人物であるか決定をすることができる。
【0099】
処理部は、識別された登場人物のセリフに音声を割り当てるために、例えば、漫画の登場人物と音声とを関連付け、各コマ中のセリフを検出し、検出されたセリフが漫画の登場人物のうちのどの人物によるセリフであるかを決定することができる。漫画の登場人物と音声との関連付けは、例えば、登場人物の見た目(性別、年齢、体格等)に基づいて行われることができる。各コマ中のセリフの検出は、例えば、文字認識の分野における公知の技術を用いて行われることができる。検出されたセリフが漫画の登場人物のうちのどの人物によるセリフであるかの決定は、特定のファクターに基づいて行われることができ、特定のファクターは、例えば、セリフの吹出しの特徴(例えば、位置または向き)、セリフの口調、シチュエーション等を含むが、これらに限定されない。処理部は、例えば、セリフの吹出しと登場人物とを関連付けるように学習された機械学習モデルを利用して、検出されたセリフが漫画の登場人物のうちのどの人物によるセリフであるかを決定することができる。
【0100】
処理部によって自動的に行われた処理の処理結果は、ユーザによる入力に基づいて修正されるようにしてもよい。このために、作成手段122は、ユーザ入力を受信する受信部と、ユーザ入力に基づいて修正を行う修正部とを備えることができる。
【0101】
ユーザ入力は、例えば、第1のユーザU1の端末装置から、インターフェース部110および受信手段121を介して受信されることができる。ユーザ入力は、例えば、処理部が登場人物を識別した結果の修正のためのユーザ入力、および/または、処理部が音声を割り当てた結果の修正のためのユーザ入力であり得る。例えば、処理部が登場人物を識別した結果が誤っている場合(例えば、図2Cを参照して上述したように、第2の登場人物が第1の登場人物として識別された場合)、ユーザは、これを修正するために、正しい識別結果を入力することができる。修正部は、この入力に基づいて、識別結果を修正し、登場人物を正しく識別するようにする。例えば、処理部が登場人物の音声をセリフに割り当てた結果が誤っている場合(例えば、図2Eを参照して上述したように、第2の登場人物が第1の登場人物のセリフに割り当てられ、その結果、第2の登場人物の音声が第1の登場人物のセリフに割り当てられた場合)、ユーザは、これを修正するために、正しい割り当てを入力することができる。修正部は、この入力に基づいて、音声の割り当て結果を修正し、セリフに登場人物の音声を正しく割り当てるようにする。修正のためになされたユーザ入力は、作成される動画と関連付けられてデータベース部200に記録されることができる。例えば、ユーザ入力に基づいて、いくつの修正が行われたか、どの程度の修正が行われたか等が記録されることができる。あるいは、例えば、図5を参照して上述したように、ユーザ入力に基づいて行われた修正の量または程度に基づいて定義されるレベル(例えば、A(全くまたはほとんど修正が行われなかった)、B(そこそこの修正が行われた)、C(多数のまたはドラスティックな修正が行われた))等が記録されることもできる。
【0102】
作成手段122は、処理部が各コマに対して動画を作成するための処理を自動的に行い、入力部および修正部が各コマに対する処理結果を修正することによって、修正された処理結果に基づいて動画を作成する。より具体的には、修正処理された各コマを結合し、自然な時間間隔で各コマが切り替わるように各コマの遷移を調節することにより、動画を作成することができる。
【0103】
作成手段122によって作成された動画は、視聴者に向けて配信されることになる。ここで、動画が、どのようにして配信されるかは問わない。
【0104】
例えば、動画配信サイトを提供する動画配信サーバ1000に、作成された動画が提供され、動画配信サイトにおいて、動画が配信されるようにしてもよい。この場合、プロセッサ部120は、作成された動画を動画配信サーバ1000に送信する送信手段(図示せず)をさらに備えることができる。送信手段は、インターフェース部110およびネットワーク500を介して、動画配信サーバ1000に動画を送信することができる。
【0105】
例えば、システム100が動画を配信する機能も有し、システム100によって動画が配信されるようにしてもよい。この場合、プロセッサ部120は、作成された動画を配信する配信手段(図示せず)をさらに備えることができる。配信手段は、動画配信の分野における公知の技術を用いて、ネットワーク500を介して動画を配信することができる。
【0106】
取得手段123は、作成手段122によって作成された動画を配信することによって得られた報酬を取得するように構成されている。
【0107】
例えば、動画配信サーバ1000によって提供される動画配信サイトにおいて動画が配信される場合、動画を配信することによって得られた報酬は、動画配信サーバ1000から取得される。動画を配信することによって得られた報酬は、例えば、動画が動画に付随する広告と共に視聴されたことに対するものであり得、あるいは、動画の視聴者からの投げ銭であり得る。
【0108】
例えば、配信手段によって動画が配信される場合、動画を配信することによって得られた報酬は、例えば、動画に付随する広告を提供する広告提供者から取得されるようにしてもよいし、動画の視聴者から投げ銭として取得されるようにしてもよい。
【0109】
なお、「報酬を取得する」とは、実際に金銭が動く必要はなく、金銭を表す情報または金銭に相当する情報がやり取りされることを含む概念である。なお、報酬は、必ずしも金銭である必要はなく、価値を有する任意のもの(例えば、ポイント、実物資産等)であり得る。
【0110】
決定手段124は、取得手段123によって取得された報酬に基づいて、ユーザに提供されるべき報酬を決定するように構成されている。
【0111】
決定手段124は、取得された報酬の全額をユーザに提供されるべき報酬として決定するようにしてもよいが、好ましくは、取得された報酬から所定額(例えば、ユーザによるシステム利用料分および/または収益分)を差し引いた額をユーザに提供されるべき報酬として決定し得る。より好ましくは、決定手段124は、取得された報酬または取得された報酬から所定額を差し引いた額に、ユーザが作成した漫画の出来に応じた額を増額または減額した額をユーザに提供されるべき報酬として決定し得る。このように報酬を決定することで、ユーザの漫画作成へのモチベーションを高め、よりよい漫画の作成に貢献することができるからである。
【0112】
決定手段124は、ユーザが作成した漫画の出来を評価するために、作成手段122がユーザ介入なく動画を作成することができたかどうかを指標とすることができる。作成手段122がユーザ介入なく動画を作成することができる漫画は、コンピュータにとって認知負荷が低い漫画であると言え、ひいては、人間にとっても認知負荷が低い漫画であるといえるため、出来が良い漫画である可能性が高い。このような考えから、決定手段124は、出来が良いか悪いかという主観的な評価を、作成手段122がユーザ介入なく動画を作成することができたかどうかという客観的な評価に置き換えて、漫画を評価する。
【0113】
このために、決定手段124は、ユーザ入力に基づいて行われた修正の程度を特定し、修正の程度に基づいて、ユーザに提供されるべき報酬を決定することができる。例えば、決定手段124は、データベース部200を参照し、その動画を作成する際にユーザ入力に基づいて行われた修正の程度を特定することができる。例えば、決定手段124は、作成手段124の処理部によって自動的に行われた処理結果(例えば、登場人物認識の結果、音声割り当ての結果)と、ユーザによって修正された処理結果とを比較することによって、ユーザ入力に基づいて行われた修正の程度を特定することができる。処理部によって自動的に行われた処理結果は、例えば、動画と関連付けられてデータベース部200に格納されていてもよいし、作成手段122から提供されてもよい。
【0114】
決定手段124は、ユーザ入力に基づいて行われた修正の程度が小さいほど、ユーザに提供されるべき報酬を増加することができ、ユーザ入力に基づいて行われた修正の程度が大きいほど、ユーザに提供されるべき報酬を減少することができる。
【0115】
決定手段124は、上記に加えて、または上記に代えて、動画の視聴者による漫画の評価に基づいて、ユーザに提供されるべき報酬を決定するようにしてもよい。動画の視聴者による漫画の評価は、直接的な評価および間接的な評価のうちの少なくとも1つであり得る。
【0116】
動画の視聴者による評価は、例えば、動画を視聴した後に、視聴者が動画配信サイトに入力する評価であってもよいし、動画配信サイトからシステム100が提供するサイトに遷移し、視聴者が、そのサイトに入力する評価であってもよい。視聴者は、例えば、漫画の主題のよさ、視聴しやすさ、シナリオのよさ、描画の良さ、動画化品質のよさ、視聴者指定の観点(例えば、「泣けるか?」)における品質のよさ、ユーザ指定の観点(例えば、「胸がスカッとするか?」)における品質のよさ、ユーザの将来性への期待度、ユーザが過去に投稿した動画からの改善度、他の漫画との類似性等のうちの少なくとも1つの観点から、動画を評価することができる。決定手段124は、この評価に基づいて、ユーザに提供されるべき報酬を決定することができる。例えば、評価が高いほど、ユーザに提供されるべき報酬を増加することができ、評価が低いほど、ユーザに提供されるべき報酬を減少することができる。
【0117】
間接的な評価は、例えば、複数の視聴者による行動から導出される評価であってもよいし、複数の視聴者による評価を平均した評価であってもよい。例えば、間接的な評価は、同じカテゴリの動画化された複数の漫画における相対的な評価もしくは順位、動画化された漫画を配信するサイトへの外部サイトからのリンク数、動画化された漫画を配信するサイトへの外部サイトからのアクセス数もしくはアクセス後に視聴を完了した数等であり得る。決定手段124は、この評価に基づいて、ユーザに提供されるべき報酬を決定することができる。例えば、評価が高いほど、ユーザに提供されるべき報酬を増加することができ、評価が低いほど、ユーザに提供されるべき報酬を減少することができる。
【0118】
決定手段124によって決定された報酬は、任意の態様で、ユーザに提供されることができる。例えば、システム100は、ユーザによって指定された銀行口座に報酬を提供するようにしてもよいし、電子マネーまたは仮想通貨で報酬を提供するようにしてもよいし、現金書留で報酬を提供するようにしてもよい。なお、報酬は、必ずしも金銭である必要はなく、価値を有する任意のもの(例えば、ポイント、実物資産等)であり得る。
【0119】
上述した図6に示される例では、プロセッサ部120の各構成要素が同一のプロセッサ部120内に設けられているが、本発明はこれに限定されない。プロセッサ部120の各構成要素が複数のプロセッサ部に分散される構成も本発明の範囲内である。このとき、複数のプロセッサ部は、同一のハードウェア部品内に位置してもよいし、近傍または遠隔の別個のハードウェア部品内に位置してもよい。
【0120】
なお、上述したシステム100の各構成要素は、単一のハードウェア部品で構成されていてもよいし、複数のハードウェア部品で構成されていてもよい。複数のハードウェア部品で構成される場合は、各ハードウェア部品が接続される態様は問わない。各ハードウェア部品は、無線で接続されてもよいし、有線で接続されてもよい。本発明のシステム100は、特定のハードウェア構成には限定されない。プロセッサ部120をデジタル回路ではなくアナログ回路によって構成することも本発明の範囲内である。本発明のシステム100の構成は、その機能を実現できる限りにおいて上述したものに限定されない。
【0121】
(3.漫画を動画化して収益化するためのシステムによる処理)
図7は、漫画を動画化して収益化するためのシステム100による処理700の一例を示すフローチャートである。処理700は、プロセッサ部120において実行される。
【0122】
ステップS701では、プロセッサ部120の受信手段121が、漫画データを受信する。漫画データは、漫画作者であるユーザ(第1のユーザU1)から提供され得る。受信手段121は、例えば、インターフェース部110を介して、第1のユーザU1の端末装置300から漫画データを受信することができる。
【0123】
ステップS702では、プロセッサ部120の作成手段122が、ステップS701で受信された漫画データに基づいて、動画を作成する。作成手段122は、漫画データに基づいて、自動的に動画を作成するようにしてもよいし、半自動的に動画を作成するようにしてもよい。ここで、半自動的に動画を作成するとは、自動的に行われた処理結果に対して、ユーザが介入する、すなわち、ユーザ入力に基づいた修正を処理結果に対して行い、修正された処理結果を用いて動画を作成することをいう。例えば、ユーザが、図2A図2Fを参照して上述した画面を操作することで、作成手段122は、半自動的に動画を作成することができる。
【0124】
作成手段122の処理部は、例えば、漫画の各コマに対して、登場人物を識別することと、識別された登場人物のセリフに音声を割り当てることとを含む処理を行う。そして、処理またはユーザ入力に基づいて修正処理された各コマを結合し、自然な時間間隔で各コマが切り替わるように各コマの遷移を調節することにより、動画を作成することができる。
【0125】
作成された動画は、動画配信サーバ1000によって、または、プロセッサ部120が備え得る配信手段によって、視聴者に向けて配信されることになる。動画の配信により、報酬が得られる。動画を配信することによって得られる報酬は、例えば、動画が動画に付随する広告と共に視聴されたことに対するものであり、広告提供者からの広告料に相当し得る。あるいは、動画を配信することによって得られる報酬は、動画の視聴者からの投げ銭であり得る。
【0126】
ステップS703では、プロセッサ部120の取得手段123が、ステップS702で作成された動画を配信することによって得られた報酬を取得する。報酬は、例えば、動画配信サーバ1000から取得されてもよいし、動画に付随する広告を提供する広告提供者から取得されるようにしてもよいし、動画の視聴者から投げ銭として取得されるようにしてもよい。
【0127】
ステップS704では、プロセッサ部120の決定手段124が、ステップS703で取得された報酬に基づいて、ユーザに提供されるべき報酬を決定する。決定手段124は、取得された報酬の全額をユーザに提供されるべき報酬として決定するようにしてもよいが、好ましくは、取得された報酬から所定額(例えば、ユーザによるシステム利用料分および/または収益分)を差し引いた額をユーザに提供されるべき報酬として決定し得る。より好ましくは、決定手段124は、取得された報酬または取得された報酬から所定額を差し引いた額に、ユーザが作成した漫画の出来に応じた額を増額または減額した額をユーザに提供されるべき報酬として決定し得る。
【0128】
ユーザが作成した漫画の出来に応じた額は、好ましくは、ユーザ入力に基づいて行われた修正の程度に基づいて決定され得る。あるいは、これに加えて、または、これに代えて、動画の視聴者による漫画の評価に基づいて決定され得る。
【0129】
このようにして、ユーザによって作成された漫画が動画化されて配信され、多くの人々の目に留まる機会を創出することができるとともに、動画の配信により収益化することもできる。また、漫画の出来が良いほど、視聴者の評価が上がり、かつ、動画作成におけるユーザ入力の負担が軽減されるのみならず、ユーザに提供される報酬も増加し得るため、漫画作者のより良い漫画を創作することへのモチベーションを高め、漫画業界の発展にも寄与し得る。
【0130】
図7を参照して上述した例では、特定の順序で処理が行われることを説明したが、各処理の順序は説明されたものに限定されず、論理的に可能な任意の順序で行われ得る。
【0131】
図7を参照して上述した例では、図7に示される各ステップの処理は、プロセッサ部120とメモリ部130に格納されたプログラムとによって実現することが説明されたが、本発明はこれに限定されない。図7に示される各ステップの処理のうちの少なくとも1つは、制御回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0132】
上述した例では、システム100が、漫画を簡単に動画化して動画配信サーバ1000に提供するサービスを提供するプロバイダに設置されているコンピュータ(例えば、サーバ装置)である場合を例に説明したが、本発明は、これに限定されない。システム100は、プロセッサ部を備える任意の情報処理装置であり得る。システム100は、例えば、ユーザが使用する端末装置であり得る。
【0133】
また、上述した例では、漫画を動画化することを説明したが、本発明のシステム100が対象とするものは漫画に限定されない。本発明のシステム100は、ユーザが作成可能な他の任意の動画を対象とすることができ、それらの作成された動画を配信して収益化することができる。このとき、例えば、ユーザが動画を作成するときに介入した程度に基づいて、ユーザに提供されるべき報酬を決定することができる。
【0134】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明は、漫画を動画化して収益化するためのシステム等を提供するものとして有用である。
【符号の説明】
【0136】
U1 第1のユーザ(漫画作者)
U2 第2のユーザ(視聴者)
100 システム
200 データベース部
300 第1のユーザ端末装置
400 第2のユーザ端末装置
500 ネットワーク
1000 動画配信サーバ
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7