(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126396
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】印刷装置、印刷方法、および印刷プログラム
(51)【国際特許分類】
G03G 15/01 20060101AFI20240912BHJP
B41J 5/32 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G03G15/01 J
B41J5/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034750
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 貴行
【テーマコード(参考)】
2C187
2H300
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187AD05
2C187AG01
2C187AG13
2C187AG16
2C187BF11
2C187BH26
2C187DB11
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC02
2H300EC05
2H300EJ09
2H300EJ10
2H300EJ49
2H300EK03
2H300FF05
2H300TT03
2H300TT04
(57)【要約】
【課題】印刷面の平滑性を向上させる。
【解決手段】印刷装置100は、トナーを用いて印刷媒体Pに画像を印刷する。印刷装置100は、指定画像を取得する取得部と、指定画像の余白部を埋めるための背景画像を示す背景データを生成する生成部とを備える。生成部は、背景画像のトナー層の厚さを指定画像のトナー層の厚さに基づいて決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを用いて印刷媒体に画像を印刷する印刷装置であって、
指定画像を取得する取得部と、
前記指定画像の余白部を埋めるための背景画像を示す背景データを生成する生成部とを備え、
前記生成部は、前記背景画像のトナー層の厚さを前記指定画像のトナー層の厚さに基づいて決定する、印刷装置。
【請求項2】
前記印刷媒体は、透明であり、
前記生成部は、前記指定画像と前記背景画像とを合成した第1合成画像の鏡像を示す第1印刷用データをさらに生成し、
前記印刷装置は、前記第1印刷用データに基づいて前記印刷媒体に前記鏡像を印刷する印刷部をさらに備える、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記生成部は、前記鏡像を隠蔽する隠蔽画像と、前記指定画像とを合成した第2合成画像を示す第2印刷用データをさらに生成し、
前記印刷部は、前記鏡像の印刷後、前記第2印刷用データに基づいて前記印刷媒体に前記第2合成画像を印刷する、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記生成部は、前記鏡像を隠蔽する隠蔽画像を示す第2印刷用データをさらに生成し、
前記印刷部は、前記鏡像の印刷後、前記第2印刷用データに基づいて前記印刷媒体に前記隠蔽画像を印刷する、請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記印刷装置は、前記鏡像の印刷後、前記印刷媒体を反転させずに前記印刷媒体を前記印刷部へ搬送する搬送部をさらに備える、請求項3または4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記生成部は、前記指定画像と前記背景画像とを合成した第1合成画像を示す第1印刷用データをさらに生成し、
前記印刷装置は、前記第1印刷用データに基づいて前記印刷媒体に前記第1合成画像を印刷する印刷部をさらに備える、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記印刷媒体は、透明であり、
前記生成部は、前記印刷媒体と前記第1合成画像との間に形成される隠蔽画像を示す第2印刷用データをさらに生成し、
前記印刷部は、前記第2印刷用データに基づいて前記印刷媒体に前記隠蔽画像を印刷した後、前記第1合成画像を印刷する、請求項6に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記印刷装置は、前記隠蔽画像の印刷後、前記印刷媒体を反転させずに前記印刷媒体を前記印刷部へ搬送する搬送部をさらに備える、請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
トナーを用いて印刷媒体に画像を印刷する印刷方法であって、
指定画像を取得することと、
前記指定画像の余白部を埋めるための背景画像を示す背景データを生成することとを備え、
前記生成することは、前記背景画像のトナー層の厚さを前記指定画像のトナー層の厚さに基づいて決定することを含む、印刷方法。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷方法をコンピューターに実行させる、印刷プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷装置、印刷方法、および当該印刷方法をコンピューターに実行させる印刷プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商店の窓や自動ドアに、商品の案内や利用者の注意喚起のための画像を印刷したラベル(または、ステッカー)を貼ることがある。雨などを避けるため、室内側のガラス面にラベルを貼る場合がある。この場合、ラベルの接着面とは反対側の面に画像を印刷するが、画像はラベルの印刷面とは反対の面側(すなわち、ラベルの接着面側)から視認されるため、画像に文字が含まれる場合には、画像の鏡像を印刷する必要がある。
【0003】
ラベルに白色や色のついた印刷媒体を使用すると、画像をラベルの接着面側から視認することができないため、ラベルには透明のフィルムを使用する必要がある。しかしながら、画像を透明の印刷媒体に印刷した場合、印刷媒体の背景にあるものまで見えるため、画像を識別しづらいという問題がある。この問題を解決する方法として、特開平8-227270号公報には、白色の背景画像を印刷するという方法が開示されている。
【0004】
特開平8-227270号公報には、台紙上に、透明な粘着剤付の透明な合成樹脂フィルムが仮着され、このフィルムの裏面に、逆文字、逆デザインから成る印刷を施し、更にこの印刷面上に、白色の着色印刷を全面に施すことが開示されている。
【0005】
特開昭63-23466号公報には、同一紙面上に複数回の印字を行って1つの合成画像を形成する画像形成装置において、定着によるシートの伸縮率を考慮して2回目以降の印字におけるトナー像の変倍率を変更することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-227270号公報
【特許文献2】特開昭63-23466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特開平8-227270号公報に開示される方法によって画像が透明の印刷媒体に印刷された場合、印刷媒体には、画像の鏡像の層および背景画像の層がこの順で印刷媒体の接着面側から配置される。そのため、印刷媒体の接着面側からの画像の識別性は向上するが、印刷媒体の印刷面側からは画像を視認することができない。印刷媒体の両面から画像を視認できるようにするためには、背景画像の上に画像(正像)を印刷する必要があるが、印刷面が平滑ではないため、トナーの転写率が低下し画質が低下する。
【0008】
印刷媒体の接着面側からだけ画像を視認する場合には、背景画像の上に画像(正像)を印刷する必要はない。印刷媒体の印刷面側からだけ画像を視認する場合には、画像(正像)を印刷して、画像の鏡像を印刷する必要は無い。しかし、これらの場合であっても、印刷媒体の表面を保護するために印刷後にラミネート加工を施したり、高級感を出すために箔押しを行ったりする場合がある。そのような場合に、印刷面が平滑でないことにより、ラミネートフィルムや箔の粘着性が低下したり、ラミネートフィルムや箔にシワが発生したりする。そのため、不良なラミネート加工が発生したり、不良な箔押しが発生したりする。
【0009】
本開示は、印刷面の平滑性を向上させることを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示のある局面に従う印刷装置は、トナーを用いて印刷媒体に画像を印刷する。当該印刷装置は、指定画像を取得する取得部と、指定画像の余白部を埋めるための背景画像を示す背景データを生成する生成部とを備える。生成部は、背景画像のトナー層の厚さを指定画像のトナー層の厚さに基づいて決定する。
【0011】
好ましくは、印刷媒体は、透明である。生成部は、指定画像と背景画像とを合成した第1合成画像の鏡像を示す第1印刷用データをさらに生成する。印刷装置は、第1印刷用データに基づいて印刷媒体に鏡像を印刷する印刷部をさらに備える。
【0012】
好ましくは、生成部は、鏡像を隠蔽する隠蔽画像と、指定画像とを合成した第2合成画像を示す第2印刷用データをさらに生成する。印刷部は、鏡像の印刷後、第2印刷用データに基づいて印刷媒体に第2合成画像を印刷する。
【0013】
好ましくは、生成部は、鏡像を隠蔽する隠蔽画像を示す第2印刷用データをさらに生成する。印刷部は、鏡像の印刷後、第2印刷用データに基づいて印刷媒体に隠蔽画像を印刷する。
【0014】
好ましくは、印刷装置は、鏡像の印刷後、印刷媒体を反転させずに印刷媒体を印刷部へ搬送する搬送部をさらに備える。
【0015】
好ましくは、生成部は、指定画像と背景画像とを合成した第1合成画像を示す第1印刷用データをさらに生成する。印刷装置は、第1印刷用データに基づいて印刷媒体に第1合成画像を印刷する印刷部をさらに備える。
【0016】
好ましくは、印刷媒体は、透明である。生成部は、印刷媒体と第1合成画像との間に形成される隠蔽画像を示す第2印刷用データをさらに生成する。印刷部は、第2印刷用データに基づいて印刷媒体に隠蔽画像を印刷した後、第1合成画像を印刷する。
【0017】
好ましくは、印刷装置は、隠蔽画像の印刷後、印刷媒体を反転させずに印刷媒体を印刷部へ搬送する搬送部をさらに備える。
【0018】
本開示の他の局面に従う印刷方法は、トナーを用いて印刷媒体に画像を印刷する印刷方法である。当該印刷方法は、指定画像を取得することと、指定画像の余白部を埋めるための背景画像を示す背景データを生成することとを備える。生成することは、背景画像のトナー層の厚さを指定画像のトナー層の厚さに基づいて決定することを含む。
【0019】
本開示の他の局面に従う印刷プログラムは、上述の印刷方法をコンピューターに実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、印刷面の平滑性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施の形態における印刷装置の一例を示す図である。
【
図2】本実施の形態における印刷装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施の形態で使用される印刷媒体の一例を示す図である。
【
図5】本実施の形態における指定画像が印刷された印刷媒体を示す図である。
【
図6】参考形態の印刷装置におけるラベル印刷の一例を示す図である。
【
図7】参考形態の印刷装置におけるラベル印刷の他の例を示す図である。
【
図8】本実施の形態における印刷装置の印刷処理の概要を示す図である。
【
図9】本実施の形態における背景画像を示す図である。
【
図10】第1の印刷処理において1回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
【
図11】第1の印刷処理において2回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
【
図12】第1の印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】第2の印刷処理において2回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
【
図14】第2の印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【
図15】第3の印刷処理において1回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
【
図16】第3の印刷処理において2回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
【
図17】第3の印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ、本開示に従う実施の形態および変形例について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される実施の形態および変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0023】
[実施の形態]
<A.印刷装置の構成>
図1~
図4を参照して、本実施の形態における印刷装置の構成について説明する。
図1は、本実施の形態における印刷装置の一例を示す図である。
図2は、本実施の形態における印刷装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図3は、本実施の形態で使用される印刷媒体の一例を示す図である。
図4は、印刷後の印刷媒体の一例を示す図である。
【0024】
図1~
図4を参照して、印刷装置100は、トナーを用いて印刷媒体Pに画像を印刷する。印刷媒体Pは、例えば、接着面を有するラベル(または、ステッカー)である。
【0025】
本実施の形態においては、印刷媒体Pは、台紙1に接着剤2で固定された透明のフィルム3である(
図3参照)。印刷装置100は、台紙1に接着剤2で固定された状態のフィルム3にユーザーにより印刷を指示された画像(以下、「指定画像」とも称する)を印刷する。印刷後、フィルム3は台紙からはがされ、商店の窓、自動ドア、または瓶などに貼り付けて使用される。以下の説明において、印刷媒体Pにおいてフィルム3側の面を印刷媒体Pの「印刷面F1」と称し、印刷媒体Pにおいて台紙1側の面を印刷媒体Pの「接着面F2」と称する。
図4に示すラベルシートQは、印刷後の印刷媒体Pの一例である。ラベルシートQは、複数のラベルを含む。なお、印刷媒体Pは、あらかじめラベルのサイズにカットされていてもよい。
【0026】
印刷装置100は、制御部10、給紙部20、印刷部30、定着部40、搬送部50、操作パネル60、および通信インターフェイス70を備える。制御部10、給紙部20、印刷部30、定着部40、搬送部50、操作パネル60、および通信インターフェイス70は、バス99で接続される。
【0027】
制御部10は、プロセッサー11、メモリー12、およびストレージ13を含む。プロセッサー11は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)などで構成される。メモリー12は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置で構成される。ストレージ13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、またはフラッシュメモリーなどの不揮発性記憶装置で構成される。
【0028】
ストレージ13は、プログラム131を記憶する。プログラム131は、印刷装置100を制御するためのコンピューター読取可能な命令を含む。プログラム131は、本開示における「印刷プログラム」を含む。プロセッサー11はプログラム131を実行することで、印刷装置100の各部を制御し、本実施の形態に従う各種処理を実現する。
【0029】
プログラム131は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、任意のプログラムと協働して本実施の形態に従う処理が実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う印刷装置100の趣旨を逸脱するものではない。また、プログラム131によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウエアによって実現されてもよい。
【0030】
給紙部20は、印刷媒体Pを収容するトレイ21を含む。給紙部20は、印刷媒体Pをトレイ21から1枚ずつ印刷部30へ供給する。印刷部30は、トナーを用いて印刷媒体Pに印刷用データに基づく画像を印刷する。印刷部30は、作像部31Y、作像部31M、作像部31C、作像部31K、作像部31W、転写ベルト32、および転写ローラー33を含む。
【0031】
作像部31Yは、イエローのトナーを用いてイエローのトナー像を転写ベルト32に形成する。作像部31Mは、マゼンタのトナーを用いてマゼンタのトナー像を転写ベルト32に形成する。作像部31Cは、シアンのトナーを用いてシアンのトナー像を転写ベルト32に形成する。作像部31Kは、ブラックのトナーを用いてブラックのトナー像を転写ベルト32に形成する。作像部31Wは、白のトナーを用いて白のトナー像を転写ベルト32に形成する。以下の説明において、作像部31Y、作像部31M、作像部31C、作像部31K、および作像部31Wを区別しない場合には、「作像部31」と称する。
【0032】
転写ベルト32は、複数のローラーの周りに架け渡されており、矢印5の方向に走行する。作像部31Y、作像部31M、作像部31C、作像部31K、および作像部31Wは、転写ベルト32の走行方向に沿って直列に配置されている。作像部31Y、作像部31M、作像部31C、作像部31K、および作像部31Wは、この順に、転写ベルト32の走行方向の上流側から順に配置されている。すなわち、作像部31Wは、転写ベルト32の走行方向の最も下流側に位置する。
【0033】
ここで、作像部31の動きについて説明する。まず、作像部31Yが印刷用データに基づいてイエローのトナー像を作成し、当該イエローのトナー像を転写ベルト32に転写する。次いで、作像部31Mが印刷用データに基づいてマゼンタのトナー像を作成し、当該マゼンタのトナー像を転写ベルト32に転写する。次いで、作像部31Cが印刷用データに基づいてシアンのトナー像を作成し、当該シアンのトナー像を転写ベルト32に転写する。次いで、作像部31Kが印刷用データに基づいてブラックのトナー像を作成し、当該ブラックのトナー像を転写ベルト32に転写する。最後に、作像部31Wが印刷用データに基づいて白のトナー像を作成し、当該白のトナー像を転写ベルト32に転写する。これにより、各色のトナー像が転写ベルト32上に形成される。印刷媒体Pが転写ベルト32と転写ローラー33との間に形成されるニップ部34を通過する際に、印刷媒体Pにトナー像が転写されて印刷媒体Pに画像が形成(印刷)される。
【0034】
定着部40は、トナー像が転写された印刷媒体Pを加熱および加圧して印刷媒体Pにトナー像を定着させる。
【0035】
搬送部50は、印刷媒体Pを搬送するための複数のローラーと、当該複数のローラーを駆動する複数のモーターとを含む。追加の印刷が必要ない場合には、搬送部50は、定着部40を通過した印刷媒体Pを搬送路R1へ送り、トレイ8に排出する。画像が既に印刷されている印刷面へ追加の画像の印刷が必要な場合には、搬送部50は、定着部40を通過した印刷媒体Pを搬送路R2へ送り、印刷媒体Pを反転させずに印刷媒体Pを再び印刷部30へ搬送する。
【0036】
画像が既に印刷されている印刷面とは反対の面への画像の印刷が必要な場合(両面印刷時において、おもて面の印刷が完了し、うら面への印刷がまだである場合)には、搬送部50は、定着部40を通過した印刷媒体Pを搬送路R2へ送り、印刷媒体Pを搬送路R3で反転させて印刷媒体Pを再び印刷部30へ搬送する。
【0037】
操作パネル60は、入力部61と表示部62とを含む。入力部61は、ユーザーの操作を受け付け、当該操作を操作信号に変換してプロセッサー11に出力する。入力部61は、例えばタッチパッドである。表示部62は、印刷装置100の動作ステータスや処理結果等の各種情報を表示する。表示部62は、例えば、液晶ディスプレイである。操作パネル60では、入力部61が表示部62に重ねられて配置されている。
【0038】
通信インターフェイス70は、外部装置500と情報の送受信を行う。一例として、プロセッサー11は、通信インターフェイス70を介して、外部装置500から画像データを受信する。
【0039】
<B.指定画像>
図5を参照して、本実施の形態における指定画像について説明する。
図5は、本実施の形態における指定画像が印刷された印刷媒体を示す図である。指定画像G1は、ユーザーにより印刷を指示された画像である。指定画像G1は、シアンの画像C、マゼンタの画像M、イエローの画像Y、およびブラックの画像Kを含む。指定画像G1のトナー層の厚さは均一である。指定画像G1の余白部A1は、指定画像G1を印刷媒体Pに印刷した場合に印刷媒体Pにおいてトナー層が形成されない領域である。
【0040】
<C.ラベル印刷の課題>
図6および
図7を参照して、ラベル印刷における課題について説明する。
図6は、参考形態の印刷装置におけるラベル印刷の一例を示す図である。
図7は、参考形態の印刷装置におけるラベル印刷の他の例を示す図である。
【0041】
図6を参照して、印刷媒体Pは、台紙1に接着剤2で固定された透明のフィルム3である。印刷媒体Pの印刷面F1側からだけ指定画像G1を視認できればよい場合には、参考形態の印刷装置は印刷媒体Pに隠蔽画像W1を印刷した後、隠蔽画像W1に指定画像G1を重ねて印刷する。隠蔽画像W1は、白色の画像である。印刷媒体Pの印刷面F1側から指定画像G1を視認する場合、指定画像G1の背後にあるものが隠蔽画像W1で隠れるため指定画像G1の視認性が向上する。
【0042】
しかしながら、印刷面F1には、指定画像G1と隠蔽画像W1とが重なっている領域と、隠蔽画像W1のみからなる領域とが存在するため、定着部40による定着後の印刷面F1は平滑ではない。印刷媒体Pの表面を保護するために印刷後に印刷面F1にラミネート加工を施す場合、印刷面F1が平滑でないことにより、ラミネートフィルムの粘着性が低下したり、ラミネートフィルムにシワが発生したりする。そのため、不良なラミネート加工が発生する。高級感を出すために印刷後に印刷面F1に箔押しを行う場合、印刷面F1が平滑でないことにより、箔の粘着性が低下したり、箔にシワが発生したりする。そのため、不良な箔押しが発生する。
【0043】
図7を参照して、印刷媒体Pの接着面F2側からだけ指定画像G1を視認できればよい場合には、参考形態の印刷装置は指定画像G1の鏡像G2と隠蔽画像W1とがこの順で接着面F2側から配置されるように鏡像G2と隠蔽画像W1とを印刷する。印刷媒体Pの接着面F2側から鏡像G2を視認する場合、鏡像G2は指定画像G1のように見える。鏡像G2の背後にあるものが隠蔽画像W1で隠れるため指定画像G1の視認性が向上する。
【0044】
しかしながら、印刷面F1には、鏡像G2と隠蔽画像W1とが重なっている領域と、隠蔽画像W1のみからなる領域とが存在するため、定着部40による定着後の印刷面F1は平滑ではない。印刷媒体Pの表面を保護するために印刷後に印刷面F1にラミネート加工を施す場合、印刷面F1が平滑でないことにより、ラミネートフィルムの粘着性が低下したり、ラミネートフィルムにシワが発生したりする。そのため、不良なラミネート加工が発生する。高級感を出すために印刷後に印刷面F1に箔押しを行う場合、印刷面F1が平滑でないことにより、箔の粘着性が低下したり、箔にシワが発生したりする。そのため、不良な箔押しが発生する。
【0045】
印刷媒体Pの印刷面F1側と接着面F2側とのいずれからも指定画像G1を視認できるようにしたい場合には、参考形態の印刷装置は鏡像G2と隠蔽画像W1とがこの順で接着面F2側から配置されるように鏡像G2と隠蔽画像W1とを印刷した後、隠蔽画像W1に重ねて指定画像G1を印刷する必要がある。そのような場合、隠蔽画像W1が印刷された印刷面F1が平滑でないことにより、指定画像G1を形成するトナーの転写率が低下し、指定画像G1の画質が低下する。
【0046】
したがって、ラベル印刷においては、印刷面F1の平滑性を向上させることが必要とされている。
【0047】
<D.印刷装置100の印刷処理>
(D1:印刷装置100の印刷処理の概要)
図8および
図9を参照して、本実施の形態における印刷装置100の印刷処理の概要について説明する。
図8は、本実施の形態における印刷装置の印刷処理の概要を示す図である。
図9は、本実施の形態における背景画像を示す図である。
【0048】
図8を参照して、印刷装置100は、取得部151、生成部152、および印刷部30を含む。取得部151および生成部152は、プロセッサー11がプログラム131を実行することにより実現される。
【0049】
取得部151は、指定画像G1を取得する。指定画像G1は、例えば、外部装置500から送信されてくる。
【0050】
生成部152は、指定画像G1の余白部A1(
図5参照)を埋めるための背景画像B1(
図9参照)を示す背景データを生成する。背景画像B1は、白色の画像である。背景画像B1は、作像部31Wによって形成される。
【0051】
生成部152は、背景画像B1のトナー層の厚さを指定画像G1のトナー層の厚さに基づいて決定する。より具体的には、生成部152は、指定画像G1のトナー層のうち最も薄いトナー層の厚さを背景画像B1のトナー層の厚さに決定する。トナー層の厚さは、階調に依存する。したがって、生成部152は、背景画像B1の階調を指定画像G1の階調に基づいて決定する。より具体的には、生成部152は、背景画像B1の階調を指定画像G1のうち階調が最も低い領域の階調に合わせる。
【0052】
本実施の形態においては、指定画像G1のトナー層の厚さは均一である。そのため、指定画像G1と背景画像B1とでトナー層の厚さは同じである。
【0053】
生成部152は、指定画像G1と背景データとに基づいて印刷用データを生成する。印刷用データは、印刷媒体Pの印刷面F1側と接着面F2側とのいずれからも指定画像G1を視認できる必要がある場合と、印刷媒体Pの接着面F2側からだけ指定画像G1を視認できればよい場合と、印刷媒体Pの印刷面F1側からだけ指定画像G1を視認できればよい場合とで異なる。いずれの場合においても印刷は2回行われるため、生成部152は、1回目の印刷用の印刷用データと、2回目の印刷用の印刷用データとを生成する。印刷部30は、印刷用データに基づいて印刷媒体Pに画像を印刷する。
【0054】
(D2:印刷装置100の第1の印刷処理)
図10~
図12を参照して、本実施の形態における印刷装置100の第1の印刷処理について説明する。第1の印刷処理は、印刷媒体Pの印刷面F1側と接着面F2側とのいずれからも指定画像G1を視認できる必要がある場合に行われる。
【0055】
図10は、第1の印刷処理において1回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
図11は、第1の印刷処理において2回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
【0056】
まず、生成部152は、指定画像G1と背景画像B1とを合成した第1合成画像の鏡像N1を示す第1印刷用データを生成する。次いで、生成部152は、鏡像N1を隠蔽する隠蔽画像W2と、指定画像G1とを合成した第2合成画像N2を示す第2印刷用データを生成する。隠蔽画像W2は、白色の画像である。隠蔽画像W2は、作像部31Wによって形成される。
【0057】
1回目の印刷において、印刷部30は、第1印刷用データに基づいて印刷媒体Pに鏡像N1を印刷する。
【0058】
より具体的には、作像部31は、第1印刷用データに基づいて鏡像N1を転写ベルト32に形成する。給紙部20から搬送されてきた印刷媒体Pが転写ベルト32と転写ローラー33との間に形成されるニップ部34を通過する際に、印刷媒体Pに鏡像N1が転写される。これにより、印刷媒体Pのフィルム3に鏡像N1が印刷される(
図10参照)。その後、定着部40によって、鏡像N1が印刷媒体Pに定着する。
図10に示すように、鏡像N1は、指定画像G1の鏡像G2と背景画像B1の鏡像B2とを含む。本実施の形態において、指定画像G1と背景画像B1とでトナー層の厚さは同じであることから、鏡像N1が印刷された印刷媒体Pの印刷面F1は平滑である。
【0059】
搬送部50は、鏡像N1が定着した印刷媒体Pを搬送路R2へ送り、印刷媒体Pを反転させずに印刷媒体Pを再び印刷部30へ搬送する。
【0060】
2回目の印刷において、印刷部30は、第2印刷用データに基づいて印刷媒体Pに第2合成画像N2を印刷する。
【0061】
より具体的には、作像部31は、第2印刷用データに基づいて第2合成画像N2を転写ベルト32に形成する。鏡像N1が印刷された印刷媒体Pが転写ベルト32と転写ローラー33との間に形成されるニップ部34を通過する際に、印刷媒体Pに第2合成画像N2が転写される。これにより、鏡像N1の上に第2合成画像N2が印刷される(
図11参照)。その後、定着部40によって、第2合成画像N2が印刷媒体Pに定着する。搬送部50は、第2合成画像N2が定着した印刷媒体Pを搬送路R1へ送り、トレイ8に排出する。
【0062】
図12は、第1の印刷処理の手順を示すフローチャートである。ステップS1において、プロセッサー11は、指定画像G1を取得する。ステップS2において、プロセッサー11は、指定画像G1の余白部A1を埋めるための背景画像B1を示す背景データを生成する。ステップS3において、プロセッサー11は、指定画像G1と背景画像B1とを合成した第1合成画像の鏡像N1を示す第1印刷用データを生成する。ステップS4において、プロセッサー11は、鏡像N1を隠蔽する隠蔽画像W2と、指定画像G1とを合成した第2合成画像N2を示す第2印刷用データを生成する。
【0063】
ステップS5において、プロセッサー11は、印刷部30に鏡像N1の印刷を指示する。これにより、印刷部30は、給紙部20から搬送されてきた印刷媒体Pに、第1印刷用データに基づいて鏡像N1を印刷する。
【0064】
ステップS6において、プロセッサー11は、搬送部50に印刷媒体Pを反転させずに印刷媒体Pを印刷部30へ搬送することを指示する。
【0065】
ステップS7において、プロセッサー11は、印刷部30に第2合成画像N2の印刷を指示する。これにより、印刷部30は、鏡像N1が印刷された印刷媒体Pに、第2印刷用データに基づいて第2合成画像N2を印刷する。ステップS7の後、第1の印刷処理が終了する。
【0066】
このように、第1の印刷処理における1回目の印刷では、指定画像G1と、指定画像G1の余白部A1を埋めるための背景画像B1とを合成した第1合成画像の鏡像N1が印刷媒体Pに印刷される。第1の印刷処理における2回目の印刷では、鏡像N1を隠蔽する隠蔽画像W2と、指定画像G1とを合成した第2合成画像N2が印刷媒体Pに印刷される。背景画像B1の鏡像B2および隠蔽画像W2はいずれも白色の画像である。
【0067】
印刷媒体Pの接着面F2側から鏡像N1を視認する場合、鏡像N1は指定画像G1のように見える。そのため、第1の印刷処理によれば、印刷媒体Pの印刷面F1側と接着面F2側とのいずれからも指定画像G1を視認することが可能となる。
【0068】
第1の印刷処理によれば、鏡像N1と指定画像G1との間に隠蔽画像W2が印刷される。そのため、第1の印刷処理によれば、印刷媒体Pの印刷面F1側から画像を視認する場合には指定画像G1の視認性が向上し、印刷媒体Pの接着面F2側から画像を視認する場合には指定画像G1のように見える鏡像N1の視認性が向上する。
【0069】
第1の印刷処理は、1回目の印刷において指定画像G1の鏡像だけを印刷する従来の印刷処理(例えば、特許文献1に開示される印刷処理)と比べて、1回目の印刷が完了した時点における印刷媒体Pの印刷面F1の平滑性を向上させることができる(
図10参照)。そのため、第1の印刷処理によれば、2回目の印刷においてトナーの転写率の低下が抑制されるので、画質が低下することを抑制することができる。
【0070】
第1の印刷処理は、指定画像G1が印刷されたラベルと、指定画像G1の鏡像が印刷されたラベルとを作成して、これら2つのラベルを商店の窓や自動ドア等の硝子部材の両面に貼る場合と比べて、ユーザーの手間を抑制することができる。
【0071】
(D3:印刷装置100による第2の印刷処理)
図13および
図14を参照して、本実施の形態における印刷装置100による第2の印刷処理について説明する。第2の印刷処理は、印刷媒体Pの接着面F2側からだけ指定画像G1を視認できればよい場合に行われる。第2の印刷処理では、1回目の印刷は第1の印刷処理と同じであるが、2回目の印刷は第1の印刷処理と異なる。より具体的には、第2の印刷処理では、1回目の印刷において鏡像N1を印刷し、2回目の印刷において、鏡像N1を隠蔽する隠蔽画像W2を印刷する。隠蔽画像W2は、白色の画像である。隠蔽画像W2は、作像部31Wによって形成される。
【0072】
図13は、第2の印刷処理において2回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。まず、生成部152は、指定画像G1と背景画像B1とを合成した第1合成画像の鏡像N1を示す第1印刷用データを生成する。次いで、生成部152は、鏡像N1を隠蔽する隠蔽画像W2を示す第2印刷用データを生成する。
【0073】
1回目の印刷において、印刷部30は、第1印刷用データに基づいて印刷媒体Pに鏡像N1を印刷する。第2の印刷処理における1回目の印刷は第1の印刷処理における1回目の印刷と同じであることから、詳細な説明を繰り返さない。1回目の印刷により、印刷媒体Pのフィルム3に鏡像N1が印刷される(
図10参照)。その後、定着部40によって、鏡像N1が印刷媒体Pに定着する。
図10に示すように、鏡像N1は、指定画像G1の鏡像G2と背景画像B1の鏡像B2とを含む。本実施の形態において、指定画像G1と背景画像B1とでトナー層の厚さは同じであることから、鏡像N1が印刷された印刷媒体Pの印刷面F1は平滑である。
【0074】
搬送部50は、鏡像N1が定着した印刷媒体Pを搬送路R2へ送り、印刷媒体Pを反転させずに印刷媒体Pを再び印刷部30へ搬送する。
【0075】
2回目の印刷において、印刷部30は、第2印刷用データに基づいて印刷媒体Pに隠蔽画像W2を印刷する。
【0076】
より具体的には、作像部31は、第2印刷用データに基づいて隠蔽画像W2を転写ベルト32に形成する。鏡像N1が印刷された印刷媒体Pが転写ベルト32と転写ローラー33との間に形成されるニップ部34を通過する際に、印刷媒体Pに隠蔽画像W2が転写される。これにより、鏡像N1の上に隠蔽画像W2が印刷される(
図13参照)。その後、定着部40によって、隠蔽画像W2が印刷媒体Pに定着する。搬送部50は、隠蔽画像W2が定着した印刷媒体Pを搬送路R1へ送り、トレイ8に排出する。
【0077】
図14は、第2の印刷処理の手順を示すフローチャートである。
図14に示す処理のうち
図12に示す処理と同じ処理については、同じステップ番号を付し、説明を繰り返さない。第2の印刷処理は、ステップS4およびステップS7に替えてそれぞれステップS4AおよびステップS7Aを含む。
【0078】
ステップS1~ステップS3の後、プロセッサー11は、ステップS4Aに処理を進める。ステップS4Aにおいて、プロセッサー11は、鏡像N1を隠蔽する隠蔽画像W2を示す第2印刷用データを生成する。
【0079】
ステップS4Aの後、ステップS5およびステップS6がプロセッサー11により行われる。ステップS6の後、プロセッサー11は、ステップS7Aに処理を進める。ステップS7Aにおいて、プロセッサー11は、印刷部30に隠蔽画像W2の印刷を指示する。これにより、印刷部30は、鏡像N1が印刷された印刷媒体Pに、第2印刷用データに基づいて隠蔽画像W2を印刷する。ステップS7Aの後、第2の印刷処理が終了する。
【0080】
このように、第2の印刷処理における1回目の印刷では、指定画像G1と、指定画像G1の余白部A1を埋めるための背景画像B1とを合成した第1合成画像の鏡像N1が印刷媒体Pに印刷される。第2の印刷処理における2回目の印刷では、鏡像N1を隠蔽する隠蔽画像W2が印刷媒体Pに印刷される。背景画像B1の鏡像B2および隠蔽画像W2はいずれも白色の画像である。
【0081】
印刷媒体Pの接着面F2側から鏡像N1を視認する場合、鏡像N1は指定画像G1のように見える。そのため、第2の印刷処理によれば、印刷媒体Pの接着面F2側から指定画像G1を視認することが可能となる。
【0082】
第2の印刷処理によれば、鏡像N1の背後に隠蔽画像W2が印刷される。そのため、印刷媒体Pの接着面F2側から鏡像N1を視認する場合、指定画像G1のように見える鏡像N1の視認性が向上する。
【0083】
第2の印刷処理は、1回目の印刷において指定画像G1の鏡像だけを印刷する従来の印刷処理(例えば、特許文献1に開示される印刷処理)と比べて、1回目の印刷が完了した時点における印刷媒体Pの印刷面F1の平滑性を向上させることができる(
図10参照)。そのため、第2の印刷処理によれば、印刷後に印刷媒体Pの印刷面F1にラミネート加工を施す場合にラミネートフィルムの粘着性が低下したり、ラミネートフィルムにシワが発生したりすることを抑制することができる。第2の印刷処理によれば、印刷後に印刷媒体Pの印刷面F1に箔押しを行う場合に箔の粘着性が低下したり、箔にシワが発生したりすることを抑制することができる。すなわち、第2の印刷処理によれば、ラミネート加工および/または箔押しのためのクリアトナーの転写性を改善することができる。
【0084】
(D4:印刷装置100による第3の印刷処理)
図15~
図17を参照して、本実施の形態における印刷装置100による第3の印刷処理について説明する。第3の印刷処理は、印刷媒体Pの印刷面F1側からだけ指定画像G1を視認できればよい場合に行われる。第3の印刷処理では、1回目の印刷と2回目の印刷とのいずれもが第1の印刷処理と異なる。より具体的には、第3の印刷処理では、1回目の印刷において隠蔽画像を印刷し、2回目の印刷において、指定画像G1と背景画像B1とを合成した第1合成画像を印刷する。
【0085】
図15は、第3の印刷処理において1回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
図16は、第3の印刷処理において2回目の印刷が完了した時点における印刷媒体を示す図である。
【0086】
まず、生成部152は、指定画像G1と背景画像B1とを合成した第1合成画像N3を示す第1印刷用データを生成する。生成部152は、印刷媒体Pと第1合成画像N3との間に形成される隠蔽画像W3を示す第2印刷用データを生成する。隠蔽画像W3は、第1合成画像N3を隠蔽する。隠蔽画像W3は、白色の画像である。隠蔽画像W3は、作像部31Wによって形成される。
【0087】
1回目の印刷において、印刷部30は、第2印刷用データに基づいて印刷媒体Pに隠蔽画像W3を印刷する。
【0088】
より具体的には、作像部31は、第2印刷用データに基づいて隠蔽画像W3を転写ベルト32に形成する。給紙部20から搬送されてきた印刷媒体Pが転写ベルト32と転写ローラー33との間に形成されるニップ部34を通過する際に、印刷媒体Pに隠蔽画像W3が転写される。これにより、印刷媒体Pのフィルム3に隠蔽画像W3が印刷される(
図15参照)。その後、定着部40によって、隠蔽画像W3が印刷媒体Pに定着する。
【0089】
搬送部50は、隠蔽画像W3が定着した印刷媒体Pを搬送路R2へ送り、印刷媒体Pを反転させずに印刷媒体Pを再び印刷部30へ搬送する。
【0090】
2回目の印刷において、印刷部30は、第1印刷用データに基づいて印刷媒体Pに第1合成画像N3を印刷する。
【0091】
より具体的には、作像部31は、第1印刷用データに基づいて第1合成画像N3を転写ベルト32に形成する。隠蔽画像W3が印刷された印刷媒体Pが転写ベルト32と転写ローラー33との間に形成されるニップ部34を通過する際に、印刷媒体Pに第1合成画像N3が転写される。これにより、隠蔽画像W3の上に第1合成画像N3が印刷される(
図16参照)。その後、定着部40によって、第1合成画像N3が印刷媒体Pに定着する。
図16に示すように、第1合成画像N3は、指定画像G1と背景画像B1とを含む。本実施の形態において、指定画像G1と背景画像B1とでトナー層の厚さは同じであることから、第1合成画像N3が印刷された印刷媒体Pの印刷面F1は平滑である。搬送部50は、第1合成画像N3が定着した印刷媒体Pを搬送路R1へ送り、トレイ8に排出する。
【0092】
図17は、第3の印刷処理の手順を示すフローチャートである。
図17に示す処理のうち
図12に示す処理と同じ処理については、同じステップ番号を付し、説明を繰り返さない。第3の印刷処理は、ステップS3、S4、S5、およびS7に替えてそれぞれステップS3B、S4B、S5B、およびS7Bを含む。
【0093】
ステップS1~ステップS2の後、プロセッサー11は、ステップS3Bに処理を進める。ステップS3Bにおいて、プロセッサー11は、指定画像G1と背景画像B1とを合成した第1合成画像N3を示す第1印刷用データを生成する。
【0094】
ステップS4Bにおいて、プロセッサー11は、印刷媒体Pのフィルム3と第1合成画像N3との間に形成される隠蔽画像W3を示す第2印刷用データを生成する。
【0095】
ステップS5Bにおいて、プロセッサー11は、印刷部30に隠蔽画像W3の印刷を指示する。これにより、印刷部30は、給紙部20から搬送されてきた印刷媒体Pに、第2印刷用データに基づいて隠蔽画像W3を印刷する。
【0096】
ステップS5Bの後、ステップS6がプロセッサー11により行われる。ステップS6の後、プロセッサー11はステップS7Bに処理を進める。
【0097】
ステップS7Bにおいて、プロセッサー11は、印刷部30に第1合成画像N3の印刷を指示する。これにより、印刷部30は、隠蔽画像W3が印刷された印刷媒体Pに、第1印刷用データに基づいて第1合成画像N3を印刷する。ステップS7Bの後、第3の印刷処理が終了する。
【0098】
このように、第3の印刷処理における1回目の印刷では、隠蔽画像W3が印刷媒体Pに印刷される。第3の印刷処理における2回目の印刷では、指定画像G1と背景画像B1とを合成した第1合成画像N3が印刷媒体Pに印刷される。背景画像B1および隠蔽画像W3はいずれも白色の画像である。
【0099】
そのため、第3の印刷処理によれば、印刷媒体Pの印刷面F1側から指定画像G1を視認することが可能となる。
【0100】
第3の印刷処理によれば、印刷媒体Pと第1合成画像N3との間に隠蔽画像W3が形成される。そのため、指定画像G1の視認性が向上する。
【0101】
第3の印刷処理は、2回目の印刷において指定画像G1だけを印刷する場合と比べて、2回目の印刷が完了した時点における印刷媒体Pの印刷面F1の平滑性を向上させることができる(
図16参照)。そのため、第3の印刷処理によれば、印刷後に印刷媒体Pの印刷面F1にラミネート加工を施す場合にラミネートフィルムの粘着性が低下したり、ラミネートフィルムにシワが発生したりすることを抑制することができる。第3の印刷処理によれば、印刷後に印刷媒体Pの印刷面F1に箔押しを行う場合に箔の粘着性が低下したり、箔にシワが発生したりすることを抑制することができる。すなわち、第3の印刷処理によれば、ラミネート加工および/または箔押しのためのクリアトナーの転写性を改善することができる。
【0102】
<E.総括>
このように、本実施の形態における印刷装置100は、印刷媒体Pの印刷面F1の平滑性を向上させることができる。そのため、画像が印刷された印刷面F1にさらに画像を印刷する場合に、トナーの転写率が低下することを抑制することができる。しがって、本実施の形態における印刷装置100によれば、画質の低下を抑制することができる。
【0103】
印刷後に印刷媒体Pの印刷面F1にラミネート加工を施す場合に、ラミネートフィルムの粘着性が低下したり、ラミネートフィルムにシワが発生したりすることを抑制することができる。印刷後に印刷媒体Pの印刷面F1に箔押しを行う場合に、箔の粘着性が低下したり、箔にシワが発生したりすることを抑制することができる。
【0104】
[変形例1]
上記実施の形態においては、印刷装置100は、作像部として、作像部31Y、作像部31M、作像部31C、作像部31K、および作像部31Wを備えたが、作像部はこれらに限られない。印刷装置100は、任意の複数の作像部を備えればよい。
【0105】
[変形例2]
上記実施の形態においては、指定画像G1は
図5に示す画像であったが、指定画像G1は任意の画像でよい。
【0106】
[変形例3]
上記実施の形態においては、背景画像B1の色は白であったが、これに限られない。背景画像B1の色は、印刷装置100が備える1以上の作像部によって作成可能な色であればよい。
【0107】
[変形例4]
上記実施の形態においては、第1の印刷処理における隠蔽画像W2の色は白であったが、これに限られない。第1の印刷処理における隠蔽画像W2の色は、指定画像G1を作成する1以上の作像部よりも転写ベルト32の走行方向の下流側に位置する1以上の作像部によって作成可能な色であればよい。
【0108】
[変形例5]
上記実施の形態においては、第2の印刷処理における隠蔽画像W2の色は白であったが、これに限られない。第2の印刷処理における隠蔽画像W2の色は任意の色でよい。
【0109】
[変形例6]
上記実施の形態においては、第3の印刷処理における隠蔽画像W3の色は白であったが、これに限られない。第3の印刷処理における隠蔽画像W3の色は任意の色でよい。
【0110】
[変形例7]
上記実施の形態においては、印刷媒体Pは、台紙1に接着剤2で固定された透明のフィルム3であったが、これに限られない。印刷媒体Pは、接着剤が塗布されていない透明のフィルムでもよい。その場合には、印刷後にユーザーが接着剤をフィルムに塗布すればよい。
【0111】
[変形例8]
上記実施の形態においては、印刷媒体Pは透明であった。第1の印刷処理で使用する印刷媒体と、第2の印刷処理で使用する印刷媒体とは透明である必要があるが、第3の印刷処理で使用する印刷媒体は透明でなくてもよい。第3の印刷処理で使用する印刷媒体が透明でない場合には、第1合成画像N3のみを印刷媒体に印刷し、隠蔽画像W3の印刷を省略してもよい。
【0112】
[変形例9]
上記実施の形態においては、指定画像G1のトナー層の厚さは均一であったが、均一でなくてもよい。指定画像G1のトナー層の厚さが均一でない場合でも、第1の印刷処理または第2の印刷処理により鏡像N1が印刷された印刷面F1は指定画像G1の鏡像のみが印刷された印刷面と比べて平滑である。指定画像G1のトナー層の厚さが均一でない場合でも、第3の印刷処理により第1合成画像N3が印刷された印刷面F1は指定画像G1のみが印刷された印刷面と比べて平滑である。そのため、指定画像G1のトナー層の厚さが均一でない場合でも、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0113】
[変形例10]
上記実施の形態においては、生成部152は、指定画像G1のトナー層のうち最も薄いトナー層の厚さを背景画像B1のトナー層の厚さに決定したが、これに限られない。他の例として、生成部152は、指定画像G1のトナー層のうち最も厚いトナー層の厚さを背景画像B1のトナー層の厚さに決定してもよい。他の例として、生成部152は、指定画像G1のトナー層の厚さの平均値を背景画像B1のトナー層の厚さとして採用してもよい。他の例として、生成部152は、背景画像B1の周囲にある指定画像G1のトナー層の厚さの平均値を背景画像B1のトナー層の厚さとして採用してもよい。
【0114】
[変形例11]
上記実施の形態においては、印刷装置100は第1の印刷処理、第2の印刷処理、および第3の印刷処理のいずれも実行可能であったが、これに限られない。印刷装置100は、第1の印刷処理、第2の印刷処理、および第3の印刷処理のうちの少なくとも1つを実行可能に構成されていればよい。
【0115】
[変形例12]
上記実施の形態においては、1回目の印刷と2回目の印刷とを行った後に印刷後の印刷媒体Pをトレイ8に排出したが、これに限られない。1回目の印刷を行った後、印刷後の印刷媒体Pを一度トレイ8に排出してもよい。その場合には、印刷後の印刷媒体Pが再度トレイ21に格納された後、2回目の印刷が行われる。
【0116】
[変形例13]
上記実施の形態においては、1台の印刷装置で1回目の印刷と2回目の印刷とを行ったが、これに限られない。印刷装置100を2台用意し、2台の印刷装置を直列に接続して、一方の印刷装置で1回目の印刷を行い、他方の印刷装置で2回目の印刷を行ってもよい。
【0117】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0118】
1 台紙、2 接着剤、3 フィルム、5 矢印、8,21 トレイ、10 制御部、11 プロセッサー、12 メモリー、13 ストレージ、20 給紙部、30 印刷部、31,31C,31K,31M,31W,31Y 作像部、32 転写ベルト、33 転写ローラー、34 ニップ部、40 定着部、50 搬送部、60 操作パネル、61 入力部、62 表示部、70 通信インターフェイス、99 バス、100 印刷装置、131 プログラム、151 取得部、152 生成部、500 外部装置、A1 余白部、B1 背景画像、B2,G2,N1 鏡像、C,K,M,Y 画像、F1 印刷面、F2 接着面、G1 指定画像、N2 第2合成画像、N3 第1合成画像、P 印刷媒体、Q ラベルシート、R1,R2,R3 搬送路、W1,W2,W3 隠蔽画像。