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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126409
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】電力供給装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 58/18 20190101AFI20240912BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240912BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20240912BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20240912BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240912BHJP
   B60L 3/04 20060101ALI20240912BHJP
   B60L 50/60 20190101ALI20240912BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240912BHJP
【FI】
B60L58/18
H02J7/00 P ZHV
H02J7/00 Y
H02J7/00 X
B60W10/26 900
B60W20/15
H01M10/48 Z
H01M10/48 P
B60L3/04 D
B60L50/60
B60L58/12
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034771
(22)【出願日】2023-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】西村 怜馬
(72)【発明者】
【氏名】福田 亮
【テーマコード(参考)】
3D202
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
3D202BB23
3D202DD00
3D202DD44
3D202DD45
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5H030AA06
5H030AS08
5H030FF41
5H030FF51
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC28
5H125BC30
5H125CD04
5H125EE26
5H125EE27
5H125EE51
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の蓄電装置のうちいずれかの蓄電装置が故障した場合であっても、車両に搭載されている機器に電力を供給可能とする電力供給装置を提供する。
【解決手段】電力供給装置1は、車両に搭載されている複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を、車両に搭載されている複数の機器の少なくともいずれかに供給するための出力端子T1~T6と、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの接続端子を、複数の蓄電装置B1~B4のうち他の蓄電装置の接続端子に接続するか、出力端子T1~T6に接続させるか、他の蓄電装置及び出力端子T1~T6のいずれの端子にも接続させないかを切り替えるスイッチSW1~SW11を有する。切替制御装置20は、スイッチSW1~SW11を制御し、複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を、T1~T6出力端子から出力させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている複数の機器の少なくともいずれかに電力を供給する電力供給装置であって、
車両に搭載されている複数の蓄電装置の少なくともいずれかから供給される電力を前記複数の機器の少なくともいずれかに供給するための出力端子と、
前記複数の蓄電装置それぞれの接続端子を、前記複数の蓄電装置のうち他の蓄電装置の接続端子に接続するか、前記出力端子に接続させるか、前記他の蓄電装置及び前記出力端子のいずれの端子にも接続させないかを切り替える切替部と、
前記切替部を制御し、前記複数の蓄電装置の少なくともいずれかから供給される電力を前記出力端子から出力させる切替制御部と、
を有する電力供給装置。
【請求項2】
前記複数の蓄電装置の中から故障した蓄電装置を検出する検出部をさらに有し、
前記切替制御部は、前記検出部が故障を検出した蓄電装置が前記複数の蓄電装置のうちの他の蓄電装置の接続端子及び前記出力端子に接続されないように前記切替部を制御する、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記切替制御部は、前記切替部を制御し、予め設定された複数の出力電圧のうちいずれかの出力電圧の電力を前記出力端子に出力させる、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記車両の動作状態を特定する状態特定部をさらに有し、
前記切替制御部は、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に応じた出力電圧の電力が前記出力端子から出力されるように、前記切替部を制御する、
請求項3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記車両の動作状態を特定する状態特定部と、
前記車両の動作状態と、当該動作状態に対応する前記複数の蓄電装置それぞれの接続端子の前記他の蓄電装置の接続端子又は前記出力端子への接続状態を示す情報とを関連付けて記憶する記憶部と、をさらに有し、
前記切替制御部は、前記記憶部を参照して、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に関連付けられている前記接続状態を特定し、特定した接続状態を示す情報に基づいて前記切替部を制御する、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記記憶部は、一つの前記車両の動作状態と、一以上の接続状態とを関連付けて記憶し、
前記複数の蓄電装置それぞれの残容量を特定する残容量特定部をさらに有し、
前記切替制御部は、前記記憶部において、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に対して複数の接続状態が関連付けられている場合には、前記残容量特定部が特定した前記残容量に基づいて、当該複数の接続状態の中から一つの接続状態を選択し、選択した接続状態に基づいて前記切替部を制御する、
請求項5に記載の電力供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータを動力源とする電気自動車や、モータとエンジンとを動力源とするハイブリッド自動車において、複数の蓄電装置から、車両に搭載されている機器に電力を供給する電力供給装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-070627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電力供給装置では、複数の蓄電装置のうちいずれかの蓄電装置が故障すると、車両に搭載されている機器に電力を供給することができなくなるという問題が発生する。
【0005】
そこで、本開示はこれらの点に鑑みてなされたものであり、複数の蓄電装置のうちいずれかの蓄電装置が故障した場合であっても車両に搭載されている機器に電力を供給することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る電力供給装置は、車両に搭載されている複数の機器の少なくともいずれかに電力を供給する電力供給装置であって、車両に搭載されている複数の蓄電装置の少なくともいずれかから供給される電力を前記複数の機器の少なくともいずれかに供給するための出力端子と、前記複数の蓄電装置それぞれの接続端子を、前記複数の蓄電装置のうち他の蓄電装置の接続端子に接続するか、前記出力端子に接続させるか、前記他の蓄電装置及び前記出力端子のいずれの端子にも接続させないかを切り替える切替部と、前記切替部を制御し、前記複数の蓄電装置の少なくともいずれかから供給される電力を前記出力端子から出力させる切替制御部と、を有する。
【0007】
前記電力供給装置は、前記複数の蓄電装置の中から故障した蓄電装置を検出する検出部をさらに有し、前記切替制御部は、前記検出部が故障を検出した蓄電装置が前記複数の蓄電装置のうちの他の蓄電装置の接続端子及び前記出力端子に接続されないように前記切替部を制御してもよい。
【0008】
前記切替制御部は、前記切替部を制御し、予め設定された複数の出力電圧のうちいずれかの出力電圧の電力を前記出力端子に出力してもよい。
前記電力供給装置は、前記車両の動作状態を特定する状態特定部をさらに有し、前記切替制御部は、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に応じた出力電圧の電力が前記出力端子から出力されるように、前記切替部を制御してもよい。
【0009】
前記電力供給装置は、前記車両の動作状態を特定する状態特定部と、前記車両の動作状態と、当該動作状態に対応する前記複数の蓄電装置それぞれの接続端子の前記他の蓄電装置の接続端子又は前記出力端子への接続状態を示す情報とを関連付けて記憶する記憶部と、をさらに有し、前記切替制御部は、前記記憶部を参照して、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に関連付けられている前記接続状態を特定し、特定した接続状態を示す情報に基づいて前記切替部を制御してもよい。
【0010】
前記記憶部は、一つの前記車両の動作状態と、一以上の接続状態とを関連付けて記憶し、前記複数の蓄電装置それぞれの残容量を特定する残容量特定部をさらに有し、前記切替制御部は、前記記憶部において、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に対して複数の接続状態が関連付けられている場合には、前記残容量特定部が特定した前記残容量に基づいて、当該複数の接続状態の中から一つの接続状態を選択し、選択した接続状態に基づいて前記切替部を制御してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の蓄電装置のうちいずれかの蓄電装置が故障した場合であっても車両に搭載されている機器に電力を供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態に係る電力供給装置の概要を説明するための図である。
図2】第1の実施の形態に係る切替制御装置の機能構成を示す図である。
図3】第1の実施の形態に係る接続管理情報の一例を示す図である。
図4】第2の実施の形態に係る切替制御装置の機能構成を示す図である。
図5】第2の実施の形態に係る接続管理情報の一例を示す図である。
図6】第3の実施の形態に係る切替制御装置の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施の形態>
[電力供給装置1の概要]
図1は、第1の実施の形態に係る電力供給装置1の概要を説明するための図である。実施の形態に係る電力供給装置1は、例えば、モータを駆動力として走行する電気自動車やハイブリッド車等の車両に実装され、車両に搭載されている走行用のモータ、クレーン、冷凍機等を含む複数の車載機器の少なくともいずれかに対して、車両に搭載されている複数の蓄電装置の少なくともいずれかから電力を供給するために用いられる。限定はしないが、実施の形態に係る電力供給装置1は、バスやトラック等の大型の電気自動車に好適に用いられる。以下本実施の形態では、車両がバスやトラック等の電気自動車であることを前提に説明する。
【0014】
実施の形態に係る電力供給装置1は、例えば、蓄電装置を格納する電池パック10と、切替制御装置20とを有する。電池パック10は、複数の蓄電装置B1~B4と、複数の電流計A1~A4と、複数の出力端子T1~T6と、複数の切替部としてのスイッチSW1~SW11とを有する。
【0015】
蓄電装置B1~B4は、例えばバッテリモジュールであり、車両に搭載されている複数の車載機器の少なくともいずれかに電力を供給する。図1に示すように、蓄電装置B1のプラス端子は、スイッチSW1、SW6に接続されている。蓄電装置B1のマイナス端子は、電流計A1を介して、スイッチSW2、SW3、SW8と、蓄電装置B3のプラス端子とに接続されている。蓄電装置B2のプラス端子は、スイッチSW1、SW2、SW5、SW7に接続されている。蓄電装置B1のマイナス端子は、電流計A2を介して、スイッチSW3、SW9と、蓄電装置B4のプラス端子とに接続されている。
【0016】
蓄電装置B3のプラス端子は、スイッチSW2、SW3、SW8と、蓄電装置B1のマイナス端子とに接続されている。蓄電装置B3のマイナス端子は、電流計A3を介して、スイッチSW4、SW5、SW11に接続されている。蓄電装置B4のプラス端子は、スイッチSW3、SW9と、蓄電装置B2のマイナス端子とに接続されている。蓄電装置B4のマイナス端子は、電流計A4を介して、スイッチSW4、SW10に接続されている。
【0017】
複数の電流計A1~A4は、複数の蓄電装置B1~B4それぞれから出力される電流を検出する。図1に示すように、電流計A1は、蓄電装置B1のマイナス端子に接続されている線路を流れる電流を測定する。同様に、電流計A2、A3、A4のそれぞれは、蓄電装置B2、B3、B4それぞれのマイナス端子に接続されている線路を流れる電流を測定する。複数の電流計A1~A4それぞれは、測定した電流を示す電流情報を切替制御装置20に出力する。
【0018】
スイッチSW1~SW11は、例えば、半導体リレー回路又は機械式のリレー回路である。スイッチSW1~SW11は、制御部22により、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの接続端子を、複数の蓄電装置B1~B4のうち他の蓄電装置の接続端子に接続するか、複数の出力端子に接続させるか、他の蓄電装置及び出力端子のいずれの端子にも接続させないかを切り替える。
【0019】
スイッチSW1の一端は、スイッチSW6と、蓄電装置B1のプラス端子とに接続されており、他端は、スイッチSW2、SW5、SW7と、蓄電装置B2のプラス端子とに接続されている。スイッチSW2の一端は、スイッチSW1、SW5、SW7と、蓄電装置B2のプラス端子とに接続されており、他端は、スイッチSW3、SW8と、蓄電装置B1のマイナス端子と、蓄電装置B3のプラス端子とに接続されている。
【0020】
スイッチSW3の一端は、スイッチSW2、SW8と、蓄電装置B1のマイナス端子と、蓄電装置B3のプラス端子とに接続されており、他端は、スイッチSW9と、蓄電装置B2のマイナス端子と、蓄電装置B4のプラス端子とに接続されている。スイッチSW4の一端は、スイッチSW10と、蓄電装置B4のマイナス端子とに接続されており、他端は、スイッチSW5、SW11と、蓄電装置B3のマイナス端子とに接続されている。スイッチSW5の一端は、スイッチSW1、SW2、SW7と、蓄電装置B2のプラス端子とに接続されており、他端は、スイッチSW4、SW11と、蓄電装置B3のマイナス端子とに接続されている。
【0021】
スイッチSW6の一端は、スイッチSW1と、蓄電装置B1のプラス端子とに接続されており、他端は、出力端子T1に接続されている。スイッチSW7の一端は、スイッチSW1、SW2、SW5と、蓄電装置B2のプラス端子とに接続されており、他端は、出力端子T2に接続されている。スイッチSW8の一端は、スイッチSW2、SW3と、蓄電装置B1のマイナス端子と、蓄電装置B3のプラス端子とに接続されており、他端は、出力端子T3に接続されている。
【0022】
スイッチSW9の一端は、スイッチSW3と、蓄電装置B2のマイナス端子と、蓄電装置B4のプラス端子とに接続されており、他端は、出力端子T4に接続されている。スイッチSW10の一端は、スイッチSW4と、蓄電装置B4のマイナス端子とに接続されており、他端は、出力端子T5に接続されている。スイッチSW11の一端は、スイッチSW4、SW5と、蓄電装置B3のマイナス端子とに接続されており、他端は、出力端子T6に接続されている。
【0023】
複数の出力端子T1~T6は、車両に搭載されている複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を複数の機器の少なくともいずれかに供給するために用いられる。複数の出力端子T1~T6は、スイッチSW1~SW11のON、OFF状態に応じて、一以上の系統の電力を供給する。
【0024】
切替制御装置20は、例えば車両に搭載されるバッテリーECUであり、電池パック10に設けられているスイッチSW1~SW11のON、OFF状態を切り替える。切替制御装置20は、スイッチSW1~SW11を制御し、複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を出力端子T1~T6の少なくともいずれかから出力させる。このようにすることで、電力供給装置1は、複数の蓄電装置B1~B4のうちいずれかの蓄電装置が故障した場合であっても、故障していない蓄電装置から電力を供給するように切り替えることができるので、車両に搭載されている機器に対して継続して電力を供給することができる。
【0025】
続いて、切替制御装置20の構成について説明する。図2は、第1の実施の形態に係る切替制御装置20の機能構成を示す図である。図2に示すように、切替制御装置20は、記憶部21と、制御部22とを有する。
【0026】
記憶部21は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)である。記憶部21は、制御部22を検出部221、及び切替制御部222として機能させるプログラムを記憶する。
制御部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部22は、記憶部21に記憶されているプログラムを実行することにより、検出部221及び切替制御部222として機能する。
【0027】
検出部221は、複数の蓄電装置B1~B4の中から故障した蓄電装置を検出する。例えば、検出部221は、複数の電流計A1~A4それぞれにおいて測定された複数の蓄電装置B1~B4それぞれの電流に基づいて、複数の蓄電装置B1~B4のうち、故障した蓄電装置を検出する。なお、検出部221は、電流計A1~A4それぞれにおいて測定された電流に基づいて故障した蓄電装置を検出することとしたが、これに限らず、他の方法により、故障した蓄電装置を検出してもよい。例えば、電池パック10に、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの電圧を測定する電圧計を設けておいてもよい。そして、検出部221は、電圧計が測定した複数の蓄電装置B1~B4それぞれの電圧に基づいて故障した蓄電装置を検出してもよい。
【0028】
切替制御部222は、スイッチSW1~SW11を制御し、複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を出力端子T1~T6のうち少なくとも2つの出力端子から出力させる。切替制御部222は、スイッチSW1~SW11を制御し、予め設定された複数の出力電圧のうちいずれかの出力電圧の電力を出力端子に出力させる。
【0029】
例えば、記憶部21に、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの接続端子の他の蓄電装置の接続端子又は出力端子T1~T6への接続状態を示す接続状態情報と、スイッチSW1~SW11のON、OFF状態の組み合わせを示す組み合わせ情報とを関連付けた接続管理情報を記憶させておく。図3は、第1の実施の形態に係る接続管理情報の一例を示す図である。図3に示す例では、接続状態情報として、複数の蓄電装置B1~B4の接続状態と、出力端子T1~T6のうち、どの出力端子から電力が出力されるかが示されている。ここで、スイッチがONである場合には、スイッチの両端が電気的に接続され、スイッチがOFFである場合には、スイッチの両端が電気的に接続されないものとする。
【0030】
切替制御部222は、記憶部21に記憶されている組み合わせ情報が示す出力状態に関連付けられているスイッチSW1~SW11のON、OFF状態の組み合わせに対応してスイッチSW1~SW11のON、OFF状態を制御することにより、複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を出力端子T1~T6のうち少なくとも2つの出力端子から出力させる。
【0031】
例えば、切替制御部222は、蓄電装置B1と蓄電装置B3との直列接続と、蓄電装置B2と蓄電装置B4との直列接続とを並列接続として電力を出力させる場合、組み合わせ情報に従ってスイッチSW1、SW4、SW6、SW11をONとし、その他のスイッチをOFFとする。これにより、出力端子T1がプラス端子、出力端子T6がマイナス端子となり、1つの系統の電力が出力される。
【0032】
また、切替制御部222は、蓄電装置B1と蓄電装置B3との直列接続と、蓄電装置B2と蓄電装置B4との直列接続とをそれぞれ別系統として電力を出力させる場合、組み合わせ情報に従ってスイッチSW6、SW7、SW10、SW11をONとし、その他のスイッチをOFFとする。これにより、出力端子T1をプラス端子、出力端子T6をマイナス端子とする第1系統の電力と、出力端子T2をプラス端子、出力端子T5をマイナス端子とする第2系統の電力とが出力される。
【0033】
また、切替制御部222は、検出部221が故障を検出した蓄電装置が複数の蓄電装置B1~B4のうちの他の蓄電装置の接続端子及び出力端子に接続されないようにスイッチSW1~SW11を制御する。例えば、スイッチSW1、SW4、SW6、SW11をONとし、その他のスイッチをOFFとして、蓄電装置B1と蓄電装置B3との直列接続と、蓄電装置B2と蓄電装置B4との直列接続とを並列接続として電力を出力させているものとする。この状態において、検出部221が蓄電装置B2の故障を検出すると、切替制御部222は、スイッチSW1、SW4をOFF状態に切り替えることにより、蓄電装置B1と蓄電装置B3とを直列接続した回路から電力を出力させるように制御する。これにより、切替制御部222は、出力電圧及び出力端子を変化させずに、故障した蓄電装置を他の蓄電装置の接続端子及び出力端子に接続されないようし、車両に搭載されている機器に対して電圧変動等の影響を与えることなく、電力を供給し続けることができる。
【0034】
<第1の実施の形態に係る効果>
以上説明したように、第1の実施の形態に係る電力供給装置1は、車両に搭載されている複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を複数の機器の少なくともいずれかに供給するための出力端子T1~T6と、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの接続端子を複数の蓄電装置B1~B4のうち他の蓄電装置の接続端子に接続するか、出力端子に接続させるか、他の蓄電装置及び出力端子のいずれの端子にも接続させないかを切り替えるスイッチSW1~SW11とを有する。そして、電力供給装置1は、スイッチSW1~SW11を制御し、複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかから供給される電力を出力端子T1~T6のうち、少なくとも2つの出力端子から出力させる。このようにすることで、電力供給装置1は、複数の蓄電装置のうちいずれかの蓄電装置が故障した場合であっても車両に搭載されている機器に電力を供給し続けることができる。
【0035】
<第2の実施の形態>
続いて、第2の実施の形態について説明する。例えば、複数の蓄電装置B1~B4の少なくともいずれかにより、走行用のモータに電力を供給している場合、車両の走行状態により、蓄電装置B1~B4から走行用のモータに対する電力の供給量が大きく変動する。これに対し、走行状態に合わせて電力を供給することが求められる。このため、第2の実施の形態に係る電力供給装置1は、車両の動作状態を特定し、特定した動作状態に基づいてスイッチSW1~SW11を制御する。以下に、第2の実施の形態に係る電力供給装置1について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
【0036】
図4は、第2の実施の形態に係る切替制御装置20の機能構成を示す図である。図4に示すように、第2の実施の形態に係る切替制御装置20の制御部22は、状態特定部223をさらに有する。
【0037】
状態特定部223は、車両の動作状態を特定する。例えば、状態特定部223は、車両の動作状態として、走行用モータに対して電力を供給している蓄電装置に対応する電流計が測定した電流に基づいて、車両の走行状態を特定する。例えば、状態特定部223は、車両の走行状態として、走行中(負荷小)、走行中(負荷大)、停車中のいずれかを特定する。また、状態特定部223は、走行用モータが電力を供給する対象である機器である、走行用のモータと異なる機器の動作状態を特定する。
【0038】
切替制御部222は、状態特定部223が特定した車両の動作状態に応じた出力電圧の電力が出力端子T1~T6のうち、少なくとも2つから出力されるように、スイッチSW1~SW11を制御する。例えば、記憶部21に、車両の動作状態と、当該動作状態に対応する複数の蓄電装置B1~B4それぞれの接続端子の他の蓄電装置の接続端子又は出力端子T1~T6への接続状態を示す接続状態情報と、スイッチSW1~SW11のON、OFF状態の組み合わせを示す組み合わせ情報とを関連付けた接続管理情報を予め記憶させておく。
【0039】
図5は、第2の実施の形態に係る接続管理情報の一例を示す図である。図5において、車両の動作状態に対して、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの接続端子の他の蓄電装置の接続端子又は出力端子T1~T6への接続状態を示す接続状態情報と、スイッチSW1~SW11の組み合わせ情報とが関連付けられていることが確認できる。
【0040】
切替制御部222は、記憶部21に記憶されている接続管理情報を参照して、状態特定部223が特定した車両の動作状態に関連付けられている接続状態を特定し、特定した接続状態を示す情報に対応する組み合わせ情報に基づいてスイッチSW1~SW11のON、OFF状態を制御する。このようにすることで、電力供給装置1は、車両の動作状態に応じて、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの接続端子の他の蓄電装置の接続端子又は出力端子T1~T6への接続状態を適切な状態に切り替え、動作状態の適した電力供給を行うことができる。
【0041】
<第3の実施の形態>
続いて、第3の実施の形態について説明する。複数の蓄電装置の少なくともいずれかから電力を出力する場合、複数の接続状態で、同電圧、同電流で電力を出力できることがある。この場合、複数の蓄電装置のそれぞれの残容量が異なる場合、バランスよく放電させることで、蓄電装置の使用頻度に差が出ることを抑制し、一部の蓄電装置の劣化の進行が早まらないようにすることが好ましい。これに対し、第3の実施の形態では、複数の蓄電装置の残容量に基づいて当該複数の接続状態の中から一つの接続状態を選択し、選択した接続状態に基づいてスイッチSW1~SW11を制御する点で第2の実施の形態と異なる。
【0042】
以下に、第3の実施の形態に係る電力供給装置1について説明する。なお、第3の実施の形態において、記憶部21の接続管理情報は、一つの車両の動作状態と、一以上の接続状態とを関連付けて記憶しているものとする。
【0043】
図6は、第3の実施の形態に係る切替制御装置20の機能構成を示す図である。図6に示すように、第3の実施の形態に係る切替制御装置20の制御部22は、残容量特定部224をさらに有する。
【0044】
残容量特定部224は、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの残容量を特定する。例えば、複数の蓄電装置B1~B4それぞれは、残容量を示す残容量情報を通知する通知部を有しており、残容量特定部224は、複数の蓄電装置B1~B4それぞれから残容量情報を取得することにより、複数の蓄電装置B1~B4それぞれの残容量を特定する。
【0045】
切替制御部222は、記憶部21に記憶されている接続管理情報において、状態特定部223が特定した車両の動作状態に対して複数の接続状態が関連付けられている場合には、残容量特定部224が特定した残容量に基づいて、当該複数の接続状態の中から一つの接続状態を選択する。
【0046】
具体的には、切替制御部222は、状態特定部223が特定した車両の動作状態に対して複数の接続状態が関連付けられている場合には、複数の接続状態のうち、相対的に残容量が多い蓄電装置により電力を供給する接続状態を選択する。そして、切替制御部222は、選択した接続状態に関連付けられているスイッチSW1~SW11の組み合わせ情報に基づいてスイッチSW1~SW11を制御する。このようにすることで、電力供給装置1は、複数の蓄電装置B1~B4からバランスよく放電させ、複数の蓄電装置B1~B4の使用頻度に差が出ることを抑制し、一部の蓄電装置の劣化の進行が早まらないようにすることができる。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、電池パック10に蓄電装置が4台設けられる例について説明したが、これに限らない。電池パック10に5台以上の蓄電装置が設けられてもよい。この場合、電池パック10に、5台以上の蓄電装置それぞれの接続端子を、これらの蓄電装置のうち他の蓄電装置の接続端子に接続するか、出力端子に接続させるか、他の蓄電装置及び出力端子のいずれの端子にも接続させないかを切り替え可能にスイッチを設けておき、切替制御部222が、これらのスイッチを制御し、これらの蓄電装置の少なくともいずれかから供給される電力を出力端子から出力させるようにしてもよい。
【0048】
また、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0049】
1 電力供給装置
10 電池パック
20 切替制御装置
21 記憶部
22 制御部
221 検出部
222 切替制御部
223 状態特定部
224 残容量特定部
A1~A4 電流計
B1~B4 蓄電装置
SW1~SW11 スイッチ
T1~T6 出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2024-03-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されている複数の機器の少なくともいずれかに電力を供給する電力供給装置であって、
車両に搭載されている複数の蓄電装置の少なくともいずれかから供給される電力を前記複数の機器の少なくともいずれかに供給するための4つ以上の出力端子と、
前記複数の蓄電装置それぞれの接続端子を、前記複数の蓄電装置のうち他の蓄電装置の接続端子に接続するか、前記出力端子に接続させるか、前記他の蓄電装置及び前記出力端子のいずれの端子にも接続させないかを切り替える切替部と、
前記切替部を制御し、前記複数の蓄電装置の少なくともいずれかから供給される電力を前記出力端子から出力させる切替制御部であって、前記切替部を制御し、前記複数の蓄電装置から出力させる電力を、4つ以上の前記出力端子のうちの2つの出力端子から1つの系統の電力として出力させるか、4つ以上の前記出力端子のうちの2つの出力端子から第1系統の電力として出力させるとともに4つ以上の前記出力端子のうちの当該2つの出力端子と異なる他の2つの出力端子から第2系統の電力として出力させるか、を制御する切替制御部と、
を有する電力供給装置。
【請求項2】
前記複数の蓄電装置の中から故障した蓄電装置を検出する検出部をさらに有し、
前記切替制御部は、前記検出部が故障を検出した蓄電装置が前記複数の蓄電装置のうちの他の蓄電装置の接続端子及び前記出力端子に接続されないように前記切替部を制御する、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
前記切替制御部は、前記切替部を制御し、予め設定された複数の出力電圧のうちいずれかの出力電圧の電力を前記出力端子に出力させる、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項4】
前記車両の動作状態を特定する状態特定部をさらに有し、
前記切替制御部は、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に応じた出力電圧の電力が前記出力端子から出力されるように、前記切替部を制御する、
請求項3に記載の電力供給装置。
【請求項5】
前記車両の動作状態を特定する状態特定部と、
前記車両の動作状態と、当該動作状態に対応する前記複数の蓄電装置それぞれの接続端子の前記他の蓄電装置の接続端子又は前記出力端子への接続状態を示す情報とを関連付けて記憶する記憶部と、をさらに有し、
前記切替制御部は、前記記憶部を参照して、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に関連付けられている前記接続状態を特定し、特定した接続状態を示す情報に基づいて前記切替部を制御する、
請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項6】
前記記憶部は、一つの前記車両の動作状態と、一以上の接続状態とを関連付けて記憶し、
前記複数の蓄電装置それぞれの残容量を特定する残容量特定部をさらに有し、
前記切替制御部は、前記記憶部において、前記状態特定部が特定した前記車両の動作状態に対して複数の接続状態が関連付けられている場合には、前記残容量特定部が特定した前記残容量に基づいて、当該複数の接続状態の中から一つの接続状態を選択し、選択した接続状態に基づいて前記切替部を制御する、
請求項5に記載の電力供給装置。