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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126411
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】カプラ取付装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/73 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01R13/73 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034774
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000222934
【氏名又は名称】東洋電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【弁理士】
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 成弥
(57)【要約】
【課題】カプラ取付装置における部品点数の増加と組み付け時の作業性が低下すること。
【解決手段】本発明のカプラ取付装置は、ワイヤーハーネスのカプラ31が挿通可能な挿通穴22が形成された壁面21Aと、壁面の一方の面から延設され挿通穴22と連通するカプラ31を収容するための収容領域が形成された収容部23と、を備え、挿通穴22に対するカプラ31の挿通方向に沿った収容部23の所定の面に、収容部23の外部からカプラ31を収容領域に挿入可能な開口部23aを有する。
【選択図】図3


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーハーネスのカプラが挿通可能な挿通穴が形成された壁面と、
前記壁面の一方の面から延設され、前記挿通穴と連通する前記カプラを収容するための収容領域が形成された収容部と、
を備え、
前記挿通穴に対する前記カプラの挿通方向に沿った前記収容部の所定の面に、当該収容部の外部から前記カプラを前記収容領域に挿入可能な開口部を有する、
カプラ取付装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカプラ取付装置であって、
前記挿通穴は、前記カプラの外形よりも広く形成されており、前記収容部に形成された前記開口部と連通している、
カプラ取付装置。
【請求項3】
請求項1に記載のカプラ取付装置であって、
前記挿通穴の周囲の一部に、前記収容領域との連通箇所に対応する前記挿通穴の外形がさらに広げられた部位である切り欠き部が形成されており、
前記切り欠き部は、前記収容部に形成された前記開口部と連通している、
カプラ取付装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカプラ取付装置であって、
前記壁面は、前記挿通穴の前記収容領域との連通箇所が位置する第一壁面と、当該第一壁面から延設されて当該第一壁面に対して屈曲された第二壁面と、を有しており、
前記挿通穴の前記切り欠き部は、前記第一壁面から前記第二壁面にかけて形成されている、
カプラ取付装置。
【請求項5】
請求項1に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部の内部に、前記カプラの外形に応じて形成されており、前記収容部の外部から前記収容領域への前記カプラの挿入をガイドするガイド部を有する、
カプラ取付装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカプラ取付装置であって、
前記ガイド部は、前記挿通穴を形成する面に対して傾斜して形成されている、
カプラ取付装置。
【請求項7】
請求項1に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記収容領域に挿入されて、前記挿通穴を形成する面に対して垂直方向にスライド移動された前記カプラのさらなる移動を規制する第1の規制部を有する、
カプラ取付装置。
【請求項8】
請求項7に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記カプラが前記収容領域に挿入されてスライド移動された際に、当該カプラの外形の一部と嵌合し、当該カプラの前記挿通穴側に向かう方向への移動を規制する第2の規制部を有する、
カプラ取付装置。
【請求項9】
請求項7に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記カプラが前記収容領域に挿入された際に、当該カプラのスライド移動方向に対する垂直方向への移動を係止しつつスライド移動方向への移動を許容する第3の規制部を有する、
カプラ取付装置。
【請求項10】
請求項7に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記カプラが前記収容領域に挿入された際に、当該カプラの外形の一部と嵌合し、当該カプラのスライド移動方向に対する垂直方向への移動を係止しつつスライド移動方向への移動を許容する第4の規制部を有する、
カプラ取付装置。
【請求項11】
請求項8に記載のカプラ取付装置であって、
前記第1の規制部と前記第2の規制部とは、前記カプラを挟持するよう構成されている、
カプラ取付装置。
【請求項12】
ワイヤーハーネスのカプラが挿通可能な挿通穴が形成された壁面と、
前記壁面の一方の面から延設され、前記挿通穴と連通する前記カプラを収容するための収容領域が形成された収容部と、
を備えたカプラ取付装置におけるカプラ取付方法であって、
前記カプラを前記挿通穴に挿通して、当該カプラの少なくとも一部を前記壁面の一方の面側に位置させ、
前記カプラを、前記収容部の外部から、前記挿通穴に対する前記カプラの挿通方向に沿った前記収容部の所定の面に形成された前記収容領域に通ずる開口部を介して前記収容領域に挿入する、
カプラ取付方法。
【請求項13】
請求項12に記載のカプラ取付方法であって、
前記カプラの外形よりも広く形成されており、前記収容部に形成された前記開口部と連通している前記挿通穴に、前記カプラの少なくとも一部を挿通させた後に、前記収容部の外部から前記開口部を介して前記カプラを前記収容領域にて挿入する、
カプラ取付方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤーハーネスを取り付けるカプラ取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両内における車内配線として、電源供給や信号通信に使用されるケーブルにカプラが接続されたワイヤーハーネスが用いられる。このとき、ワイヤーハーネスは車両内に固定されるが、例えば、ワイヤーハーネスのカプラが、車両内に設けられた筐体に取り付けられて固定される。一例として、特許文献1では、ケーブルが接続されたカプラに相当するスイッチをベースカバー(筐体)の壁面に取り付ける構成が記載されている。具体的に、特許文献1では、まず、ベースカバーの壁面に開口を設け、かかる開口の周囲に溝つきのリブを形成する。そして、ベースカバーの開口にケーブルを挿通させた状態で、リブの溝に挿入された止め板を用いてベースカバーの開口の位置にスイッチを固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5-72077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の構成では、ベースカバーの開口にケーブルを挿通させた状態で、止め板を用いてスイッチ(カプラ)を開口に固定しているため、部品点数が増加し、組み付け時の作業性が低下する、という問題が生じる。
【0005】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、部品点数の増加と組み付け時の作業性が低下する、という問題を解決することができるカプラ取付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態であるカプラ取付装置は、
ワイヤーハーネスのカプラが挿通可能な挿通穴が形成された壁面と、
前記壁面の一方の面から延設され、前記挿通穴と連通する前記カプラを収容するための収容領域が形成された収容部と、
を備え、
前記挿通穴に対する前記カプラの挿通方向に沿った前記収容部の所定の面に、当該収容部の外部から前記カプラを前記収容領域に挿入可能な開口部を有する、
という構成をとる。
【0007】
また、本発明の一形態であるカプラ取付方法は、
ワイヤーハーネスのカプラが挿通可能な挿通穴が形成された壁面と、
前記壁面の一方の面から延設され、前記挿通穴と連通する前記カプラを収容するための収容領域が形成された収容部と、
を備えたカプラ取付装置におけるカプラ取付方法であって、
前記カプラを前記挿通穴に挿通して、当該カプラの少なくとも一部を前記壁面の一方の面側に位置させ、
前記カプラを、前記収容部の外部から、前記挿通穴に対する前記カプラの挿通方向に沿った前記収容部の所定の面に形成された前記収容領域に通ずる開口部を介して前記収容領域に挿入する、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以上のように構成されることにより、部品点数の増加を抑制し、組み付け時の作業性の向上を図ることができるカプラ取付装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態におけるカプラ取付装置の全体構成を示す図である。
図2A図1に開示したカプラ取付装置を構成するリアケースの構成を示す図である。
図2B図2Aに開示したリアケースを内面側からみた図である。
図3図1に開示したカプラ取付装置にカプラを取り付ける時の様子を示す図である。
図4図1に開示したカプラ取付装置にカプラを取り付ける時の様子を示す図である。
図5図1に開示したカプラ取付装置にカプラを取り付ける時の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、図1乃至図5を参照して説明する。図1乃至図2は、カプラ取付装置の構成を説明するための図であり、図3乃至図5は、カプラ取付方法を説明するための図である。
【0011】
[構成]
本発明におけるカプラ取付装置は、自動車などの車両内における車内配線として用いられるワイヤーハーネス30のカプラ31を取り付ける装置である。例えば、本実施形態におけるカプラ取付装置は、車両内に設置されるフロントケース10に組み付けられるリアケース20にて構成される。このとき、図3に示すように、フロントケース10には、ワイヤーハーネス30を構成するケーブル32の一端側が連結されており、かかる状態でケーブル32の他端側に接続されたカプラ31をリアケース20に取り付けることとなる。以下、主にリアケース20とワイヤーハーネス30について詳述する。
【0012】
図3に示すように、ワイヤーハーネス30は、ケーブル32とカプラ31とが接続されて構成されている。なお、ケーブル32の一端側はフロントケース10に連結されており、ケーブル32の他端側にカプラ31が接続されている。カプラ31は、端面が略正方形形状で所定の長さを有する柱体にて構成されている。そして、カプラ31の長さ方向に垂直な断面における略正方形形状は、先端側が大きく形成されており、ケーブル32との接続端側である後端側が小さく形成されている。つまり、柱状であるカプラ31は、長さ方向の途中箇所に段差部31aが形成されており、かかる段差部31aを境に、先端側の断面形状は大きな略正方形形状で一様に形成されており、後端側の断面形状は先端側よりも小さな略正方形形状で一様に形成されている。なお、カプラ31の形状はいかなる形状であってもよく、端面形状及び断面形状は、略正方形形状であることに限定されず、略長方形形状であってもよく、その他の形状であってもよい。
【0013】
図2Aは、リアケース20を外面側からみた図であり、図2Bは、リアケース20を内面側から見た図である。リアケース20は、図1に示すように、図2Bに示す内面側がフロントケース10側の構造を覆って装着されることとなる。
【0014】
図2Aに示すように、リアケース20の外形は、フロントケース10側の構造を収容して覆うよう形成された略凹状の壁面を有して構成される。このとき、壁面は、相互にほぼ直角に屈曲して連結している第一壁面21Aと第二壁面21Bとを有する。換言すると、第一壁面21Aから略直角に屈曲して第二壁面21Bが延設されている。なお、第一壁面21Aと第二壁面21Bとは、それぞれほぼ平面形状にて構成されているが、いずれも曲面で形成されていてもよく、また、必ずしも相互に直角を成していることに限定されない。
【0015】
第一壁面21Aには、ワイヤーハーネス30のカプラ31が挿通可能な挿通穴22が形成されている。挿通穴22は、例えば、カプラ31の先端側の端面形状よりもやや大きな略正方形形状に形成されている。また、挿通穴22の周囲の一部には、当該挿通穴22の外形がさらに広げられた部位である切り欠き部22aが形成されている。具体的に、挿通穴22は、図2Bに示す点線で示した箇所までの略正方形形状の穴にて形成されており、点線よりも挿通穴22の上方に位置する部位において、第一壁面21Aが切除されて切り欠き部22aが形成されている。そして、切り欠き部22aは、さらに第一壁面21Aから第二壁面21Bにかけて形成されている。つまり、切り欠き部22aは、第一壁面21Aから略直角に屈曲して第二壁面21Bにまで形成されている。このように、切り欠き部22aを含めた挿通穴22の形状は、幅方向の長さがカプラ31の端面の幅よりもやや大きく形成され、高さ方向の長さがカプラ31の端面の高さよりもはるかに長く形成されることとなる。これにより、図3に示すように、リアケース20の挿通穴22に当該リアケース20の内面側からカプラ31を先端側から挿通させる際には、挿通穴22が広げられた切り欠き部22aの空間を利用して、リアケース20の外面側にカプラ31を挿通させることができる。
【0016】
また、図2Aに示すように、リアケース20の第一壁面21Aの外面側(一方の面側)には、挿通穴22が形成された箇所に、カプラ31を収容するための収容領域が形成された収容部23が設けられている。収容部23は、第一壁面21Aつまり挿通穴22に対して垂直方向(図2Aの矢印Y1方向)に突出して形成されており、断面の形状が略正方形形状であり、所定の突出長さを有する略筒体にて形成されている。具体的に、収容部23は、内部の収容領域が上述したカプラ31を収容可能なよう当該カプラ31の形状よりもやや大きく形成されており、その周囲を囲う形状の筒体にて形成されている。なお、収容部23の長手方向における第一壁面21A側の端面は、挿通穴22に連通して開口しており、また、その反対側の突出端側の端面は外部に開口している。
【0017】
また、図2Aに示すように、収容部23を形成する突出方向(矢印Y1方向)に沿った周囲の面のうち、挿通穴22が広げられた切り欠き部22a側に位置する上方の面には、開口部23aが形成されている。さらに、開口部23aは、挿通穴22及び切り欠き部22aに連通している。つまり、図2Aの例では、収容部23の第一壁面21A側に位置する上面部分が切除されて開口部23aが形成されており、挿通穴22と切り欠き部22aと開口部23aとが一連の穴として形成されている。また、開口部23aは、幅方向の長さがカプラ31の端面の幅よりもやや大きく形成され、突出方向の長さがカプラ31の長手方向の長さよりもやや長く形成されることとなる。これにより、図3に示すように、リアケース20の内面側から挿通穴22及び切り欠き部22aを介してカプラ31を先端側から挿通させる際に、当該カプラ31の少なくとも一部を収容部23の開口部23aを通過させて、収容部23の外側に一旦配置させることができる。そして、少なくとも一部が収容部23の外部に位置するカプラ31を、後述するように開口部23aから収容部23の内部の収容領域に挿入することができる。
【0018】
また、図2Aに示すように、収容部23の内部のうち、開口部23aに対して両側方に位置する側壁には、ガイド部24が設けられている。ガイド部24は、収容部23の側壁の第一壁面21A寄りに配置されており、第一壁面21Aに対して傾斜する傾斜面を有する。具体的に、ガイド部24の傾斜面は、収容部23の突出端方向に向かって高さが徐々に低くなるよう傾斜しており、かかる形状は、カプラ31の段差部31aの形状に応じて形成されていることとなる。このため、ガイド部24の傾斜面には、図4及び図5を参照して後述するように、カプラ31を収容部23の外部から収容領域に収容する際に、カプラ31の段差部31aが当接して摺動することとなり、収容領域への挿入をガイドする機能を発揮しうる。なお、ガイド部24の形状はいかなる形状であってもよく、カプラ31の外形に当接して収容領域への挿入をガイドする機能を発揮しうる形状であればいかなる形状であってもよい。
【0019】
また、図2Aに示すように、収容部23の内部のうち、突出方向の先端側の端部には、カプラ31の突出方向への移動を規制する第1の規制部25aが設けられている。第1の規制部25aは、収容部23の開口している先端側の端部の一部を塞ぐ突出片にて形成されており、収容部23の開口部23a側とは反対側に位置する底壁の端部から上方に突出して形成されている。このため、図4及び図5を参照して後述するように、カプラ31を収容部23に収容した後に突出方向にスライド移動することとなるが、カプラ31の先端が第1の規制部25aに当接して、カプラ31の突出方向へのスライド移動が規制されることとなる。
【0020】
また、図2Aに示すように、収容部23の内部のうち、収容部23の開口部23a側とは反対側に位置する底壁には、カプラ31の外形の一部と嵌合する第2の規制部25bが設けられている。具体的に、第2の規制部25bは、収容部23の底壁から上方に向かって突出する突出片にて形成されており、カプラ31が収容部23内において突出方向にスライド移動し、第2の規制部25b上をカプラ31の先端側の部位が通過した後に当該第2の規制部25bが段差部31aと嵌合するよう構成されている。このため、図4及び図5を参照して後述するように、カプラ31を収容部23に収容して突出方向にスライド移動した後に、カプラ31の段差部31aと第2の規制部25bとが嵌合して、カプラ31の第一壁面21A側への移動が規制されることとなる。なお、このとき、上述した第1の規制部25aと第2の規制部25bとにより、カプラ31の段差部31aよりも先端側の部位が挟持されることとなる。
【0021】
また、図2Aに示すように、収容部23の突出方向の先端側の端部には、カプラ31の突出方向へのスライド移動を許容しつつ、かかるスライド移動方向に対する垂直方向つまり開口部23a側への移動を係止する第3の規制部25cが設けられている。第3の規制部25cは、収容部23の突出方向の先端側において開口部23aを跨って配置され、つまり、開口部23aの一部を塞ぐよう形成されている。このため、図4及び図5を参照して後述するように、カプラ31を収容部23に収容した後に突出方向にスライド移動することとなるが、カプラ31の先端側が第3の規制部25cの下方に位置してスライド移動が許容され、一方で、カプラ31の先端側の上方が第3の規制部25cで覆われるため、上方への移動が係止されることとなる。
【0022】
また、図2Aに示すように、収容部23の突出方向の第一壁面21A側の端部には、カプラ31の突出方向へのスライド移動を許容しつつ、かかるスライド移動方向に対する垂直方向つまり開口部23a側への移動を係止する第4の規制部25dが設けられている。第4の規制部25dは、収容部23の内部おいて開口部23aに対して両側方に位置する側壁に設けられており、側壁の所定の高さ位置において内部側に突出する突出片にて形成されている。具体的に、第4の規制部25dは、カプラ31が収容部23内に収容された際に、段差部31aよりも後端側の部位つまり外形が小さく形成された部位の上方箇所に嵌合するよう構成されている。このため、図4及び図5を参照して後述するように、カプラ31を収容部23に収容した際に、カプラ31の段差部31aよりも後端側の上部と第4の規制部25dとが嵌合した状態となり、カプラ31の収容部23内における突出方向へのスライド移動が許容され、一方で、カプラ31の後端側の上方が第4の規制部25dで保持された状態となり、上方への移動が係止されることとなる。
【0023】
[動作]
次に、上述したカプラ取付装置にカプラ31を取り付けるときの動作を、主に図4乃至図5を参照して説明する。
【0024】
まず、図4(4-1)に示すように、フロントケース10側に連結された状態のワイヤーハーネス30のカプラ31を、リアケース20の内面側から挿通穴22及び切り欠き部22aに挿通させる。これにより、ワイヤーハーネス30のカプラ31の少なくとも一部をリアケース20の外側つまり収容部23側に一旦配置させる。具体的に、図4(4-1)及び図5(5-1)に示すように、カプラ31は、その先端側が収容部23の開口部23aの上方に位置し、ケーブル31が接続された後端側が挿通穴22及び切り欠き部22a付近に位置することとなる。
【0025】
続いて、図4(4-2)及び図5(5-1)の矢印Y11に示すように、カプラ31の先端側を収容部23の開口部23aから収容箇所に挿入するよう回転させる。このとき、図5(5-2)に示すように、カプラ31の段差部31aが、収容部23の側壁に形成されたガイド部24の傾斜面に当接して当該傾斜面に沿って摺動し、カプラ31の収容領域への挿入がガイドされる。これにより、収容部23の開口部23aから、カプラ31を円滑に収容領域に挿入することができる。
【0026】
続いて、図5(5-3)に示すようにカプラ31の先端側が収容部23の収容領域内に挿入されると、カプラ31の段差部31aよりも後端側の上部が、収容部23内の側壁に設けられた第4の規制部25dに保持された状態となる。これにより、収容部23内において、カプラ31の上方への移動が係止されつつ、カプラ31の矢印Y12方向へのスライド移動が許容される。
【0027】
続いて、図5(5-3)の矢印Y12に示すように、カプラ31を収容部23内でさらにスライド移動する。このとき、収容部23の先端側の端部の上部を覆う第3の規制部25cが設けられている。これにより、収容部23内において、カプラ31の上方への移動が係止されつつ、カプラ31の矢印Y12方向へのスライド移動を許容される。
【0028】
その後、図4(4-3)及び図5(5-4)に示すように、カプラ31を収容部23の先端までスライド移動すると、収容部23内の先端側の端部に設けられた第1の規制部25aに、カプラ31の先端部分が当接する。また、収容部23の底壁には第2の規制部25bが設けられており、第2の規制部25bと段差部31aとが嵌合する。これにより、カプラ31は、収容部23内の収容領域において、第1の規制部25aと第2の規制部25bとによりカプラ31の段差部31aよりも先端側の部位が挟持されることとなる。その結果、カプラ31が収容部23内において突出方向に移動されることが係止される。さらに、上述したように、カプラ31は第3の規制部25c及び第4の規制部25dにより上方への移動も係止されているため、カプラ31は収容部23内の収容領域に固定保持されることとなる。
【0029】
以上のように、本発明のカプラ取付装置は、リアケース20に形成された挿通穴22にカプラ31を挿通して収容部23側に配置させ、収容部23に形成された開口部23a側からカプラ31を挿入して収容部23に収容している。これにより、少ない部品点数でカプラ31を容易に取り付けることができ、作業性の向上とコストの削減を図ることができる。さらに、本発明のカプラ取付装置は、リアケース20の壁面に挿通穴22を拡張する切り欠き部22aを設けたり、挿通穴22や切り欠き部22aに開口部23aを連通させたり、収容部23内にカプラ31の移動を規制する種々の規制部25a等を設けている。これにより、カプラ取付時のさらなる作業性の向上を図り、部品点数を減少させてコストの削減を図ることができる。
【0030】
<付記>
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。以下、本発明における操作装置の概略を説明する。但し、本発明は、以下の構成に限定されない。
(付記1)
ワイヤーハーネスのカプラが挿通可能な挿通穴が形成された壁面と、
前記壁面の一方の面から延設され、前記挿通穴と連通する前記カプラを収容するための収容領域が形成された収容部と、
を備え、
前記挿通穴に対する前記カプラの挿通方向に沿った前記収容部の所定の面に、当該収容部の外部から前記カプラを前記収容領域に挿入可能な開口部を有する、
カプラ取付装置。
(付記2)
付記1に記載のカプラ取付装置であって、
前記挿通穴は、前記カプラの外形よりも広く形成されており、前記収容部に形成された前記開口部と連通している、
カプラ取付装置。
(付記3)
付記1に記載のカプラ取付装置であって、
前記挿通穴の周囲の一部に、前記収容領域との連通箇所に対応する前記挿通穴の外形がさらに広げられた部位である切り欠き部が形成されており、
前記切り欠き部は、前記収容部に形成された前記開口部と連通している、
カプラ取付装置。
(付記4)
付記3に記載のカプラ取付装置であって、
前記壁面は、前記挿通穴の前記収容領域との連通箇所が位置する第一壁面と、当該第一壁面から延設されて当該第一壁面に対して屈曲された第二壁面と、を有しており、
前記挿通穴の前記切り欠き部は、前記第一壁面から前記第二壁面にかけて形成されている、
カプラ取付装置。
(付記5)
付記1に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部の内部に、前記カプラの外形に応じて形成されており、前記収容部の外部から前記収容領域への前記カプラの挿入をガイドするガイド部を有する、
カプラ取付装置。
(付記6)
付記5に記載のカプラ取付装置であって、
前記ガイド部は、前記挿通穴を形成する面に対して傾斜して形成されている、
カプラ取付装置。
(付記7)
付記1に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記収容領域に挿入されて、前記挿通穴を形成する面に対して垂直方向にスライド移動された前記カプラのさらなる移動を規制する第1の規制部を有する、
カプラ取付装置。
(付記8)
付記7に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記カプラが前記収容領域に挿入されてスライド移動された際に、当該カプラの外形の一部と嵌合し、当該カプラの前記挿通穴側に向かう方向への移動を規制する第2の規制部を有する、
カプラ取付装置。
(付記9)
付記7に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記カプラが前記収容領域に挿入された際に、当該カプラのスライド移動方向に対する垂直方向への移動を係止しつつスライド移動方向への移動を許容する第3の規制部を有する、
カプラ取付装置。
(付記10)
付記7に記載のカプラ取付装置であって、
前記収容部に、前記カプラが前記収容領域に挿入された際に、当該カプラの外形の一部と嵌合し、当該カプラのスライド移動方向に対する垂直方向への移動を係止しつつスライド移動方向への移動を許容する第4の規制部を有する、
カプラ取付装置。
(付記11)
付記8に記載のカプラ取付装置であって、
前記第1の規制部と前記第2の規制部とは、前記カプラを挟持するよう構成されている、
カプラ取付装置。
(付記12)
ワイヤーハーネスのカプラが挿通可能な挿通穴が形成された壁面と、
前記壁面の一方の面から延設され、前記挿通穴と連通する前記カプラを収容するための収容領域が形成された収容部と、
を備えたカプラ取付装置におけるカプラ取付方法であって、
前記カプラを前記挿通穴に挿通して、当該カプラの少なくとも一部を前記壁面の一方の面側に位置させ、
前記カプラを、前記収容部の外部から、前記挿通穴に対する前記カプラの挿通方向に沿った前記収容部の所定の面に形成された前記収容領域に通ずる開口部を介して前記収容領域に挿入する、
カプラ取付方法。
(付記13)
付記12に記載のカプラ取付方法であって、
前記カプラの外形よりも広く形成されており、前記収容部に形成された前記開口部と連通している前記挿通穴に、前記カプラの少なくとも一部を挿通させた後に、前記収容部の外部から前記開口部を介して前記カプラを前記収容領域にて挿入する、
カプラ取付方法。
【0031】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0032】
10 フロントケース
20 リアケース
21A 第一壁面
21B 第二壁面
22 挿通穴
22a 切り欠き部
23 収容部
23a 開口部
24 ガイド部
25a 第1の規制部
25b 第2の規制部
25c 第3の規制部
25d 第4の規制部
30 ワイヤーハーネス
31 カプラ
31a 段差部
32 ケーブル


図1
図2A
図2B
図3
図4
図5