(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126413
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】自動販売機システム
(51)【国際特許分類】
G07F 5/22 20060101AFI20240912BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20240912BHJP
G06Q 30/06 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
G07F5/22 B
G07F5/22 C
G07F9/00 B
G07F9/00 L
G07F9/00 P
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034776
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中谷 俊輔
【テーマコード(参考)】
3E044
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
3E044AA01
3E044CB02
3E044CB03
3E044CC04
3E044DA08
3E044DA10
3E044DB05
3E044DC01
3E044DC06
3E044DE01
3E044DE03
3E044EA03
3E044EB01
5L030BB21
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】自動販売機内の個々の商品の賞味期限などの販売可能期間に対応して各商品の販売ロスと販売促進とを適切に行うことができる自動販売機システムを提供する。
【解決手段】商品ごとの販売可能残り期間を管理し、現時点における販売可能残り期間ごとの販売可能残り期間内の商品数を管理する販売可能期限管理部21と、自動販売機1の売上結果をもとに、現時点における各販売可能残り期間の終了時までの商品の売上予測数をそれぞれ算出する売上予測部22と、販売可能残り期間内の商品数が販売可能残り期間の終了時までの売上予測数を超える場合、予め設定された商品販売価格を所定値下げ、販売可能残り期間内の商品数が販売可能残り期間の終了時までの売上予測数以下である場合、予め設定された商品販売価格を維持する値下げ判定処理を行う値下げ判定部23と、値下げ判定部の値下げ判定処理結果を自動販売機1に通知する通知部24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動販売機と管理サーバとがネットワークを介して接続されて前記自動販売機と前記管理サーバとの間でデータの授受を行って、前記自動販売機が販売する商品の販売管理を行う自動販売機システムであって、
前記管理サーバは、
商品ごとの販売可能残り期間を管理し、現時点における販売可能残り期間ごとの販売可能残り期間内の商品数を管理する販売可能期限管理部と、
前記自動販売機の売上結果をもとに、現時点における各販売可能残り期間の終了時までの前記商品の売上予測数をそれぞれ算出する売上予測部と、
前記販売可能残り期間内の商品数が前記販売可能残り期間の終了時までの売上予測数を超える場合、予め設定された商品販売価格を所定値下げ、前記販売可能残り期間内の商品数が前記販売可能残り期間の終了時までの売上予測数以下である場合、予め設定された商品販売価格を維持する値下げ判定処理を行う値下げ判定部と、
前記値下げ判定部の値下げ判定処理結果を前記自動販売機に通知する通知部と、
を備え、
前記自動販売機は、前記管理サーバから通知された値下げ判定処理結果をもとに商品販売価格を変更することを特徴とする自動販売機システム。
【請求項2】
前記値下げ判定部は、前記販売可能残り期間ごと、及び、前記商品が販売されるごとに前記値下げ判定処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機システム。
【請求項3】
前記値下げ判定部は、前記販売可能残り期間の最大閾値を予め設定し、最小の前記販売可能残り期間から順次、前記値下げ判定処理を行い、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定がある場合、処理を終了し、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定がない場合、前記最大閾値の前記販売可能残り期間まで処理を続行することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機システム。
【請求項4】
前記販売可能残り期間は、日単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機システム。
【請求項5】
前記商品は、同一商品が収納された商品コラム単位の商品であることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機システム。
【請求項6】
前記値下げ判定部は、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定を行った場合、前記商品コラムから最先に搬出される商品に対して予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定を行うことを特徴とする請求項5に記載の自動販売機システム。
【請求項7】
前記売上予測部は、前記売上予測数を、所定時間増減した調整売上予測数として算出し、
前記値下げ判定部は、前記調整売上予測数を用いて前記値下げ判定処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動販売機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動販売機内の個々の商品の賞味期限などの販売可能期間に対応して各商品の販売ロスと販売促進とを適切に行うことができる自動販売機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動販売機では、賞味期限が切れた商品が発生した場合、商品の販売を停止するようにしている。そこで、販売ロスを軽減するため、賞味期限が近付いた商品の販売価格を下げて販売促進を行う自動販売機が提案されている(特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-176507号公報
【特許文献2】特開2022-74878号公報
【特許文献3】特開平8-147545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2では、賞味期限が一定期間を下回った全商品に対して一定の予測のもとに一括で値下げ判定を行うため、商品コラム内において賞味期限が異なる個々の商品に対する対応ができず、賞味期限切れの発生や不要な値下げが行われる場合があった。また、特許文献3では、商品販売状況を考慮せず、賞味期限が迫っている商品が全て販売されるまで値下げを行うため、不要な値下げ販売が行われてしまう。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、自動販売機内の個々の商品の賞味期限などの販売可能期間に対応して各商品の販売ロスと販売促進とを適切に行うことができる自動販売機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、自動販売機と管理サーバとがネットワークを介して接続されて前記自動販売機と前記管理サーバとの間でデータの授受を行って、前記自動販売機が販売する商品の販売管理を行う自動販売機システムであって、前記管理サーバは、商品ごとの販売可能残り期間を管理し、現時点における販売可能残り期間ごとの販売可能残り期間内の商品数を管理する販売可能期限管理部と、前記自動販売機の売上結果をもとに、現時点における各販売可能残り期間の終了時までの前記商品の売上予測数をそれぞれ算出する売上予測部と、前記販売可能残り期間内の商品数が前記販売可能残り期間の終了時までの売上予測数を超える場合、予め設定された商品販売価格を所定値下げ、前記販売可能残り期間内の商品数が前記販売可能残り期間の終了時までの売上予測数以下である場合、予め設定された商品販売価格を維持する値下げ判定処理を行う値下げ判定部と、前記値下げ判定部の値下げ判定処理結果を前記自動販売機に通知する通知部と、を備え、前記自動販売機は、前記管理サーバから通知された値下げ判定処理結果をもとに商品販売価格を変更することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記の発明において、前記値下げ判定部は、前記販売可能残り期間ごと、及び、前記商品が販売されるごとに前記値下げ判定処理を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記値下げ判定部は、前記販売可能残り期間の最大閾値を予め設定し、最小の前記販売可能残り期間から順次、前記値下げ判定処理を行い、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定がある場合、処理を終了し、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定がない場合、前記最大閾値の前記販売可能残り期間まで処理を続行することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記販売可能残り期間は、日単位であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記の発明において、前記商品は、同一商品が収納された商品コラム単位の商品であることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記値下げ判定部は、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定を行った場合、前記コラムから最先に搬出される商品に対して予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記の発明において、前記売上予測部は、前記売上予測数を、所定時間増減した調整売上予測数として算出し、前記値下げ判定部は、前記調整売上予測数を用いて前記値下げ判定処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、自動販売機内の個々の商品の賞味期限などの販売可能期間に対応して各商品の販売ロスと販売促進とを適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、値下げ判定部による値下げ判定処理の一例を説明する説明図である。
【
図3】
図3は、値下げ判定部による値下げ判定処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照してこの発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
<自動販売機システムの構成>
図1は、本発明の実施の形態である自動販売機システム100の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、自動販売機1と管理サーバ2とは、インターネットなどのネットワークNを介して接続される。管理サーバ2は、複数の自動販売機1と通信接続され、各自動販売機1の売上データなどのデータをリアルタイムで取得するとともに、各自動販売機1に対する商品の価格設定や商品配置設定などの設定データを各自動販売機1に送信する。また、携帯端末3は、例えばルートマンが携帯するスマートフォン、タブレット端末、ハンディーターミナルなどであり、WiFi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信によって自動販売機1との間で通信接続が可能であるとともに、LTE(登録商標)などの通信方式によりネットワークNを介して管理サーバ2と通信接続が可能である。携帯端末3は、ルートマンが商品補充などを行った場合、商品補充データなどを、自動販売機1を介し、あるいは直接、管理サーバ2に通知する。
【0017】
なお、自動販売機1は、賞味期限などの販売可能期間付きの商品を販売する装置の一例であり、例えば、生鮮品やお弁当などの商品を販売する自動販売機であるが、賞味期限付き商品であればよく、缶入り飲料、ビン入り飲料、ペットボトル入り飲料などの商品を販売する自動販売機であってもよい。なお、本実施の形態では、ホットの缶入り飲料などの賞味期限付き商品を例にあげて説明する。
【0018】
図1に示すように、自動販売機1は、自動販売機主制御部10を有し、自動販売機主制御部10には、通信部15、本体制御部30、冷熱装置31、搬出装置32、コインメカニズム33、ビルバリデータ34、表示操作部35、リモコン38、電子マネーリーダライタ39が接続される。
【0019】
通信部15は、例えばLTE(登録商標)などの通信方式により、ネットワークNを介して管理サーバ2に接続するとともに、スマートフォン、タブレット端末、ハンディーターミナルなどの携帯端末3と、WiFi(登録商標)やBluetooth(登録商標)などの近距離無線通信機能を介して接続する通信インタフェースである。
【0020】
本体制御部30には、冷熱装置31、搬出装置32が接続される。本体制御部30は、自動販売機主制御部10の制御のもと、冷熱装置31、搬出装置32を制御する。
【0021】
冷熱装置31は、本体キャビネット内の商品収納庫を設定された状態に管理するためのものである。冷熱装置31は、冷却設定された商品収納庫の内部を冷却する一方、加温設定された商品収納庫の内部を加温する。
【0022】
搬出装置32は、ラックごとに設けられたベンドソレノイド、売切スイッチを管理するためのものである。本体制御部30は、自動販売機主制御部10から送信された搬出命令に従ってラックから商品を搬出する。また、搬出装置32は、ラックに収納された商品のすべてを搬出した場合に売切信号を本体制御部30に出力する。
【0023】
コインメカニズム33は、各種硬貨の投入枚数を整理し、自動販売機主制御部10に送信する一方、この自動販売機主制御部10からの指令に従い、各種硬貨を払い出すものである。
【0024】
ビルバリデータ34は、紙幣の投入枚数を整理し、自動販売機主制御部10に送信する一方、この自動販売機主制御部10からの指令に従い、紙幣を払い出すものである。
【0025】
表示操作部35は、商品選択ボタン36及び価格表示部37を有する。価格表示部37は、商品選択ボタン36に対応した商品の価格表示を行う。
【0026】
電子マネーリーダライタ39は、電子マネーカードにチャージされた電子マネーを読み込みむとともに、決済後の電子マネーを書き込む処理を行う。また、電子マネーリーダライタ39は、電子マネーカードに釣銭分の電子マネーをチャージする書き込み処理を行う。
【0027】
自動販売機主制御部10は、販売制御部11及び記憶部14を有する。販売制御部11は、商品選択ボタン36によって選択された商品の払い出し、決済処理等を行う。販売制御部11は、価格変更部12及び売上管理部13を有する。価格変更部12は、管理サーバ2から通知された価格変更指示に応じて商品の価格変更を行い、価格表示部37に表示する価格表示を変更する。売上管理部13は、販売された商品の売上データを管理し、管理サーバ2にその都度、通知する。なお、記憶部14は、商品に関する各種情報である商品管理データD1及び売上データD2を記憶する。
【0028】
<管理サーバ>
管理サーバ2は、例えば、クラウド上に配され、制御部20、商品マスタD11、自販機マスタD12、在庫データD13及び売上明細データD14を有する。制御部20は、販売可能期限管理部21、売上予測部22、値下げ判定部23及び通知部24を有する。
【0029】
商品マスタD11は、各自動販売機1の商品コードや配置される商品コラムなどの商品情報、各商品の販売可能期間(賞味期限)に対応する商品可能残り期間を保持するデータベースである。自販機マスタD12は、各自動販売機1の識別コードや設置場所情報などを管理するデータベースである。在庫データD13は、各自動販売機1の商品コラムごとの在庫数を管理するデータベースである。この在庫数は、商品補充日ごとのブロックで管理される。また、携帯端末3を介したルートマンからの商品補充実績が入力される。売上明細データD14は、各自動販売機1から、販売された商品の一件明細データを管理するデータベースである。
【0030】
販売可能期限管理部21は、商品ごとの賞味期限である販売可能残り期間を管理し、現時点における販売可能残り期間ごとの販売可能残り期間内の商品数を管理する。売上予測部22は、自動販売機1の売上結果をもとに、現時点における各販売可能残り期間の終了時までの商品の売上予測数をそれぞれ算出する。
【0031】
値下げ判定部23は、販売可能残り期間内の商品数が販売可能残り期間の終了時までの売上予測数を超える場合、予め設定された商品販売価格を所定値下げ、販売可能残り期間内の商品数が販売可能残り期間の終了時までの売上予測数以下である場合、予め設定された商品販売価格を維持する値下げ判定処理を行う。通知部24は、値下げ判定部23の値下げ判定処理結果を自動販売機1に通知する。
【0032】
なお、値下げ判定部23は、販売可能残り期間ごと、及び、商品が販売されるごとに値下げ判定処理を行う。また、値下げ判定部23は、販売可能残り期間の最大閾値を予め設定し、最小の前記販売可能残り期間から順次、値下げ判定処理を行い、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定がある場合、処理を終了し、予め設定された商品販売価格を所定値下げる判定がない場合、最大閾値の販売可能残り期間まで処理を続行する。
【0033】
<値下げ判定の一例>
図2は、値下げ判定部23による値下げ判定処理の一例を説明する説明図である。なお、
図2では、商品コラムCに収納された商品に対する値下げ判定結果を時系列で説明している。商品コラムC内の商品は、〇で示しており、〇内の数字は、販売可能残り期間である残日数を示している。また、横軸は時間を示し、縦軸は商品コラムC内の商品数を示している。また、
図2で販売する商品コラムC内の商品の定価(予め設定された商品販売価格)は120円である。
【0034】
まず、時点t1では、商品コラムC内に搬出側から、販売可能残り期間が1日の商品が2個、2日の商品が3個、3日の商品が2個、順次収納されている。曲線L1,L2は、売上予測部22が予測した売上予測数であり、実数値である。売上予測数は、現時点から販売可能残り期間の終了時までの売上予測値であり、曲線L1は、現時点から1日の終了時までの売上予測数の変化を示す曲線を示し、曲線L2は、現時点から2日の終了時までの売上予測値の変化を示している。したがって、曲線L1は、2個の販売可能残り期間が1日以内の商品に対応する曲線であり、曲線L2は、5個の販売可能残り期間が2日以内の商品に対応する曲線である。なお、販売可能残り期間は、商品補充日を基準に算出しており、商品コラムC内では、搬出側から販売可能残り期間が短い商品が収納されている。なお、説明の便宜上、販売可能残り期間が2日以内の商品に対する値下げ判定について説明するが、3日以上の商品に対する値下げ判定を行ってもよい。
【0035】
時点t1において、最も販売可能残り期間が短い(1日以内)の商品は2個であり、現時点から1日の終了時までの売上予測値を示す曲線L1の売上側数は、2.6個程度であるため、この2個の商品は1日以内に販売されると予想される。このため、値下げ判定部23は、この2個に対する値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。さらに、次に短い販売可能残り期間(2日以内)の商品は5個であり、現時点から2日の終了時までの売上予測値を示す曲線L2の売上側数は、4.7個程度であるため、この5個の商品は2日以内に販売されないと予想される。このため、値下げ判定部23は、この5個の商品のうち、搬出側の1個の商品に対して所定値(20円)値下げを行う判定を行う。そして、この値下げ判定を受けた自動販売機1は、商品コラムCの商品価格を100円として表示する価格変更を行う。
【0036】
次の時点t2では、商品価格を値下げしたため、搬出側の1つの商品が販売される。値下げ判定部23は、商品が1つ販売されるごとに値下げ判定処理を行う。この時点t2では、最も販売可能残り期間が短い(1日以内)の商品は1個であり、現時点から1日の終了時までの売上予測値を示す曲線L1の売上側数は、2.0個程度であるため、この1個の商品は1日以内に販売されると予想される。このため、値下げ判定部23は、この1個に対する値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。さらに、次に短い販売可能残り期間(2日以内)の商品は4個であり、現時点から2日の終了時までの売上予測値を示す曲線L2の売上側数は、4.2個程度であるため、この4個の商品は2日以内に販売さると予想される。このため、値下げ判定部23は、この4個に対する値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。この結果、商品販売価格は、100円から定価の120円に戻される。
【0037】
次の時点t3では、商品が1つ販売されたため、値下げ判定処理を行う。この時点t3では、最も販売可能残り期間が短い(1日以内)の商品は0個であり、現時点から1日の終了時までの売上予測値を示す曲線L1の売上側数は、1.4個程度であるため、値下げ判定部23は、値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。さらに、次に短い販売可能残り期間(2日以内)の商品は3個であり、現時点から2日の終了時までの売上予測値を示す曲線L2の売上側数は、3.4個程度であるため、この3個の商品は2日以内に販売さると予想される。このため、値下げ判定部23は、この3個に対する値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。
【0038】
さらに、次の時点t4では、商品が1つ販売されたため、値下げ判定処理を行う。この時点t4では、最も販売可能残り期間が短い(1日以内)の商品は0個であり、現時点から1日の終了時までの売上予測値を示す曲線L1の売上側数は、0.6個程度であるため、値下げ判定部23は、値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。さらに、次に短い販売可能残り期間(2日以内)の商品は2個であり、現時点から2日の終了時までの売上予測値を示す曲線L2の売上側数は、2.3個程度であるため、この2個の商品は2日以内に販売さると予想される。このため、値下げ判定部23は、この2個に対する値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。
【0039】
次の時点tt1は、1日が終了する日付変更時点であり、この時点tt1では、各商品の販売可能残り期間を1日小さくする処理を行うとともに、曲線L1,L2が示す売上予測数を更新する。例えば、商品コラムCの搬出側の2個の商品の販売可能残り期間は、2日から1日に変更される。また、売上予測数は、販売可能残り期間の終了時を1日増やす処理を行う。
【0040】
そして、値下げ判定部23は、日付が変更された場合も値下げ判定処理を行う。すなわち、この時点tt1に対応する時点t5では、日付が変更されたため値下げ判定処理を行う。時点t5では、最も販売可能残り期間が短い(1日以内)の商品は2個であり、現時点から1日の終了時までの売上予測値を示す曲線L1の売上側数は、1.8個程度であるため、この2個の商品は1日以内に販売されないと予想される。このため、値下げ判定部23は、この2個の商品のうち、搬出側の1個の商品に対して所定値(20円)値下げを行う判定を行う。そして、この時点で値下げが確定するため、次に販売可能残り期間が短い(2日以内)の商品に対する値下げ判定は行わない。そして、この値下げ判定を受けた自動販売機1は、商品コラムCの商品価格を100円として表示する価格変更を行う。
【0041】
次の時点t6では、商品が1つ販売されたため、値下げ判定処理を行う。この時点t6では、最も販売可能残り期間が短い(1日以内)の商品は1個であり、現時点から1日の終了時までの売上予測値を示す曲線L1の売上側数は、1.6個程度であるため、値下げ判定部23は、値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。さらに、次に短い販売可能残り期間(2日以内)の商品は3個であり、現時点から2日の終了時までの売上予測値を示す曲線L2の売上側数は、5.0個程度であるため、この3個の商品は2日以内に販売されると予想される。このため、値下げ判定部23は、この3個に対する値下げはせずに、予め設定された商品販売価格を維持する判定を行う。この結果、商品販売価格は、100円から定価の120円に戻される。
【0042】
<値下げ判定処理>
図3は、値下げ判定部23による値下げ判定処理手順を示すフローチャートである。
図3に示すように、値下げ判定部23は、まず、販売可能残り期間の最大閾値(日数)Nを取得する(ステップS101)。この最大閾値Nは、
図2では「2(日)」である。その後、値下げ判定部23は、定期時刻になった、又は、商品販売があったか否かを判定する(ステップS102)。定期時刻とは、例えば、日付変更時刻である。
【0043】
定期時刻でもなく、商品販売もない場合(ステップS102:No)、ステップS102の処理を繰り返す。一方、定期時刻になった、又は、商品販売があった場合(ステップS102:Yes)、変数iを1に初期化設定する(ステップS103)。その後、i日以内で販売停止となる商品数ni個を販売可能期限管理部21から取得する(ステップS104)。さらに、現時点からi日の終了時までの売上予測数Pi個(実数)を売上予測部22から取得する(ステップS105)。
【0044】
その後、商品数niが売上予測数Pi以下であるか否かを判定する(ステップS106)。商品数niが売上予測数Pi以下である場合(ステップS106:Yes)、商品販売価格を予め設定された価格(定価)に設定する(ステップS107)。そして、変数iが最大閾値N未満であるか否かを判定する(ステップS108)。変数iが最大閾値N未満である場合(ステップS108:Yes)、変数iをインクリメントし(i=i+1)、ステップS104に移行し、上記の処理を繰り返す。変数iが最大閾値N未満でない場合(ステップS108:No)、ステップS111に移行する。
【0045】
一方、商品数niが売上予測数Pi以下でない場合(ステップS106:No)、商品販売価格を所定値値下げした値下げ価格に設定し(ステップS110)、ステップS111に移行する。
【0046】
ステップS111では、商品販売価格が予め設定された価格に設定されているか否かを判定する。商品販売価格が予め設定された価格に設定されていない場合(ステップS111:No)には、商品販売価格を値下げ価格に変更させる価格変更指示を自動販売機1側に通知し(ステップS112)、本処理を終了する。一方、商品販売価格が予め設定された価格に設定されている場合(ステップS111:Yes)には、そのまま本処理を終了し、商品販売価格を定価に維持する。
【0047】
なお、値下げ価格を予め設定された価格に戻す処理は、管理サーバ2側から自動販売機1側に通知してもよいし、自動販売機1側が商品販売時に予め設定された価格に戻すようにしてもよい。
【0048】
本実施の形態では、商品可能残り期間(日)以内の商品ごとに、商品可能残り期間(日)の商品数と、商品可能残り期間(日)に対応する日単位の売上予測数とを、商品販売時及び日付変更時ごとに比較して値下げ判定処理を行っているので、商品一つ一つの販売ロスと販売促進とを適切に行うことができる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、同一商品が商品コラム単位で収納されている場合を例にあげて説明したが、この商品コラム単位とは、同一商品が1つの商品コラムに収納される場合のみならず、同一の商品が複数の商品コラムに収納され、各商品コラムから商品を交互販売する場合も含める意味である。この場合、複数の商品コラムに収納される同一商品の交互販売順序に従って、1つの商品コラムに収納されていた場合と同様な値下げ判定処理を行うことができる。
【0050】
また、売上予測数は、過去の売上データをもとに、「7日間平均」、「同じ曜日の売上平均」、「季節ごとの売上」、「周辺自販機の売り上げを含めたエリアでの売れ行き予想」など予測方法のカスタマイズ及び組み合わせて行うようにしてもよい。また、自動販売機1で初めて扱う商品が他の自動販売機での販売実績があれば、他の自動販売機の売上データから初期の売上予測を行うようにしてもよい。
【0051】
さらに、管理サーバ2を用いず、単体の自動販売機で売上を予測する場合は、値下げ判定機能と販売可能残り期間設定などを自動販売機内に組み込んで運用すればよい。
【0052】
また、上記の実施の形態では、日単位で商品及び可能販売残り期間を管理していたが、これに限らず、時間単位で管理してもよい。
【0053】
さらに、売上予測部22は、売上予測数を、所定時間増減した調整売上予測数として算出してもよい。所定時間を増加した場合には、売上予測数を調整分、増やすことができ、所定時間を減少した場合には、売上予測数を調整分、減らすことができる。なお、所定時間に限らず、所定数、例えば0.5本増減した調整売上予測数としてもよい。
【0054】
なお、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 自動販売機
2 管理サーバ
3 携帯端末
10 自動販売機主制御部
11 販売制御部
12 価格変更部
13 売上管理部
14 記憶部
15 通信部
20 制御部
21 販売可能期限管理部
22 売上予測部
23 値下げ判定部
30 本体制御部
31 冷熱装置
32 搬出装置
33 コインメカニズム
34 ビルバリデータ
35 表示操作部
36 商品選択ボタン
37 価格表示部
38 リモコン
39 電子マネーリーダライタ
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