(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126421
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】圧入装置、圧入方法、エンコーダの製造方法、学習装置および推論装置
(51)【国際特許分類】
B23P 19/02 20060101AFI20240912BHJP
G01B 11/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B23P19/02 B
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034786
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】清水 駿
(72)【発明者】
【氏名】白瀬 隆史
(72)【発明者】
【氏名】藪岡 浩一
【テーマコード(参考)】
2F065
3C030
【Fターム(参考)】
2F065AA02
2F065AA07
2F065GG16
2F065HH03
2F065HH13
2F065HH15
2F065JJ02
2F065JJ09
2F065JJ25
3C030BB03
3C030BC19
3C030BC32
3C030BC33
3C030BC34
3C030BC35
(57)【要約】
【課題】圧入部品を被圧入部品に精度良く圧入することができる圧入装置を得ること。
【解決手段】圧入装置100は、被圧入部品と一体とされて圧入部品と被圧入部品との外周側に配置された外周側部品における、圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の圧入方向に沿った方向における位置と、圧入に際して圧入ヘッド63において外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する位置測定部と、圧入ヘッド63に掛かる荷重を検知するロードセル64と、を有する測定部70を備える。制御部90は、相対距離に基づいて決定した、目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で圧入部品を圧入する1回目の圧入を制御し、1回目の圧入について測定部70から取得される情報に基づいて決定した第2ストローク量で圧入部品を圧入する2回目の圧入を制御する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入装置であって、
前記圧入部品を前記被圧入部品に圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面に前記圧入部品を保持する圧入ヘッドと、
前記圧入ヘッドを前記圧入方向に駆動させて前記圧入部品を前記被圧入部品に押圧する駆動部と、
を有する圧入駆動部と、
前記被圧入部品と一体とされて圧入時において前記圧入部品と前記被圧入部品との外周側に配置された外周側部品における、前記圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入部品の前記被圧入部品への圧入に際して前記圧入ヘッドにおいて前記外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する位置測定部と、
前記圧入ヘッドに掛かる荷重を検知する荷重検知部と、
を有する測定部と、
前記測定部で取得される情報に基づいて前記圧入駆動部を制御して前記圧入ヘッドの前記圧入方向における移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記相対距離に基づいて決定した、前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入を制御し、
前記1回目の圧入について前記測定部から取得される情報に基づいて決定した第2ストローク量で前記圧入部品を圧入する2回目の圧入を制御すること、
を特徴とする圧入装置。
【請求項2】
位置測定部が、
前記圧入方向に沿った方向に平行なシート状のレーザ光を前記圧入ヘッドと前記外周側部品とに照射する投光器と、
前記レーザ光の光量を検知することで前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置とを測定する受光器と、
を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の圧入装置。
【請求項3】
前記投光器と前記受光器とを前記圧入方向に垂直な方向に移送する移送部を備え、
前記位置測定部は、前記圧入方向に垂直な方向において、前記圧入方向に垂直な面内方向における前記被圧入部品の中心位置に対して対称な2か所で測定すること、
を特徴とする請求項2に記載の圧入装置。
【請求項4】
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と、前記第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得する第1データ取得部と、
前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部と、
を有する学習装置を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の圧入装置。
【請求項5】
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報が、圧入量の時系列データと、圧入荷重の時系列データとを含むこと、
を特徴とする請求項4に記載の圧入装置。
【請求項6】
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報を取得する第2データ取得部と、
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを用いて、前記第2データ取得部が取得した前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記圧入量推論値を推論する推論部と、
を有する推論装置を備えること、
を特徴とする請求項1に記載の圧入装置。
【請求項7】
前記第2ストローク量は、前記1回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量に対して、前記目標圧入量で前記圧入部品の圧入を行うために前記圧入部品の圧入量を補正する2回目の圧入を行うためのストローク量の補正値であること、
を特徴とする請求項1に記載の圧入装置。
【請求項8】
圧入装置において目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入方法であって、
圧入ヘッドにおける、前記圧入部品を前記被圧入部品に圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面に前記圧入部品を保持する保持工程と、
圧入前に、前記被圧入部品と一体とされて圧入時において前記圧入部品と前記被圧入部品との外周側に配置された外周側部品における、前記圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入部品の前記被圧入部品への圧入に際して前記圧入ヘッドにおいて前記外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する圧入前測定工程と、
前記圧入前測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される1回目の圧入において目標とする圧入量であって前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入工程と、
前記1回目の圧入後に、前記相対距離と、前記被圧入部品に掛かる荷重と、を測定する1回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入後測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される圧入量に、前記圧入前測定工程において取得された情報と、前記1回目の圧入後測定工程において取得された情報とに基づいて決定される、前記被圧入部品に掛かる荷重による前記被圧入部品の変形量を加算した第2ストローク量を計算する計算工程と、
前記第2ストローク量で前記圧入部品を圧入する2回目の圧入工程と、
を含むことを特徴とする圧入方法。
【請求項9】
前記2回目の圧入工程後に、前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入ヘッドの前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記相対距離と、前記被圧入部品に掛かる荷重と、を測定する2回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入工程において取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と、前記第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得し、前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入工程後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成する学習工程と、
を含み、
前記計算工程では、前記学習済モデルに前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報を入力して得られた前記圧入量推論値を取得すること、
を特徴とする請求項8に記載の圧入方法。
【請求項10】
前記1回目の圧入工程中に、前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置の時系列データと、前記圧入ヘッドの前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置の時系列データと、前記相対距離の時系列データと、前記被圧入部品に掛かる荷重の時系列データと、を取得すること、
を特徴とする請求項9に記載の圧入方法。
【請求項11】
圧入装置において目標圧入量でエンコーダの光学部品を支える土台部品をモータの回転軸に圧入するエンコーダの製造方法であって、
圧入ヘッドにおける、前記土台部品を前記モータに圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面に前記土台部品を保持する保持工程と、
圧入前に、前記モータと一体とされて圧入時において前記土台部品と前記モータとの外周側に配置された外周側部品における、前記圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記土台部品の前記モータへの圧入に際して前記圧入ヘッドにおいて前記外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する圧入前測定工程と、
前記圧入前測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される1回目の圧入において目標とする圧入量であって前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記土台部品を圧入する1回目の圧入工程と、
前記1回目の圧入後に、前記相対距離と、前記モータに掛かる荷重と、を測定する1回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入後測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される圧入量に、前記圧入前測定工程において取得された情報と、前記1回目の圧入後測定工程において取得された情報とに基づいて決定される、前記モータに掛かる荷重による前記モータの変形量を加算したして第2ストローク量を計算する計算工程と、
前記第2ストローク量で前記土台部品を圧入する2回目の圧入工程と、
を含むことを特徴とするエンコーダの製造方法。
【請求項12】
前記2回目の圧入工程後に、前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入ヘッドの前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記相対距離と、前記モータに掛かる荷重と、を測定する2回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入工程において取得される1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報と、前記第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において取得される1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記土台部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得し、前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入工程後の前記土台部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成する学習工程と、
を含み、
前記計算工程では、前記学習済モデルに前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報を入力して得られた前記圧入量推論値を取得すること、
を特徴とする請求項11に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項13】
前記1回目の圧入工程中に、前記土台部品と、前記相対距離と、前記回転軸に掛かる荷重の時系列データを取得すること、
を特徴とする請求項12に記載のエンコーダの製造方法。
【請求項14】
圧入装置において目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入量を学習する学習装置であって、
前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と、前記1回目の圧入において取得される情報に基づいて決定した第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得する第1データ取得部と、
前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部と、
を備えることを特徴とする学習装置。
【請求項15】
圧入装置において目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入量を推論する推論装置であって、
前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報を取得する第2データ取得部と、
前記1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを用いて、前記第2データ取得部が取得した前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記圧入量推論値を推論する推論部と、
を有することを特徴とする推論装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入装置、圧入方法、エンコーダの製造方法、学習装置および推論装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧入量と圧入荷重とを測定し、複数のステップに分けて圧入を行っており、圧入荷重に対する被圧入部品の変形量を導出するための圧入の後、導出した変形量を加味した圧入を行う圧入装置が記載されている。特許文献1の圧入装置では、圧入装置の基準面に対する圧入部品の端面の位置を測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の圧入装置では、被圧入部品の弾性変形量と圧入量の合計を位置センサで測定し、そこから弾性変形量を導出している。このように、特許文献1の圧入装置では、弾性変形量は直接測定できず、予測値となる。すなわち、特許文献1の圧入装置では、予測値に基づいて圧入を行うため、圧入精度が低下するという問題点があった。
【0005】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、圧入部品を被圧入部品に精度良く圧入することができる圧入装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示にかかる圧入装置は、目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入装置である。圧入装置は、圧入部品を被圧入部品に圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面に圧入部品を保持する圧入ヘッドと、圧入ヘッドを圧入方向に駆動させて圧入部品を被圧入部品に押圧する駆動部と、を有する圧入駆動部を備える。圧入装置は、被圧入部品と一体とされて圧入時において圧入部品と被圧入部品との外周側に配置された外周側部品における、圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の圧入方向に沿った方向における位置と、圧入部品の被圧入部品への圧入に際して圧入ヘッドにおいて外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する位置測定部と、圧入ヘッドに掛かる荷重を検知する荷重検知部と、を有する測定部を備える。圧入装置は、測定部で取得される情報に基づいて圧入駆動部を制御して圧入ヘッドの圧入方向における移動を制御する制御部を備える。制御部は、相対距離に基づいて決定した、目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で圧入部品を圧入する1回目の圧入を制御し、1回目の圧入について測定部から取得される情報に基づいて決定した第2ストローク量で圧入部品を圧入する2回目の圧入を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる圧入装置によれば、圧入部品を被圧入部品に精度良く圧入することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1にかかる光学式エンコーダの概略構造を示す縦断面図
【
図2】実施の形態1にかかる光学式エンコーダの組立構造の概略を示す縦断面図
【
図5】実施の形態1にかかる圧入装置の圧入動作の手順を示すフローチャート
【
図6】実施の形態1にかかる圧入装置における測定箇所を拡大した縦断面図
【
図7】実施の形態1にかかる圧入装置における測定箇所を拡大した横断面図
【
図8】実施の形態1にかかる圧入装置において管理される寸法を説明する概念図
【
図9】実施の形態2にかかる学習装置の構成を示す図
【
図10】実施の形態2にかかる学習装置による学習処理の処理手順を示すフローチャート
【
図11】実施の形態2にかかる学習装置が用いるニューラルネットワークの構成を示す図
【
図12】実施の形態2にかかる推論装置の構成を示す図
【
図13】実施の形態2にかかる推論装置による推論処理の処理手順を示すフローチャート
【
図14】実施の形態1,2にかかる制御部の機能をハードウェアで実現した構成を示す図
【
図15】実施の形態1,2にかかる制御部の機能をソフトウェアで実現した構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施の形態にかかる圧入装置、圧入方法、エンコーダの製造方法、学習装置および推論装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる光学式エンコーダの概略構造を示す縦断面図である。
図1は、光学式エンコーダ10がモータ20に固定された状態を示している。実施の形態1においては、
図1における左右方向を、X軸方向とする。
図1における紙面奥行方向を、Y軸方向とする。
図1における上下方向を、Z軸方向とする。X軸方向は、Y軸方向とZ軸方向とに直交する方向である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向とに直交する方向である。Z軸方向は、X軸方向とY軸方向とに直交する方向である。Z軸方向は、モータ20の回転軸21の軸方向に沿った方向である。
【0011】
光学式エンコーダ10は、光学式エンコーダ10の外殻を構成するハウジング11と、円盤形状を有して光学式エンコーダ10の光学部品を支える土台部品であるミラー受け12と、ミラー受け12に固定されて保持された凹面ミラー13と、凹面ミラー13に固定されて透光性を有するスケール円板15と、ハウジング11に固定された基板17と、を備えて構成される。
【0012】
ハウジング11は、円筒形状を有し、光学式エンコーダ10が固定されるモータ20のモータボディ22に固定される。ハウジング11は、後述する圧入装置100において、被圧入部品であるモータ20と一体とされてミラー受け12の圧入時においてミラー受け12とモータ20の回転軸21との外周側に配置された外周側部品といえる。
【0013】
基板17は、ハウジング11に固定されており、ハウジング11を介してモータ20のモータボディ22に固定される。基板17には、Z軸方向においてモータ20側を向く面に、受光素子18と、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)19とが、設けられている。
【0014】
LED19から凹面ミラー13に向けて出射された光線31は、反射膜14を備えた凹面ミラー13において反射される。光線31が反射された光線である光線32は、凹面ミラー13によってコリメートされて平行光線となって、スケール円板15におけるZ軸方向において凹面ミラー13側を向く面のほぼ全面にわたって照射され、スケール円板15に入射する。
【0015】
スケール円板15には、Z軸方向において基板17側を向く面上に、不図示の透過部と非透過部からなるスリット16が設けられている。スケール円板15を透過した光線32は、スリット16によって符号化され、受光素子18によって検出される。
【0016】
ミラー受け12と凹面ミラー13とスケール円板15とは、光学式エンコーダ10が固定されたモータ20の回転軸21に固定される。
【0017】
図2は、実施の形態1にかかる光学式エンコーダの組立構造の概略を示す縦断面図である。光学式エンコーダ10の組立においては、まずハウジング11がモータ20のモータボディ22に固定され、つぎに、ミラー受け12が、モータ20の回転軸21に圧入される。つぎに、凹面ミラー13が、ミラー受け12の上側の面に接着剤34を用いて固定される。つぎに、スケール円板15が、凹面ミラー13の上側の面に接着剤35を用いて固定される。最後に、基板17が、ハウジング11の上側の面に接着剤36を用いて固定される。
【0018】
光線32が平行光線になるためには、Z軸方向においてLED19が凹面ミラー13の焦点高さの位置に設置される必要がある。LED19と凹面ミラー13との相対距離は、ミラー受け12の圧入量によって決まる。モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入精度は、光学式エンコーダ10の品質に影響する。このため、ミラー受け12は、例えば10μmの精度で圧入する必要がある。
【0019】
以下において、圧入量は、圧入駆動部60が制御部90の制御により動作した結果、Z軸方向においてミラー受け12がモータ20の回転軸21に圧入された量であり、測定値により得られる値である。目標圧入量は、光学式エンコーダ10が製品機能を満たす圧入量である。ストローク量は、ミラー受け12の目標の圧入量を得るために制御部90が圧入駆動部60を駆動させて圧入ヘッド63を下降させる量であり、圧入ヘッド63の下降量を指示する指示値である。
【0020】
図3は、実施の形態1にかかる圧入装置の正面図である。
図4は、実施の形態1にかかる圧入装置の側面図である。
図4は、
図3において圧入装置100を右側から見た状態を示している。なお、制御部90は、図示の関係上、
図3における位置からずらして図示している。実施の形態1にかかる圧入装置100は、モータ20の回転軸21の先端に光学式エンコーダ10のミラー受け12を圧入するためのエンコーダ圧入装置である。
【0021】
圧入装置100は、フレーム50と、圧入駆動部60と、測定部70と、制御部90と、を備える。
【0022】
フレーム50は、定盤51と、天板53と、定盤51と天板53とを接続する柱52と、定盤51上に設置されてモータ20が載置されてモータ20を保持するモータ受け54と、を備える。
【0023】
圧入駆動部60は、モータ20の回転軸21の先端に光学式エンコーダ10のミラー受け12を圧入するための圧入動作を行う。圧入駆動部60は、天板53に設置されており、圧入ロッド61と、圧入ロッド61を圧入方向に駆動させる駆動部である圧入モータ62と、圧入ロッド61の圧入方向側の端面に取り付けられて圧入部品であるミラー受け12を保持する保持部である圧入ヘッド63と、圧入ヘッド63に掛かる荷重を測定する荷重検知部であるロードセル64と、を備える。
【0024】
圧入方向は、光学式エンコーダ10のミラー受け12をモータ20の回転軸21の先端に圧入する方向であり、上下方向における下方向であり、Z軸方向においてモータ20に向かう方向であり、後述するモータ20の回転軸21の軸方向に沿った方向である。Z軸方向において圧入方向と反対の方向を、反圧入方向とする。
【0025】
圧入ヘッド63は、不図示の真空吸着機構を備え、圧入方向側の端面にミラー受け12を真空吸着によって保持する。圧入ヘッド63は、直径が異なる円柱形状を有する、第1圧入ヘッド部631と、第2圧入ヘッド部632とによって構成されている。すなわち、圧入ヘッド63は、直径が異なる円柱を2段に重ねた形状とされた、2段構造とされている。圧入方向側の端面は、ミラー受け12をモータ20の回転軸21の先端に圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面である、圧入方向側端面632aである。
【0026】
第1圧入ヘッド部631は、相対的に直径寸法が大きく、Z軸方向においてロードセル64側に配置されてロードセル64に取り付けられている円柱部である。ロードセル64に取り付けられている第1圧入ヘッド部631の直径は、ハウジング11の円筒形状の直径と同程度の寸法とされている。
【0027】
第2圧入ヘッド部632は、相対的に直径寸法が小さく、Z軸方向においてミラー受け12側に配置されてミラー受け12と接触する円柱部である。ミラー受け12と接触する第2圧入ヘッド部632の直径は、ミラー受け12の円盤形状の直径と同じ寸法とされている。
【0028】
ロードセル64は、モータ20の回転軸21の先端に光学式エンコーダ10のミラー受け12を圧入するための圧入動作時に、圧入ヘッド63およびミラー受け12に掛かる荷重を予め決められた周期で検知する。ロードセル64は、検知した圧入ヘッド63に掛かる荷重の情報を制御部90に送信する。
【0029】
測定部70は、Y軸アクチュエータ71と、Z軸アクチュエータ72と、モータチャック73と、レーザラインセンサ80と、を備える。
【0030】
Y軸アクチュエータ71は、Z軸アクチュエータ72に取り付けられており、光学式エンコーダ10が取り付けられるモータ20の幅に合わせてY軸方向において自在に移動する。モータ20の幅は、モータ20の回転軸21に垂直な面方向におけるモータボディ22の幅である。Y軸アクチュエータ71には、レーザラインセンサ80が実装されている。
【0031】
Y軸アクチュエータ71は、レーザラインセンサ80の後述する投光器81と受光器82とをXY平面において離間させて保持する。Y軸アクチュエータ71は、投光器81を載置して保持する第1Y軸アクチュエータ部71aと、受光器82を載置して保持する第2Y軸アクチュエータ部71bと、を備える。第1Y軸アクチュエータ部71aと第2Y軸アクチュエータ部71bとは、互いに連結されて設けられてZ軸アクチュエータ72に取り付けられてもよく、また互いに独立して設けられてZ軸アクチュエータ72に取り付けられてもよい。
【0032】
Z軸アクチュエータ72は、光学式エンコーダ10が取り付けられるモータ20の高さに合わせてZ軸方向において自在に移動する。モータ20の高さは、Z軸方向におけるモータ20の長さである。Z軸アクチュエータ72には、Y軸アクチュエータ71とモータチャック73とが実装されている。
【0033】
モータチャック73は、定盤51上に配置されたモータ20を固定して保持する。
【0034】
レーザラインセンサ80は、レーザ光83を出射する投光器81と、投光器81から出射されたレーザ光83を検出する受光器82と、を備える。投光器81は、第1Y軸アクチュエータ部71aに実装されている。受光器82は、第2Y軸アクチュエータ部71bに実装されている。圧入装置100においてレーザラインセンサ80は、投光器81からレーザ光83を被測定物に向けて出射し、被測定物で反射せずに受光器82側に通過したレーザ光83を受光器82で検出することで、レーザ光83が通過したZ軸方向の通過部分の位置を測定する。
【0035】
具体的に、投光器81は、圧入方向に沿った方向に平行なシート状のレーザ光83を圧入ヘッド63と外周側部品であるハウジング11に向けて照射する。受光器82は、受光するレーザ光83の光量を検知することでハウジング11の反圧入側面11aの圧入方向に沿った方向における位置と、圧入ヘッド基準位置である圧入ヘッド63の段差面63aの圧入方向に沿った方向における位置とを測定する。
【0036】
制御部90は、ロードセル64とレーザラインセンサ80からの情報に基づいて、圧入モータ62を制御する。すなわち、制御部90は、測定部70で取得される情報に基づいて圧入駆動部60を制御して圧入ヘッド63の圧入方向における移動を制御する。
【0037】
つぎに、実施の形態1にかかる圧入装置100の圧入動作について説明する。
図5は、実施の形態1にかかる圧入装置の圧入動作の手順を示すフローチャートである。
【0038】
まず、ステップS110において、モータ20の品種データが、制御部90において読み込まれる。具体的に、制御部90が、制御部90の外部からモータ20の製品番号を取得し、当該製品番号に紐づけられたモータ20の品種の情報である品種データをデータベースなどの圧入装置100の外部の機器から読み込む。そして、制御部90は、モータ20の品種データに含まれる、モータ20の寸法の情報を読み込む。その後、ステップS120に進む。
【0039】
ステップS120では、ステップS110で読み込まれたモータ20の寸法の情報に基づいて、Z軸方向においてハウジング11の上面がレーザラインセンサ80の測定エリアの中心に合うように、測定部70を昇降させる。ハウジング11の上面は、ハウジング11における反圧入方向側の端面である反圧入側面11aと、換言できる。その後、ステップS130に進む。
【0040】
ステップS130では、モータ20が、チャックされる。具体的に、モータ20が、モータ受け54上に配置され、モータチャック73によってチャックされて固定される。これにより、モータ20は、モータ20の水平面内において、すなわちXY平面内において、位置決めされる。このとき、モータ20の下側はモータ受け54と接触しており、高さ方向も位置決めされている。前述のとおり測定部70には、モータチャック73も取り付けられており、ステップS120において測定部70の高さをモータ20の寸法に合わせたときに、モータチャック73がモータボディ22の高さになるように予め調節されている。その後、ステップS140に進む。
【0041】
ステップS140では、ミラー受け12と回転軸21とを、接触させる。具体的に、ミラー受け12が、圧入ヘッド63の先端に真空吸着によって保持される保持工程が行われる。この状態で、制御部90は、圧入ヘッド63を圧入方向に移動させて、すなわち圧入ヘッド63を下降させて、ミラー受け12と回転軸21を接触させる。
【0042】
制御部90は、ミラー受け12と回転軸21とが接触する直前の予め決められた高さ位置までは、ステップS110で読み込まれたモータ20の寸法の情報に基づいて、予め決められた第1速度で、圧入ヘッド63を下降させる。その後、制御部90は、圧入ヘッド63の下降速度を、第1速度よりも遅い予め決められた第2速度に下げて、圧入ヘッド63をさらに下降させる。第2速度は、例えば10mm/s以下とされる。
【0043】
そして、制御部90は、ロードセル64が圧入ヘッド63に掛かる予め決められた荷重を検知すると、ミラー受け12と回転軸21とが接触したと判定し、圧入ヘッド63の下降を停止させる。すなわち、ロードセル64は、予め決められた周期で検出した圧入ヘッド63に掛かる荷重の情報を、制御部90に送信する。制御部90は、ロードセル64で検出された圧入ヘッド63に掛かる荷重の情報を監視し、圧入ヘッド63に掛かる荷重が予め決められた第1荷重に到達したことを検知すると、ミラー受け12と回転軸21とが接触したと判定し、圧入ヘッド63の下降を停止させる。第1荷重は、例えば5Nとされる。その後、ステップS150に進む。
【0044】
ステップS150では、モータ20のチャックが、開放される。具体的に、制御部90が、モータチャック73によるモータ20のチャックを開放する。モータ20は、ステップS140においてモータ受け54と圧入ヘッド63とによって上下から挟まれており、モータチャック73を開放しても倒れることはない。その後、ステップS160に進む。
【0045】
ステップS160では、圧入計測が、行われる。具体的に、ステップS160の圧入計測は、つぎのステップS170でミラー受け12の圧入量を計算するための第1圧入計測であり、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lが、測定される。すなわち、ステップS160は、ハウジング11の反圧入側面11aの圧入方向に沿った方向における位置と、圧入ヘッド基準位置である圧入ヘッド63の段差面63aの圧入方向に沿った方向における位置とを測定し、相対距離Lが測定される圧入前測定工程である。
【0046】
図6は、実施の形態1にかかる圧入装置における測定箇所を拡大した縦断面図である。
図7は、実施の形態1にかかる圧入装置における測定箇所を拡大した横断面図である。
図8は、実施の形態1にかかる圧入装置において管理される寸法を説明する概念図である。
【0047】
先に述べた通り、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入精度が、光学式エンコーダ10の品質に影響するため、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入量を管理する必要がある。圧入装置100では、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入量を管理するために、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lを管理する。
【0048】
しかしながら、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lを管理する場合、回転軸21へのミラー受け12の圧入中は、ミラー受け12がハウジング11とモータボディ22とに隠れてしまうため、先行文献1の
図1に示される方法では測定ができない。
【0049】
圧入装置100では、圧入ヘッド63のヘッド先端長が目標相対距離L0より長くされている。これにより、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入中に、ハウジング11における反圧入方向側の端面である反圧入側面11aと、圧入ヘッド63の段差面63aとの間に、隙間41が発生する。すなわち、圧入装置100では、圧入ヘッド63の第2圧入ヘッド部632のヘッド長632Lを目標相対距離L0より長くすることで、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入中に、ハウジング11の反圧入側面11aと、圧入ヘッド63の段差面63aとの間に隙間41が発生する。
【0050】
圧入ヘッド63のヘッド先端長は、圧入ヘッド63の第2圧入ヘッド部632のヘッド長632Lであり、第2圧入ヘッド部632におけるZ軸方向における長さである。また、圧入ヘッド63のヘッド先端長は、圧入ヘッド63のヘッド先端長の予め決められた既知の設計寸法、すなわち第2圧入ヘッド部632のヘッド長632Lの予め決められた既知の設計寸法である。ヘッド先端長は、予め決められて、制御部90に記憶されている。
【0051】
段差面63aは、圧入ヘッド63の2段構造における段差面であり、第1圧入ヘッド部631と第2圧入ヘッド部632との段差面であり、第1圧入ヘッド部631における圧入方向側の端面である圧入方向側端面631aである。また、Z軸方向における段差面63aの位置は、圧入部品であるミラー受け12のモータ20の回転軸21への圧入に際して圧入ヘッド63において外周側部品であるハウジング11の反圧入方向側の端面である反圧入側面11aよりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置といえる。
【0052】
ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lは、Z軸方向における、ハウジング11の反圧入側面11aと、ミラー受け12における反圧入方向側の端面である反圧入方向側端面12aとの相対距離である。ミラー受け12の反圧入方向側端面12aは、ミラー受け12の上面と、換言できる。Z軸方向におけるミラー受け12の反圧入方向側端面12aの位置は、Z軸方向における圧入ヘッド63の移動に伴って、すなわちZ軸方向における第2圧入ヘッド部632の移動に伴って、変動する。したがって、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lは、Z軸方向における圧入ヘッド63の移動に伴って、すなわちZ軸方向における第2圧入ヘッド部632の移動に伴って、変動する。
【0053】
目標相対距離L0は、ミラー受け12がモータ20の回転軸21に対して目標とする圧入量である目標圧入量で圧入された状態に対応する、Z軸方向におけるミラー受け12とハウジング11との相対距離である。具体的に、目標相対距離L0は、ミラー受け12がモータ20の回転軸21に対して目標とする圧入量である目標圧入量で圧入された状態に対応する、Z軸方向における、ハウジング11の反圧入側面11aと、ミラー受け12の反圧入方向側端面12aとの相対距離である。したがって、目標相対距離L0は、Z軸方向における圧入ヘッド63の移動に伴って、すなわちZ軸方向における第2圧入ヘッド部632の移動に伴って、変動しない。
【0054】
目標相対距離L0は、下限値L1と上限値L2とを有する、下限値L1以上、上限値L2以下の範囲の許容範囲を有する。また、目標圧入量も許容範囲を有する。下限値L1は、目標圧入量の許容範囲の下限値で圧入された状態に対応する相対距離Lである。上限値L2は、目標圧入量の許容範囲の上限値で圧入された状態に対応する相対距離Lである。目標相対距離L0と、下限値L1と、上限値L2と、目標圧入量と、目標圧入量の許容範囲とのそれぞれの情報は、予め決められて制御部90に記憶されている。
【0055】
圧入装置100では、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lを取得するために、Z軸方向における隙間41の長さが、レーザラインセンサ80を用いて測定される。レーザラインセンサ80は、
図6に示すように、投光器81からレーザ光83をハウジング11と被測定物と圧入ヘッド63とに向けて出射し、被測定物で反射せずに受光器82側に通過したレーザ光83を受光器82で検出することで、レーザ光83が通過したZ軸方向の通過部分の寸法を、測定する。
【0056】
Z軸方向において、受光器82が受光するレーザ光83の下端位置がハウジング11の高さ位置、すなわち反圧入側面11aの位置となる。Z軸方向において、受光器82が受光するレーザ光83の上端位置が圧入ヘッド63の段差面63aの高さ位置、すなわち圧入ヘッド63の第1圧入ヘッド部631の圧入方向側端面631aの位置となる。したがって、受光器82が受光するレーザ光83の下端位置と受光器82が受光するレーザ光83の上端位置とを測定することで、Z軸方向における隙間41の長さを測定することができる。レーザラインセンサ80は、ハウジング11の反圧入側面11aの位置と、第1圧入ヘッド部631の反圧入側面11aの位置と、を測定する位置測定部といえる。
【0057】
圧入ヘッド63とモータ20との姿勢が想定されている位置関係からずれている場合、すなわち、圧入ヘッド63の軸方向とモータ20の回転軸21の軸方向とが傾いている場合には、レーザラインセンサ80を用いて測定されるZ軸方向における隙間41の長さに誤差が発生する。このため、Z軸方向における隙間41の長さは、Y軸方向において、モータ20の回転軸21の中心位置に対して対称な2か所で測定された値の平均値を算出し、誤差を減らすことが好ましい。
【0058】
すなわち、レーザラインセンサ80は、圧入方向に垂直な方向において、圧入方向に垂直な面内方向におけるモータ20の回転軸21の中心位置に対して対称な2か所で、隙間41の長さを測定することが好ましい。これにより、圧入ヘッド63とモータ20との姿勢が想定されている位置関係からずれている場合でも、モータ20の回転軸21の中心位置における隙間41の長さが計算できるため、ミラー受け12の圧入精度を高めることができる。
【0059】
レーザラインセンサ80は、
図7に示すように、Y軸方向において、モータ20の回転軸21の中心位置に対して対称な2か所である、第1の測定位置と第2の測定位置とで、Z軸方向における隙間41の長さを測定する。制御部90は、第1の測定位置における隙間41の長さの測定値と、第2の測定位置における隙間41の長さの測定値との平均値を算出して、Z軸方向における隙間41の長さとする。
【0060】
そして、制御部90は、予め決められた圧入ヘッド63のヘッド先端長、すなわち予め決められた第2圧入ヘッド部632のヘッド長632Lから、測定された隙間41の長さを減算する演算を行うことにより、相対距離Lを求める。すなわち、制御部90は、「相対距離L=圧入ヘッド63のヘッド先端長(=第2圧入ヘッド部632のヘッド長632L)-隙間41の長さ」の計算式を用いて、相対距離Lを求める。その後、ステップS170に進む。
【0061】
ステップS170では、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の1回目の圧入において目標とする圧入量である第1目標圧入量が、計算される。具体的に、制御部90が、目標相対距離L0の下限値L1から、ステップS160で求めた相対距離Lを減算して第1目標圧入量を計算する。制御部90は、当該第1目標圧入量を、Z軸方向における圧入ロッド61の現在の位置から圧入ロッド61を下降させるストローク量である第1ストローク量に決定する。第1目標圧入量は、レーザラインセンサ80で取得される情報と目標相対距離L0の下限値L1とに基づいて決定した、目標圧入量よりも少ない1回目の圧入での目標圧入量である。そして、第1ストローク量は、目標圧入量に対応するストローク量よりも少ない、1回目の圧入での圧入ストローク量である。その後、ステップS180に進む。
【0062】
ステップS180では、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入が、行われる。ステップS180は、圧入前測定工程であるステップS160において取得された情報に基づいて決定される1回目の圧入において目標とする圧入量であって目標圧入量よりも少ない第1目標圧入量でミラー受け12が圧入される1回目の圧入工程である。また、ステップS180は、目標圧入量に対応するストローク量よりも少ない第1ストローク量でミラー受け12が圧入される1回目の圧入工程である。すなわち、1回目の圧入工程では、目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入が行われる。
【0063】
1回目の圧入では、制御部90が、ステップS170で計算された第1ストローク量で圧入ロッド61を下降させて、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の1回目の圧入を行う制御を行う。すなわち、制御部90は、相対距離Lに基づいて決定した、目標圧入量に対応するストローク量よりも少ない第1ストローク量でミラー受け12を圧入する1回目の圧入を制御する。制御部90は、1回目の圧入が完了した時点で圧入ロッド61を停止させ、圧入ロッド61とミラー受け12と回転軸21とを接触させておく。すなわち、制御部90は、圧入ヘッド63とミラー受け12とを接触させておく。その後、ステップS190に進む。なお、2回目の圧入では、制御部90は、後述する第2ストローク量で圧入ロッド61を下降させて、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入を行う制御を行う。
【0064】
ステップS190では、圧入計測が、行われる。ステップS190は、1回目の圧入後に、相対距離Lと、ミラー受け12および圧入ヘッド63に掛かる荷重と、を測定する1回目の圧入後測定工程である。ステップS190の圧入計測は、第2圧入計測であり、ステップS170と同様の隙間41の計測に加えて、モータ20および圧入ロッド61に掛かる荷重M、すなわちモータ20および圧入ヘッド63に掛かっている荷重Mが、ロードセル64で測定される。この場合、圧入ロッド61に荷重が掛かった状態での計測となるため、圧入ロッド61の先端側が縮んでおり、すなわち、圧入ヘッド63の先端側が圧縮されて縮んで変形しており、当該変形量が計測誤差となる。このため、予め、圧入ヘッド63の先端側の変形量が、必要な圧入精度の1/10以下となるように、圧入ヘッド63の材質および形状を設計しておくことで、誤差を減らす。その後、ステップS200に進む。
【0065】
ステップS200では、1回目の圧入後における相対距離Lが目標相対距離L0の許容範囲内に収まっているか否かが、判定される。具体的に、制御部90が、ステップS190における隙間41の計測結果に基づいてステップS160と同様にして、1回目の圧入後における相対距離Lを求める。そして、制御部90は、1回目の圧入後における相対距離Lが、目標相対距離L0の許容範囲の下限値L1以上、目標相対距離L0の許容範囲の上限値L2以下の範囲内であるか否かを、判定する。
【0066】
1回目の圧入後における相対距離Lが目標相対距離L0の許容範囲内に収まっていると判定された場合は、ステップS200においてYesとなり、ステップS210に進む。1回目の圧入後における相対距離Lが目標相対距離L0の許容範囲内に収まっていないと判定された場合は、ステップS200においてNoとなり、ステップS220に進む。
【0067】
ステップS210では、良品が製造された旨の良品判定が、行われる。具体的に、制御部90が、良品が製造された旨の良品判定を行う。制御部90は、例えば不図示の表示部に対して、良品が製造された旨の良品判定のメッセージを表示させる制御を行う。以上により、一連の処理が終了する。
【0068】
ステップS220では、1回目の圧入後における相対距離Lが目標相対距離L0の許容範囲の上限値L2より大であるか否かが、判定される。具体的に、制御部90が、1回目の圧入後における相対距離Lが目標相対距離L0の許容範囲の上限値L2より大であるか否かを判定する。
【0069】
1回目の圧入後における相対距離Lが目標相対距離L0の許容範囲の上限値L2より大であると判定された場合は、ミラー受け12が目標相対距離L0の許容範囲を超えて過度に圧入された場合であり、ステップS220においてYesとなり、ステップS230に進む。1回目の圧入後における相対距離Lが目標相対距離L0の許容範囲の上限値L2より大でないと判定された場合は、ミラー受け12の圧入量が目標相対距離L0の許容範囲に満たないため追加の圧入が必要な場合であり、ステップS220においてNoとなり、ステップS240に進む。
【0070】
ステップS230では、不良品が製造された旨の不良品判定が、行われる。具体的に、制御部90が、不良品が製造された旨の不良品判定を行う。制御部90は、例えば不図示の表示部に対して、不良品が製造された旨の不良品判定のメッセージを表示させる制御を行う。以上により、一連の処理が終了する。
【0071】
ステップS240では、第2目標圧入量が、計算される。ステップS240は、1回目の圧入後測定工程であるステップS190において取得された情報に基づいて、目標圧入量でミラー受け12の圧入を行うために圧入量を補正する圧入量の補正値を計算する計算工程である。具体的に、制御部90が、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の現在の圧入状態は圧入量が不足していると判定し、再度の圧入を行うために、ステップS190で求めた相対距離Lと荷重Mとに基づいて、1回目の圧入後の現在の圧入状態からの圧入量であり、2回目の圧入において目標とする目標圧入量である第2目標圧入量を、計算する。すなわち、第2目標圧入量は、1回目の圧入について測定部70から取得される情報に基づいて決定した2回目の圧入において目標とする目標圧入量である。第2目標圧入量は、1回目の圧入後のミラー受け12の圧入量に対して、目標圧入量でミラー受け12の圧入を行うために圧入量を補正する2回目の圧入を行うための、圧入量の補正値である。
【0072】
まず、制御部90は、測定された隙間41の長さに基づいて、ステップS160およびステップS170と同様にして、1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた目標圧入量を計算する。制御部90は、予め決められた圧入ヘッド63のヘッド先端長、すなわち予め決められた第2圧入ヘッド部632のヘッド長632Lから、ステップS190で測定された隙間41の長さを減算する演算を行うことにより、1回目の圧入後の相対距離Lを求める。すなわち、制御部90は、「相対距離L=圧入ヘッド63のヘッド先端長(=第2圧入ヘッド部632のヘッド長632L)-隙間41の長さ」の計算式を用いて、1回目の圧入後の相対距離Lを求める。
【0073】
そして、制御部90は、目標相対距離L0の下限値L1から、1回目の圧入後の相対距離Lを減算して、1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた目標圧入量を計算する。
【0074】
また、圧入荷重によりモータ20もZ軸方向において縮むため、ミラー受け12は想定よりも浅く圧入される。このため、2回目の圧入では、モータ20の回転軸21の変形量が考慮される。圧入装置100では、Z軸方向において、受光器82が受光するレーザ光83の下端位置がハウジング11の高さ位置となるため、圧入前と1回目の圧入後とでのハウジング11の高さ位置の変化を確認することができる。ハウジング11の高さ位置は、Z軸方向におけるハウジング11における反圧入方向側の端面である反圧入側面11aの位置である。
【0075】
圧入前と1回目の圧入後とでのハウジング11の高さ位置の変化量が、Z軸方向における、1回目の圧入における圧入荷重である1回目の圧入荷重によるモータ20の変形量となる。制御部90は、圧入前と1回目の圧入後とでのレーザラインセンサ80の検出情報を取得して記憶する。そして、制御部90は、当該検出情報に基づいて、1回目の圧入における圧入荷重である1回目の圧入荷重によるモータ20の変形量を計算することができる。制御部90は、圧入前と圧入後とでのレーザラインセンサ80の検出情報を取得して記憶することで、2回目の圧入以降においても、同様にモータ20の変形量を計算することができる。
【0076】
そして、制御部90は、上記の1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた目標圧入量に対して、1回目の圧入荷重によるモータ20の変形量を加算して第2目標圧入量を計算する。そして、制御部90は、当該第2目標圧入量を第2ストローク量に決定する。その後、ステップS180に戻る。
【0077】
このステップS180は、1回目の圧入後測定工程であるステップS190において取得された情報に基づいて決定される第2ストローク量で圧入部品を圧入する2回目の圧入工程である。すなわち、制御部90は、1回目の圧入について測定部70から取得される情報に基づいて決定した第2ストローク量でミラー受け12を圧入する2回目の圧入を制御する。
【0078】
上述した実施の形態1にかかる圧入装置100では、制御部90は、ミラー受け12の上面であるミラー受け12における反圧入方向側の端面である反圧入方向側端面12aを基準として、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lを計算することができる。そして、制御部90は、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lと、目標相対距離L0の許容範囲とに基づいて、圧入後の実際の圧入量を求めることができる。これにより、制御部90は、被圧入部品であるモータ20の弾性変形量が含まれない、実圧入量を求めることができる。
【0079】
また、圧入装置100では、受光器82が受光するレーザ光83の下端位置に基づいて圧入前と1回目の圧入後とでのハウジング11の高さ位置の変化を確認することができる。そして、圧入前と1回目の圧入後とでのハウジング11の高さ位置の変化量が、Z軸方向における、1回目の圧入における圧入荷重である1回目の圧入荷重によるモータ20の変形量となる。このため、制御部90は、モータ20の弾性変形量を、予測値として求めるのではなく、精度良く測定できる。
【0080】
そして、制御部90は、1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた圧入量に対して、1回目の圧入荷重によるモータ20の変形量を加算して第2目標圧入量を計算する。そして、制御部90は、第2目標圧入量を第2ストローク量に決定し、当該第2ストローク量で、2回目の圧入を行う。これにより、圧入装置100は、モータ20の弾性変形量を加味した2回目の圧入の精度を向上させることができる。
【0081】
また、圧入装置100では、ハウジング11における反圧入方向側の端面である反圧入側面11aと、圧入ヘッド63の段差面63aとの間の隙間41の長さを、レーザラインセンサ80を用いて測定する。そして、制御部90は、既知の第2圧入ヘッド部632の既知のヘッド長632Lから、測定された隙間41の長さを減算する演算を行うことにより、相対距離Lを求める。これにより、圧入装置100では、圧入部品であるミラー受け12がハウジング11と被圧入部品であるモータ20のモータボディ22とに隠れてしまっても、ミラー受け12とハウジング11との相対距離Lを正確に求めることができる。
【0082】
したがって、実施の形態1にかかる圧入装置100によれば、圧入部品を被圧入部品に精度良く圧入することができる、という効果を奏する。
【0083】
実施の形態2.
実施の形態2では、上述した実施の形態1の
図5のステップS240における、2回目の圧入において目標とする目標圧入量である第2目標圧入量の計算に、学習装置と推論装置とを用いる場合について説明する。すなわち、制御部90が、学習装置210と、推論装置220とを備える機械学習装置200を有し、機械学習装置を用いて第2目標圧入量の算出を行う場合について説明する。
【0084】
まず、機械学習装置200の学習装置210における学習フェーズについて説明する。
【0085】
学習装置210は、学習用データに基づいて、2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を学習する。学習装置210は、当該学習装置210に入力される、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入において取得される学習用データに基づいて、2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を学習する。これにより、学習装置210は、圧入部品であるミラー受け12の変形量、被圧入部品であるモータ20の変形量、圧入部品と被圧入部品との間の摩擦係数のばらつきなどの、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入量を変動させる各種の要因を加味して、第2目標圧入量を学習することができる。
【0086】
図9は、実施の形態2にかかる学習装置の構成を示す図である。学習装置210は、データ取得部211と、モデル生成部212と、学習済モデル記憶部213とを備えている。データ取得部211は、圧入装置100における第1データ取得部である。なお、学習済モデル記憶部213は、学習装置210の内部に設けられてもよい。
【0087】
データ取得部211は、入力情報231と、圧入量情報232とを、学習用データとして取得する。圧入量情報232は、入力情報231に対応する状態の2回目の圧入における実圧入量の情報である。圧入量はミラー受け12とハウジング11との相対距離Lによって管理されるため、入力情報231に対応する状態の2回目の圧入における実圧入量は、入力情報231に対応する状態の2回目の圧入における実相対距離Lにより管理される。
【0088】
入力情報231は、1回目の圧入における圧入状態の情報と、2回目の圧入における圧入パラメータの情報と、を含む。1回目の圧入における圧入状態の情報は、1回目の圧入中における圧入状態の情報と、1回目の圧入後における圧入状態の情報と、を含む。また、1回目の圧入における圧入状態の情報は、1回目の圧入中における圧入状態の時系列データの情報を含む。学習装置210は、より詳細な1回目の圧入中における圧入状態の情報である、1回目の圧入中における圧入状態の時系列データの情報を学習用データとして学習を行うことにより、より精度の高い学習を行うことができ、より精度の高い学習済モデル233を生成することができる。
【0089】
1回目の圧入における圧入状態の情報は、圧入方向における、ハウジング11における反圧入方向側の端面である反圧入側面11aの位置の情報と、圧入ヘッド63の段差面63aの位置の情報と、相対距離Lの情報と、圧入ヘッド63に掛かる荷重の情報と、が含まれる。なお、反圧入側面11aの位置の情報と、圧入ヘッド63の段差面63aの位置の情報とにより、相対距離Lの計算が可能である。
【0090】
2回目の圧入における圧入パラメータの情報は、補正前第2ストローク量の情報が含まれる。この2回目の圧入における圧入パラメータの情報に含まれる補正前第2ストローク量の情報は、上述した実施の形態1のステップS240において説明した「1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた目標圧入量」に対応しており、1回目の圧入荷重によるモータ20の変形量、圧入部品であるミラー受け12と被圧入部品であるモータ20の回転軸21との間の摩擦係数のばらつきなどの、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入量を変動させる各種の要因の影響を考慮していない、2回目の圧入における圧入ストローク量である。
【0091】
また、補正前第2ストローク量は、上述した実施の形態1のステップS240において説明したように計算された1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた目標圧入量が補正前第2ストローク量として決定されものである。すなわち、例えば制御部90が、上述した実施の形態1のステップS240において説明したように1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた目標圧入量を計算し、当該1回目の圧入後の相対距離Lに基づいた目標圧入量を補正前第2ストローク量として決定する。
【0092】
圧入量情報232は、入力情報231に示される状態に対応する2回目の圧入における実際の圧入量の情報である。具体的に、圧入量情報232は、1回目の圧入において測定部70で取得される1回目の圧入におけるミラー受け12の圧入状態の情報と、補正前第2ストローク量の情報と、1回目の圧入において測定部70で取得される1回目の圧入におけるミラー受け12の圧入状態の情報と補正前第2ストローク量の情報とに対応する状態の、2回目の圧入後のミラー受け12の実圧入量の情報である。すなわち、圧入量情報232は、ミラー受け12が2回目の圧入によって圧入された量の情報ではなく、入力情報231に示される状態に対応する、2回目の圧入後におけるミラー受け12の実際の圧入量の情報である。
【0093】
なお、2回目の圧入における圧入量は、圧入前の状態における相対距離Lと、2回目の圧入後における相対距離Lとの比較により求めることができる。したがって、2回目の圧入工程後に、圧入方向における、ハウジング11における反圧入方向側の端面である反圧入側面11aの位置と、圧入ヘッド63の段差面63aの位置と、相対距離Lと、圧入ヘッド63に掛かる荷重と、を測定する2回目の圧入後測定工程が実施されることにより、データ取得部211が、圧入量情報232を取得できる。
【0094】
したがって、データ取得部211が取得する、入力情報231と、圧入量情報232とを含む学習用データは、1回目の圧入において測定部70で取得される1回目の圧入における圧入状態の情報と、補正前第2ストローク量の情報と、1回目の圧入において測定部70で取得される1回目の圧入における圧入状態の情報と補正前第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後における実圧入量の情報と、を含む学習用データと、換言できる。
【0095】
ここで、学習用データは、入力情報231および圧入量情報232を互いに関連付けたデータである。データ取得部211は、学習用データを、制御部90から取得する。また、学習用データは、制御部90の外部の機器からデータ取得部211に入力されてもよい。データ取得部211は、入力情報231と圧入量情報232とを対応付けることによって学習用データを生成する。学習用データは、入力情報231、および入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232との組合せに基づいて作成される学習用データと、換言できる。
【0096】
モデル生成部212は、データ取得部211から送られてくる、入力情報231、および入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232との組合せに基づいて作成される学習用データに基づいて、ミラー受け12の2回目の圧入後の圧入量を学習する。すなわち、モデル生成部212は、入力情報231、および入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232から、入力情報231に示される状態に対応する、ミラー受け12の2回目の圧入後の圧入量を推論するための学習済モデル233を生成する。
【0097】
つぎに、
図10を用いて学習装置210による学習処理の処理手順について説明する。
図10は、実施の形態2にかかる学習装置による学習処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0098】
ステップS310において、データ取得部211は、学習用データを取得する。具体的には、データ取得部211は、学習用データとして、入力情報231と、入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232とを取得する。なお、データ取得部211は、入力情報231と、入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232とを同じタイミングで取得してもよいし、別々のタイミングで取得してもよい。すなわち、データ取得部211は、入力情報231と、入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232とを関連付けられれば、入力情報231と、圧入量情報232とを何れのタイミングで取得してもよい。
【0099】
ステップS320において、モデル生成部212は、データ取得部211によって取得された、入力情報231と、入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232との組合せである学習用データに従って、学習処理を実行する学習工程を行う。モデル生成部212は、例えば、学習用データに従って、いわゆる教師あり学習により、学習済モデル233を生成する。
【0100】
ステップS330において、学習済モデル記憶部213が学習済モデル233を記憶する。すなわち、モデル生成部212は、生成した学習済モデル233を学習済モデル記憶部213に記憶させる。
【0101】
モデル生成部が用いる学習アルゴリズムは教師あり学習、教師なし学習、強化学習等の公知のアルゴリズムを用いることができる。一例として、モデル生成部212が、ニューラルネットワークを用いた教師あり学習を実行する場合について説明する。
【0102】
モデル生成部212は、例えば、ニューラルネットワークモデルに従って、いわゆる教師あり学習により、2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を学習する。ここで、教師あり学習とは、入力と結果(ラベル)のデータの組を学習装置に与えることで、それらの学習用データにある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。
【0103】
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層(隠れ層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層、または2層以上でもよい。
【0104】
図11は、実施の形態2にかかる学習装置が用いるニューラルネットワークの構成を示す図である。例えば、
図11に示すような3層のニューラルネットワークであれば、複数のデータが入力層X1からX3に入力されると、その値に重みw11からw16を掛けて中間層Y1からY2に入力され、その結果にさらに重みw21からw26を掛けて出力層Z1からZ3より出力される。この出力結果は、重みw11からw16および重みw21からw26の値によって変わる。
【0105】
実施の形態2において、ニューラルネットワークは、データ取得部211によって取得される入力情報231と、圧入量情報232との組合せに基づいて作成される学習用データ(データセット)に従って、いわゆる教師あり学習により、2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を学習する。
【0106】
すなわち、ニューラルネットワークは、入力層X1からX3に入力情報231を入力して出力層Z1からZ3より出力された結果が、入力情報231に示される状態に対応する圧入量情報232に近づくように重みw11からw16,w21からw26を調整することで学習する。
【0107】
モデル生成部212は、以上のような学習を実行することで学習済モデル233を生成し、出力する。
【0108】
学習済モデル記憶部213は、モデル生成部212から出力された学習済モデル233を記憶する。
【0109】
つぎに、機械学習装置200の推論装置220における活用フェーズについて説明する。
【0110】
図12は、実施の形態2にかかる推論装置の構成を示す図である。推論装置220は、データ取得部221と、推論部222とを備えている。データ取得部221は、圧入装置100における第2データ取得部である。推論部222は、学習済モデル記憶部213に接続されている。
【0111】
データ取得部221は、1回目の圧入における圧入状態の情報と、補正前第2ストローク量とを、推論用データとして取得する。推論用データは、制御部90からデータ取得部221に入力される。
【0112】
推論部222は、得られた学習済モデル233を用いて、ミラー受け12の2回目の圧入による圧入量推論値を出力する。推論部222は、学習済モデル記憶部213から学習済モデル233を読み出す。推論部222は、入力情報231を学習済モデル233に入力する。これにより、推論部222は、2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を推論する。すなわち、推論部222は、2回目の圧入による圧入量推論値を推論するための学習済モデル233に、データ取得部221で取得した、2回目の圧入による圧入量推論値を推論するための入力情報231を入力することで、入力情報231から推論される、2回目の圧入による圧入量推論値を出力することができる。
【0113】
ミラー受け12の2回目の圧入による圧入量推論値は、推論部222によって推論されるミラー受け12の2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量であり、1回目の圧入後の状態から2回目の圧入でミラー受け12が圧入される量の推論値ではなく、2回目の圧入後のミラー受け12の圧入量の推論値である。
【0114】
つぎに、
図13を用いて、推論装置220を使ってミラー受け12の2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を得るための、すなわちミラー受け12の2回目の圧入後の圧入量推論値を得るための、推論装置220による推論処理の処理手順について説明する。
図13は、実施の形態2にかかる推論装置による推論処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0115】
ステップS410において、データ取得部221は、推論用データを取得する。すなわち、データ取得部221は、1回目の圧入における圧入状態の情報と、補正前第2ストローク量の情報と、を推論用データとして取得する。
【0116】
ステップS420において、推論部222は、学習済モデル記憶部213に記憶された学習済モデル233に、データ取得部221が取得した推論用データである、1回目の圧入における圧入状態の情報と、補正前第2ストローク量の情報とを入力し、学習済モデル233により得られた推論結果として、入力した情報に対応するミラー受け12の2回目の圧入による圧入量推論値を得る。
【0117】
ステップS430において、学習済モデル233により得られた推論結果が、圧入装置100に出力される。具体的に、推論部222が、学習済モデル233により得られた推論結果を制御部90に出力する。
【0118】
ステップS440において、制御部90は、上述したステップS240において、推論部222が出力した推論結果を取得して、圧入量推論値と、目標圧入量と、の差分で補正前第2ストローク量を補正して、最終的な第2ストローク量を決定し、当該第2ストローク量で2回目の圧入を行う。すなわち、実施の形態2では、1回目の圧入荷重によるモータ20の変形量、圧入部品であるミラー受け12と被圧入部品であるモータ20の回転軸21との間の摩擦係数のばらつきなどの、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入量を変動させる各種の要因の影響を考慮していない、補正前第2ストローク量でミラー受け12の2回目の圧入を行った場合のミラー受け12の圧入量を学習および推論し、「目標圧入量―圧入量推論値」を補正前第2ストローク量に加えた最終的な第2ストローク量でミラー受け12の2回目の圧入が行われる。これにより、圧入装置100は、ミラー受け12とモータ20の回転軸21との変形量、ミラー受け12とモータ20の回転軸21との間の摩擦係数のばらつきなどの、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入量を変動させる各種の要因があっても精度良く圧入をすることができる。
【0119】
このように、推論部222は、教師あり学習によって生成された学習済モデル233を用いるので、1回目の圧入における圧入状態の情報を取得するだけで、ミラー受け12とモータ20の回転軸21との変形量、ミラー受け12とモータ20の回転軸21との間の摩擦係数のばらつきなどの、モータ20の回転軸21へのミラー受け12の圧入量を変動させる各種の要因が加味された、2回目の圧入による圧入量推論値を容易に推論できる。これにより、圧入装置100は、推論部222で推論された2回目の圧入による圧入量推論値を利用して、圧入精度の良い2回目の圧入を実施することができる。
【0120】
なお、学習装置210および推論装置220は、2回目の圧入量を学習するため、すなわち2回目の圧入による圧入量推論値を学習するために使用されるが、学習装置210および推論装置220は、例えば、インターネットなどのネットワークを介して制御部90に接続された、制御部90とは別個の装置であってもよい。また、学習装置210および推論装置220の少なくとも一つは、例えば、ネットワークを介して制御部90に接続されてもよい。また、学習装置210および推論装置220の少なくとも一つは、制御部90とは別個の装置であってもよい。さらに、学習装置210および推論装置220の少なくとも一つは、クラウドサーバ上に存在していてもよい。また、学習装置210および推論装置220の少なくとも一つは、制御部90に内蔵されていてもよい。
【0121】
また、実施の形態2では、制御部90のモデル生成部212で学習した学習済モデル233を用いて2回目の圧入による圧入量推論値を出力するものとして説明したが、他の制御部90等の外部機器から学習済モデルを取得し、この学習済モデルに基づいて2回目の圧入による圧入量推論値を出力するようにしてもよい。
【0122】
また、実施の形態2では、モデル生成部212が用いる学習アルゴリズムに教師あり学習を適用した場合について説明したが、これに限られるものではない。学習アルゴリズムについては、教師あり学習以外にも、強化学習、教師なし学習、又は半教師あり学習等を適用することも可能である。
【0123】
また、モデル生成部は、複数の圧入装置100に対して作成される学習用データに従って、2回目の圧入による圧入量推論値を学習するようにしてもよい。なお、モデル生成部212は、同一のエリアで使用される複数の圧入装置100から学習用データを取得してもよいし、異なるエリアで独立して動作する複数の圧入装置100から収集される学習用データを利用して2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を学習してもよい。また、学習用データを収集する圧入装置100を途中で対象に追加したり、対象から除去したりすることも可能である。さらに、ある圧入装置100に関して2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を学習した学習装置を、これとは別の圧入装置100に適用し、当該別の圧入装置100に関して2回目の圧入に用いる目標圧入量である第2目標圧入量を再学習して更新するようにしてもよい。
【0124】
また、モデル生成部212に用いられる学習アルゴリズムとしては、特徴量そのものの抽出を学習する、深層学習(Deep Learning)を用いることもでき、他の公知の方法、例えば遺伝的プログラミング、機能論理プログラミング、サポートベクターマシンなどに従って機械学習を実行してもよい。
【0125】
続いて、実施の形態1,2にかかる制御部90のそれぞれのハードウェア構成について説明する。実施の形態1,2にかかる制御部90のそれぞれの機能は、処理回路により実現される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよく、記憶装置に格納されるプログラムを実行する処理装置であってもよい。
【0126】
処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらを組み合わせたものが該当する。
図14は、実施の形態1,2にかかる制御部の機能をハードウェアで実現した構成を示す図である。処理回路91には、制御部90の機能を実現する論理回路91aが組み込まれている。
【0127】
処理回路91が処理装置の場合、制御部90の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0128】
図15は、実施の形態1,2にかかる制御部の機能をソフトウェアで実現した構成を示す図である。処理回路91は、プログラム91bを実行するプロセッサ911と、プロセッサ911がワークエリアに用いるランダムアクセスメモリ912と、プログラム91bを記憶する記憶装置913を有する。記憶装置913に記憶されているプログラム91bをプロセッサ911がランダムアクセスメモリ912上に展開し、実行することにより、制御部90の機能が実現される。ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラム言語で記述され、記憶装置913に格納される。プロセッサ911は、中央処理装置を例示できるがこれに限定はされない。記憶装置913は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、またはEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)といった半導体メモリを適用できる。半導体メモリは、不揮発性メモリでもよいし揮発性メモリでもよい。また、記憶装置913は、半導体メモリ以外にも、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスクまたはDVD(Digital Versatile Disc)を適用できる。なお、プロセッサ911は、演算結果といったデータを記憶装置913に出力して記憶させてもよいし、ランダムアクセスメモリ912を介して不図示の補助記憶装置に当該データを記憶させてもよい。プロセッサ911、ランダムアクセスメモリ912および記憶装置913を1チップに集積することにより、制御部90の機能をマイクロコンピュータにより実現することができる。
【0129】
処理回路91は、記憶装置913に記憶されたプログラム91bを読み出して実行することにより、制御部90の機能を実現する。プログラム91bは、制御部90の機能を実現する手順および方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。
【0130】
なお、処理回路91は、制御部90の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、制御部90の機能の一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。
【0131】
このように、処理回路91は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、上述の各機能を実現することができる。
【0132】
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
【0133】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0134】
(付記1)
目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入装置であって、
前記圧入部品を前記被圧入部品に圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面に前記圧入部品を保持する圧入ヘッドと、
前記圧入ヘッドを前記圧入方向に駆動させて前記圧入部品を前記被圧入部品に押圧する駆動部と、
を有する圧入駆動部と、
前記被圧入部品と一体とされて圧入時において前記圧入部品と前記被圧入部品との外周側に配置された外周側部品における、前記圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入部品の前記被圧入部品への圧入に際して前記圧入ヘッドにおいて前記外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する位置測定部と、
前記圧入ヘッドに掛かる荷重を検知する荷重検知部と、
を有する測定部と、
前記測定部で取得される情報に基づいて前記圧入駆動部を制御して前記圧入ヘッドの前記圧入方向における移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記相対距離に基づいて決定した、前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入を制御し、
前記1回目の圧入について前記測定部から取得される情報に基づいて決定した第2ストローク量で前記圧入部品を圧入する2回目の圧入を制御すること、
を特徴とする圧入装置。
(付記2)
位置測定部が、
前記圧入方向に沿った方向に平行なシート状のレーザ光を前記圧入ヘッドと前記外周側部品とに照射する投光器と、
前記レーザ光の光量を検知することで前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置とを測定する受光器と、
を備えること、
を特徴とする付記1に記載の圧入装置。
(付記3)
前記投光器と前記受光器とを前記圧入方向に垂直な方向に移送する移送部を備え、
前記位置測定部は、前記圧入方向に垂直な方向において、前記圧入方向に垂直な面内方向における前記被圧入部品の中心位置に対して対称な2か所で測定すること、
を特徴とする付記2に記載の圧入装置。
(付記4)
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と、前記第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得する第1データ取得部と、
前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部と、
を有する学習装置を備えること、
を特徴とする付記1から3のいずれか1つに記載の圧入装置。
(付記5)
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報が、圧入量の時系列データと、圧入荷重の時系列データとを含むこと、
を特徴とする付記4に記載の圧入装置。
(付記6)
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報を取得する第2データ取得部と、
前記1回目の圧入において前記測定部で取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを用いて、前記第2データ取得部が取得した前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記圧入量推論値を推論する推論部と、
を有する推論装置を備えること、
を特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の圧入装置。
(付記7)
前記第2ストローク量は、前記1回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量に対して、前記目標圧入量で前記圧入部品の圧入を行うために前記圧入部品の圧入量を補正する2回目の圧入を行うためのストローク量の補正値であること、
を特徴とする付記1から6のいずれか1つに記載の圧入装置。
(付記8)
圧入装置において目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入方法であって、
圧入ヘッドにおける、前記圧入部品を前記被圧入部品に圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面に前記圧入部品を保持する保持工程と、
圧入前に、前記被圧入部品と一体とされて圧入時において前記圧入部品と前記被圧入部品との外周側に配置された外周側部品における、前記圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入部品の前記被圧入部品への圧入に際して前記圧入ヘッドにおいて前記外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する圧入前測定工程と、
前記圧入前測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される1回目の圧入において目標とする圧入量であって前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入工程と、
前記1回目の圧入後に、前記相対距離と、前記被圧入部品に掛かる荷重と、を測定する1回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入後測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される圧入量に、前記圧入前測定工程において取得された情報と、前記1回目の圧入後測定工程において取得された情報とに基づいて決定される、前記被圧入部品に掛かる荷重による前記被圧入部品の変形量を加算した第2ストローク量を計算する計算工程と、
前記第2ストローク量で前記圧入部品を圧入する2回目の圧入工程と、
を含むことを特徴とする圧入方法。
(付記9)
前記2回目の圧入工程後に、前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入ヘッドの前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記相対距離と、前記被圧入部品に掛かる荷重と、を測定する2回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入工程において取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と、前記第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得し、前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入工程後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成する学習工程と、
を含み、
前記計算工程では、前記学習済モデルに前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報を入力して得られた前記圧入量推論値を取得すること、
を特徴とする付記8に記載の圧入方法。
(付記10)
前記1回目の圧入工程中に、前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置の時系列データと、前記圧入ヘッドの前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置の時系列データと、前記相対距離の時系列データと、前記被圧入部品に掛かる荷重の時系列データと、を取得すること、
を特徴とする付記9に記載の圧入方法。
(付記11)
圧入装置において目標圧入量でエンコーダの光学部品を支える土台部品をモータの回転軸に圧入するエンコーダの製造方法であって、
圧入ヘッドにおける、前記土台部品を前記モータに圧入する方向である圧入方向を向く圧入方向側の端面に前記土台部品を保持する保持工程と、
圧入前に、前記モータと一体とされて圧入時において前記土台部品と前記モータとの外周側に配置された外周側部品における、前記圧入方向と反対側を向く反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記土台部品の前記モータへの圧入に際して前記圧入ヘッドにおいて前記外周側部品の反圧入方向側の端面よりも反圧入方向側に位置する圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、の相対距離を測定する圧入前測定工程と、
前記圧入前測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される1回目の圧入において目標とする圧入量であって前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記土台部品を圧入する1回目の圧入工程と、
前記1回目の圧入後に、前記相対距離と、前記モータに掛かる荷重と、を測定する1回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入後測定工程において取得された前記相対距離に基づいて決定される圧入量に、前記圧入前測定工程において取得された情報と、前記1回目の圧入後測定工程において取得された情報とに基づいて決定される、前記モータに掛かる荷重による前記モータの変形量を加算して第2ストローク量を計算する計算工程と、
前記第2ストローク量で前記土台部品を圧入する2回目の圧入工程と、
を含むことを特徴とするエンコーダの製造方法。
(付記12)
前記2回目の圧入工程後に、前記外周側部品の反圧入方向側の端面の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記圧入ヘッドの前記圧入ヘッド基準位置の前記圧入方向に沿った方向における位置と、前記相対距離と、前記モータに掛かる荷重と、を測定する2回目の圧入後測定工程と、
前記1回目の圧入工程において取得される1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報と、前記第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において取得される1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記土台部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得し、前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入工程後の前記土台部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成する学習工程と、
を含み、
前記計算工程では、前記学習済モデルに前記1回目の圧入工程において取得された1回目の圧入における前記土台部品の圧入状態の情報を入力して得られた前記圧入量推論値を取得すること、
を特徴とする付記11に記載のエンコーダの製造方法。
(付記13)
前記1回目の圧入工程中に、前記土台部品と、前記相対距離と、前記回転軸に掛かる荷重の時系列データを取得すること、
を特徴とする付記12に記載のエンコーダの製造方法。
(付記14)
圧入装置において目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入量を学習する学習装置であって、
前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と、前記1回目の圧入において取得される情報に基づいて決定した第2ストローク量の情報と、前記1回目の圧入において取得される1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報と前記第2ストローク量の情報とに対応する状態の2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量の情報と、を含む学習用データを取得する第1データ取得部と、
前記学習用データを用いて、前記1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを生成するモデル生成部と、
を備えることを特徴とする学習装置。
(付記15)
圧入装置において目標圧入量で圧入部品を被圧入部品に圧入する圧入量を推論する推論装置であって、
前記目標圧入量よりも少ない第1ストローク量で前記圧入部品を圧入する1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報を取得する第2データ取得部と、
前記1回目の圧入において取得される前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から2回目の圧入後の前記圧入部品の圧入量である圧入量推論値を推論するための学習済モデルを用いて、前記第2データ取得部が取得した前記1回目の圧入における前記圧入部品の圧入状態の情報から前記圧入量推論値を推論する推論部と、
を有することを特徴とする推論装置。
【符号の説明】
【0135】
10 光学式エンコーダ、11 ハウジング、11a 反圧入側面、12 ミラー受け、12a 反圧入方向側端面、13 凹面ミラー、14 反射膜、15 スケール円板、16 スリット、17 基板、18 受光素子、20 モータ、21 回転軸、22 モータボディ、31,32 光線、34,35,36 接着剤、41 隙間、50 フレーム、51 定盤、52 柱、53 天板、54 モータ受け、60 圧入駆動部、61 圧入ロッド、62 圧入モータ、63 圧入ヘッド、63a 段差面、64 ロードセル、70 測定部、71 Y軸アクチュエータ、72 Z軸アクチュエータ、73 モータチャック、80 レーザラインセンサ、81 投光器、82 受光器、83 レーザ光、90 制御部、91 処理回路、91a 論理回路、91b プログラム、100 圧入装置、200 機械学習装置、210 学習装置、211 データ取得部、212 モデル生成部、213 学習済モデル記憶部、220 推論装置、221 データ取得部、222 推論部、231 入力情報、232 圧入量情報、233 学習済モデル、631a 圧入方向側端面、632L ヘッド長、911 プロセッサ、912 ランダムアクセスメモリ、913 記憶装置、L 相対距離、L0 目標相対距離、L1 下限値、L2 上限値、M 荷重。