(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126448
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】蓋付き容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/16 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B65D43/16 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034829
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】523256074
【氏名又は名称】アスベル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100168321
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敦
(72)【発明者】
【氏名】今井 勤
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA05
3E084AA14
3E084AA24
3E084AB07
3E084BA01
3E084FC12
3E084GA06
3E084GB06
3E084GB21
3E084HD01
(57)【要約】
【課題】簡易な操作で蓋を開くことができるとともに、手を備えることなく蓋が開いた状態を維持でき、且つ、蓋の開閉に伴う構成部品の損傷・変形を抑制することができる蓋付き容器を提供する。
【解決手段】蓋付き容器1は、容器本体10と、蓋14と、弾性部材12と、を備える。蓋14は、容器本体10に対して回動可能であって、容器本体10の開口を閉じる閉姿勢と、開口を開ける開姿勢との間で姿勢変化可能である。弾性部材12は、容器本体10と蓋14との間に連設され、蓋14が開姿勢となる方向に弾性付勢力を付与する。容器本体10は係合爪部10hを有し、蓋14は被係合部14fを有する。第1中心軸Ax10廻りにレバー11が回動することで、蓋14は容器本体10の開口縁10bに沿ってX方向にスライド移動され、これにより係合爪部10hと被係合部14fとの係合状態が解除されて蓋14が開姿勢となる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋付き容器であって、
粒状物または液状物を収容可能な収容空間を有する容器本体と、
前記容器本体の開口を閉じる閉姿勢と、前記開口を開ける開姿勢との間で前記容器本体に対して蓋回転軸を中心として回動可能に取り付けられた蓋と、
前記容器本体と前記蓋との間に設けられ、前記蓋が開姿勢となる方向に弾性付勢力を付与する弾性部材と、
を備え、
前記容器本体および前記蓋の一方は、係合部を有し、前記容器本体および前記蓋の他方は、前記蓋が閉姿勢に位置する状態で前記弾性部材の弾性付勢力に抗して前記蓋が閉姿勢に維持されるように前記係合部と係合する被係合部を有し、
前記蓋付き容器は、前記蓋回転軸を中心として前記蓋が回動可能となり、かつ、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する解除方向に前記蓋が変位可能となるように前記蓋を支持した状態で前記容器本体に対して変位可能に取り付けられた支持部材を、さらに備える、
蓋付き容器。
【請求項2】
前記支持部材は、前記蓋回転軸から前記蓋回転軸を中心とする径方向に離間して配置された部材回転軸を中心として前記容器本体に回動可能に取り付けられている、
請求項1に記載の蓋付き容器。
【請求項3】
前記容器本体は、1の側壁における外面に設けられ、ユーザが把持可能な取手を有し、
前記支持部材は、前記取手の上方に配置されている、
請求項2に記載の蓋付き容器。
【請求項4】
前記支持部材は、前記蓋が前記開姿勢にある状態において、前記係合部と前記被係合部とが互いに係合する係合位置と、前記係合部と前記被係合部との係合が解除された解除位置との間で前記容器本体に対して変位可能であり、
前記弾性部材は、前記蓋が開姿勢となる方向に前記蓋を付勢する蓋付勢部と、前記係合位置へ向けて前記支持部材を付勢する部材付勢部と、を有する、
請求項2または請求項3に記載の蓋付き容器。
【請求項5】
前記弾性部材は、
板状のゴム部材を用いて前記蓋付勢部と前記部材付勢部とが一体形成されており、
前記弾性部材の一端部である前記部材付勢部の端部が前記容器本体に取り付けられ、前記弾性部材の他端部である前記蓋付勢部の端部が前記蓋に取り付けられ、
前記支持部材が前記係合位置にある状態において、前記蓋付勢部と前記部材付勢部とが前記蓋付勢部と前記部材付勢部との連続箇所を中心にU字状に屈曲された屈曲姿勢と、前記支持部材が前記解除位置にある状態において、前記蓋部材の端部と前記部材付勢部の端部とが前記連続箇所を中心に前記屈曲姿勢よりも伸び広がった伸張姿勢との間で姿勢変化可能に設けられている、
請求項4に記載の蓋付き容器。
【請求項6】
前記蓋回転軸は、前記蓋が前記閉姿勢にある状態において、前記部材回転軸の真上の位置、または、前記真上の位置に対して前記部材回転軸が延びる方向と直交する水平方向における一方向に離れた位置に配置され、
前記係合部および前記被係合部は、前記部材回転軸が延びる方向と直交する前記水平方向の前記一方向とは反対向きに相対移動されることで前記係合が解除される、
請求項2または請求項3に記載の蓋付き容器。
【請求項7】
前記支持部材は、前記蓋回転軸および前記部材回転軸を保持する保持部と、前記保持部から前記一方向に延びる被操作部と、を有する、
請求項6に記載の蓋付き容器。
【請求項8】
前記支持部材は、樹脂材料を用いて形成されている、
請求項2または請求項3に記載の蓋付き容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
調味料等の収納には、蓋付き容器が用いられる。これは、調味料等に外部から埃や水分等が混入するのを防ぐためである。近年では、簡易な操作で蓋を開くことができるとともに、手を添えるなどしなくても蓋が開いた状態を維持することができる蓋付き容器が開発されている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示の蓋付き容器は、容器本体と、レバーと、蓋と、蓋パッキンと、を備える。容器本体は、筒の底部分が閉じられた部材であって、1つの側壁外面から外方に延びるように設けられた取手を有する。蓋は、容器本体の開口を閉じることができるように設けられている。なお、特許文献1に開示の蓋付き容器では、蓋は容器本体における取手が設けられた側とは反対側の開口縁を支点に開閉できるように設けられている。
【0004】
蓋パッキンは、蓋の下面に取り付けられており、蓋で容器本体の開口を閉じた際に、容器本体の側壁内面と蓋との間に密に介挿される。そして、蓋パッキンは、蓋の内壁における支点側の部分に沿うように延びる舌部を有する。レバーは、容器本体における取手の上方に配置され、外側に位置する操作端部を押下することで蓋の下方に位置する押上端部が跳ね上げられるように容器本体に軸支されている。ユーザは、レバーの操作端部を押下することで蓋を開くことができる。そして、蓋が開いた状態では、蓋パッキンにおける舌部の付勢力により蓋が開いた状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示の蓋付き容器では、レバーの押上端部やその周辺部分が損傷・変形することがあると考えられる。その理由について、
図8を用いて説明する。
図8では、蓋94を閉めた状態での蓋付き容器9の一部構成を示す。
【0007】
ユーザが蓋付き容器9の蓋94を開けようとした場合には、ユーザは、取手90eを把持した状態で、把持する手の親指等でレバー91の操作端部91aを押下する(矢印D1)。これにより、容器本体90に対する支軸Ax9廻りにレバー91が回動して押上端部91eが押し上げられる(矢印D2)。レバー91の押上端部91eの押し上げによって、蓋94の開閉端部94hも押し上げられ、蓋94は、開状態となる(矢印D3)。なお、蓋94が開状態となる際には、蓋94に取り付けられた蓋パッキン93のフランジ部93aが容器本体90における側壁90cの内面90c1を摺動する。
【0008】
上記のようなメカニズムで蓋94を開く蓋付き容器9では、蓋94の閉状態が蓋パッキン93と容器本体90との摩擦抵抗により維持される構成となっているので、所定以上の摩擦抵抗がかかるように蓋パッキン93を設けることが必要である。このため、蓋付き容器9では、蓋94を開けようとした際にレバー91の押上端部93やその近傍(矢印D4の部分等)に力がかかってしまう。なお、容器本体90の側壁90cに対する蓋パッキン93の摩擦抵抗については、蓋94を閉じた状態での収容空間90aへの水分等の侵入を防ぐという観点からも、ある程度の大きさを確保しておくことが必要になる。よって、上記特許文献1に開示の蓋付き容器9では、ユーザが蓋94の開閉操作を繰り返すうちにレバー91の押上端部91eやその周辺部分(矢印D4の部分等)が損傷・変形することがあると考えられる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、簡易な操作で蓋を開くことができるとともに、手を備えることなく蓋が開いた状態を維持でき、且つ、蓋の開閉に伴う構成部品の損傷・変形を抑制することができる蓋付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係る蓋付き容器は、容器本体と、蓋と、弾性部材と、を備える。前記容器本体は、粒状物または液状物を収容可能な収容空間を有する。前記蓋は、前記容器本体の開口を閉じる閉姿勢と、前記開口を開ける開姿勢との間で前記容器本体に対して蓋回転軸を中心として回動可能に取り付けられている。前記弾性部材は、前記容器本体と前記蓋との間に設けられ、前記蓋が開姿勢となる方向に弾性付勢力を付与する。
【0011】
本態様に係る蓋付き容器において、前記容器本体および前記蓋の一方は、係合部を有し、前記容器本体および前記蓋の他方は、前記蓋が閉姿勢に位置する状態で前記弾性部材の弾性付勢力に抗して前記蓋が閉姿勢に維持されるように前記係合部と係合する被係合部を有する。また、本態様に係る蓋付き容器は、前記蓋回転軸を中心として前記蓋が回動可能となり、かつ、前記係合部と前記被係合部との係合を解除する解除方向に前記蓋が変位可能となるように前記蓋を支持した状態で前記容器本体に対して変位可能に取り付けられた支持部材を、さらに備える。
【0012】
上記態様に係る蓋付き容器では、支持部材の変位により係合部と被係合部との係合が解除され、これにより蓋が閉姿勢から開姿勢へと姿勢変化する。このため、上記態様に係る蓋付き容器では、支持部材を容器本体に対して変位させることで弾性部材の弾性付勢力をもって蓋が開き、上記特許文献1に開示された蓋付き容器にようにレバー91の押上端部91eなどを設ける必要がない。よって、ユーザが蓋の開閉動作を繰り返しても構成部品の損傷・変形を抑制することができる。
【0013】
また、上記態様に係る蓋付き容器では、弾性部材が蓋を開姿勢となる向きに弾性付勢するので、係合が解除されて蓋が開姿勢である場合に当該蓋の開姿勢を維持する役割も担う。
【0014】
上記態様に係る蓋付き容器において、前記支持部材は、前記蓋回転軸から前記蓋回転軸を中心とする径方向に離間して配置された部材回転軸を中心として前記容器本体に回動可能に取り付けられている、としてもよい。
【0015】
上記態様に係る蓋付き容器では、支持部材が容器本体に対して部材回転軸を中心として回動可能に取り付けられ、蓋回転軸と部材回転軸とが上記径方向に離間して配置されているので、支持部材が部材回転軸廻りに回動された場合に蓋回転軸が部材回転軸を通る径方向の線に対して交差する交差方向へと移動することとなる。よって、上記態様に係る蓋付き容器では、支持部材の回動によって蓋回転軸で軸支された蓋も上記交差方向へスライド移動される。そして、この蓋のスライド移動により、係合部と被係合部との係合が解除され、蓋が開く。よって、上記態様に係る蓋付き容器は、支持部材を回動させるだけで蓋の開閉を行うことができ、ユーザに煩わしさを感じさせ難い。
【0016】
上記態様に係る蓋付き容器において、前記容器本体は、1の側壁における外面に設けられ、ユーザが把持可能な取手を有し、前記支持部材は、前記取手の上方に配置されている、としてもよい。
【0017】
上記態様に係る蓋付き容器では、容器本体の側壁外面に取手が設けられ、支持部材が取手の上方に配置されているので、ユーザが人差指から小指で取手を把持した状態で親指を使って支持部材の操作を行うことができ、ユーザにとっての利便性が高い。
【0018】
また、蓋は蓋回転軸廻りの回動により開閉するので、支持部材が取手の上方に配置された上記態様に係る蓋付き容器では、ユーザが一方の手で取手を把持しながら支持部材の操作を行った際に、把持した側とは反対側(取手が設けられた側とは収容空間を挟んだ反対側)で容器本体の開口縁から蓋が大きく離間する。このため、ユーザが蓋を開けて収容物をスプーンなどで取り出そうとした場合に、取手を把持している手とは反対側の手で収容物を取り出すことができる。よって、上記特許文献1に開示の蓋付き容器9のように取手90eが設けられた側で蓋94が開く場合に比べて、ユーザが収容空間にアクセス容易であり、この点からも利便性が高い。
【0019】
上記態様に係る蓋付き容器において、前記支持部材は、前記蓋が前記開姿勢にある状態において、前記係合部と前記被係合部とが互いに係合する係合位置と、前記係合部と前記被係合部との係合が解除された解除位置との間で前記容器本体に対して変位可能であり、前記弾性部材は、前記蓋が開姿勢となる方向に前記蓋を付勢する蓋付勢部と、前記係合位置へ向けて前記支持部材を付勢する部材付勢部と、を有する、としてもよい。
【0020】
上記態様に係る蓋付き容器では、弾性部材が蓋付勢部と部材付勢部とを有するので、蓋が開姿勢となる方向に蓋を付勢する部材と、係合位置へ向けて支持部材を付勢する部材とを別々に設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。よって、製造コストの低減を図ることができる。
【0021】
上記態様に係る蓋付き容器において、前記弾性部材は、板状のゴム部材を用いて前記蓋付勢部と前記部材付勢部とが一体形成されており、前記弾性部材の一端部である前記部材付勢部の端部が前記容器本体に取り付けられ、前記弾性部材の他端部である前記蓋付勢部の端部が前記蓋に取り付けられ、前記支持部材が前記係合位置にある状態において、前記蓋付勢部と前記部材付勢部とが前記蓋付勢部と前記部材付勢部との連続箇所を中心にU字状に屈曲された屈曲姿勢と、前記支持部材が前記解除位置にある状態において、前記蓋部材の端部と前記部材付勢部の端部とが前記連続箇所を中心に前記屈曲姿勢よりも伸び広がった伸張姿勢との間で姿勢変化可能に設けられている、としてもよい。
【0022】
上記態様に係る蓋付き容器では、板状をしたゴム部材で弾性部材が構成されているので、蓋の開閉を繰り返しても高い弾性付勢力を維持することができる。
【0023】
上記態様に係る蓋付き容器において、前記蓋回転軸は、前記蓋が前記閉姿勢にある状態において、前記部材回転軸の真上の位置、または、前記真上の位置に対して前記部材回転軸が延びる方向と直交する水平方向における一方向に離れた位置に配置され、前記係合部および前記被係合部は、前記部材回転軸が延びる方向と直交する前記水平方向の前記一方向とは反対向きに相対移動されることで前記係合が解除される、としてもよい。
【0024】
上記態様に係る蓋付き容器では、支持部材を回動させることで蓋を水平方向にスライド移動させ、これにより係合が解除されるので、ユーザは支持部材を回動させるだけで蓋をスライド移動させることができ、容易に蓋を開姿勢とすることができる。
【0025】
上記態様に係る蓋付き容器において、前記支持部材は、前記蓋回転軸および前記部材回転軸を保持する保持部と、前記保持部から前記一方向に延びる被操作部と、を有する、としてもよい。
【0026】
上記態様に係る蓋付き容器では、支持部材が被操作部を有するので、ユーザによる容易な操作で蓋が開姿勢とすることが可能である。
【0027】
上記態様に係る蓋付き容器において、前記支持部材は、樹脂材料を用いて形成されている、としてもよい。
【0028】
上記態様に係る蓋付き容器では、樹脂材料から一体形成された支持部材を採用するが、上述のように支持部材に対して蓋を開く際に大きな力はかからないので、ユーザが開閉を繰り返しても支持部材が損傷・変形するのを抑制することができる。よって、上記態様に係る蓋付き容器は、支持部材の製造の容易さおよび製造コストの上昇を抑制しながら、構成部品の1つである支持部材の損傷・変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
上記の各態様に係る蓋付き容器では、簡易な操作で蓋を開くことができるとともに、手を備えることなく蓋が開いた状態を維持でき、且つ、蓋の開閉に伴う構成部品の損傷・変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】第1実施形態に係る蓋付き容器の構成を示す展開斜視図である。
【
図2】(a)は蓋を閉じた状態、(b)は蓋を開けた状態を示す斜視図である。
【
図3】蓋付き容器における一部構成を示す断面図である。
【
図4】(a)は蓋付き容器の蓋を開く際のメカニズムを説明するための断面図、(b)は蓋を開く際の係合解除に係るメカニズムを説明するための断面図である。
【
図5】第2実施形態に係る蓋付き容器の構成を示す展開斜視図である。
【
図6】蓋付き容器における一部構成を示す断面図である。
【
図7】(a)は蓋付き容器の蓋を開く際のメカニズムを説明するための断面図、(b)は蓋を開く際の係合解除に係るメカニズムを説明するための断面図である。
【
図8】従来技術に係る蓋付き容器の鋼製の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の構成を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0032】
[第1実施形態]
1.蓋付き容器1の概略構成
第1実施形態に係る蓋付き容器1の概略構成について、
図1を用いて説明する。
【0033】
図1に示すように、蓋付き容器1は、容器本体10と、レバー(支持部材)11と、弾性部材12と、蓋パッキン13と、蓋14と、を備える。容器本体10は、4つの側壁と1つの底壁とが一体に形成されてなる。本実施形態では、容器本体10が樹脂材料(例えば、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂)で形成されている。容器本体10は、内部に収容物(粒状物または液状物など)を収容可能な収容空間10aを有する。そして、Z方向における底壁10iとは反対側の部分が開口されている。
【0034】
容器本体10における開口縁10bは、Z方向に交差する方向に沿って段差なく設けられている。容器本体10におけるX方向右側の側壁10cの外面からは、ユーザが把持可能な取手10cが延びるように設けられている。側壁10cに対する取手10cの根元部分には、レバー11が連結される連結部10fが形成されている。連結部10fは、Z方向に起立し、互いに対向する2つの壁部によって構成され、それぞれの壁部に孔部10gが開けられている。
【0035】
容器本体10におけるX方向左側の側壁10dの外面には、Z方向上部(開口縁10bに近い部分)に係合爪部(係合部)10hが形成されている。係合爪部10hは、蓋14との係合のために形成されている。
【0036】
レバー11は、樹脂材料(例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂)を用いて形成されている。レバー11は、X方向右端かつZ方向上部にユーザが操作する操作端部(被操作部)11aを有する。また、レバー11には、X方向の略中央部分かつZ方向下部にY方向両側に向けて突出する軸部11bが設けられている(
図1では、図示の都合上、Y方向手前側の軸部11bのみを図示)。軸部11bは、容器本体10における連結部10fの孔部10gに対して回動可能に嵌入される。レバー11は、容器本体10に対して孔部10gの中心を通る第1中心軸(部材回転軸)Ax10廻りに回動可能である。なお、レバー11では、操作端部11aを除く部分であって、第1中心軸Ax10および第2中心軸Ax14を保持する部分が保持部である。
【0037】
レバー11には、軸部11bから上記回動の径方向に離間した位置(Z方向に離間した位置)にY方向両側に向けて突出する軸部11cが設けられている(
図1では、図示の都合上、Y方向手前側の軸部11cのみを図示)。軸部11cは、レバー11に対して蓋14を回動可能に軸支する部位である。さらに、レバー11は、X方向左端かつZ方向下端にX方向左側に向けて突出する端片部11dを有する。端片部11dの機能については、後述する。
【0038】
ここで、レバー11では、操作端部11aを除く部分であって、軸部11bおよび軸部11cが設けられた部分が保持部に該当する。
【0039】
蓋パッキン13は、ゴム材料(例えば、シリコーンゴム)から形成された環状の部材である。蓋パッキン13は、蓋14の下面14aに取り付けられ、蓋14を閉じた状態で蓋14の下面14aと容器本体10の開口縁10bとの間に気密または液密に介挿される。
【0040】
蓋14は、容器本体10の開口を閉じることができるサイズで形成された略板形状の部材であって、樹脂材料(例えば、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂)で形成されている。蓋14におけるX方向右側の側壁14bの外面からは、ともにX方向右側に向けて突出し、互いにY方向に対向する2つの連結部14cが設けられている。連結部14cのそれぞれにおける対向面には、レバー11の軸部11cが嵌入される穴部14dが設けられている(
図1では、図示の都合上、Y方向手奥側の穴部14dのみを図示)。蓋14は、穴部14dに対して軸部11cが嵌入されることにより、穴部14dの中心を通る第2中心軸(蓋回転軸)Ax14廻りに回動可能である。
【0041】
蓋14におけるX方向左側の側壁14eの外面には、Z方向下側に向けて垂下するように設けられた被係合部14fが形成されている。被係合部14fは、容器本体10の係合爪部10hとの係合のための窓部を有する。
【0042】
なお、本実施形態に係る蓋付き容器1では、蓋14の上壁14gの上面に窪みをもたせている。上壁14gの窪みは、蓋付き容器1をZ方向に積み重ねた際に上方の蓋付き容器10における容器本体10の底壁10iが填まり込むように形成されている。これにより、複数の蓋付き容器1をZ方向に積み重ねた場合にも、上部の蓋付き容器1が滑り落ちるのを抑制することができる。
【0043】
弾性部材12は、ゴム材料(例えば、シリコーンゴム)から形成された部材である。
図1では、U字形状に屈曲した状態で弾性部材12を図示しているが、外力を受けていない自然状態では平板状またはL字状の部材である。弾性部材12は、容器本体10と蓋14との間に連接され、長手方向の一端部12aで容器本体10に取り付けられ、他端部12cで蓋14に取り付けられる。そして、一端部12aと他端部12cとの間の中間部12bが、外力の有無によって屈曲姿勢(
図1に示すようなU字形に屈曲された姿勢)と伸張姿勢(
図1に示す屈曲姿勢よりも伸び広がった姿勢)との間で弾性変形可能である。
【0044】
2.蓋14の開閉
蓋付き容器1における蓋14の開閉操作について、
図2を用いて説明する。
【0045】
図2(a)に示すように、容器本体10の開口が蓋14によって閉じられた状態(蓋14が閉姿勢の状態)では、容器本体10の係合爪部10hと蓋14の被係合部14fとが係合した状態になっている。この状態では、蓋14は、略水平姿勢となっており、上壁14gに設けられた窪みを利用して蓋付き容器1を上に積み重ねることが可能である。
【0046】
ユーザが蓋14を開けようとする場合には、取手10eの上方に配置されたレバー11の操作端部11aを矢印A1のようにX方向左向きに押し込む。これにより、蓋14は容器本体10の開口縁10bに沿ってスライド移動して、係合爪部10hと被係合部14fとの係合が解除される。
【0047】
図2(b)に示すように、係合爪部10hと被係合部14fとの係合が解除されると、弾性部材12が屈曲姿勢から伸張姿勢へと姿勢変化しようとして矢印A2で示すように蓋14を回動させる。なお、蓋14は、第2中心軸Ax14廻りに回動する(
図1を参照)。
【0048】
本実施形態に係る蓋付き容器1では、蓋14が取手10eの上方に位置する第2中心軸Ax14廻りに回動するので、開姿勢である場合にユーザが把持している取手10eの上方に蓋14が起立する。このため、例えば、ユーザが収容空間10aに収容された内容物を計量スプーンなどを計量して取り出そうとする場合にも、矢印A3のように蓋14によってスプーンの挿入経路が阻害されることがない。
【0049】
3.容器本体10および蓋14に対するレバー11および弾性部材12の配設構造
容器本体10および蓋14に対するレバー11および弾性部材12の配設構造について、
図3を用いて説明する。
図3は、蓋付き容器1における取手10eの上方の部分を示す断面図である。
【0050】
図3に示すように、レバー11は、容器本体10における取手10eの上方に位置する連結部10f(
図1を参照。)に回動可能に取り付けられている。レバー11は、第1中心軸Ax10廻りに回動可能である。レバー11の端片部11dは、蓋14が閉姿勢の状態で容器本体10cの側壁10cから突出するように設けられた突設部10kの下面に当接する。即ち、容器本体10の突設部10kは、レバー11の回動を所定位置で停止させるストッパとして機能する部分である。
【0051】
弾性部材12は、一端部12aが容器本体10の突設部10k上に形成された凹部10jに嵌入されている。これにより、弾性部材12は、容器本体10に取り付けられている。
【0052】
また、弾性部材12は、他端部12cが蓋14の側壁14b(
図1を参照。)に形成された凹部14hに嵌入されている。これにより、弾性部材12は、蓋14に取り付けられている。
【0053】
ここで、弾性部材12を機能面で見る場合、蓋付勢部と部材付勢部とを有する。蓋付勢部は、他端部12cと中間部12bとの間の部分であって、蓋14が開姿勢となる方向に蓋14を付勢する部分である。部材付勢部は、一端部12aと中間部12bとの間の部分であって、係合爪部10hと被係合部14fとが係合した係合位置に向けてレバー11を付勢する部分である。
【0054】
係合爪部10hと被係合部14fとが係合している状態では(
図1を参照)、弾性部材12は
図3に示す屈曲姿勢のまま姿勢維持されている。
【0055】
ユーザがレバー11の操作端部11aをX方向左側に押圧すると、レバー11は第1中心軸Ax10を中心に左回り(反時計回り)に回動する。これにより、蓋14との連結に係る軸部11cがX方向左向きにスライド移動する。このとき、蓋14は、レバー11に対して第2中心軸Ax14廻りに回動可能であるので、蓋14やレバー11に変形を生じるような力が作用することはない。
【0056】
上記のようにレバー11の軸部11cがX方向左向きにスライド移動すると、これに伴って蓋14がX方向左向きにスライド移動し、係合爪部10hと被係合部14fとの係合が解除される。
【0057】
なお、
図3に示すように、本実施形態に係る蓋付き容器10では、蓋パッキン13として中空チューブ状の部材が採用されている。このため、蓋14を閉めた際に蓋パッキン13の弾性変形により容器本体10の開口縁10bと蓋14の上壁14との間の気密性または液密性が高く確保される。
【0058】
4.蓋14を開く際の各部への力の作用
蓋14を開く際(閉姿勢から開姿勢へと蓋14の姿勢を変化させる際)の各部への力の作用について、
図4を用いて説明する。
【0059】
図4(a)に示すように、矢印B1のようにユーザがレバー11の操作端部11aを押圧すると、レバー11は、第1中心軸Ax10廻りに回動する(矢印B2)。レバー11の回動によって、第2中心軸Ax14がX方向左向きに移動する(矢印B3)。
【0060】
第2中心軸Ax14の移動に伴って、レバー11に対して連結された蓋14は、容器本体10の開口縁10bに沿ってX方向左向きにスライド移動する(矢印B4)。
図4(a)、(b)に示すように、蓋14がスライド移動すると、蓋14の被係合部14fも矢印B5のようにX方向左側へと移動する。そして、被係合部14fの移動量が所定の移動量に達すると、係合爪部10hとの係合が解除され、弾性部材12の弾性付勢力によって蓋14におけるX方向左側の部分(被係合部14fが形成された側の部分)が矢印B6で示すように押し上げられる。
【0061】
なお、上記では蓋14を開ける際の力の作用についてのみ説明したが、蓋14を閉めた状態では、弾性部材12によりレバー11に対して右回りとなる方向に付勢される。これより、ユーザがレバー11の操作端部11aを押圧しない限り、振動などで蓋14が開くのが抑制される。
【0062】
5.効果
本実施形態に係る蓋付き容器1では、ユーザによるレバー11の操作により蓋14を容器本体10の開口縁10bに沿ってスライド移動(X方向左向きにスライド移動)させることで係合爪部10hと被係合部14fとの係合状態が解除され、弾性部材12の弾性付勢力により蓋14の姿勢が閉姿勢から開姿勢へと変化する。このため、蓋付き容器1では、蓋14をスライド移動させるだけで蓋14を開くことができ、上記特許文献1に開示された蓋付き容器にようにレバー91の押上端部91eなどを設ける必要がない。よって、ユーザが蓋14の開閉動作を繰り返しても構成部品であるレバー11や蓋14などの損傷・変形を抑制することができる。
【0063】
また、蓋付き容器1では、弾性部材12が蓋14を開姿勢となる向きに弾性付勢するので、蓋14が開姿勢である場合の姿勢維持も担う。
【0064】
また、本実施形態に係る蓋付き容器1では、レバー11が容器本体10に対して第1中心軸(部材回転軸)Ax10を中心として回動可能に取り付けられ、第1中心軸Ax10と第2中心軸(蓋回転軸)Ax14とがレバー11の回動に係る径方向に離間して配置されているので、レバー11が第1中心軸Ax10廻りに回動された場合に第2中心軸Ax14がX方向(水平方向)へとスライド移動することとなる。よって、蓋付き容器1では、レバー11の回動によってAx14で回動可能に軸支された蓋14も水平方向へスライド移動される。そして、この蓋14のスライド移動により、係合爪部10hと被係合部14fとの係合が解除され、弾性部材12の弾性付勢力により蓋14が開く。よって、蓋付き容器1は、ユーザがレバー11を回動させるだけで蓋14の開閉を行うことができ、ユーザに煩わしさを感じさせ難い。
【0065】
また、本実施形態に係る蓋付き容器1では、容器本体10の側壁10cの外面に取手10eが設けられ、レバー11が取手10eの上方に配置されているので、ユーザが人差指から小指で取手10eを把持した状態で親指を使ってレバー11の操作端部11aの操作を行うことができ、ユーザにとっての利便性が高い。
【0066】
また、蓋14は第2中心軸Ax14廻りの回動により開閉するので、レバー11が取手10eの上方に配置された蓋付き容器1では、ユーザが一方の手で取手10eを把持しながらレバー11の操作を行った際に、把持した側とはX方向の反対側(取手が設けられた側とは収容空間10aを挟んだ反対側)で容器本体10の開口縁10bから蓋14が大きく離間する。このため、ユーザが蓋14を開けて収容物をスプーンなどで取り出そうとした場合に、取手10eを把持している手とは反対側の手で収容物を取り出すことができる。よって、上記特許文献1に開示の蓋付き容器9のように取手90eが設けられた側で蓋94が開く場合に比べて、ユーザが収容空間10aにアクセス容易であり、この点からも利便性が高い。
【0067】
また、本実施形態に係る蓋付き容器1では、弾性部材12が蓋付勢部(他端部12cと中間部12bとの間の部分)と部材付勢部(一端部12aと中間部12bとの間の部分)とを有するので、蓋14が開姿勢となる方向に蓋14を付勢する部材と、係合位置へ向けてレバー11を付勢する部材とを別々に設ける場合に比べて部品点数を削減することができる。よって、製造コストの低減を図ることができる。
【0068】
また、本実施形態に係る蓋付き容器1では、板状をしたゴム部材で弾性部材12が構成されているので、蓋14の開閉を繰り返しても高い弾性付勢力を維持することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る蓋付き容器1では、ユーザがレバー11の操作端部11aを操作してレバー11を回動させることで蓋14をX方向(水平方向)にスライド移動させ、これにより係合爪部10hと被係合部14fとの係合が解除されるので、ユーザは操作端部11aの操作によりレバー11を回動させるだけで蓋14をスライド移動させることができ、容易に蓋14を開姿勢とすることができる。
【0070】
また、本実施形態に係る蓋付き容器1では、レバー11が取手10eの上方に操作端部11aを有するので、ユーザによる容易な操作で蓋14が開姿勢とすることが可能である。
【0071】
また、本実施形態に係る蓋付き容器1では、樹脂材料から一体形成されたレバー11を採用するが、上述のようにレバー11に対して蓋14を開く際に大きな力はかからないので、ユーザが開閉を繰り返してもレバー11が損傷・変形するのを抑制することができる。よって、蓋付き容器1は、レバー11の製造の容易さおよび製造コストの上昇を抑制しながら、構成部品であるレバー11や蓋14の損傷・変形を抑制することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る蓋付き容器1では、簡易な操作で蓋14を開くことができるとともに、手を備えることなく蓋14が開いた状態を維持でき、且つ、構成部品であるレバー11や蓋14の損傷・変形を抑制することができる。
【0073】
[第2実施形態]
1.蓋付き容器2の概略構成
第2実施形態に係る蓋付き容器2の概略構成について、
図5を用いて説明する。
【0074】
図5に示すように、本実施形態に係る蓋付き容器2も、容器本体20と、レバー(支持部材)21と、弾性部材22と、蓋パッキン23と、蓋24と、を備える。容器本体20は、上記第1実施形態の容器本体10と同様の外観形状を有する。また、容器本体20についても、樹脂材料(例えば、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂)で形成されている。
【0075】
容器本体20における開口縁20bも、Z方向に交差する方向に沿って段差なく設けられている。容器本体20においても、X方向右側の側壁20cの外面から延びるように設けられた取手20cを有する。取手20cの根元部分には、上記第1実施形態の容器本体10と同様に、レバー21が連結される連結部20fが形成されている。連結部20fには、Y方向に離間して配置された壁部のそれぞれに孔部20gが開けられている。
【0076】
容器本体20には、側壁20cに対して収容空間20aを挟んで対向する側壁20dの外面には、Z方向上部(開口縁20bに近い部分)に被係合部20hが形成されている。なお、被係合部20hも、上記第1実施形態と同様に、蓋24との係合のために形成されているが、上記第1実施形態では容器本体10に係合爪部10hが設けられていたのに対して、本実施形態では容器本体20の被係合部20hが設けられている。この点で上記第1実施形態とは異なる。
【0077】
レバー21は、上記第1実施形態と同様に、樹脂材料(例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂)で形成されている。レバー21も、ユーザが操作する操作端部(被操作部)21aと、軸部21b,21cと、端片部21dと、を有する。なお、軸部21bおよび軸部21cは、それぞれがY方向両側に向けて突出するように形成されている(
図5では、図示の都合上、Y方向手前側の軸部21b,21cのみを図示)。軸部21bは、容器本体20における連結部20fの孔部20gに対して回動可能に嵌入される。レバー21も、容器本体20に対して孔部20gの中心を通る第1中心軸(部材回転軸)Ax20廻りに回動可能である。軸部21cは、軸部21bから上記回動の径方向に離間した位置(Z方向に離間した位置)に配置されており、蓋24を回動可能に軸支する。
【0078】
ここで、レバー21においても、操作端部21aを除く部分であって、軸部21bおよび軸部21cが設けられた部分が保持部に該当する。
【0079】
蓋パッキン23は、上記第1実施形態の蓋パッキン13と同様に、ゴム材料(例えば、シリコーンゴム)から形成された環状の部材であって、蓋24の下面24aに取り付けられる。蓋パッキン23は、蓋24を閉じた状態で蓋24の下面24aと容器本体20の開口縁20bとの間に気密または液密となるように介挿される。
【0080】
蓋24は、容器本体20の開口を閉じることができるサイズで形成された略板形状の部材であって、樹脂材料(例えば、AS(アクリロニトリル・スチレン)樹脂、PS(ポリスチレン)樹脂)で形成されている。蓋24におけるX方向右側の側壁14bの外面からは、X方向右側に向けて突出するように連結部24cが設けられている。連結部24cにおけるY方向の中程部分は中空となっており、Y方向両側の壁部には、レバー21の軸部21cの嵌入を受け入れる穴部が形成されている(図示を省略)。蓋24は、連結部24cの穴部に対して軸部21cが嵌入されることにより、穴部の中心を通る第2中心軸(蓋回転軸)Ax24廻りに回動可能である。
【0081】
蓋12におけるX方向左側の側壁24eの外面には、容器本体20の被係合部20hと係合可能な係合爪部24fが形成されている。
【0082】
本実施形態に係る蓋付き容器2でも、蓋24の上壁24gの上面に窪みをもたせている。これにより、上壁24gの窪みは、同形状の蓋付き容器2をZ方向に積み重ねた際に上方の蓋付き容器20における容器本体20の底壁20iが填まり込むように形成されている。これにより、複数の蓋付き容器2をZ方向に積み重ねた場合にも、上部の蓋付き容器2が滑り落ちるのを抑制することができる。
【0083】
弾性部材22は、ゴム材料(例えば、シリコーンゴム)から形成された一体部材である。
図5でも、U字形状に屈曲した状態で弾性部材22を図示しているが、外力を受けていない自然状態では平板状またはL字状の部材である。弾性部材22は、容器本体20と蓋24との間に連接され、長手方向の一端部22aで容器本体20に取り付けられ、他端部22cで蓋24に取り付けられる。そして、一端部22aと他端部22cとの間の中間部22bが、外力の有無によって屈曲姿勢(
図5に示すようなU字形に屈曲された姿勢)と伸張姿勢(
図5に示す屈曲姿勢よりも伸び広がった姿勢)との間で弾性変形可能である。
【0084】
上記構成を有する蓋付き容器2においても、ユーザがレバー21の操作端部21aを操作することで蓋24がX方向にスライド移動して蓋24を開けることができる。ただし、本実施形態では、ユーザがレバー21の操作端部21aをX方向右側に引くことで蓋24が開く構成となっている。詳細については後述する。
【0085】
2.容器本体20および蓋24に対するレバー21および弾性部材22の配設構造
容器本体20および蓋24に対するレバー21および弾性部材22の配設構造について、
図6を用いて説明する。
【0086】
図6に示すように、レバー21は、容器本体20における取手20eの上方に位置する連結部20f(
図5を参照。)に回動可能に取り付けられており、第1中心軸Ax20廻りに回動可能である。レバー21の端片部21dは、蓋24が閉姿勢の状態で容器本体20cの側壁20cからX方向右側に環状に突出形成された環部20kに対して弾性部材22における一端部22aの一部を挟むように配置される。
【0087】
弾性部材22は、一端部22aが容器本体20の側壁20cの外面と環部20kとの間の隙間20jにZ方向下向きに嵌入されている。これにより、弾性部材22は、容器本体20に取り付けられている。弾性部材22と蓋24との取付構造は、上記第1実施形態と同様に、弾性部材22の他端部22cが蓋24の側壁14b(
図5を参照。)に形成された凹部24hに嵌入されることでなされている。
【0088】
容器本体20の被係合部20hと蓋24の係合爪部24fとが係合している状態では(
図5を参照)、弾性部材22は
図6に示す屈曲姿勢のまま姿勢維持されている。
【0089】
蓋24は、レバー21の軸部21cを通る第2中心軸Ax24廻りに回動可能な状態でレバー21に対して取り付けられている。
【0090】
なお、
図6に示すように、本実施形態に係る蓋付き容器20においても、蓋パッキン23として中空チューブ状の部材が採用されている。これにより、上記第1実施形態と同様に、蓋24を閉めた際の容器本体20の開口縁20bと蓋24の上壁24との間での気密性または液密性が高く確保される。
【0091】
3.蓋24を開く際の各部への力の作用
蓋24を開く際(閉姿勢から開姿勢へと蓋24の姿勢を変化させる際)の各部への力の作用について、
図7を用いて説明する。
【0092】
図7(a)に示すように、矢印C1のようにユーザがレバー21の操作端部21aをX方向右向きに引くと、レバー21は、第1中心軸Ax20廻りに右回りに回動する(矢印C2)。なお、この際に端片部21dと環部20kとの間で弾性部材22の一端部22aの一部が圧縮されるので、レバー21に対しては左回りに戻そうとする反力(矢印C2と逆向きの反力)が生じる。
【0093】
レバー21の回動によって、第2中心軸Ax24がX方向右向きに移動する(矢印C3)。
【0094】
第2中心軸Ax24の移動に伴って、レバー21に対して連結された蓋24は、容器本体20の開口縁20bに沿ってX方向右向きにスライド移動する(矢印C4)。
図7(a)、(b)に示すように、蓋24がX方向右向きにスライド移動すると、蓋24の係合爪部24fも矢印C5のようにX方向右側へと移動する。そして、係合爪部24fの移動量が所定の移動量に達すると、容器本体20の被係合部20hとの係合が解除され、弾性部材22の弾性付勢力によって蓋24におけるX方向左側の部分(係合爪部24fが形成された側の部分)が矢印C6で示すように押し上げられる。
【0095】
なお、本実施形態に係る蓋付き容器2においても、蓋24を閉めた状態では、弾性部材22によりレバー11に対して左回りとなる方向に付勢される。これより、ユーザがレバー21の操作端部21aを引かない限り、振動などで蓋24が開くのが抑制される。
【0096】
以上説明の蓋付き容器2についても、ユーザによる操作端部21aの操作方向の違いはあるが、上記第1実施形態に係る蓋付き容器1と同様の効果を得ることができる。
【0097】
[変形例]
上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、ユーザがレバー11,21の操作端部11a,21aを操作することでレバー11,21を回動させて蓋14,24が開く構成を採用したが、本発明では、レバー11,21を必ずしも回動させなくてもよい。例えば、容器本体に対してX方向(水平方向)にスライド移動可能なレバーを備える構成を採用してもよい。このようにレバーを容器本体に対してスライド移動させることにより、レバーとともに蓋もスライド移動され、係合が解除されて蓋を開姿勢とできる。
【0098】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、レバー11,21が容器本体10,20における取手10e,20eの上方に位置する構成としたが、本発明では、レバー11,21の配置位置について、これに限定されるものではない。例えば、
図1や
図5において、容器本体10,20におけるY方向に位置する側壁の近傍に配置することも可能であるし、取手10e,20eが設けられた側とは収容空間10a,20aを挟んだ反対側に配置することも可能である。
【0099】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、レバー11,21の操作により蓋14,24が容器本体10,20の開口縁10b,20bに沿って水平方向(X方向)にスライド移動する構成としたが、本発明では、蓋の移動方向については必ずしも容器本体の開口縁に沿った方向でなくてもよい。例えば、容器本体の開口縁が拡がる方向に対して交差する方向に蓋がスライド移動する構成としてもよい。
【0100】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、蓋パッキン13,23を備える構成を採用したが、本発明では、蓋パッキン13,23は必須の構成ではない。また、上記第1実施形態および上記第2実施形態では、中空チューブ状の蓋パッキン13,23を採用したが、本発明では、中実の蓋パッキンを採用することも可能である。
【0101】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、レバー11,21の軸部11c,21cを通る第2中心軸Ax14,Ax24廻りに蓋14,24が回動する構成を採用したが、本発明では、蓋の回動形態についてこれに限定を受けるものではない。即ち、蓋の回動に係る第2中心軸については、容器本体の開口縁近傍の何れかの箇所に配されていればよい。具体的に、
図1,5において、X方向左側の部分に第2中心軸が位置してもよいし、Y方向の手前側または奥側にX方向に延びる第2中心軸が位置してもよい。
【0102】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、係合爪部10h,24fおよび被係合部14f,20hをレバー11,21が配されたのとは反対側に配置させることとしたが、本発明は、係合爪部および被係合部の配置形態についてこれに限定を受けない。例えば、
図1,5において、Y方向の手前側および奥側の少なくとも一方に配置してもよい。
【0103】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、弾性部材12,22をゴム材料からなる部材としたが、本発明では、板バネや捩りスプリングなどを弾性部材として採用することも可能である。
【0104】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、容器本体10,20、レバー11,21、および蓋14,24を樹脂材料からなる部材としたが、本発明では、これらの部材の一部あるいは全部を金属(例えば、ステンレス)などから構成することも可能である。
【0105】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、外観形状を直方体としたが、本発明は、蓋付き容器の外観形状について円柱状や台錐状などとすることも可能である。
【0106】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、蓋パッキン13,23と弾性部材12,22とを別部材としたが、本発明では、蓋パッキンと弾性部材とを一体に構成することも可能である。
【0107】
また、上記第1実施形態および上記第2実施形態の蓋付き容器1,2では、容器本体10,20の収容空間10a,20aには部材が設けられていない構成を採用したが、本発明では、容器本体の収容空間内に用途に応じた種々の部材を配置することも可能である。例えば、容器本体における収容空間内の開口縁に近い部分に、計量スプーンで掬った粒状物等のすり切りを行うためのすり切り部を配設することも可能である(一例として、特許第4226727号公報に開示のすり切り部)。
【符号の説明】
【0108】
1,2 蓋付き容器
10,20 容器本体
10e,20e 取手
10h,24f 係合爪部(係合部)
11,21 レバー(支持部材)
11a,21a 操作端部
11b,11c,21b,21c 軸部
12,22 弾性部材
13,23 蓋パッキン
14,24 蓋
14f,20h 被係合部
Ax10,Ax20 第1中心軸(部材回転軸)
Ax14,Ax24 第2中心軸(蓋回転軸)