(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126451
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20240912BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034833
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(72)【発明者】
【氏名】濱島 哲磨
(72)【発明者】
【氏名】三浦 賢
(72)【発明者】
【氏名】仙道 要
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260BA52
3L260CB20
3L260GA17
3L260JA15
(57)【要約】
【課題】
冷媒の漏洩を検知し、ユーザーの安全を確保できる信頼性にすぐれた空気調和システムを提供することである。
【解決手段】
実施形態の空気調和システムは、圧縮機と、熱交換器と、を備える熱源ユニットと、膨張装置と、熱交換器と、を備える利用側ユニットと、熱源ユニットと利用側ユニットとを制御するコントローラと、を備える。コントローラは、冷媒が漏洩しているかを判定する漏洩判定部と、漏洩判定部によって判定された漏洩判定結果を少なくとも1日1回記録する漏洩記録部と、漏洩判定結果を外部へ出力する外部出力部と、を備え、漏洩判定結果が「漏洩」である場合、外部出力部によって漏洩判定結果を空気調和対象空間の外にいるユーザーへ通知する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、熱交換器と、を備える熱源ユニットと、
膨張装置と、熱交換器と、を備える利用側ユニットと、
前記熱源ユニットと前記利用側ユニットとを制御するコントローラと、を備える、空気調和システムにおいて、
前記コントローラは、冷媒が漏洩しているかを判定する漏洩判定部と、
前記漏洩判定部によって判定された漏洩判定結果を少なくとも1日1回記録する漏洩記録部と、
前記漏洩判定結果を外部へ出力する外部出力部と、を備え、
前記漏洩判定結果が「漏洩」である場合、前記外部出力部によって前記漏洩判定結果を空気調和対象空間の外にいるユーザーへ通知する、空気調和システム。
【請求項2】
前記外部出力部は、前記熱源ユニットに備えられる、請求項1に記載に空気調和システム。
【請求項3】
前記外部出力部は、前記利用側ユニットに備えられるアダプタに備えられる、請求項1に記載に空気調和システム。
【請求項4】
前記外部出力部は、前記熱源ユニットからインターフェースを介して通知手段に信号を送信する、請求項2に記載に空気調和システム。
【請求項5】
前記外部出力部は、前記利用側ユニットに備えられるアダプタからインターフェースを介して通知手段に信号を送信する、請求項3に記載に空気調和システム。
【請求項6】
前記外部出力部は、前記熱源ユニットから通知手段に無電圧接点、請求項2に記載に空気調和システム。
【請求項7】
前期漏洩記録部は、前記熱源ユニットに備えられる、請求項1に記載に空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機は、圧縮機、凝縮器、減圧器、蒸発器を順次に接続して冷媒を循環させる冷凍サイクルを備える。空気調和機には、冷凍サイクルに充填される冷媒の漏洩を検知する、冷媒漏洩検知器が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の冷媒漏洩検知器は、冷媒の漏洩を空気調和対象空間の外にいるユーザーに対して通知することを急務としていなかった。
【0005】
本発明の実施形態の目的は、冷媒の漏洩を検知し、ユーザーの安全を確保できる信頼性にすぐれた空気調和システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空気調和システムは、圧縮機と、熱交換器と、を備える熱源ユニットと、膨張装置と、熱交換器と、を備える利用側ユニットと、熱源ユニットと利用側ユニットとを制御するコントローラと、を備える。コントローラは、冷媒が漏洩しているかを判定する漏洩判定部と、漏洩判定部によって判定された漏洩判定結果を少なくとも1日1回記録する漏洩記録部と、漏洩判定結果を外部へ出力する外部出力部と、を備え、漏洩判定結果が「漏洩」である場合、外部出力部によって漏洩判定結果を空気調和対象空間の外にいるユーザーへ通知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の冷凍サイクルの概略構成図である。
【
図2】実施形態1に係る、空気調和システムに関する説明図である。
【
図3】実施形態1に係る、冷媒の漏洩判定結果のユーザーへの通知に関するフローチャート図である。
【
図4】実施形態の冷媒の漏洩判定結果の記録に関するフローチャート図である。
【
図5】実施形態2に係る、空気調和システムに関する説明図である。
【
図6】実施形態2に係る、冷媒の漏洩判定結果のユーザーへの通知に関するフローチャート図である。
【
図7】実施形態3に係る、空気調和システムに関する説明図である。
【
図8】実施形態3に係る、冷媒の漏洩判定結果のユーザーへの通知に関するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の空気調和機について、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に関する冷凍サイクルの概略構成図を示す。
【0010】
図1に示すように、空気調和機10は、熱源ユニットAと、利用側ユニットBと、が接続配管7によって接続されることで構成される。熱源ユニットAは、圧縮機2と、室外熱交換器(熱交換器)4と、を備える。利用側ユニットBは、膨張装置5と、室内熱交換器(熱交換器)6と、を備える。
空気調和機10を構成する冷凍サイクル1は、圧縮機2と、四方弁3と、室外熱交換器(熱交換器)4と、膨張装置5と、室内熱交換器(熱交換器)6と、の順に、それぞれ冷媒配管7によって接続されることで構成される。
図1では、冷房運転時の冷媒の流通方向は実線矢印で示す。暖房運転時の冷媒の流通方向は破線矢印で示す。
【0011】
圧縮機2は、圧縮機本体2Aと、アキュムレータ2Bと、を備える。圧縮機本体2Aは、内部に取り込まれる低圧の気体冷媒を圧縮して高温・高圧の気体冷媒にする。アキュムレータ2Bは、気液二相冷媒を分離して、気体冷媒を圧縮機本体2Aに供給する。
【0012】
四方弁3は、冷媒の流通方向を逆転させ、冷房運転と暖房運転とを切り替える。冷房運転時に、冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室外熱交換器4、膨張装置5、室内熱交換器6の順に流れる。このとき、室外熱交換器4は凝縮器として機能する。室内熱交換器6は蒸発器として機能する。
【0013】
暖房運転時に、冷媒は、圧縮機2、四方弁3、室内熱交換器6、膨張装置5、室外熱交換器4の順に流れる。このとき、室内熱交換器6は凝縮器として機能する。室外熱交換器4は蒸発器として機能する。
【0014】
凝縮器は、圧縮機2から吐出される高温・高圧の気体冷媒を、外気へ放熱させて凝縮させることにより、高圧の液体冷媒にする。膨張装置5は、凝縮器から送り込まれる高圧の液体冷媒の圧力を下げ、低温・低圧の気液二相冷媒にする。蒸発器は、膨張装置5から送り込まれる低温・低圧の気液二相冷媒を、外気から吸熱させて気化させることにより、低圧の気体冷媒にする。
【0015】
冷凍サイクル1では、作動流体である冷媒は気体冷媒と液体冷媒との間で相変化しながら循環する。冷媒は、気体冷媒から液体冷媒に相変化する過程で放熱する。冷媒は、液体冷媒から気体冷媒に相変化する過程で吸熱する。冷凍サイクル1は、冷媒の放熱または吸熱を利用して、暖房、冷房、除霜などを行う。
【0016】
空気調和機10は、熱源ユニットAと、利用側ユニットBとを制御するコントローラ30を備える。このコントローラ30には、リモートコントロール式の操作器36、手操作式のリセットスイッチ37、および商用交流電源41に接続されるインバータ40が接続される。
【0017】
操作器36は、当該冷凍サイクル1が搭載される空気調和機10の運転条件設定を行う。
リセットスイッチ37は、オン操作がされることで計測状況をリセットする。
インバータ40は、商用交流電源41の交流電圧を整流により直流電圧に変換し、その直流電圧をスイッチングにより所定周波数F(Hz)およびその所定周波数Fに応じたレベルの交流電圧に変換し出力する。このインバータ40の出力が、圧縮機1内のモータに駆動電力として供給される。
【0018】
図2は、実施形態1に関する空気調和システムに関する説明図を示す。
【0019】
図2に示すように、空気調和システム100は、熱源ユニットAと利用側ユニットBと、からなる、空気調和機10と、コントローラ30と、インターフェース(以下、IF)31と、通知手段32と、を備える。空気調和システム100は、通信網33を介してクラウド34や携帯端末とデータの送受信が可能である。本実施形態では、1つの熱源ユニットに対して1つの利用側ユニットを設けているが、これに限らず、1つの熱源ユニットに対して複数の利用側ユニットが備えられていてもよいし、複数の熱源ユニットに対して複数の利用側ユニットが備えられる構造でもよい。
【0020】
コントローラ30は、空気調和機10を制御する。詳しくは、コントローラ30は、空気調和機10である、利用側ユニットBおよび熱源ユニットAに対してそれぞれ制御を行う。コントローラ30と空気調和機10との通信方式については、コントローラ30と空気調和機10とが通信可能なものであればよく、例えばModbusなど汎用的なプロトコルを用いてもよい。
【0021】
コントローラ30は、主要な機能として開度制御部301、漏洩検出部302、更新部303、漏洩判定部304、漏洩記録部305、外部出力部306、警告通知部307とを有するとともに、データ記憶用の不揮発性のメモリ308を内蔵している。
【0022】
開度制御部301は、蒸発器における冷媒の過熱度が目標値に一定となるように、膨張弁4の開度を制御する(過熱度一定値制御)。蒸発器は、冷房時が室内熱交換器6であり、暖房時が室外熱交換器4である。過熱度は、例えば室外熱交換器4や、室内熱交換器6の冷房時冷媒流入側となる位置である、四方弁3とアキュムレータ2Bとの間の配管などに設けられる、それぞれの温度センサの検知温度などによって算出される。
【0023】
漏洩検出部302は、冷凍サイクル1に冷媒の漏洩がない場合の膨張弁4の開度Qmを、冷凍サイクル1の状態変化量に基づいて予測し、この予測した開度Qmと膨張弁4の実際の開度Qaとの比較により、冷凍サイクル1における冷媒の漏洩状態を検出する。
【0024】
具体的には、漏洩検出部302は、冷凍サイクル1の運転初期における膨張弁4の開度Qxをメモリ308に記憶するとともに、その運転初期における冷凍サイクル1の状態量を初期状態量(初期運転状態量ともいう)としてメモリ308に記憶する。漏洩検出部302は、上記記憶した初期状態量と冷凍サイクル1の現運転時の状態量(現状態量ともいう)との差を、状態変化量として検出する。漏洩検出部302は、冷凍サイクル1に冷媒の漏洩がない場合の膨張弁4の開度Qmを、上記検出した状態変化量に基づいて予測(推定ともいう)する。そして、漏洩検出部302は、冷凍サイクル1における冷媒の漏洩を、上記予測した開度Qmと膨張弁4の実際の開度Qaとの差に応じて、検出する。
【0025】
上記予測した開度Qmのことを、以下、予測開度(または推定開度)Qmと称す。この予測開度Qmは、冷凍サイクル1に冷媒の漏洩がないことを前提とした場合に、冷凍サイクルの1現運転時に膨張弁4が至る筈の開度である。
【0026】
上記初期状態量は、リセットスイッチ37がオン操作されてから設定時間(例えば10時間乃至50時間)が経過した時点における運転周波数,凝縮温度,蒸発温度,過熱度等の少なくとも1つである。
冷凍サイクル1の現運転時の状態量は、冷凍サイクル1の現運転時における運転周波,凝縮温度,蒸発温度,過熱度の少なくとも1つである。
例えば、漏洩検出部302は、初期状態量として記録する運転周波数,凝縮温度,蒸発温度,過熱度の少なくとも1つに対応して、現運転時の状態量として運転周波数,凝縮温度,蒸発温度,過熱度の少なくとも1つを抽出する。
【0027】
更新部303は、メモリ308内の初期状態量をリセットスイッチ37のオン操作に応じて更新する。
【0028】
漏洩判定部304は、初期状態量と現運転時の状態量とを比較して、冷媒漏洩量の割合が30%以上の場合に、「漏洩」である判定を行う。本実施形態では、漏洩判定部304は、冷媒の初期封入状態での膨張弁予測開度と、実際の膨張弁開度とを比較し、冷媒漏洩量の割合を算出し、冷媒が漏洩しているか否かを判定する。
【0029】
漏洩判定部304は設定時間毎に冷媒の漏洩状態を判定しており、冷媒が漏洩している場合は、「漏洩」である判定を行い、漏洩判定結果をコントローラ30から外部、例えばクラウド34へ送信し、ユーザーに通知する。本実施形態では、冷媒の漏洩判定結果は、漏洩判定部304により冷媒漏洩量が30%以上の場合に、「漏洩」である判定がなされ、送信される情報であるが、この限りではなく、冷媒が漏洩していない情報を送信してもよい。例えば、漏洩判定部304において「非漏洩」の判定が行われる場合、「非漏洩」の漏洩判定結果を送信してもよい。また、漏洩判定結果として、毎日1回「漏洩」か「非漏洩」かの判定結果を送信してもよい。
さらに、漏洩判定結果に伴い、冷媒の漏洩判定を行う際に使用する冷媒漏洩量の割合データ結果を、設定時間毎に送信してもよい。
【0030】
漏洩記録部305は、「漏洩」か「非漏洩」かの情報、すなわち冷媒の漏洩判定結果を、少なくとも1日1回記録する。
漏洩判定部304によって冷媒が漏洩していると判定された場合は、熱源ユニットAの基板に「漏洩」を記録する。また、漏洩判定部304によって、24時間、冷媒が漏洩していると判定されない場合は、「非漏洩」を記録する。記録方法としては、例えば、漏洩を「1」とし、非漏洩を「0」として記録する。熱源ユニットAの基板には、400日分の漏洩判定結果を記録することが可能であり、400日を超えた401日目のデータは1日目のデータに上書きされて更新する。このように、漏洩判定結果は、永久的に記録が行われる。
【0031】
漏洩記録部305は、日づけカウンターと、時刻カウンターと、を備える。
日づけカウンターは、例えばNとMの2つの文字によって計測される。時刻カウンターは、内蔵される時刻計測器により計測されてもよいし、電波により時刻を受信するものでもよい。本実施形態では、日づけカウンターと時刻カウンターによって、1日1回の冷媒の漏洩判定結果を記録する。
【0032】
外部出力部306は、空気調和機の情報をIF31に出力する。詳しくは、熱源ユニットAから送信される点検コードを、IFに出力する。実施形態1では、外部出力部306は、熱源ユニットAに備えられる。熱源ユニットAからIF31に送信される点検コードは、冷媒の漏洩判定結果である。
【0033】
警告通知部307は、漏洩判定部304において「漏洩」である判定がされた場合に、操作器36に警告を表示するように指示する信号を送る。
【0034】
メモリ308は、上述したように、冷凍サイクル1の運転初期における膨張弁4の開度Qxや、その運転初期における冷凍サイクル1の状態量などを記憶する。
【0035】
通知手段32は、IF31からの冷媒の漏洩判定結果を受け取り、通信網33に接続する。通知手段32は、IF31から送信される信号を通信網33に送信するために使用される。詳しくは、IF31から、例えばRS485で通知手段32に冷媒の漏洩判定結果を送信し、通知手段32はIF31 からの冷媒の判定結果を受信する。その後、通知手段32は通信網33を介してクラウド34に冷媒漏洩判定結果を送信する。
【0036】
通信網33は、例えばユーザーが使用するスマートフォンやタブレットなどの携帯端末35が使用するインターネットの通信網33である。通信網33は、インターネットの通信網に限らず、無線LAN(Local Area Network)やLTE-M(Long Term Evolution for machine-type-communication)などであってもよい。
【0037】
クラウド34は、通知手段32から通信網33を通じて出力される冷媒の漏洩判定結果を受信する。詳しくは、クラウド上に冷媒の漏洩判定結果が記録され、例えばアプリケーションを通じて、ユーザーが使用する携帯端末35に、冷媒の漏洩判定結果の開示などが行われる。
冷媒の漏洩判定結果の開示方法としては、例えば、「漏洩」である旨を、携帯端末35にインストールされているアプリケーションによって通知してもよいし、メールなどを使って通知してもよい。
また、冷媒の漏洩判定結果は、冷媒の「漏洩」のみが記録・開示されてもよいし、冷媒の「漏洩」「非漏洩」の判定結果がそれぞれ記録・開示されてもよい。さらに、冷媒漏洩量の割合データはグラフなどにより開示されてもよい。
【0038】
図3は、実施形態1に係る、冷媒の漏洩判定結果のユーザーへの通知に関するフローチャート図を示す。
図3を用いて、冷媒の漏洩判定部304が「漏洩」の判定をしてから、ユーザーに通知を出すまでの流れを説明する。
【0039】
まず、漏洩判定部304にて、「漏洩」の判定がされる場合(Step1)、熱源ユニットAからIF31に、コントローラ30の外部出力部306によって、冷媒の漏洩判定結果である、点検コードが送信される。また、空気調和機10に備わる操作器36には、コントローラ30の警告通知部307によって、冷媒が漏洩している警告を表示する。(Step2)
その後、熱源ユニットAからIF31に、外部出力部306によって送信された点検コードは、IF31からRS485信号に変換され、通知手段32に送信される。(Step3)
その後、IF31から通知手段32に送信されたRS485信号は、通知手段32から通信網33を通じてクラウド34に送信される。(Step4)
そして、クラウド34に送信された冷媒の漏洩判定結果は、アプリケーションなどを通じて、例えば携帯端末35を持つユーザーに通知を表示する。(Step5)
【0040】
上記のように、通信網33またはクラウド34を介して冷媒の漏洩判定結果を、携帯端末35を持つユーザーに通知することで、冷媒の漏洩判定結果が「漏洩」と判断される場合に、空調対象空間の外や遠隔地にいるユーザーにも速やか冷媒が漏洩したことを通知することができる。
【0041】
図4は、実施形態の冷媒の漏洩判定結果の記録に関するフローチャート図を示す。
図4を用いて、漏洩判定部304によって判定された冷媒の漏洩判定結果を、漏洩記録部305に記録をするまでの流れを説明する。
【0042】
図4に示すように、まず、コントローラ30に備わる漏洩記録部305において、日づけカウンターの設定を、Nを1、Mを0とする。(step11)
その後、400(M+1)>N?の式に、NおよびMの値を代入し、左辺の方が大きい場合(Step12のYES)、漏洩判定(Step13)に進む。右辺の方が大きい場合(Step12のNO)、M+1→Mとして(Step18)、漏洩判定(Step13)に進む。
【0043】
漏洩判定部304の判定結果において、「漏洩」である場合(Step13のYES)、n番目を、n=N-400Mとして熱源ユニットAの基板に「漏洩」を記録する。(Step14)
その後、時刻カウンターが0:00でない場合(Step15のNO)は、時刻カウンターが0:00になるまで待ち(Step15)、時刻カウンターが0:00となる場合(Step15のYES)、N+1をNとする(Step16)。
【0044】
漏洩判定部304において、漏洩判定結果が「非漏洩」の場合(Step13のNO)、そして時刻カウンターが23:59でない場合(Step19のNO)、再び漏洩判定部304における、冷媒の漏洩判定を行う。(Step13)
漏洩判定を繰り返し、漏洩判定部304において、漏洩判定結果が「非漏洩」の場合(Step13のNO)、かつ、時刻カウンターが23:59となる場合(Step19のYES)、n番目を、n=N-400Mとして熱源ユニットの基板に「非漏洩」を記録する。(Step20)その後、時刻カウンターが0:00になるのを待って(Step15)、時刻カウンターが0:00となる場合(Step15のYES)、N+1をNとする(Step16)。
【0045】
N+1をNにした後(Step16)、かつ、冷媒の漏洩判定の記録が中止されない場合(Step17のNO)、Step2にもどり、400(M+1)>N?の式に、NおよびMの値を代入し、再び冷媒の漏洩判定を行う。
冷媒の漏洩判定の記録が中止される場合(Step17のYES)、記録を中止する。
【0046】
上記のように冷媒の漏洩判定結果が記録される。このように、冷媒の判定結果が1日1回記録されることで、過去の冷媒の漏洩判定結果を確認することができる。
【0047】
(実施形態2)
図5および
図6を用いて、実施形態2について説明する。
図5は、実施形態2に係る、の空気調和システムに関する説明図を示す。
図6は、実施形態2に係る、冷媒の漏洩判定結果のユーザーへの通知に関するフローチャート図を示す。
【0048】
実施形態2では、
図5に示すように、実施形態1における利用側ユニットBにアダプタ50が付く場合における、冷媒の漏洩判定結果の通知手順について、説明する。
【0049】
コントローラ60には、点検コード送信部609、点検コード受信部610、そして、外部出力部606を備える。
また、他の構成、制御、および効果は実施形態1と同じである。そのため、その説明は省略する。
【0050】
図5に示すように、点検コード送信部609は、点検コードを熱源ユニットAから利用側ユニットBに出力する。詳しくは、熱源ユニットAからから送信される点検コードを、点検コード送信部609は、利用側ユニットBに出力する。熱源ユニットAから送信される点検コードは、例えば漏洩判定部304により冷媒が漏洩したという判定がなされた際に送信される冷媒の漏洩情報である。
【0051】
点検コード受信部610において、利用側ユニットBは熱源ユニットAから点検コードを受信する。
【0052】
外部出力部606は、空気調和機10の情報をIF31に出力する。詳しくは、利用側ユニットBから送信される点検コードを、IF31に出力する。実施形態2では、外部出力部606は、利用側ユニットBのアダプタ50に備えられる。熱源ユニットAから送信される点検コードは、例えば漏洩判定部304により冷媒が漏洩したという判定がなされた際に送信される冷媒の漏洩情報である。
【0053】
次に、
図6を用いて、冷媒の漏洩判定部304が「漏洩」の判定をしてから、ユーザーに通知を出すまでの流れを説明する。
【0054】
まず、漏洩判定部304において、「漏洩」の判定がされる場合(Step31)、熱源ユニットAから利用側ユニットBに備わるアダプタ50に、点検コードが送信される。すなわち、コントロー60に備わる点検コード送信部609によって、熱源ユニットAから利用側ユニットBに備わるアダプタ50に点検コードが送信される。利用側ユニットBに備わるアダプタ50は、点検コード受信部610によって熱源ユニットAからの点検コードを受信する。
また、空気調和機10に備わる操作器36にも、コントローラ60に備わる警告通知部307によって、冷媒が漏洩している警告を表示する。(Step32)
【0055】
その後、利用側ユニットBに備わるアダプタ50から外部出力部606を介して、点検コードがIF31に送信される。(Step33)
利用側ユニットBからIF31に送信された点検コードは、IF31からRS485信号に変換され、通知手段32に送信される。(Step34)
その後、IF31から通知手段32に送信されたRS485信号は、通知手段32から通信網33を介してクラウド34に送信される。(Step35)
そして、クラウド34に送信された冷媒の漏洩判定結果は、アプリケーションなどを通じて、例えば携帯端末35を使用するユーザーに通知される。(Step36)
【0056】
上記のように、利用側ユニットBにアダプタ50を備える機種に対しては、アダプタ50を介して冷媒の漏洩判定結果をユーザーに通知することができる。
そのため、機種ごとに対応した、冷媒の通知方法を選択することができる。
【0057】
また、利用側ユニットBにアダプタ50を備えていても、アダプタ50を介さないで冷媒の漏洩判定結果をユーザーに警告通知することもできる。
そのため、アダプタ50を備える機種とアダプタ50を備えない機種が混在している場合でも、冷媒の漏洩判定結果の通知方法を同じにすることができる。
【0058】
(実施形態3)
図7および
図8を用いて、実施形態3について説明する。
図7は、実施形態3に係る、空気調和システムに関する説明図を示す。
図8は、実施形態3に係る、冷媒の漏洩判定結果の通知に関するフローチャート図を示す。
【0059】
実施形態3では、実施形態1におけるIF31を備えない構成である。すなわち、コントローラ70と、通知手段32とが直接つながる構成の場合における、冷媒の漏洩判定結果のユーザーへの通知手段について、説明する。
【0060】
図7に示すように、コントローラ70には、外部出力部706を備える。
また、他の構成、制御、および効果は実施形態1と同じである。そのため、その説明は省略する。
【0061】
図7に示すように、本実施形態における外部出力部706では、漏洩判定部304によって「漏洩」の判定をされた、空気調和機10における冷媒の漏洩判定結果を通知手段32に直接出力する。実施形態3では、外部出力部706は、熱源ユニットAに備えられる。
詳しくは、外部出力部706は、熱源ユニットAの無電圧接点を介して通知手段32に出力する。熱源ユニットAの無電圧接点は、漏洩判定部304により冷媒が漏洩したという判定がなされた際に動作し、、この動作を受けて通知手段32が通信網33に送信する。
【0062】
次に、
図8を用いて、冷媒の漏洩判定部304が「漏洩」の判定をしてから、ユーザーに通知を出すまでの流れを説明する。
【0063】
まず、「漏洩」の判定がされる場合(Step41)、熱源ユニットAの無電圧接点が動作し、通知手段32から冷媒が漏洩したことが通信網33に送信される。また、空気調和機10に備わる操作器31にも、コントローラ70に備わる警告通知部307によって、冷媒が漏洩している警告を表示する。(Step42)
【0064】
その後、通知手段32から通信網33を介してクラウド34に冷媒漏洩判定結果が送信される。(Step43)
そして、クラウド34に送信された冷媒の漏洩判定結果は、アプリケーションなどを通じて、例えば携帯端末35を使用するユーザーに通知を表示する。
【0065】
上記のように、利用側ユニットAから、外部出力部706を通じて、直接、通知手段32に冷媒の漏洩判定結果を送信することができる。
このことにより、IF31を介さなくてもユーザーに冷媒の漏洩判定結果を警告通知することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…冷凍サイクル、2…圧縮機、4…室外熱交換器、5…膨張装置、6…室内熱交換器、10…空気調和機、30…コントローラ、100…空気調和システム、304…漏洩判定部、305…漏洩記録部、306…外部出力部、A…熱源ユニット、B…利用側ユニット