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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126465
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】加速度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01P 15/125 20060101AFI20240912BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G01P15/125 Z
G01P15/08 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034849
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】西ノ原 大介
(57)【要約】
【課題】センサの感度を向上させることができる加速度センサを提供する。
【解決手段】加速度センサ1は、基板10、基板10に厚さ方向に移動可能に支持された第1質量部20と、第1質量部20を基板10に支持する梁部30とを備える。梁部30は、第1質量部20より質量が小さい第2質量部40と、第1質量部20と第2質量部40とを連結する第1バネ部31と、第1バネ部31よりばね定数が小さく第2質量部40と基板10とを連結する第2バネ部32とを有する。第2質量部40に、基板10の厚さ方向の加速度を検出するセンサ素子2の可動電極51が設けられ、基板10に、センサ素子2の固定電極52が設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に前記基板の厚さ方向に移動可能に支持された第1質量部と、
前記第1質量部を前記基板に支持する梁部と、
を備え、
前記梁部は、
前記第1質量部より質量が小さい第2質量部と、
前記第1質量部と前記第2質量部とを連結する第1バネ部と、
前記第1バネ部よりばね定数が小さく前記第2質量部と前記基板とを連結する第2バネ部とを有し、
前記第2質量部に、前記基板の厚さ方向の加速度を検出するセンサ素子の可動電極が設けられ、
前記基板に、前記センサ素子の固定電極が設けられている、
加速度センサ。
【請求項2】
前記可動電極は、櫛歯状に形成された可動電極部を有し、
前記固定電極は、櫛歯状に形成された固定電極部を有している、
請求項1に記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記可動電極部及び前記固定電極部は、前記基板の厚さ方向に直交する方向に対向して配置されている、
請求項2に記載の加速度センサ。
【請求項4】
前記基板は、表面に一部が露出する空洞を有し、
前記第1質量部及び前記梁部は、前記空洞内に配置されるように前記基板に設けられている、
請求項1に記載の加速度センサ。
【請求項5】
前記加速度センサは、前記梁部を複数備え、
複数の前記梁部は、平面視で前記第1質量部の周囲に均等に配置されている、
請求項1に記載の加速度センサ。
【請求項6】
前記加速度センサは、前記梁部を2つ備え、
2つの前記梁部は、前記第1質量部を挟んで対称に形成されている、
請求項5に記載の加速度センサ。
【請求項7】
前記加速度センサは、前記梁部を4つ備えている、
請求項5に記載の加速度センサ。
【請求項8】
前記基板の厚さ方向における加速度の向きを検出する向き検出機構を備えている、
請求項1に記載の加速度センサ。
【請求項9】
前記可動電極は、加速度検出用可動電極であり、
前記固定電極は、加速度検出用固定電極であり、
前記向き検出用機構は、前記基板の厚さ方向における加速度の向きを検出する向き検出用可動電極及び向き検出用固定電極を備え、
前記第1質量部に、前記向き検出用可動電極が設けられ、
前記基板に、前記向き検出用固定電極が設けられている、
請求項8に記載の加速度センサ。
【請求項10】
前記向き検出用可動電極及び前記向き検出用固定電極は、前記基板の厚さ方向位置が重複する重複領域と、前記基板の厚さ方向位置が重複しない非重複領域とを有している、
請求項9に記載の加速度センサ。
【請求項11】
前記基板の厚さ方向である第1方向の加速度を検出する第1センサ素子と、
前記第1方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子と、
を備え、
前記第2センサ素子は、前記第1質量部に設けられた加速度検出用可動電極と、前記基板に設けられた加速度検出用固定電極とを有し、
前記向き検出用可動電極及び前記向き検出用固定電極は、前記第2センサ素子の前記加速度検出用可動電極及び前記加速度検出用固定電極によって構成されている、
請求項9に記載の加速度センサ。
【請求項12】
前記基板の厚さ方向である第1方向の加速度を検出する第1センサ素子と、
前記第1方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子と、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の加速度を検出する第3センサ素子と、
を備え、
前記第2センサ素子及び前記第3センサ素子はそれぞれ、前記第1質量部に設けられた加速度検出用可動電極と、前記基板に設けられた加速度検出用固定電極とを有し、
前記向き検出用可動電極及び前記向き検出用固定電極は、前記第2センサ素子及び前記第3センサ素子の少なくとも一方の前記加速度検出用可動電極及び前記加速度検出用固定電極によって構成されている、
請求項9に記載の加速度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、静電容量型MEMS(Micro Electro Mechanical System)加速度センサが開示されている。前記加速度センサは、表面上に電極が形成された第1半導体基板と、電極に対向して配置されるウェート部を有して第1半導体基板に接合された第2半導体基板とを備え、第1及び第2半導体基板の厚さ方向に対向する電極とウェート部との間の静電容量を検出して前記厚さ方向の加速度を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8-285884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の加速度センサでは、第1半導体基板上に電極が形成されることから、モールドパーケージされる場合にパーケージに応力が生じると、電極とウェート部との間の静電容量に悪影響を及ぼし、センサの信頼性を低下させるおそれがある。前記加速度センサではまた、第1半導体基板と第2半導体基板とが接合層としてのガラス層を用いて接合されることから、接合層の高さ精度によっては電極とウェート部との間の静電容量に悪影響を及ぼし、センサの信頼性を低下させるおそれがある。
【0005】
これに対し、静電容量型MEMS加速度センサとして、基板に移動可能に支持された慣性質量部と、慣性質量部に形成された櫛歯状の可動電極と、可動電極に噛み合うように基板に支持された櫛歯状の固定電極とを備え、慣性質量部の変位に応じて基板の厚さ方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量を検出して基板の厚さ方向の加速度を検出するものが考えられている。
【0006】
このような加速度センサでは、1つの基板に固定電極及び可動電極が支持されることから、接合層による悪影響を抑制することができ、またパッケージに応力が生じる場合においても固定電極及び可動電極の間の静電容量に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。このように、基板に移動可能に支持された質量部と互いに噛み合う櫛歯状の可動電極及び固定電極とを備え、基板の厚さ方向の加速度を検出する加速度センサでは、センサの感度を向上させることが望まれている。
【0007】
本開示は、センサの感度を向上させることができる加速度センサを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、基板と、前記基板に前記基板の厚さ方向に移動可能に支持された第1質量部と、前記第1質量部を前記基板に支持する梁部と、を備え、前記梁部は、前記第1質量部より質量が小さい第2質量部と、前記第1質量部と前記第2質量部とを連結する第1バネ部と、前記第1バネ部よりばね定数が小さく前記第2質量部と前記基板とを連結する第2バネ部とを有し、前記第2質量部に、前記基板の厚さ方向の加速度を検出するセンサ素子の可動電極が設けられ、前記基板に、前記センサ素子の固定電極が設けられている、加速度センサを提供する。
【0009】
本開示によれば、加速度センサに基板の厚さ方向の加速度が作用するとき、基板に対して第1質量部が基板の厚さ方向に変位される。第1質量部の変位に伴って、第2質量部が第1質量部より質量が小さく第2バネ部が第1バネ部よりばね定数が小さいので、第2質量部が、基板の厚さ方向に直交する方向において第1質量部に近づく方向に変位される。第2質量部及び基板にそれぞれ形成された可動電極及び固定電極を基板の厚さ方向に直交する方向に対向して配置することで、基板の厚さ方向に直交する方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量を検出して基板の厚さ方向の加速度を検出することができ、基板の厚さ方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量を検出する場合に比して、センサの感度を向上させることができる。
【0010】
基板の厚さ方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量の変化を検出して基板の厚さ方向の加速度を検出する加速度センサは、加速度に応じて電極間の重なる面積が可変する電極間面積可変型の加速度センサである。この場合、変位量に対する容量変化量の割合に比例する容量感度はε・S/d(ε:誘電率、S:電極間面積、d:電極間距離)として表すことができ、電極間面積を大きくしたり電極間距離を小さくしたりすることで大きくすることが可能であるが、容量感度の増加に比例して容量自体も増加するため、容量変化量に対する容量感度の割合に比例するS/N比(信号対雑音比)を向上させることができない。
【0011】
本開示による、基板の厚さ方向に直交する方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量の変化を検出して基板の厚さ方向の加速度を検出する加速度センサは、加速度に応じて電極間の距離が可変する電極間距離可変型の加速度センサである。この場合、変位量に対する容量変化量の割合に比例する容量感度はε・S/d(ε:誘電率、S:電極間面積、d:電極間距離)として表すことができ、電極間距離を小さくすることで電極間距離の二乗に反比例して大きくすることが可能であり、容量自体の増加よりも容量感度を増加させることができ、容量変化量に対する容量感度の割合に比例するS/N比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本開示の第1実施形態に係る加速度センサの平面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う加速度センサの断面図である。
図3図3は、図1のIII-III線に沿う加速度センサの断面図である。
図4図4は、図1に示す加速度センサの要部拡大図である。
図5図5は、静止時の第1質量部及び梁部を示す図である。
図6図6は、加速度作用時の第1質量部及び梁部を示す図である。
図7図7は、図4のVII-VII線に沿う加速度センサの断面図である。
図8図8は、本開示の第2実施形態に係る加速度センサの平面図である。
図9図9は、図8のIX-IX線に沿う加速度センサの断面図である。
図10図10は、図8に示す加速度センサの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本開示の第1実施形態に係る加速度センサの平面図である。図1に示すように、第1実施形態に係る加速度センサ1は、静電容量型MEMS加速度センサであり、センサ素子2を有する基板10を備えている。基板10として、不純物をドーピングして導電性を付与した単結晶シリコン基板などの半導体基板が用いられる。加速度センサ1は、半導体微細加工技術を用いて基板10を加工して製造される。
【0015】
基板10には、図示されていないが、複数のパッド部が設けられている。パッド部は、外部の電子部品などに接続され、センサ素子に電気信号を入力したりセンサ素子の電気信号を出力したりするようになっている。基板10には、図示されていないが、パッド部とセンサ素子とを電気的に接続する配線が設けられている。
【0016】
以下では、基板10の表面に沿う所定方向をX方向とし、基板10の表面に沿うとともにX方向と直交する方向をY方向とし、基板10の表面に直交する基板10の厚さ方向をZ方向とする。図1では、Z方向一方側から見た基板10を示している。
【0017】
図2は、図1のII-II線に沿う加速度センサの断面図である。図3は、図1のIII-III線に沿う加速度センサの断面図である。加速度センサ1は、基板10に、Z方向に作用する加速度を検出するセンサ素子2を有している。
【0018】
基板10は、図2及び図3に示すように、表面である第1主面10aと第1主面10aの反対側の裏面である第2主面10bとを有し、Z方向に所定厚さを有している。基板10は、平面視で、X方向に延びる2辺とY方向に延びる2辺とを有して矩形状に形成されている。
【0019】
基板10は、図1に示すように、中央側にセンサ素子2に対応して第1主面10aに一部が露出する空洞12を有している。空洞12は、第1主面10aからZ方向に略直方体状に窪んで形成され、底壁部12aと底壁部12aからZ方向に延在する側壁部12bとを有している。
【0020】
加速度センサ1は、基板10にZ方向に移動可能に支持された第1質量部20と、第1質量部20を基板10に支持する梁部30とを備えている。第1質量部20及び梁部30は、基板10の一部によって形成されている。基板10には、第1質量部20及び梁部30を支持する支持部13が設けられている。
【0021】
支持部13は、センサ素子2の周囲を囲むように平面視で略四角形状に環状に形成されている。支持部13の内周面は、空洞12の側壁部12bによって構成されている。第1質量部20及び梁部30は、空洞12内に配置され、空洞12内に浮いた状態で支持部13に支持されている。
【0022】
第1質量部20は、質量m1を有し、平面視でX方向に延びる2辺とY方向に延びる2辺とを有して略矩形状に形成されている。第1質量部20は、Z方向に略同一断面形状を有し、Z方向に所定厚さを有している。第1質量部20は、4つの梁部30によって支持部13に支持されている。4つの梁部30は、平面視で第1質量部20の周囲に均等に配置され、第1質量部20の周囲に90度ごとに分散して配置されている。
【0023】
第1質量部20のX方向他方側に梁部30aが配置され、第1質量部20のY方向他方側に梁部30bが配置され、第1質量部20のX方向一方側に梁部30cが配置され、第1質量部20のY方向一方側に梁部30dが配置されている。2つの梁部30a、30cは、第1質量部20を挟んで対称に形成され、2つの梁部30b、30dは、第1質量部20を挟んで対称に形成されている。4つの梁部30は、平面視で90度回転して略同様に構成されている。
【0024】
図4は、図1に示す加速度センサの要部拡大図である。図4に示すように、梁部30は、第2質量部40と、第1質量部20と第2質量部40とを連結する第1バネ部31と、第2質量部40と基板10とを連結する第2バネ部32とを有している。第1バネ部31、第2質量部40及び第2バネ部32は、第1質量部20から直線状に延びるように配置されている。
【0025】
第2質量部40は、質量m2を有し、平面視でX方向に延びる2辺とY方向に延びる2辺とを有して略矩形状に形成されている。第2質量部40は、Z方向に略同一断面形状を有し、Z方向に第1質量部20と同様の所定厚さを有している。第2質量部40は、第1質量部20より質量が小さく、具体的には第1質量部20より質量が十分に小さく形成されている。第2質量部40は、平面視における面積が第1質量部20より小さく形成され、第1質量部20より質量が小さく形成されている。第1質量部20の質量m1に対する第2質量部40の質量m2の割合(m2/m1)は、例えば1/10に設定される。
【0026】
第1バネ部31は、ばね定数k1を有し、梁部30が第1質量部20から直線状に延びる方向に伸縮可能に構成されている。第1バネ部31は、平面視で所定幅W1を有する線状に形成され、梁部30が直線状に延びる方向に直交する方向に複数回(図4では12回)折り返されて形成されている。第1バネ部31は、Z方向に略同一断面形状を有し、Z方向に第2質量部40と同様の所定厚さを有している。
【0027】
第2バネ部32は、ばね定数k2を有し、梁部30が第1質量部20から直線状に延びる方向に伸縮可能に構成されている。第2バネ部32は、平面視で所定幅W2を有する線状に形成され、梁部30が直線状に延びる方向に直交する方向に複数回(図4では12回)折り返されて形成されている。第2バネ部32は、Z方向に略同一断面形状を有し、Z方向に第2質量部40と同様の所定厚さを有している。
【0028】
第2バネ部32は、第1バネ部31よりばね定数が小さく、具体的には第1バネ部31よりばね定数が十分に小さく形成されている。第2バネ部32は、平面視における所定幅W2が第1バネ部31の所定幅W1より小さく形成され、第1バネ部31よりばね定数が小さく形成されている。第1バネ部31のばね定数k1に対する第2バネ部32のばね定数k2の割合(k2/k1)は、例えば1/10に設定される。
【0029】
梁部30は、第1バネ部31、第2質量部40及び第2バネ部32を介して第1質量部20を基板10の支持部13に支持するようになっている。梁部30では、第2質量部40は、第1質量部20より質量が小さく形成され、第2バネ部32は、第1バネ部31よりばね定数が小さく形成されている。
【0030】
図5は、静止時の第1質量部及び梁部を示す図である。図6は、加速度作用時の第1質量部及び梁部を示す図である。図5及び図6では、図4のV-V線に沿う加速度センサ1の断面を示している。図5に示すように、加速度センサ1に加速度が作用していない静止時には、第1質量部20及び第2質量部40は、Z方向一方側の表面が基板10の第1主面10aとZ方向位置が同じになるように配置されている。
【0031】
図6に示すように、加速度センサ1にZ方向の加速度が作用する加速度作用時には、加速度に応じて、梁部30によってZ方向に移動可能に支持された第1質量部20が基板10に対してZ方向に相対的に変位される。図6では、二点鎖線で示す静止時の第1質量部20から実線で示す加速度作用時の第1質量部20にZ方向に変位される。
【0032】
梁部30では、第2質量部40が第1質量部20より質量が小さく第2バネ部32が第1バネ部31よりばね定数が小さいので、第1質量部20の変位に伴って、第2質量部40が、Z方向に直交する方向において第1質量部20に近づく方向に変位される。梁部30aでは、第2質量部40がX方向一方側に変位され、梁部30bでは、第2質量部40がY方向一方側に変位され、梁部30cでは、第2質量部40がX方向他方側に変位され、梁部30dでは、第2質量部40がY方向他方側に変位される。
【0033】
図6では、加速度センサ1にZ方向一方側への加速度が作用した場合を示しているが、加速度センサ1にZ方向他方側への加速度が作用する場合についても、加速度に応じて、第1質量部20が基板10に対してZ方向に相対的に変位され、第2質量部40が、Z方向に直交する方向において第1質量部20に近づく方向に変位される。
【0034】
図4に示すように、加速度センサ1は、Z方向の加速度を検出するセンサ素子2の加速度検出用可動電極51と、基板10の厚さ方向の加速度を検出するセンサ素子2の加速度検出用固定電極52とを備えている。可動電極51は、第2質量部40に固定して設けられ、固定電極52は、基板10の支持部13に固定して設けられている。可動電極51は、固定電極52に対してZ方向に直交する方向に変位可能とされる。
【0035】
可動電極51は、可動電極部51aを有している。可動電極部51aは、平面視において、梁部30が第1質量部20から直線状に延びる方向に直交する方向に直線状に延びている。可動電極部51aは、梁部30が直線状に延びる方向に等間隔に離間して櫛歯状に形成されている。可動電極部51aは、Z方向に同一断面形状を有し、Z方向に所定厚さを有している。
【0036】
固定電極52は、固定電極部52aと、固定電極部52aに接続されるとともに基板10の支持部13に接続されるベース部52bとを有している。固定電極部52aは、平面視において、梁部30が第1質量部20から直線状に延びる方向に直交する方向に直線状に延び、可動電極部51aと互いに接触しない状態で互いに噛み合うように対向して配置されている。固定電極部52aは、Z方向に同一断面形状を有し、Z方向に所定厚さを有している。
【0037】
図1に示すように、センサ素子2の可動電極51及び固定電極52は、4つの梁部30にそれぞれ対応して設けられている。4つの梁部30に設けられる可動電極51及び固定電極52は、略同様に構成されている。固定電極52のベース部52bには、固定電極52と基板10の支持部13とを電気的に分離するとともに機械的に連結する分離部14が設けられている。分離部14は、酸化シリコンなどによって形成されている。
【0038】
前述したように、加速度センサ1にZ方向の加速度が作用する場合、加速度に応じて、第1質量部20が基板10に対してZ方向に相対的に変位され、第2質量部40が、Z方向に直交する方向において第1質量部20に近づく方向に変位される。これによって、可動電極51と固定電極52との間の静電容量が変化する。センサ素子2は、可動電極51と固定電極52との間の静電容量の変化を検出して電気信号として取り出すことでZ方向の加速度、具体的にはZ方向の加速度の大きさを検出するようになっている。
【0039】
加速度センサ1は、Z方向における加速度の向きを検出する向き検出機構60を備えている。向き検出機構60は、Z方向の加速度の向きを検出する向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62を備えている。
【0040】
可動電極61は、第1質量部20に固定して設けられ、固定電極62は、基板10の支持部13に固定して設けられている。可動電極61は、固定電極62に対してZ方向に変位可能とされている。加速度センサ1では、第1質量部20のY方向他方側において、可動電極61は、第1質量部20のX方向両側に形成され、固定電極62は、可動電極61にそれぞれ対応して形成されている。
【0041】
可動電極61は、図4に示すように、可動電極部61aを有している。可動電極部61aは、平面視において、第1質量部20からY方向に直線状に延びている。可動電極61は、Z方向に同一断面を有し、Z方向に所定厚さを有している。
【0042】
固定電極62は、固定電極部62aと、固定電極部62aに接続されるとともに基板10の支持部13に接続されるベース部62bとを有している。固定電極部62aは、平面視において、Y方向に直線状に延びている。固定電極部62aは、可動電極部61aと互いに接触しない状態で噛み合うように対向して配置されている。固定電極62は、Z方向に同一断面を有し、Z方向に所定厚さを有している。
【0043】
図7は、図4のVII-VII線に沿う加速度センサの断面図である。図7に示すように、固定電極62は、可動電極61よりZ方向に厚く形成され、可動電極61よりもZ方向他方側に長く形成されている。可動電極61及び固定電極62は、Z方向位置が重複する重複領域S1と、Z方向位置が重複しない非重複領域S2とを有している。なお、可動電極61を、固定電極62よりもZ方向他方側に長く形成し、可動電極61及び固定電極62を重複領域S1と非重複領域S2とを有するようにしてもよい。
【0044】
加速度センサ1にZ方向一方側への加速度が作用する場合、第1質量部20が基板10に対してZ方向他方側に変位され、可動電極61は、図7の一点鎖線で示すように固定電極62に対してZ方向他方側に変位される。これにより、可動電極61及び固定電極62の重複領域S1が維持され、可動電極61と固定電極62との間の静電容量が維持される。
【0045】
一方、加速度センサ1にZ方向他方側への加速度が作用する場合、第1質量部20が基板10に対してZ方向一方側に変位され、可動電極61は、図7の破線で示すように固定電極62に対してZ方向一方側に変位される。これにより、可動電極61及び固定電極62の重複領域S1が小さくされ、可動電極61と固定電極62との間の静電容量が小さくされる。向き検出機構60は、可動電極61と固定電極62との間の静電容量の変化を検出して電気信号として取り出すことでZ方向の加速度の向きを検出するようになっている。
【0046】
次に、加速度センサ1の製造方法について説明する。
加速度センサ1の製造では、基板10が準備される。基板10には、分離部14に対応する部分が除去されてトレンチが形成される。トレンチ形成後に、熱酸化膜によってトレンチが熱酸化され、分離部14が形成される。
【0047】
次に、CVD法によって、分離部14及び基板10の第1主面10a上に絶縁膜として酸化シリコン膜が形成され、フォトリソグラフィ及びエッチングによって、配線に対応する部分を残すように、またコンタクト孔が形成されるように酸化シリコン膜がパターニングされる。そして、コンタクト孔が、タングステンなどの金属で埋め尽くされてコンタクトが形成され、コンタクト形成後には、配線及びパッド部が形成される。
【0048】
次に、CVD法によって、基板10上に酸化シリコン膜が形成され、フォトリソグラフィ及び異方性エッチングによって基板10がパターニングされ、図4に示すように、第1質量部20及び梁部30、並びに可動電極51、61及び固定電極52、62を残すようにトレンチが形成される。その後に、等方性エッチングによって前記トレンチが深く形成されるとともに、基板10の第1主面10aに平行な方向にエッチングされ、第1主面10aに一部が露出する空洞12が形成されるとともに空洞12内に第1質量部20及び梁部30、並びに可動電極51,61及び固定電極52、62が浮いた状態で配置される。
【0049】
このようにして、基板10に、基板10の厚さ方向に移動可能に支持された第1質量部20と、第1質量部20を基板10に支持する梁部30とが設けられ、梁部30は、第2質量部40と第1バネ部31と第2バネ部32とを有している。第1質量部20には、向き検出機構60の可動電極61が設けられ、基板10に、向き検出機構60の固定電極62が設けられ、第2質量部40に、センサ素子2の可動電極51が設けられ、基板10に、センサ素子2の固定電極52が設けられる。
【0050】
加速度センサ1は、1つの梁部30を備えるようにしてもよいが、複数の梁部30を備えることが好ましい。複数の梁部30は、平面視で第1質量部20の周囲に均等に配置されることが好ましい。加速度センサ1は、2つの梁部30a、30bのみを備えるようにしてもよく、2つの梁部30b、30dのみを備えるようにしてもよい。
【0051】
第2質量部40は、平面視における表面積が第1質量部20より小さくされて第1質量部20より質量が小さくされているが、他の方法によって第1質量部20より質量を小さくしてもよい。第2バネ部32は、平面視における幅が第1バネ部31の幅より小さくされて第1バネ部31よりばね定数が小さくされているが、他の方法によって第1バネ部31よりばね定数を小さくしてもよい。
【0052】
このように、本実施形態に係る加速度センサ1は、基板10に厚さ方向に移動可能に支持された第1質量部20と、第1質量部20を基板10に支持する梁部30とを備え、梁部30は、第1質量部20より質量が小さい第2質量部40と、第1質量部20と第2質量部40とを連結する第1バネ部31と、第1バネ部31よりばね定数が小さく第2質量部40と基板10とを連結する第2バネ部32とを有する。そして、第2質量部40に、基板10の厚さ方向の加速度を検出するセンサ素子2の可動電極51が設けられ、基板10に、センサ素子2の固定電極52が設けられる。
【0053】
これにより、加速度センサ1に基板10の厚さ方向の加速度が作用するとき、基板10に対して第1質量部20が基板10の厚さ方向に変位される。第1質量部20の変位に伴って、第2質量部40が第1質量部20より質量が小さく第2バネ部32が第1バネ部31よりばね定数が小さいので、第2質量部40が、基板10の厚さ方向に直交する方向において第1質量部20に近づく方向に変位される。第2質量部40及び基板10にそれぞれ形成された可動電極51及び固定電極52を基板10の厚さ方向に直交する方向に対向して配置することで、基板10の厚さ方向に直交する方向に変位する可動電極51と固定電極52との間の静電容量を検出して基板10の厚さ方向の加速度を検出することができ、基板の厚さ方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量を検出する場合に比して、センサの感度を向上させることができる。
【0054】
基板の厚さ方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量の変化を検出して基板の厚さ方向の加速度を検出する加速度センサは、加速度に応じて電極間の重なる面積が可変する電極間面積可変型の加速度センサである。この場合、変位量に対する容量変化量の割合に比例する容量感度はε・S/d(ε:誘電率、S:電極間面積、d:電極間距離)として表すことができ、電極間面積を大きくしたり電極間距離を小さくしたりすることで大きくすることが可能であるが、容量感度の増加に比例して容量自体も増加するため、容量変化量に対する容量感度の割合に比例するS/N比(信号対雑音比)を向上させることができない。
【0055】
基板10の厚さ方向に直交する方向に変位する可動電極51と固定電極52との間の静電容量の変化を検出して基板10の厚さ方向の加速度を検出する加速度センサ1は、加速度に応じて電極51、52間の距離が可変する電極間距離可変型の加速度センサ1である。この場合、変位量に対する容量変化量の割合に比例する容量感度はε・S/d(ε:誘電率、S:電極間面積、d:電極間距離)として表すことができ、電極間距離を小さくすることで電極間距離の二乗に反比例して大きくすることが可能であり、容量自体の増加よりも容量感度を増加させることができ、容量変化量に対する容量感度の割合に比例するS/N比を向上させることができる。
【0056】
また、可動電極51は、櫛歯状に形成される可動電極部51aを有し、固定電極52は、櫛歯状に形成される固定電極部52aを有している。これにより、櫛歯状に形成された可動電極部51a及び固定電極部52a間の静電容量を検出することで、基板10の厚さ方向の加速度を検出することができる。
【0057】
また、可動電極部51a及び固定電極部52aは、基板10の厚さ方向に直交する方向に対向して配置されている。これにより、基板10の厚さ方向に直交する方向に対向して配置された櫛歯状の可動電極部51a及び固定電極部52a間の静電容量を検出することで、基板10の厚さ方向の加速度を検出することができる。
【0058】
また、基板10は、表面10aに一部が露出する空洞12を有し、第1質量部20及び梁部30は、空洞12内に配置されるように基板10に設けられている。これにより、第1質量部20及び梁部30を基板10の空洞12内に浮いた状態で配置することができ、加速度センサ1をコンパクトに構成することができる。
【0059】
また、加速度センサ1は、梁部30を複数備え、複数の梁部30は、平面視で第1質量部20の周囲に均等に配置されている。これにより、第1質量部20を1つの梁部によって支持する場合に比して、第1質量部20を安定して支持させることができ、加速度を精度良く検出することができる。
【0060】
また、加速度センサ1は、梁部30を2つ備え、2つの梁部30は、第1質量部20を挟んで対称に形成するようにしてもよい。これにより、第1質量部20を挟んで対称に形成される2つの梁部30を用いて第1質量部20を安定して支持させることができ、加速度を精度良く検出することができる。
【0061】
また、加速度センサ1は、梁部30を4つ備えている。これにより、第1質量部20の周囲に均等に配置される4つの梁部30を用いて第1質量部20を安定して支持させることができ、加速度を精度良く検出することができる。
【0062】
また、基板10の厚さ方向における加速度の向きを検出する向き検出機構60を備えている。これにより、加速度センサ1に基板10の厚さ方向に加速度が作用するときに、向き検出機構60によって、基板10の厚さ方向一方側への加速度であるか基板10の厚さ方向他方側への加速度であるかを検出することができる。
【0063】
また、可動電極51は、加速度検出用可動電極51であり、固定電極52は、加速度検出用固定電極52であり、向き検出機構60は、基板10の厚さ方向における加速度の向きを検出する向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62を備え、第1質量部20に、向き検出用可動電極61が設けられ、基板10に、向き検出用固定電極62が設けられている。これにより、第1質量部20に形成された向き検出用可動電極61と基板10に形成された向き検出用固定電極62との間の静電容量の変化を検出することで、基板10の厚さ方向における加速度の向きを検出することができる。
【0064】
また、向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62は、基板10の厚さ方向位置が重複する重複領域S1と、基板10の厚さ方向位置が重複しない非重複領域S2とを有している。これにより、基板10の厚さ方向一方側への加速度が作用する場合と基板10の厚さ方向他方側への加速度が作用する場合において、向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62間の静電容量を変化させることができ、基板10の厚さ方向における加速度の向きを検出することができる。
【0065】
図8は、本開示の第2実施形態に係る加速度センサの平面図である。図9は、図8のIX-IX線に沿う加速度センサの断面図である。図10は、図8に示す加速度センサの要部拡大図である。第2実施形態に係る加速度センサ101は、第1実施形態に係る加速度センサ1に、X方向の加速度を検出するセンサ素子と、Y方向の加速度を検出するセンサ素子とが備えられたものであり、同様の構成については説明を省略する。
【0066】
第2実施形態に係る加速度センサ101は、図8に示すように、加速度センサ1と同様に、Z方向に移動可能に支持された第1質量部20と、第1質量部20を基板10に支持する梁部30とを備えている。梁部30は、第1質量部20より質量が小さい第2質量部40と、第1質量部20と第2質量部40とを連結する第1バネ部31と、第1バネ部31よりばね定数が小さく第2質量部40と基板10とを連結する第2バネ部32とを有している。そして、第2質量部40に、Z方向の加速度を検出するセンサ素子2の可動電極51が設けられ、基板10に、センサ素子2の固定電極52が設けられている。
【0067】
加速度センサ101は、Z方向における加速度の向きを検出する向き検出機構60を備えている。向き検出機構60は、第1質量部20に設けられた向き検出用可動電極61と基板10の支持部13に設けられた向き検出用固定電極62とを備え、可動電極61及び固定電極62が重複領域S1と非重複領域S2とを有し、可動電極61と固定電極62との間の静電容量の変化を検出することでZ方向の加速度の向きを検出できるようになっている。
【0068】
向き検出用可動電極61は、第1質量部20のX方向両側に設けられ、向き検出用固定電極62は、向き検出用可動電極61にそれぞれ対応して基板10に固定して設けられている。可動電極61はそれぞれ、櫛歯状に形成される可動電極部61aを有し、固定電極62はそれぞれ、固定電極部62aとベース部62bとを有している。
【0069】
加速度センサ101は、Z方向の加速度を検出するセンサ素子2を有するとともに、Z方向に直交するX方向の加速度を検出するセンサ素子3と、Z方向に直交するとともにX方向に直交するY方向の加速度を検出するセンサ素子4を有している。
【0070】
加速度センサ101は、X方向の加速度を検出するセンサ素子3の加速度検出用可動電極61と、X方向の加速度を検出するセンサ素子3の加速度検出用固定電極62とを備えている。本実施形態では、センサ素子3の加速度検出用可動電極61は、向き検出用可動電極61によって構成され、センサ素子3の加速度検出用固定電極62は、向き検出用固定電極62によって構成されている。
【0071】
加速度検出用可動電極61は、第1質量部20のY方向他方側において、第1質量部20のX方向両側に設けられている。加速度検出用固定電極62は、第1質量部20のY方向他方側において、第1質量部20のX方向両側に設けられた加速度検出用可動電極61にそれぞれ対応して基板10に固定して設けられている。
【0072】
可動電極61は、図10に示すように、複数の可動電極部61aを有し、複数の可動電極部61aは、平面視において、Y方向に直線状に延び、X方向に離間して櫛歯状に形成されている。可動電極61は、Z方向に同一断面を有し、Z方向に所定厚さを有している。
【0073】
固定電極62は、固定電極部62aと、固定電極部62aに接続されるとともに基板10の支持部13に接続されるベース部62bとを有している。固定電極部62aは、平面視において、Y方向に直線状に延びている。固定電極部62aは、可動電極部61aと互いに接触しない状態で噛み合うように配置されている。可動電極部61aと固定電極部62aとは、X方向に間隔を空けて対向して配置されている。固定電極62は、Z方向に同一断面を有し、Z方向に所定厚さを有している。
【0074】
加速度センサ101に、X方向の加速度が作用する場合、加速度に応じて固定電極62の固定電極部62aに対して可動電極61の可動電極部61aがX方向に相対的に移動して、固定電極62と可動電極61との間の静電容量が変化する。センサ素子3は、固定電極62と固定電極62との間の静電容量の変化を検出して電気信号として取り出すことでX方向の加速度を検出できるようになっている。
【0075】
加速度センサ101は、Y方向の加速度を検出するセンサ素子4の加速度検出用可動電極71と、Y方向の加速度を検出するセンサ素子4の加速度検出用固定電極72とを備えている。
【0076】
加速度検出用可動電極71は、第1質量部20のY方向一方側において、第1質量部20のX方向両側に設けられている。加速度検出用固定電極72は、第1質量部20のY方向一方側において、第1質量部20のX方向両側に設けられた加速度検出用可動電極71にそれぞれ対応して基板10に固定して設けられている。
【0077】
可動電極71は、図10に示すように、複数の可動電極部71aと、複数の可動電極部71aに接続されるとともに第1質量部20に接続されるベース部71bとを有している。可動電極部71aは、平面視において、X方向に直線状に延び、Y方向に離間して櫛歯状に形成されている。可動電極71は、Z方向に同一断面を有し、Z方向に所定厚さを有している。
【0078】
固定電極72は、固定電極部72aと、固定電極部72aに接続されるとともに基板10の支持部13に接続されるベース部72bとを有している。固定電極部72aは、平面視において、X方向に直線状に延びている。固定電極部72aは、可動電極部71aと互いに接触しない状態で噛み合うように配置されている。可動電極部71aと固定電極部72aとは、Y方向に間隔を空けて対向して配置されている。固定電極72は、Z方向に同一断面を有し、Z方向に所定厚さを有している。固定電極72及び可動電極71は、Z方向に同一の厚さを有し、Z方向位置が重複する重複領域S1のみを有している。
【0079】
加速度センサ101に、Y方向の加速度が作用する場合、加速度に応じて固定電極72の固定電極部72aに対して可動電極71の可動電極部71aがY方向に相対的に移動して、固定電極72と可動電極71との間の静電容量が変化する。センサ素子4は、固定電極72と可動電極71との間の静電容量の変化を検出して電気信号として取り出すことでY方向の加速度を検出できるようになっている。
【0080】
加速度センサ101において、センサ素子4の加速度検出用可動電極71及び加速度検出用固定電極72を、Z方向位置が重複する重複領域S1とZ方向位置が重複しない非重複領域S2とを有するように形成し、向き検出用可動電極及び向き検出用固定電極を、センサ素子4の加速度検出用可動電極及び加速度検出用固定電極によって構成するようにしてもよい。また、向き検出用可動電極及び向き検出用固定電極を、センサ素子3及びセンサ素子4の加速度検出用可動電極及び加速度検出用固定電極によって構成するようにしてもよい。
【0081】
本実施形態に係る加速度センサ101についても、加速度センサ1に基板10の厚さ方向の加速度が作用するとき、基板10に対して第1質量部20が基板10の厚さ方向に変位され、第2質量部40が、基板10の厚さ方向に直交する方向において第1質量部20に近づく方向に変位される。第2質量部40及び基板10に形成された可動電極51及び固定電極52を基板10の厚さ方向に直交する方向に対向して配置することで、基板10の厚さ方向に直交する方向に変位する可動電極51と固定電極52との間の静電容量を検出して基板10の厚さ方向の加速度を検出することができ、基板の厚さ方向に変位する可動電極と固定電極との間の静電容量を検出する場合に比して、センサの感度を向上させることができる。
【0082】
加速度センサ101は、基板10の厚さ方向である第1方向の加速度を検出する第1センサ素子2と、第1方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子3とを備え、第2センサ素子3は、第1質量部20に設けられた加速度検出用可動電極61と、基板10に設けられた加速度検出用固定電極62とを有し、向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62は、第2センサ素子3の加速度検出用可動電極61及び加速度検出用固定電極62によって構成されている。
【0083】
これにより、基板10の厚さ方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子3の加速度検出用可動電極61及び加速度検出用固定電極62を、基板10の厚さ方向である第1方向の加速度の向きを検出する向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62として兼用させることができ、向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62を用いて基板10の厚さ方向に直交する方向の加速度も検出することができる。
【0084】
加速度センサ101は、基板10の厚さ方向である第1方向の加速度を検出する第1センサ素子2と、第1方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子3と、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の加速度を検出する第3センサ素子4とを備え、第2センサ素子3及び第3センサ素子4はそれぞれ、第1質量部20に設けられた加速度検出用可動電極51と、基板10に設けられた加速度検出用固定電極52とを有する。向き検出用可動電極61及び向き検出用固定電極62は、第2センサ素子3及び第3センサ素子4の少なくとも一方の加速度検出用可動電極61,71及び加速度検出用固定電極62,72によって構成される。
【0085】
これにより、基板10の厚さ方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子3、及び基板10の厚さ方向に直交するとともに第2方向に直交する第3方向の加速度を検出する第3センサ素子4の少なくとも一方の加速度検出用可動電極61,71及び加速度検出用固定電極62、72を、基板10の厚さ方向である第1方向の加速度の向きを検出する向き検出用可動電極及び向き検出用固定電極として兼用させて、基板10の厚さ方向である第1方向、第1方向に直交する第2方向、第1方向及び第2方向に直交する第3方向の加速度を検出することができる。
【0086】
本開示は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
【0087】
[付記1]
基板と、
前記基板に前記基板の厚さ方向に移動可能に支持された第1質量部と、
前記第1質量部を前記基板に支持する梁部と、
を備え、
前記梁部は、
前記第1質量部より質量が小さい第2質量部と、
前記第1質量部と前記第2質量部とを連結する第1バネ部と、
前記第1バネ部よりばね定数が小さく前記第2質量部と前記基板とを連結する第2バネ部とを有し、
前記第2質量部に、前記基板の厚さ方向の加速度を検出するセンサ素子の可動電極が設けられ、
前記基板に、前記センサ素子の固定電極が設けられている、
加速度センサ。
[付記2]
前記可動電極は、櫛歯状に形成された可動電極部を有し、
前記固定電極は、櫛歯状に形成された固定電極部を有している、
付記1に記載の加速度センサ。
[付記3]
前記可動電極部及び前記固定電極部は、前記基板の厚さ方向に直交する方向に対向して配置されている、
付記2に記載の加速度センサ。
[付記4]
前記基板は、表面に一部が露出する空洞を有し、
前記第1質量部及び前記梁部は、前記空洞内に配置されるように前記基板に設けられている、
付記1から付記3の何れか1項に記載の加速度センサ。
[付記5]
前記加速度センサは、前記梁部を複数備え、
複数の前記梁部は、平面視で前記第1質量部の周囲に均等に配置されている、
付記1から付記4の何れか1項に記載の加速度センサ。
[付記6]
前記加速度センサは、前記梁部を2つ備え、
2つの前記梁部は、前記第1質量部を挟んで対称に形成されている、
付記5に記載の加速度センサ。
[付記7]
前記加速度センサは、前記梁部を4つ備えている、
付記5に記載の加速度センサ。
[付記8]
前記基板の厚さ方向における加速度の向きを検出する向き検出機構を備えている、
付記1から付記7の何れか1項に記載の加速度センサ。
[付記9]
前記可動電極は、加速度検出用可動電極であり、
前記固定電極は、加速度検出用固定電極であり、
前記向き検出用機構は、前記基板の厚さ方向における加速度の向きを検出する向き検出用可動電極及び向き検出用固定電極を備え、
前記第1質量部に、前記向き検出用可動電極が設けられ、
前記基板に、前記向き検出用固定電極が設けられている、
付記8に記載の加速度センサ。
[付記10]
前記向き検出用可動電極及び前記向き検出用固定電極は、前記基板の厚さ方向位置が重複する重複領域と、前記基板の厚さ方向位置が重複しない非重複領域とを有している、
付記9に記載の加速度センサ。
[付記11]
前記基板の厚さ方向である第1方向の加速度を検出する第1センサ素子と、
前記第1方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子と、
を備え、
前記第2センサ素子は、前記第1質量部に設けられた加速度検出用可動電極と、前記基板に設けられた加速度検出用固定電極とを有し、
前記向き検出用可動電極及び前記向き検出用固定電極は、前記第2センサ素子の前記加速度検出用可動電極及び前記加速度検出用固定電極によって構成されている、
付記9又は付記10に記載の加速度センサ。
[付記12]
前記基板の厚さ方向である第1方向の加速度を検出する第1センサ素子と、
前記第1方向に直交する第2方向の加速度を検出する第2センサ素子と、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の加速度を検出する第3センサ素子と、
を備え、
前記第2センサ素子及び前記第3センサ素子はそれぞれ、前記第1質量部に設けられた加速度検出用可動電極と、前記基板に設けられた加速度検出用固定電極とを有し、
前記向き検出用可動電極及び前記向き検出用固定電極は、前記第2センサ素子及び前記第3センサ素子の少なくとも一方の前記加速度検出用可動電極及び前記加速度検出用固定電極によって構成されている、
付記9又は付記10に記載の加速度センサ。
【符号の説明】
【0088】
1、101 加速度センサ
2、3、4 センサ素子
10 基板
12 空洞
20 第1質量部
30 梁部
31 第1バネ部
32 第2バネ部
40 第2質量部
51、61、71 可動電極
51a、61a、71a 可動電極部
52、62、72 固定電極
52a、62a、72a 固定電極部
60 向き検出機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10