(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126467
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】コンテナ、及び車両
(51)【国際特許分類】
B65D 88/12 20060101AFI20240912BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B65D88/12 D
B62D33/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034852
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】523083425
【氏名又は名称】株式会社RCSppp
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】中山 正広
【テーマコード(参考)】
3E170
【Fターム(参考)】
3E170AA21
3E170AB30
3E170DA01
3E170DA09
3E170EA10
3E170VA16
3E170VA20
3E170WE01
3E170WE02
3E170WE03
3E170WE05
3E170WE07
(57)【要約】
【課題】強度を維持しつつ、軽量化を図る。
【解決手段】本開示の一側面に係るコンテナは、金属製の底部構造体と、金属製の上部構造体と、前記底部構造体と前記上部構造体との間に配置され、発泡スチロールで形成された側壁構造体と、を備える。少なくとも前記側壁構造体の表面には、ポリウレアが塗布されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の底部構造体と、
金属製の上部構造体と、
前記底部構造体と前記上部構造体との間に配置され、発泡スチロールで形成された側壁構造体と、を備え、
少なくとも前記側壁構造体の表面には、ポリウレアが塗布されている、コンテナ。
【請求項2】
内部空間を形成する収容部を備える車両であって、
前記収容部は、
金属製の底部構造体と、
金属製の上部構造体と、
前記底部構造体と前記上部構造体との間に配置され、発泡スチロールで形成された側壁構造体と、を有し、
少なくとも前記側壁構造体の表面には、ポリウレアが塗布されている、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンテナ、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
構造体の一部を発泡スチロールで形成することが検討されている(例えば、特許文献1,2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6170262号公報
【特許文献2】実用新案登録第3238955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、強度を維持しつつ、軽量化を図ることが可能なコンテナ、及び車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]金属製の底部構造体と、金属製の上部構造体と、前記底部構造体と前記上部構造体との間に配置され、発泡スチロールで形成された側壁構造体と、を備え、少なくとも前記側壁構造体の表面には、ポリウレアが塗布されている、コンテナ。
【0006】
[2]内部空間を形成する収容部を備える車両であって、前記収容部は、金属製の底部構造体と、金属製の上部構造体と、前記底部構造体と前記上部構造体との間に配置され、発泡スチロールで形成された側壁構造体と、を有し、少なくとも前記側壁構造体の表面には、ポリウレアが塗布されている、車両。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、強度を維持しつつ、軽量化を図ることが可能なコンテナ、及び車両が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、収容部を備える車両の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2(a)及び
図2(b)は、収容部の内部構造の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面には、説明の便宜のために、X軸、Y軸、及びZ軸で規定される直交座標系が示されている。
【0010】
[車両]
図1には、一実施形態に係る車両の一部が模式的に示されている。
図1に示される車両1は、道路上を走行可能な車である。車両1は、収容部としてのコンテナ10を備える。コンテナ10の内部には、内部空間が形成されている。車両1は、コンテナ10内に貨物を収容して、貨物を輸送してもよい。車両1は、冷却装置を備えており、コンテナ10内の温度を冷却可能であってもよい。貨物の輸送に限られず、コンテナ10等の収容部を備える車両1は、種々の目的に使用される。
【0011】
例えば、車両1は、コンテナ10内にキッチン等の設備が設けられたうえで、移動販売車として使用されてもよい。車両1は、コンテナ10内に家具又は住宅設備(居住設備)等が設けられたうえで、キャンピングカーとして使用されてもよく、客室を提供するホテルとして使用されてもよい。車両1のコンテナ10の上部には、太陽光発電パネルが設置されてもよい。
【0012】
図1に示される車両1は、コンテナ10が載せられるシャーシ90を備える。シャーシ90は、コンテナ10を支持し、道路上を走行可能であれば、どのように形成されていてもよい。コンテナ10及びシャーシ90を備える車両1は、トレーラーと称される場合があり、動力を備えたトラクタヘッドによって、牽引されることで走行可能な車である。なお、コンテナ10及びシャーシ90に加えて、シャーシ90を牽引するトラクタヘッドを含めて、本開示に係る車両が構成されてもよい。
【0013】
<コンテナ>
次に、
図2も参照しながら、コンテナの一例について説明する。
図2では、コンテナ10の側壁構造体が取り外された状態で、その構造が模式的に示されている。
図1及び
図2に示されるコンテナ10は、全体として直方体状に形成されている。以下、直方体状に形成されたコンテナ10が延在する水平な一方向を「X軸」とし、上下方向を「Z軸」とし、X軸及びZ軸に直交する方向を「Y軸」とする。コンテナ10は、JIS規格又はISO規格で定められた寸法(サイズ)を有してもよい。コンテナ10は、20フィートコンテナであってもよく、40フィートコンテナであってもよい。
【0014】
コンテナ10は、例えば、フレーム20と、底部構造体30と、上部構造体40と、1以上の側壁構造体50と、を有する。フレーム20は、底部構造体30、上部構造体40、及び1以上の側壁構造体50を支持するための骨組みである。フレーム20は、底部フレーム22と、上部フレーム24と、4本のコーナーポスト26とを含む。フレーム20を構成する部材は、金属製であり、例えば、鋼(スチール)によって形成されている。
【0015】
底部フレーム22は、四角形の枠状に形成されている。上部フレーム24は、底部フレーム22と同様に、四角形の枠状に形成されている。上面視では、底部フレーム22及び上部フレーム24のそれぞれの内部に四角形の開口が存在する。上部フレーム24は、底部フレーム22の上方に配置されており、底部フレーム22と上部フレーム24とは、互いに略同一の寸法を有する。
【0016】
4本のコーナーポスト26は、底部フレーム22の四隅と上部フレーム24の四隅とを接続する。コーナーポスト26の下端部(下端とその近傍)は、底部フレーム22に接続され、コーナーポスト26の上端部(上端とその近傍)は、上部フレーム24に接続されている。底部フレーム22、上部フレーム24、及びコーナーポスト26は、溶接等により、一体化されていてもよい。一対のコーナーポスト26の間には、1以上の支柱部材28が設けられてもよい。なお、
図2に示される例とは異なり、支柱部材28が設けられていなくてもよい。
【0017】
底部構造体30は、コンテナ10内の空間において底面を形成する構造体である。底部構造体30は、板状に形成されていてもよい。底部構造体30は、例えば、底部フレーム22の開口内に配置され、底部フレーム22に固定されている。底部構造体30は、金属製である。底部構造体30は、例えば、鋼又はアルミニウムによって形成されている。
【0018】
上部構造体40は、コンテナ10内の空間において天井部分を形成する構造体である。上部構造体40は、板状に形成されていてもよい。上部構造体40は、例えば、上部フレーム24の開口内に配置され、上部フレーム24に固定されている。上部構造体40は、金属製である。上部構造体40は、例えば、鋼又はアルミニウムによって形成されている。
【0019】
底部構造体30及び上部構造体40との間には、フレーム20によって、4つの開口部分が形成されている。1以上の側壁構造体50は、上記4つの開口部分の少なくとも一部を塞ぐように設けられた構造体である。側壁構造体50は、コンテナ10内の内部空間において壁(側壁)を形成する。
図1に示される例では、車両1は、3つの側壁構造体50を備えており、前方の開口部分を塞ぐ側壁構造体50と、左右それぞれの開口部分を塞ぐ側壁構造体50とが設けられている。「前方」は、車両が進行する方向を意味し、「左右」は、進行する方向に対して直交する水平な方向を意味する。側壁構造体50は、上下方向において、底部構造体30及び上部構造体40の間に配置されている。
【0020】
コンテナ10には、貨物の搬入出、又は、人の出入りのために、ドア(扉)が設けられる。また、コンテナ10には、通気又は採光等の目的のために窓が設けられる場合がある。本開示において、側壁構造体50には、ドア(扉)及び窓は含まれない。例えば、
図2(a)又は
図2(b)に示されるように、側方にある上記4つの開口部分のうちの後方に位置する開口には、観音式の扉60が設置されている。
図1に示されるように、上記4つの開口部分のうちの前方に位置する開口に配置された側壁構造体50には、窓70が設置されていてもよい。
【0021】
側壁構造体50は、発泡スチロールで形成されている。発泡スチロールは、ポリスチレン樹脂を発泡剤で数倍~100倍にふくらませて形成された素材である。側壁構造体50に用いられる発泡スチロールは、例えば、EPS(ビーズ法発泡スチロール)である。側壁構造体50に含まれる発泡スチロールは板状であり、その厚さは、車両1(又は、コンテナ10)の使用目的に応じて種々に選択されるが、例えば、5cm~20cm程度である。
【0022】
少なくとも側壁構造体50の表面には、ポリウレアが塗布されている。側壁構造体50の表面に対して、ポリウレア(ポリウレア樹脂)が塗布されていることで、その表面がポリウレアによって被覆される。側壁構造体50の表面において、ポリウレアが塗布される対象の領域は、コンテナ10が組み立てられた状態で外部に露出する部分であってもよい。コンテナ10の外を向く表面と、側壁構造体50の内側を向く表面とに対して、ポリウレアが塗布される。側壁構造体50に加えて、フレーム20、底部構造体30、及び上部構造体40それぞれの内側及び外側の表面に対しても、ポリウレアが塗布されてもよい。窓は、その役割から塗布されないが、扉に対してもポリウレアが塗布されてもよい。
【0023】
ポリウレアは、耐衝撃性、耐爆破性、防錆性、耐薬品性、防音性、耐塩害性、及び真菌繁殖抑制等に優れた塗料であり、例えば、20年以上の耐久性を有する。ポリウレアを塗布することで、発泡スチロールによる構造体が補強され、金属製の構造体と同等以上の強度が得られる。発泡スチロールは軽量であり、ポリウレアの塗布により補強されていることから、コンテナ10を備えた車両1、又はコンテナ10自体が、洪水等の水による災害時に、シェルターとして機能する。
【0024】
側壁構造体50の外側及び内側それぞれには、ポリウレアの被膜を覆うための化粧パネル(内外装パネル)が設けられてもよい。
【0025】
[車両1の製造過程]
続いて、上述した車両1を製造する過程について説明する。一例では、最初に、既存のコンテナと、シャーシ90とが準備される。そして、既存のコンテナをシャーシ90上に設置する工程が行われる。既存のコンテナは、貨物の輸送等に用いられていたコンテナであり、その側壁は、鋼等の金属によって形成されている。その後、既存のコンテナにおいて、金属製の側壁が取り外される。
図2(a)及び
図2(b)に示される状態が、金属製の側壁が取り外された状態である。
【0026】
次に、金属製の側壁が取り外されることで形成された開口部分を覆うように、板状の発泡スチロールが取り付けられる。板状の発泡スチロールは、接着剤等によって、フレーム20に取り付けられてもよい。そして、板状の発泡スチロールにより形成された側壁構造体50、フレーム20、底部構造体30、及び上部構造体40のそれぞれにおいて、外側及び内側の表面に対して、ポリウレアが吹き付けられて塗布される。その後、内側及び外側に化粧パネル等が取り付けられもよい。
【0027】
[変形例]
車両1は、シャーシ90を牽引せずに、動力を備えた車両本体に連結された荷台上にコンテナが載せられた車(コンテナ車両)であってもよい。車両1では、収容部と、その収容部を支持する荷台が連結(一体化)されていてもよい。この収容部が、上述のコンテナ10と同様に構成されてもよい。
【0028】
上述したコンテナ10は、船等を利用して貨物を運搬可能な貨物用のコンテナとしても用いられる。すなわち、ポリウレアが塗布された発泡スチロールで側壁構造体50が形成されているコンテナ10の用途は、車両搭載用に限らない。以上に説明した種々の例のうちの1つの例において、他の例で説明した事項の少なくとも一部が組み合わせられてもよい。
【0029】
[本開示のまとめ]
以上に説明したコンテナ10は、金属製の底部構造体30と、金属製の上部構造体40と、底部構造体30と上部構造体40との間に配置され、発泡スチロールで形成された側壁構造体50と、を備える。少なくとも側壁構造体50の表面には、ポリウレアが塗布されている。このコンテナ10では、側壁構造体を形成する素材として、金属ではなく、発泡スチロールが用いられているので、金属製の側壁構造体を利用する場合に比べて、軽量である。また、発泡スチロールで形成された側壁構造体50の表面にはポリウレアが塗布されているので、コンテナ10の強度が維持される。従って、上記コンテナ10は、強度を維持しつつ、軽量化を図ることが可能である。例えば、軽量化が図られているので、コンテナ10を水災害用のシェルターとしても利用できる。
【0030】
以上に説明した車両1は、内部空間を形成する収容部(コンテナ10)を備える車両である。上記収容部は、金属製の底部構造体30と、金属製の上部構造体40と、底部構造体30と上部構造体40との間に配置され、発泡スチロールで形成された側壁構造体50と、を有する。少なくとも側壁構造体50の表面には、ポリウレアが塗布されている。この車両1は、上記コンテナ10と同様に、強度を維持しつつ、軽量化を図ることが可能である。また、車両1の軽量化を図ることで、その燃費が向上する。
【符号の説明】
【0031】
1…車両、10…コンテナ(収容部)、20…フレーム、30…底部構造体、40…上部構造体、50…側壁構造体。