(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126470
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】遮熱カバーの排油構造
(51)【国際特許分類】
F02B 77/11 20060101AFI20240912BHJP
F02B 77/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
F02B77/11 D
F02B77/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034855
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】高橋 陽平
(72)【発明者】
【氏名】秋山 翔太
(57)【要約】
【課題】遮熱カバーに付着した液体を任意の場所に誘導する遮熱カバーの排油構造を提案する。
【解決手段】遮熱カバー1の縁部に、車両搭載時において、一般面6より低い位置となる窪み領域5を形成し、窪み領域5から遮熱カバー1の端面2a,3aにかけて切り欠き8を形成し、車両搭載時において、切り欠き8の下側で、かつ、この切り欠き8に沿って、受け部材10の樋部12を設けた。
車両搭載時において、樋部12の開口端面12aの下端が、遮熱カバー1の端面2a,3aより外側に突出するようするとよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮熱カバーの縁部に、車両搭載時において、一般面より低い位置となる窪み領域を形成し、該窪み領域から遮熱カバーの端面にかけて切り欠きを形成し、
車両搭載時において、前記切り欠きの下側で、かつ、この切り欠きに沿って、受け部材の樋部を設けたことを特徴とする遮熱カバーの排油構造。
【請求項2】
車両搭載時において、前記樋部の開口端面の下端が、前記遮熱カバーの端面より外側に突出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の遮熱カバーの排油構造。
【請求項3】
前記受け部材の取付部を、前記遮熱カバーの内側面に、密着固定したことを特徴とする請求項1又は2記載の遮熱カバーの排油構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱カバーの排油構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気系を覆う遮熱カバー(ヒートインシュレータ)には、オイルやロングライフクーラント(LLC)などの液体が付着する場合がある。この付着した液体が凝集しつつ遮熱カバー表面を伝って移動し、穴部から機器等の内部に侵入したり、遮熱カバーの端面から離脱して、排気管やセンサ等の高温部へ滴下する虞がある。
【0003】
従来、この付着液体が、穴部からセンサ内部へ侵入する対策として、大径のセンサ取付穴とセンサとの隙間に遮蔽手段をもうけることが提案されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-291063公報
【特許文献2】特開2009-62958公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、遮熱カバーに付着した液体、遮熱カバーの端面から離脱して、排気管やセンサ等の高温部へ滴下する対策は提案されていない。
【0006】
そこで、本発明は、遮熱カバーに付着した液体を任意の場所に誘導する遮熱カバーの排油構造を提供すことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明は、遮熱カバーの縁部に、車両搭載時において、一般面より低い位置となる窪み領域を形成し、該窪み領域から遮熱カバーの端面にかけて切り欠きを形成し、
車両搭載時において、前記切り欠きの下側で、かつ、この切り欠きに沿って、受け部材の樋部を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、車両搭載時において、前記樋部の端面の下端が、遮熱カバーの端面より外側に突出するようにしてもよい。
【0009】
また、前記受け部材の取付部を、前記遮熱カバーの内側面に、密着固定してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、遮熱カバーの縁部に、車両搭載時において、一般面より低い位置となる窪み領域を形成し、該窪み領域から遮熱カバーの端面にかけて切り欠きを形成し、車両搭載時において、前記切り欠きの下側で、かつ、この切り欠きに沿って、受け部材の樋部を設け、車両搭載時において、樋部の端面の下端が、遮熱カバーの端面より外側に突出するようにしたことにより、遮熱カバーに付着した液体を、集約し、他部品に影響を与えない所定の位置に誘導滴下することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1に係る遮熱カバーの排油構造を有する遮熱カバーの正面図。
【
図5】本発明の実施例1に用いる係る受け部材の正面図。
【
図7】本発明の実施例2に係る遮熱カバーの排油構造を有する遮熱カバーの要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の遮熱カバーの排油構造に係る実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0013】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る遮熱カバーの排油構造を有する遮熱カバー1の正面図である。
【0014】
遮熱カバー1は、排気系の一部を構成する図示しない触媒コンバータの外面を周方向に覆うようにして取り付けて用いるものである。
【0015】
遮熱カバー1は、
図1,
図3,
図4に示すように、弾性を有して撓む薄い金属板で形成された、半割の一方の半割部材2と、半割の他方の半割部材3で構成されている。遮熱カバー1の軸方向(X-X方向)の両端部は、
図1,
図3,
図4に示すように、外側に向かう程縮径するように形成されている。
【0016】
車両の搭載時において、上方に位置する一方の半割部材2の縁部には、窪み領域5が形成されている。この窪み領域5は、車両搭載時において、その周囲の外面からなる一般面6より低い位置となるように窪んで形成されている。
【0017】
この窪み領域5が形成された部分における、一方の半割部材2の端面2aと、他方の半割部材3の端面3aとの間には、
図1,
図2に示すように、隙間7が形成されている。
【0018】
窪み領域5の遮熱カバー1の軸方向(X-X方向)の中間部から、一方の半割部材2の端面2aにかけて、切り欠き8が形成されている。
【0019】
一方の半割部材2の内側面には、金属や耐熱樹脂等で構成される受け部材10が、密着固定されている。受け部材10は、その一方の半割部材2の端面2a側部が、隙間7に位置するようになっている。受け部材10は、
図5,
図6に示すように、取付部11と樋部12を有する。取付部11は、半割部材2における窪み領域5の内側面形状対応した形状に形成され、本実施例では平面状に形成されている。
【0020】
樋部12は、
図5,
図6に示すように、縦断面がU字状に形成された樋状に形成されている。樋部12は、切り欠き8の長手方向に沿い、かつ、車両の搭載時において、切り欠き8の下側に位置するように、一方の半割部材2に取り付けられている。樋部12の深さは、一方の半割部材2の端面2a側に向かう程、深くなるように形成されている。また、樋部12の一方の半割部材2の端面側における開口端面12aの下端は、
図4に示すように、車両の搭載時において、一方の半割部材2の端面2aより外側方向に、すなわち、隙間7より外側に突出するように形成されている。
【0021】
取付部11の横幅は、樋部12の幅より大きく形成されている。なお、樋部12の幅を、取付部11の横幅より大きく形成してもよい。取付部11には、取付穴11aが複数形成されている。この取付穴11aに挿通されたリベット等からなる取付具13により、一方の半割部材2の内側面に、受け部材10が固設されている。受け部材10の一方の半割部材2の内側面への取付は、リベット等からなる取付具13を用いる以外にも、スポット溶接やカシメ固定や接着剤等により固定するようにしてもよい。
【0022】
窪み領域5は、車両搭載時において、その周囲の外面からなる一般面6より低い位置となるように窪んで形成されていることにより、遮熱カバー1を構成する一方の半割部材2の表面に付着した液体は、窪み領域5内に移動する。窪み領域5内の液体は、切り欠き8内に流れ込んだ後に樋部12内に流入する。
【0023】
樋部12の一方の半割部材2の端面側における開口端面12aの下端が、車両の搭載時において、一方の半割部材2の端面2aより外側方向に突出するように形成されていることにより、樋部12内に流入した液体は、開口端面12aより、他部品に影響を与えない所定の位置に排出される。
【0024】
このように、本発明の遮熱カバーの排油構造は、遮熱カバー1に付着した液体を、他部品に影響を与えない所定の位置に誘導し、液体の集約と指向滴下を実現することができる。
【0025】
一方の半割部材2の内側面には、受け部材10が密着固定されていることにより、受け部材10を、遮熱カバー1の内側面の所定の位置に確実に固定することができる。
【0026】
[実施例2]
上記実施例1においては、遮熱カバー1を、排気系の一部を構成する図示しない触媒コンバータの外面を周方向に覆うようにして取り付けたが、本発明の遮熱カバーの排油構造を有する遮熱カバーは、車両の排気系の一部であれば、任意の部材に取付けて用いることができる。
【0027】
例えば、エキゾーストマニホールと触媒コンバータを、一体で覆う遮熱カバーに用いるようにしてもよい。また、窪み領域5は、車両搭載時において、その周囲の外面からなる一般面6より低い位置となるように形成されていれば、
図2に示すような形状等、任意の形状に形成することができる。
【0028】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0029】
実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【符号の説明】
【0030】
1 遮熱カバー
5 窪み領域
6 一般面
8 切り欠き
10 受け部材
11 取付部
12 樋部