(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126475
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】マグネットワイヤ接続装置
(51)【国際特許分類】
H01R 4/2452 20180101AFI20240912BHJP
【FI】
H01R4/2452
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034864
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】390033318
【氏名又は名称】日本圧着端子製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】西田 佳史
(72)【発明者】
【氏名】佐野 孝二
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012AA04
5E012AA08
5E012AA38
5E012AA44
(57)【要約】
【課題】マグネットワイヤに電気的に接続されるコンタクトの部品点数を削減でき、マグネットワイヤの接続作業の作業性を向上できる、マグネットワイヤ接続装置を提供する。
【解決手段】マグネットワイヤ接続装置1は、コンタクト11と第1のハウジング12とを備える。コンタクト11は、スリット刃16aを有してマグネットワイヤ100に圧接される圧接部16と、マグネットワイヤ100を切断する切断刃17bを有する切断部17とを備える。圧接部16と切断部17とは一体に設けられる。第1のハウジング12は、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して、コンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられる状態で、嵌合される。コンタクト11が押し付けられたマグネットワイヤ100は、スリット刃16aに挿入されて圧接部16と圧接され、切断部17の切断刃17bによって切断される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して電気的に接続されるマグネットワイヤ接続装置であって、
前記マグネットワイヤに電気的に接続されるコンタクトと、前記コンタクトを保持する第1のハウジングと、を備え、
前記コンタクトは、前記エナメル被覆を切り破るスリット刃を有して前記マグネットワイヤに圧接される圧接部と、前記マグネットワイヤを切断する切断刃を有する切断部と、を備え、
前記コンタクトの前記圧接部と前記切断部とは一体に設けられており、
前記切断部は、前記圧接部にて前記コンタクトに圧接される前記マグネットワイヤが延びる方向において、前記圧接部の一方側に配置され、
前記第1のハウジングは、前記マグネットワイヤが配置された他のハウジングに対して、当該第1のハウジングに保持された前記コンタクトが前記マグネットワイヤに押し付けられる状態で、嵌合によって接続されるように構成され、
前記コンタクトは、前記第1のハウジングと前記他のハウジングとの嵌合の際に当該コンタクトが前記他のハウジングに配置された前記マグネットワイヤに押し付けられることで、前記マグネットワイヤが前記圧接部の前記スリット刃に挿入されて前記スリット刃が前記エナメル被覆を切り破って前記マグネットワイヤに食い込んで前記マグネットワイヤに圧接されるとともに、前記切断部の前記切断刃が前記マグネットワイヤを切断するように構成されていることを特徴とする、マグネットワイヤ接続装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマグネットワイヤ接続装置であって、
前記他のハウジングとして設けられて、前記第1のハウジングと嵌合によって接続される第2のハウジングを更に備え、
前記第2のハウジングには、
前記マグネットワイヤを支持する支持部と、
前記支持部に支持された前記マグネットワイヤが延びる方向において前記支持部に隣接して設けられ、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記圧接部が挿入される圧接部用溝と、
が設けられ、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に、前記圧接部が前記圧接部用溝に挿入されるとともに、前記マグネットワイヤが前記圧接部の前記スリット刃に挿入されて前記スリット刃が前記エナメル被覆を切り破って前記マグネットワイヤに食い込んで前記マグネットワイヤに圧接されることを特徴とする、マグネットワイヤ接続装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマグネットワイヤ接続装置であって、
前記第2のハウジングには、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記切断部が挿入される切断部用溝が設けられ、
前記切断部用溝は、前記切断部が挿入される際に前記切断部の前記切断刃と摺接して前記切断刃を弾性変形させるように構成され、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記切断部用溝に挿入された前記切断部の前記切断刃が弾性変形することで、前記マグネットワイヤが前記切断刃によって切断されることを特徴とする、マグネットワイヤ接続装置。
【請求項4】
請求項3に記載のマグネットワイヤ接続装置であって、
前記切断刃は、前記切断部において、一対で設けられ、
一対の前記切断刃は、それぞれ片持ち状に延びるとともに互いに隙間を介して対向して延びるように設けられ、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記切断部用溝に挿入された一対の前記切断刃が互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、前記マグネットワイヤが一対の前記切断刃によって挟まれて切断されることを特徴とする、マグネットワイヤ接続装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のマグネットワイヤ接続装置であって、
前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、互いに嵌合した状態において、前記切断刃によって切断された前記マグネットワイヤの端面を含む前記マグネットワイヤの先端部を両側から覆うように構成されていることを特徴とする、マグネットワイヤ接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して電気的に接続されるマグネットワイヤ接続装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器の巻線として、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤが用いられている。電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器が他の機器に接続される際には、マグネットワイヤに対して電気的に接続されるマグネットワイヤ接続装置が必要となる。このようなマグネットワイヤに対して電気的に接続されるマグネットワイヤ接続装置として、例えば、特許文献1に開示されたコネクタ1が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたマグネットワイヤ接続装置としてのコネクタ1は、マグネットワイヤとしてのコイル巻線40に対して電気的に接続されるように構成されている。コネクタ1は、絶縁性材料で形成されたハウジング10と、コイル巻線40に対して電気的に接続されるコンタクトとしての金属製の端子部材20および弾性部材30とを備えて構成されている。ハウジング10は、例えば、電動モータのハウジングの一部として構成されている。
【0004】
マグネットワイヤ接続装置としてのコネクタ1とマグネットワイヤとしてのコイル巻線40とが接続される際には、まず、コイル巻線40がハウジング10に挿入されて配置される。ハウジング10には、コイル巻線40の先端側の部分を巻き付けるための柱状部11が設けられている。コイル巻線40がハウジング10に挿入されて配置されると、コイル巻線40の先端側の部分がハウジング10の柱状部11に巻き付けられてハウジング10に保持される。そして、コイル巻線40の先端側の部分が柱状部11で保持された状態で、端子部材20がハウジング10に挿し込まれる。端子部材20には、セレーション23が形成された接触面21が設けられており、端子部材20は、接触面21をコイル巻線40側に向けた姿勢でハウジング10に挿し込まれる。
【0005】
端子部材20がハウジング10に挿し込まれると、次いで、弾性部材30がハウジング10に挿し込まれる。弾性部材30には、ハウジング10に挿し込まれた際に弾性変形して端子部材20を押圧する押圧部32が設けられている。弾性部材30がハウジング10に挿し込まれて弾性変形した押圧部32が端子部材20を押圧することで、端子部材20の接触面21に形成されたセレーション23がコイル巻線40のエナメル被覆を突き破り、端子部材20とコイル巻線40とが電気的に接続される。このようにして、特許文献1に開示されたマグネットワイヤ接続装置としてのコネクタ1は、マグネットワイヤとしてのコイル巻線40に対して電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたマグネットワイヤ接続装置によると、セレーション23が形成された接触面21をコイル巻線40に向けた姿勢で金属製の端子部材20がハウジング10に挿し込まれ、次いで、金属製の弾性部材30がハウジング10に挿し込まれる。そして、弾性部材30の押圧部32が弾性変形して端子部材20を押圧することで、セレーション23がコイル巻線40のエナメル被覆を突き破り、端子部材20がコイル巻線40と電気的に接続される。よって、特許文献1のマグネットワイヤ接続装置によると、マグネットワイヤとしてのコイル巻線に対して電気的に接続されるコンタクトを構成するために、セレーション23が設けられた金属製の端子部材20と、端子部材20とは独立した別部材として設けられて弾性変形によって端子部材20を押圧する金属製の弾性部材30とが必要となる。このため、マグネットワイヤに対して電気的に接続されるコンタクトの部品点数の増加を招いてしまうことになる。
【0008】
また、特許文献1に開示されたマグネットワイヤ接続装置によると、端子部材20と弾性部材30とをハウジング10に挿入してコイル巻線40に電気的に接続する際には、コイル巻線40の先端側の部分がハウジング10の柱状部11に巻き付けられる。そして、端子部材20および弾性部材30をコイル巻線40と電気的に接続した状態では、コイル巻線40の先端側の部分は、ハウジング10の柱状部11に巻き付けられたままの状態となる。コイル巻線40の先端側の部分がハウジング10の柱状部11に巻き付けられたままの状態では、コイル巻線40の先端側の部分がハウジング10の外部で長く延びた状態となり、コイル巻線40の先端側の部分の端面がハウジング10の外部でハウジング10から離れた位置で露出して短絡が発生する虞がある。コイル巻線40の先端側の部分がハウジング10の外部で長く延びた状態となることによる短絡の発生を防止するためには、柱状部11に巻き付けたコイル巻線40の先端側の部分と柱状部11とを切断して除去することが必要となる。このため、特許文献1に開示されたマグネットワイヤ接続装置においては、端子部材20および弾性部材30をコイル巻線40と電気的に接続する作業に加え、さらに、柱状部11に巻き付けたコイル巻線40の先端側の部分と柱状部11とを切断して除去する作業が必要となる。また、この作業のためには、柱状部11に巻き付けたコイル巻線40の先端側の部分と柱状部11とを切断するための専用の切断治具が必要となる。したがって、特許文献1のマグネットワイヤ接続装置によると、コイル巻線40と電気的に接続する際には、ハウジング10の柱状部11に巻き付けたコイル巻線40の先端側の部分と柱状部11とを専用の切断治具を用いて切断するという煩雑で手間を要する作業が必要となる。よって、マグネットワイヤとしてのコイル巻線40に対してマグネットワイヤ接続装置を電気的に接続する作業の作業性の低下を招くことになる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みることにより、マグネットワイヤに対して電気的に接続されるコンタクトの部品点数を削減することができ、マグネットワイヤに対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる、マグネットワイヤ接続装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記目的を達成するための本発明のある局面に係るマグネットワイヤ接続装置は、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して電気的に接続されるマグネットワイヤ接続装置に関する。そして、本発明のある局面に係るマグネットワイヤ接続装置は、前記マグネットワイヤに電気的に接続されるコンタクトと、前記コンタクトを保持する第1のハウジングと、を備え、前記コンタクトは、前記エナメル被覆を切り破るスリット刃を有して前記マグネットワイヤに圧接される圧接部と、前記マグネットワイヤを切断する切断刃を有する切断部と、を備え、前記コンタクトの前記圧接部と前記切断部とは一体に設けられており、前記切断部は、前記圧接部にて前記コンタクトに圧接される前記マグネットワイヤが延びる方向において、前記圧接部の一方側に配置され、前記第1のハウジングは、前記マグネットワイヤが配置された他のハウジングに対して、当該第1のハウジングに保持された前記コンタクトが前記マグネットワイヤに押し付けられる状態で、嵌合によって接続されるように構成され、前記コンタクトは、前記第1のハウジングと前記他のハウジングとの嵌合の際に当該コンタクトが前記他のハウジングに配置された前記マグネットワイヤに押し付けられることで、前記マグネットワイヤが前記圧接部の前記スリット刃に挿入されて前記スリット刃が前記エナメル被覆を切り破って前記マグネットワイヤに食い込んで前記マグネットワイヤに圧接されるとともに、前記切断部の前記切断刃が前記マグネットワイヤを切断するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成によると、コンタクトを保持した第1のハウジングをマグネットワイヤが配置された他のハウジングに嵌合させ、第1のハウジングが保持したコンタクトをマグネットワイヤに押し付けることで、マグネットワイヤが圧接部のスリット刃に挿入される。そして、スリット刃にマグネットワイヤが挿入されることで、スリット刃でエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤにスリット刃を食い込ませて圧接部をマグネットワイヤに圧接することができる。さらに、第1のハウジングが保持したコンタクトをマグネットワイヤに押し付けることで、切断部の切断刃によってマグネットワイヤが切断される。このため、上記の構成によると、第1のハウジングを他のハウジングに嵌合させ、第1のハウジングが保持したコンタクトを他のハウジングに配置されたマグネットワイヤに押し付けることで、コンタクトをマグネットワイヤに圧接して電気的に接続できるとともに、マグネットワイヤの先端側の部分を切断して除去することができる。よって、マグネットワイヤの先端側の部分を切断する作業も含め、マグネットワイヤ接続装置をマグネットワイヤに対して電気的に接続する作業を容易に行うことができる。したがって、マグネットワイヤ接続装置をマグネットワイヤに対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる。すなわち、特許文献1に開示されたようなハウジングの柱状部に巻き付けられたマグネットワイヤとハウジングの柱状部とを専用の治具を用いて切断して除去するような煩雑で手間を要する作業は不要であり、マグネットワイヤ接続装置をマグネットワイヤに対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0012】
また、上記の構成によると、コンタクトにおいて、マグネットワイヤに圧接される圧接部と、圧接部の一方側に配置されて圧接の際にマグネットワイヤの先端側の部分を切断する切断部とが、一体に設けられている。このため、マグネットワイヤに圧接されるとともにマグネットワイヤの先端側の部分を切断して除去できるコンタクトを1つの部品で構成することができる。よって、マグネットワイヤに対して電気的に接続されるコンタクトの部品点数を削減することができる。
【0013】
したがって、上記の構成によると、マグネットワイヤに対して電気的に接続されるコンタクトの部品点数を削減することができ、マグネットワイヤに対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる、マグネットワイヤ接続装置を提供することができる。
【0014】
(2)前記他のハウジングとして設けられて、前記第1のハウジングと嵌合によって接続される第2のハウジングを更に備え、前記第2のハウジングには、前記マグネットワイヤを支持する支持部と、前記支持部に支持された前記マグネットワイヤが延びる方向において前記支持部に隣接して設けられ、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記圧接部が挿入される圧接部用溝と、が設けられ、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に、前記圧接部が前記圧接部用溝に挿入されるとともに、前記マグネットワイヤが前記圧接部の前記スリット刃に挿入されて前記スリット刃が前記エナメル被覆を切り破って前記マグネットワイヤに食い込んで前記マグネットワイヤに圧接されてもよい。
【0015】
この構成によると、マグネットワイヤは、第2のハウジングの支持部に支持された状態で第2のハウジングに配置される。そして、マグネットワイヤが配置された第2のハウジングに対して、コンタクトを保持した第1のハウジングが嵌合され、コンタクトがマグネットワイヤに押し付けられる。コンタクトがマグネットワイヤに押し付けられると、コンタクトの圧接部が第2のハウジングの圧接部用溝に挿入されながら、マグネットワイヤが圧接部のスリット刃に挿入される。そして、スリット刃にマグネットワイヤが挿入されることで、スリット刃でエナメル被覆が切り破られてマグネットワイヤにスリット刃が食い込んで圧接部がマグネットワイヤに圧接される。よって、上記の構成によると、第1のハウジングを第2のハウジングに嵌合させ、第1のハウジングが保持したコンタクトを第2のハウジングに配置されたマグネットワイヤに押し付けることで、マグネットワイヤ接続装置をマグネットワイヤに対して電気的に接続する作業をさらに容易に行うことができる。
【0016】
(3)前記第2のハウジングには、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記切断部が挿入される切断部用溝が設けられ、前記切断部用溝は、前記切断部が挿入される際に前記切断部の前記切断刃と摺接して前記切断刃を弾性変形させるように構成され、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記切断部用溝に挿入された前記切断部の前記切断刃が弾性変形することで、前記マグネットワイヤが前記切断刃によって切断されてもよい。
【0017】
この構成によると、マグネットワイヤが配置された第2のハウジングに対して、コンタクトを保持した第1のハウジングが嵌合され、コンタクトがマグネットワイヤに押し付けられると、コンタクトの切断部が第2のハウジングの切断部用溝に挿入される。そして、切断部用溝に切断部が挿入されると、切断部の切断刃が切断部用溝と摺接して弾性変形し、マグネットワイヤが切断刃によって切断される。よって、上記の構成によると、第1のハウジングを第2のハウジングに嵌合させ、第1のハウジングが保持したコンタクトを第2のハウジングに配置されたマグネットワイヤに押し付けることで、マグネットワイヤの先端側の部分を容易に切断して除去することができる。したがって、マグネットワイヤの先端側の部分を切断する作業も含め、マグネットワイヤ接続装置をマグネットワイヤに対して電気的に接続する作業を更に容易に行うことができる。
【0018】
(4)前記切断刃は、前記切断部において、一対で設けられ、一対の前記切断刃は、それぞれ片持ち状に延びるとともに互いに隙間を介して対向して延びるように設けられ、前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとの嵌合の際に前記切断部用溝に挿入された一対の前記切断刃が互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、前記マグネットワイヤが一対の前記切断刃によって挟まれて切断されてもよい。
【0019】
この構成によると、マグネットワイヤが配置された第2のハウジングに対して、コンタクトを保持した第1のハウジングが嵌合され、コンタクトがマグネットワイヤに押し付けられると、コンタクトの切断部の一対の切断刃が第2のハウジングの切断部用溝に挿入される。そして、切断部用溝に一対の切断刃が挿入されると、一対の切断刃が切断部用溝と摺接して一対の切断刃が互いに接近する方向に撓むように弾性変形し、マグネットワイヤが一対の切断刃によって挟まれて切断される。よって、上記の構成によると、第1のハウジングを第2のハウジングに嵌合させ、第1のハウジングが保持したコンタクトを第2のハウジングに配置されたマグネットワイヤに押し付けることで、マグネットワイヤの先端側の部分を容易に切断して除去することができる。したがって、マグネットワイヤの先端側の部分を切断する作業も含め、マグネットワイヤ接続装置をマグネットワイヤに対して電気的に接続する作業を更に容易に行うことができる。
【0020】
(5)前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、互いに嵌合した状態において、前記切断刃によって切断された前記マグネットワイヤの端面を含む前記マグネットワイヤの先端部を両側から覆うように構成されていてもよい。
【0021】
この構成によると、第1のハウジングと第2のハウジングとが嵌合した状態では、切断部の切断刃で切断されたマグネットワイヤの端面を含むマグネットワイヤの先端部が両側から挟まれるようにして覆われる。このため、第1のハウジングと第2のハウジングとが嵌合し、マグネットワイヤ接続装置をマグネットワイヤに対して接続した状態において、マグネットワイヤの先端部の破断面がマグネット接続装置の外部へ露出することを好適に防止することができる。マグネットワイヤの先端部の破断面の外部への露出を好適に防止できるため、マグネットワイヤの先端部での短絡が発生してしまうことを好適に防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、マグネットワイヤに対して電気的に接続されるコンタクトの部品点数を削減することができ、マグネットワイヤに対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる、マグネットワイヤ接続装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るマグネットワイヤ接続装置を示す斜視図である。
【
図2】マグネットワイヤ接続装置の分解斜視図である。
【
図3】マグネットワイヤ接続装置におけるコンタクトを拡大して示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)は、マグネットワイヤ接続装置における第1のハウジングを示す斜視図であり、
図4(B)は、第1のハウジングにコンタクトが保持された状態を示す斜視図である。
【
図5】第1のハウジングにコンタクトが保持された状態を示す斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、コンタクトがマグネットワイヤに圧接される前の状態を模式的に示す斜視図であり、
図6(B)は、コンタクトがマグネットワイヤに圧接された状態を模式的に示す斜視図である。
【
図7】第1のハウジングに保持されたコンタクトがマグネットワイヤに圧接された状態を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8(A)および
図8(B)は、マグネットワイヤ接続装置における第2のハウジングを示す斜視図である。
【
図9】
図8(B)に示す第2のハウジングの一部を拡大して示す図である。
【
図10】
図10(A)は、マグネットワイヤ接続装置の正面図であって、第1のハウジングと第2のハウジングとが嵌合している途中の状態を示す図であり、
図10(B)は、
図10(A)に示すマグネットワイヤ接続装置の平面図である。
【
図11】
図11(A)は、マグネットワイヤ接続装置の断面図であって、
図10(B)のA-A線矢視位置での断面図であり、
図11(B)は、
図11(A)の一部を拡大して示す図である。
【
図12】
図12(A)は、マグネットワイヤ接続装置の正面図であって、マグネットワイヤ接続装置とマグネットワイヤとが接続された状態を示す図であり、
図12(B)は、
図12(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
【
図14】
図14(A)は、マグネットワイヤ接続装置の断面図であって、マグネットワイヤ接続装置とマグネットワイヤとの接続の際にマグネットワイヤが切断される途中の状態を示す図であり、
図14(B)は、
図14(A)の一部を拡大して示す図である。
【
図15】
図15(A)は、マグネットワイヤ接続装置の断面図であって、マグネットワイヤ接続装置とマグネットワイヤとが接続されるとともにマグネットワイヤの先端側の部分が切断されて除去された状態を示す図であり、
図15(B)は、
図15(A)の一部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。本発明は、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して電気的に接続されるマグネットワイヤ接続装置として、種々の用途に広く適用することができるものである。
【0025】
[マグネットワイヤ接続装置の概略]
図1は、本発明の一実施の形態に係るマグネットワイヤ接続装置1を示す斜視図である。
図2は、マグネットワイヤ接続装置1の分解斜視図である。なお、
図1においては、マグネットワイヤ接続装置1に複数のマグネットワイヤ100が接続された状態を示している。また、
図1では、マグネットワイヤ100については、マグネットワイヤ接続装置1に接続される端部側の部分を図示している。
【0026】
図1および
図2を参照して、マグネットワイヤ接続装置1は、マグネットワイヤ100に対して電気的に接続される接続装置として構成されている。なお、本実施形態では、マグネットワイヤ接続装置1は、複数のマグネットワイヤ100に対して電気的に接続されるように構成されている。マグネットワイヤ100は、電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器(図示省略)の巻線として設けられ、導体としての心線とその周囲の絶縁体としてのエナメル被覆とを含む電線として構成される。マグネットワイヤ100に接続されたマグネットワイヤ接続装置1は、図示が省略された相手側のコネクタに対して接続される。マグネットワイヤ接続装置1が接続される相手側のコネクタは、マグネットワイヤ100が巻線として用いられている電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器が電気的に接続される他の機器(図示省略)に接続されている。マグネットワイヤ接続装置1と相手側のコネクタとが接続されることで、電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器が他の機器と接続される。
【0027】
マグネットワイヤ接続装置1は、複数のコンタクト11と、複数のコンタクト11を保持する第1のハウジング12と、第1のハウジング12と嵌合によって接続される第2のハウジング13とを備えて構成されている。なお、本実施形態では、マグネットワイヤ接続装置1が6つのコンタクト11を備えて構成された形態を例示している。また、各コンタクト11は、導電性を有する金属材料で形成され、第1のハウジング12および第2のハウジング13は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。
【0028】
複数のコンタクト11のそれぞれは、第1のハウジング12に挿入されて保持される。第2のハウジング13には、複数のマグネットワイヤ100が互いに平行に延びた状態で並んで配置される。そして、第1のハウジング12は、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられる状態で、嵌合によって接続される。マグネットワイヤ接続装置1においては、後述するように、第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合により接続されることで、各マグネットワイヤ100に各コンタクト11が圧接されるように構成されている。第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合して接続され、マグネットワイヤ100とコンタクト11とが圧接されることで、マグネットワイヤ100とマグネットワイヤ接続装置1とが電気的に接続される。また、後述するように、マグネットワイヤ接続装置1においては、第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合により接続されることで、各マグネットワイヤ100と各コンタクト11とが圧接されて電気的に接続されるとともに各マグネットワイヤ100の先端側の部分が切断されて除去されるように構成されている。
【0029】
マグネットワイヤ接続装置1とマグネットワイヤ100とが電気的に接続されると、第1のハウジング12に対して、マグネットワイヤ100が巻線として設けられる電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器(図示省略)に対して接続される他の機器(図示省略)に接続された相手側のコネクタ(図示省略)が嵌合して接続される。第1のハウジング12と相手側のコネクタとが嵌合により接続されることで、マグネットワイヤ接続装置1と相手側のコネクタとが電気的に接続される。これにより、電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器と他の機器とが、マグネットワイヤ接続装置1と相手側のコネクタとを介して接続される。なお、マグネットワイヤ接続装置1における第2のハウジング13は、マグネットワイヤ100が巻線として設けられる電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器のケーシングの一部として、或いはそのケーシングに組み付けられる部材として設けられる。以下、マグネットワイヤ接続装置1の構成の詳細についてさらに説明する。
【0030】
なお、以下の説明では、説明の便宜上、図面において両端矢印で示すように、マグネットワイヤ接続装置1における上下方向、前後方向、および左右方向を定義する。上下方向は、マグネットワイヤ接続装置1における第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合によって接続される方向と平行な方向として構成される。また、上下方向は、マグネットワイヤ接続装置1の第1のハウジング12にコンタクト11が挿入される方向と平行な方向も構成している。前後方向および左右方向は、上下方向に垂直な方向として構成され、前後方向と左右方向とは互いに垂直な方向として構成される。なお、前後方向は、マグネットワイヤ接続装置1にマグネットワイヤ100が接続された状態でマグネットワイヤ100がマグネットワイヤ接続装置1から引き出される方向と平行な方向として構成されている。また、左右方向は、マグネットワイヤ接続装置1の第1のハウジング12に保持された複数のコンタクト11が第1のハウジング12において並んで配置される方向と平行な方向として構成されている。
【0031】
[コンタクト]
図3は、マグネットワイヤ接続装置1におけるコンタクト11を拡大して示す斜視図である。
図4(A)は、マグネットワイヤ接続装置1における第1のハウジング12を示す斜視図であり、
図4(B)は、第1のハウジング12にコンタクト11が保持された状態を示す斜視図である。
図5は、第1のハウジング12にコンタクト11が保持された状態を示す斜視図である。
図6(A)は、コンタクト11にマグネットワイヤ100が保持された状態を模式的に示す斜視図であり、
図6(B)は、コンタクト11がマグネットワイヤ100に圧接された状態を模式的に示す斜視図である。
図7は、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11がマグネットワイヤ100に圧接された状態を模式的に示す斜視図である。なお、
図3では、1つのコンタクト11のみを拡大して示している。また、第1のハウジング12にコンタクト11が保持された状態を示す斜視図である
図4(B)、
図5および
図7に関して、
図4(B)は、斜め上方から見た状態での斜視図を示しており、
図5および
図7は、斜め下方から見た状態での斜視図を示している。
【0032】
図1乃至
図7を参照して、コンタクト11は、導電性を有する銅などの金属材料で形成され、マグネットワイヤ100に対して電気的に接続される端子部材として設けられている。コンタクト11は、第1のハウジング12に挿入されて保持された状態で、マグネットワイヤ100に対して電気的に接続されるように構成されている。また、コンタクト11は、マグネットワイヤ接続装置1が相手側のコネクタと接続される際に相手側のコネクタに備えられる相手側のコンタクト(図示省略)に対しても電気的に接続されるように構成されている。
【0033】
図1乃至
図7を参照して、コンタクト11は、本体部14と、相手側接続部15と、複数の圧接部16と、切断部17とを備えて構成されている。本体部14と相手側接続部15と複数の圧接部16と切断部17とは一体に設けられている。一体に形成されるコンタクト11は、例えば、平坦な金属板が打ち抜き加工されることで切り出されたコンタクト11の素材が折り曲げ加工されることで形成される。
【0034】
図3および
図6を参照して、本体部14は、コンタクト11において前後方向の中央で上下方向に沿って柱状に延びる中央構造部分として設けられている。上下方向に沿って柱状に延びる本体部14における上端側の部分は、角筒状に形成されており、第1のハウジング12に対して下方から挿入されるように構成されている。なお、コンタクト11は、本体部14の上端側の角筒状の部分から第1のハウジング12における後述の保持穴19aに対して下方から挿入され、本体部14の下端側の部分まで保持穴19aに圧入されることで、第1のハウジング12に保持されるように構成されている(
図4および
図5を参照)。
【0035】
また、本体部14における角筒状の部分の上端部は、相手側接続部15として構成されている。相手側接続部15は、コンタクト11において、マグネットワイヤ接続装置1が相手側のコネクタと接続される際に相手側のコネクタに備えられる相手側のコンタクトに対して接触して電気的に接続される電気接点部分として構成されている。相手側接続部15は、例えば、オス型の電気接点部分として設けられ、相手側のコンタクトにおけるメス型の電気接点部分に対して嵌合して電気的に接続されるように構成されている。
【0036】
図3および
図6を参照して、コンタクト11における複数の圧接部16のそれぞれは、マグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破るスリット刃16aを有してマグネットワイヤ100に圧接される部分として設けられている。なお、本実施形態のコンタクト11では、複数の圧接部16として3つの圧接部16が設けられている。3つの圧接部16は、前後方向に沿って直列に並んで設けられている。そして、3つの圧接部16は、いずれも本体部14に対して一体に設けられている。なお、前後方向に並ぶ3つの圧接部16のうちの前方側の圧接部16と前後方向における中央側の圧接部16とのそれぞれは、本体部14の下端部において本体部14に一体に設けられている。また、前後方向に並ぶ3つの圧接部16のうちの後方側の圧接部16は、本体部14の下端部側の部分に対して連結部14aを介して一体に連結されている。なお、連結部14aは、本体部14の下端側の部分から後方側に屈曲して延びる細長い板状に設けられている。そして、連結部14aに対して、前後方向に並ぶ3つの圧接部16のうちの後方側の圧接部16が連結されている。なお、連結部14aは、コンタクト11が第1のハウジング12に対して保持穴19aにて挿入されて保持される際に第1のハウジング12に圧入される部分としても構成されている。連結部14aには、第1のハウジング12の保持穴19aに挿入される際に保持穴19aの内壁に対して圧入される圧入爪14bが設けられている。
【0037】
3つの圧接部16のそれぞれは、マグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破るスリット刃16aを有している。各圧接部16のスリット刃16aは、隙間を介して略平行に上下方向に沿って延びる一対の刃部を有している。各圧接部16のスリット刃16aにおける一対の刃部の間の隙間として形成されて上下方向に延びるスリットには、マグネットワイヤ100が前後方向に沿って延びた状態で挿通される。なお、各圧接部16のスリット刃16aのスリットは、下端側が外部に対して開放されるように構成されている。マグネットワイヤ100は、スリット刃16aのスリットに対して、下端側の開放された領域から挿入されることで挿通される。そして、各圧接部16のスリット刃16aは、その一対の刃部によって、一対の刃部の間のスリットに挿通されたマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破り、マグネットワイヤ100の心線に食い込むことで、マグネットワイヤ100に圧接されるように構成されている。圧接部16のスリット刃16aがマグネットワイヤ100に圧接されることで、コンタクト11が、マグネットワイヤ100に対して電気的および機械的に接続される。
【0038】
図3、
図5乃至
図7を参照して、コンタクト11における切断部17は、圧接部16に圧接されるマグネットワイヤ100の先端側の部分100aを切断するための部分として設けられており、マグネットワイヤ100を切断するための切断刃17bを有して構成されている。切断部17は、コンタクト11において1つ設けられている。そして、切断部17は、複数の圧接部16にてコンタクト11に圧接されるマグネットワイヤ100が延びる方向である前後方向において、複数の圧接部16の一方側に配置されている。より具体的には、コンタクト11においては、1つの切断部17と3つの圧接部16とが前後方向に沿って並んで配置されている。そして、切断部17が、複数の圧接部16に対して、前後方向における一方側である前方側に配置されている。
【0039】
また、切断部17は、板状に設けられて圧接部16と一体に設けられた基部17aと、基部17aから片持ち状に延びるように設けられてマグネットワイヤ100を切断するための切断刃17bとを有している。切断部17における板状の基部17aは、結合部17cを介して圧接部16に一体に結合されている。結合部17cは、3つの圧接部16のうちの前方側の圧接部16の上端側の部分から前後方向に沿って屈曲して延びる板状に設けられている。そして、結合部17cは、切断部17における基部17aの上端部と3つの圧接部16のうちの前方側の圧接部16の上端側の部分とを一体に結合している。このため、コンタクト11においては、圧接部16と切断部17とが一体に設けられている。なお、結合部17cは、コンタクト11が第1のハウジング12に対して保持穴19aにて挿入されて保持される際に第1のハウジング12に圧入される部分としても構成されている。結合部17cにおける基部17aの上端部と結合している部分には、第1のハウジング12の保持穴19aに挿入される際に保持穴19aの内壁に対して圧入される圧入爪17dが設けられている。
【0040】
切断部17の切断刃17bは、コンタクト11が保持される第1のハウジング12とは異なる他のハウジングに配置されたマグネットワイヤ100に対してコンタクト11が押し付けられた際にマグネットワイヤ100を切断する刃として構成されている。なお、本実施形態では、第1のハウジング12と嵌合によって接続される第2のハウジング13が、コンタクト11を保持する第1のハウジング12とは異なる他のハウジングを構成している。切断刃17bは、他のハウジングとして設けられる第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に対して、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11が押し付けられた際に、マグネットワイヤ100を切断する刃として構成されている。
【0041】
また、切断刃17bは、切断部17において、一対で設けられている。一対の切断刃17bは、それぞれ基部17aから片持ち状に延びて設けられている。一対の切断刃17bのそれぞれは、基部17aから下方に向かって上下方向に沿って片持ち状に延びるように設けられている。そして、基部17aからそれぞれ片持ち状に延びる一対の切断刃17bは、互いに隙間を介して対向して延びるように設けられている(
図3および
図6(a)を参照)。すなわち、基部17aから上下方向に沿って片持ち状に延びる一対の切断刃17bは、左右方向において隙間を介して対向して配置されている。また、一対の切断刃17bは、圧接部16のスリット刃16aに対して、前後方向から見て重なって配置された状態で、上下方向に沿って延びるように設けられている。
【0042】
また、一対の切断刃17bは、左右方向において互いに接近する方向に弾性変形して撓むことで、一対の切断刃17bの間の隙間に配置されたマグネットワイヤ100を切断するように構成されている。なお、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に嵌合する際には、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11が、第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けられる。そして、一対の切断刃17bは、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11が第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けられる際に、第2のハウジング13における後述の切断部用溝25に挿入されて切断部用溝25と摺接して弾性変形するように設けられている。一対の切断刃17bは、第2のハウジング13の切断部用溝25と摺接することで、左右方向に沿って互いに接近する方向に撓むように弾性変形する。そして、一対の切断刃17bは、互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、第2のハウジング13に配置されているマグネットワイヤ100を左右方向の両側から挟んで切断するように構成されている。なお、互いに接近する方向に撓むように弾性変形してマグネットワイヤ100を両側から挟んで切断する一対の切断刃17bは、切断刃17bの刃先同士が互いに当接又は摺接する位置まで接近することでマグネットワイヤ100を切断するように構成されている。
【0043】
上述したコンタクト11は、
図4(B)および
図5に示すように、第1のハウジング12の保持穴19aに挿入されて第1のハウジング12に保持される。そして、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が、マグネットワイヤ100が配置された他のハウジングとしての第2のハウジング13に嵌合し、コンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられる。すなわち、第1のハウジング12と第2のハウジング13との嵌合の際にコンタクト11が他のハウジングとしての第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けられる。そして、コンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられることで、コンタクト11がマグネットワイヤ100に圧接されるとともに、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aが切断される。マグネットワイヤ100にコンタクト11が圧接されるとともにマグネットワイヤ100の先端側の部分100aが切断される際には、
図6(A)を参照して、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11が、他のハウジングとしての第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に上方から押し付けられる。なお、
図6(A)では、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11が、第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に上方から押し付けられる状態について、第1のハウジング12および第2のハウジング13の図示を省略した状態で模式的に示している。
【0044】
第1のハウジング12に保持されたコンタクト11が、第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に上方から押し付けられると、
図6(B)および
図7を参照して、マグネットワイヤ100が、複数の圧接部16のスリット刃16aのそれぞれに挿入される。なお、
図6(B)では、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11の圧接部16のスリット刃16aに、第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100が挿入される状態について、第1のハウジング12および第2のハウジング13の図示を省略した状態で模式的に示している。一方、
図7では、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11の圧接部16のスリット刃16aに、第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100が挿入される状態について、第2のハウジング13の図示を省略した状態で模式的に示している。圧接部16のスリット刃16aにマグネットワイヤ100が挿入されることで、スリット刃16aがマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤ100の心線に食い込み、圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接される。圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接されることで、コンタクト11がマグネットワイヤ100に対して電気的に接続される。
【0045】
また、
図6(B)および
図7を参照して、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11が、第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に上方から押し付けられると、圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接されるとともに、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aが切断部17の切断刃17bによって切断される。第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100にコンタクト11が押し付けられると、切断部17の一対の切断刃17bは、第2のハウジング13における後述の切断部用溝25に挿入されて切断部用溝25と摺接して弾性変形する。このとき、一対の切断刃17bは、第2のハウジング13の切断部用溝25と摺接することで、左右方向に沿って互いに接近する方向に撓むように弾性変形する。そして、一対の切断刃17bは、互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、第2のハウジング13に配置されているマグネットワイヤ100を左右方向の両側から挟んで切断するように構成されている。これにより、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aが切断部17の切断刃17bによって切断されて除去される。
【0046】
上述のように、コンタクト11は、第1のハウジング12と他のハウジングである第2のハウジング13との嵌合の際にコンタクト11が第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けられることで、マグネットワイヤ100が圧接部16のスリット刃16aに挿入されてスリット刃16aがマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤ100に食い込んでマグネットワイヤ100に圧接されるとともに、切断部17の切断刃17aがマグネットワイヤ100を切断するように構成されている。
【0047】
[第1のハウジング]
図1、
図2、
図4、
図5および
図7を参照して、第1のハウジング12は、絶縁性を有する樹脂材料で形成され、複数のコンタクト11を保持するハウジング部材として設けられている。そして、第1のハウジング12は、マグネットワイヤ100が配置された他のハウジングである第2のハウジング13に対して、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられる状態で、嵌合によって接続されるように構成されている。
【0048】
第1のハウジング12は、外形が略長方形の断面形状で上下方向に沿って筒状に延びる筒状本体部18と、筒状本体部18の下端部を塞ぐように設けられる底部19とを備えた基本形状を有して構成されている。第1のハウジング12は、第2のハウジング13と嵌合によって接続される際には、底部19が設けられた下端部側から第2のハウジング13に対して嵌合するように構成されている。
【0049】
第1のハウジング12の底部19には、複数のコンタクト11のそれぞれが挿入されて保持される複数の保持穴19aが設けられている。保持穴19aは、底部19を上下に貫通する穴として設けられている。コンタクト11が保持穴19aに挿入される際には、コンタクト11は、本体部14の上端側の角筒状の部分から保持穴19aに対して下方から挿入される。そして、コンタクト11は、本体部14の下端側の部分まで保持穴19aに圧入されることで、第1のハウジング12に保持される。
【0050】
なお、底部19を貫通する保持穴19aにおける上端側の領域は、コンタクト11の本体部14の上端側の角筒状の部分に対応する形状の領域として形成されている。そして、保持穴19aにおける下端側の領域は、コンタクト11の本体部14の下端側の部分と連結部14aと結合部17cとに対応する形状の領域として形成されている。また、保持穴19aにおける下端側の領域を区画する内壁は、コンタクト11が保持穴19aに挿入される際に、連結部14aに設けられた圧入爪14bと結合部17cに設けられた圧入爪17dとが圧入されるように構成されている。連結部14aの圧入爪14bと結合部17cの圧入爪17dとが保持穴19aに圧入されることで、保持穴19aに挿入されたコンタクト11が第1のハウジング12に強固に保持されることになる。なお、保持穴19aに挿入されて保持されたコンタクト11は、複数の圧接部16と切断部17とが第1のハウジング12の底部19から下方に突出して露出した状態で、第1のハウジング12に保持される。
【0051】
第1のハウジング12の筒状本体部18には、左右方向の両側において、係合突起18bが設けられている。第1のハウジング12が第2のハウジング13に対して嵌合して接続される際には、筒状本体部18の左右方向の両側に設けられた係合突起18bが第2のハウジング13の内壁と係合することで、第1のハウジング12と第2のハウジング13とがロックされる。これにより、第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合した状態で第2のハウジング13から第1のハウジング12が抜けてしまうことが防止されるように構成されている。
【0052】
また、第1のハウジング12は、マグネットワイヤ100が巻線として設けられる電動モータあるいはレゾルバ等の電気機器(図示省略)に対して接続される他の機器(図示省略)に接続された相手側のコネクタ(図示省略)が嵌合して接続されるように構成されている。第1のハウジング12の筒状本体部18には、その上端部において上方に開口する開口18aが設けられている。第1のハウジング12に相手側のコネクタが嵌合して接続する際には、開口18aに対して相手側のコネクタが挿入されて嵌合する。なお、筒状本体部18における開口18aの内側では、コンタクト11の相手側接続部15が上方に突出して延びた状態で露出している。そして、第1のハウジング12と相手側のコネクタとが嵌合して接続すると、筒状本体部18の開口18aに挿入された相手側のコネクタにおける相手側のコンタクトが、開口18a内で露出したコンタクト11の相手側接続部15と接触して電気的に接続される。
【0053】
図4(B)および
図5を参照して、第1のハウジング12には、複数のコンタクト11がそれぞれ挿入されて保持される。複数のコンタクト11は、第1のハウジング12における複数の保持穴19aにそれぞれ挿入されて保持され、第1のハウジング12において、左右方向に沿って並んだ状態で保持される。そして、第1のハウジング12に保持された複数のコンタクト11は、複数の圧接部16と切断部17とが第1のハウジング12の底部19から下方に突出して露出した状態で、第1のハウジング12に保持される(
図5を参照)。そして、第1のハウジング12は、複数のマグネットワイヤ100が配置された他のハウジングである第2のハウジング13に対して、第1のハウジング12に保持された複数のコンタクト11が複数のマグネットワイヤ100のそれぞれに押し付けられる状態で、嵌合によって接続される。
【0054】
[第2のハウジング]
図8(A)および
図8(B)は、マグネットワイヤ接続装置1における第2のハウジング13を示す斜視図である。
図9は、
図8(B)に示す第2のハウジング13の一部を拡大して示す図である。
図1、
図2、
図8および
図9を参照して、第2のハウジング13は、絶縁性を有する樹脂材料で形成され、第1のハウジング12と嵌合によって接続されるハウジング部材として設けられている。第2のハウジング13は、本実施形態では、第1のハウジング12と嵌合によって接続される他のハウジングとして設けられている。そして、第2のハウジング13は、第2のハウジング13に複数のマグネットワイヤ100が配置された状態で、複数のコンタクト11を保持した第1のハウジング12が嵌合して接続されるように構成されている。
【0055】
第2のハウジング13は、本体部20と一対の嵌合枠部(21a、21b)とを備えて構成されている。本体部20は、本実施形態では、略直方体状に設けられ、第2のハウジング13に嵌合する第1のハウジング12の下端部と当接して第1のハウジング12を支持するように構成されている。
【0056】
一対の嵌合枠部(21a、21b)は、本体部20の上端側に設けられ、第2のハウジング13に第1のハウジング12が嵌合する際の嵌合間口を構成する一対の枠状の壁部として設けられている。一対の嵌合枠部(21a、21b)のそれぞれは、本体部20の上端側において左右方向の両側にそれぞれ設けられ、上方に向かって延びる壁部として設けられている。具体的には、嵌合枠部21aは、本体部20の上端側において左側の端部側に設けられ、上方に向かって延びる壁部として設けられている。嵌合枠部21bは、本体部20の上端側において右側の端部側に設けられ、上方に向かって延びる壁部として設けられている。嵌合枠部21aおよび嵌合枠部21bは、いずれも、左右方向における中央側から左右方向の外側に凹むように屈曲して形成された状態で、上方に向かって延びるように設けられている。嵌合枠部21aと嵌合枠部21bとの間の領域が、第2のハウジング13に第1のハウジング12が嵌合する際の嵌合間口を区画している。
【0057】
第1のハウジング12と第2のハウジング13との嵌合の際には、まず、第2のハウジング13に複数のマグネットワイヤ100が配置される。複数のマグネットワイヤ100は、第2のハウジング13に対して、嵌合枠部21aと嵌合枠部21bとの間で本体部20の上面において、配置される。また、複数のマグネットワイヤ100は、前後方向に沿って互いに平行に延びた状態で、本体部20の上面において第2のハウジング13に配置される。そして、本体部20の上面において複数のマグネットワイヤ100が第2のハウジング13に配置された状態で、第2のハウジング13に対して、第1のハウジング12が嵌合して接続される。第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合する際には、嵌合枠部21aと嵌合枠部21bとの間の領域の嵌合間口に対して第1のハウジング12が挿入される。嵌合枠部21aと嵌合枠部21bとの間の嵌合間口に第1のハウジング12が挿入されることで、
図1に示すように、第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合して接続される。なお、嵌合枠部21aおよび嵌合枠部21bのそれぞれには、係合穴22が設けられている。第1のハウジング12が一対の嵌合枠部(21a、21b)の間に挿入されて第2のハウジング13に嵌合した際には、第1のハウジング12の筒状本体部18に設けられた係合突起18bが一対の嵌合枠部(21a、21b)の係合穴22に係合する。これにより、第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合した状態で第2のハウジング13から第1のハウジング12が抜けてしまうことが防止されるように構成されている。
【0058】
図10(A)は、マグネットワイヤ接続装置1の正面図であって、第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合している途中の状態を示す図であり、
図10(B)は、
図10(A)に示すマグネットワイヤ接続装置1の平面図である。
図11(A)は、マグネットワイヤ接続装置1の断面図であって、
図10(B)のA-A線矢視位置での断面図であり、
図11(B)は、
図11(A)の一部を拡大して示す図である。なお、
図11(B)は、
図11(A)において破線で囲まれたX1部を拡大して示す図である。
図12(A)は、マグネットワイヤ接続装置1の正面図であって、マグネットワイヤ接続装置1とマグネットワイヤ100とが接続された状態を示す図であり、
図12(B)は、
図12(A)のB-B線矢視位置での断面図である。
図13は、
図12(B)の一部を拡大して示す図である。
図8乃至
図13を参照して、第2のハウジング13の本体部20の上面には、マグネットワイヤ100が配置されるワイヤ配置溝26が設けられている。さらに、第2のハウジング13の本体部20の上面には、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11の圧接部16および切断部17の下端側の部分がそれぞれ挿入される圧接部用溝24および切断部用溝25と、第2のハウジング13にマグネットワイヤ100が配置された際にマグネットワイヤ100を支持する支持部23と、が設けられている。
【0059】
図8乃至
図13を参照して、ワイヤ配置溝26は、本体部20の上面に設けられ、マグネットワイヤ100が配置される溝として構成されている。ワイヤ配置溝26は、本体部20の上面において前後方向に沿って延びる溝として設けられている。ワイヤ配置溝26は、複数設けられ、複数のマグネットワイヤ100のそれぞれが配置されるように構成されている。複数のワイヤ配置溝26は、本体部20の上面において、左右方向に沿って並んで設けられ、前後方向に沿って互いに平行に延びるように設けられている。マグネットワイヤ100がワイヤ配置溝26において配置されると、マグネットワイヤ100は、前後方向に沿って延びて本体部20の上面に配置された状態となる(
図10を参照)。なお、本体部20の上面において前後方向に沿って延びるワイヤ配置溝26の前後方向における途中部分には、ワイヤ配置溝26に配置されたマグネットワイヤ100を支持する支持部23が設けられている。
【0060】
図8乃至
図13を参照して、支持部23は、第2のハウジング13にマグネットワイヤ100が配置された際に、マグネットワイヤ100を支持する部分として設けられている。支持部23は、本体部20の上面に設けられ、本体部20の上面において前後方向に沿って延びるワイヤ配置溝26の前後方向における途中部分に設けられている。また、支持部23は、ワイヤ配置溝26に配置されて前後方向に沿って延びるマグネットワイヤ100に対応して、本体部20の上面において前後方向に亘って複数並んで設けられている。なお、支持部23は、本体部20の上面において、後述する切断部用溝25と圧接部用溝24との間と、隣り合う圧接部用溝24同士の間とにそれぞれに設けられている。本実施形態では、支持部23は、本体部20の上面において、前後方向に亘って3つ並んで設けられている。
【0061】
また、支持部23は、本体部20の上面において、複数のワイヤ配置溝26に配置された複数のマグネットワイヤ100の全てに対応するように、左右方向においても複数並んで設けられている。このため、本体部20の上面において、前後方向に沿って3つ並んで設けられた支持部23の列が、左右方向に沿って複数列に並んで設けられている。なお、本実施形態では、前後方向に沿って3つ並んで設けられた支持部23の列は、第1のハウジング12において左右方向に沿って並んで保持された6つのコンタクト11に圧接される6本のマグネットワイヤ100の全てに対応するように、左右方向に沿って6列に並んで設けられている。
【0062】
また、支持部23は、本体部20の上面に対してワイヤ配置溝26にて配置されたマグネットワイヤ100が嵌り込んでマグネットワイヤ100を支持し易い形状に形成されている。具体的には、支持部23は、本体部20の上面において、ワイヤ配置溝26に配置されたマグネットワイヤ100が誘い込まれて支持され易いように、テーパ状に凹む形状に形成されている。また、支持部23には、マグネットワイヤ100が嵌り込む嵌め込み溝23aが設けられている。嵌め込み溝23aは、マグネットワイヤ100の径寸法よりも僅かに大きい幅寸法の溝として設けられ、支持部23において、前後方向に沿って延びる溝として設けられている。嵌め込み溝23aは、テーパ状に凹む形状の支持部23における底部に設けられている。
【0063】
図8、
図9、
図12(B)および
図13を参照して、圧接部用溝24は、第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合する際に第1のハウジング12に保持された複数のコンタクト11の圧接部16の下端側の先端側の部分が挿入される溝として設けられている。圧接部用溝24は、ワイヤ配置溝26に配置されて前後方向に沿って延びるマグネットワイヤ100に圧接されるコンタクト11の3つの圧接部16に対応して、本体部20の上面において前後方向に亘って3つ並んで設けられている。3つの圧接部用溝24のそれぞれは、本体部20の上面において左右方向に沿って互いに平行に延びる溝として設けられ、コンタクト11における3つの圧接部16のそれぞれの下端側の先端側の部分が挿入されるように構成されている。また、圧接部用溝24は、ワイヤ配置溝26に配置されて支持部23に支持されたマグネットワイヤ100が延びる方向である前後方向において支持部23に隣接して設けられている。なお、前後方向に並んだ3つの圧接部用溝24のうち最も前側に設けられた圧接部用溝24は、前後方向の両側において支持部23が隣接している。前後方向に並んだ3つの圧接部用溝24のうち前後方向の真ん中の位置に設けられた圧接部用溝24も、前後方向の両側において支持部23が隣接している。また、前後方向に並んだ3つの圧接部用溝24のうち最も後側に設けられた圧接部用溝24は、前後方向の一方の前側において支持部23が隣接している。
【0064】
また、圧接部用溝24は、本体部20の上面において、複数のワイヤ配置溝26に配置された複数のマグネットワイヤ100に圧接される複数のコンタクト11の圧接部16の全てに対応するように、左右方向においても複数並んで設けられている。このため、本体部20の上面において、前後方向に沿って3つ並んで設けられた圧接部用溝24の列が、左右方向に沿って複数列に並んで設けられている。本実施形態では、前後方向に沿って3つ並んで設けられた圧接部用溝24の列は、第1のハウジング12において左右方向に沿って並んで保持された6つのコンタクト11に圧接される6本のマグネットワイヤ100の全てに対応するように、左右方向に沿って6列に並んで設けられている。なお、本実施形態では、左右方向に沿って並ぶ圧接部用溝24は、本体部20の上面において、左右方向に連続して繋がって設けられている。
【0065】
第1のハウジング12と第2のハウジング13との嵌合の際には、マグネットワイヤ100がワイヤ配置溝26に配置されて支持部23で支持された状態で、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合する。このとき、ワイヤ配置溝26に配置されて支持部23で支持されたマグネットワイヤ100に対してコンタクト11が押し付けられる状態で、第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合する。そして、第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合してコンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられる際には、コンタクト11の圧接部16が、圧接部用溝24に挿入される。圧接部16が圧接部用溝24に挿入されると、マグネットワイヤ100が圧接部16のスリット刃16aに挿入される。すなわち、圧接部16が圧接部用溝24に挿入されると、マグネットワイヤ100における圧接部用溝24を通過して延びている部分が、圧接部16のスリット刃16aに挿入される。マグネットワイヤ100が圧接部16のスリット刃16aに挿入されることで、スリット刃16aが、マグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤ100の心線に食い込み、圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接される。圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接されることで、コンタクト11がマグネットワイヤ100に対して電気的に接続される。
【0066】
図14(A)は、マグネットワイヤ接続装置1の断面図であって、マグネットワイヤ接続装置1とマグネットワイヤ100との接続の際にマグネットワイヤ100が切断される途中の状態を示す図であり、
図14(B)は、
図14(A)の一部を拡大して示す図である。
図15(A)は、マグネットワイヤ接続装置1の断面図であって、マグネットワイヤ接続装置1とマグネットワイヤ100とが接続されるとともにマグネットワイヤ100の先端側の部分100aが切断されて除去された状態を示す図であり、
図15(B)は、
図15(A)の一部を拡大して示す図である。なお、
図14(B)は、
図14(A)において破線で囲まれたX2部を拡大して示す図である。なお、
図15(B)は、
図15(A)において破線で囲まれたX3部を拡大して示す図である。
【0067】
図8、
図9、
図11乃至
図15を参照して、切断部用溝25は、第1のハウジング12が第2のハウジング13に嵌合する際に第1のハウジング12に保持された複数のコンタクト11の切断部17の下端側の切断刃17bが挿入される溝として設けられている。切断部用溝25は、本体部20の上面において、複数のワイヤ配置溝26に配置された複数のマグネットワイヤ100を切断する複数のコンタクト11の切断部17の全てに対応するように、左右方向において複数並んで設けられている。本実施形態では、切断部用溝25は、第1のハウジング12において左右方向に沿って並んで保持された6つのコンタクト11の切断部17によって切断される6本のマグネットワイヤ100の全てに対応するように、左右方向に沿って6つ並んで設けられている。また、各切断部用溝25は、本体部20の上面の左右方向において、各ワイヤ配置溝26に対応する位置に設けられている。そして、各切断部用溝25は、本体部20の上面において、各ワイヤ配置溝26に沿って前後方向に並んで設けられた3つの支持部23のうちの最も前側に設けられた支持部23に対してその前側で隣接して設けられている。
【0068】
図11乃至
図15を参照して、切断部用溝25は、本体部20の上面において、切断部17の一対の切断刃17bが挿入されるように下方に凹んだ溝として設けられている。切断部用溝25における上方に開口した部分は、切断部17の一対の切断刃17bが誘い込まれて挿入され易いように上方に向かってテーパ状に広がった形状に形成されている。そして、切断部用溝25における下方に凹んだ底部側の部分は、左右方向における寸法が、一対の切断刃17bが左右方向において互いに接近する方向に弾性変形して撓むことで閉じた状態の一対の切断刃17bの幅寸法に略対応するように設けられている。
【0069】
切断部17の一対の切断刃17bは、第1のハウジング12と第2のハウジング13との嵌合の際に切断部用溝25に挿入される。すなわち、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が嵌合する際に、切断部17の一対の切断刃17bが切断部用溝25に挿入される。切断部用溝25に一対の切断刃17bが挿入されると、
図14に示すように、一対の切断刃17bのそれぞれは、切断部用溝25の上方で開口したテーパ状の部分と摺接して撓むように弾性変形する。このとき、切断部用溝25に挿入された切断部17の一対の切断刃17bは、左右方向において互いに接近する方向に撓むように弾性変形する。そして、切断部17の一対の切断刃17bが切断部用溝25の奥側に挿入されると、
図15に示すように、一対の切断刃17bは、互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、マグネットワイヤ100を左右方向の両側から挟んで切断する。このように、切断部用溝25は、切断部17が挿入される際に切断部17の切断刃17bと摺接して切断刃17bを弾性変形させるように構成されている。そして、マグネットワイヤ接続装置1は、第1のハウジング12と第2のハウジング13との嵌合の際に切断部用溝25に挿入された切断部17の一対の切断刃17bが互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、マグネットワイヤ100が一対の切断刃17bによって挟まれて切断されるように構成されている。
【0070】
また、
図12および
図13を参照して、第1のハウジング12および第2のハウジング13は、互いに嵌合した状態では、圧接部16に圧接されるとともに切断部17の切断刃17bによって切断されたマグネットワイヤ100の端面を含むマグネットワイヤ100の前方の先端部100bを上下方向における両側から挟むようにして覆うように構成されている。すなわち、第1および第2のハウジング(12、13)が嵌合した状態では、切断刃17bによって切断されたマグネットワイヤ100の前方の先端部100bは、前後方向において第1および第2のハウジング(12、13)の内側に配置され、外部に露出せずに第1および第2のハウジング(12、13)の内側に収納された状態となる。このように、マグネットワイヤ接続装置1においては、第1のハウジング12および第2のハウジング13は、互いに嵌合した状態において、コンタクト11の切断部17の切断刃17bによって切断されたマグネットワイヤ100の先端部100bを両側から挟むようにして覆うように構成されている。
【0071】
[マグネットワイヤとマグネットワイヤ接続装置との接続動作]
次に、上述したマグネットワイヤ接続装置1とマグネットワイヤ100とが接続される際における接続動作について説明する。
【0072】
マグネットワイヤ100とマグネットワイヤ接続装置1とが接続される際には、
図4(B)および
図5に示すように、まず、複数のコンタクト11のそれぞれが、第1のハウジング12の複数の保持穴19aにそれぞれ挿入されて第1のハウジング12に保持される。そして、
図10および
図11に示すように、複数のマグネットワイヤ100が、第1のハウジング12とは異なる他のハウジングである第2のハウジング13に配置される。マグネットワイヤ100は、第2のハウジング13の本体部20の上面に設けられたワイヤ配置溝26に配置されることで、第2のハウジング13に配置される。また、マグネットワイヤ100は、第2のハウジング13に配置された状態では、第2のハウジング13の支持部23によって支持されている。
【0073】
マグネットワイヤ100が第2のハウジング13に配置されると、次いで、第1のハウジング12と第2のハウジング13との嵌合動作が行われる。すなわち、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して嵌合して接続される嵌合動作が行われる。第1および第2のハウジング(12、13)の嵌合動作の際には、第1のハウジング12が、第2のハウジング13における一対の嵌合枠部(21a、21b)の間の嵌合間口に挿入される(
図11を参照)。そして、第1のハウジング12は、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して、第1のハウジング12に保持されたコンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられる状態で、嵌合して接続される(
図14を参照)。
【0074】
図12および
図13を参照して、第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合する際には、コンタクト11の圧接部16が、第2のハウジング13の圧接部用溝24に挿入されるとともに、コンタクト11の切断部17の一対の切断刃17bが、第2のハウジング13の切断部用溝25に挿入される。また、このとき、第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100は、第2のハウジング13に対して支持部23において支持されている。
【0075】
第1および第2のハウジング(12、13)の嵌合の際に、コンタクト11の圧接部16が、第2のハウジング13の圧接部用溝24に挿入されると、支持部23で支持されたマグネットワイヤ100における圧接部用溝24を通過して延びている部分が、圧接部16のスリット刃16aに挿入される。そして、マグネットワイヤ100がスリット刃16aに挿入されることで、スリット刃16aがマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤ100の心線に食い込み、コンタクト11の圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接される。圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接されることで、コンタクト11がマグネットワイヤ100に対して電気的に接続される。
【0076】
また、第1および第2のハウジング(12、13)の嵌合の際に、コンタクト11の切断部17が、第2のハウジング13の切断部用溝25に挿入されると、
図14に示すように、一対の切断刃17bのそれぞれは、切断部用溝25と摺接して撓むように弾性変形する。そして、切断部用溝25に挿入された切断部17の一対の切断刃17bは、左右方向において互いに接近する方向に撓むように弾性変形する。切断部17の一対の切断刃17bが切断部用溝25の奥側に挿入されると、
図15に示すように、一対の切断刃17bは、互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、マグネットワイヤ100を左右方向の両側から挟んで切断する。マグネットワイヤ100が切断刃17bによって切断されると、
図6(B)、
図7、
図12および
図13を参照して、切断されたマグネットワイヤ100の先端側の部分100aが除去される。
【0077】
上記のように、マグネットワイヤ接続装置1においては、コンタクト11を保持した第1のハウジング12と、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13とが嵌合することで、コンタクト11の圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接されて、コンタクト11とマグネットワイヤ100とが電気的に接続される。そして、第1のハウジング12と第2のハウジング13との嵌合により、コンタクト11がマグネットワイヤ100に圧接されるとともに、マグネットワイヤ100における先端側の部分100aが切断部17の切断刃17bによって切断されて除去される。第1および第2のハウジング(12、13)が嵌合し、コンタクト11がマグネットワイヤ100に圧接され、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aが切断されて除去されることで、マグネットワイヤ100とマグネットワイヤ接続装置1との接続動作が完了することになる。
【0078】
[本実施形態の作用および効果]
本実施形態のマグネットワイヤ接続装置1によると、コンタクト11を保持した第1のハウジング12をマグネットワイヤ100が配置された他のハウジングである第2のハウジング13に嵌合させ、第1のハウジング12が保持したコンタクト11をマグネットワイヤ100に押し付けることで、マグネットワイヤ100が圧接部16のスリット刃16aに挿入される。そして、スリット刃16aにマグネットワイヤ100が挿入されることで、スリット刃16aでマグネットワイヤ100のエナメル被覆を切り破ってマグネットワイヤ100の心線にスリット刃16aを食い込ませて圧接部16をマグネットワイヤ100に圧接することができる。さらに、第1のハウジング12が保持したコンタクト11をマグネットワイヤ100に押し付けることで、切断部17の切断刃17bによってマグネットワイヤ100が切断される。このため、本実施形態によると、第1のハウジング12を他のハウジングである第2のハウジング13に嵌合させ、第1のハウジング12が保持したコンタクト11を他のハウジングである第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けることで、コンタクト11をマグネットワイヤ100に圧接して電気的に接続できるとともに、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aを切断して除去することができる。よって、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aを切断する作業も含め、マグネットワイヤ接続装置1をマグネットワイヤ100に対して電気的に接続する作業を容易に行うことができる。したがって、マグネットワイヤ接続装置1をマグネットワイヤ100に対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる。すなわち、特許文献1に開示されたようなハウジングの柱状部に巻き付けられたマグネットワイヤ100とハウジングの柱状部とを専用の治具を用いて切断して除去するような煩雑で手間を要する作業は不要であり、マグネットワイヤ接続装置1をマグネットワイヤ100に対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる。
【0079】
また、マグネットワイヤ接続装置1によると、コンタクト11において、マグネットワイヤ100に圧接される圧接部16と、圧接部16の一方側に配置されて圧接の際にマグネットワイヤ100の先端側の部分100aを切断する切断部17とが、一体に設けられている。このため、マグネットワイヤ100に圧接されるとともにマグネットワイヤ100の先端側の部分100aを切断して除去できるコンタクト11を1つの部品で構成することができる。よって、マグネットワイヤ100に対して電気的に接続されるコンタクト11の部品点数を削減することができる。
【0080】
したがって、本実施形態によると、マグネットワイヤ100に対して電気的に接続されるコンタクト11の部品点数を削減することができ、マグネットワイヤ100に対して電気的に接続する作業の作業性を向上させることができる、マグネットワイヤ接続装置1を提供することができる。
【0081】
また、マグネットワイヤ接続装置1によると、マグネットワイヤ100は、第2のハウジング13の支持部23に支持された状態で第2のハウジング13に配置される。そして、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が嵌合され、コンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられる。コンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられると、コンタクト11の圧接部16が第2のハウジング13の圧接部用溝24に挿入されながら、マグネットワイヤ100が圧接部16のスリット刃16aに挿入される。そして、スリット刃16aにマグネットワイヤ100が挿入されることで、スリット刃16aでマグネットワイヤ100のエナメル被覆が切り破られてマグネットワイヤ100の心線にスリット刃16aが食い込んで圧接部16がマグネットワイヤ100に圧接される。よって、本実施形態によると、第1のハウジング12を第2のハウジング13に嵌合させ、第1のハウジング12が保持したコンタクト11を第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けることで、マグネットワイヤ接続装置1をマグネットワイヤ100に対して電気的に接続する作業をさらに容易に行うことができる。
【0082】
また、マグネットワイヤ接続装置1によると、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が嵌合され、コンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられると、コンタクト11の切断部17が第2のハウジング13の切断部用溝25に挿入される。そして、切断部用溝25に切断部17が挿入されると、切断部17の切断刃17bが切断部用溝25と摺接して弾性変形し、マグネットワイヤ100が切断刃17bによって切断される。よって、本実施形態によると、第1のハウジング12を第2のハウジング13に嵌合させ、第1のハウジング12が保持したコンタクト11を第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けることで、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aを容易に切断して除去することができる。したがって、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aを切断する作業も含め、マグネットワイヤ接続装置1をマグネットワイヤ100に対して電気的に接続する作業を更に容易に行うことができる。
【0083】
また、マグネットワイヤ接続装置1によると、マグネットワイヤ100が配置された第2のハウジング13に対して、コンタクト11を保持した第1のハウジング12が嵌合され、コンタクト11がマグネットワイヤ100に押し付けられると、コンタクト11の切断部17の一対の切断刃17bが第2のハウジング13の切断部用溝25に挿入される。そして、切断部用溝25に一対の切断刃17bが挿入されると、一対の切断刃17bが切断部用溝25と摺接して一対の切断刃17bが互いに接近する方向に撓むように弾性変形し、マグネットワイヤ100が一対の切断刃17bによって挟まれて切断される。よって、本実施形態によると、第1のハウジング12を第2のハウジング13に嵌合させ、第1のハウジング12が保持したコンタクト11を第2のハウジング13に配置されたマグネットワイヤ100に押し付けることで、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aを容易に切断して除去することができる。したがって、マグネットワイヤ100の先端側の部分100aを切断する作業も含め、マグネットワイヤ接続装置1をマグネットワイヤ100に対して電気的に接続する作業を更に容易に行うことができる。
【0084】
また、マグネットワイヤ接続装置1によると、第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合した状態では、切断部17の切断刃17bで切断されたマグネットワイヤ100の端面を含むマグネットワイヤ100の先端部100bが両側から挟まれるようにして覆われる。このため、第1のハウジング12と第2のハウジング13とが嵌合し、マグネットワイヤ接続装置1をマグネットワイヤ100に対して接続した状態において、マグネットワイヤ100の先端部100bの破断面がマグネット接続装置1の外部へ露出することを好適に防止することができる。マグネットワイヤ100の先端部100bの破断面の外部への露出を好適に防止できるため、マグネットワイヤ100の先端部100bでの短絡が発生してしまうことを好適に防止することができる。
【0085】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、次のように変更して実施してもよい。
【0086】
(1)前述の実施形態では、コンタクト11が複数備えられたマグネットワイヤ接続装置1の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。1つのコンタクト11を有するマグネットワイヤ接続装置の形態が実施されてもよい。また、コンタクト11が複数備えられたマグネットワイヤ接続装置の場合であっても、コンタクト11の数は前述の実施形態で例示した6つに限られなくてもよく、コンタクト11が5つ以下あるいは7つ以上備えられたマグネットワイヤ接続装置の形態が実施されてもよい。
【0087】
(2)前述の実施形態では、コンタクト11において圧接部16が3つ設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。コンタクト11において圧接部16が2つあるいは4つ以上設けられた形態が実施されてもよい。
【0088】
(3)前述の実施形態では、切断部17の切断刃17bが、切断部用溝25に挿入される際に切断部用溝25と摺接して弾性変形することで、マグネットワイヤ100を切断する形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。切断部の切断刃が、切断部用溝に挿入される際に切断部用溝に配置されたマグネットワイヤ100を押し切るようにして切断する形態が実施されてもよい。
【0089】
(4)前述の実施形態では、切断部17において、切断刃17bが一対で設けられ、切断部用溝25に挿入された一対の切断刃17bが互いに接近する方向に撓むように弾性変形することで、マグネットワイヤ100が一対の切断刃17bによって挟まれて切断される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。切断部の切断刃が1つ設けられ、切断部用溝に挿入された1つの切断刃が撓むように弾性変形することで、切断部用溝に配置されたマグネットワイヤ100を押し切るようにして切断する形態が実施されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、心線とその周囲のエナメル被覆とを含む電線として構成されたマグネットワイヤに対して電気的に接続されるマグネットワイヤ接続装置として、広く適用することができるものである。
【符号の説明】
【0091】
1 マグネットワイヤ接続装置
11 コンタクト
12 第1のハウジング
13 第2のハウジング
16 圧接部
16a スリット刃
17 切断部
17b 切断刃
100 マグネットワイヤ