(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126484
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】物干し竿
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
D06F57/00 310
D06F57/00 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034878
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】菅野 泰史
(57)【要約】
【課題】竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを容易に確認することができる物干し竿を提供する。
【解決手段】本発明の物干し竿10は、被乾燥物が掛けられる竿本体部12と、竿本体部12に掛けられた被乾燥物の乾き度合いの変化に応じて状態が変化し、変化後の状態が竿本体部12の外側から視認可能な可変部30と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物が掛けられる竿本体部と、
前記竿本体部に掛けられた前記被乾燥物の乾き度合いの変化に応じて状態が変化し、変化後の前記状態が前記竿本体部の外側から視認可能な可変部と、を備える物干し竿。
【請求項2】
前記可変部は、前記竿本体部から露出する部分を備えており、
前記可変部のうち、前記竿本体部から露出する部分の割合が、前記乾き度合いの変化に応じて変化する、請求項1に記載の物干し竿。
【請求項3】
前記竿本体部は、前記被乾燥物が掛けられた状態で前記乾き度合いの変化に応じて移動する移動部を備えており、
前記可変部のうち、前記竿本体部から露出する部分の割合は、前記移動部の移動に連動して変化する、請求項2に記載の物干し竿。
【請求項4】
前記竿本体部は、中空体であり、前記竿本体部の上端部に設けられた上部開口と、前記竿本体部内にて前記移動部を付勢する付勢部と、を備え、
前記移動部は、一部が前記上部開口から突出し、且つ、前記付勢部により下方から付勢された状態で前記竿本体部内に配置されており、前記移動部のうち、前記上部開口から突出した部分に前記被乾燥物が掛けられて下降した後、前記乾き度合いの増加に伴って上昇する、請求項3に記載の物干し竿。
【請求項5】
前記可変部の一部は、前記移動部の上下移動に連動して前記竿本体部の内部に対して出入り可能であり、
前記可変部のうち、前記竿本体部の外側に出て露出する部分の割合が、前記移動部が上昇するにつれて減少する、請求項4に記載の物干し竿。
【請求項6】
前記竿本体部の延出方向における端には、側端開口が設けられており、
前記可変部の一部は、前記側端開口から突出することで前記竿本体部の外側に出て露出する、請求項5に記載の物干し竿。
【請求項7】
前記移動部は、前記可変部を下方に押圧する押圧部分を備え、
前記移動部が下降するほど、前記押圧部分から前記可変部への押圧力が大きくなり、
前記押圧力が大きくなるほど、前記可変部のうち、前記側端開口から突出して露出する部分の割合が増える、請求項6に記載の物干し竿。
【請求項8】
前記可変部のうち、前記側端開口から突出して露出する部分の外表面には、前記延出方向において規則的に配置されたパターン又は目盛線が設けられている、請求項6又は7に記載の物干し竿。
【請求項9】
前記乾き度合いに応じて変化する物理量に応じた信号を出力する信号出力部を備え、
前記可変部は、前記竿本体部の外周部に設けられ、
前記信号出力部からの信号に応じて前記可変部の表面の状態が変化する、請求項1に記載の物干し竿。
【請求項10】
前記信号出力部は、前記被乾燥物が掛けられた前記竿本体部の重量に応じた信号を出力し、
前記可変部は、前記信号出力部からの信号に応じた色にて発光する発光体である、請求項9に記載の物干し竿。
【請求項11】
前記竿本体部の内部には、太陽光パネルが収容され、
前記信号出力部及び前記可変部には、前記太陽光パネルにて発電された電力が供給される、請求項10に記載の物干し竿。
【請求項12】
前記竿本体部は、光透過性を有する材料からなる筒状体によって構成されている、請求項11に記載の物干し竿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被乾燥物を乾かす際に利用される物干し竿に関する。
【背景技術】
【0002】
物干し竿は、洗濯物等の被乾燥物を乾かすために用いられ、例えば、特許文献1に記載のように、屋内で被乾燥物を乾かす場合(いわゆる室内干し)にも利用されることがある。
【0003】
特許文献1に記載の物干し竿は、屋内に設置される物干し材であって、昇降可能に構成されており、洗濯物を乾かす際には天井近くまで上昇する。これにより、洗濯物を乾かす期間中には、洗濯物下部に位置する空間の見通しが良くなる。また、洗濯物が乾いた場合には、人が届きやすい位置まで物干し竿を下降させ、物干し竿から洗濯物を取り外す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
物干し竿に掛けられた被乾燥物を物干し竿から取り外す際には、被乾燥物の乾き度合いを確認する必要があるが、被乾燥物に触れて乾き度合いを確認する場合には、確認作業に時間及び手間を要する。特に、特許文献1に記載の物干し竿のように、昇降可能な物干し竿を利用する場合において被乾燥物に触れて乾き度合いを確認しようとすると、天井付近に配置された物干し竿を下す必要がある。そのため、確認作業により多くの時間を要することになる。このような確認作業を減らすには、例えば、乾燥機等の設備を稼働して洗濯物を乾かせばよいが、その場合、乾燥機等の運転コストが発生してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを容易に確認することが可能な物干し竿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、本発明の物干し竿によれば、被乾燥物が掛けられる竿本体部と、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いの変化に応じて状態が変化し、変化後の状態が竿本体部の外側から視認可能な可変部と、を備えることにより解決される。
上記のように構成された物干し竿であれば、可変部の状態の変化を視認することで、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを容易に確認することができる。
【0008】
また、上記の物干し竿において、可変部は、竿本体部から露出する部分を備えており、可変部のうち、竿本体部から露出する部分の割合が、乾き度合いの変化に応じて変化してもよい。
上記の構成によれば、可変部のうち、竿本体部から露出する部分の割合の変化を視認することで、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを容易に確認することができる。
【0009】
また、上記の物干し竿において、竿本体部は、被乾燥物が掛けられた状態で乾き度合いの変化に応じて移動する移動部を備えてもよい。この場合、可変部のうち、竿本体部から露出する部分の割合は、移動部の移動に連動して変化すると、好適である。
上記の構成によれば、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いの変化に応じて可変部の状態が変化する構成を、比較的簡易なメカ構成によって実現することができる。
【0010】
また、上記の物干し竿において、竿本体部は、中空体であり、竿本体部の上端部に設けられた上部開口と、竿本体部内にて移動部を付勢する付勢部と、を備えてもよい。この場合、移動部は、一部が上部開口から突出し、且つ、付勢部により下方から付勢された状態で竿本体部内に配置されており、移動部のうち、上部開口から突出した部分に被乾燥物が掛けられて下降した後、乾き度合いの増加に伴って上昇すると、好適である。
上記の構成によれば、被乾燥物の乾き度合いの変化に移動部が追従して上下移動し、この移動部の上下移動が、可変部の状態の変化、具体的には、竿本体部から露出する部分の割合の変化に変換される。これにより、可変部の状態が、被乾燥物の乾き度合いの変化に応じて適切に変化するようになる。
【0011】
また、上記の物干し竿において、可変部の一部は、移動部の上下移動に連動して竿本体部の内部に対して出入り可能であってもよい。この場合、可変部のうち、竿本体部の外側に出て露出する部分の割合が、移動部が上昇するにつれて減少すると、好適である。
上記の構成によれば、可変部のうち、竿本体部から露出する部分の割合の変化を視認することで、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いをより容易に確認することができる。
【0012】
また、上記の物干し竿において、竿本体部の延出方向における端には、側端開口が設けられているとよい。この場合、可変部の一部は、側端開口から突出することで竿本体部の外側に出て露出すると、好適である。
上記の構成によれば、竿本体部の延出方向端部(側端部)から突出する可変部の突出量を見て、竿本端部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを、より容易に確認することができる。
【0013】
また、上記の物し竿において、移動部は、可変部を下方に押圧する押圧部分を備えてもよい。この場合、移動部が下降するほど、押圧部分から可変部への押圧力が大きくなり、押圧力が大きくなるほど、可変部のうち、側端開口から突出して露出する部分の割合が増えると、好適である。
上記の構成によれば、移動部の上下移動に連動して、竿本体部の延出方向端部からの可変部の突出量が変化するので、その突出量を見て、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを、より容易に確認することができる。
【0014】
また、上記の物干し竿において、可変部のうち、側端開口から突出して露出する部分の外表面には、延出方向において規則的に配置されたパターン又は目盛線が設けられてもよい。
上記の構成によれば、さらに容易に、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いの変化を確認することができる。
【0015】
また、上記の物干し竿において、乾き度合いに応じて変化する物理量に応じた信号を出力する信号出力部を備えてもよい。この場合、可変部は、竿本体部の外周部に設けられており、信号出力部からの信号に応じて可変部の表面の状態が変化すると、好適である。
上記の構成によれば、可変部の表面の状態の変化を視認することで、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを容易に確認することができる。
【0016】
また、上記の物干し竿において、信号出力部は、被乾燥物が掛けられた竿本体部の重量に応じた信号を出力し、可変部は、信号出力部からの信号に応じた色にて発光する発光体であってもよい。
上記の構成によれば、乾き度合いの変化に応じて、発光体の可変部の表面の色が変わるため、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを容易に確認することができる。
【0017】
また、上記の物干し竿において、竿本体部の内部には、太陽光パネルが収容され、信号出力部及び可変部には、太陽光パネルにて発電された電力が供給されるとよい。
上記の構成によれば、信号出力部及び可変部を起動させるために必要な電力を、適切に確保することができる。
【0018】
また、上記の物干し竿において、竿本体部は、光透過性を有する材料からなる筒状体によって構成されていると、好適である。
上記の構成によれば、竿本体部内に収容された太陽光パネルに光が入射され、太陽光パネルによる発電が適切に行われるようになる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、竿本体部に掛けられた被乾燥物の乾き度合いを容易に確認することが可能な物干し竿が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る物干し竿が使用されている様子を示す図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る物干し竿において未乾燥の被乾燥物が掛けられている状態を示す図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る物干し竿において乾わいた被乾燥物が掛けられている状態を示す図である。
【
図5】未乾燥の被乾燥物が竿本体部に掛けられている状態の図であり、
図4のB-B断面に相当する断面図である。
【
図6】乾いた被乾燥物が竿本体部に掛けられている状態の図であり、
図4のB-B断面に相当する断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る物干し竿の内部構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<<本発明の第1実施形態に係る物干し竿について>>
以下、本発明の第1実施形態(以下、第1実施形態)に係る物干し竿について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、図面では、説明を分かり易くするために幾分簡略化及び模式化して各部材を図示している。また、図中に示す各部材のサイズ(寸法)及び部材間の間隔等についても、実際のものとは異なっている。
また、以下に説明する各部材の位置、向き及び姿勢等は、特に断る場合を除き、各部材が使用されている状態にあるときの位置、向き及び姿勢等であることとする。
【0022】
また、以降の説明では、住宅を建物の一例として挙げることとする。ただし、本発明の建物は、住宅以外の建物、例えば、施設、工場及び建屋等でもよい。
【0023】
第1実施形態に係る物干し竿(以下、物干し竿10)は、
図1に示すように、住宅H内で洗濯物等の被乾燥物を乾かす目的で使用され、詳しくは、室内干しの用途で利用される。ここで、洗濯物等は、本発明の「被乾燥物」に相当し、洗濯物、及び、洗濯物以外に乾かす必要がある物(例えば、意図せずに水に濡れてしまった物)を含む。
【0024】
物干し竿10は、住宅H内に設けられた吹き抜け空間Fにて利用される。第1実施形態において、吹き抜け空間Fは、住宅Hにおいて互いに上下方向で隣り合う2つの階(例えば、1階及び2階)に跨って存在する空間である。物干し竿10は、
図1に示すように、吹き抜け空間Fの天井(例えば、2階の天井のうち、吹き抜け空間F内にある部分)からワイヤ50によって吊り下げられた状態で、比較的天井に近い位置、すなわち、吹き抜け空間Fの上部で利用される。これは、吹き抜け空間Fの上部では、吹き抜け空間Fの下部に比べて、温かい空気が多く滞留しており、洗濯物をより効率よく乾かすことができるためである。
なお、物干し竿10は、住宅H内において、吹き抜け空間F以外の空間で利用されてもよい。
【0025】
また、物干し竿10は、吹き抜け空間F内で昇降可能に構成されてもよい。具体的に説明すると、住宅Hの所定箇所に設けられた不図示の操作部を、物干し竿10のユーザ(例えば、住宅Hの居住者)が操作する。この場合に、その操作に応じてワイヤ50が巻き取られたり繰り出されたりすることで、物干し竿10が吹き抜け空間F内で上下移動してもよい。このように物干し竿10が吹き抜け空間F内で昇降可能であれば、洗濯物を物干し竿10に掛けて乾かす際には、物干し竿10を吹き抜け空間Fの上部に移動させることができる。また、洗濯物を物干し竿10から取り外す際には、物干し竿10を人が届く位置まで下降させることができる。
【0026】
なお、物干し竿10を吹き抜け空間F内で昇降させる機構については、特に限定されるものではなく、ユーザが任意のタイミングで自由に物干し竿10を昇降させることができる機構であれば制限なく利用可能であり、公知の構成を採用してもよい。例えば、ロールカーテンやロールスクリーン等に利用されている昇降機構の構成を転用してもよい。また、物干し竿10が吹き抜け空間F以外の空間内にて昇降させることができる構成でもよい。
【0027】
また、第1実施形態では、物干し竿10に掛けられている洗濯物の乾き度合いを、物干し竿10の状態を見て確認することができる。これにより、吹き抜け空間F内の上部に物干し竿10を配置して、物干し竿10に掛けた洗濯物を乾かす場合に、吹き抜け空間Fにおける物干し竿10の下方位置から、洗濯物の乾き度合いを確認することができる。また、物干し竿10の側方(物干し竿10の延出方向における物干し竿10の外側)からも、同様に、洗濯物の乾き度合いを確認することができる。
【0028】
以下に、上述の効果を発揮することができる物干し竿10の構成について、詳しく説明することとする。
物干し竿10は、
図2及び3に示すように、竿本体部12と可変部30とを有する。竿本体部12は、棒状の長尺体であり、物干し竿10の使用時には、
図2及び3に示すように洗濯物が掛けられる。竿本体部12の長さは、特に限定されないが、吹き抜け空間F内で使用するのに適した長さであることが好ましい。また、物干し竿の材質についても、特に限定されず、例えば、樹脂材料、金属、木材又は繊維材料等によって構成されてもよい。
【0029】
竿本体部12は、
図4に示すように、円筒型の中空体であり、その上端部には、スリット状の開口(以下、上部開口14という)が設けられている。上部開口14は、竿本体部12を真上から見たときに、略矩形状の開口であり、竿本体部12の延出方向に沿って長く形成されており、同方向における上部開口14の長さは、竿本体部12の長さよりも若干短くなっている。ここで、竿本体部12の延出方向は、物干し竿10の延出方向と同義であり、以下、単に延出方向と呼ぶこととする。
【0030】
竿本体部12の延出方向の両端(側端)は、開放されており、換言すると、竿本体部12が有する2つの側端の各々には、
図5及び6に示すように、側端開口16が設けられている。
【0031】
また、竿本体部12は、
図4~6に示すように、移動部18、付勢部22及び可変部側付勢部24を有する。移動部18は、長尺の板片であり、その長手方向が延出方向に沿った状態で、竿本体部12に設けられている。また、移動部18の長手方向における長さは、上部開口14の延出方向における長さよりも若干短くなっている。そして、移動部18は、上方側に位置する部分が上部開口14から外側に突出し、且つ、上下方向に移動可能な状態で竿本体部12に設けられている。また、物干し竿10の使用時には、
図4に示すように、移動部18のうち、上部開口14から突出した部分に、洗濯物(厳密には、洗濯物を吊るすハンガー40)が掛けられる。
【0032】
また、移動部18の長手方向両端部には、
図5及び6に示すように、押圧部分20が設けられている。押圧部分20は、可変部30を下方に押圧する部分であり、移動部18の長手方向両端部に位置する下側角部を斜めにカットして形成される傾斜面20aにベアリング等の転動部材20bを回転自在に取り付けることで構成されている。傾斜面20aは、移動部18の長手方向の端側(外側)に向かうほど上方に位置するような傾斜面である。転動部材20bは、傾斜面20aに沿って1個又は複数個設けられており、移動部18の厚み方向(
図5、6において紙面を貫く方向)に沿う回転軸を中心に回転可能である。
【0033】
付勢部22は、
図4~6に示すように、竿本体部12内に配置され、移動部18の下端に当接して移動部18を下側から付勢するものであり、バネ又はゴム等の弾性体によって構成されている。つまり、移動部18は、付勢部22により下方から付勢された状態で竿本体部12内に配置されており、竿本体部12に掛けられた洗濯物の乾き度合いの変化に応じて移動する。
【0034】
具体的に説明すると、移動部18のうち、上部開口14から突出した部分に、濡れた洗濯物(以下、未乾燥の洗濯物)が掛けられると、移動部18は、付勢部22による付勢に抗して下降する。このとき、付勢部22は、収縮する方向に弾性変形し、変形量に応じた弾性力が生じる。そして、洗濯物が徐々に乾いていき、洗濯物の乾き度合いが増加すると、これに伴って、付勢部22の弾性力により移動部18が上昇する。
【0035】
なお、付勢部22は、竿本体部12内において可変部側付勢部24や可変部30との干渉を避けるように配置されており、その限りにおいて、竿本体部12内における付勢部22の配置位置は、特に限定されない。また、竿本体部12内に設けられる付勢部22の個数についても、特に限定されない。
【0036】
可変部側付勢部24は、竿本体部12内に配置され、
図5及び6に示すように、延出方向において可変部30よりも竿本体部12の内側に位置して可変部30を付勢するものであり、バネ又はゴム等の弾性体によって構成されている。つまり、可変部30は、可変部側付勢部24により延出方向内側から付勢された状態にあり、可変部側付勢部24によって延出方向内側に常に付勢されている。また、可変部側付勢部24は、竿本体部12内において、竿本体部12の延出方向一端側の位置、及び他端側の位置に、それぞれ1つずつ設けられている。
【0037】
可変部30は、竿本体部12に掛けられた洗濯物の乾き度合いの変化に応じて状態が変化するものであり、その一部は、
図5及び6に示すように、竿本体部12の側端開口16から突出することで竿本体部12の外側に出て露出する。具体的に説明すると、可変部30は、竿本体部12内に配置されており、詳しくは、竿本体部12の側端部(延出方向端部)の内部に配置されている。可変部30は、竿本体部12内において、竿本体部12の延出方向一端部及び他端部に、それぞれ1つずつ設けられている。
【0038】
第1実施形態において、可変部30は、
図5及び6に示す可動ブロック32と可変部側転動部材34とによって構成されている。可動ブロック32は、
図5及び6に示すように、円柱状の突出部分32aと、延出方向において突出部分32aと隣り合う受圧部分32bとを有する。突出部分32aは、竿本体部12の側端開口16の径に比べて幾分小径であり、
図5及び6に示すように、側端開口16を通じて竿本体部12の内部に出入りすることが可能である。すなわち、突出部分32aは、側端開口16の外側に突出して竿本体部12から露出する部分に相当する。
【0039】
受圧部分32bは、突出部分32aよりも、竿本体部12の延出方向中央に近い位置にあり、その先端(突出部分32aとは反対側の端)には、可変部側付勢部24の一端が接続されている。また、
図5及び6に示すように、受圧部分32bの直上位置には、移動部18の押圧部分20が配置されており、移動部18が下方に移動した際には、受圧部分32bが押圧部分20によって下方に押圧される。つまり、受圧部分32bは、押圧部分20からの押圧力を受ける部分に相当する。
【0040】
より詳しく説明すると、受圧部分32bの上端面は、傾斜面32cとなっている。この傾斜面32cは、移動部18の長手方向の端側(外側)に向かうほど上方に位置するような傾斜面であり、詳しくは、移動部18の押圧部分20に設けられた傾斜面20aと略平行である。また、傾斜面32cには、
図5及び6に示すように、押圧部分20の転動部材20b(詳しくは、転動部材20bの外周面)が常時接している。したがって、押圧部分20からの押圧力は、転動部材20bを介して受圧部分32bに入力される。
【0041】
また、受圧部分32bの下端面には、ベアリング等からなる可変部側転動部材34が回転自在に取り付けられている。可変部側転動部材34は、突出部分32aの下端面に沿って1個又は複数個設けられており、移動部18の厚み方向(
図5、6において紙面を貫く方向)に沿う回転軸を中心に回転可能である。また、可変部側転動部材34の外周面は、
図5及び6に示すように、竿本体部12の内壁面の下端領域に常時接している。
【0042】
以上の構成により、可変部30の可動ブロック32は、移動部18に連動して延出方向に移動する。具体的に説明すると、移動部18が下降するほど、押圧部分20から受圧部分32bへの押圧力が大きくなる。この際、押圧力は、下向きの力であるが、受圧部分32bの傾斜面32cによって、延出方向外側に向かう力に変換される。
【0043】
そして、延出方向外側の向きに変換された力により、可動ブロック32は、
図5及び6に示すように、竿本体部12内を延出方向外側に向かって移動する。具体的には、可変部側転動部材34が竿本体部12の内壁面上を転がり、転動部材20bが受圧部分32bの傾斜面32c上を転がって、可動ブロック32全体が延出方向外側に向かって移動する。この結果、突出部分32aが竿本体部12の側端開口16から突出し、竿本体部12の外側に出て露出する。
【0044】
そして、押圧部分20から受圧部分32bへの押圧力が大きくなるほど、可変部30が有する可動ブロック32(より詳しくは、突出部分32a)のうち、側端開口16から突出する部分の割合が増える。反対に、押圧力が小さくなるほど、可動ブロック32の突出部部32aのうち、側端開口16から突出する部分の割合が減少する。ここで、押圧力の大きさは、竿本体部12に掛けられた洗濯物の重量、つまり、洗濯物の乾き度合いに応じて変化し、乾き度合いが低いほど(すなわち、洗濯物の含水率が高く重量が大きいほど)、押圧力が大きくなる。
【0045】
以上のように第1実施形態では、竿本体部12に掛けられた洗濯物、厳密には、移動部18のうち、上部開口14から上方に突出した部分に掛けられた洗濯物の乾き度合いに応じて、移動部18が上下移動する。そして、移動部18の上下移動に連動して、可変部30が有する可動ブロック32の突出部分32aが、側端開口16を通じて竿本体部12の内部に対して出入りする。この結果、突出部分32aのうち、側端開口16から突出して竿本体部12から露出する部分の割合が変化する。詳しくは、移動部18が下降するほど、当該露出する部分の割合が増加し、反対に、移動部18が上昇するにつれて、当該露出する部分の割合が減少する。
【0046】
すなわち、第1実施形態では、可変部30のうち、竿本体部12から露出する部分の割合が、竿本体部12に掛けられた洗濯物の乾き度合いの変化に応じて変化する。これにより、ユーザは、物干し竿10の使用中、竿本体部12から露出する可変部30の一部を見て、その露出部分を確認することで、洗濯物の乾き度合いを推定(把握)することができる。つまり、第1実施形態では、洗濯物の乾き度合いの変化に応じて可変部30の状態が変化し、変化後の可変部30の状態は、竿本体部12の外側から視認可能であり、その状態から、洗濯物の乾き度合いを確認することができる。
【0047】
以上のように、物干し竿10を利用して室内干しを行う際には、可変部30の状態から、竿本体部12に掛けられた洗濯物の乾き度合いを容易に確認することができる。具体的には、可変ブロック32のうち、竿本体部12の側端開口16から突出して竿本体部12の外に露出する部分の突出量を見て、その時点の乾き度合いを視覚的に確認することができる。これにより、物干し竿10に掛けられた洗濯物に触れなくても、その洗濯物の乾き度合いを確認することができる。
【0048】
そして、第1実施形態において物干し竿10がもたらす上記の効果は、物干し竿10を吹き抜け空間Fの上方に配置して洗濯物を乾かす場合、特に有意義である。詳しく説明すると、第1実施形態では、可変部30が有する可動ブロック32のうち、側端開口16から突出して竿本体部12から露出する部分の突出量を視認することで、竿本体部12に掛けられている洗濯物の乾き度合いを確認することができる。一方で、可動ブロック32の突出部分32aのうち、竿本体部12の側端開口16から突出している部分は、竿本体部12の下方からも、竿本体部12の側方からも視認することができる。そのため、吹き抜け空間Fの上方に物干し竿10が配置される場合に、竿本体部12より下方の階、及び、竿本体部12と同じ高さの階のどちらからであっても、竿本体部12の側端開口16から突出している部分を容易に確認することができる。その結果、物干し竿10が吹き抜け空間Fの上方で利用されていたとしても、竿本体部12に掛けられた洗濯物の乾き度合いを容易に確認することができる。
【0049】
なお、可動ブロック32の突出部分32aのうち、竿本体部12の側端開口16から突出している部分の突出量を確認し易くするため、突出部分32aの外表面には、
図7に示すように延出方向において規則的に配置されたパターンが設けられてもよい。例えば、延出方向において一定間隔で色が交互に入れ替わるストライプ状の模様が、突出部分32aの外表面に設けられてもよい。
また、突出部分32aの外表面には、上記のパターンに代えて、又は上記のパターンとともに、延出方向において一定間隔で印刷された目盛線(不図示)が設けられてもよい。
【0050】
また、可変部30の構成については、可変部30の一部が竿本体部12の側端開口16から突出するものには限定されず、例えば、一部が上部開口14から上方に突出して竿本体部12から露出する構成であってもよい。
また、可変部30は、竿本体部12に掛けられている洗濯物の乾き度合いが小さいほど(換言すると、洗濯物の含水率が高いほど)、竿本体部12の側端開口16からの突出量が増える構成には限定されない。すなわち、可変部30の構成は、洗濯物の乾き度合いが大きくなるほど側端開口16からの突出量が増える構成でもよい。
【0051】
<<本発明の第2実施形態に係る物干し竿について>>
第1実施形態では、竿本体部12に掛けられた洗濯物の乾き度合いの変化に応じて、移動部18及び可変部30の各々が移動し、移動後の可変部30の位置や竿本体部12からの露出量を視認することで、乾き度合いが確認できる構成について説明した。ただし、これに限定されるものではなく、本発明については、第1実施形態以外の実施形態(以下、第2実施形態)も考えられ得る。
以下では、第2実施形態に係る物干し竿10Aの構成について、
図8を参照しながら説明することとする。なお、以下では、主として、第2実施形態のうち、第1実施形態と相違する点について説明することとする。
【0052】
物干し竿10Aは、移動部18、付勢部22、可変部側付勢部24を備えておらず、その代わりに、
図8に示すように、信号出力部60、太陽光パネル62、及び蓄電池64を備える。また、第2実施形態に係る可変部30Aは、第1実施形態に係る可変部30のような可動式の部材(詳しくは、可動ブロック32)ではなく、発光体としてのLED(Light Emitting Diode)によって構成される。
【0053】
信号出力部60、太陽光パネル62及び蓄電池64は、竿本体部12内に収容されており、また、第2実施形態において、竿本体部12は、光透過性を有する材料からなる筒状体によって構成されており、第1実施形態とは異なって上部開口14を備えない通常の筒状体である。光透過性を有する材料としては、特に限定されないが、一例としては、透過性樹脂ポリーカーボネイト等が挙げられる。太陽光パネル62は、竿本体部12の外周部を透過した光(日光)を受光して発電し、蓄電池64は、太陽光パネル62の発電電力を溜めておき、必要に応じて放電する。蓄電池64から放電される電力、すなわち、太陽光パネル62にて発電された電力は、信号出力部60、及び、LEDからなる可変部30Aに供給される。
【0054】
信号出力部60は、竿本体部12に掛けられた洗濯物の乾き度合いに応じて変化する物理量に応じた信号を出力するセンサである。ここで、洗濯物の乾き度合いに応じて変化する物理量は、洗濯物が掛けられた竿本体部12の重量でもよいし、洗濯物自体の重量又は含水率等でもよい。以下では、物理量が、竿本体部12の重量であり、信号出力部60は、竿本体部12に掛けられた洗濯物の重量に応じた信号を出力する重量センサである場合を例に挙げて説明する。
【0055】
信号出力部60をなす重量センサは、竿本体部12内で竿本体部12に固定されており、また、上記の重量センサには、
図8に示すように、物干し竿10を吊り下げるワイヤ50が接続されている。物干し竿10の使用時、ワイヤ50には、物干し竿10の重量と物干し竿10に掛けられた洗濯物の重量との合計値(合計重量)に応じた張力が掛かっており、その張力が重量センサに入力される。これにより、重量センサである信号出力部60は、洗濯物が掛けられた竿本体部12の重量を検出し、その重量に応じた信号を出力する。
【0056】
LEDからなる可変部30Aは、
図8に示すように、竿本体部12の外周部に設けられており、例えば、外周部に形成された嵌合孔に嵌め込まれた状態で設けられている。可変部30Aの個数及び配置位置は、特に限定されないが、竿本体部12の延出方向両端部のそれぞれに可変部30Aが設けられてもよい。また、
図8に示すように、竿本体部12の外周部のうち、下側部分に可変部30Aが設けられてもよい。
【0057】
可変部30Aと信号出力部60との間には、不図示の信号伝送路が設置されており、信号出力部60からの出力信号は、その信号伝送路を通じて可変部30Aに入力される。そして、LEDからなる可変部30Aは、信号出力部60からの出力信号に応じた色にて発光する。
【0058】
具体的に説明すると、未乾燥の洗濯物を竿本体部12に掛けた直後の竿本体部12の重量を、初期値として設定し、この初期値よりもn%(nは0より大きく、100より小さい実数)ほど重量が低下した場合には、可変部30Aが第1の発光色にて発光する。さらに、洗濯物の乾燥が進行して、重量の初期値からの変化量(減少量)がn%を超えた場合には、可変部30Aが、第1の発光色とは異なる第2の発光色にて発光する。
【0059】
このように第2実施形態では、信号出力部60からの出力信号に応じて可変部30Aの表面の状態、詳しくは表面の発光色が変化する。そして、変化後の発光色を視認することで、竿本体部12に掛けられている洗濯物の乾燥度合いを確認(把握)することができる。なお、第1の発光色及び第2の発光色については、特に限定されないが、色相環において互いに補色関係にある2色のうちの一方を第1の発光色とし、他方を第2の発光色とするのが好ましく、例えば、第1の発光色を黄色とし、第2の発光色を青色としてもよい。
【0060】
<<その他の実施形態について>>
以上までに、本発明の物干し竿について、具体的な複数の実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【0061】
上記の実施形態では、竿本体部12が一つの棒状体によって構成されることとしたが、これに限定されず、互いに分離した複数の筒状の断片(筒状片)を列状に並べて連ねることで一つの竿本体部が構成されてもよい。
【0062】
また、上記の実施形態では、竿本体部12の延出方向の一端部及び他端部のそれぞれに、可変部30、30Aが1つずつ設けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、竿本体部12の延出方向の一端部及び他端部のうち、いずれか一方にのみ可変部30、30Aが設けられてもよい。
【0063】
また、上記の実施形態では、本発明の物干し竿を建物内で使用する場合、すなわち、室内干しの用途で本発明の物干し竿を利用する場合を例に挙げて説明することとしたが、これに限定されるものではない。本発明の物干し竿は、屋外空間(例えば、ベランダや庭等)で洗濯物を干す場合に利用してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10 物干し竿
10A 物干し竿
12 竿本体部
14 上部開口
16 側端開口
18 移動部
20 押圧部分
20a 傾斜面
20b 転動部材
22 付勢部
24 可変部側付勢部
30 可変部
30A 可変部
32 可動ブロック
32a 突出部分
32b 受圧部分
32c 傾斜面
34 可変部側転動部材
40 ハンガー
50 ワイヤ
60 信号出力部
62 太陽光パネル
64 蓄電池
F 吹き抜け空間