(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012649
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】CHK1阻害剤を含む癌の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/5377 20060101AFI20240123BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240123BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240123BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240123BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240123BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240123BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240123BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/502 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/4462 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/5025 20060101ALI20240123BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20240123BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/407 20060101ALI20240123BHJP
A61K 31/4745 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K31/5377
A61P35/00
A61P35/04
A61P35/02
A61P1/00
A61P11/00
A61P13/08
A61P15/00
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K31/7068
A61K31/502
A61K31/55
A61K31/4462
A61K31/5025
A61K33/243
A61K31/7048
A61K31/407
A61K31/4745
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023195862
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2020544853の分割
【原出願日】2019-02-26
(31)【優先権主張番号】62/743,993
(32)【優先日】2018-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/635,459
(32)【優先日】2018-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/650,192
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519365805
【氏名又は名称】シエラ オンコロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クリスチャン アンドリュー ハシッグ
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン ウィリアム ストラウス
(72)【発明者】
【氏名】ライアン ジェイムズ ハンセン
(72)【発明者】
【氏名】ケナ リン アンデレス
(72)【発明者】
【氏名】スネザナ ミルティノビック
(72)【発明者】
【氏名】アンジー ジェイ. ユー
(72)【発明者】
【氏名】バーバラ クレンケ
(72)【発明者】
【氏名】マーク コワルスキー
(57)【要約】
【課題】CHK1阻害剤を含む癌の治療方法の提供。
【解決手段】本明細書では、癌を有する患者を治療するために有用な単剤療法としてまたは併用療法においてSRA737を投与する治療方法が開示される。本明細書に開示されるのは、癌を治療する方法であって、癌を有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含み、有効量は、2000mg/日未満である。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、経口投与される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、少なくとも連続28日間投与される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、少なくとも連続7日間投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年2月26日に提出された米国仮特許出願第62/635,459号、2018年3月29日に提出された同第62/650,192号、および2018年10月10日に提出された同第62/743,993号の利益を主張し、その各々は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本発明は、腫瘍成長を阻害するのに有用な方法、組成物、およびキットに関する。特に、本明細書に開示されるのは、腫瘍成長、例えば、癌に関連する腫瘍成長を阻害するために有用な有効量のSRA737を投与する方法である。
【0003】
背景技術
関連技術の説明
DNAが損傷されると、細胞はシグナル伝達経路を活性化する。シグナルは、細胞周期機構を活性化し、DNA修復および/または細胞死を誘発して増殖を軽減する。チェックポイントキナーゼ1(Chkl)は、DNA損傷を感知する際の細胞における重要な橋である。参照により本明細書に組み込まれる、Cancer Biology&Therapy(2004)3:3,305-313を参照されたい。Chk1は、免疫および炎症反応、紡錘体形成、DNA損傷シグナル伝達、および一般的には細胞アポトーシスを含む、多数の広範な細胞機能の調節において役割を果たす。Chk1阻害剤は、Sおよび/またはG2/M期でのDNA損傷誘発性細胞周期停止を抑制する。現在、腫瘍成長の阻害の治療のための承認された療法であるChk1阻害剤はない。1つのChk1阻害剤は、SRA737である。SRA737は、国際特許出願第PCT/GB2013/051233号に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Cancer Biology&Therapy(2004)3:3,305-313
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示されるのは、癌を治療する方法であって、癌を有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含み、有効量は、2000mg/日未満である。
いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、経口投与される。
いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、少なくとも連続28日間投与される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、少なくとも連続7日間投与される。
【0007】
いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、断続的に投与される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、少なくとも10分、15分、20分、30分、40分、60分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、18時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、または4週間の遅延を投与間に伴って投与される。
【0008】
いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、1つ以上の28日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、1つ以上の28日サイクルの1日以上で投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の28日サイクルの2、3、9、10、16、および17日目に投与される。いくつかの実施形態では、方法は、1つ以上の28日サイクルの第1の前にSRA737化合物の初期用量を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、初期用量は、1つ以上の28日サイクルの第1のサイクルの4日、5日、6日、または7日前に投与される。いくつかの実施形態では、1つ以上の28日サイクルは、2、3、4、5、6つ以上の28日サイクルを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、SRA737化合物は、各週5日の投与、続いて2日の非投与;1週間の毎日の投与、続いて1、2、または3週間の非投与;2または3週間の毎日の投与、続いて1または2週間の非投与;ならびに週間サイクルの2日目および3日目の投与からなる群から選択される投与スケジュールに従って投与される。
【0010】
いくつかの実施形態では、有効量は、1日1回単一用量で投与される。いくつかの実施形態では、有効量の半分は、1日2回投与される。
【0011】
いくつかの実施形態では、有効量は、1500mg/日未満である。いくつかの実施形態では、有効量は、1300mg/日未満である。いくつかの実施形態では、有効量は、1000mg/日以下である。いくつかの実施形態では、有効量は、900mg/日以下である。いくつかの実施形態では、有効量は、800mg/日以下である。いくつかの実施形態では、有効量は、700mg/日以下である。いくつかの実施形態では、有効量は、600mg/日以下である。いくつかの実施形態では、有効量は、500mg/日以下である。いくつかの実施形態では、有効量は、400mg/日以下である。いくつかの実施形態では、有効量は、600mg/日~1300mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、300mg/日~1300mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、300mg/日~1000mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、300mg/日~800mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、500mg/日~1300mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、500mg/日~1000mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、500mg/日~800mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、および1200mg/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、有効量は、40mg/日、80mg/日、300mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、および800mg/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、有効量は、300mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、400mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、500mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、600mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、700mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、800mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、900mg/日である。いくつかの実施形態では、有効量は、1000mg/日である。
【0012】
いくつかの実施形態では、癌は、転移性癌である。いくつかの実施形態では、癌は、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌(bile duct cancer)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)および肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫および軟部組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、プラチナ抵抗性または不耐性HGSOC、進行性NSCLC、ならびに転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌、および炎症性乳癌からなる群から選択される状態または障害である。
【0013】
いくつかの実施形態では、癌は、結腸直腸癌である。いくつかの実施形態では、結腸直腸癌は、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復(MMR)の欠損を有すると特徴付けられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、癌は、非小細胞肺癌である。
【0015】
いくつかの実施形態では、癌は、HNSCCである。
【0016】
いくつかの実施形態では、癌は、SCCAである。
【0017】
いくつかの実施形態では、癌は、肛門性器癌である。
【0018】
いくつかの実施形態では、癌は、前立腺癌である。いくつかの実施形態では、前立腺癌は、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である。
【0019】
いくつかの実施形態では、癌は、卵巣癌である。いくつかの実施形態では、卵巣癌は、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)である。いくつかの実施形態では、HGSOCに関連する腫瘍は、サイクリンE1(CCNE)遺伝子の増加した発現を有すると同定される。いくつかの実施形態では、増加した発現は、遺伝子増幅の結果である。いくつかの実施形態では、腫瘍は、体細胞または生殖系列のBRCA1およびBRCA2野生型状態を有すると同定される。
【0020】
いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍は、Chk1経路感受性に関与する少なくとも1つの発癌性ドライバー遺伝子または他の遺伝子の機能獲得変異、増幅、または過剰発現を有すると同定される。いくつかの実施形態では、発癌性ドライバー遺伝子は、MYC、MYCN、KRAS、およびCCNE1からなる群から選択される。
【0021】
いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍は、Chk1経路感受性に関与する少なくとも1つのDNA損傷修復(DDR)経路遺伝子において機能の喪失または有害変異を有すると同定される。いくつかの実施形態では、DDR経路遺伝子は、ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2、MRE11A、ATR、およびFA経路遺伝子からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、機能の喪失または有害変異は、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復(MMR)の欠損を確立することによって決定される。
【0022】
いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍は、Chk1経路感受性に関与する少なくとも1つの複製ストレス遺伝子の機能獲得変異または増幅を有すると同定される。いくつかの実施形態では、複製ストレス遺伝子は、ATRまたはCHK1である。
【0023】
いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍は、Chk1経路感受性に関与する腫瘍抑制(TS)遺伝子において有害変異を有すると同定される。いくつかの実施形態では、癌抑制遺伝子に関連する腫瘍は、RB1、TP53、ATM、RAD50、FBXW7、およびPARK2からなる群から選択される。
【0024】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトパピローマウイルス(HPV)陽性である。
【0025】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0026】
いくつかの実施形態では、方法は、第2の有効量のさらなる治療を投与することをさらに含み、さらなる治療は、化学療法剤、抗体または抗体断片、放射線治療、複製ストレスの外部誘導物質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0027】
いくつかの実施形態では、さらなる治療は、ゲムシタビン、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、さらなる治療は、ゲムシタビンを含む。いくつかの実施形態では、さらなる治療は、毎日投与される。いくつかの実施形態では、さらなる治療は、1日目に投与され、SRA737化合物は、週間スケジュールの2日目および3日目に投与される。いくつかの実施形態では、さらなる治療およびSRA737化合物は、1つ以上の28日サイクルにわたって投与される。いくつかの実施形態では、さらなる治療は、1つ以上の28日サイクルの1、8、および15日目に投与され、SRA737化合物は、1つ以上の28日サイクルの2、3、9、10、16、および17日目に投与される。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、600mg/m2/日以下である。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、50~600mg/m2/日である。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、50~300mg/m2/日である。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、80mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、150mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、300mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、500mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、600mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、700mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、800mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、900mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、SRA737化合物の有効量は、1000mg/日であり、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される。
【0028】
いくつかの実施形態では、癌は、尿路上皮癌である。いくつかの実施形態では、尿路上皮癌は、(a)膀胱、上部尿路、または尿道の切除不能な尿路上皮癌、および(b)膀胱、上部尿路、または尿道の転移性尿路上皮癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、HGSOCである。いくつかの実施形態では、HGSOCに関連する腫瘍は、体細胞または生殖系列のBRCA1およびBRCA2野生型状態を有すると同定される。いくつかの実施形態では、癌は、小細胞肺癌である。いくつかの実施形態では、癌は、軟部組織肉腫である。いくつかの実施形態では、軟部組織肉腫は、未分化多形性肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)/高悪性度紡錘細胞肉腫、多形性脂肪肉腫、平滑筋肉腫、および脱分化型脂肪肉腫からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、癌は、子宮頸癌または肛門性器癌である。いくつかの実施形態では、子宮頸癌または肛門性器癌は、肛門、陰茎、膣、および外陰の進行性/転移性扁平上皮癌からなる群から選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、癌に関連する腫瘍の成長阻害をもたらす。いくつかの実施形態では、癌に関連する腫瘍の成長阻害は、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の最小成長阻害である。いくつかの実施形態では、方法は、ベースライン測定と比較して、癌に関連する腫瘍の退縮をもたらす。いくつかの実施形態では、退縮は、ベースライン測定と比較して、癌に関連する腫瘍の30%退縮である。いくつかの実施形態では、退縮は、ベースライン測定と比較して、癌に関連する腫瘍の完全退縮である。
【0030】
いくつかの実施形態では、方法は、癌に関連する腫瘍の細胞毒性をもたらす。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、ベースライン測定と比較して、対象において部分奏効、完全奏効、または安定性疾患をもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、ベースライン測定と比較して、対象において部分奏効をもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、ベースライン測定と比較して、対象において完全奏効をもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、ベースライン測定と比較して、対象において安定性疾患をもたらす。
【0032】
いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において少なくとも24時間、少なくとも100ng/mlのSRA737化合物の血漿Cminをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において少なくとも24時間、少なくとも100nMのSRA737化合物の血漿Cminをもたらす。
【0033】
いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において少なくとも100ng・h/mL、少なくとも300ng・h/mL、少なくとも600ng・h/mL、少なくとも800ng・h/mL、少なくとも1000ng・h/mL、少なくとも1600ng・h/mL、少なくとも2300ng・h/mL、少なくとも2500ng・h/mL、少なくとも3000ng・h/mL、少なくとも3500ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも12000ng・h/mL、少なくとも15000ng・h/mL、少なくとも18000ng・h/mL、少なくとも20000ng・h/mL、少なくとも25000ng・h/mL、または少なくとも29000ng・h/mLのSRA737化合物の血漿AUC0-24をもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において少なくとも400ng・h/mL、少なくとも500ng・h/mL、少なくとも600ng・h/mL、少なくとも1600ng・h/mL、2600ng・h/mL、少なくとも4500ng・h/mL、少なくとも5000ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも1000ng・h/mLのSRA737化合物の血漿AUC0-12をもたらす。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において少なくとも500ng/mL、少なくとも600ng/mL、少なくとも800ng/mL、少なくとも100ng/mL、少なくとも150ng/mL、少なくとも175ng/mL、少なくとも350ng/mL、少なくとも990ng/mL、少なくとも1980ng/mL、少なくとも2000ng/mL、または少なくとも3228ng/mLのSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500ng/mL未満、600ng/mL未満、800ng/mL未満、100ng/mL未満、150ng/mL未満、175ng/mL未満、350ng/mL未満、990ng/mL未満、1980ng/mL未満、2000ng/mL未満、または3228ng/mL未満のSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500~3200ng/mLのSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500~2400ng/mLのSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500~650ng/mLのSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500~550ng/mLのSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500~5500ng/mLのSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。いくつかの実施形態では、方法は、投与後の対象において500~4000ng/mLのSRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす。
【0035】
いくつかの実施形態では、対象は、有効量のSRA737化合物を投与する前に絶食している。いくつかの実施形態では、対象は、有効量のSRA737化合物を投与する前に、30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、または4時間以上絶食している。いくつかの実施形態では、有効量のSRA737化合物を投与する前に2時間以上絶食している。
【0036】
いくつかの実施形態では、方法は、有効量のSRA737化合物を投与した後、対象が絶食することをさらに含む。いくつかの実施形態では、対象は、有効量のSRA737化合物を投与した後、30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、または4時間以上断食する。いくつかの実施形態では、対象は、有効量のSRA737化合物を投与した後、1時間以上絶食する。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
癌を治療する方法であって、前記癌を有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含み、前記有効量が、2000mg/日未満である、方法。
(項目2)
前記SRA737化合物が、経口投与される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記SRA737化合物が、毎日投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目4)
前記SRA737化合物が、少なくとも連続28日間投与される、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記SRA737化合物が、少なくとも連続7日間投与される、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記SRA737化合物が、断続的に投与される、項目1または2に記載の方法。
(項目7)
前記SRA737化合物が、少なくとも10分、15分、20分、30分、40分、60分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、18時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、または4週間の遅延を投与間に伴って投与される、項目6に記載の方法。
(項目8)
前記SRA737化合物が、1つ以上の28日サイクルにわたって投与される、項目1~7のいずれかに記載の方法。
(項目9)
前記SRA737化合物が、1つ以上の28日サイクルの1日以上で投与される、項目8に記載の方法。
(項目10)
前記SRA737化合物が、1つ以上の28日サイクルの2、3、9、10、16、および17日目に投与される、項目9に記載の方法。
(項目11)
前記1つ以上の28日サイクルの第1の前に前記SRA737化合物の初期用量を投与することをさらに含む、項目8~10に記載の方法。
(項目12)
前記初期用量が、前記1つ以上の28日サイクルの第1のサイクルの4日、5日、6日、または7日前に投与される、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記1つ以上の28日サイクルが、2、3、4、5、6つ以上の28日サイクルを含む、項目8~12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記SRA737化合物が、各週5日の投与、続いて2日の非投与;1週間の毎日の投与、続いて1、2、または3週間の非投与;2または3週間の毎日の投与、続いて1または2週間の非投与;ならびに週間サイクルの2日目および3日目の投与からなる群から選択される投与スケジュールに従って投与される、項目1~7のいずれかに記載の方法。
(項目15)
前記有効量が、1日1回単一用量で投与される、項目1~14のいずれかに記載の方法。
(項目16)
前記有効量の半分が、1日2回投与される、項目1~14のいずれかに記載の方法。
(項目17)
前記有効量が、1500mg/日未満である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目18)
前記有効量が、1300mg/日未満である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目19)
前記有効量が、1000mg/日以下である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目20)
前記有効量が、900mg/日以下である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目21)
前記有効量が、800mg/日以下である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目22)
前記有効量が、700mg/日以下である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目23)
前記有効量が、600mg/日以下である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目24)
前記有効量が、500mg/日以下である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目25)
前記有効量が、400mg/日以下である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目26)
前記有効量が、600mg/日~1300mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目27)
前記有効量が、300mg/日~1300mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目28)
前記有効量が、300mg/日~1000mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目29)
前記有効量が、300mg/日~800mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目30)
前記有効量が、500mg/日~1300mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目31)
前記有効量が、500mg/日~1000mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目32)
前記有効量が、500mg/日~800mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目33)
前記有効量が、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、および1200mg/日からなる群から選択される、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目34)
前記有効量が、40mg/日、80mg/日、300mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、および800mg/日からなる群から選択される、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目35)
前記有効量が、300mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目36)
前記有効量が、400mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目37)
前記有効量が、500mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目38)
前記有効量が、600mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目39)
前記有効量が、700mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目40)
前記有効量が、800mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目41)
前記有効量が、900mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目42)
前記有効量が、1000mg/日である、項目1~16のいずれかに記載の方法。
(項目43)
前記癌が、転移性癌である、項目1~42のいずれかに記載の方法。
(項目44)
前記癌が、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌(bile duct cancer)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)および肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫および軟部組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、プラチナ抵抗性または不耐性HGSOC、進行性NSCLC、ならびに転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌、および炎症性乳癌からなる群から選択される状態または障害である、項目1~42のいずれかに記載の方法。
(項目45)
前記癌が、結腸直腸癌である、項目1~42に記載の方法。
(項目46)
前記結腸直腸癌が、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復(MMR)の欠損を有すると特徴付けられる、項目45に記載の方法。
(項目47)
前記癌が、非小細胞肺癌である、項目1~42に記載の方法。
(項目48)
前記癌が、HNSCCである、項目1~42に記載の方法。
(項目49)
前記癌が、SCCAである、項目1~42に記載の方法。
(項目50)
前記癌が、肛門性器癌である、項目1~42に記載の方法。
(項目51)
前記癌が、前立腺癌である、項目1~42に記載の方法。
(項目52)
前記前立腺癌が、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)である、項目51に記載の方法。
(項目53)
前記癌が、卵巣癌である、項目1~42に記載の方法。
(項目54)
前記卵巣癌が、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)である、項目53に記載の方法。
(項目55)
前記HGSOCに関連する腫瘍が、サイクリンE1(CCNE)遺伝子の増加した発現を有すると同定される、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記増加した発現が、遺伝子増幅の結果である、項目55に記載の方法。
(項目57)
前記腫瘍が、体細胞または生殖系列のBRCA1およびBRCA2野生型状態を有すると同定される、項目54に記載の方法。
(項目58)
前記癌に関連する腫瘍が、Chk1経路感受性に関与する少なくとも1つの発癌性ドライバー遺伝子または他の遺伝子の機能獲得変異、増幅、または過剰発現を有すると同定される、項目1~57のいずれかに記載の方法。
(項目59)
前記発癌性ドライバー遺伝子が、MYC、MYCN、KRAS、およびCCNE1からなる群から選択される、項目58に記載の方法。
(項目60)
前記癌に関連する腫瘍が、Chk1経路感受性に関与する少なくとも1つのDNA損傷修復(DDR)経路遺伝子において機能の喪失または有害変異を有すると同定される、項目1~59のいずれかに記載の方法。
(項目61)
前記DDR経路遺伝子が、ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2、MRE11A、ATR、およびFA経路遺伝子からなる群から選択される、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記機能の喪失または前記有害変異が、マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復(MMR)の欠損を確立することによって決定される、項目60または61に記載の方法。
(項目63)
前記癌に関連する腫瘍が、Chk1経路感受性に関与する少なくとも1つの複製ストレス遺伝子の機能獲得変異または増幅を有すると同定される、項目1~62のいずれかに記載の方法。
(項目64)
前記複製ストレス遺伝子が、ATRまたはCHK1である、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記癌に関連する腫瘍が、Chk1経路感受性に関与する腫瘍抑制(TS)遺伝子において有害変異を有すると同定される、項目1~64のいずれかに記載の方法。
(項目66)
前記癌抑制遺伝子に関連する腫瘍が、RB1、TP53、ATM、RAD50、FBXW7、およびPARK2からなる群から選択される、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記対象が、ヒトパピローマウイルス(HPV)陽性である、項目1~66のいずれかに記載の方法。
(項目68)
前記対象が、ヒトである、項目1~67のいずれかに記載の方法。
(項目69)
第2の有効量のさらなる治療を投与することをさらに含み、前記さらなる治療が、化学療法剤、抗体または抗体断片、放射線治療、複製ストレスの外部誘導物質、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1~68のいずれかに記載の方法。
(項目70)
前記さらなる治療が、ゲムシタビン、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、項目69に記載の方法。
(項目71)
前記さらなる治療が、ゲムシタビンを含む、項目69に記載の方法。
(項目72)
前記さらなる治療が、毎日投与される、項目69~71のいずれかに記載の方法。
(項目73)
前記さらなる治療が、1日目に投与され、前記SRA737化合物が、週間スケジュールの2日目および3日目に投与される、項目69~71のいずれかに記載の方法。
(項目74)
前記さらなる治療および前記SRA737化合物が、1つ以上の28日サイクルにわたって投与される、項目69~71のいずれかに記載の方法。
(項目75)
前記さらなる治療が、前記1つ以上の28日サイクルの1、8、および15日目に投与され、前記SRA737化合物が、前記1つ以上の28日サイクルの2、3、9、10、16、および17日目に投与される、項目74に記載の方法。
(項目76)
前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目77)
前記さらなる治療の前記第2の有効量が、600mg/m2/日以下である、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目78)
前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50~600mg/m2/日である、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目79)
前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50~300mg/m2/日である、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目80)
前記SRA737化合物の前記有効量が、80mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目81)
前記SRA737化合物の前記有効量が、150mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目82)
前記SRA737化合物の前記有効量が、300mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目83)
前記SRA737化合物の前記有効量が、500mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目84)
前記SRA737化合物の前記有効量が、600mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目85)
前記SRA737化合物の前記有効量が、700mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目86)
前記SRA737化合物の前記有効量が、800mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目87)
前記SRA737化合物の前記有効量が、900mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目88)
前記SRA737化合物の前記有効量が、1000mg/日であり、前記さらなる治療の前記第2の有効量が、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、および300mg/m2/日からなる群から選択される、項目71~75のいずれかに記載の方法。
(項目89)
前記癌が、尿路上皮癌である、項目69~88のいずれかに記載の方法。
(項目90)
前記尿路上皮癌が、(a)膀胱、上部尿路、または尿道の切除不能な尿路上皮癌、および(b)膀胱、上部尿路、または尿道の転移性尿路上皮癌からなる群から選択される、項目89に記載の方法。
(項目91)
前記癌が、HGSOCである、項目69~88のいずれかに記載の方法。
(項目92)
前記HGSOCに関連する腫瘍が、体細胞または生殖系列のBRCA1およびBRCA2野生型状態を有すると同定される、項目91に記載の方法。
(項目93)
前記癌が、小細胞肺癌である、項目69~88のいずれかに記載の方法。
(項目94)
前記癌が、軟部組織肉腫である、項目69~88のいずれかに記載の方法。
(項目95)
前記軟部組織肉腫が、未分化多形性肉腫、悪性線維性組織球腫(MFH)/高悪性度紡錘細胞肉腫、多形性脂肪肉腫、平滑筋肉腫、および脱分化型脂肪肉腫からなる群から選択される、項目94に記載の方法。
(項目96)
前記癌が、子宮頸癌または肛門性器癌である、項目69~88のいずれかに記載の方法。
(項目97)
前記子宮頸癌または肛門性器癌が、肛門、陰茎、膣、および外陰の進行性/転移性扁平上皮癌からなる群から選択される、項目96に記載の方法。
(項目98)
前記方法が、前記癌に関連する腫瘍の成長阻害をもたらす、項目1~97のいずれかに記載の方法。
(項目99)
前記癌に関連する前記腫瘍の前記成長阻害が、未治療の腫瘍と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少なくとも90%の最小成長阻害である、項目98に記載の方法。
(項目100)
前記方法が、ベースライン測定と比較して、前記癌に関連する腫瘍の退縮をもたらす、項目1~99のいずれかに記載の方法。
(項目101)
前記退縮が、前記ベースライン測定と比較して、前記癌に関連する前記腫瘍の30%退縮である、項目100に記載の方法。
(項目102)
前記退縮が、前記ベースライン測定と比較して、前記癌に関連する前記腫瘍の完全退縮である、項目100に記載の方法。
(項目103)
前記方法が、前記癌に関連する腫瘍の細胞毒性をもたらす、項目1~102のいずれかに記載の方法。
(項目104)
前記方法が、ベースライン測定と比較して、前記対象において部分奏効、完全奏効、または安定性疾患をもたらす、項目1~103のいずれかに記載の方法。
(項目105)
前記方法が、ベースライン測定と比較して、前記対象において部分奏効をもたらす、項目1~103のいずれかに記載の方法。
(項目106)
前記方法が、ベースライン測定と比較して、前記対象において完全奏効をもたらす、項目1~103のいずれかに記載の方法。
(項目107)
前記方法が、ベースライン測定と比較して、前記対象において安定性疾患をもたらす、項目1~103のいずれかに記載の方法。
(項目108)
前記方法が、投与後の前記対象において少なくとも24時間、少なくとも100ng/mlの前記SRA737化合物の血漿Cminをもたらす、項目1~107のいずれかに記載の方法。
(項目109)
前記方法が、投与後の前記対象において少なくとも24時間、少なくとも100nMの前記SRA737化合物の血漿Cminをもたらす、項目1~107のいずれかに記載の方法。
(項目110)
前記方法が、投与後の前記対象において少なくとも100ng・h/mL、少なくとも300ng・h/mL、少なくとも600ng・h/mL、少なくとも800ng・h/mL、少なくとも1000ng・h/mL、少なくとも1600ng・h/mL、少なくとも2300ng・h/mL、少なくとも2500ng・h/mL、少なくとも3000ng・h/mL、少なくとも3500ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも12000ng・h/mL、少なくとも15000ng・h/mL、少なくとも18000ng・h/mL、少なくとも20000ng・h/mL、少なくとも25000ng・h/mL、または少なくとも29000ng・h/mLの前記SRA737化合物の血漿AUC0-24をもたらす、項目1~109のいずれかに記載の方法。
(項目111)
前記方法が、投与後の前記対象において少なくとも400ng・h/mL、少なくとも500ng・h/mL、少なくとも600ng・h/mL、少なくとも1600ng・h/mL、2600ng・h/mL、少なくとも4500ng・h/mL、少なくとも5000ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも8000ng・h/mL、少なくとも1000ng・h/mLの前記SRA737化合物の血漿AUC0-12をもたらす、項目1~109のいずれかに記載の方法。
(項目112)
前記方法が、投与後の前記対象において少なくとも500ng/mL、少なくとも600ng/mL、少なくとも800ng/mL、少なくとも100ng/mL、少なくとも150ng/mL、少なくとも175ng/mL、少なくとも350ng/mL、少なくとも990ng/mL、少なくとも1980ng/mL、少なくとも2000ng/mL、または少なくとも3228ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目113)
前記方法が、投与後の前記対象において500ng/mL未満、600ng/mL未満、800ng/mL未満、100ng/mL未満、150ng/mL未満、175ng/mL未満、350ng/mL未満、990ng/mL未満、1980ng/mL未満、2000ng/mL未満、または3228ng/mL未満の前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目114)
前記方法が、投与後の前記対象において500~3200ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目115)
前記方法が、投与後の前記対象において500~2400ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目116)
前記方法が、投与後の前記対象において500~650ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目117)
前記方法が、投与後の前記対象において500~550ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目118)
前記方法が、投与後の前記対象において500~5500ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目119)
前記方法が、投与後の前記対象において500~4000ng/mLの前記SRA737化合物の血漿Cmaxをもたらす、項目1~111のいずれかに記載の方法。
(項目120)
前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与する前に絶食している、項目1~119のいずれかに記載の方法。
(項目121)
前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与する前に30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、または4時間以上絶食している、項目120に記載の方法。
(項目122)
前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与する前に2時間以上絶食している、項目120に記載の方法。
(項目123)
前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与した後絶食することをさらに含む、項目1~122のいずれかに記載の方法。
(項目124)
前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与した後30分以上、1時間以上、2時間以上、3時間以上、または4時間以上絶食する、項目123に記載の方法。
(項目125)
前記対象が、前記有効量の前記SRA737化合物を投与した後1時間以上絶食する、項目123に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してよりよく理解されるであろう。
【0038】
【
図1】ウエスタンブロッティングによって測定されるマウスのHT29ヒト腫瘍異種移植片におけるゲムシタビン誘発性CHK1 S296自己リン酸化に対するSRA737の効果を示す。
【
図2】HT29異種移植片モデルにおけるSRA737用量比例血漿濃度および腫瘍濃度を示す。各用量について、左から右の列は、それぞれ、6時間での血漿、24時間での血漿、6時間での腫瘍、および24時間での腫瘍の濃度である。
【
図3】ゲムシタビンとのSRA737の併用療法の薬物動態および安全性を確立するための臨床試験投与レジメンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
有効量のChk1阻害剤SRA737の投与によって、対象、例えば、ヒトにおいて、腫瘍成長を阻害する方法が、本明細書に開示される。併用療法における有効量のChk1阻害剤SRA737の投与によって、対象、例えば、ヒトにおいて、腫瘍成長を阻害する方法もまた、本明細書に開示される。
【0040】
定義
特許請求の範囲および明細書で使用される用語は、特に明記されない限り、以下に記載されるように定義される。
【0041】
本発明の実施は、有機化学、分子生物学(組換え技法を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技法の使用を含み、これらは当該技術分野の技量の範囲内である。
【0042】
本願では、多くの技術的表示が参照されるであろう。全ての数字表示、例えば、それらの各々の範囲を含む、pH、温度、時間、濃度、および重量は、適切に、0.1、1.0、または10.0の増分による典型的には様々な(+)または(-)であり得る近似値である。すべての数字表示は「約」という用語が先行するものと理解され得る。本明細書に記載される試薬は例示であり、その同等物は当該技術分野で既知であり得る。
【0043】
本発明で利用される化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合を有し、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、および個々の異性体(例えば、別々のエナンチオマー)は全て、本発明の範囲内に包含されることが意図される。本発明の化合物はまた、そのような化合物を構成する原子のうちの1つ以上で不自然な割合の原子同位体を含有し得る。例えば、化合物は、例えば、限定なしに、トリチウム(3H)、ヨウ素-125(125I)、または炭素-14(14C)などの放射性同位体で放射標識され得る。本発明の化合物の全ての同位体変形は、放射性かどうかにかかわらず、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0044】
「対象」という用語は、ヒト、ならびにサル、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、および齧歯類を含むがこれらに限定されない獣医学および研究上関心のある動物などの哺乳動物を含む、任意の哺乳動物を指す。
【0045】
対象への薬物および/または療法を「投与すること」またはその「投与」という用語(およびこの句の文法的同等物)は、直接または間接投与の両方を指し、これは医療専門家による対象への投与であり得、自己投与、および/または間接投与であり得、これは対象に薬物および/もしくは療法を処方するか、または処方するように説得する行為であり得る。
【0046】
「同時投与」という用語は、同じ期間中にそれらの薬理学的効果を発揮する方法で投与される2つ以上の化合物を指す。そのような同時投与は、2つ以上の化合物の同時(simultaneous)、同時(contemporaneous)、または連続投与のいずれかにより達成することができる。
【0047】
障害または疾患を「治療すること」またはその「治療」という用語は、障害もしくは疾患、例えば、腫瘍成長もしくは癌の症状を緩和するか、またはそうでなければ臨床結果を含む対象についての何らかの有益なもしくは所望の結果を得るための措置を講じることを指す。任意の有益なまたは所望の臨床結果には、これらに限定されないが、癌の1つ以上の症状の緩和もしくは改善または条件付き生存および腫瘍細胞量もしくは腫瘍体積の低減;疾患の程度の減退;腫瘍進行もしくは疾患進行の遅延もしくは減速;腫瘍および/もしくは疾患状態の改善、緩和、もしくは安定化;または他の有益な結果が含まれ得る。
【0048】
「インサイチュ」または「インビトロ」という用語は、生存生物とは別に成長する、例えば、組織培養で成長する生存細胞中で起こるプロセスを指す。
【0049】
「インビボ」という用語は、生存生物中で起こるプロセスを指す。
【0050】
「Chk1」または「CHEK1」または「チェックポイントキナーゼ1」という用語は、CHEK1遺伝子によってコードされるセリン/トレオニンタンパク質キナーゼを指す。
【0051】
「有効量」という用語は、所望の効果を生み出すのに十分な量、例えば、腫瘍成長を阻害するのに十分な量を意味する。
【0052】
1つ以上の症状(およびこの句の文法的同等物)の「低減」という用語は、症状(複数可)の重症度もしくは頻度の減少、または症状(複数可)の除去を指す。
【0053】
明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数の指示物を含むことに留意しなければならない。
【0054】
本発明の方法
Chk1阻害剤であるSRA737の投与により、対象、例えばヒトにおいて、腫瘍成長を阻害する方法が、本明細書に開示される。化合物、化合物を含むキット、およびそれらの使用方法の詳細な説明は以下に見い出される。
【0055】
腫瘍阻害
本開示は、有効量の化合物SRA737を使用して、腫瘍の進行を阻害、その凝集のサイズを低減、その体積を低減、および/またはそうでなければその成長を阻害する方法を対象とする。また本明細書で提供されるものは、基礎疾患、例えば、癌を治療し、対象の生存を延長する方法である。
【0056】
いくつかの態様では、腫瘍の成長を阻害する方法が、それを必要とする対象において提供され、方法は、対象に有効量のSRA737を投与することを含む。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために対象に有効量のSRA737を投与する方法を提供し、腫瘍成長は、腫瘍体積によって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%低減する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために対象に有効量のSRA737を投与する方法を提供し、腫瘍成長は、腫瘍の絶対サイズによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%低減する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために対象に有効量のSRA737を投与する方法を提供し、腫瘍成長は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現レベルによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%低減する。
【0057】
いくつかの態様では、癌を治療する方法が提供され、癌を有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含む。いくつかの態様では、癌を治療する方法が提供され、癌を有する対象に有効量のSRA737化合物を投与することを含み、方法は、腫瘍の退縮をもたらす。退縮は、一般に、ベースライン測定と比較して決定される。退縮は、部分退縮または完全退縮であり得る。退縮は、一般に、腫瘍のサイズ、体積、および/または成長を定量化するために有用な任意のアッセイ、例えば、当該技術分野で知られる医学イメージング技法によって測定することができる。退縮は、腫瘍体積によって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮であり得る。退縮は、腫瘍の絶対サイズによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮であり得る。退縮は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現レベルによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮であり得る。退縮は、30%退縮であり得る。退縮は、一般に、腫瘍のサイズ、体積、および/または成長を定量化するために有用な任意のアッセイ、例えば、当該技術分野で知られる医学イメージング技法によって測定される、30%退縮であり得る。
【0058】
本開示はまた、有効量の化合物SRA737および第2の有効量のさらなる治療を使用して、腫瘍の進行を阻害、その凝集のサイズを低減、その体積を低減、および/またはそうでなければその成長を阻害する方法を対象とする。また本明細書で提供されるものは、基礎疾患、例えば、癌を治療し、対象の生存を延長する方法である。いくつかの実施形態では、腫瘍の成長を阻害する方法が、それを必要とする対象において提供され、本方法は、対象に有効量のSRA737および第2の有効量のさらなる治療を投与することを含む。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために対象に有効量のSRA737および第2の有効量のさらなる治療を投与する方法を提供し、腫瘍成長は、腫瘍体積によって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%低減する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために対象に有効量のSRA737および第2の有効量のさらなる治療を投与する方法を提供し、腫瘍成長は、腫瘍の絶対サイズによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%低減する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害するために対象に有効量のSRA737および第2の有効量のさらなる治療を投与する方法を提供し、腫瘍成長は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現レベルによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%低減する。
【0059】
いくつかの態様では、癌を治療する方法が提供され、癌を有する対象に有効量のSRA737化合物および第2の有効量のさらなる治療を投与することを含む。いくつかの態様では、癌を治療する方法が提供され、癌を有する対象に有効量のSRA737化合物および第2の有効量のさらなる治療を投与することを含み、方法は、腫瘍の退縮をもたらす。退縮は、一般に、ベースライン測定と比較して決定される。退縮は、部分退縮または完全退縮であり得る。退縮は、一般に、腫瘍のサイズ、体積、および/または成長を定量化するために有用な任意のアッセイ、例えば、当該技術分野で知られる医学イメージング技法によって測定することができる。退縮は、腫瘍体積によって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮であり得る。退縮は、腫瘍の絶対サイズによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮であり得る。退縮は、そのタイプの腫瘍の腫瘍マーカーの発現レベルによって測定して、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、34%、36%、38%、40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%、82%、84%、86%、88%、90%、92%、94%、96%、98%、または100%の退縮であり得る。退縮は、30%退縮であり得る。退縮は、一般に、腫瘍のサイズ、体積、および/または成長を定量化するために有用な任意のアッセイ、例えば、当該技術分野で知られる医学イメージング技法によって測定される、30%退縮であり得る。
【0060】
腫瘍のタイプ
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長を阻害する方法を提供し、腫瘍は、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌(bile duct cancer)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)および肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌(例えば、肛門癌)、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫および軟部組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、プラチナ抵抗性または不耐性HGSOC、進行性NSCLC、ならびに転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌、および炎症性乳癌である癌に由来する。
【0061】
したがって、本開示は、癌を治療する方法を、それを必要とする対象において提供し、本方法は、有効量のSRA737を対象に投与することを含む。いくつかの態様では、癌の治療のための方法が開示され、癌は、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌(bile duct cancer)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)および肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌(例えば、肛門癌)、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫および軟部組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、プラチナ抵抗性または不耐性HGSOC、進行性NSCLC、ならびに転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌、および炎症性乳癌である。
【0062】
臨床評価項目
本明細書で提供されるものは、対象および/または細胞において腫瘍の成長を阻害するための方法であり、その方法の条件は、方法が臨床的に関連する評価項目をもたらすようなものである。
【0063】
腫瘍成長は、1つ以上の生体細胞がはるかに急速に成長および分裂する場合に起こり、細胞分裂の正常かつ健康なプロセスと比較して細胞数の増加をもたらす。この現象は、細胞が癌または前癌などの疾患状態にあるという徴候である。また、腫瘍成長はしばしば、凝集した細胞が腫瘍を形成する前の別個の段階で起こる。
【0064】
当業者が細胞複製速度を測定するために使用することができるいくつかの方法がある。細胞内の全体的な代謝活性は、標識された生物学的製品を介して測定することができる。例えば、細胞に浸透し、ある特定の酵素および他の因子と相互作用して、検出可能な生成物を生成することができるいくつかの市販の色素(例えば、MTT)がある。また、細胞バイオマーカーは、細胞において測定することができる。例えば、BrdUアッセイは、チミジン誘導体を細胞DNAに組み込み、抗体で検出することができる。増殖細胞核抗原(PCNA)は、別のそのような検出のためのバイオマーカーである。タグ付け技法の他に、当業者は、細胞計数を可能にするために、例えば、顕微鏡検査またはフローサイトメトリーを使用することもできる。
【0065】
一態様では、細胞複製は、生活の質(QOL)スコア、奏効期間(DOR、臨床的有効率(CBR)、患者報告転帰(PRO)、客観的奏効率(ORR)スコア、無病生存率(DFS)もしくは無増悪生存率(PFS)、無増悪期間(TTP)、全生存率(OS)、治療成功時間(TTF)、RECIST基準、および/または完全奏効を含む臨床評価項目によって測定される。臨床評価項目は、当業者には周知の方法を使用して決定され得る。
【0066】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長が、有効量のSRA737の投与後に、5、10、20、40、50、60、80、90、95、97、99、または99.9%以下低減する方法を提供する。
【0067】
いくつかの態様では、本開示は、低減%が1つ以上の臨床評価項目の測定(複数可)に基づいて計算される方法を提供する。
【0068】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長が、MTTアッセイにおける総細胞数の増加もしくは減少によって、またはctDNAアッセイにより測定した遺伝子プロファイルの変化によって測定して、有効量のSRA737の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、もしくは99.9%、またはそれらの値以下で低減する方法を提供する。
【0069】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長が、有効量のSRA737の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%低減する方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、腫瘍の成長が、MTTアッセイにおける総細胞数の増加もしくは減少によって、またはctDNAアッセイにより測定した遺伝子プロファイルの変化によって測定して、有効量のSRA737の投与後に少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%低減する方法を提供する。
【0070】
いくつかの態様では、本開示は、投与が10μM未満のIC50値および/または1μM未満のGI50値をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が投与後24時間で10μM未満のIC50値および/または1μM未満のGI50値をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が投与後48時間で10μM未満のIC50値および/または1μM未満のGI50値をもたらす方法を提供する。
【0071】
いくつかの態様では、本開示は、投与が少なくとも1、10、25、50、100、200、400、600、800、または1000のAUCをもたらす方法を提供する。
【0072】
いくつかの態様では、本開示は、投与が0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、1、3、5、10、20、40、50、60、80、90、100、200、250、300、350、または400μM以下のIC50値をもたらす方法を提供する。
【0073】
いくつかの態様では、本開示は、投与が少なくとも0.01、0.1、1、3、5、10、20、40、50、60、80、90、100、200、250、300、350、または400μMのEC50値をもたらす方法を提供する。
【0074】
いくつかの態様では、本開示は、投与が約1.001:1~約50:1、約1.1:1~約15:1、約1.2:1~約12:1、約1.2:1~約10:1、約1.2:1~約5:1、または約1.2:1~約3:1の範囲の治療指数(TI)値をもたらす方法を提供する。
【0075】
いくつかの態様では、本開示は、投与が少なくとも0.1μM、0.3μM、0.5μM、0.7μM、1μM、1.5μM、2μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、または10μMのGI50値をもたらす方法を提供する。
【0076】
いくつかの態様では、本開示は、投与が0.1、0.5、1、2μM、2.5μM、3μM、4μM、5μM、または10μM以下の最大応答観察(最大応答)値をもたらす方法を提供する。
【0077】
腫瘍成長は、総腫瘍体積または総腫瘍サイズを単位として表すことができる。当業者が、固形腫瘍がだいたい球形であるという仮定に基づいて腫瘍体積を計算するために使用することができる、一般的および特定の腫瘍モデルに特異的な両方の式が存在する。これに関して、当業者は、腫瘍体積を測定するために、超音波イメージング、手動もしくはデジタルキャリパー、超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、マイクロCT、18F-FDG-マイクロPET、または磁気共鳴イメージング(MRI)などの実験ツールを使用することができる。例えば、各々全体が参照により本明細書に組み込まれる、Monga SP,Wadleigh R,Sharma A,et al.Intratumoral therapy of cisplatin/epinephrine injectable gel for palliation in patients with obstructive esophageal cancer.Am.J.Clin.Oncol.2000;23(4):386-392、Mary M.Tomayko C.,Patrick Reynolds,1989.Determination of subcutaneous tumor size in athymic(nude)mice.Cancer Chemotherapy and Pharmacology,Volume 24,Issue 3,pp 148-154、E Richtig,G Langmann,K Mullner,G Richtig and J Smolle,2004.Calculated tumour volume
as a prognostic parameter for survival in choroidal melanomas.Eye(2004)18,619-623、Jensen et al.BMC Medical Imaging 2008.8:16、Tomayko et al.Cancer Chemotherapy and Pharmacology September 1989,Volume 24,Issue 3,pp 148-154、およびFaustino-Rocha et al.Lab Anim(NY).2013 Jun;42(6):217-24を参照されたい。例示的な例では、腫瘍成長および/またはサイズは、全ての標的病変について直径(非結節性病変では最長、結節性病変では短軸)の合計として測定することができ、一般に、ベースライン合計直径として計算および報告することができる。ベースライン合計直径は、一般に、疾患の測定可能な寸法において任意の客観的な腫瘍退縮をさらに特徴付けるために、参照として使用することができる。
【0078】
いくつかの態様では、本開示は、投与が、有効量のSRA737の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%の腫瘍サイズの低減をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が、有効量のSRA737の投与後に、少なくとも30%の腫瘍サイズの低減をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が、有効量のSRA737の投与後に、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、97、99、または99.9%の腫瘍体積の低減をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が、有効量のSRA737の投与後に、少なくとも30%の腫瘍体積の低減をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が、1、2、3、4、6、8、12、16、20、24、36、または52週間後に、腫瘍体積または腫瘍サイズの低減をもたらす方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、投与が、1、2、3、4、6、8、12、16、20、24、36、または52週間後に、少なくとも30%の腫瘍体積または腫瘍サイズの低減をもたらす方法を提供する。腫瘍体積または腫瘍サイズの低減は、医学イメージング技法によって測定することができる。腫瘍体積または腫瘍サイズの低減は、一般に、ベースライン測定と比較して決定される。
【0079】
対象
本開示は、有効量のSRA737を、それを必要とする対象に投与することを提供する。本開示は、さらなる治療との併用療法において有効量のSRA737を、それを必要とする対象に投与することを提供する。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、投与前に遺伝子検査および/シーケンシングでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、投与後に遺伝子検査および/シーケンシングでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、投与後および前の両方にスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの健康な細胞は、投与前、投与後、または両方に遺伝子検査および/シーケンシングでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、特定のバイオマーカーの発現のレベルを決定するために他の生物学的試験またはアッセイでスクリーニングされる。いくつかの態様では、対象からの腫瘍は、遺伝子検査および/シーケンシングならびに他のバイオマーカー試験またはアッセイの両方でスクリーニングされる。
【0080】
いくつかの態様では、本開示は、対象が哺乳動物である方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、対象が霊長類である方法を提供する。
【0081】
いくつかの態様では、本開示は、対象がマウスである方法を提供する。
【0082】
いくつかの態様では、本開示は、対象がヒトである方法を提供する。
【0083】
いくつかの態様では、本開示は、対象が以下の遺伝子:腫瘍抑制遺伝子、DNA損傷修復遺伝子、複製ストレス遺伝子、または発癌性ドライバー遺伝子のうちの1つ以上に遺伝子変異を有する腫瘍を有するヒトである方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、対象が癌に罹患しており、癌細胞が以下の遺伝子:腫瘍抑制遺伝子、DNA損傷修復遺伝子、複製ストレス遺伝子、または発癌性ドライバー遺伝子のうちの1つ以上に遺伝子変異を有する方法を提供する。
【0084】
いくつかの態様では、本開示は、腫瘍が、結腸直腸癌、卵巣癌、高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、小細胞肺癌、肺腺癌、前立腺癌、去勢抵抗性前立腺癌、胆管癌(bile duct cancer)、胆管癌(cholangiocarcinoma)、黒色腫、子宮癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮頸癌、胃癌、子宮内膜癌、肝細胞癌、白血病、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄腫、脳癌、神経芽細胞腫、扁平上皮癌、頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)および肛門扁平上皮癌(SCCA)、肛門性器癌(例えば、肛門癌)、直腸癌、膵臓癌、尿路上皮癌、肉腫および軟部組織肉腫、転移性結腸直腸癌(CRC)、プラチナ抵抗性または不耐性HGSOC、進行性NSCLC、ならびに転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、トリプルネガティブ乳癌、浸潤性乳癌、転移性乳癌、HER2陽性乳癌、および炎症性乳癌からなる群から選択される癌に罹患しているヒトにある方法を提供する。
【0085】
いくつかの態様では、対象は、以下を有する:
a.以下のタイプの組織学的または細胞学的に証明された進行性悪性腫瘍であって、他の従来の療法が適切とみなされないもの:
i.高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)
1.組織学的に確認された高悪性度漿液性卵巣、卵管、または原発性腹膜癌
2.プラチナ抵抗性もしくは難治性疾患、または対象がプラチナ療法に不耐性である場合
ii.小細胞肺癌
1.対象は、一般に、治験依頼者による別段の承認がない限り、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
iii.軟部組織肉腫
1.未分化多形性肉腫/悪性線維性組織球腫(MFH)(高悪性度紡錘細胞肉腫/多形性脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、および脱分化型脂肪肉腫を含む。他のタイプのSTSは、治験依頼者の承認で適格になり得る
2.対象は、一般に、治験依頼者による別段の承認がない限り、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
iv.子宮頸癌/肛門性器癌
1.全ての子宮頸癌ならびに肛門、陰茎、膣、および外陰の進行性/転移性扁平上皮癌を含む
2.対象は、一般に、治験依頼者による別段の承認がない限り、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
v.尿路上皮癌
1.膀胱、上部尿路、または尿道の組織学的に確認された局所進行性および切除不能または転移性尿路上皮癌
2.対象は、一般に、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
b.RECIST v1.1(下記参照)に従って測定可能な疾患
c.対象は、腫瘍組織またはctDNAの遺伝子プロファイリング、HPV状態、ならびに生殖細胞系列BRCA1およびBRCA2遺伝子状態を含む因子に基づいて、Chk1阻害に対して予測された感受性を有する。全ての対象は、腫瘍組織またはctDNAからの遺伝子プロファイリングを有し、プロファイリングは、Chk1感受性を評価するために必要な場合に前向きに行われるか、またはそうでなければ後ろ向きに行われる
i.HGSOCを有する対象について、文書化された体細胞または生殖細胞系列のBRCA1およびBRCA2野生型状態は、前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格性を付与する。文書化されたBRCA状態が利用可能ではない場合、適格性を決定するために、遺伝子プロファイリングが前向きに行われ得る。
ii.SCLCを有する対象は、この集団の腫瘍抑制遺伝子(例えば、TP53およびRB1)における癌関連の変化の非常に高い有病率に基づいて、前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格である。
iii.STSを有する対象、および遺伝子プロファイリングが前向きに行われる任意の他の対象について、適格性は、以下のカテゴリーの遺伝子において検出された遺伝子異常の治験依頼者の再調査によって決定される:
RB1、TP53などのようなG1細胞周期進行/停止を制御する主要な腫瘍抑制遺伝子。関連する癌について、陽性ヒトパピローマウイルス(HPV)状態も適格性について考慮される。
a.ATM、BRCA1、BRCA2、ミスマッチ修復遺伝子変化、および/または高マイクロサテライト不安定性を含むDNA損傷応答経路。
b.Chk1もしくはATRまたは他の関連遺伝子の機能獲得/増幅のような複製ストレスの遺伝的指標。
c.MYC、CCNE1などのような発癌性ドライバー
iv.肛門性器癌を有する対象について、既知のHPV陽性状態は、前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格性を付与するであろう。HPV状態が不明または陽性でない場合、適格性を決定するために、遺伝子プロファイリング(または適切な場合はHPV試験)が前向きに行われ得る。子宮頸癌または肛門扁平上皮癌を有する対象は、これらの集団におけるHPV陽性の非常に高い有病率に基づいて、前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格である。
【0086】
いくつかの態様では、対象は、上記の組織学的または細胞学的に証明された進行性悪性腫瘍のうちの1つを有し、腫瘍組織またはctDNAは、それらの腫瘍がChk1阻害に対する感受性を付与すると予想される1つ以上の変異を有することを証明する。適格性は、以下のカテゴリーの遺伝子において検出された遺伝子異常の治験依頼者の再調査によって決定することができる。
a.RB1、TP53などのようなG1細胞周期進行/停止を制御する主要な腫瘍抑制遺伝子。関連する癌について、陽性ヒトパピローマウイルス(HPV)状態も適格性について考慮される。
b.ATM、BRCA1、BRCA2、ミスマッチ修復遺伝子変化、および/または高マイクロサテライト不安定性を含むDNA損傷応答経路。
c.Chk1もしくはATRまたは他の関連遺伝子の機能獲得/増幅のような複製ストレスの遺伝子指標。
d.MYC、KRASなどのような発癌性ドライバー。
【0087】
いくつかの態様では、対象は、以下の基準に基づいて除外される:
a.SRA737を受ける前に示された時間枠において以下の以前または現在の抗癌療法を受け、毒性から回復している:
i.2週間以内の放射線療法、化学療法、PARP阻害剤、他の標的化療法、または他のIMP
ii.6週間以内のニトロソウレアまたはマイトマイシンC
iii.任意の時点でのChk1阻害剤での以前の治療または6か月以内のATR阻害剤での以前の治療
b.進行性疾患のための3つ以下の以前の治療レジメン(HGSOC拡張コホートには適用されない)
c.適切に治療された腫瘍を除く、過去2年以内の他の悪性腫瘍
d.治験責任医師の意見において、対象が臨床的に有意な骨髄抑制を経験する可能性が非常に高い場合
e.NCI-CTCAEグレード1を超える以前の治療の継続的な毒性症状
f.ゲムシタビンに対するアレルギー歴
g.新規または進行中の脳転移。8週間にわたって無症候性かつ放射線学的に安定しており、その期間中ステロイドで治療されていない脳転移を有する対象は、治験依頼者からの承認で含まれ得る。
h.非悪性全身性疾患による高い医学的リスク
i.B型肝炎、C型肝炎、またはHIVについて血清学的に陽性
j.治験依頼者によって承認されない限り、深刻な心臓の状態、ベースラインで左心室駆出率<45%、過去6か月以内の心虚血の病歴、または治療を必要とする心不整脈の病歴。
k.過去8週間以内の骨髄の25%超に対する事前の骨髄移植または広範囲の放射線療法
l.ピーナッツアレルギー
m.成人においてQTcF>450ミリ秒および成人女性において>470ミリ秒
n.SRA737の吸収を著しく変化させ得る胃腸(GI)機能の障害またはGI疾患
o.噛んだり砕いたりせずにカプセルを飲み込むことができない
p.別の介入臨床試験の参加者であるか、または参加を計画している
q.治験責任医師の意見では対象を良好な候補としない任意の他の条件
【0088】
投与
本明細書に開示されるように、本発明の方法は、有効量のSRA737の投与を含む。一実施形態では、有効量のSRA737は、単剤療法として投与される。
【0089】
また、本明細書に開示されるように、本発明の方法は、有効量のSRA737を投与し、第2の有効量のさらなる治療を同時投与する併用療法を含む。さらなる治療は、化学療法剤の投与、抗体または抗体断片(免疫チェックポイント阻害剤など)の投与、放射線治療の投与、複製ストレスの外部誘導物質の投与、およびそれらの組み合わせの投与を含むが、これらに限定されない。さらなる治療はまた、ゲムシタビン、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、およびそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを投与することを含むが、これに限定されない。同時投与は、SRA737およびさらなる治療が同時に行われる方法、SRA737およびさらなる治療が連続的に行われる方法、SRA737およびさらなる治療の一方または両方のいずれかが断続的にもしくは継続的に、または同時に、連続的に、断続的に、および/もしくは継続的にの任意の組み合わせで行われる方法を包含する。当業者は、断続的投与が、薬剤の第1の投与および次いでその同じ薬剤の後の時間での別の投与も含むため、断続的投与が、必ずしも連続的投与と同じではないことを認識するであろう。また、当業者は、断続的投与が、第1の薬剤が再び投与される前に異なる薬剤の投与での薬剤の第1の投与の中断を含むため、断続的投与が、いくつかの態様では連続的投与も包含することを理解する。さらに、当業者は、点滴静脈注射または栄養チューブなどを含む多くの経路によって連続投与を達成することができることも知っているであろう。
【0090】
その上、より一般的な方法では、「同時投与される」という用語は、対象へのSRA737の個々の投与およびさらなる治療の個々の投与が任意の時間枠の間で重複するあらゆる全ての方法を包含する。
【0091】
一態様では、対象へのSRA737またはさらなる治療の投与の頻度は、Q1d、Q2d、Q3d、Q4d、Q5d、Q6d、Q7d、Q8d、Q9d、Q10d、Q14d、Q21d、Q28d、Q30d、Q90d、Q120d、Q240d、またはQ365dを含むが、これらに限定されない。「QnDまたはqnd」という用語は、「n」日毎に1回の薬物投与を指す。例えば、QD(またはqd)は、1日毎に1回または1日1回の投与を指し、Q2D(またはq2d)は、2日毎に1回の投与を指し、Q7Dは、7日毎に1回または1週間に1回の投与を指し、Q5Dは、5日毎に1回の投与などを指す。一態様では、SRA737およびさらなる治療は、異なるスケジュールで投与される。
【0092】
別の態様では、対象へのSRA737またはさらなる治療の投与の頻度は、各週5日の投与、続いて2日の非投与;1週間の毎日の投与、続いて1、2、もしくは3週間の非投与;2もしくは3週間の毎日の投与、続いて1もしくは2週間の非投与;1日2回の投与;または週間サイクルの2日目および3日目の投与を含むが、これらに限定されない。一態様では、SRA737およびさらなる治療は、異なるスケジュールで投与される。
【0093】
一態様では、本開示は、SRA737および/またはさらなる治療の一方もしくは両方のいずれか、またはそれらの任意の組み合わせが断続的に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、SRA737またはさらなる治療のいずれか一方、または両方、またはそれらの任意の組み合わせを、少なくとも10分、15分、20分、30分、40分、60分、2時間、3時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間、18時間、24時間、36時間、48時間、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、または4週間の遅延を投与間に伴って対象に投与することを含む方法を提供する。そのような態様では、遅延を伴う投与は、SRA737および/またはさらなる治療の一方、または両方、またはそれらの任意の組み合わせが、約10分~約365日の所与の期間にわたって連続的に投与され、次いで約10分~約30日の所与の期間にわたって投与されないパターンに従う。一態様では、本開示は、SRA737および/またはさらなる治療のいずれか一方または任意の組み合わせが、他方が連続的に与えられる間に、断続的に投与される方法を提供する。
【0094】
一態様では、本開示は、有効量のSRA737の組み合わせが第2の有効量のさらなる治療と連続的に投与される方法を提供する。
【0095】
一態様では、本開示は、SRA737およびさらなる治療が同時に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、有効量のSRA737の組み合わせが第2の有効量のさらなる治療と連続的に投与される方法を提供する。そのような態様では、用語が、対象が組み合わせにおける両方の成分に曝露されるあらゆる全ての方法を含むため、組み合わせは、「同時投与される」とも言われる。しかしながら、そのような態様は、1つの配合物または組成物のみで与えられる組み合わせに限定されない。いくつかの場合では、特定の濃度のSRA737およびさらなる治療は、特定の間隔で送達するのにより有利であり、そのようなものとして、SRA737の有効量およびさらなる治療の第2の有効量は、投与される配合物に応じて変わり得る。
【0096】
いくつかの態様では、本開示は、SRA737およびさらなる治療が同時にまたは連続的に投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737が第2の有効量のさらなる治療の後に続いて投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、第2の有効量のさらなる治療が有効量のSRA737の後に続いて投与される方法を提供する。
【0097】
いくつかの態様では、本開示は、組み合わせが1つの配合物で投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、組み合わせが2つの組成物で投与され、有効量のSRA737が第2の有効量のさらなる治療の配合物とは別の配合物で投与される方法を提供する。
【0098】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737が第2の有効量のさらなる治療の後に続いて投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、第2の有効量のさらなる治療が有効量のSRA737の後に続いて投与される方法を提供する。いくつかの態様では、SRA737およびさらなる治療が投与され、その後、SRA737とさらなる治療との両方が少なくとも24時間にわたって断続的に投与される。いくつかの態様では、SRA737およびさらなる治療は、重複しない1日おきのスケジュールで投与される。いくつかの態様では、さらなる治療は、1日目に投与され、SRA737は、週間スケジュールの2日目および3日目に投与される。
【0099】
いくつかの態様では、本開示は、有効量のSRA737が第2の有効量のさらなる治療の4時間以上後に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、有効量のSRA737が、第2の有効量のさらなる治療の10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、40分以上、60分以上、1時間以上、2時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、24時間以上、2日以上、4日以上、6日以上、8日以上、10日以上、12日以上、14日以上、21日以上、または30日以上後に投与される方法を提供する。一態様では、本開示は、第2の有効量のさらなる治療が、有効量のSRA737の10分以上、15分以上、20分以上、30分以上、40分以上、60分以上、1時間以上、2時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、24時間以上、2日以上、4日以上、6日以上、8日以上、10日以上、12日以上、14日以上、21日以上、または30日以上後に投与される方法を提供する。
【0100】
いくつかの態様では、本開示は、SRA737および/またはさらなる治療のいずれか一方、または両方、またはそれらの任意の組み合わせが、静脈内、皮下、皮膚、経口、筋肉内、および腹腔内からなる群から選択される経路により投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、SRA737および/またはさらなる治療のいずれか一方、または両方、またはそれらの任意の組み合わせが静脈内投与される方法を提供する。いくつかの態様では、本開示は、SRA737および/またはさらなる治療のいずれか一方、または両方、またはそれらの任意の組み合わせが経口投与される方法を提供する。
【0101】
本開示の単位用量形態は、同じまたは異なる物理的形態で、すなわち、カプセルもしくは錠剤を介して経口で、および/または静脈内注入を介して液体などによって投与され得ることが、当業者によって理解される。また、各投与の単位用量形態は、特定の投与経路によって異なり得る。いくつかの様々な剤形が、SRA737およびさらなる治療の一方または両方について存在し得る。異なる医学的状態は、異なる投与経路の根拠となり得るため、本明細書に記載されるSRA737とさらなる治療との組み合わせの同じ成分は、組成および物理的形態が全く同じであり得るが、状態を緩和するために異なる方法で、またおそらく異なる時間に与えられる必要があり得る。例えば、特に嘔吐を伴う、持続性悪心などの状態は、経口剤形の使用を困難にする可能性があり、そのような場合、別の単位用量形態、おそらく以前またはその後に使用される他の剤形と同一のものを、代わりにまたは加えて吸入、口腔内、舌下、または坐剤経路で投与することが必要であり得る。化学的安定性または薬物動態のような様々な因子に問題があり得るため、特定の剤形が、SRA737とさらなる治療とのある特定の組み合わせの要件であり得る。
【0102】
治療有効量および単位用量形態
本開示は、有効量のSRA737が対象に投与される治療方法を提供する。「有効量」または「治療有効量」という用語は、疾患の症状を改善するのに有効な量、例えば、腫瘍の成長を阻害するのに有効な量を指す。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、最大耐用量(MTD)以下、重篤な毒性が発現しない最高用量(HNSTD)以下、または最大無毒性量(NOAEL)以下である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で2000mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で1500mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で1300mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600mg/日超である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600~1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、経口で600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。
【0103】
本発明の特定の実施形態では、有効量のSRA737が、単剤療法として対象に投与される。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、最大耐用量(MTD)以下、重篤な毒性が発現しない最高用量(HNSTD)以下、または最大無毒性量(NOAEL)以下である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で2000mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で1500mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で1300mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600mg/日超である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600~1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、経口で600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、700mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、800mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、900mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1200mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737単剤療法の有効量は、または2000mg/日である。
【0104】
本発明の特定の実施形態では、有効量のSRA737が、併用療法として対象に投与される。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、最大耐用量(MTD)以下、重篤な毒性が発現しない最高用量(HNSTD)以下、または最大無毒性量(NOAEL)以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、SRA737単剤療法の有効量より少ない。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で2000mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で1500mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で1300mg/日未満である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で600mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で少なくとも600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で100~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で600~2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~1500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~1300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300~1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で100mg/日、150mg/日、200mg/日、300mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、経口で300mg/日、400mg/日、500mg/日、600mg/日、700mg/日、800mg/日、900mg/日、1000mg/日、1100mg/日、1200mg/日、1300mg/日、1500mg/日、または2000mg/日である。
【0105】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、400mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、700mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、800mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、900mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1200mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも300mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも400mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも500mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも600mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも700mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも800mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも900mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1000mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1100mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1200mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、300mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、400mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、500mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、600mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、700mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、800mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、900mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1000mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1100mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1200mg/日以下である。
【0106】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、350mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、450mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、550mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、650mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、750mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、850mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、950mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1050mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1150mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1250mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも350mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも450mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも550mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも650mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも750mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも850mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも950mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1050mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1150mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1250mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、350mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、450mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、550mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、650mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、750mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、850mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、950mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1050mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1150mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1250mg/日以下である。
【0107】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、325mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、425mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、525mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、625mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、725mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、825mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、925mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1025mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1125mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1225mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも325mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも425mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも525mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも625mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも725mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも825mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも925mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1025mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1125mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1225mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、325mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、425mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、525mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、625mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、725mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、825mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、925mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1025mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1125mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1225mg/日以下である。
【0108】
いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、375mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、475mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、575mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、675mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、775mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、875mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、975mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1075mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1175mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1275mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも375mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも475mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも575mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも675mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも775mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも875mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも975mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1075mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1175mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、少なくとも1275mg/日である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、375mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、475mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、575mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、675mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、775mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、875mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、975mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1075mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1175mg/日以下である。いくつかの態様では、SRA737併用療法の有効量は、1275mg/日以下である。
【0109】
本発明の特定の実施形態では、有効量のSRA737は、第2の有効量のさらなる治療との併用療法として対象に投与される。いくつかの態様では、第2の有効量は、約0.001mg/kg~約15mg/kgの量である。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、0.001、0.005、0.010、0.020、0.050、0.1、0.2、0.5、1.0、2.0、5.0、10.0、または15.0mg/kgである。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、10~2000mg/m2/日である。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、50~1250mg/m2/日である。いくつかの実施形態では、さらなる治療の第2の有効量は、50mg/m2/日、100mg/m2/日、150mg/m2/日、200mg/m2/日、250mg/m2/日、300mg/m2/日、350mg/m2/日、400mg/m2/日、450mg/m2/日、500mg/m2/日、550mg/m2/日、600mg/m2/日、650mg/m2/日、700mg/m2/日、750mg/m2/日、800mg/m2/日、850mg/m2/日、900mg/m2/日、950mg/m2/日、1000mg/m2/日、1050mg/m2/日、1100mg/m2/日、1150mg/m2/日、1200mg/m2/日、または1250mg/m2/日である。
【0110】
一般に、本技術の化合物は、同様の有用性を提供する薬剤の許容される投与様式のいずれかにより治療有効量で投与されることになる。本技術の化合物、すなわち、活性成分の実際の量は、治療される疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康状態、使用される化合物の効力、投与の経路および形態、ならびに当業者に周知の他の因子などの多数の因子に依存することになる。薬物は、少なくとも1日1回、好ましくは1日1回または2回投与することができる。
【0111】
そのような薬剤の有効量は、最も効果的で便利な投与経路および最も適切な配合と同様に、日常的な実験により容易に決定することができる。様々な配合物および薬物送達システムが当該技術分野で利用可能である。例えば、Gennaro,A.R.,ed.(1995)Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th ed.,Mack Publishing Co.を参照されたい。
【0112】
治療有効用量は、当該技術分野で周知の様々な技法を使用して最初に推定することができる。動物実験で使用される初期用量は、細胞培養アッセイで確立された有効濃度に基づく場合がある。ヒト対象に適した投与量範囲は、例えば、動物実験および細胞培養アッセイから得られたデータを使用して決定することができる。
【0113】
薬剤、例えば、本技術の化合物の有効量または治療有効量または用量は、対象において症状の改善または生存の延長をもたらす薬剤または化合物の量を指す。そのような分子の毒性および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順によって、例えば、最大耐用量(MTD)、重篤な毒性が発現しない最高用量(HNSTD)、最大無毒性量(NOAEL)、またはLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な用量)を決定することによって決定することができる。毒性対治療効果の用量比は、治療指数であり、これは、MTD、HNSTD、NOAEL、またはLD50のED50に対する比として表すことができる。高い治療指数を示す薬剤が好ましい。
【0114】
有効量または治療有効量は、研究者、獣医、医師、または他の臨床医によって求められている、組織、システム、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出すであろう化合物または薬学的組成物の量である。投与量は、毒性をほとんどまたは全く有さないED50を含む循環濃度の範囲内に特に含まれる。投与量は、用いられる剤形および/または利用される投与経路に応じてこの範囲内で変動してもよい。正確な配合、投与経路、投与量、および投与間隔は、対象の状態の詳細を考慮して、当該技術分野で既知の方法に従って選択されるべきである。
【0115】
投与量および間隔は、所望の効果を達成するのに十分な活性部分の血漿レベル、すなわち、最小有効濃度(MEC)を提供するために、個別に調整されてもよい。MECは、各化合物について変動するが、例えば、インビトロデータおよび動物実験から推定することができる。MECを達成するために必要な投与量は、個々の特徴および投与経路に依存するであろう。局所投与または選択的摂取の場合、薬物の有効な局所濃度は、血漿濃度に関連しないことがある。
【0116】
投与される薬剤または組成物の量は、治療される対象の性別、年齢、および体重、罹患の重症度、投与方法、ならびに処方医の判断を含む、様々な因子に依存し得る。
【0117】
治療有効量は、有効量のSRA737および第2の有効量のさらなる治療のいずれか一方または両方と同じであることも、異なることもできる。これは、本開示が、SRA737の有効量もさらなる治療の第2の有効量も、単独で、疾患の症状を改善する量であってはならない場合でも、本明細書に記載される方法が有効であることを提供するためである(例えば、SRA737および/またはさらなる治療の量は、個々の療法として投与される場合、「治療量以下」の量とみなされ得る)。しかしながら、本開示は、治療有効量の組み合わせが提供されなければならないことを提供し、すなわち、組み合わせは、少なくとも疾患の症状の治療に影響を与える。
【0118】
単位用量形態は、当業者によって一般的に理解される用語である。単位用量形態は、特定の使用のために販売される薬学的製剤である。製剤は、ほとんどの場合、薬学的に許容される担体または賦形剤の形態である、活性成分(複数可)および不活性成分を含む。複数の単位用量形態は異なる製剤であることが理解される。したがって、1つの単位用量形態は、例えば、各成分のある特定の比での250mgのSRA737とさらなる治療との組み合わせであってもよく、別の完全に異なる単位用量形態は、例えば、上記の各成分の同じある特定の比での750mgのSRA737とさらなる治療との組み合わせである。よって、単位用量形態によって、SRA737の有効量およびさらなる治療の第2の有効量は、両方とも同じままであってもよい。もちろん、SRA737の有効量またはさらなる治療の第2の有効量のいずれか一方が変化する場合、単位用量形態は異なる。
【0119】
いくつかの態様では、有効量は、SRA737化合物に特有であり、すなわち、さらなる治療の第2の有効量とは異なる。いくつかの態様では、有効量のSRA737は、「治療有効量」に等しい量、または治療効果および/もしくは有益な効果をもたらす量である。いくつかの態様では、SRA737の有効量は、「治療有効量」である。いくつかの態様では、さらなる治療の第2の有効量は、「治療有効量」である。いくつかの態様では、SRA737の有効量およびさらなる治療の第2の有効量の両方は、「治療有効量」ではない。いくつかの態様では、第2の有効量は、さらなる治療に対して特有であり、すなわち、第2の有効量は、異なるさらなる治療について異なる量である。
【0120】
いくつかの態様では、SRA737とさらなる治療との組み合わせは、1つの単位用量形態で配合される。いくつかの態様では、同じ単位用量形態は、少なくとも4時間、6時間、8時間、12時間、24時間、1日、2日、3日、7日、10日、14日、21日、または30日間にわたって投与される。
【0121】
いくつかの態様では、SRA737とさらなる治療との組み合わせは、少なくとも2つの別々に異なる単位用量形態で配合される。いくつかの態様では、第1の有効量は、第1の単位用量形態では第2の単位用量形態とは異なる。いくつかの態様では、有効量のSRA737は、第1の単位用量形態では第2の単位用量形態と同じである。
【0122】
いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2の単位用量形態と同じである。いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2および第3の単位用量形態と同じである。いくつかの態様では、第1の単位用量形態は、第2、第3、および第4の単位用量形態と同じである。
【0123】
本発明の化合物
一態様では、本開示は、化合物SRA737の使用方法を提供する。
【0124】
SRA737
化合物SRA737は、化学名:5-[[4-[[モルホリン-2-イル]メチルアミノ]-5-(トリフルオロメチル)-2-ピリジル]アミノ]ピラジン-2-カルボニトリルによっても特定される。SRA737のエナンチオマーの各々は、本明細書に開示される組成物、方法、およびキットに有用である。
【0125】
SRA737は、参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願第PCT/GB2013/051233号に開示される化合物である。当業者は、SRA737の合成方法を国際特許出願第PCT/GB2013/051233号に見出すであろう。
【0126】
一態様では、SRA737構造は、以下の表に示される通りである。
【表1A】
【0127】
併用療法
別の態様では、本開示は、さらなる治療との併用療法における化合物SRA737の使用方法を提供する。
【0128】
さらなる治療は、化学療法剤の投与、抗体または抗体断片(免疫チェックポイント阻害剤など)の投与、放射線治療の投与、複製ストレスの外部誘導物質の投与、およびそれらの組み合わせの投与を含むが、これらに限定されない。
【0129】
「化学療法」という用語は、癌の治療または予防のための、従来または非従来型の化学療法剤を含む、任意の遺伝毒性剤(例えば、DNA損傷剤)の投与を指す。化学療法剤は、改変された(例えば、抗体または他の標的剤に融合された)薬剤を含む。化学療法剤の例は、白金化合物(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ナイトロジェンマスタード、チオテパ、メルファラン、ブスルファン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テモゾロミド、ダカルバジン、ベンダムスチン、マイトマイシンC)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、イダルビシン、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン、ダクチノマイシン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、およびドセタキセル)、代謝拮抗剤(例えば、5-フルオロウラシル、シタラビン、プレメトレキセド、チオグアニン、フロクスウリジン、カペシタビン、およびメトトレキサート)、ヌクレオシド類似体(例えば、フルダラビン、クロファラビン、クラドリビン、ペントスタチン、ネララビン、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポテカン、イリノテカン、SN-38、CPT-11)、低メチル化剤(例えば、アザシチジンおよびデシタビン)、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド)、DNA合成阻害剤(例えば、ヒドロキシ尿素)、およびビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、およびビンブラスチン)を含むが、これらに限定されない。化学療法剤は、DNA挿入剤(例えば、ピロロベンゾジアゼピン)を含む。
【0130】
「複製ストレスの外部誘導物質」という用語は、停止した複製フォークの増加、ゲノム不安定性の増加、変異および/もしくは変異率の増加、DNA損傷修復経路の活性化、DNA損傷応答(DDR)の活性化、複製ストレス遺伝子(複数可)の発現の活性化もしくは増加、またはそれらの組み合わせを引き起こす任意の薬剤を指す。複製ストレスの誘導物質の例は、遺伝毒性化学療法剤(例えば、ゲムシタビンおよび他のヌクレオシド類似体、テモゾロミド、シスプラチン、マイトマイシンCなどのようなアルキル化剤、カンプトテシンおよびエトポシドのようなトポイソメラーゼ阻害剤など)を含むが、これらに限定されない。細胞ストレスの外部誘導物質は、細胞におけるヌクレオチドの濃度を低減する薬剤(例えば、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤など)を含む。細胞ストレスの外部誘導物質は、薬剤を含み、またPARP阻害剤を含む。
【0131】
「DNA損傷修復(DDR)遺伝子」または「DNA損傷修復経路遺伝子」という用語は、DNA変異、破壊、または他のDNA損傷もしくは構造変化の修復を直接的または間接的に促進する任意の遺伝子を指す。DNA損傷修復遺伝子には、以下の遺伝子:ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2、MRE11A、ATR、およびRad50が含まれるが、これらに限定されない。DDR遺伝子には、ファンコニ貧血(FA)経路における遺伝子も含まれる。FA経路における遺伝子には、ファンコニ貧血相補群(FANC)遺伝子が含まれるが、これに限定されない。
【0132】
「免疫チェックポイント阻害剤」という用語は、免疫抑制タンパク質を阻害する1つ以上の免疫チェックポイント分子または薬物に結合し、その活性を遮断または阻害する結合分子を指す。例示的な免疫チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、TIM3、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、およびIDO1のうちの1つ以上を標的とする、抗体、またはその抗原結合断片を含む。
【0133】
「PARP阻害剤」または「PARPi」という用語は、PARPの阻害剤を指す。PARPiは、小分子、抗体、または核酸であり得る。PARPiは、細胞におけるPARPの発現もしくはPARPの活性、またはそれらの組み合わせを低減するように機能し得る。PARPiは、PARPのDNAへの結合を変更するか、または変更しない阻害剤を含む。PARPiは、PARPファミリーの任意のメンバーを阻害し得る。PARPiには、オラパリブ、ルカパリブ、ベリパリブ、ニラパリブ、イニパリブ、タラゾパリブ、ベリパリブ、フルゾパリブ、BGB-290、CEP-9722、BSI-201、EZ449、PF-01367338、AZD2281、INO-1001、MK-4827、SC10914、および3-アミノベンズアミンが含まれるが、これらに限定されない。
【0134】
特定の態様では、さらなる治療は、ゲムシタビン、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、およびそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを投与することを含むが、これに限定されない。
【0135】
本発明の薬学的組成物
腫瘍の成長を阻害するための方法、癌の進行を阻害するための方法、または癌を治療するための方法が本明細書に記載される。本発明の当該方法は、有効量のSRA737および第2の有効量のさらなる治療を投与することを含む。SRA737およびさらなる治療は、各々、薬学的組成物に配合することができる。これらの薬学的組成物は、活性化合物(複数可)に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、または当業者に周知の他の材料を含み得る。そのような材料は、非毒性であるべきであり、活性成分の有効性に干渉するべきではない。担体または他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚または皮下、鼻腔内、筋肉内、腹腔内経路に依存し得る。
【0136】
経口投与用の薬学的組成物は、錠剤、カプセル、粉末、または液体形態であり得る。錠剤は、ゼラチンなどの固体担体を含むことができる。液体薬学的組成物は、一般に、石油、動物、植物、または合成起源の油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などを含む、水または油のような液体担体を含む。生理食塩水、デキストロースもしくは他の糖類溶液、またはグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコールを含めることができる。
【0137】
静脈内、皮膚、もしくは皮下注射、または罹患部位での注射について、活性成分は、パイロジェンフリーであり、適切なpH、等張性、および安定性を有する非経口的に許容される水性溶液の形態であろう。当業者は、例えば、塩化ナトリウム注射、リンゲル注射、乳酸リンゲル注射などの等張性ビヒクルを使用して適切な溶液を調製することが十分にできる。必要に応じて、防腐剤、安定剤、緩衝剤、酸化防止剤、および/または他の添加物を含めることができる。
【0138】
組成物は、単独または他の治療と組み合わせて、治療される状態に応じて同時または連続的のいずれかで投与することができる。
【0139】
本技術は、様々であり得るので、任意の特定の組成物または薬学的担体に限定されない。一般に、本技術の化合物は、以下の経路:経口、全身(例えば、経皮、鼻腔内、または坐剤)、または非経口(例えば、筋肉内、静脈内、または皮下)投与のうちのいずれか1つにより薬学的組成物として投与されることになる。好ましい投与方法は、罹患の程度に応じて調整することができる便利な1日投与レジメンを使用する経口である。組成物は、錠剤、丸剤、カプセル、半固体、粉末、徐放性配合物、溶液、懸濁液、エリキシル、エアロゾル、または他の適切な組成物の形態をとることができる。本技術の化合物を投与するための別の好ましい方法は、吸入である。
【0140】
配合物の選択は、薬物投与の様式および原薬の生物学的利用能などの様々な因子に依存する。吸入による送達のために、化合物は、液体溶液、懸濁液、エアロゾル噴射剤、または乾燥粉末として配合し、投与に適したディスペンサーに装填することができる。いくつかのタイプの薬剤吸入装置、ネブライザー吸入器、定量吸入器(MDI)、および乾燥粉末吸入器(DPI)がある。ネブライザー装置は、治療剤(液体形態で配合される)を対象の気道に運搬されるミストとして噴霧させる高速気流を生成する。MDIは、典型的には、圧縮ガスとパッケージされた配合物である。作動時、装置は、測定された量の治療剤を圧縮ガスによって放出し、よって設定された量の薬剤を投与する信頼できる方法を提供する。DPIは、装置によって呼吸中に対象の吸気流に分散させることができる流動性粉末の形態で治療剤を分配する。流動性粉末を達成するために、治療剤は、ラクトースなどの賦形剤と配合される。測定された量の治療剤は、カプセル形態で貯蔵され、各作動で分配される。
【0141】
本技術の化合物の薬学的剤形は、例えば、従来の混合、ふるい分け、溶解、融解、造粒、糖衣錠作製、打錠、懸濁、押出、噴霧乾燥、水簸、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入、または凍結乾燥プロセスなど、当該技術分野で周知の方法のいずれかによって製造され得る。上記のように、本技術の組成物は、活性分子の薬学的使用のための調製物への加工を促進する1つ以上の生理学的に許容される不活性成分を含むことができる。
【0142】
最近、表面積を増加させる、すなわち、粒子サイズを減少させることにより生物学的利用能を増加させることができるという原理に基づいて、特に低い生物学的利用能を示す薬物のための薬学的配合物が開発された。例えば、米国特許第4,107,288号は、活性材料が高分子の架橋マトリックス上に支持される10~1,000nmのサイズ範囲の粒子を有する薬学的配合物について記載する。米国特許第5,145,684号は、原薬が表面改質剤の存在下でナノ粒子(400nmの平均粒径)に粉砕され、次いで液体媒体に分散されて著しく高い生物学的利用能を示す薬学的配合物をもたらす、薬学的配合物の製造について記載する。
【0143】
組成物は、一般に、少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と組み合わされた本技術の化合物で構成される。許容される賦形剤は、非毒性であり、投与を補助し、特許請求される化合物の治療上の利益に悪影響を及ぼさない。そのような賦形剤は、任意の固体、液体、半固体、またはエアロゾル組成物の場合、一般に当業者に利用可能なガス状賦形剤であり得る。
【0144】
固体薬学的賦形剤には、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、脱脂粉乳などが含まれる。液体および半固体賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、および石油、動物、植物、または合成由来の油を含む、様々な油、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などから選択され得る。特に注射可能な溶液について、好ましい液体担体には、水、生理食塩水、水性デキストロース、およびグリコールが含まれる。
【0145】
本技術の化合物をエアロゾル形態で分散させるために、圧縮ガスが使用され得る。この目的に適した不活性ガスは、窒素、二酸化炭素などである。他の適切な薬学的賦形剤およびそれらの配合物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,edited by E.W.Martin(Mack Publishing Company,18th ed.,1990)に記載されている。
【0146】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、薬学的に許容される塩を含む。「薬学的に許容される塩」という用語は、例としてのみ、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、およびテトラアルキルアンモニウムを含む、当該技術分野で周知の様々な有機および無機対イオンに由来する塩、ならびに分子が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、およびシュウ酸塩などの有機または無機酸の塩を指す。適切な塩は、Stahl and Wermuth(Eds.),Handbook of Pharmaceutical Salts Properties,Selection,and Use;2002に記載されるものを含む。
【0147】
本組成物は、所望に応じて、活性成分を含有する1つ以上の単位剤形を含有するパックまたはディスペンサー装置で提供され得る。そのようなパックまたは装置は、例えば、ブリスターパックなどの金属もしくはプラスチック箔、またはガラス、およびバイアルなどのゴム栓を含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与のための説明書が添付されていてもよい。適合性の薬学的担体中で配合された本技術の化合物を含む組成物はまた、調製され、適切な容器に入れられ、指示された状態の治療についてラベル表示され得る。
【0148】
配合物中の化合物の量は、当業者によって使用される全範囲内で変動し得る。典型的には、配合物は、重量パーセント(重量%)ベースで、配合物全体に基づいて約0.01~99.99重量%の本技術の化合物を含有し、残部は、1つ以上の適切な薬学的賦形剤である。好ましくは、化合物は、約1~80重量%のレベルで存在する。代表的な薬学的配合物を以下に記載する。
配合物例
【0149】
以下は、SRA737およびさらなる治療を単独または組み合わせのいずれかで含有する代表的な薬学的配合物である。
【0150】
組成物は、単独または他の治療と組み合わせて、治療される状態に応じて同時または連続的のいずれかで投与することができる。
【0151】
キット
本開示はまた、SRA737とさらなる治療との組み合わせおよび使用説明書を含むキットを提供する。本開示は、薬学的組成物(複数可)がSRA737およびさらなる治療を含む1つ以上の薬学的組成物、ならびに使用説明書を含むキットをさらに提供し、任意に、この組み合わせは、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
【0152】
キットの個々の成分は、別々の容器にパッケージし、そのような容器と関連付けることができ、薬剤または生物学的製品の製造、使用、または販売を規制する政府機関によって規定される形態の通知であり得、この通知は、製造、使用、または販売の機関による承認を反映する。キットは、抗原結合構築物の使用方法または投与レジメンを概説する説明書または指示書を任意に含有し得る。
【0153】
いくつかの態様では、本開示は、SRA737とさらなる治療との組み合わせおよび少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含むキットを提供する。
【0154】
キットの1つ以上の成分が溶液、例えば、水性溶液、または無菌水性溶液として提供される場合、容器手段はそれ自体が、溶液がそれから対象に投与されるか、またはキットの他の成分に適用および混合され得る、吸入器、シリンジ、ピペット、点眼器、または他のそのような同様の装置であり得る。
【0155】
キットの成分はまた、乾燥または凍結乾燥形態で提供され得、キットは、凍結乾燥成分の再構成に適した溶媒をさらに含有することができる。容器の数またはタイプに関係なく、本明細書に記載されるキットは、患者への組成物の投与を補助するための器具も含み得る。そのような器具は、吸入器、鼻内噴霧装置、シリンジ、ピペット、鉗子、計量スプーン、点眼器、または同様の医学的に承認された送達ビヒクルであり得る。
【0156】
本明細書に記載される別の態様では、本明細書に記載される障害の治療、予防、および/または診断、例えば、腫瘍成長の阻害に有用な材料を含有する製造物品が提供される。製造物品は、容器および容器上のまたはそれと関連したラベルまたは添付文書を含む。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、静脈内溶液バッグなどが含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器(複数可)は、単独であるか、または障害の治療、予防、および/もしくは診断に有効な別の組成物と組み合わされた組成物を保持し、無菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能な栓を有する静脈内溶液バッグまたはバイアルであり得る)。
【0157】
本明細書に記載されるこの実施形態における製造物品は、特定の状態を治療するために組成物を使用することができることを示すラベルまたは添付文書をさらに含み得る。あるいは、または加えて、製造物品は、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル溶液、およびデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝剤を含む第2(または第3)の容器をさらに含み得る。他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、およびシリンジを含む、商業的およびユーザー観点から所望の他の材料をさらに含み得る。
【0158】
ポリペプチドおよび核酸
本明細書に記載されるものは、本発明に有用な遺伝子、例えば、CHK1の遺伝子のポリペプチドおよび核酸配列である。いくつかの実施形態では、本発明に有用なポリペプチドおよび核酸配列は、本明細書において記載されるか、または本明細書においてデータベース受託番号により言及される配列と少なくとも95、96、97、98、または99%同一である。いくつかの実施形態では、本発明に有用なポリペプチドおよび核酸配列は、本明細書において記載されるか、または本明細書においてデータベース受託番号により言及される配列と100%同一である。
【0159】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈における「同一性パーセント」という用語は、以下に記載される配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTNまたは当業者に利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを使用して、または目視検査によって測定して、最大対応について比較および整列される場合、同じであるヌクレオチドまたはアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。用途に応じて、「同一性」パーセントは、比較される配列の領域にわたって、例えば、機能的ドメインにわたって存在するか、あるいは、比較される2つの配列の全長にわたって存在することができる。配列比較について、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列がコンピュータに入力され、必要に応じて、部分配列座標が指定され、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。次に、配列比較アルゴリズムは、指定されるプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列(複数可)の配列同一性パーセントを計算する。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所的相同性アルゴリズムにより、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムにより、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法により、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.)のコンピュータ化実装により、または目視検査(一般的には、Ausubel et al.、下記を参照)により行うことができる。配列同一性および配列類似性パーセントを決定するのに適したアルゴリズムの一例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載される、BLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、国立生物工学情報センター(www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって公開されている。
【実施例0160】
以下は、本発明を実施するための特定の実施形態の例である。例は、例示目的のみで提供されており、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされたが、もちろん、いくらかの実験誤差および偏差は許容されるべきである。
【0161】
本発明の実施は、特に指示されない限り、当該技術分野の範囲内のタンパク質化学、生化学、組換えDNA技法、および薬理学の従来の方法を使用するであろう。そのような技法は、文献において完全に説明されている。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.,current addition)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3
rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
【表1B】
【0162】
実施例1:非臨床薬理学の要約
SRA737は、以前に、例えば、それが教示する全てについて参照によって本明細書に組み込まれる、Walton et al.(Oncotarget.2016 Jan 19;7(3):2329-2342)においてより詳細に記載されるように、他のキナーゼに対する限定されたオフターゲット活性を有するChk1の強力かつ選択的な阻害剤であることが見出された。インビトロで、SRA737は、遺伝毒性化学療法誘導性Chk1自己リン酸化を強力に阻害し、下流シグナル伝達を防止した(データは示されていない)。このChk1阻害は、遺伝毒性誘導性チェックポイント停止の予想される用量依存的阻害ならびに遺伝毒性化学療法剤および標的化薬剤の細胞毒性のSRA737用量依存的増強をもたらした。
【0163】
遺伝毒性化学療法および標的化薬剤との組み合わせにおける、ならびに単剤療法としての、SRA737の活性を評価するために、インビボ有効性試験のプログラムを行った。
【0164】
標準用量のゲムシタビンとの組み合わせにおけるSRA737の有意な用量依存的抗腫瘍活性が、HT29ヒト結腸癌、SJSA-1ヒト骨肉腫、SW620マウス結腸癌、Calu6ヒト(NSCLC)、KPC-1膵臓、および患者由来膀胱癌を含む複数の癌異種移植片モデルにおいて確認された(データは示されていない)。相乗効果も、HT29、OVCAR3、およびSJSA-1 CDXモデルにおいて、ならびにTNBCのPDXモデルにおいて低用量ゲムシタビンと、Calu6モデルにおいてゲムシタビンおよびカルボプラチンと、ならびにHT29モデルにおいてイリノテカンと観察された(データは示されていない)。有意な抗腫瘍活性は、PD1/PD-L1阻害剤との組み合わせにおいて、3つの同系マウスモデル(mTmG、MC38、およびPan02)でも観察された(データは示されていない)。単一薬剤として提示されたSRA737の有意な抗腫瘍活性は、TP53変異を伴うCCNE1増幅を有するいくつかのHGSOC PDXモデルで観察された(データは示されていない)。これらのモデルのうちの1つは、MYCN増幅も有した。PARPiへの部分抵抗性を有する第4のHGSOC PDXモデルはまた、高用量SRA737単剤療法に感受性であった。SRA737はまた、HGSOCのOVCAR3モデル、B細胞リンパ腫のEμ-Mycモデルにおいて、AMLのMOLM-13モデルにおいて、神経芽腫のTH-MYCモデルにおいて、TNBCのMDA-MB-231モデル、ならびに腎癌および肺癌の2つの同系モデル(それぞれ、RencaおよびLL/2)において、単一薬剤有効性を示した(データは示されていない)。
【0165】
ゲムシタビン誘導性CHK1 S296自己リン酸化に対するSRA737の効果は、それが教示する全てについて参照によって本明細書に組み込まれる、Walton et
al.(Oncotarget.2016 Jan 19;7(3):2329-2342)に記載されるように評価した。簡潔には、HT29腫瘍異種移植片を有するマウスに、(i)ビヒクル対照または(ii)ゲムシタビン(生理食塩水中100mg/kg、IV)または(iii)SRA737がゲムシタビン投与の24時間後に投与されるSRA737(DTPW中12.5、25、50、または100mg/kg、経口)とゲムシタビン(100mg/kg)との組み合わせを投与した(n=治療毎に時点あたり3)。pS296 Chk1の阻害は、12.5mg/kg以上のSRA737用量で観察され(
図1)、これは24時間で約100nM(実際値78±27nM、約40ng/mL)の最小(合計)血漿濃度に対応した(
図2および表2)。腫瘍における曝露は、血漿よりも10倍超高かった。この24時間時点での循環血漿濃度は、94%のマウスにおける血漿タンパク質結合に基づいて、約6nM(2ng/mL)の遊離薬物濃度に対応した。
【0166】
PK/PDデータは、有効濃度を超えて維持されたSRA737(例えば、24時間で100nMの血漿濃度を超えるSRA737)の比較的低い血漿濃度が、マウスにおいて有意な抗腫瘍活性を誘導したことを示し、臨床環境における適用のためのPK/PDベンチマークを提供する。
【表2】
【0167】
実施例2:薬物動態試験の要約
SRA737の吸収(IVおよび経口投与後のインビトロ透過性アッセイおよびインビボPK)、分布(インビボ組織分布およびインビトロ血漿タンパク質結合)、および代謝(インビトロ肝細胞およびCYP阻害および誘導試験)のような、SRA737のPK特性を評価するためにいくつかの試験が行われている。
【0168】
SRA737のPKは、経口およびIV投与後にマウス、ラット、イヌ、およびサルにおいて決定されている(表3)。特にマウス(105%)およびサル(90-104%)において、非常に好ましい絶対経口バイオアベイラビリティ(F%)が確認され、インビトロモデルにおいて確認された中程度の代謝および好ましい透過性と一致した。許容される終末消失t
1/2も各種において観察された。加えて、SRA737臨床製剤カプセル提示のPKに対する食事の状態の効果をイヌにおいて評価した。経口バイオアベイラビリティに対する食事の状態の有意な効果はなかった(エラー!参照元が見つからない.4)。1および10μMでのSRA737の血漿タンパク質結合を、マウス、ミニブタ、サル、およびヒト血漿において超遠心分離を使用して、イヌ血漿(10μM)において急速平衡透析を使用して調査した。中程度の血漿タンパク質結合がヒト(約87%)および非齧歯類毒性学種(ミニブタおよびサルでは、それぞれ、約80%および87%)において観察されたのに対し、高血漿タンパク質結合(約94%)がマウスにおいて観察された(表5)。
【表3】
【表4】
【表5】
【0169】
SRA737の膜透過性は、並行人工膜透過性アッセイ(PAMPA)およびCaco-2アッセイにおいて評価した。PAMPAアッセイにおける透過性は低いと分類された。10μMでのCaco-2アッセイにおける透過性は、0.8の流出比(A>B/B>A)で20.7±9.1x10-6cm/sであり、これは、SRA737が比較的高い受動的透過性および低い流出潜在性を有することを示した。
【0170】
SRA737関連代謝物の形成は、SRA737と10μMの見かけ濃度で最大4時間のインキュベーション後、ヒト、マウス、ラット、イヌ、ミニブタ、およびサル試料からの凍結保存肝細胞において決定した。種の安定性が最も高いものから最も低いものへのランク順序は、ラット
【数1】
【数2】
であった。ヒト肝細胞調製では、それぞれ、ラットおよびミニブタ調製における75%および7%と比較して、4時間のインキュベーション後に親の約67%が残った。8つのヒトSRA737代謝物が観察された。ヒト肝細胞によって形成された全てのSRA737代謝産物は、サル肝細胞によっても形成された。6つの代謝物がサルにおいて同等またはそれ以上の存在量で存在した。ヒト特異的な代謝物は観察されなかったが、ヒト代謝物のうちの2つは、同等またはそれ以上の存在量で任意の他の種では形成されなかった。
【0171】
SRA737の排出は、SRA737が5mg/kgIVまたは10mg/kg経口投与されたマウスおよびラットにおいて試験されている。尿および糞は、投与後24時間にわたって収集した。マウスでは、インタクトなSRA737の腎排出は、経口およびIV投与両方の後で一貫して低かった(用量の10%未満)。SRA737のIV投与後、用量の8%未満がインタクトな薬物として糞で回収されたが、経口投与後、この数値は3%未満であった。インタクトなSRA737の排出は、ラットにおいてマウスよりも低く、用量の1%未満が24時間かけて腎排出され、用量の1.5%未満が24時間かけて糞に排出された。
【0172】
調査された最高濃度(IC50>10-50μM)のSRA737では、主要なCYP酵素(1A2、2A6、2C9、2C19、2D6、および3A4)の有意な阻害は観察されず、化合物が有意な代謝薬物-薬物相互作用を媒介する可能性は低いことを示した。CYP1A2の最小限の濃度依存的誘導(<10%陽性対照、オメプラゾール)がインビボで観察され、いくつかの場合ではSRA737が、CYP1A2によって主に代謝される併用投与薬物の代謝に最小限の影響を与えたことを示した。
【0173】
まとめると、前臨床種において観察された透過性、代謝安定性、および実証可能な経口バイオアベイラビリティは、ヒトにおける好ましい経口吸収を示す。
【0174】
実施例3:毒性学所見の要約
SRA737の毒性は、マウス、ミニブタ、およびサルにおけるGood Laboratory Practice(GLP)28日繰り返し経口用量試験、ならびにマウスにおけるゲムシタビンおよびシスプラチンでの3サイクル併用試験において評価した。
【0175】
単剤療法として投与されるSRA737についての毒性動態データは、エラー!参照元が見つからない.6に要約される。マウス、ミニブタ、およびサルにおける主試験で観察された毒性学的所見のパターンは、SRA737の作用メカニズムと広く類似しており、一貫していたが、マウスは、毒性学的に最も感受性の低い種であるとみなされた。サルにおける試験からのデータは、マウスおよびミニブタのデータから予測されるよりも、ヒトにおいてより高い暴露が許容される可能性が高いことを示す。血漿タンパク質結合、肝細胞における安定性、および他のADMETデータについてのサルおよびヒトのデータ間の類似性に基づいて、サルは、潜在的なヒト毒性の決定に最も適した非臨床モデルとして確認されている。
【0176】
用量依存的な毒性学的所見は、増加した髄質および髄外造血を伴う様々に減少した赤血球および白血球パラメータを含む、骨髄毒性に関連し、胸腺を含むリンパ器官の萎縮が、マウスおよびミニブタの主試験において確認された。これらの所見は、薬物投与の中止で可逆的であった。GI管における毒性学的所見は、ミニブタにおいて、ならびに初期のマウスおよびサル試験においても観察され、生殖器官、特に精巣における変化は、ミニブタおよびマウスにおいても観察されたが、サルでは観察されなかった。これらの後者の変化は、マウスでは可逆的ではなかったが、成人癌患者に対する性的に未熟な動物におけるこれらの所見の関連性は限定的とみなされる。
【0177】
MTDは、マウスにおいて75mg/kg/日(225mg/m2/日)であり、HNSTDは、ミニブタにおいて10mg/kg/日(350mg/m2/日)であった。主サル毒性試験では毒性学的所見の不在が確認され、よって20mg/kg/日(240mg/m2/日)のNOAELが試験された最高用量であった。
【0178】
マウスにおける3剤併用試験(18日かけて断続的なスケジュールでIVゲムシタビンおよびシスプラチンと組み合わせて投与されるSRA737)からの所見は、この種における単剤毒性試験において確認されるものを反映したが、高用量3剤併用群では可逆的な腸上皮変性も確認された。可逆的な骨髄毒性、結果としての脾腫、および高用量での腸で観察されたもののみが、シスプラチン/ゲムシタビン対照群単独の投与後に観察されたものよりもSRA737の投与によって悪化したとみなされた。いくつかの場合におけるSRA737とゲムシタビンとの臨床的組み合わせは、したがって、悪化した血液学的およびGI毒性を誘導した。
【表6】
【0179】
実施例4:SRA737単剤療法における最大耐用量および血漿濃度を確立する第1相臨床試験
安全性、忍容性、および薬物動態を確立するために、第1相臨床試験を「全ての参加者」において行い、すなわち、遺伝子選択を行わなかった(「用量漸増フェーズ」)。最初は単一の対象からなるコホートは、コホート1において28日サイクルで連続した毎日の投与スケジュールで経口投与される20mg/日で開始して、漸増する用量のSRA737を受けた。最大耐用量(MTD)が特定されるまで用量を漸増した。
【0180】
用量漸増フェーズでは、18人の対象が、20~1300mgQDの9つの用量レベルコホートにおいてSRA737を受け、治療期間の中央値は62.5日(範囲1~226)であった。最大1000mgのSRA737の用量レベルのコホートは、いかなる用量制限毒性(DLT)もなしで完了した。3人の対象のうちの2人は、1日1回1300mgの用量でDLTを経験し、各々、GI不耐性のために計画されたSRA737用量の75%を受けることができず、個々のGI効果は低グレードであった。したがって、1300mgは1日1回の投与レジメンで最大耐用量を超えた。SRA737の半減期が約10時間であることを前提として、1日2回500mgを受けるコホートを追加して、1日2回の投与スケジュールがGI忍容性を改善することができるか決定した。6人の対象のうちの1人が1日2回500mgのコホートにおいてDLTを経験し、これは、グレード3好中球減少症および貧血を伴うグレード4血小板減少症のために、計画されたSRA737用量の75%を受けることができなかった。全体的な忍容性およびGI事象(悪心、嘔吐、および下痢)に基づいて、対象は、1日1回800mgの用量レベルでも登録され、全体的に1000mgよりも忍容性が良好であった(対象は、より少ない用量低減必要とし、より少ない重篤(G3/4)AEおよび有意により疲労が少ないAEを経験した)。最大耐用量(MTD)は、1000mgQDまたは500mgBIDで確立された。
【0181】
単剤療法コホートの薬物動態パラメータをモニターし、表7に要約する。1000mgQDでのC
maxおよびAUC
0-24は、それぞれ2391ng/mLおよび26795ng・h/mLであった。C
minは、1000mgQD(411ng/mL)で計算され、前臨床モデルにおいて有効であると決定された値を超えた。用量≧300mgQDも有効である前臨床モデルを超えた。
【表7】
【0182】
実施例5:SRA737併用療法における最大耐用量および血漿濃度を確立する第1相臨床試験
ゲムシタビンと組み合わせて投与されるSRA737についての安全性、忍容性、および薬物動態を確立するために、第1相臨床試験を「全ての参加者」において行い、すなわち、遺伝子選択を行わなかった(「用量漸増フェーズ」)。最初は単一の対象からなるコホートは、コホート1において各28日サイクルの2、3、9、10、16、および17日目に経口投与される40mg/日で開始して、漸増する用量のSRA737を受けた。コホートはまた、コホート1において各28日サイクルの1、8、および15日目に30分かけてIV投与される300mg/m2/日で開始して、様々な用量のゲムシタビンを受けた。
【0183】
図3は、試験されたコホートの投与量の要約を表す。用量漸増フェーズでは、合計55人の対象がSRA737を13の用量漸増コホートにおいて40~600mgのSRA737の用量で、50~300mg/m
2のLDG用量と組み合わせて受けた。プロトコルで定義された用量制限毒性(DLT)は観察されていない。
【0184】
単剤療法コホートの薬物動態パラメータをモニターし、表8に要約する。SRA737の薬物動態プロファイルは、150mgのSRA737で3550ng・h/mLおよび548ng/mLのAUC
0-24およびC
maxを明らかにした。この用量で、C
min(52ng/mL)は、前臨床モデルにおいて有効であると決定された値を超えた。
【表8】
【0185】
追加のコホートは、最大耐用量(MTD)が特定されるまで、ゲムシタビンとの併用投与を最適化するために、SRA737の用量を漸増しながらモニターされる。少なくとも1つの用量のSRA737を受け、少なくとも1つの評価可能なPK濃度を提供するか、または各特定のPDn評価について評価可能なデータを有する全ての登録された対象は、それぞれ、PKおよびPDnについて評価可能である。重篤有害事象(SAE)は、インフォームドコンセントの日付で開始して収集される。放射線学的評価は、第1の用量のSRA737(またはPKについてSRA737用量が省略される場合はゲムシタビン)から4週間以内に行われ、ステージ1において6週間毎に繰り返される。ステージ2では、評価は、8週間毎に、および長期フォローアップにおいて16週間毎に行われる。臨床的に示される場合、評価はより頻繁に行われる。心臓評価(心エコー図[ECHO]および心電図[ECG])が行われる。いくつかの場合における任意の三重複腫瘍生検は、第1のSRA737用量を受ける前の28日以内に収集される。SRA737の第1の用量(またはPKのSRA737用量が省略される場合はゲムシタビン)の7日以内に、以下の評価:完全身体検査、臨床疾患評価、SAEおよび併用薬、WHOパフォーマンスステータス、ならびに(血液学、生化学、および妊娠検査のための)血液の実験室評価を完了する。-7日目~-4日目訪問での単一用量PK実施時に、併用薬、バイタルサイン(体温、血圧、および脈拍を含む)、身長、体重、体表面積(BSA)、およびWHOパフォーマンスステータスが収集される。血液試料は、血液学、生化学、妊娠検査、トロポニンIまたはT、および腫瘍マーカーおよび腫瘍プロファイリングのために投与前に得られる。有害事象(AE)は、SRA737の投与で開始して収集される。アーカイブ組織は、腫瘍プロファイリングに提出される。PK試料は、-7日目~-4日目(PKのSRA737の第1の用量)の48時間にわたる最大10時点で収集される。SRA737の単一用量PKを評価するのに十分なデータが収集および分析されると、治験依頼者は、いくつかの場合において、-7日目~-4日目訪問の変更または除去を含む、PKサンプリングの要件を低減する。投与は、規則的な間隔で行われる以下の手順で1日目に開始する:
・有害事象および併用薬:継続的に
・症状に応じた身体検査(医学的に指示される場合):各サイクルの1日目
・放射線学的疾患評価:ステージ1では1日目後に6週間毎、およびステージ2では1日目後に8週間毎
・臨床疾患評価:ステージ1では1日目後に6週間毎、およびステージ2では1日目後に4週間毎
・腫瘍マーカー(血清または尿)(該当する場合):ステージ1ではサイクル1の1日目から6週間毎、およびステージ2ではサイクル1の1日目から4週間毎
・WHOパフォーマンスステータスおよび体重/BSA:各サイクルの1日目
・バイタルサイン:ステージ1の1日目および8日目、ならびにステージ2の1日目、8日目、および15日目
・(血液学、生化学、トロポニンIまたはTのための)血液および(尿検査のための)尿の局所実験室評価-詳細なスケジュールについてはセクション7.2.2を参照されたい
・ECHO:サイクル2の1日目
・ECG:サイクル1および2の1日目、次いで各第3の後続サイクルで1日目の投与前、および対象内用量漸増を伴う任意のサイクルの1日目
・PKの薬物動態試料は、サイクル1における以下の時点:1日目の投与前、10日目の投与前、10日目の投与後の最大6時点で採取される。ステージ2のみについて、追加の試料は、8日目の投与前および15日目の投与前に採取される。対象日記カードのコンプライアンス再調査。
【0186】
実施例6:Chk1感受性を付与する遺伝子変化を伴う選択腫瘍におけるSRA737単剤療法の有効性を確認する第1/2相臨床試験
ヒトにおける臨床試験は、腫瘍をChk1阻害に対して感作させると予想されるゲノム変化の高い有病率を有することが知られる腫瘍タイプを有する、前向きに選択された遺伝的に定義された対象について、本明細書に開示されるSRA737単剤療法の治療方法および患者選択戦略の有効性を確認するために行われる(「コホート拡張フェーズ」)。コホート拡張フェーズは、各々約20人の前向きに選択された遺伝的に定義された対象を有する6つの適応症特異的拡張コホートからなる。コホートは、以前に治療された転移性結腸直腸癌[CRC]、CCNE1遺伝子増幅を伴わない高悪性度漿液性卵巣癌[HGSOC]、CCNE1遺伝子増幅を伴うHGSOC(または類似の機能的効果を有する代替の遺伝子変化)、転移性去勢抵抗性前立腺癌[mCRPC]、進行性非小細胞肺癌[NSCLC]、および頭頸部扁平上皮癌[HNSCC]、または肛門扁平上皮癌[SCCA]を有する対象である。対象には、実施例4において確立された投与レジメンに従って、最初にSRA737が投与される。投与レジメンは、いくつかの場合では、試験の経過中に変わる。
【0187】
対象は、腫瘍組織またはctDNAの証拠を有し、その腫瘍は、Chk1阻害に対する感受性を付与すると予想される変異の組み合わせを有する。対象は、NGSを使用した前向きの腫瘍組織遺伝子プロファイリングに基づいて選択される。
【0188】
拡張コホート対象は、以下のカテゴリー(a)~(e)のうちの最小2つにおいて、Chk1阻害に対する感受性を付与すると予想されるゲノム変化を有する腫瘍を有する:
a.RB1、TP53などのようなG1細胞周期進行/停止を制御する主要な腫瘍抑制遺伝子。NHSCCまたはSCCAを有する患者について、陽性HPV状態も適格性について考慮される。
b.ATM、CDK12、BRCA1、およびBRCA2を含むDDR経路。CRCを有する患者について、ミスマッチ修復(MMR)遺伝子変化および/または高マイクロサテライト不安定性も適格性について考慮される。
c.Chk1もしくはATRまたは他の関連遺伝子の機能獲得/増幅のような複製ストレスの遺伝的指標。
d.MYC、KRASなどのような発癌性ドライバー。
e.CCNE1遺伝子増幅(または同様の機能的効果を有する代替の遺伝子変化)は、CCNE1遺伝子増幅に特異的なHGSOCコホートに必要である。
【0189】
いくつかの態様では、対象は、以下の基準(a~e)のうちの1つを満たす:
a.転移性CRC
i.組織学的および/または細胞学的に確認されたCRC
ii.一般に、進行性/転移性疾患のための少なくとも1つのレジメンを以前受けたことがある
b.HGSOC
i.組織学的に確認された高悪性度漿液性卵巣、卵管、または原発性腹膜癌
ii.プラチナベースの化学療法を最後に受けてから6か月以内の疾患進行の放射線学的証拠として定義される、再発性プラチナ不耐性対象、またはプラチナ抵抗性疾患を有する対象。(欧州臨床腫瘍学会[ESMO]ガイドラインによって定義される)プラチナ難治性疾患を有する患者は適格ではない。
c.進行性NSCLC
i.局所進行性および再発性または転移性の、組織学的に確認されたNSCLC
ii.一般に、進行性/転移性疾患のための少なくとも1つのレジメンを以前受けたことがある
d.mCPRC
i.アンドロゲン除去療法後に進行している組織学的または細胞学的に確認された前立腺腺癌
e.HNSCCまたはSCCA
i.原発部位から組織学的に確認されたHNSCC、またはSCCA
ii.HNSCCについて:局所進行性疾患(すなわち、治癒目的の放射線後の持続性または進行性疾患であり、不治または死亡率により外科的救済の候補ではない)、または転移性疾患
iii.SCCAについて:利用可能な治癒目的の療法がない局所進行性疾患または転移性疾患。
iv.対象は、進行性/転移性疾患のための少なくとも1つのレジメンを以前受けたことがある。
【0190】
対象は、一般に、(Response Evaluation Criteria in Solid Tumors,version 1.1[RECIST v1.1]に従った)測定可能な疾患、またはmCRPCについて、以下:RECIST v1.1に従った測定可能な疾患、増加する前立腺特異抗原(PS)、もしくは血液7.5mlあたり5個以上の細胞の循環腫瘍細胞(CTC)数のいずれかに従って評価可能な疾患を有する。
【0191】
拡張コホートへの登録は、いくつかの場合、用量漸増フェーズと並行して行われる(実施例5を参照されたい)。コホート拡張フェーズに適格である対象は、漸増コホートに可能な限り登録される。任意のそのような対象は、両方のフェーズに同時に登録したとみなされる。
【0192】
疾患は、固形腫瘍を有する対象についてRECIST v1.1基準に従って、NHLを有する対象について改訂されたIWG基準(Cheson 2007)に従って、およびmCRPCを有する対象について、以下:A)RECIST v1.1に従った測定可能な疾患、B)増加するPSA、またはC)7.5mlの血液あたり5個以上の細胞のCTC数のいずれか1つの複合を使用して測定される。
【0193】
ベースライン評価は、悪性腫瘍の性質に適した病変の放射線測定を含む。いくつかの場合、これは、CTスキャン、肝臓CTスキャン、腹部CTスキャン、MRI、X線、骨スキャン、および/または臨床的に示される他の放射線測定、または適切な臨床測定(例えば、触診可能な病変の評価または腫瘍マーカーの測定)を含む。存在する疾患の全ての領域が文書化され(特定の病変が奏効について追跡されない場合でも)、全ての測定可能な病変の寸法がスキャンレポートに明確に記録される。任意の測定不能な病変は、存在するものとして示される。臨床測定について、これは奏効の外部の独立した再調査を支援するため、病変のサイズを推定するルーラーを含むカラー写真による文書化が強く推奨される。
【0194】
臨床的に示される場合、腫瘍評価は8週間毎に、またはより頻繁に繰り返される。骨転移、続いて骨スキャンを有する対象は、最初の6か月間は8週間毎(±1週間)、次いでその後は16週間毎(±2週間)にスキャンされる。長期フォローアップ中、治験依頼者または治験責任医師によってより頻繁に要求されない限り、まだ増悪しておらず、代替の抗癌療法を開始していない対象の評価は、16週間毎に行われる。ベースラインで測定される全ての病変は、その後の全ての疾患評価で測定され、スキャンレポートに明確に記録される。ベースラインで確認される全ての測定不能な病変は、スキャンレポートに存在または不在として記録される。進行性疾患(PD)以外の理由で試験治療から除外される全ての対象は、腫瘍評価が過去4週間以内に行われなかった限り、治療中止時に再評価されるべきである。対象は、疾患増悪または試験からの離脱まで、PDについて追跡される。
【0195】
測定可能な疾患を有し、SRA737の少なくとも1サイクルを受け、疾患のベースラインおよび少なくとも1つのベースライン後評価を有する全ての対象は、奏効について評価可能である。正式な疾患評価なしでPDの明確な証拠を発生させる対象、および試験離脱前の正式な疾患評価なしの対象は、ノンレスポンダーとみなされる。完全奏効およびPRは、少なくとも4週間後のその後の評価によって確認される必要がある。安定性疾患(SD)決定は、関連する基準が少なくとも1回、SRA737の初期用量が与えられた後に最小6週間で満たされることを必要とする。
【0196】
4週間の治療の完了前に急速な腫瘍増悪が発生する場合、対象は、早期増悪を有すると分類される。
【0197】
腫瘍奏効は、例えば、ベースラインおよび/またはフォローアップ評価が行われないか、または適切に行われないとき、別の奏効カテゴリー下に分類することができない場合のみ、「評価不能」(NE)として分類されるべきである。
【0198】
奏効基準は、以下に定義される:
a.完全奏効(CR):全ての標的病変の消失。任意の病理学的リンパ節(標的か非標的かに関係なく)は、10mm未満までの短軸の低減を有する。
b.部分奏効(PR):ベースライン合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも30%減少。
c.進行性疾患(PD):試験の最小合計を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも20%増加(これは、試験で最小である場合、ベースライン合計を含む)。20%の相対的な増加に加えて、合計は、一般に、少なくとも5mmの絶対的な増加も示す。(注記:1つ以上の新規病変の出現も進行とみなされる)。
d.安定性疾患(SD):試験中の最小合計直径を参照として、PRに適格であるのに十分な収縮もPDに適格であるのに十分な増加もない。
【0199】
この試験の結果は、Chk1阻害に対する感受性を付与すると予想される既知の遺伝子変化を伴う腫瘍の治療のためのSRA737単剤療法の有効性を確認する。
【0200】
実施例7:Chk1感受性を付与する遺伝子変化を伴う選択腫瘍におけるSRA737併用療法の有効性を確認する第1/2相臨床試験
ヒトにおける臨床試験は、腫瘍をChk1阻害に対して感作させると予想されるゲノム変化の高い有病率を有することが知られる腫瘍タイプを有する、前向きに選択された遺伝的に定義された対象について、本明細書に開示されるSRA737併用療法の治療方法および患者選択戦略の有効性を確認するために行われる(「コホート拡張フェーズ」)。コホート拡張フェーズでは、約20人の前向きに選択された遺伝的に定義された対象が、4つの適応症特異的コホート:高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)、小細胞肺癌(SCLC)、軟部組織肉腫(STS)、および子宮頸癌/肛門性器癌に登録される。有効な濃度のSRA737をもたらす投与を確立したPKデータに基づいて(実施例5を参照されたい)、500mgのSRA737および100mg/m2のゲムシタビンの開始用量レベルを使用した。投与レジメンは、いくつかの場合では、試験の経過中に変わる。SRA737カプセルは、特に指示がない限り、空腹時に服用される(対象は、投与前少なくとも2時間および投与後1時間絶食する)。
【0201】
対象は、以下を有する:
a.以下のタイプの組織学的または細胞学的に証明された進行性悪性腫瘍であって、他の従来の療法が適切とみなされないもの:
i.高悪性度漿液性卵巣癌(HGSOC)
1.組織学的に確認された高悪性度漿液性卵巣、卵管、または原発性腹膜癌
2.プラチナ抵抗性もしくは難治性疾患、または対象がプラチナ療法に不耐性である場合
ii.小細胞肺癌
1.一般に、治験依頼者による別段の承認がない限り、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
iii.軟部組織肉腫
1.未分化多形性肉腫/悪性線維性組織球腫(MFH)(高悪性度紡錘細胞肉腫/多形性脂肪肉腫を含む)、平滑筋肉腫、および脱分化型脂肪肉腫を含む。いくつかの場合において他のタイプのSTSは、治験依頼者の承認で適格である
2.一般に、治験依頼者による別段の承認がない限り、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
iv.子宮頸癌/肛門性器癌
1.全ての子宮頸癌ならびに肛門、陰茎、膣、および外陰の進行性/転移性扁平上皮癌を含む
2.一般に、治験依頼者による別段の承認がない限り、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
v.尿路上皮癌
1.膀胱、上部尿路、または尿道の組織学的に確認された局所進行性および切除不能または転移性尿路上皮癌
2.一般に、進行性疾患に対して少なくとも1つだが3つ以下のレジメンを以前受けたことがある
b.RECIST v1.1に従って測定可能な疾患(下記参照)
c.対象は、腫瘍組織またはctDNAの遺伝子プロファイリング、HPV状態、ならびに生殖細胞系列BRCA1およびBRCA2遺伝子状態を含む因子に基づいて、Chk1阻害に対して予測された感受性を有する。全ての対象は、腫瘍組織またはctDNAからの遺伝子プロファイリングを有し、プロファイリングは、Chk1感受性を評価するために必要な場合に前向きに行われるか、またはそうでなければ後ろ向きに行われる
i.HGSOCを有する対象について、文書化された体細胞または生殖細胞系列のBRCA1およびBRCA2野生型状態は、前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格性を付与する。文書化されたBRCA状態が利用可能ではない場合、適格性を決定するために、遺伝子プロファイリングがいくつかの場合において前向きに行われる。
ii.SCLCを有する対象は、この集団の腫瘍抑制遺伝子(例えば、TP53およびRB1)における癌関連の変化の非常に高い有病率に基づいて、前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格である。
iii.STSを有する対象、および遺伝子プロファイリングが前向きに行われる任意の他の対象について、適格性は、以下のカテゴリーの遺伝子において検出された遺伝子異常の治験依頼者の再調査によって決定される:
RB1、TP53などのようなG1細胞周期進行/停止を制御する主要な腫瘍抑制遺伝子。関連する癌について、陽性ヒトパピローマウイルス(HPV)状態も適格性について考慮される。
a.ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2、ミスマッチ修復遺伝子変化、および/または高マイクロサテライト不安定性を含むDNA損傷応答経路。
b.Chk1もしくはATRまたは他の関連遺伝子の機能獲得/増幅のような複製ストレスの遺伝的指標。
c.MYC、CCNE1などのような発癌性ドライバー
iv.肛門性器癌を有する対象について、既知のHPV陽性状態は、いくつかの場合において前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格性を付与する。HPV状態が不明または陽性でない場合、適格性を決定するために、遺伝子プロファイリング(または適切な場合はHPV試験)がいくつかの場合において前向きに行われる。子宮頸癌または肛門扁平上皮癌を有する対象は、これらの集団におけるHPV陽性の非常に高い有病率に基づいて、前向き遺伝子プロファイリングの要件なしに適格である。
【0202】
あるいは、対象は、上記の組織学的または細胞学的に証明された進行性悪性腫瘍のうちの1つを有し、腫瘍組織またはctDNAは、それらの腫瘍がChk1阻害に対する感受性を付与すると予想される1つ以上の変異を有することを証明する。適格性は、以下のカテゴリーの遺伝子において検出された遺伝子異常の治験依頼者の再調査によって決定されるであろう:
a.RB1、TP53などのようなG1細胞周期進行/停止を制御する主要な腫瘍抑制遺伝子。関連する癌について、陽性ヒトパピローマウイルス(HPV)状態も適格性について考慮される。
b.ATM、CDK12、BRCA1、BRCA2、ミスマッチ修復遺伝子変化、および/または高マイクロサテライト不安定性を含むDNA損傷応答経路。
c.Chk1もしくはATRまたは他の関連遺伝子の機能獲得/増幅のような複製ストレスの遺伝的指標。
d.MYC、KRASなどのような発癌性ドライバー。
【0203】
対象は、以下の基準に基づいて除外される:
a.SRA737を受ける前に示された時間枠において以下の以前または現在の抗癌療法を受け、毒性から回復している:
i.2週間以内の放射線療法、化学療法、PARP阻害剤、他の標的化療法、または他のIMP
ii.6週間以内のニトロソウレアまたはマイトマイシンC
iii.任意の時点でのChk1阻害剤での以前の治療または6か月以内のATR阻害剤での以前の治療
b.進行性疾患のための3つ以下の以前の治療レジメン(HGSOC拡張コホートには適用されない)
c.適切に治療された腫瘍を除く、過去2年以内の他の悪性腫瘍
d.治験責任医師の意見において、対象が臨床的に有意な骨髄抑制を経験する可能性が非常に高い場合
e.NCI-CTCAEグレード1を超える以前の治療の継続的な毒性症状
f.ゲムシタビンに対するアレルギー歴
g.新規または進行中の脳転移。8週間にわたって無症候性かつ放射線学的に安定しており、いくつかの場合においてその期間中ステロイドで治療されていない脳転移を有する対象は、治験依頼者からの承認で含まれる。
h.非悪性全身性疾患による高い医学的リスク
i.B型肝炎、C型肝炎、またはHIVについて血清学的に陽性
j.治験依頼者によって承認されない限り、深刻な心臓の状態、ベースラインで左心室駆出率<45%、過去6か月以内の心虚血の病歴、または治療を必要とする心不整脈の病歴。
k.過去8週間以内の骨髄の25%超に対する事前の骨髄移植または広範囲の放射線療法
l.ピーナッツアレルギー
m.成人においてQTcF>450ミリ秒および成人女性において>470ミリ秒
n.いくつかの場合においてSRA737の吸収を著しく変化させる胃腸(GI)機能の障害またはGI疾患
o.噛んだり砕いたりせずにカプセルを飲み込むことができない
p.別の介入臨床試験の参加者であるか、または参加を計画している
q.治験責任医師の意見では対象を良好な候補としない任意の他の条件
【0204】
測定可能な疾患を有し、1サイクルで75%(ステージ1)または83%(ステージ2)のSRA737(または治験依頼者が代替の投与スケジュールを評価することを選択する場合は同等物)を受け、疾患のベースライン評価および少なくとも1つのベースライン後疾患評価を有する全ての登録済み対象は、奏効について評価される。コホート拡張フェーズに登録する全ての対象は、それらが測定可能な疾患を有し、上記で定義される少なくとも1サイクルの試験薬を受け、疾患のベースライン評価および少なくとも1つのベースライン後疾患評価を有し、遺伝子選択要件を満たしたと確認される場合、奏功について評価される。
【0205】
加えて、測定可能な疾患を有し、1サイクルでSRA737(治験依頼者が代替の投与スケジュールを評価することを選択する場合)の少なくとも83%を受けたが、ベースライン評価の前にPD、不耐性毒性、または死亡が発生した対象も、評価可能であり、ノンレスポンダーとして分類される。
【0206】
全て有効性エンドポイントの分析は、奏効評価可能母集団に基づいており、以下で説明されるように、RECIST v1.1基準を使用して評価される。
【0207】
他のエンドポイントは、奏効の期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効までの時間(TTR)、PFS、増悪までの時間(TTP)、OSを含む。他の調査目標を表9に記載する。
【表9】
【0208】
追加の試験は、化学療法剤の投与、抗体または抗体断片の投与、放射線治療の投与、複製ストレスの外部誘導物質の投与、またはそれらの組み合わせの投与を含む、他の療法と組み合わせたSRA737で行われる。他の試験は、オラパリブ、ニラパリブ、ルカパリブ、タラゾパリブ、シスプラチン、リボヌクレオチド還元酵素阻害剤、エトポシド、SN-38/CPT-11、マイトマイシンC、またはそれらの組み合わせを投与することを含む、他の療法と組み合わせたSRA737で行われる。
【0209】
この試験の結果は、Chk1阻害に対する感受性を付与すると予想される既知の遺伝子変化を伴う腫瘍の治療のためのSRA737併用療法の有効性を確認する。
【0210】
RECIST基準
この試験における疾患奏効の評価は、改訂されたRECIST基準v1.1に従って行われる。RECIST基準は、それが教示する全てについて参照によって本明細書に組み込まれる、Eisenhauer,et al.(New response evaluation criteria in solid tumours:Revised
RECIST guideline(version 1.1).Eur J Cancer[Internet].2009)においてより詳細に記載される。
【0211】
ベースラインでは、腫瘍病変/リンパ節は一般に、以下のように測定可能または測定不能に分類される:
【0212】
測定可能
腫瘍病変:一般に、少なくとも1つの寸法で正確に測定され(測定面での最長直径が記録され)、最小サイズは以下である:
-CTスキャンによる10mm(CTスキャンスライス厚は5mm以下、イメージングガイダンスについてはAppendix II in Eisenhauer,et al.,[Eisenhauer,2009]を参照されたい)
-臨床検査による10mmキャリパー測定(キャリパーで正確に測定することができない病変は測定不能として記録されるべきである)
-胸部X線による20mm
【0213】
悪性リンパ節:病理学的に拡大し、測定可能であるとみなされるには、リンパ節は、CTスキャンによって評価される場合、一般に短軸が15mmである(CTスキャンスライス厚は5mm以下であることが推奨される)。ベースラインおよびフォローアップでは、短軸のみが一般に測定され、追跡される。
【0214】
測定不能
小さな病変(最長径<10mmまたは≧10~<15mmの短軸を有する病理学的リンパ節)、および真に測定不能な病変を含む、全ての他の病変。真に測定不能とみなされる病変は、一般に、軟膜疾患、腹水、胸水または心嚢液、炎症性乳房疾患、皮膚または肺のリンパ管性病変、再現可能なイメージング技法によって測定可能ではない身体検査によって同定される腹部腫瘤/腹部臓器肥大を含む。
【0215】
骨病変、嚢胞性病変、および以前に局所療法で治療された病変は、特定のコメントを必要とする:
【0216】
骨病変:
-骨スキャン、PETスキャン、または単純フィルムは、一般に骨病変を測定するための適切なイメージング技法とみなされない。しかしながら、骨病変の存在または消失を確認するために、これらの技法を使用することができる。
-CTまたはMRIのような断面イメージング技法によって評価することができる、同定可能な軟部組織成分を伴う、溶解性骨病変または混合溶解性-芽球性病変は、軟部組織成分が上記の測定可能性の定義を満たす場合、一般に測定可能な病変とみなされる。
-芽球性骨病変は一般に測定不能である。
【0217】
嚢胞性病変:
-放射線写真で定義された単純嚢胞についての基準を満たす病変は、定義によって、単純嚢胞であるため、一般に悪性病変(測定可能でも測定不能でもない)とみなされない。
-嚢胞性転移を表すと考えられる「嚢胞性病変」は、上記の測定可能性の定義を満たす場合、一般に測定可能な病変とみなされる。しかしながら、非嚢胞性病変が同じ対象に存在する場合、これらは標的病変としての選択に好ましい。
【0218】
以前の局所治療を受けた病変:
-以前に照射された領域、または他の局所領域療法を受けた領域にある腫瘍病変は、病変において増悪が示されていない限り、通常は測定可能とみなされない。試験プロトコルは一般に、そのような病変が一般に測定可能とみなされる条件を詳述する。
【0219】
評価の方法
全ての測定は、臨床的に評価される場合キャリパーを使用して、一般にメートル表記で記録される。全てのベースライン評価は、一般に、治療開始にできるだけ近く、治療の開始前の4週間以内に行われる。
【0220】
ベースラインおよびフォローアップ中に特定および報告された各病変を特徴付けるために、同じ評価方法および同じ技法が一般に使用される。追跡される病変(複数可)を画像化することができるが、臨床検査によって評価可能でない限り、臨床検査ではなく、一般に、イメージングに基づく評価が常に行われる。
【0221】
臨床病変は、表面的であり、キャリパーを使用して評価されるように直径≧10mm(例えば、皮膚結節)である場合、一般に測定可能とみなされる。皮膚病変の症例について、病変のサイズを推定するルーラーを含むカラー写真による文書化が提案される。上記のように、病変が臨床検査およびイメージングの両方によって評価することができる場合、より客観的であり、またいくつかの場合では試験の最後に再調査されるため、イメージング評価が一般に行われる。
【0222】
特に新規病変の特定において、CTはX線よりも感度が高いため、特に増悪が重要なエンドポイントである場合、胸部CTは一般に胸部X線よりも好まれる。しかしながら、いくつかの場合では、胸部X線上での病変は、それらが明確に定義され、含気肺によって囲まれる場合、測定可能とみなされる。
【0223】
CTは、一般に、奏効評価のために選択される病変を測定するために現在利用可能な再現可能な最良の方法である。このガイドラインは、CTスライス厚が5mm以下であるという仮定に基づいて、CTスキャンでの病変の測定可能性を定義している。CTスキャンが5mmを超えるスライス厚を有する場合、測定可能な病変についての最小サイズは、スライス厚の2倍である。MRIはまた、特定の状況において(例えば、ボディスキャンについて)許容される。客観的腫瘍奏効評価のためのCTおよびMRIの両方の使用に関する詳細は、Eisenhauer et alからの刊行物に提供される。
【0224】
超音波は、一般に病変サイズの評価において有用ではなく、一般に測定方法として使用されない。超音波検査は、一般に、後日の独立した再調査のためにそれらの全体で再現することができず、オペレーター依存的であるため、一般に、同じ技法および測定が1つの評価から次の評価まで行われることを保証することはできない(Eisenhauer,et al.(2009)においてより詳細に記載される)。試験の経過において超音波によって新規病変が同定される場合、CTまたはMRIによる確認が一般に推奨される。CTでの放射線曝露について懸念がある場合、いくつかの場合では選択された事例においてCTの代わりにMRIが使用される。
【0225】
客観的な腫瘍評価のための内視鏡検査および腹腔鏡検査技法の利用は、一般に推奨されない。しかしながら、それらは一般に、生検が得られる場合に完全な病理学的奏効を確認するために、または完全奏効または外科的切除後の再発がエンドポイントである試験における再発を決定するために有用である。
【0226】
腫瘍マーカー単独は、一般に、客観的な腫瘍奏効を評価するために使用されない。しかしながら、マーカーが初期に正常上限を超える場合、それらは一般に、完全奏効にあるとみなされる対象について正規化される。
【0227】
細胞学および組織学は、プロトコルによって必要とされるまれな場合(例えば、既知の残存良性腫瘍が残り得る胚細胞腫瘍のような腫瘍タイプにおける残存病変)においてPRとCRとを区別するために一般に使用される。滲出液が治療の潜在的な有害効果であることが知られる(例えば、特定のタキサン化合物または血管新生阻害剤を含む)場合、治療中に出現または悪化する任意の滲出液の腫瘍性起源の細胞学的確認は、奏効(または安定性疾患)と進行性疾患とを区別するために、測定可能な腫瘍が奏効または安定性疾患の基準を満たしているか一般に考慮される。
【0228】
腫瘍奏効評価
客観的奏効または将来の進行を評価するために、ベースラインでの全体的な腫瘍負荷は、一般に推定され、その後の測定にコンパレータとして使用される。測定可能な疾患は、一般に、少なくとも1つの測定可能な病変の存在によって定義される。
【0229】
複数の測定可能な病変がベースラインで存在する場合、全ての関与する臓器を代表する合計最大5つの病変(および臓器あたり最大2つの病変)までの全ての病変は、一般に標的病変として同定され、ベースラインで記録および測定される(これは、対象が1つまたは2つの関与する臓器部位のみを有する場合、それぞれ最大2つおよび4つの病変が記録されることを意味する)。標的病変は、一般にそれらのサイズ(最も長い直径を有する病変)に基づいて選択され、一般に全ての関与臓器を代表するが、加えて一般に再現可能な繰り返し測定に適したものである。いくつかの場合、
図3Eisenhauer,et al.(2009)に例示されるように、再現可能に測定することができる次に大きな病変が一般に選択される状況では、最大の病変は、再現可能な測定に適さない。
【0230】
リンパ節は、正常な解剖学的構造であり、いくつかの場合では腫瘍によって関与されなくてもイメージングによって見ることができるため、特記に値する。測定可能と定義され、いくつかの場合では標的病変として同定される病理学的結節は、一般に、CTスキャンによって≧15mmの短軸の基準を満たす。これらの結節の短軸のみが一般にベースライン合計に寄与する。結節の短軸は一般に、結節が固形腫瘍によって関与されるかを判断するために放射線科医によって通常使用される直径である。結節サイズは、通常、画像が取得される平面における2つの寸法として報告される(CTスキャンについて、これはほとんど常に軸平面であり、MRIについて、いくつかの場合において取得の平面は軸平面、矢状面、または冠状面である)。これらの寸法のうちの小さい方が短軸である。例えば、20mm×30mmと報告される腹部結節は、20mmの短軸を有し、悪性の測定可能な結節として適格である。この例では、20mmが結節測定として記録される。全ての他の病理学的結節(10mm以上であるが15mm未満の短軸を有するもの)は、一般に非標的病変とみなされる。10mm未満の短軸を有する結節は、一般に非病理学的とみなされ、一般に記録も追跡もされない。
【0231】
全ての標的病変についての直径(非結節性病変では最長、結節性病変では短軸)の合計は、一般に計算され、ベースライン合計直径として報告される。リンパ節を合計に含める場合、上記のように、短軸のみが合計に追加される。ベースライン合計直径は、一般に、疾患の測定可能な寸法において任意の客観的な腫瘍退縮をさらに特徴付けるために、参照として使用される。
【0232】
病理学的リンパ節を含む全ての他の病変(または疾患の部位)は、一般に非標的病変として同定され、一般にベースラインで記録される。測定は一般に不要であり、これらの病変は一般に「存在する」、「存在しない」、またはまれな場合「明確な進行」として追跡される(詳細は後述される)。加えて、同じ臓器に関与する複数の非標的病変を症例記録フォームで単一項目(例えば、「複数の骨盤リンパ節の拡大」または「複数の肝転移」)として記録することが可能である。
【0233】
奏効基準
完全奏効(CR):全ての標的病変の消失。任意の病理学的リンパ節(標的か非標的かに関係なく)は、短軸が10mm未満に低減する。
【0234】
部分奏効(PR):ベースライン合計直径を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも30%減少。
【0235】
進行性疾患(PD):最小合計を参照として、標的病変の直径の合計の少なくとも20%増加(これは、試験で最小である場合、ベースライン合計を含む)。20%の相対的な増加に加えて、合計は、一般に、少なくとも5mmの絶対的な増加を示す。(注記:1つ以上の新規病変の出現も、一般に進行とみなされる)。
【0236】
安定性疾患(SD):最小合計直径を参照として、PRに適格であるのに十分な収縮もPDに適格であるのに十分な増加もない。
【0237】
標的病変として同定されたリンパ節は、一般に結節が10mm未満に退縮した場合でも、一般に(ベースライン検査と同じ解剖平面で測定される)実際の短軸測定を記録する。これは、リンパ節が標的病変として含まれる場合、正常なリンパ節は一般に10mm未満の短軸を有すると定義されるため、完全奏効基準が満たされる場合でも、病変の「合計」がいくつかの場合ゼロにならないことを意味する。したがって、症例報告書または他のデータ収集方法は、いくつかの場合、CRに適格となるために、各結節が一般に10mm未満の短軸を達成する別のセクションに記録される標的結節性病変を有するように設計される。PR、SD、およびPDについて、結節の実際の短軸測定は、好ましくは標的病変の合計に含まれる。
【0238】
試験中、ベースラインで記録される全ての病変(結節および非結節)は、一般に、非常に小さい場合(例えば、2mm)でも、その後の各評価でそれらの実際の測定を記録する。しかしながら、時々ベースラインで標的病変として記録される病変またはリンパ節がCTスキャンで非常に弱くなり、いくつかの場合では放射線科医が正確な寸法を割り当てることに違和感があり、いくつかの場合では、それらを「測定するには小さすぎる」と報告する。これが発生する場合、一般に、値が症例報告書に記録されることが重要である。病変が消失した可能性が高いことが放射線科医の意見である場合、測定は一般に0mmと記録される。病変が存在すると考えられ、かすかに見られるが、測定するには小さすぎる場合、5mmのデフォルト値が一般に割り当てられる。(注記:一般に、リンパ節は通常、正常な場合は定義可能なサイズを有し、後腹膜のように脂肪によって囲まれることが多いため、このルールがリンパ節に使用される可能性は低いが、リンパ節が存在すると考えられ、かすかに見られるが、測定するには小さすぎる場合、5mmのデフォルト値は、一般に、この状況においても割り当てられる)。このデフォルト値は、5mmのCTスライス厚から導出される(ただし、変動するCTスライス厚で一般に変化しない)。これらの病変の測定は、潜在的に再現不能であり、したがって、このデフォルト値を提供することは、測定エラーに基づく偽奏効または進行を防止する。しかしながら、繰り返すが、放射線科医が実際の寸法を提供することができる場合、それが5mm未満であっても、一般に記録される。
【0239】
非結節性病変が「断片化」する場合、断片化した部分の最も長い直径が一般に加算されて、標的病変合計が計算される。同様に、病変が合体するとき、それらの間の平面は一般に維持され、各個々の病変の最大直径測定を得るのに役立つ。病変が真に合体して、分離できなくなった場合、この場合における最長直径のベクトルは、一般に「合体病変」についての最大の最長直径である。
【0240】
いくつかの非標的病変は、いくつかの場合では実際に測定可能であるが、一般に測定されず、代わりに一般にプロトコルにおいて指定される時点で定性的にのみ評価される。
【0241】
完全奏効(CR):全ての非標的病変の消失および腫瘍マーカーレベルの正常化。全てのリンパ節は、非病理学的なサイズである(10mm未満短軸)。
【0242】
非CR/非PD:1つ以上の非標的病変(複数可)の持続および/または正常限界を超える腫瘍マーカーレベルの維持。
【0243】
進行性疾患(PD):既存の非標的病変の明らかな増悪(下記コメント参照)。(注記:1つ以上の新規病変の出現も増悪とみなされる)。
【0244】
対象が測定可能な疾患を有する場合、非標的疾患に基づいて「明らかな増悪」を達成するために、一般に、非標的疾患における実質的な悪化の全体的なレベルがあり、標的疾患におけるSDまたはPRの存在下でも、全体的な腫瘍負荷は、療法の中止に値するほど十分に増加している。1つ以上の非標的病変のサイズの控えめな「増加」は、通常、明らかな増悪状態に適格となるには不十分である。標的疾患のSDまたはPRにもかかわらず非標的疾患の変化のみに基づいた全体的な増悪の指定は、したがって、一般に極めてまれである。
【0245】
測定不能な疾患のみを有する対象は、測定可能な疾患を有することが試験参加の基準ではない場合、いくつかの第III相試験において発生する。上記と同じ一般的な概念がここで適用されるが、この例では、測定不能な疾患の負荷の増加の解釈に織り込む測定可能な疾患の評価はない。非標的疾患の悪化は一般に容易に定量化されないため(定義により:全ての病変が真に測定不能である場合)、明らかな増悪について対象を評価するときに一般に適用することができる有用な試験は、測定不能な疾患の変化に基づく全体的な疾患負荷の増加の大きさが、測定可能な疾患についてPDを宣言するために必要となるであろう増加、すなわち、「体積」の追加の73%増加(これは測定可能な病変における直径20%増加と同等である)を表す腫瘍負荷の増加に相当するかを考慮することである。例は、胸水の「微量」から「多量」への増加、リンパ管炎性疾患の限局性から広範囲への増加を含むか、またはいくつか場合ではプロトコルにおいて「療法の変更を必要とするのに十分」と記載される。「明らかな増悪」が見られる場合、対象は、一般にその時点で全体的なPDを有しているとみなされる。測定不能な疾患に適用する客観的な基準を有することが理想的であるが、その疾患の性質は、そうすることを一般に非常に困難にし、したがって、増加は一般に実質的である。
【0246】
新規悪性病変の出現は、一般に疾患増悪を示し、したがって、新規病変の検出に関するいくつかのコメントは一般に重要である。一般に、新規放射線写真病変の同定のための特定の基準はないが、新規病変の発見は一般に明らかであり、すなわち、一般に、スキャン技法の相違、画像診断法の変更、または腫瘍以外のものを表すと考えられる所見(例えば、いくつかの場合では、いくつかの「新規」骨病変は、単に既存病変の治癒または再発である)に起因しない。これは、対象のベースライン病変が部分または完全奏効を示す場合に特に重要である。例えば、肝臓病変の壊死は、CTスキャンレポートで「新規」嚢胞性病変として頻繁に報告されるが、一般にそうではない。
【0247】
ベースラインでスキャンされなかった解剖学的位置におけるフォローアップ試験で特定される病変は、一般に新規病変とみなされ、一般に疾患増悪を示す。この例は、ベースラインで内臓疾患を有し、試験中に脳のCTまたはMRIが指示され、これが転移を明らかにする対象である。対象の脳転移は、ベースラインでの脳イメージングが行われなかった場合でも、一般にPDの証拠であるとみなされる。
【0248】
例えば、その小さなサイズのために、新規病変が明らかでない場合、継続的な療法およびフォローアップ評価は、一般に、それが真に新規疾患を表すかを明らかにする。繰り返しスキャンが確実に新規病変があることを確認する場合、増悪は、一般に、初期スキャンの日付を使用して宣言される。
【0249】
FDG-PET奏効評価は追加の試験を必要とするが、増悪(特に「新規」疾患の可能性)の評価においてCTスキャンを補完するためにFDG-PETスキャンの使用を組み込むことが合理的な場合がある。FDG-PETイメージングに基づく新規病変は、一般に、以下のアルゴリズムに従って同定される:
a.ベースラインでの陰性FDG-PET、フォローアップでの陽性*FDG-PETは、一般に、新規病変に基づくPDの徴候である。(*「陽性」FDG-PETスキャン病変は、一般に、減衰補正画像での周囲組織の取り込みの2倍を超える取り込みでFDG avidであるものを意味する。)
b.ベースラインでのFDG-PETなし、およびフォローアップでの陽性FDG-PET:
-フォローアップでの陽性FDG-PETがCTによって確認される新規疾患部位に対応する場合、これは一般にPDである。
-フォローアップでの陽性FDG-PETがCTで新規疾患部位として確認されない場合、追加のフォローアップCTスキャンが一般に行われ、その部位で真に増悪が発生しているか決定される(そうである場合、PDの日付は初期異常FDG-PETスキャンの日付となる)。「陽性」FDG-PETスキャン病変は、一般に、減衰補正画像での周囲組織の取り込みの2倍を超える取り込みでFDG avidであるものを意味する。
-フォローアップでの陽性FDG-PETが解剖学的画像に基づいて増悪していないCTの既存の疾患部位に対応する場合、これは一般にPDではない。
【0250】
最良の全体的な奏効の評価
最良の全体的な奏効は、一般に、試験治療の開始から治療の終了までに記録された最良の奏効である。この試験において療法の終了後まで奏効が文書化されない場合、代替の抗癌療法が行われていない限り、一般的に治療後評価が最良の全体的な奏効の決定において考慮される。対象の最良の全体的な奏効の割り当ては、一般に、標的疾患および非標的疾患の両方の所見に依存し、一般に、新規病変の出現も考慮に入れる。
【0251】
一般に、プロトコルで指定された各時点で、奏効評価が行われると想定される。表10は、ベースラインで測定可能な疾患を有する対象についての各時点での全体的な奏効状態計算の要約を提供する。
【0252】
対象が測定不能な(したがって非標的)疾患のみを有する場合、表11が一般に使用される。
【0253】
特定の時点でイメージング/測定が全く行われない場合、対象は、一般にその時点で評価不能(NE)である。評価時に病変測定のサブセットのみが行われる場合、個々の欠損病変(複数可)の寄与が割り当てられた時点の奏効を変化させないという説得力のある議論がなされない限り、通常、その場合は、その時点で一般にNEともみなされる。これはPDの場合に起こる可能性が最も高いであろう。例えば、対象が、3つの測定された病変で50mmのベースライン合計を有し、フォローアップで2つの病変のみが評価されたが、それらが80mmの合計をもたらした場合、対象は、欠損病変の寄与に関係なく、一般にPD状態を達成している。
【0254】
対象についての全てのデータが知られると、最良の全体的な奏効が一般に決定される。
【0255】
完全または部分奏効の確認が一般に必要とされない試験における最良の奏効決定:これらの試験における最良の奏効は、一般に、全ての時点にわたる最良の奏効として定義される(例えば、第1の評価でSD、第2の評価でPR、および最後の評価でPDを有する対象は、PRの最良の全体的な奏効を有する)。SDが最良の奏効であると考えられる場合、これは、一般に、ベースラインからのプロトコル指定最小時間も満たす。SDがそうでなければ最良の時点での奏効であるときに最小時間が満たされない場合、対象の最良の奏効は、一般に、その後の評価に依存する。例えば、第1の評価でSD、第2でPDを有し、SDについての最小期間を満たさない対象は、PDの最良の奏効を有するであろう。第1のSD評価後にフォローアップを受けない同じ対象は、一般に評価不能とみなされる。
【0256】
結節性疾患が標的病変の合計に含まれ、結節が「正常な」サイズ(10mm未満)に減少する場合、いくつかの場合それらはスキャンで報告された測定を依然として有する。結節のサイズの増加に基づいて増悪を過大評価しないために、結節が正常でも、この測定は一般に記録される。先に述べたように、これは、いくつかの場合におけるCRを有する対象が、症例報告書(CRF)に「ゼロ」の合計を有さないことを意味する。
【0257】
その時点での疾患増悪の客観的な証拠なしに治療の中止を必要とする健康状態の全体的な悪化を有する対象は、一般に「症状悪化」として報告される。治療の中止後でも、客観的増悪を文書化するためにあらゆる努力が一般になされる。症状悪化は、一般に客観的奏効の記述子ではなく、それは、試験療法を停止するための理由である。そのような対象の客観的奏効状態は、一般に、表10および表11に示されるように、標的および非標的疾患の評価によって決定される。
【0258】
「EP、早期死亡および評価不能」を定義する条件は、試験特異的であり、一般に(治療期間、治療周期性に応じて)各プロトコルにおいて明確に記載される。
【0259】
いくつかの状況では、残存疾患と正常組織とを区別することが難しい。完全奏効の評価がこの決定に依存する場合、完全奏効の状態を割り当てる前に、残存病変を調査(穿刺吸引/生検)することが一般に推奨される。いくつかの場合、残存する放射線写真異常が線維症または瘢痕を表すと考えられる場合における生検と同様の方法でCRへと奏効をアップグレードするために、FDG-PETが使用される。
【0260】
増悪の明らかでない所見(例えば、非常に小さく不確実な新規病変、嚢胞性変化、または既存の病変の壊死)について、いくつかの場合における治療は、次の予定された評価まで継続される。次の予定された評価で、増悪が確認される場合、増悪の日付は、一般に、増悪が疑われた早い方の日付である。
【表10】
【表11】
【0261】
奏効の期間
全体的な奏効の期間は、一般に、CR/PRの測定基準が最初に満たされる時間(最初に記録される方)から、再発性または進行性疾患が試験で記録される最初の日付まで測定される。
【0262】
全体的な完全奏効の期間は、一般に、CRの測定基準が最初に満たされる時間から、再発性疾患が客観的に文書化される最初の日付まで測定される。
【0263】
安定性疾患は、一般に、治療の開始から(無作為化試験では、無作為化の日から)進行の基準が満たされるまで、試験の最小合計を参照として測定される(ベースライン合計が最小である場合、これがPDの計算の参照である)。
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