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特開2024-126490端末装置、制御方法、制御装置及びプログラム
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  • 特開-端末装置、制御方法、制御装置及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126490
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】端末装置、制御方法、制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/18 20090101AFI20240912BHJP
【FI】
H04W48/18
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034888
(22)【出願日】2023-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星野 友紀男
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD24
5K067EE02
(57)【要約】
【課題】それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する複数のネットワークスライスが設定された移動通信ネットワークにおいて、端末装置によるネットワークスライスの使い分けを適切に行うことを可能にする。
【解決手段】端末措置10は、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する複数のネットワークスライスにそれぞれ対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を取得する。端末装置10は、データ通信のためのアクセス先を識別するための識別情報を含む問い合わせメッセージをサーバ装置へ送信し、当該問い合わせメッセージに対する応答として、当該識別情報に対応するIPアドレスを含む応答メッセージをサーバ装置から受信する。端末装置10は、複数のIPアドレス空間のうち、応答メッセージに含まれるIPアドレスが属するIPアドレス空間に対応するネットワークスライスを介して、アクセス先とのデータ通信を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線アクセスネットワーク(RAN)を介してデータネットワークにアクセスする端末装置であって、
複数のネットワークスライスにそれぞれ対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を取得する取得手段であって、前記複数のネットワークスライスは、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する、前記取得手段と、
データ通信のためのアクセス先を識別するための識別情報を含む問い合わせメッセージを、サーバ装置へ送信する送信手段と、
前記問い合わせメッセージに対する応答として、前記識別情報に対応するIPアドレスを含む応答メッセージを、前記サーバ装置から受信する受信手段と、
前記複数のIPアドレス空間のうち、前記応答メッセージに含まれるIPアドレスが属するIPアドレス空間に対応するネットワークスライスを介して、前記アクセス先とのデータ通信を行う通信手段と、
を備える、端末装置。
【請求項2】
前記取得手段は、ネットワークスライスの割り当てを求める要求メッセージをコアネットワークへ送信し、当該要求メッセージに対する応答として前記通知情報を含むメッセージを受信する、請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記複数のネットワークスライスは、前記要求メッセージに応じて前記端末装置に割り当てられ、
前記通知情報は、前記端末装置に割り当てられた前記複数のネットワークスライスのそれぞれにおいて使用されているIPアドレス空間を示す、請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記通知情報は、前記複数のネットワークスライスのそれぞれの識別子と、当該識別子に対応付けられたIPアドレス空間を示す情報とを含む、請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記識別子は、S-NSSAI(Single-Network Slice Selection Assistance Information)である、請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
前記送信手段は、前記端末装置が使用しているデフォルトのネットワークスライスを介して前記サーバ装置へ前記問い合わせメッセージを送信し、
前記受信手段は、前記デフォルトのネットワークスライスを介して前記サーバ装置から前記応答メッセージを受信する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項7】
前記通信手段は、前記応答メッセージに含まれるIPアドレスが前記複数のIPアドレス空間のいずれにも属さないものである場合、前記デフォルトのネットワークスライスを介して前記アクセス先とのデータ通信を行う、請求項6に記載の端末装置。
【請求項8】
前記複数のネットワークスライスは、個別のイントラネットへのアクセスを提供し、
前記デフォルトのネットワークスライスは、インターネットへのアクセスを提供する、請求項7に記載の端末装置。
【請求項9】
前記識別情報は、前記アクセス先を示すURLを含み、
前記サーバ装置は、受信した問い合わせメッセージに含まれるURLを、対応するIPアドレスに変換するDNSサーバ機能を有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項10】
前記複数のネットワークスライスのそれぞれの割り当ては、端末装置又はユーザごとに行われる、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項11】
アクセス先の切り替えに応じて、データ通信に使用するネットワークスライスの切り替えが行われる場合に、ネットワークスライスの切り替えが行われることをユーザに通知する通知手段を更に備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の端末装置。
【請求項12】
無線アクセスネットワーク(RAN)を介して端末装置と通信可能であり、コアネットワークに配置される制御装置であって、
ネットワークスライスの割り当てを求める要求メッセージを、前記端末装置から受信する受信手段と、
前記端末装置から受信された前記要求メッセージに応じて、複数のネットワークスライスを前記端末装置に割り当てる割当手段と、
前記端末装置に割り当てられた前記複数のネットワークスライスに対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を含むメッセージを、前記端末装置へ送信する送信手段であって、前記通知情報は、前記端末装置がアクセス先とのデータ通信を行う際に、当該アクセス先を示すIPアドレスが属するIPアドレス空間に対応するネットワークスライスを介してデータ通信を行うために使用される、前記送信手段と、
を備える、制御装置。
【請求項13】
無線アクセスネットワーク(RAN)を介してデータネットワークにアクセスする端末装置の制御方法であって、
複数のネットワークスライスにそれぞれ対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を取得する工程と、ここで、前記複数のネットワークスライスは、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供し、
データ通信のためのアクセス先を識別するための識別情報を含む問い合わせメッセージを、サーバ装置へ送信する工程と、
前記問い合わせメッセージに対する応答として、前記識別情報に対応するIPアドレスを含む応答メッセージを、前記サーバ装置から受信する工程と、
前記複数のIPアドレス空間のうち、前記応答メッセージに含まれるIPアドレスが属するIPアドレス空間に対応するネットワークスライスを介して、前記アクセス先とのデータ通信を行う工程と、
を含む、端末装置の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の制御方法を端末装置のプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動通信ネットワークにおける端末装置及びその制御方法、制御装置、並びにプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
共有される共通の物理インフラストラクチャ上で複数の論理ネットワーク(ネットワークスライス)の構築を可能にするネットワークスライシング技術が知られている。ネットワークスライシングの適用例として、非特許文献1には、端末装置(スマートフォン)に実装されたアプリケーションごとにネットワークスライスを使い分ける機能が記載されている。この機能によれば、例えば、動画配信アプリケーションを使用する場合、動画配信専用スライスに接続し、業務用アプリケーションを使用する場合、企業専用のスライスに接続することが実現される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「KDDIが先陣「ネットワークスライシング」、現在の限界と進化の道」, 日本クロステック(xTECH), 2022年4月19日, インターネット<URL: https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01273/00029/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ネットワークスライシングが適用された移動通信ネットワークにおいて、それぞれ特定のデータネットワーク(例えば企業ネットワーク)にのみ接続する複数のネットワークスライスを提供するケースが想定されうる。このようなケースでは、アクセス先に応じて端末装置がネットワークスライスの使い分けを適切に行える必要がある。
【0005】
そこで、本開示は、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する複数のネットワークスライスが設定された移動通信ネットワークにおいて、端末装置によるネットワークスライスの使い分けを適切に行うことを可能にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る端末装置は、無線アクセスネットワーク(RAN)を介してデータネットワークにアクセスする端末装置であって、複数のネットワークスライスにそれぞれ対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を取得する取得手段であって、前記複数のネットワークスライスは、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する、前記取得手段と、データ通信のためのアクセス先を識別するための識別情報を含む問い合わせメッセージを、サーバ装置へ送信する送信手段と、前記問い合わせメッセージに対する応答として、前記識別情報に対応するIPアドレスを含む応答メッセージを、前記サーバ装置から受信する受信手段と、前記複数のIPアドレス空間のうち、前記応答メッセージに含まれるIPアドレスが属するIPアドレス空間に対応するネットワークスライスを介して、前記アクセス先とのデータ通信を行う通信手段と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る無線アクセスネットワーク(RAN)を介して端末装置と通信可能であり、コアネットワークに配置される制御装置であって、ネットワークスライスの割り当てを求める要求メッセージを、前記端末装置から受信する受信手段と、前記端末装置から受信された前記要求メッセージに応じて、複数のネットワークスライスを前記端末装置に割り当てる割当手段と、前記端末装置に割り当てられた前記複数のネットワークスライスに対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を含むメッセージを、前記端末装置へ送信する送信手段であって、前記通知情報は、前記端末装置がアクセス先とのデータ通信を行う際に、当該アクセス先を示すIPアドレスが属するIPアドレス空間に対応するネットワークスライスを介してデータ通信を行うために使用される、前記送信手段と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する複数のネットワークスライスが設定された移動通信ネットワークにおいて、端末装置によるネットワークスライスの使い分けを適切に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】移動通信ネットワークの構成例を示す図
図2】移動通信ネットワークと複数のデータネットワークとの接続構成例を示す図
図3】ネットワークスライスとIPアドレス空間との対応関係の例を示す図
図4】移動通信ネットワークにおける処理シーケンスの例を示すシーケンス図
図5】端末装置のハードウェア構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<移動通信ネットワークの構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る移動通信ネットワークの構成例を示す。移動通信ネットワーク20は、無線アクセスネットワーク(RAN)及びコアネットワークを含む。端末装置10は、移動通信ネットワーク2によって提供される移動通信サービスを利用する無線デバイスであり、ユーザ装置(UE)とも称されうる。移動通信ネットワーク20は、一例として第5世代(5G)の移動通信ネットワークとして構成されるが、ネットワークスライシングが適用可能である限り、5Gの移動通信ネットワークに限定されない。
【0012】
移動通信ネットワーク2は、複数のデータネットワーク(DN)へのアクセスを提供する。本実施形態では、図1に示すように、移動通信ネットワーク2は、インターネット、及びインターネット以外のN個のDN(DN#1~DN#N)へのアクセスを提供するように構成される。インターネット以外のDNは、例えば、企業ネットワーク等のイントラネット(プライベートネットワーク)でありうる。端末装置10は、RANに接続し、RAN及びコアネットワークを介して各DNにアクセスすることが可能である。例えば、端末装置10は、例えば、インターネット上のサーバ装置にアクセスし、当該サーバ装置とのデータ通信を行うことが可能である。また、端末装置10は、特定の企業ネットワークで構成されたDNへのリモートアクセスを行うことも可能である。
【0013】
移動通信ネットワーク20には、それぞれ異なるネットワーク要件(サービス要件)に対応する複数の論理ネットワークとして複数のネットワークスライス(以下、単に「スライス」とも称する。)を設定可能である。本実施形態では、移動通信ネットワーク20のコアネットワークに配置されたスライス制御装置30は、RANにアクセスする端末装置10又はユーザごとに、複数のスライスのそれぞれの割り当てを行う。スライス制御装置30は、例えば、5Gの移動通信ネットワークにおけるネットワーク機能(NF)群のうち、端末装置10のモビリティを管理するアクセス及びモビリティ管理機能(AMF)を実装する装置でありうる。
【0014】
図2は、移動通信ネットワーク20と複数のDNとの接続構成例を示している。本実施形態の移動通信ネットワーク20では、インターネットへのアクセスを提供するデフォルトのネットワークスライスと、それぞれ個別のDNへのアクセスを提供する複数(N個)のネットワークスライスとが設定される。図2に示す例では、デフォルトのネットワークスライス(スライス#0)と、デフォルトスライス以外の2個のネットワークスライス(スライス#1及び#2)とが設定されている。デフォルトのネットワークスライス(スライス#0)は、インターネットに対して接続され、インターネットへのアクセスを端末装置10へ提供する。スライス#1は、DN#1に対してのみ接続され、DN#1へのアクセスのみを端末装置10へ提供する。スライス#2は、DN#2に対してのみ接続され、DN#2へのアクセスのみを端末装置10へ提供する。
【0015】
本実施形態では、DN#1及び#2は、それぞれ固有のIPアドレス空間を割り当てられたネットワークで構成され、例えば、特定の企業ネットワーク(イントラネット)で構成される。スライス制御装置30は、移動通信ネットワーク20に設定された複数のスライス(スライス#1~#N)と、それぞれに対応するDNに割り当てられたIPアドレス空間とを対応付けて管理する。
【0016】
図3は、スライス制御装置30によって管理されている、ネットワークスライスとIPアドレス空間との対応関係の例を示す。図3に示す例では、スライス#1が、DN#1に割り当てられたIPアドレス空間Aと対応付けられ、スライス#2が、DN#2に割り当てられたIPアドレス空間Bと対応付けられている。
【0017】
<端末装置の構成例>
端末装置10は、一例として、図5に示されるようなハードウェア構成を有する。具体的には、端末装置10は、CPU101、ROM102、RAM103、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置(ストレージ)104、通信部105、表示部106、及び操作部107を備える。
【0018】
端末装置10では、例えばROM102、RAM103及びストレージ104のいずれかに格納されたプログラムがCPU201によって実行されることで、後述する端末装置10による各処理が実現されうる。なお、CPU101は、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)等の1つ以上のプロセッサによって置き換えられてもよい。通信部105は、CPU101による制御下で、外部装置との通信(無線通信)を行うための通信インタフェースである。端末装置10は、それぞれ接続先が異なる複数の通信部105を有していてもよい。表示部106は、液晶ディスプレイ等で構成されうる。操作部107は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等の入力デバイスで構成されうる。
【0019】
<処理シーケンス>
図4は、本実施形態に係る移動通信ネットワーク20において、端末装置10がいずれかのDN上のアクセス先とのデータ通信を開始するための処理のシーケンスの例を示すシーケンス図である。なお、端末装置10は、インターネットへのアクセスを提供するデフォルトスライス(スライス#0)を予め使用可能であるものとする。
【0020】
まずS401で、端末装置10は、スライスの割り当てを求める要求メッセージ(スライス割当要求)を、デフォルトスライスを介してコアネットワークへ送信する。スライス割当要求の送信は、操作部107を介したユーザ入力に応じて行われてもよい。このユーザ入力は、例えば、データ通信用の所定のアプリケーションの操作により行われてもよい。スライス割当要求には、端末装置10の識別情報(例えば、国際移動体加入者識別番号(IMSI))が含まれる。端末装置10からコアネットワークへ送信されたスライス割当要求は、スライス制御装置30によって受信される。
【0021】
端末装置10からスライス割当要求を受信したスライス制御装置30は、S402で、端末装置10に対するスライスの割り当てとともに、端末装置10へ送信する通知情報を生成する。スライス制御装置30は、スライス割当要求に応じて端末装置10に対して割り当てるべき複数のスライスを示す情報を予め保持している。なお、端末装置10に対して割り当てるべき複数のスライスは、例えば、端末装置10のユーザに対応する契約条件として定められている。
【0022】
スライス制御装置30は、スライス割当要求に含まれる、端末装置10の識別情報に基づいて、端末装置10に対して割り当てるべき複数のスライスを特定し、端末装置10に対する割り当てを行う。スライス制御装置30は更に、端末装置10に割り当てた複数のスライスに関する情報を含む通知情報を生成する。この通知情報は、端末装置10に割り当てられた複数のスライスのそれぞれにおいて使用されているIPアドレス空間を示す。本例では、端末装置10に対してスライス#1及び#2が割り当てられ、通知情報は、スライス#1において使用されているIPアドレス空間Aと、スライス#2において使用されているIPアドレス空間Bとを示す。
【0023】
より具体的には、通知情報は、端末装置10に割り当てられた複数のスライスのそれぞれの識別子と、当該識別子に対応付けられたIPアドレス空間を示す情報とを含む。各スライスの識別子は、例えば、単一ネットワークスライス選択アシスタンス情報(S-NSSAI:Single-Network Slice Selection Assistance Information)で構成される。
【0024】
S403で、スライス制御装置30は、スライス割当要求に対する応答として、生成した通知情報を含むメッセージ(スライス情報通知)を、デフォルトスライスを介して端末装置10へ送信する。端末装置10は、デフォルトスライスを介して当該スライス情報通知を受信する。
【0025】
このように、端末装置10は、ネットワークスライスの割り当てを求める要求メッセージ(スライス割当要求)をコアネットワークへ送信し、当該要求メッセージに対する応答として通知情報を含むメッセージ(スライス情報通知)を受信する。即ち、端末装置10は、それぞれ個別のDNへのアクセスを提供する複数のスライスにそれぞれ対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を取得する。S404で、端末装置10は、取得した通知情報を、RAM103又はストレージ104に保存することで保持する。
【0026】
なお、端末装置10は、取得した通知情報を表示部106に表示することによって当該通知情報をユーザに通知してもよい。例えば、端末装置10は、各スライスに対応付けられているIPアドレス(の範囲)をユーザが確認できるように、ユーザによる設定操作を受け付けるための設定画面に通知情報を表示する。また、この設定画面は、スライスの設定又は削除をユーザが指示することができるように構成されてもよい。
【0027】
通知情報の保存後、S405で、端末装置10は、当該通知情報に基づいて、スライス制御装置30によって割り当てられたスライス(本例ではスライス#1及び#2)との接続を確立する処理を行う。これにより、端末装置10は、デフォルトスライスに加えて、接続を確立したスライス#1及び#2を介したデータ通信を行うことが可能になる。
【0028】
その後、S411で、端末装置10は、例えばユーザが操作部107を操作して、データ通信用の所定のアプリケーションを起動させることで、データ通信のためのアクセス要求が発生すると、アクセス先とのデータ通信を開始するための処理を行う。所定のアプリケーションは、例えば、企業ネットワークへのリモートアクセスを実現するためのアプリケーションでありうる。
【0029】
まずS412で、端末装置10は、データ通信のためのアクセス先を識別するための識別情報(例えば、アクセス先を示すURL)を含む問い合わせメッセージを、DNSサーバ40へ送信する。本実施形態において、DNSサーバ40は、例えば、インターネット上に配置されたサーバであってもよいし、移動通信ネットワーク20のコアネットワークに配置されたサーバであってもよい。
【0030】
S413で、DNSサーバ40は、受信した問い合わせメッセージに基づいて応答情報を生成する。DNSサーバ40は、受信した問い合わせメッセージに含まれる識別情報(例えばURL)を、対応するIPアドレスに変換するDNSサーバ機能を有するサーバ装置である。本例では、DNSサーバ40は、受信した問い合わせメッセージに含まれる、アクセス先を示すURLに対応するIPアドレスを含む応答情報を生成する。S414で、DNSサーバ40は、生成した応答情報を含む応答メッセージを、デフォルトスライスを介して端末装置10へ送信する。
【0031】
このようにして、端末装置10は、問い合わせメッセージに対する応答として、アクセス先の識別情報(例えばURL)に対応するIPアドレスを含む応答メッセージを、DNSサーバ40から受信する。応答メッセージを受信すると、端末装置10は、S415で、当該応答メッセージに含まれるIPアドレスに基づいて、アクセス用のスライスの選択を行う。
【0032】
具体的には、端末装置10は、保存されている通知情報が示す複数のIPアドレス空間(本例では、IPアドレス空間A及びB)のうち、応答メッセージに含まれるIPアドレスが属するIPアドレス空間を特定する。端末装置10は、特定したIPアドレス空間に対応するスライスを、アクセス用のスライスとして選択する。例えば、応答メッセージに含まれるIPアドレスがIPアドレス空間Aに属する場合、IPアドレス空間Aに対応するスライス#1が選択される。なお、端末装置10は、応答メッセージに含まれるIPアドレスが、保存されている通知情報が示す複数のIPアドレス空間のいずれにも属さないものである場合、アクセス用のスライスとしてデフォルトのネットワークスライスを選択してもよい。
【0033】
その後S416で、端末装置10は、選択したスライス(本例では、スライス#1、スライス#2又はデフォルトスライス)を介して、アクセス先とのデータ通信を開始する。なお、端末装置10は、アクセス先とのデータ通信中に、いずれのスライスを利用してデータ通信を行っているかを示す情報を表示部106に表示することで、当該情報をユーザに通知してもよい。例えば、表示部106の表示領域内の、アンテナマークが表示される領域に、データ通信に利用中のスライスを示す表示オブジェクト(例:スライス#1の場合には「S#1」のような表示)が表示されることで、そのような通知が行われてもよい。これにより、データ通信に利用中のスライスをユーザが認識できるようになる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の端末措置10は、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する複数のネットワークスライスにそれぞれ対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報を取得する。通知情報の取得は、ネットワークスライスの割り当てを求める要求メッセージをコアネットワークへ送信し、当該要求メッセージに対する応答として当該通知情報を含むメッセージを受信することによって行われうる。端末装置10は、データ通信のためのアクセス先を識別するための識別情報を含む問い合わせメッセージをサーバ装置(DNSサーバ40)へ送信し、当該問い合わせメッセージに対する応答として、当該識別情報に対応するIPアドレスを含む応答メッセージをサーバ装置から受信する。端末装置10は更に、複数のIPアドレス空間のうち、受信した応答メッセージに含まれるIPアドレスが属するIPアドレス空間に対応するネットワークスライスを介して、アクセス先とのデータ通信を行う。
【0035】
このように、端末装置10は、当該端末装置に割り当てられた複数のネットワークスライスに対応する複数のIPアドレス空間に関する通知情報に基づいて、アクセス先とのデータ通信に使用するネットワークスライスを選択する。これにより、端末装置10が、アクセス先に応じてネットワークスライスの使い分けを行うことが可能になる。したがって、本実施形態によれば、それぞれ個別のデータネットワークへのアクセスを提供する複数のネットワークスライスが設定された移動通信ネットワーク20において、端末装置10によるネットワークスライスの使い分けを適切に行うことが可能になる。
【0036】
上述の実施形態では、アクセス用に選択されたスライスを利用してアクセス先とのデータ通信を開始する処理について説明したが、データ通信中に、利用するスライスの切り替えが行われてもよい。例えば、端末装置10のWebブラウザを用いて会社HPの一般向けのサイトが閲覧される場合には、デフォルトスライスを利用し、関係者(社員等)用のサイトが閲覧される場合には、イントラネット用のスライス(例えば、スライス#1又は#2)を利用するユースケースが想定される。このユースケースでは、一般向けサイトの閲覧後に関係者用のサイトの閲覧に遷移するタイミングにおいて、利用するスライスの切り替えが行われる。即ち、アクセス先の切り替えに応じて、アクセス先に対応するIPアドレスに基づいてスライスの切り替えが行われてもよい。その場合、端末装置10は、利用中のスライスが切り替わる際に(例えば、一般向けサイトの閲覧から関係者用のサイトの閲覧への遷移タイミングに)、利用中のスライスが別のスライスに切り替わることをユーザに通知してもよい。
【0037】
このように、端末装置10は、アクセス先に対応するIPアドレスの切り替えに応じて、アクセス先とのデータ通信に利用するスライスの切り替えを行ってもよい。更に、端末装置10は、スライスの切り替えの際に、スライスの切り替えについてユーザに通知してもよい。このような処理によれば、アクセス先に対応するIPアドレスの切り替えに応じて、端末装置10によるスライスの使い分けを適切に行うことが可能になる。
【0038】
[その他の実施形態]
上述の実施形態に係る端末装置は、コンピュータを端末装置として機能させるためのコンピュータプログラムにより実現することができる。当該コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶されて配布が可能なもの、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0039】
なお、本発明により、例えば、移動通信ネットワークにおいて、端末装置によるネットワークスライスの使い分けを適切に行うことが可能になることから、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0040】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10:端末装置、20:移動通信ネットワーク、30:スライス制御装置、40:DNSサーバ
図1
図2
図3
図4
図5