(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126491
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】トンネル施工支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
E21D 9/04 20060101AFI20240912BHJP
E02D 3/12 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E21D9/04 A
E02D3/12 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034889
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000129758
【氏名又は名称】株式会社ケー・エフ・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】間野 真至
(72)【発明者】
【氏名】真壁 雄貴
(72)【発明者】
【氏名】瀧 穂高
【テーマコード(参考)】
2D040
2D054
【Fターム(参考)】
2D040AB01
2D040DA02
2D040FA08
2D054FA02
(57)【要約】
【課題】直近で切羽前方補強工が施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を確認できると共に、注入材の注入状況を3次元モデルで示してCIM化できる。
【解決手段】トンネル施工支援装置1の制御部11が、取り込んで記憶部13に格納する区分領域識別情報で特定される区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入圧と、記憶部12に格納する測点情報とトンネル断面情報と注入孔101の開口部位置情報と注入孔101の空間部の延長状態情報と領域情報を用い、トンネル掘進の最前端の測点を含む複数の測点情報に対応する複数の測点において、区分領域識別情報に対応する区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成し、出力するトンネル施工支援システム。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル坑口付近の基準点に対する測点情報と、
前記測点情報の各々に対応するトンネル断面情報と、
前記トンネル断面情報の各々に対応する注入孔の開口部位置情報と、
前記注入孔の開口部からトンネル掘進方向の前方に向かって延びる前記注入孔の空間部の延長状態情報と、
前記注入孔の空間部を長手方向に区分した区分領域を規定する領域情報と、
を記憶部に格納すると共に、
区分領域識別情報で特定される前記区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入圧を前記記憶部に格納し、
制御部が、
前記測点情報と前記トンネル断面情報と前記開口部位置情報と前記空間部の延長状態情報と前記領域情報を用い、トンネル掘進の最前端の測点を含む複数の前記測点情報に対応する複数の測点において、前記区分領域識別情報に対応する前記区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成し、
前記3D注入状況モデルを出力することを特徴とするトンネル施工支援システム。
【請求項2】
前記制御部が、前記区分領域のそれぞれの最終注入圧に応じて前記区分領域に着色若しくは模様を付すようにして、前記区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成することを特徴とする請求項1記載のトンネル施工支援システム。
【請求項3】
前記区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入量を前記記憶部に格納し、
前記制御部が、トンネル掘進の最前端の測点を含む複数の前記測点情報に対応する複数の測点において、前記区分領域識別情報に対応する前記区分領域のそれぞれの最終注入量を視覚的に示す前記3D注入状況モデルを生成することを特徴とする請求項1記載のトンネル施工支援システム。
【請求項4】
前記制御部が、前記区分領域のそれぞれの最終注入量に応じて前記区分領域の太さを増やす若しくは前記区分領域の長さを伸ばすようにして、前記区分領域のそれぞれの最終注入量を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成することを特徴とする請求項3記載のトンネル施工支援システム。
【請求項5】
前記制御部が、前記3D注入状況モデルの代表点をローカル座標系の原点に設定し、前記3D注入状況モデルを回転表示可能な状態で出力することを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のトンネル施工支援システム。
【請求項6】
制御部と記憶部を備えるコンピュータ装置に、
前記測点情報の各々に対応するトンネル断面情報と、前記トンネル断面情報の各々に対応する注入孔の開口部位置情報と、前記注入孔の開口部からトンネル掘進方向の前方に向かって延びる前記注入孔の空間部の延長状態情報と、前記注入孔の空間部を長手方向に区分した区分領域を規定する領域情報とを格納させる処理と、
区分領域識別情報で特定される前記区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入圧とを格納させる処理と、
前記測点情報と前記トンネル断面情報と前記開口部位置情報と前記空間部の延長状態情報と前記領域情報を用い、トンネル掘進の最前端の測点を含む複数の前記測点情報に対応する複数の測点において、前記区分領域識別情報に対応する前記区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成し、前記3D注入状況モデルを出力する処理とを実行させることを特徴とするトンネル施工支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの地山に注入された注入材の注入状況を視覚的に示すトンネル施工支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルの地山に注入された注入材の注入状況を視覚的に示すものとして特許文献1のトンネル施工支援システムがある。このシステムは、複数の注入孔を絵にした複数の棒線状の注入孔対応部が複数の注入孔どうしの実際の並び順の通りに棒線状の注入孔対応部の伸び方向と交差する向きに間隔を置いて並べられて表された注入孔配置図を用い、各注入孔における注入材の注入量及び注入圧を含む注入データに基づき各注入孔及びその周辺部が安定しているか否かの良否状態を示す良否データを作成し、良否データの良否状態に応じて各注入孔の注入データを色データに変換し、注入孔配置図中の各注入孔対応部内を良否状態を示す色で着色表示するようになっている(特許文献1の請求項1、請求項4、請求項7、
図8参照)。また、地山の注入孔に注入材を注入するシステムとして特許文献2の注入制御システムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7124016号公報
【特許文献2】特許第7063530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のシステムは、補助工法としての注入材の注入工程中に切羽前方の地山の良否状態に関するデータを絵図である注入孔配置図中の各注入孔対応部内に着色表示するもの、換言すれば補助工法の施工における注入工程を行っている最中にその施工断面の切羽前方地山の安定性の良否状態に関するデータを着色して平面表示するものである。そのため、切羽の前方地山における安定性の良否を確認することはできるものの、現在施工中のトンネル断面である切羽より後方のトンネル断面において既に施工された注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を確認することはできない。適切なトンネル施工を行うには、現在施工中のトンネル断面より後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を確認できるようにすることが望ましい。
【0005】
また、近年、土木構造物の施工作業の効率化を目的として、CIM化(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)が進められており、トンネル施工においても3次元モデルを中心に関係者間で情報共有し、施工作業を効率化・高度化することが求められている。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、直近で施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を確認することができると共に、注入材の注入状況を3次元モデルで示してCIM化することができるトンネル施工支援システム及びトンネル施工支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のトンネル施工支援システムは、トンネル坑口付近の基準点に対する測点情報と、前記測点情報の各々に対応するトンネル断面情報と、前記トンネル断面情報の各々に対応する注入孔の開口部位置情報と、前記注入孔の開口部からトンネル掘進方向の前方に向かって延びる前記注入孔の空間部の延長状態情報と、前記注入孔の空間部を長手方向に区分した区分領域を規定する領域情報とを記憶部に格納すると共に、区分領域識別情報で特定される前記区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入圧を前記記憶部に格納し、制御部が、前記測点情報と前記トンネル断面情報と前記開口部位置情報と前記空間部の延長状態情報と前記領域情報を用い、トンネル掘進の最前端の測点を含む複数の前記測点情報に対応する複数の測点において、前記区分領域識別情報に対応する前記区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成し、前記3D注入状況モデルを出力することを特徴とする。
これによれば、トンネル掘進方向においてトンネル掘進方向の前方に向かって注入が施された複数の測点の注入材の注入状況をトンネルが掘り進んだ後も、周辺地山がどのような状況であったかを示す地盤状況の情報として、視覚的に認識させることができる。即ち、直近で施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を施工関係者が確認することができる。また、トンネル掘進方向の前方に向かって補助工法として注入された注入材の最終注入圧をその時々の地山状況としてCIM化し、可視化された画像として複数の測点に対応する3次元モデルの3D注入状況モデルを生成し、3D注入状況モデルを関係者間で情報共有して、トンネル施工の効率化、高度化を図ることができる。
【0008】
本発明のトンネル施工支援システムは、前記制御部が、前記区分領域のそれぞれの最終注入圧に応じて前記区分領域に着色若しくは模様を付すようにして、前記区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成することを特徴とする。
これによれば、それぞれの区分領域における注入材の注入圧による注入状況を対応色若しくは対応模様で示し、優れた視認性で認識させることができる。
【0009】
本発明のトンネル施工支援システムは、前記区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入量を前記記憶部に格納し、前記制御部が、トンネル掘進の最前端の測点を含む複数の前記測点情報に対応する複数の測点において、前記区分領域識別情報に対応する前記区分領域のそれぞれの最終注入量を視覚的に示す前記3D注入状況モデルを生成することを特徴とする。
これによれば、注入材の注入圧と注入量の双方のデータに基づき、直近で施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を施工関係者が確認することができる。また、注入材の最終注入圧と最終注入量をその時々の地山状況としてCIM化し、これに基づく複数の測点に対応する3D注入状況モデルを生成することができる。
【0010】
本発明のトンネル施工支援システムは、前記制御部が、前記区分領域のそれぞれの最終注入量に応じて前記区分領域の太さを増やす若しくは前記区分領域の長さを伸ばすようにして、前記区分領域のそれぞれの最終注入量を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成することを特徴とする。
これによれば、それぞれの区分領域における注入材の注入量による注入状況を対応する太さ若しくは対応する長さで示し、優れた視認性で認識させることができる。
【0011】
本発明のトンネル施工支援システムは、前記制御部が、前記3D注入状況モデルの代表点をローカル座標系の原点に設定し、前記3D注入状況モデルを回転表示可能な状態で出力することを特徴とする。
これによれば、3D注入状況モデルを回転表示して、複数の測点に対応する注入孔の重なりで隠れた位置の注入材の注入状況を容易に確認することができる。
【0012】
本発明のトンネル施工支援プログラムは、制御部と記憶部を備えるコンピュータ装置に、前記測点情報の各々に対応するトンネル断面情報と、前記トンネル断面情報の各々に対応する注入孔の開口部位置情報と、前記注入孔の開口部からトンネル掘進方向の前方に向かって延びる前記注入孔の空間部の延長状態情報と、前記注入孔の空間部を長手方向に区分した区分領域を規定する領域情報とを格納させる処理と、区分領域識別情報で特定される前記区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入圧とを格納させる処理と、前記測点情報と前記トンネル断面情報と前記開口部位置情報と前記空間部の延長状態情報と前記領域情報を用い、トンネル掘進の最前端の測点を含む複数の前記測点情報に対応する複数の測点において、前記区分領域識別情報に対応する前記区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成し、前記3D注入状況モデルを出力する処理とを実行させることを特徴とする。
これによれば、トンネル掘進方向においてトンネル掘進方向の前方に向かって注入が施された複数の測点の注入材の注入状況をトンネルが掘り進んだ後も、周辺地山がどのような状況であったかを示す地盤状況の情報として、視覚的に認識させることができる。即ち、直近で施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を施工関係者が確認することができる。また、トンネル掘進方向の前方に向かって補助工法として注入された注入材の最終注入圧をその時々の地山状況としてCIM化し、可視化された画像として複数の測点に対応する3次元モデルの3D注入状況モデルを生成し、3D注入状況モデルを関係者間で情報共有して、トンネル施工の効率化、高度化を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、直近で施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を確認することができると共に、注入材の注入状況を3次元モデルで示してCIM化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明による実施形態のトンネル施工支援システムのトンネル施工支援装置の構成を示すブロック図。
【
図2】実施形態における分配制御装置の構成を示すブロック図。
【
図4】実施形態におけるポンプユニットで注入材が注入される地山の注入孔及びその周辺の例を示す断面説明図。
【
図5】実施形態のトンネル施工支援システムによる3D注入状況モデルの生成処理を示すフローチャート。
【
図6】実施形態のトンネル施工支援システムで生成した3D注入状況モデルの例を示す斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態のトンネル施工支援システム〕
本発明による実施形態のトンネル施工支援システムは、
図1に示すトンネル施工支援装置1で構成される。トンネル施工支援装置1は、単体のサーバや単体のパーソナルコンピュータ等の単体のコンピュータ装置、或いは通信回線で接続された複数のコンピュータ装置からなるコンピュータ装置群で構成することが可能であり、例えばトンネル施工の現場事務所に設置されるサーバとされる。
【0016】
トンネル施工支援装置1は、MPU、CPU等の制御部11と、HDD、SSD、ROM、RAM等で構成される記憶部12及び記憶部13と、マウス、キーボード、タッチパネル等の入力部14と、ディスプレイ、プリンター等の出力部15と、トンネル施工支援装置1を無線或いは有線の通信回線に接続する通信部16を備える。トンネル施工支援装置1は、通信部16、通信回線を介して、特許文献2の注入制御システムにおける
図2の分配制御装置2のような地山100の注入孔101に注入された注入材の最終注入圧と最終注入量を取得可能な注入制御装置と接続される。
【0017】
トンネル施工支援装置1の記憶部12は、3D注入状況モデルを生成する所定の制御処理を制御部11に実行させる制御プログラムを格納する制御プログラム格納部121と、トンネル坑口付近の基準点に対する測点情報を格納する測点情報格納部122と、測点情報の各々に対応するトンネル断面情報を格納するトンネル断面情報格納部123と、トンネル断面情報の各々に対応する注入孔101の開口部位置情報を格納する開口部位置情報格納部124と、注入孔101の開口部からトンネル掘進方向の前方に向かって延びる注入孔101の空間部の延長状態情報を格納する延長状態情報格納部125と、注入孔101の空間部を長手方向に区分した区分領域を規定する領域情報を格納する領域情報格納部126と、注入孔101の区分領域の注入圧を視覚化する視覚化情報を格納する注入圧視覚化情報格納部127と、注入孔101の区分領域の注入量を視覚化する視覚化情報を格納する注入量視覚化情報格納部128と、3D注入状況モデルを表示する3次元空間を規定するワールド座標系を格納する座標系格納部129とを備える。
【0018】
測点情報格納部122に格納される測点情報は、各測点STAのトンネル掘進方向におけるトンネル坑口付近の基準点からの離間距離等で示される位置情報と、各測点STAの識別情報とから構成される。トンネル断面情報格納部123に格納されるトンネル断面情報は、各測点STAの識別情報と、それぞれの識別情報で特定される各測点STAの断面情報であるスプリングラインの高さ、内空幅、内空高さ、上半単心円断面、上半半径等の内空形状、内空断面積、内空断面の中心線の位置等とから構成される。開口部位置情報格納部124に格納される開口部位置情報は、各測点STAの識別情報と、それぞれの識別情報で特定される各測点STAにおける各々の注入孔101の開口部が配置される位置情報と、それぞれの注入孔101の開口部の識別情報とから構成される。
【0019】
延長状態情報格納部125に格納される延長状態情報は、それぞれの注入孔101の開口部の識別情報と、各識別情報で特定される注入孔101の開口部からトンネル掘進方向の前方に向かって延びる注入孔101の空間部のトンネル掘進方向の軸線に対する傾斜角度情報と、各識別情報で特定される注入孔101の空間部の長さ情報と、それぞれの注入孔101の空間部の識別情報等とから構成される。この傾斜角度情報には、例えばAGF工法のように注入孔101の空間部がトンネル掘進方向の前方に向かって外側に拡がるように延びる場合には+の傾斜角度等が設定され、例えば鏡補強工のように注入孔101の空間部がトンネル掘進方向の前方に向かってトンネル断面に対して垂直に延びる場合には0度の傾斜角度等が設定される。また、後述する3D注入状況モデルの区分領域を注入材の注入量に応じて伸ばす場合には、前述の注入孔101の空間部の長さ情報や識別情報に代えて、例えば注入孔101の開口部の中心点から前記傾斜角度情報の傾斜角度で延びる線分の長さ情報とその識別情報を設定するとよい。
【0020】
領域情報格納部126に格納される区分領域を規定する領域情報は、各注入孔101の開口部や各注入孔101の空間部を特定する識別情報と、各識別情報で特定される注入孔101の空間部の区分領域情報と、注入孔101の空間部のそれぞれの区分領域を識別する区分領域識別情報とから構成される。各々の区分領域情報は、例えば注入孔101の開口部を始点とし、注入孔101の開口部に最も近い第1区分領域の終わりを終点とした場合における始点と終点との間の離間距離を第1区分領域を規定する区分領域情報とし、第1区分領域の前側に隣接する第2区分領域の始点、換言すれば第1区分領域の終点と第2区分領域の終点との間の離間距離を第2区分領域情報とする等により設定される。また、後述する3D注入状況モデルの区分領域を注入材の注入量に応じて伸ばす場合には、前述の各区分領域に対応する離間距離に代えて、例えば各区分領域の移動可能な終点の初期位置を設定し、注入孔101の開口部に最も近い第1区分領域よりも前方に位置する各区分領域の各始点は、各区分領域の後方に位置する区分領域の終点と一致させるようにして伸ばすようにするとよい。
【0021】
注入圧視覚化情報格納部127に格納される注入圧視覚化情報には、例えば注入材の注入圧の圧力の大きさに応じて段階的に区分された注入圧区分と、各注入圧区分に対応して3D注入状況モデルの区分領域に着色する色情報、又は各注入圧区分に対応して3D注入状況モデルの区分領域に付する模様情報等が設定される。注入量視覚化情報格納部128に格納される注入量視覚化情報には、例えば注入材の注入量の圧力の大きさに応じて段階的に区分された注入量区分と、各注入量区分に対応して3D注入状況モデルで表示する区分領域の太さの径、又は各注入量区分に対応して3D注入状況モデルで表示する区分領域の長さ、換言すれば上述の区分領域を注入材の注入量に応じて伸ばす場合の各区分領域の終点の移動距離等が設定される。
【0022】
トンネル施工支援装置1の記憶部13は、分配制御装置2等から取り込んだ区分領域識別情報と、各識別情報で特定される区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入圧とを格納する最終注入圧格納部131と、分配制御装置2等から取り込んだ区分領域識別情報と、各識別情報で特定される区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入量とを格納する最終注入量格納部132とを備える。
【0023】
トンネル施工支援装置1の制御プログラムと協働する制御部11は、例えば各区分領域の注入ポンプ停止時の圧力検出部の圧力値と流量検出部の流量値をそれぞれの区分領域の最終注入圧と最終注入量として、区分領域の識別情報と併せて、通信部16を介して分配制御装置2から取り込み、それぞれ最終注入圧格納部131と最終注入量格納部132に格納する。
【0024】
また、
図2及び
図3の例の分配制御装置2は、注入ポンプ33を有し且つ分配制御装置2と電気的に接続されている複数のポンプユニット3と、各ポンプユニット3に二液混合硬化タイプの注入材の第1液を供給する第1液タンク4と、各ポンプユニット3に二液混合硬化タイプの注入材の第2液を供給する第2液タンク5と供に、特許文献2と同様の注入制御システムを構成している。図示例では、4個のポンプユニット3が分配制御装置2に接続されており、4個のポンプユニット3は、いずれも地山100の同一の注入孔101に注入材を注入するようになっている(
図4参照)。
【0025】
分配制御装置2は、MPU、CPU等の制御部21と、HDD、SSD、ROM、RAM等で構成される記憶部22と、入力部23と、出力部24と、制御部21が時刻を認識するための内蔵タイマー25と、分配制御装置2を無線或いは有線の通信回線に接続する通信部26を備える。分配制御装置2は、通信部26、通信回線を介して、通信部16を有するトンネル施工支援装置1と、通信部32を有するポンプユニット3に接続されている。
【0026】
分配制御装置2の記憶部22には、各ポンプユニット3の注入材の注入動作の制御を含む所定の制御処理を制御部21に実行させる制御プログラムを格納する制御プログラム格納部221と、目標注入量を格納する目標注入量格納部222と、設定された設定分配閾値を格納する分配閾値格納部223と、個別目標注入量を再設定するための再設定条件を格納する再設定条件格納部224と、設定停止時間を格納する設定停止時間格納部225と、注入材の注入圧の目標圧力を格納する目標圧力格納部226が設けられ、更に、各ポンプユニット3の注入材の注入動作の制御を含む所定の制御処理に必要とされる所定データを格納する記憶領域が設けられる。
【0027】
目標注入量格納部222には、同一の注入孔101に注入する注入材の総目標注入量と、総目標注入量に対して各々のポンプユニット3の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量が記憶され、総目標注入量と各注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量は初期設定されて格納されている。初期設定される個別目標注入量は、各ポンプユニット3の注入ポンプ33の性能に応じて、全てのポンプユニット3の注入材の注入終了時刻が同一或いはできる限り近くなるように初期設定するとよい。
【0028】
更に、目標注入量格納部222には、注入材の注入動作の途中で、同一の注入孔101に注入材を注入する全ての注入ポンプ33の注入終了時刻が近づくようにして再設定された、総目標注入量に対して各々の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量が記憶される。制御部21により、同一の注入孔101への注入材の注入完了前に、各々の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量を再設定する処理を複数回実行される場合、例えば再設定の個別目標注入量は書き換えるように更新して記憶する。
【0029】
分配閾値格納部223は、各々のポンプユニット3の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量を再設定する処理の実行の要否を判定する基準となる設定分配閾値を格納する。例えば、算出時における注入残量が最大のポンプユニット3の注入ポンプ33の注入残量と、注入残量が最小のポンプユニット3の注入ポンプ33の注入残量との注入残量差と対比する基準となる第1の設定分配閾値(注入残量差の設定分配閾値)と、同一の注入孔101への注入材の注入終了間際に全てのポンプユニット3の注入ポンプ33の注入残量の合計注入残量と対比する基準となる第2の設定分配閾値(合計注入残量の設定分配閾値)と、第2の設定分配閾値(合計注入残量の設定分配閾値)による個別目標注入量の再設定処理の後に、算出時における注入残量が最大のポンプユニット3の注入ポンプ33の注入残量と、注入残量が最小のポンプユニット3の注入ポンプ33の注入残量との注入残量差と対比する基準となる第3の設定分配閾値(注入残量差の設定分配閾値)とが分配閾値格納部223に格納される。
【0030】
第2の設定分配閾値(合計注入残量の設定分配閾値)による個別目標注入量の再設定の要否の判定は、同一の注入孔101への注入材の注入中に行われるため、第2の設定分配閾値(合計注入残量の設定分配閾値)は、例えば同一の注入孔101に注入する注入材の総目標注入量に対する5割増程度の量に設定される。また、第3の設定分配閾値(注入残量差の設定分配閾値)による個別目標注入量の再設定の要否の判定は、注入材の注入中に行われる第2の設定分配閾値(合計注入残量の設定分配閾値)による個別目標注入量の再設定処理後の合計注入残量の少ないタイミングで行われるため、第3の設定分配閾値(注入残量差の設定分配閾値)には第1の設定分配閾値(注入残量差の設定分配閾値)よりも小さい量が設定される。
【0031】
再設定条件格納部224は、各々のポンプユニット3の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量を再設定する処理が必要と判定された際に、個別目標注入量の再設定の仕方となる再設定条件を格納する。再設定条件には、同一の注入孔101に注入材を注入する全てのポンプユニット3の注入ポンプ33の注入終了時刻が近づくように、注入材の積算注入量が予定注入量超であるポンプユニット3の注入ポンプ33の注入量を増加させ、注入材の積算注入量が予定注入量未満であるポンプユニット3の注入ポンプ33の注入量を減少させることができる適宜の条件を設定することが可能である。
【0032】
設定停止時間格納部225は、各々の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量を再設定する処理の完了時刻から、各々の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量を再度、再設定する処理を停止する時間である設定停止時間を格納する。制御部21は、同一の注入孔101に注入材を注入する各々の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量を再設定する処理の完了時刻から設定停止時間を経過するまで、各々の注入ポンプ33が注入を担う個別目標注入量を再度、再設定する処理を停止する。例えば、第2の設定分配閾値(合計注入残量の設定分配閾値)による個別目標注入量の再設定処理の完了時刻から設定停止時間を経過するまで、個別目標注入量を再度、再設定する処理を停止するようになっている。
【0033】
それぞれのポンプユニット3は、CPU、CPUの制御プログラムを格納するROM、RAM等で構成され、分配制御装置2から送信される注入制御指令に応じて注入ポンプ33の駆動制御を実行する駆動制御部31と、ポンプユニット3或いは駆動制御部31を無線或いは有線の通信回線に接続する通信部32と、注入材を移送して注入する注入ポンプ33と、図示省略する内蔵タイマーを備える。注入ポンプ33は、分配制御装置2から受信する制御指令に基づき、駆動制御部31によって注入動作を直接駆動制御される。
【0034】
本例における注入ポンプ33は、ポンプユニット3に供給される二液混合硬化タイプの注入材の第1液を貯留している第1液タンク4から第1液を吸い上げて第1液移送路34aに吐出する注入ポンプ33aと、二液混合硬化タイプの注入材の第2液を貯留している第2液タンク5から第2液を吸い上げて第2液移送路34bに吐出する注入ポンプ33bとから構成され、直接的にはそれぞれ駆動制御部31によって駆動制御される。二液混合硬化タイプの注入材の第1液と第2液は、注入材の種類に応じて所定比率で吐出されるようにして、分配制御装置2或いは駆動制御部31で注入ポンプ33a、33bの注入動作が制御され、例えばウレタン系注入材では第1液:第2液=1:2(容積比率)、シリカレジン系注入材では第1液:第2液=1:1(容積比率)となるように、注入ポンプ33a、33bから吐出される第1液と第2液の吐出流量が調整される。
【0035】
第1液移送路34aと第2液移送路34bには、それぞれ電磁バルブ35と、圧力計で構成される圧力検出部36と、流量計で構成される流量検出部37が設けられていると共に、ポンプユニット3から導出された第1液移送路34aと第2液移送路34bの先端部付近には手動又は所定の信号の受信により電磁的に操作されるボールバルブ6が設けられ、第1液移送路34aの先端部と第2液移送路34bの先端部は第1液と第2液を合流させる合流管7に接続されている。注入ポンプ33a、33bは、第1液と第2液を合流管7に向かって吐出するように、分配制御装置3或いは駆動制御部31で注入動作を制御される。注入材を構成する第1液と第2液の混合液を吐出する合流管7の吐出側には注入材の注入管8が接続されている。
【0036】
注入ポンプ33の各々に対応して設けられている電磁バルブ35と、圧力検出部36と、流量検出部37はそれぞれ駆動制御部31に電気的に接続されている。第1液移送路34aの電磁バルブ35と、第2液移送路34bの電磁バルブ35は、駆動制御部31の駆動制御によって開閉され、第1液移送路34aへの第1液の流入・移送と流入停止、第2液移送路34bへの第2液の流入・移送と流入停止が実行される。圧力検出部36と、流量検出部37は、注入ポンプ33aの第1液の吐出圧力と吐出流量、注入ポンプ33bの第2液の吐出圧力と吐出流量を検出し、検出された第1液の吐出圧力と吐出流量と、検出された第2液の吐出圧力と吐出流量は、それぞれ駆動制御部31に取り込まれ、通信部32を介して分配制御装置2に送信される。
【0037】
本実施形態の注入制御システムは、例えば
図4に示す地山100の注入孔101に注入材を注入する場合に用いられる。図示例では、地山100のトンネル鏡面に吹付コンクリート102が形成されていると共に、注入材の吐出孔が周壁に形成されている補強管91が地山100に打設されて注入孔101が形成されている。注入孔101の開口部である口元には口元コーキング92が設けられ、口元コーキング92の内側には管内コーキング93が設けられている。
【0038】
管内コーキング93には、隙間を貫通するようにして注入管8が挿入され、注入管8は管内コーキング83で支持されている。更に、補強管91の口元より奥側の位置にはスペーサ94が内装されており、より孔奥側まで導入される注入管8がスペーサ94の孔部に貫通するようにして挿入され、注入管8がスペーサ94で支持されている。図示例では、同一の注入孔101及び補強管91に挿入されている4本の注入管8のうち、1本の注入管8が管内コーキング93だけで支持され、3本の注入管8が管内コーキング93と必要に応じ設けられるスペーサ94で支持されている。
【0039】
各注入管8には、後端部に設けられている合流管7を介して第1液と第2液の混合液で構成される注入材が供給される。各注入管8は、その先端部のスタティックミキサー81で第1液と第2液の混合を促進して補強管91の内部に注入材を吐出する。各々の注入管8のスタティックミキサー81は、同一の注入孔101の深さ方向で異なる位置に配置され、地山100の深さ方向の異なる区分領域、換言すれば注入孔101の空間部を長手方向に区分した区分領域R1、R2、R3、R4に対応配置されている各スタティックミキサー81から注入材が補強管91の内部に吐出され、補強管91の吐出孔を介して注入孔101の周囲の地山100の区分領域R1、R2、R3、R4に注入材が浸透するようになっている。
【0040】
特許文献2の注入制御システムと同様に分配制御装置2の制御によって地山100の注入孔101に注入材を注入し、同一の注入孔101の区分領域R1、R2、R3、R4への注入材の注入が完了した際には、例えば注入孔の識別情報+特定の区分領域への注入材注入を担ったポンプユニット3の識別情報を区分領域識別情報とし、分配制御装置2の制御部21は、区分領域識別情報と、区分領域識別情報に対応するポンプユニット3の最終注入圧と最終注入量、換言すれば区分領域R1等に対する最終注入圧と最終注入量を取得し、区分領域識別情報とこれに対応する最終注入圧及び最終注入量をトンネル施工支援装置1に通信部26、通信回線を介して送信する。
【0041】
ここで、区分領域識別情報に対応する最終注入圧と最終注入量には、例えば区分領域識別情報に対応するポンプユニット3において注入材の注入終了時刻に圧力検出部36で検出された第1液の吐出圧力と流量検出部37で検出された第1液の吐出流量、或いは区分領域識別情報に対応するポンプユニット3において注入材の注入終了時刻に圧力検出部36で検出された第2液の吐出圧力と流量検出部37で検出された第2液の吐出流量のいずれかを選択的に採用するか、第1液と第2液の最終又は最終注入圧と最終注入量のいずれか大なる値、或いはそれらの平均値等を用いることが可能である。特に、本発明のトンネル施工支援装置1が適用される補助工法のような地山注入においては、所定の圧力範囲で注入が行われるように施工管理されるが、孔内でなんらかの事情があって注入材が異常に加圧されてしまっている状態ではポンプが強制停止されてその領域の注入が終了し、或いは注入が進行し孔内が注入材で満たされているはずにもかかわらずあまりにも圧が上がらない、即ち周辺地山に注入材がリークしている可能性があり注入を終了せざるを得ない、等の事情によって注入が終了することがあり、故に特に最終注入圧は注入が施された地山の状況を的確に反映する指標となり、さらに、最終注入量はその地山領域に対してどれだけの注入を施したかの指標となる。
【0042】
トンネル施工支援装置1の制御部11は、通信部16を介して分配制御装置2から取り込んだ区分領域識別情報と、区分領域識別情報で特定される区分領域に対応する注入材の最終注入圧を最終注入圧格納部131に格納すると共に、分配制御装置2から取り込んだ区分領域識別情報と、区分領域識別情報で特定される区分領域に対応する注入材の最終注入量を最終注入量格納部132に格納する。
【0043】
そして、トンネル坑口付近の基準点からの測点STAの識別情報00001、00002、00003、…、00xxxのうち、トンネル掘進の最前端の測点STAを含む複数の測点情報に対応する複数の測点STAについて、例えば測点STAの識別情報00501~測点STAの識別情報00xxxが入力部14からトンネル施工支援装置1に入力された場合、トンネル施工支援装置1の制御部11はこれに応じて、測点STAの識別情報に対応する測点情報と、対応するトンネル断面情報と、対応する注入孔101の開口部位置情報と、対応する注入孔101の空間部の延長状態情報と、特定された注入孔101対応する区分領域を規定する区分領域識別情報を含む領域情報を記憶部13から抽出する(
図5のS1参照)。
【0044】
更に、トンネル施工支援装置1の制御部11は、注入孔101の対応する区分領域識別情報で特定される区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入圧と区分領域のそれぞれに対する注入材の最終注入量とを記憶部13から抽出し(
図5のS2参照)、トンネル掘進の最前端の測点STAを含む複数の測点情報に対応する複数の測点STAにおいて、注入孔101の区分領域識別情報に対応する区分領域のそれぞれの最終注入圧を視覚的に示すと共に、これらの区分領域識別情報に対応する区分領域のそれぞれの最終注入量を視覚的に示す3D注入状況モデルを生成する(
図5のS3参照)。
【0045】
この際、制御部11は、区分領域のそれぞれの最終注入圧に応じて区分領域に着色若しくは模様を付すようにして3D注入状況モデルを生成すると共に、区分領域のそれぞれの最終注入量に応じて前記区分領域の太さを増やす若しくは区分領域の長さを伸ばすようにして3D注入状況モデルを生成する。
図6に各注入孔101の区分領域にそれぞれの最終注入圧に応じて模様を付した3D注入状況モデルの例を示す。
図6の例は最終注入圧の圧力の強さに対応する模様を同じ図柄で図柄の密度が異なる模様としたものである。尚、
図6の3D注入状況モデルでは、図面上で見やすくするために一部の注入孔101の区分領域R1~R4にだけ模様を付しているが、実際の3D注入状況モデルでは表示される全ての注入孔101の各区分領域について模様が付された3D注入状況モデルが生成され、表示される。
【0046】
また、トンネル施工支援装置1の制御部11は、生成した3D注入状況モデルのトンネル掘進の最前端の測点STAに対応するトンネル断面情報のスプリングラインの中点等の代表点をローカル座標系の原点に設定し、ワールド座標系の原点にローカル座標系の原点を対応させるように設定する(
図5のS4参照)。そして、トンネル施工支援装置1の制御部11は、生成した3D注入状況モデルを回転表示可能な状態で出力部15で出力して表示する(
図5のS5参照)。
【0047】
本実施形態によれば、トンネル掘進方向においてトンネル掘進方向の前方に向かって注入が施された複数の測点STAの注入材の注入状況をトンネルが掘り進んだ後も、周辺の地山100がどのような状況であったかを示す地盤状況の情報として、視覚的に認識させることができる。即ち、直近で切羽前方補強工が施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山100における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を施工関係者が確認することができる。また、トンネル掘進方向の前方に向かって補助工法として注入された注入材の最終注入圧をその時々の地山状況としてCIM化し、可視化された画像として複数の測点STAに対応する3次元モデルの3D注入状況モデルを生成し、3D注入状況モデルを関係者間で情報共有して、トンネル施工の効率化、高度化を図ることができる。
【0048】
更に、注入材の注入圧と注入量の双方のデータに基づき、直近で施工されたトンネル断面に加え、それより後方の地山における注入材の注入状況の良否、地山安定性の良否を施工関係者が確認することができる。また、注入材の最終注入圧と最終注入量をその時々の地山状況としてCIM化し、これに基づく複数の測点STAに対応する3D注入状況モデルを生成することができる。
【0049】
また、それぞれの区分領域における注入材の注入圧による注入状況を対応色若しくは対応模様で示し、優れた視認性で認識させることができる。また、それぞれの区分領域における注入材の注入量による注入状況を対応する太さ若しくは対応する長さで示し、優れた視認性で認識させることができる。また、生成した3D注入状況モデルを回転表示することにより、複数の測点STAに対応する注入孔101の重なりで隠れた位置の注入材の注入状況を容易に確認することができる。
【0050】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記内容や変形例も含まれる。
【0051】
例えば上記実施形態では、トンネル施工支援装置1が分配制御装置2から区分領域の区分領域識別情報とこの区分領域に対応する注入材の最終注入圧と最終注入量を取得し、最終注入圧格納部131と最終注入量格納部132にそれぞれ格納する構成としたが、各ポンプユニット3等の別の装置が区分領域の区分領域識別情報とこの区分領域に対応する注入材の最終注入圧と最終注入量をトンネル施工支援装置1に送信し、トンネル施工支援装置1が、受信した区分領域の区分領域識別情報とこの区分領域に対応する注入材の最終注入圧と最終注入量を最終注入圧格納部131と最終注入量格納部132にそれぞれ格納する構成とすることも可能である。
【0052】
また、分配制御装置2に接続されて地山100の同一の注入孔101に注入材を注入するポンプユニット3及びポンプユニット3に内装される注入ポンプ33(或いは注入ポンプ33aと注入ポンプ33bの組み合わせセット)の数は、2個以上の複数個であれば適用可能な範囲で適宜であり、換言すれば地山100の同一の注入孔101に設定される区分領域の数は、2個以上の複数個であれば適用可能な範囲で適宜である。また、本発明で用いられる注入材には、二液混合硬化タイプの注入材以外の注入材を用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば長尺先受け工法(AGF工法)や鏡補強工のようなトンネル補助工法を用いてトンネル施工を行う際に利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1…トンネル施工支援装置 11…制御部 12…記憶部 121…制御プログラム格納部 122…測点情報格納部 123…トンネル断面情報格納部 124…開口部位置情報格納部 125…延長状態情報格納部 126…領域情報格納部 127…注入圧視覚化情報格納部 128…注入量視覚化情報格納部 129…座標系格納部 13…記憶部 131…最終注入圧格納部 132…最終注入量格納部 14…入力部 15…出力部 16…通信部 2…分配制御装置 21…制御部 22…記憶部 221…制御プログラム格納部 222…目標注入量格納部 223…分配閾値格納部 224…再設定条件格納部 225…設定停止時間格納部 226…目標圧力格納部 23…入力部 24…出力部 25…内臓タイマー 26…通信部 3…ポンプユニット 31…駆動制御部 32…通信部 33、33a、33b…注入ポンプ 34a…第1液移送路 34b…第2液移送路 35…電磁バルブ 36…圧力検出部 37…流量検出部 4…第1液タンク 5…第2液タンク 6…ボールバルブ 7…合流管 8…注入管 81…スタティックミキサー 91…補強管 92…口元コーキング 93…管内コーキング 94…スペーサ 100…地山 101…注入孔 102…吹付コンクリート STA…測点 R1、R2、R3、R4…区分領域