IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 学校法人順天堂の特許一覧 ▶ 株式会社先端力学シミュレーション研究所の特許一覧

<>
  • 特開-分娩進行解析装置 図1
  • 特開-分娩進行解析装置 図2
  • 特開-分娩進行解析装置 図3
  • 特開-分娩進行解析装置 図4
  • 特開-分娩進行解析装置 図5
  • 特開-分娩進行解析装置 図6
  • 特開-分娩進行解析装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126501
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】分娩進行解析装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/397 20210101AFI20240912BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61B5/397
A61B5/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034900
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】502285457
【氏名又は名称】学校法人順天堂
(71)【出願人】
【識別番号】502211582
【氏名又は名称】株式会社先端力学シミュレーション研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 真太郎
(72)【発明者】
【氏名】竹田 純
(72)【発明者】
【氏名】吉田 惠美子
(72)【発明者】
【氏名】安藤 瞳
(72)【発明者】
【氏名】林崎 良英
(72)【発明者】
【氏名】戎崎 俊一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 昌可
(72)【発明者】
【氏名】小池 邦昭
(72)【発明者】
【氏名】大和田 一成
(72)【発明者】
【氏名】須藤 一彦
【テーマコード(参考)】
4C117
4C127
【Fターム(参考)】
4C117XA02
4C117XB01
4C117XD26
4C117XE19
4C117XE52
4C127AA04
4C127BB01
4C127FF02
4C127GG13
(57)【要約】
【課題】母体側から得られる情報を解析することにより、分娩進行状況を正確に把握できる分娩進行解析装置を提供すること。
【解決手段】子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する子宮筋電信号取得部と、当該2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理部と、同期状態解析処理結果に基づいて分娩の進行情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする分娩進行解析装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する子宮筋電信号取得部と、当該2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理部と、同期状態解析処理結果に基づいて分娩の進行情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする分娩進行解析装置。
【請求項2】
前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号のシグナル強度が所定値以上となることを解析する処理である請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項3】
前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の位相の一致が所定値以上となることを解析する処理である請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項4】
前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号のシグナル強度と位相の一致から算出される同期状態が所定値以上となることを解析する処理である請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項5】
前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の同期状態を解析する処理である請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項6】
前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の同期状態の経時変化を解析する処理である請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項7】
前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の一定時間あたりの信号強度の二乗平均平方根(RMS)を算出し、このRMSの経時変化を解析する処理である請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項8】
前記同期状態解析処理が、子宮周辺部のN箇所(N≧3)から取得した子宮筋電信号のうち、M以上(N>M≧2)の子宮筋電信号が所定値以上の同期をしているか解析する処理である請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項9】
2か所以上の位置には、子宮の中心部よりも頭側の位置と、子宮の中心部よりも尾側の位置が含まれる請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項10】
前記子宮筋電信号が、子宮又は子宮周辺部の3か所以上の位置における母体腹壁表面から取得し、前記3か所以上の位置には、子宮の中心部よりも左側又は右側の位置が含まれる請求項9記載の分娩進行解析装置。
【請求項11】
2か所以上の位置には、子宮の中心部よりも左側の位置と、子宮の中心部よりも右側の位置が含まれる請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項12】
前記子宮筋電信号が、子宮又は子宮周辺部の3か所以上の位置における母体腹壁表面から取得し、取得した一部又は全部の子宮筋電信号に基づいてペースメーカ位置を推定する処理を行い、同期状態解析処理は、位置推定したペースメーカを挟む位置から取得した2以上の子宮筋電信号を用いて行う請求項1記載の分娩進行解析装置。
【請求項13】
子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得するステップ、取得した2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理を行うステップ、及び処理結果に基づいて分娩の進行情報を解析するステップを有することを特徴とする分娩進行解析方法。
【請求項14】
子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する手段、取得した2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理を行う手段、及び処理結果に基づいて分娩の進行情報を解析する手段を有することを特徴とする分娩進行解析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分娩進行解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
安全な分娩管理は、母体の安全、児の安全及び分娩進行の統合的判断が必要となる。母児のリスクと分娩の進行とのバランスにより、通常の経腟分娩を行うか、帝王切開などの急速遂娩を行うかが選択される。
現行の分娩管理は、児の評価については、胎児心拍数陣痛図を解釈し(特許文献1)、一方分娩進行は陣痛図波形(子宮収縮)により行われている(非特許文献1)。母体からの情報としては、子宮収縮波形しか得られない。この子宮収縮波形だけでは、正確な分娩進行予測は困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-195461号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】周産期医学Vol.42,No.4,2012-4、p455-459
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、母体側から得られる情報を解析することにより、分娩進行状況を正確に把握できる分娩進行解析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
子宮収縮による娩出には、児の回旋も重要であることから、子宮内圧上昇だけでなく、収縮同調による回旋コントロールも重要であると考えられるため、子宮由来収縮圧のみでは、正確な分娩進行の評価はできないと考えられる。そうすると、子宮収縮にはペースメーカが存在し、ペースメーカは機能しているが部分的な収縮にとどまる場合、またペースメーカが機能しない無秩序な収縮の場合には、分娩が進行しないのではないかと仮説を立てた。そして、子宮の収縮に関する信号を、子宮又は子宮周辺部の複数の位置から取得し、当該複数の信号の同期状態を解析したところ、それらの信号が同期している場合に分娩が進行しており、信号は得られるがそれらが同期していない場合には分娩が進行しないことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、次の発明[1]~[14]を提供するものである。
[1]子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する子宮筋電信号取得部と、当該2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理部と、同期状態解析処理結果に基づいて分娩の進行情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする分娩進行解析装置。
[2]前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号のシグナル強度が所定値以上となることを解析する処理である[1]記載の分娩進行解析装置。
[3]前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の位相の一致が所定値以上となることを解析する処理である[1]記載の分娩進行解析装置。
[4]前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号のシグナル強度と位相の一致から算出される同期状態が所定値以上となることを解析する処理である[1]記載の分娩進行解析装置。
[5]前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の同期状態を解析する処理である[1]記載の分娩進行解析装置。
[6]前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の同期状態の経時変化を解析する処理である[1]記載の分娩進行解析装置。
[7]前記同期状態解析処理が、少なくとも2つの子宮筋電信号の一定時間あたりの信号強度の二乗平均平方根(RMS)を算出し、このRMSの経時変化を解析する処理である[1]記載の分娩進行解析装置。
[8]前記同期状態解析処理が、子宮周辺部のN箇所(N≧3)から取得した子宮筋電信号のうち、M以上(N>M≧2)の子宮筋電信号が所定値以上の同期をしているか解析する処理である[1]記載の分娩進行解析装置。
[9]2か所以上の位置には、子宮の中心部よりも頭側の位置と、子宮の中心部よりも尾側の位置が含まれる[1]記載の分娩進行解析装置。
[10]前記子宮筋電信号が、子宮又は子宮周辺部の3か所以上の位置における母体腹壁表面から取得し、前記3か所以上の位置には、子宮の中心部よりも左側又は右側の位置が含まれる[9]記載の分娩進行解析装置。
[11]2か所以上の位置には、子宮の中心部よりも左側の位置と、子宮の中心部よりも右側の位置が含まれる[1]記載の分娩進行解析装置。
[12]前記子宮筋電信号が、子宮又は子宮周辺部の3か所以上の位置における母体腹壁表面から取得し、取得した一部又は全部の子宮筋電信号に基づいてペースメーカ位置を推定する処理を行い、同期状態解析処理は、位置推定したペースメーカを挟む位置から取得した2以上の子宮筋電信号を用いて行う[1]記載の分娩進行解析装置。
[13]子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得するステップ、取得した2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理を行うステップ、及び処理結果に基づいて分娩の進行情報を解析するステップを有することを特徴とする分娩進行解析方法。
[14]子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する手段、取得した2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理を行う手段、及び処理結果に基づいて分娩の進行情報を解析する手段を有することを特徴とする分娩進行解析システム。
【発明の効果】
【0008】
本発明の分娩進行解析装置によれば、子宮又は子宮周辺部からの前記複数の子宮筋電信号が良好に同期している場合には、分娩が正常に進行していることから正常に経腟分娩が可能であり、前記複数の子宮筋電信号の同期状態が良好でない場合には、帝王切開などの急速遂娩が必要であると判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】電極の貼付位置及び得られる筋電波形の変化を示す図である。
図2】得られる筋電波形とペースメーカ部位推定手順を示す図である。
図3】ペースメーカ部位推定の手順の例を示す図である。
図4】筋電図波形の多部位での同期状態を同時に表示して判断する例を示す。
図5】部位別シグナル強度と同期率を可視化した例を示す。
図6】分娩転機別のシグナル強度と同期性を比較した例を示す
図7】分娩転機別の同期率の経時変化を評価した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の分娩進行解析装置の一態様は、子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する子宮筋電信号取得部と、当該2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理部と、同期状態解析処理結果に基づいて分娩の進行情報を出力する出力部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の分娩進行解析方法の一態様は、子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得するステップ、取得した2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理を行うステップ、及び処理結果に基づいて分娩の進行情報を解析するステップを有することを特徴とする。
さらに、本発明の分娩進行解析システムの一態様は、子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する手段、取得した2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理を行う手段、及び処理結果に基づいて分娩の進行情報を解析する手段を有することを特徴とする。
【0011】
子宮筋電信号とは、子宮が収縮する際に生じる電位であり、通常、子宮又は子宮周辺部の母体腹壁表面に貼付された電極を介して取得することができる。電極としては、筋電電極、心電電極、グランド電極などが挙げられる。
本発明においては、当該子宮筋電信号取得部は、子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する。
当該2か所以上の位置には、子宮の中心部よりも頭側の位置と、子宮の中心部よりも尾側の位置が含まれるのが、子宮全体の子宮筋電信号の同期状態を解析するうえで好ましい。また、同様の観点から、当該2か所以上の位置には、子宮の中心部よりも左側の位置と、子宮の中心部よりも右側の位置が含まれるのが好ましい。
また、前記子宮筋電信号は、子宮又は子宮周辺部の3か所以上の位置における母体腹壁表面から取得し、前記3か所以上の位置には、子宮の中心部よりも左側又は右側の位置が含まれるのが、子宮全体の子宮筋電信号の同期状態を解析するうえで好ましい。
さらに、前記子宮筋電信号は、子宮又は子宮周辺部の4か所以上の位置における母体腹壁表面から取得し、前記4か所以上の位置には、子宮の中心部よりも頭側及び尾側の位置と、子宮の中心部よりも左側及び右側の位置が含まれるのが、子宮全体の子宮筋電信号の同期状態を解析するうえで好ましい。
前記子宮筋電信号は、子宮の中心部を取り囲むように、5か所以上、6か所以上、8か所以上から取得するのが、子宮全体の子宮筋電信号の同期状態を解析するうえでさらに好ましい。
【0012】
前記2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理部では、少なくとも2つの子宮筋電信号の同期状態を解析する。また、さらに少なくとも2つの子宮筋電信号の同期状態の経時変化を解析するのが好ましい。
前記取得された子宮筋電信号は、強度と位相分けて解析することができる。すなわち、取得された電気信号の振幅の大きさをシグナル強度として解析対象とすることができる。また、取得された電気信号の周期内における振幅の位置を位相として解析対象とすることができる。
従って、本発明における同期解析処理には、(1)少なくとも2つの子宮筋電信号のシグナル強度が所定値以上となることを解析処理とすること、(2)少なくとも子宮筋電信号の位相の一致が所定値以上となることを解析処理とすること、及び(3)少なくとも2つの子宮筋電信号のシグナル強度と位相の一致から算出される同期状態が所定値以上となることを解析処理とすること、が含まれる。
【0013】
また、前記同期状態解析処理は、子宮周辺部のN箇所(N≧3)から取得した子宮筋電信号のうち、M以上(N>M≧2)の子宮筋電信号が所定値以上の同期をしているか解析する処理であるのが好ましい。より好ましくは、子宮周辺部の4か所以上から取得した子宮筋電信号のうち、3か所以上、更に好ましくは4か所以上の子宮筋電信号が所定値以上の同期をしているか解析する処理であるのが好ましい。さらに好ましくは、子宮周辺部の6か所以上から取得した子宮筋電信号のうち、5か所以上、更に好ましくは6か所以上の子宮筋電信号が所定値以上の同期をしているか解析する処理であるのが好ましい。
【0014】
より詳細には、前記同期状態解析処理は、少なくとも2つの子宮筋電信号の一定時間あたりの信号強度の二乗平均平方根(RMS)を算出し、このRMSの経時変化を解析する処理であるのが好ましい。
【0015】
本発明においては、前記子宮筋電信号を、子宮又は子宮周辺部の3か所以上の位置における母体腹壁表面から取得し、取得した一部又は全部の子宮筋電信号に基づいてペースメーカ位置を推定する処理を行い、同期状態解析処理は、位置推定したペースメーカを挟む位置から取得した2以上の子宮筋電信号を用いて行うのが好ましい。
ここで、ペースメーカ一の推定は、取得した全チャンネルの子宮筋電信号に基いて、RMS値が他のチャンネルに比べて大きくなっているチャンネルを探す。その後の時間発展において当該チャンネルから他のチャンネルにRMS値の伝播が起こる事象を検出し、伝播元となっているチャンネルをペースメーカーとする方法により行うのが好ましい(図2図3)。
【0016】
前記同期状態解析処理結果に基づいて分娩の進行情報を出力する出力部は、前記同期状態解析結果、すなわち前記種々の所定値以上となるかどうかを解析した結果を経時的に出力する出力部であり、通常のモニタが用いられる。当該モニタには、同期状態を画像化して出力されるのが好ましい。
出力部には、筋電図波形の多部位での同期状態を同時に表示して判断することもできる(図4)。図4の左側の妊婦は、電極の一部の波形しか同期していなかったので、経腟分娩できなかったが、図4の右側の妊婦は、全ての電極の波形が同期しており、経腟分娩できた。
また部位別シグナル強度と同期率を可視化してもよい(図5)。この手段では、少なくとも2つの子宮筋電信号の一定時間あたりの信号強度の二乗平均平方根(RMS)を算出し、このRMSの経時変化を解析する処理を行い、マーカーの色と大きさで可視化することができる。
また、分娩転機別のシグナル強度と同期性を比較することによってもよい(図6)。図6の左側の妊婦は、自然怒責で娩出成立したが、図6の右側の妊婦は、自然怒責で娩出不成立である。
さらに、分娩転機別の同期率の経時変化を評価してもよい(図7)。図7の左側の妊婦は、自然怒責で娩出成立したが、図7の右側の妊婦は、自然怒責で娩出不成立である。
【0017】
前記分娩進行解析方法及び分娩進行解析システムも、前記分娩進行解析装置と同様である。
【実施例0018】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0019】
実施例1
胎児心電信号処理装置において、12個の電極から得られた筋電信号にローパスフィルタを適用し、筋電信号のみを検出するようにした。ここで、ローパスフィルタは、FIRフィルタ、移動平均フィルタ、IIRフィルタが好ましい。また、ローパスフィルタの時定数は200ms以下であることが望ましい。
このようにしたことにより、次の実施例に用いた装置は、子宮又は子宮周辺部の2か所以上の位置における母体腹壁表面から2以上の子宮筋電信号を取得する子宮筋電信号取得部と、当該2以上の子宮筋電信号の同期状態を解析する同期状態解析処理部と、同期状態解析処理結果に基づいて分娩の進行情報を出力する出力部と、を備える。
母体の子宮周辺部に12個の電極を図1のように貼付し、子宮筋電信号を取得した。図1中の子宮体底部電極(1.2.3)からは、図1上側のような筋電波形が得られる。図1中の子宮体下部の電極(7,8,9)のからは、図1下側のような筋電波形が得られる。
出力部には、筋電図波形の多部位での同期状態を同時に表示して判断することもできる(図4)。図4の左側の妊婦は、電極の一部の波形しか同期していなかったので、経腟分娩できなかったが、図4の右側の妊婦は、全ての電極の波形が同期しており、経腟分娩できた。
また部位別シグナル強度と同期率を可視化してもよい(図5)。この手段では、少なくとも2つの子宮筋電信号の一定時間あたりの信号強度の二乗平均平方根(RMS)を算出し、このRMSの経時変化を解析する処理を行い、マーカーの色と大きさで可視化することができる。
また、分娩転機別のシグナル強度と同期性を比較することによってもよい(図6)。図6の左側の妊婦は、自然怒責で娩出成立したが、図6の右側の妊婦は、自然怒責で娩出不成立である。
さらに、分娩転機別の同期率の経時変化を評価してもよい(図7)。図7の左側の妊婦は、自然怒責で娩出成立したが、図7の右側の妊婦は、自然怒責で娩出不成立である
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7