(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126503
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置、相関値演算方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 17/10 20060101AFI20240912BHJP
G06F 7/76 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G06F17/10 Z
G06F7/76 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034903
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 淳
【テーマコード(参考)】
5B056
【Fターム(参考)】
5B056AA05
(57)【要約】
【課題】期待値のビット長を可変にした場合でも、短い処理時間で相関値の演算を実行することが可能な半導体装置、相関値演算方法、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】入力された2つのビット列を1ビット毎に交互に配列して1つのビット列として出力する第1の処理部と、入力された2つのビット列の各々の先頭から2ビットずつのデータ組の各々から、設定された任意の論理により、2ビットのデータを出力する第2の処理部と、入力された1つのビット列の中のビット値1の数を数値として出力する第3の処理部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された2つのビット列を1ビット毎に交互に配列して1つのビット列として出力する第1の処理部と、
入力された2つのビット列の各々の先頭から2ビットずつのデータ組の各々から、設定された任意の論理により、2ビットのデータを出力する第2の処理部と、
入力された1つのビット列の中のビット値1の数を数値として出力する第3の処理部と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
期待値に対する比較値の相関値を演算する場合に、
期待値は、相補関係にある期待値Pと期待値Nの2つのビット列を有し、
比較値は、相補関係にある比較値Pと比較値Nの2つのビット列を有し、
任意の数をnとしたとき、
前記第2の処理部に対して、データ組としてビット値01及びビット値01の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値10の2つの2ビットのデータが入力される第1の条件の場合には、ビット値01を出力し、データ組としてビット値01及びビット値10の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値01の2つの2ビットのデータが入力される第2の条件の場合には、ビット値10を出力し、データ組として前記第1の条件及び前記第2の条件以外の2つの2ビットのデータが入力される第3の条件の場合には、ビット値00を出力するように設定する処理と、
前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの期待値P及びnビットの長さの期待値Nから、2nビットの長さの期待値PNを取得する処理と、
前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの比較値P及びnビットの長さの比較値Nから、2nビットの長さの比較値PNを取得する処理と、
前記第2の処理部を用いて、2nビットの長さの比較値PN及び2nビットの長さの期待値PNから、2nビットの長さの出力値を取得する処理と、
前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットにおけるビット値1の数を第1の数値として取得する処理と、
前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットにおけるビット値1の数を第2の数値として取得する処理と、
第1の数値から第2の数値を減算して相関値を取得する処理と、を実行する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
請求項1に記載の半導体装置を用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算する相関値演算方法であって、
期待値は、相補関係にある期待値Pと期待値Nの2つのビット列を有し、
比較値は、相補関係にある比較値Pと比較値Nの2つのビット列を有し、
任意の数をnとしたとき、
前記第2の処理部に対して、データ組としてビット値01及びビット値01の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値10の2つの2ビットのデータが入力される第1の条件の場合には、ビット値01を出力し、データ組としてビット値01及びビット値10の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値01の2つの2ビットのデータが入力される第2の条件の場合には、ビット値10を出力し、データ組として前記第1の条件及び前記第2の条件以外の2つの2ビットのデータが入力される第3の条件の場合には、ビット値00を出力するように設定するステップと、
前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの期待値P及びnビットの長さの期待値Nから、2nビットの長さの期待値PNを取得するステップと、
前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの比較値P及びnビットの長さの比較値Nから、2nビットの長さの比較値PNを取得するステップと、
前記第2の処理部を用いて、2nビットの長さの比較値PN及び2nビットの長さの期待値PNから、2nビットの長さの出力値を取得するステップと、
前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットにおけるビット値1の数を第1の数値として取得するステップと、
前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットにおけるビット値1の数を第2の数値として取得するステップと、
第1の数値から第2の数値を減算して相関値を取得するステップと、
を有する相関値演算方法。
【請求項4】
請求項1に記載の半導体装置を用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算するプログラムであって、
期待値は、相補関係にある期待値Pと期待値Nの2つのビット列を有し、
比較値は、相補関係にある比較値Pと比較値Nの2つのビット列を有し、
任意の数をnとしたとき、
前記第2の処理部に対して、データ組としてビット値01及びビット値01の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値10の2つの2ビットのデータが入力される第1の条件の場合には、ビット値01を出力し、データ組としてビット値01及びビット値10の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値01の2つの2ビットのデータが入力される第2の条件の場合には、ビット値10を出力し、データ組として前記第1の条件及び前記第2の条件以外の2つの2ビットのデータが入力される第3の条件の場合には、ビット値00を出力するように設定するステップと、
前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの期待値P及びnビットの長さの期待値Nから、2nビットの長さの期待値PNを取得するステップと、
前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの比較値P及びnビットの長さの比較値Nから、2nビットの長さの比較値PNを取得するステップと、
前記第2の処理部を用いて、2nビットの長さの比較値PN及び2nビットの長さの期待値PNから、2nビットの長さの出力値を取得するステップと、
前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットにおけるビット値1の数を第1の数値として取得するステップと、
前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットにおけるビット値1の数を第2の数値として取得するステップと、
第1の数値から第2の数値を減算して相関値を取得するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、相関値演算方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、例えば全地球測位システム(Global Positioning System)等の全地球型航法衛星システム(Global Navigation Satellite System)に用いられるプロセッサが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、全地球型航法衛星システムに用いられるプロセッサ等においては、アナログ無線信号からの入力に基づいて、相補関係にある比較値Pと比較値Nの2つのビット列を生成し、この比較値Pと比較値Nの2つのビット列を、同じく相補関係にある期待値Pと期待値Nの2つのビット列と比較して、期待値に対する比較値の相関値を演算する処理を行う。
【0005】
相関値の演算を専用プロセッサで処理する場合、相関値の演算を効率的に行うことが可能なハードウェア処理機能を備えているため、一般的なCPU(Central Processing Unit)で処理する場合と比較して高速に処理することができるが、期待値のビット長が固定であるため、期待値のビット長の変更等の機能変更が難しい。
【0006】
逆に、相関値の演算を一般的なCPUで処理する場合、機能変更は容易となるが、相関値の演算を効率的に行うことが可能なハードウェア処理機能を備えていないため、専用プロセッサで処理する場合と比較して多くの命令が必要となり、長い処理時間が必要となる。
【0007】
本発明は、上記の事情を踏まえ、期待値のビット長を可変にした場合でも、短い処理時間で相関値の演算を実行することが可能な半導体装置、相関値演算方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体装置は、入力された2つのビット列を1ビット毎に交互に配列して1つのビット列として出力する第1の処理部と、入力された2つのビット列の各々の先頭から2ビットずつのデータ組の各々から、設定された任意の論理により、2ビットのデータを出力する第2の処理部と、入力された1つのビット列の中のビット値1の数を数値として出力する第3の処理部と、を備える。
【0009】
本発明の相関値演算方法は、第1態様の半導体装置を用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算する相関値演算方法であって、期待値は、相補関係にある期待値Pと期待値Nの2つのビット列を有し、比較値は、相補関係にある比較値Pと比較値Nの2つのビット列を有し、任意の数をnとしたとき、前記第2の処理部に対して、データ組としてビット値01及びビット値01の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値10の2つの2ビットのデータが入力される第1の条件の場合には、ビット値01を出力し、データ組としてビット値01及びビット値10の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値01の2つの2ビットのデータが入力される第2の条件の場合には、ビット値10を出力し、データ組として前記第1の条件及び前記第2の条件以外の2つの2ビットのデータが入力される第3の条件の場合には、ビット値00を出力するように設定するステップと、前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの期待値P及びnビットの長さの期待値Nから、2nビットの長さの期待値PNを取得するステップと、前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの比較値P及びnビットの長さの比較値Nから、2nビットの長さの比較値PNを取得するステップと、前記第2の処理部を用いて、2nビットの長さの比較値PN及び2nビットの長さの期待値PNから、2nビットの長さの出力値を取得するステップと、前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットにおけるビット値1の数を第1の数値として取得するステップと、前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットにおけるビット値1の数を第2の数値として取得するステップと、第1の数値から第2の数値を減算して相関値を取得するステップと、を有する。
【0010】
本発明のプログラムは、第1態様の半導体装置を用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算するプログラムであって、期待値は、相補関係にある期待値Pと期待値Nの2つのビット列を有し、比較値は、相補関係にある比較値Pと比較値Nの2つのビット列を有し、任意の数をnとしたとき、前記第2の処理部に対して、データ組としてビット値01及びビット値01の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値10の2つの2ビットのデータが入力される第1の条件の場合には、ビット値01を出力し、データ組としてビット値01及びビット値10の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値01の2つの2ビットのデータが入力される第2の条件の場合には、ビット値10を出力し、データ組として前記第1の条件及び前記第2の条件以外の2つの2ビットのデータが入力される第3の条件の場合には、ビット値00を出力するように設定するステップと、前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの期待値P及びnビットの長さの期待値Nから、2nビットの長さの期待値PNを取得するステップと、前記第1の処理部を用いて、nビットの長さの比較値P及びnビットの長さの比較値Nから、2nビットの長さの比較値PNを取得するステップと、前記第2の処理部を用いて、2nビットの長さの比較値PN及び2nビットの長さの期待値PNから、2nビットの長さの出力値を取得するステップと、前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットにおけるビット値1の数を第1の数値として取得するステップと、前記第3の処理部を用いて、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットにおけるビット値1の数を第2の数値として取得するステップと、第1の数値から第2の数値を減算して相関値を取得するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0011】
なお、本明細書及び図面において、ビット列の表記は、右側を先頭ビットとして表記している。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置、相関値演算方法、及び、プログラムによれば、相関値の演算を効率的に処理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態のコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図2】第1の処理部の機能を説明するための図である。
【
図3】第2の処理部の機能を説明するための図である。
【
図4】第2の処理部の機能を説明するための図である。
【
図5】第3の処理部の機能を説明するための図である。
【
図6】本実施形態のCPUを用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算する方法を説明するための図である。
【
図7】本実施形態のCPUを用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算する方法を説明するための図である。
【
図8】本実施形態のCPUを用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算する方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るコンピュータ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態のコンピュータ10は、CPU11と、メモリ12と、ハードディスクドライブ等の記憶装置13と、ネットワークを介して外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う通信インタフェース(IFと略す。)14と、を備える。これらの構成要素は、不図示の制御バスを介して互いに接続されている。
【0016】
CPU11は、本開示の技術における半導体装置の一例であり、メモリ12又は記憶装置13に格納されたプログラムに基づいて所定の処理を実行して、コンピュータ10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、メモリ12又は記憶装置13内に格納されたプログラムを読み出して実行するものとして説明したが、これに限定されるものではない。
【0017】
例えば、プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、プログラムをCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくは、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、プログラムを、通信IF14に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。
【0018】
CPU11は、特定の処理をハードウェアにより行う第1命令処理モジュール11a、第2命令処理モジュール11b、及び、第3命令処理モジュール11cを含む複数の命令処理モジュールを備える。
【0019】
第1命令処理モジュール11a、第2命令処理モジュール11b、及び、第3命令処理モジュール11cの機能について、以下に詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面において、ビット列の表記は、右側を先頭ビットとして表記している。
【0020】
第1命令処理モジュール11aは、本開示の技術における第1の処理部の一例であり、
図2に示すように、入力された2つのビット列を1ビット毎に交互に配列して1つのビット列として出力する。なお、第1命令処理モジュール11aに対して入力するビット列の最大ビット長に特に制限はなく、どのような最大ビット長としてもよい。
【0021】
図2に示す例では、a7~a0の8ビットのビット列を入力Aとし、b7~b0の8ビットのビット列を入力Bとし、2つのビット列を1ビット毎に交互に配列して、b7、a7、b6、a6、・・・、b0、a0とした1つのビット列を出力している。
【0022】
第2命令処理モジュール11bは、本開示の技術における第2の処理部の一例であり、
図3に示すように、入力された2つのビット列の各々の先頭から2ビットずつのデータ組の各々から、設定された任意の論理により、2ビットのデータを同時並列的に出力する。なお、第2命令処理モジュール11bに対して入力するビット列の最大ビット長に特に制限はなく、どのような最大ビット長としてもよい。
【0023】
図3に示す例では、a1_3~a0_0の8ビットのビット列を入力Aとし、b1_3~b0_0の8ビットのビット列を入力Bとし、先頭から順に、a1_0、a0_0、b1_0、b0_0のデータ組からo1_0、o0_0を出力し、a1_1、a0_1、b1_1、b0_1のデータ組からo1_1、o0_1を出力し、a1_2、a0_2、b1_2、b0_2のデータ組からo1_2、o0_2を出力し、a1_3、a0_3、b1_3、b0_3のデータ組からo1_3、o0_3を出力している。
【0024】
なお、2ビットずつのデータ組から2ビットのデータを出力するための論理に特に制限はなく、どのような論理としてもよい。
【0025】
例えば、
図4に示すように、データ組としてビット値01及びビット値01の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値10の2つの2ビットのデータが入力される第1の条件の場合には、ビット値01を出力し、データ組としてビット値01及びビット値10の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値01の2つの2ビットのデータが入力される第2の条件の場合には、ビット値10を出力し、データ組として第1の条件及び第2の条件以外の2つの2ビットのデータが入力される第3の条件の場合には、ビット値00を出力するように設定してもよい。
【0026】
第3命令処理モジュール11cは、本開示の技術における第3の処理部の一例であり、
図5に示すように、入力された1つのビット列の中のビット値1の数を数値として出力する。
【0027】
図5に示す例では、a7~a0の8ビットのビット列(
図5中の例では、01001101)を入力Aとし、入力Aのビット列の中のビット値1の数n(
図5中の例では、n=4)を出力している。
【0028】
次に、本実施形態のCPU11を用いて、期待値に対する比較値の相関値を演算する方法について説明する。
【0029】
本実施形態において、相関値は、期待値及び比較値のビット長をnビットとした場合に、期待値と比較値の全てのビットが一致する場合に相関値=n、期待値と比較値の全てのビットが一致しない場合に相関値=-nとして表示される。
【0030】
期待値は、相補関係にある期待値Pと期待値Nの2つのビット列を有する。本説明において、期待値P及び期待値Nは、一例として以下の8ビットのビット列とする。なお、期待値P及び期待値Nのビット長は、8ビットに限定されるものではなく、どのようなビット長としてもよい。
期待値P:01110101
期待値N:10001010
【0031】
比較値は、例えばアナログ無線信号からの入力に基づいて生成されるデータであり、相補関係にある比較値Pと比較値Nの2つのビット列を有する。なお、比較値Pと比較値Nは、通常は相補関係にあるが、ノイズ等の影響により、相補関係とならない場合も生じ得る。本説明において、比較値P及び比較値Nは、一例として以下の8ビットのビット列とする。なお、比較値P及び比較値Nのビット長は、8ビットに限定されるものではなく、どのようなビット長としてもよい。ここでは、比較値P及び比較値Nと、期待値P及び期待値Nは、同じデータ内容としている。
比較値P:01110101
比較値N:10001010
【0032】
第1のステップとして、CPU11は、
図4に示すように、第2命令処理モジュール11bに対して、データ組としてビット値01及びビット値01の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値10の2つの2ビットのデータが入力される第1の条件の場合には、ビット値01を出力し、データ組としてビット値01及びビット値10の2つの2ビットのデータ、又は、ビット値10及びビット値01の2つの2ビットのデータが入力される第2の条件の場合には、ビット値10を出力し、データ組として前記第1の条件及び前記第2の条件以外の2つの2ビットのデータが入力される第3の条件の場合には、ビット値00を出力するように設定する。
【0033】
第2のステップとして、CPU11は、
図6に示すように、第1命令処理モジュール11aを用いて、8ビットの長さの期待値P及び8ビットの長さの期待値Nの入力された2つのビット列を1ビット毎に交互に配列して、下記の通り、1つの16ビットの長さの期待値PNを取得する。
期待値PN:1001010110011001
【0034】
第3のステップとして、CPU11は、
図7に示すように、第1命令処理モジュール11aを用いて、8ビットの長さの比較値P及び8ビットの長さの比較値Nの入力された2つのビット列を1ビット毎に交互に配列して、下記の通り、1つの16ビットの長さの比較値PNを取得する。
比較値PN:1001010110011001
【0035】
第4のステップとして、CPU11は、
図8に示すように、第2命令処理モジュール11bを用いて、16ビットの長さの比較値PN及び16ビットの長さの期待値PNから、16ビットの長さの出力値を取得する。
【0036】
具体的には、比較値PN及び期待値PNの各々の先頭から2ビットずつのデータ組を設定し、第1のステップで設定した論理により、2ビットのデータを同時並列的に出力する。
【0037】
図8に示す例では、先頭から順に、01、01のデータ組から01を出力し、10、10のデータ組から01を出力し、01、01のデータ組から01を出力し、10、10のデータ組から01を出力し、01、01のデータ組から01を出力し、01、01のデータ組から01を出力し、01、01のデータ組から01を出力し、10、10のデータ組から01を出力し、その結果、以下の出力値が取得される。
出力値:0101010101010101
【0038】
第5のステップとして、CPU11は、
図8に示すように、第3命令処理モジュール11cを用いて、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットにおけるビット値1の数を第1の数値として取得する。
【0039】
なお、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットにおけるビット値1の数を取得する方法は、特に制限はなく、どのような方法としてもよい。例えば、出力値の全ビットに対して、奇数番目のビット値が1かつ偶数番目のビット値が0のデータとの論理積演算を行い、その結果のビット列に含まれるビット値1の数を取得してもよい。この場合、一例として出力値のビット長を16ビットとすると、出力値のデータと0x5555のデータの論理積演算を行えばよい。上記の他にも、出力値のビット列から奇数番目のデータのみを抽出し、抽出したデータ中のビット値1の数を取得するようにしてもよい。
【0040】
図8に示す例では、出力値のビット列の先頭から奇数番目のビットは全て1であるため、第1の数値として「8」が取得される。
出力値(奇数番):11111111
【0041】
第6のステップとして、CPU11は、
図8に示すように、第3命令処理モジュール11cを用いて、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットにおけるビット値1の数を第2の数値として取得する。
【0042】
なお、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットにおけるビット値1の数を取得する方法は、特に制限はなく、どのような方法としてもよい。例えば、出力値の全ビットに対して、奇数番目のビット値が0かつ偶数番目のビット値が1のデータとの論理積演算を行い、その結果のビット列に含まれるビット値1の数を取得してもよい。この場合、一例として出力値のビット長を16ビットとすると、出力値のデータと0xaaaaのデータの論理積演算を行えばよい。上記の他にも、出力値のビット列から偶数番目のデータのみを抽出し、抽出したデータ中のビット値1の数を取得するようにしてもよい。
【0043】
図8に示す例では、出力値のビット列の先頭から偶数番目のビットは全て0であるため、第2の数値として「0」が取得される。
出力値(偶数番):00000000
【0044】
第7のステップとして、CPU11は、第1の数値から第2の数値を減算して相関値を取得する。
図8に示す例では、第1の数値として「8」が取得され、第2の数値として「0」が取得されるため、相関値は8-0=8となる。
【0045】
第1命令処理モジュール11a、第2命令処理モジュール11b、及び、第3命令処理モジュール11cを備えていない一般的なCPUでは、1ビットの相関値を取得するために10命令以上を必要とするため、例えば、8ビットの相関値を取得するために80命令以上を必要とする。
【0046】
これに対して、本実施形態のCPU11を用いて期待値に対する比較値の相関値を演算することにより、上記で説明の通り、期待値及び比較値のビット長に関わらず、7つの命令を実行するだけで相関値を取得することができ、相関値の演算を効率的に処理することが可能となる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態に係るコンピュータ10について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0048】
例えば、CPU11を用いて期待値に対する比較値の相関値を演算する際のステップの順序については、上記の第1のステップから第7のステップの順に限らず、相関値が演算可能であれば、適宜順序を変更してもよい。
【0049】
また、上記以外にも、本開示の技術の主旨を逸脱しない範囲内において、以上に示した記載内容および図示内容に対して、不要な部分を削除したり、新たな要素を追加したり、置き換えたりしてもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0050】
10 コンピュータ
11 CPU
11a 第1命令処理モジュール
11b 第2命令処理モジュール
11c 第3命令処理モジュール
12 メモリ
13 記憶装置
14 通信インタフェース