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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012651
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】チューブカバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/42 20060101AFI20240123BHJP
   A61M 25/10 20130101ALI20240123BHJP
   A61M 29/02 20060101ALI20240123BHJP
   A61M 25/02 20060101ALI20240123BHJP
   A61B 17/12 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61B17/42
A61M25/10
A61M29/02
A61M25/02 504
A61B17/12
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196218
(22)【出願日】2023-11-17
(62)【分割の表示】P 2021513523の分割
【原出願日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2019074613
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390022541
【氏名又は名称】アトムメディカル株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】本田 将斗
(72)【発明者】
【氏名】小林 心一
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 涼子
(72)【発明者】
【氏名】松原 一郎
(72)【発明者】
【氏名】近藤 英治
(57)【要約】
【課題】子宮用止血バルーンユニットの膨張したバルーンが子宮から脱落することを抑制できる子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具を提供する。
【解決手段】可撓性を有するチューブと、該チューブの先端に設けられた止血用バルーンと、を備える子宮用止血バルーンユニット1を患者Mに固定するために用いる、子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具100。固定用支持具100は、チューブを支持するチューブストッパ7と、チューブストッパを患者に固定可能な固定部材8と、を有する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するチューブと、該チューブの先端に設けられた止血用バルーンと、を備える子宮用止血バルーンユニットを患者に固定するために用いる、子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具であって、
前記チューブを支持するチューブストッパと、前記チューブストッパを前記患者に固定可能な固定部材と、を有することを特徴とする子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項2】
前記チューブストッパは、前記チューブを挟持する挟み部を有することを特徴とする請求項1に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項3】
前記固定部材は、前記患者の腹部に装着可能に構成された腹部用ベルトと、前記腹部用ベルト及び前記チューブストッパを接続するバンドと、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項4】
前記チューブを覆う筒状のチューブカバーを有し、
前記チューブストッパは、前記チューブカバーを介して前記チューブを支持することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項5】
前記チューブカバーには、該チューブカバーの長さ方向に延び、かつ該チューブカバーを開いて前記チューブに装着するためのスリットが形成されていることを特徴とする請求項4に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項6】
前記チューブカバーは、前記チューブストッパを前記チューブの長さ方向における異なる位置で固定するための複数の固定部を有していることを特徴とする請求項4又は5に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項7】
前記固定部は、前記チューブカバーの外周面から該チューブカバーの中心に向けて凹む凹部からなることを特徴とする請求項6に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項8】
前記固定部は、前記チューブカバーの外周面から突出する凸部からなることを特徴とする請求項6に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【請求項9】
前記チューブカバーが前記チューブに装着された際における該チューブカバーの前記止血用バルーン側の端部には、クッション部が形成されていることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子宮内での出血を抑制して止血する子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具に関する。本願は、日本国において2019年4月10日に出願された特願2019-74613号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、止血用バルーンを腟から挿入し、子宮内に配置した上で、止血用バルーンに液体を注入して止血用バルーンを膨らませることにより、子宮収縮を増強させて出血を抑制するBT法(Balloon tamponade法)が知られている。このBT法に用いられる止血用バルーンユニットは、子宮内の血液等を排出するためのドレーン流路と、止血用バルーンに液体を注入又は排出するための給排水流路と、が設けられている。通常、止血用バルーンを体外から子宮内に挿入する場合には、止血用バルーンを腟内に挿入した後、押し込むことで子宮内に配置する。そして、止血用バルーンとは反対側の端部に設けられている給排水流路のコネクタを介して止血用バルーンに液体を注入して止血用バルーンを膨らませる。
【0003】
例えば、1つの止血用バルーンを有する止血用バルーンユニットとして、特許文献1に記載の止血用バルーンユニットが知られている。この特許文献1に記載の止血用バルーンユニットは、可撓性を有するチューブの先端部に止血用バルーンが設けられ、該チューブの基端部にコネクタが設けられた止血用バルーンカテーテルと、該止血用バルーンカテーテルの基端部に着脱自在に取り付けられるコネクタカバーとによって構成され、第1端子及び第2端子がコネクタカバーによりまとめられた状態で、子宮内に挿入されるようになっている。
【0004】
一方、2つのバルーンが設けられた子宮用止血バルーンユニットとして、例えば、特許文献2に記載のバルーンチューブ器具が知られている。この特許文献2に記載のバルーンチューブ器具は、一方端側から他方端側に連通する通路を備えるチューブシャフトと、該チューブシャフトの中途に設ける第1バルーンと、第1バルーンに隣接して配置される第2バルーンと、第1バルーン及び第2バルーンに流体を注入、排出する流体ルートと、該流体ルートの両端部双方に備える流体注入口及び流体排出口と、を備えており、第1バルーンを子宮内に配置し、第2バルーンを腟内に膨張させた状態で配置することにより、子宮内の第1バルーンを前置胎盤の際の出血部(子宮内における子宮口側の部位)に確実に密着させた状態で配置可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本国特許第6012428号公報
【特許文献2】日本国特開2016-221247号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来の子宮用バルーンユニットによる止血処置の失敗例の多くは、バルーンが子宮口から滑脱することが原因である。処置が失敗した場合には、子宮摘出を行わなければならなくなってしまう場合が多い。従って、膨張したバルーンの子宮からの脱落を防ぐことは、患者の救命及びQOL(quality of life)の担保の為に必要である。現状では、腟内にガーゼを充填したり、子宮腟部を頸リス鉗子で把持したりする他、医師や看護師がチューブシャフト(チューブ)を把持し続けたりすることにより、バルーンを子宮から脱落することを抑制している。
【0007】
しかしながら、腟内にガーゼを充填してバルーンの脱落を防ぐ方法を施したとしても、子宮の収縮力は多くの症例で保たれているため,バルーンは容易に滑脱してしまう上、ガーゼの腟内への置忘れのリスクが生じる。また、子宮腟部を頸リス鉗子により把持する方法では、頸リス鉗子により子宮腟部を傷つけるおそれがある。さらに、医師や看護師がチューブを把持し続けるのは、体力的に相当の負担が強いられるだけでなく、片手での処置を余儀なくされ、他の処置ができない場合も生じる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、子宮用止血バルーンユニットの膨張したバルーンが子宮から脱落することを抑制できる子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具は、可撓性を有するチューブと、該チューブの先端に設けられた止血用バルーンと、を備える子宮用止血バルーンユニットを患者に固定するために用いる、子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具であって、前記チューブを支持するチューブストッパと、前記チューブストッパを前記患者に固定可能な固定部材と、を有する。
【0010】
本発明では、チューブストッパが固定部材により患者に固定されることにより、該チューブストッパにより支持されたチューブが患者に固定される。このため、子宮内で膨張したバルーンが子宮から脱落することを抑制できる。
【0011】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具の好ましい態様としては、前記チューブストッパは、前記チューブを挟持する挟み部を有するとよい。
上記態様では、チューブストッパの挟み部によりチューブを挟持して支持するので、チューブストッパをチューブに確実に支持でき、このチューブストッパを患者に固定することで、子宮内で膨張したバルーンが子宮から脱落することをより抑制できる。
【0012】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具の一つの態様としては、前記固定部材は、前記患者の腹部に装着可能に構成された腹部用ベルトと、前記腹部用ベルト及び前記チューブストッパを接続するバンドと、を有する。
【0013】
上記態様では、固定部材が腹部用ベルト及びバンドにより構成されるので、チューブストッパを確実に固定できる。
【0014】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具の他の一つの態様としては、前記チューブを覆う筒状のチューブカバーを有し、前記チューブストッパは、前記チューブカバーを介して前記チューブを支持するようにしてもよい。
【0015】
ここで、子宮用止血バルーンユニットのチューブの剛性が低すぎる(柔らかすぎる)場合、チューブストッパによりチューブを挟持し、該チューブストッパを患者に固定したとしても、適切にチューブを支持できない可能性が考えられる。また、チューブが過度に細すぎる場合も同様に、チューブストッパによって適切にチューブを支持できない可能性が考えられる。
【0016】
これに対し、上記態様では、チューブにチューブカバーを装着することで、チューブの剛性(チューブとチューブカバーとを組み合わせた複合構造体としての剛性)を高めることができる。また、チューブにチューブカバーを装着したときのチューブの外径(チューブとチューブカバーとを組み合わせた複合構造体としての外径)は、チューブ単体のときのチューブの外径よりも大きくなるので、チューブストッパにより適切にチューブを支持できる。
【0017】
なお、チューブカバーは、必ずしもチューブより剛性が高いものでなくてもよく、チューブとチューブカバーとを組み合わせた複合構造体としての剛性がある程度高くなるのであれば、チューブと同じ剛性のチューブカバーであってもよいし、チューブよりも低い剛性のチューブカバーであってもよい。
【0018】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具のさらに他の一つの態様としては、前記チューブカバーには、該チューブカバーの長さ方向に延び、かつ該チューブカバーを開いて前記チューブに装着するためのスリットが形成されているとよい。
【0019】
上記態様では、チューブカバーにスリットが形成されているので、チューブカバーをチューブに容易に装着できる。
【0020】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具のさらに他の一つの態様としては、前記チューブカバーは、前記チューブストッパを前記チューブの長さ方向における異なる位置で固定するための複数の固定部を有していてもよい。
【0021】
上記態様では、チューブカバーに複数の固定部が設けられているので、チューブストッパをチューブの長さ方向における所望の位置で固定できる他、不測の事態が生じてもチューブを挟持するチューブストッパがチューブカバーに沿って滑って動いてしまうことを抑制して、チューブストッパによる挟持位置を維持できる。
【0022】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具のさらに他の一つの態様としては、前記固定部は、前記チューブカバーの外周面から該チューブカバーの中心に向けて凹む凹部からなるとよい。
【0023】
上記態様では、チューブストッパが複数の凹部のいずれかを挟持することにより、チューブストッパがチューブカバーに沿って滑って動いてしまうことを抑制して、チューブストッパによる挟持位置を確実に維持できる。また、複数の固定部がチューブカバーの外周面の外側に突出していないので、チューブカバーを装着したチューブを母体の腟内に挿入する際に、スムースに腟内に挿入でき、母体への負担を軽減できる。
【0024】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具のさらに他の一つの態様としては、前記固定部は、前記チューブカバーの外周面から突出する凸部からなるとよい。
【0025】
上記態様では、チューブストッパがチューブカバーの外周面から突出する複数の凸部により係止され、チューブストッパがチューブカバーに沿って滑って動いてしまうことを抑制して、チューブストッパによる挟持位置を確実に維持できる。また、複数の固定部のそれぞれが凸部からなるので、チューブカバーの剛性を高めることができる。
【0026】
本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具の好ましい態様としては、前記チューブカバーが前記チューブに装着された際における該チューブカバーの前記止血用バルーン側の端部には、クッション部が形成されているとよい。
【0027】
上記態様では、チューブにチューブカバーが装着された状態で、膨張したバルーンに向けてチューブカバーが押された場合でも、チューブカバーの先端部にクッション部が設けられているので、チューブカバーにより止血用バルーンが傷つけられてしまうことを抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、膨張したバルーンが子宮から脱落することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1実施形態に係る子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具により支持される子宮用止血バルーンユニットの平面図である。
図2】上記第1実施形態における子宮用止血バルーンユニットの第2バルーンを先端側から見た正面図である。
図3】上記第1実施形態における第2バルーンの図1に示すA1-A1線に沿う矢視断面図である。
図4】上記第1実施形態における第2チューブが収容された第1チューブの図1に示すB1-B1線に沿う矢視断面図である。
図5】上記第1実施形態における第2バルーンが収容された第1バルーンの縦断面図である。
図6】上記第1実施形態における子宮用止血バルーンユニットが子宮内に挿入され、固定用支持具により支持された状態を示す図である。
図7】上記第1実施形態における子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具を構成するチューブストッパを示す斜視図である。
図8】上記第1実施形態における子宮用止血バルーンユニットが子宮内に配置され、固定用支持具により支持された状態を示す模式側面図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る子宮用止血バルーンユニットに固定用支持具のチューブカバーが装着された状態を示す図である。
図10】上記第2実施形態に係る固定用支持具を構成するチューブカバーの側面図である。
図11】上記第2実施形態に係る固定用支持具のチューブストッパがチューブカバーを介して子宮用止血バルーンユニットのチューブを支持する状態を示す斜視図である。
図12】上記第2実施形態における子宮用止血バルーンユニットが子宮内に配置され、固定用支持具により支持された状態を示す模式側面図である。
図13】上記第2実施形態の第1変形例に係るチューブカバーを示す斜視図である。
図14】上記第1変形例に係る固定用支持具のチューブストッパがチューブカバーを介して子宮用止血バルーンユニットのチューブを支持する状態を示す斜視図である。
図15】上記第1変形例にチューブカバーが装着された子宮用止血バルーンユニットが子宮内に配置され、固定用紙冶具により支持された状態を示す模式側面図である。
図16】上記第2実施形態の第2変形例におけるチューブカバーの断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
[第1実施形態]
以下、本発明の子宮用止血バルーンユニットの固定用支持具(以下、固定用支持具という)の第1実施形態について、図面を参照して説明する。まず、固定用支持具により支持された子宮用止血バルーンユニットについて説明する。
【0031】
[子宮用止血バルーンユニットの概略構成]
本実施形態の子宮用止血バルーンユニット(以下、バルーンユニットという)1は、図1に示すように、可撓性を有するチューブ2と、該チューブ2の先端部に設けられた止血用バルーン3と、チューブ2に設けられたコネクタ4と、を備えている。
【0032】
[チューブの構成]
チューブ2は、第1チューブ2A及び第2チューブ2Bを有し、各チューブ2A,2Bのそれぞれは、例えば、ポリ塩化ビニル、シリコーンゴム、および熱可塑性エラストマーなどの合成樹脂により形成され、可撓性を有している。これら各チューブ2A,2Bには、該各チューブ2A,2Bの延出方向に沿って線(図示省略)が形成されており、この線は、X線により検出可能な材料が各チューブ2A,2Bに塗布又は混入されることにより形成されている。これらのうち、第2チューブ2Bは、第1チューブ2Aの略2倍(1.8倍~2.2倍)の長さに形成されている。具体的には、第1チューブ2Aの長さL3は、360mm~400mmに設定され、第2チューブ2Bの長さL1は660mm~880mmに設定され、L3とL1との比は、L3:L1=1:1.8~2.2となっている。また、第2チューブ2Bの径は第1チューブ2Aの径に比べて小さく形成されており、第2チューブ2Bが第1チューブ2A内を挿通可能となっている。これら第1チューブ2A及び第2チューブ2Bのそれぞれについて、以下に詳しく説明する。
【0033】
[第2チューブの構成]
第2チューブ2Bの先端部には、図1に示すように、第2バルーン3Bが設けられるとともに、該第2チューブ2Bの基端部には、ドレーン端子41が接続されている。この第2チューブ2Bは、第2バルーン3Bを貫通しており、第2チューブ2Bの先端と、先端から80mm~120mmの位置との二か所に、第2バルーン3Bを構成する膜が気密に固着されている。すなわち、第2バルーン3Bの先端と第2チューブ2Bの先端とは一致している。第2チューブ2Bの先端は、第2バルーン3Bの先端位置で開口している。
【0034】
この第2チューブ2Bの長さL1(第2チューブ2Bの先端からドレーン端子41の基端部までの長さ)は、660mm~880mmに設定されている。また、第2チューブ2Bの外径L2は、図5に示すように、先端から流入した子宮内の血液を外部に排出するための第1ドレーン流路21Aの内径L5(16mm~20mm)の略半分(0.4倍~0.6倍)の径に設定されている。具体的には、第2チューブ2Bの外径L2は、6.4mm~12mmに設定されている。換言すると、L5とL2との比は、L5:L2=1:0.4~0.6となっている。すなわち、第2チューブ2Bの外径L2は、第1チューブ2Aの第1ドレーン流路21A内に挿通可能な径とされている。
【0035】
また、第2チューブ2Bは、図3に示すように、先端から流入した子宮内の血液を外部に排出するための第2ドレーン流路21Bと、第2バルーン3Bに連通する第2給排水流路22Bとを備えている。第2ドレーン流路21Bの内径は、4.2mm~5.2mmに設定され、第2給排水流路22Bの内径は、1.1mm~2.6mmに設定されている。これらのうち、第2ドレーン流路21Bは、第2チューブ2Bの先端から基端まで連通しており、その先端部には、図3に示すように、子宮内の血液等が流入する開口211Bが形成されている。一方、第2給排水流路22Bは、第2チューブ2Bの先端近傍から基端近傍まで連通している。この第2給排水流路22Bの先端部の側面(第2チューブ2Bにおける第2バルーン3Bを貫通している部分の側部)には、開口221Bが形成されている。
【0036】
ここで、第2チューブ2Bには、上述したようにX線により検出可能な材料が塗布又は混入されることにより形成された線が設けられていることから、X線により検出可能であるが、X線検査装置がない場合、バルーンユニット1の第2チューブ2Bを子宮内に挿入してもその位置を検出できない。このような事態に対応するため、本実施形態では、図3に示すように、第2チューブ2Bにおいて、第2給排水流路22Bの先端側に、超音波エコーにより検出可能な検出部材(以下、第2検出部材という)23Bが封入されている。この第2検出部材23Bは、超音波エコーにより検出可能な金属製の線材により構成されている。このため、X線検査装置がない場合でも、第2バルーン3Bの位置を超音波エコーにより容易に検出可能となる。
【0037】
なお、検出部材23(第2検出部材23B及び後述する第1検出部材23A)は、超音波エコーにより検出可能な金属により構成されていることとしたが、好ましくは、金属の中でも錆に強い非鉄金属やステンレス鋼により構成されるとよい。より好ましくは、生体への影響が少ないアルミニウムにより構成されるとよい。この場合、検出部材23は、後述するスタイレット5と同じ組成の純アルミニウムにより構成されてもよい。
【0038】
[第1チューブの構成]
第1チューブ2Aの先端部には、図1に示すように、第1バルーン3Aが設けられている。この第1チューブ2Aは、第1バルーン3Aを貫通しており、第1チューブ2Aの先端と、先端から75mm~95mmの位置との二か所に、第1バルーン3Aを構成する膜が気密に固着されている。すなわち、第1バルーン3Aの先端と第1チューブ2Aの先端とは一致している。
【0039】
この第1チューブ2Aの長さL3は、360mm~400mmに設定され、その外径L4は20mm~26mmに設定されている。この第1チューブ2Aは、図5に示すように、先端から流入した子宮内の血液を外部に排出するための第1ドレーン流路21Aと、第1バルーン3Aに連通する第1給排水流路22Aとを備えている。第1ドレーン流路21Aの内径L5は16mm~20mmに設定され、第1給排水流路22Aの内径は1.1mm~2.6mmに設定されている。これらのうち、第1ドレーン流路21Aは、第1チューブ2Aの先端から基端まで連通しており、その先端部には、図5に示すように、子宮内の血液等が流入する開口211Aが第1バルーン3Aの先端位置で第1バルーン3Aの外に向けて形成されている。一方、第1給排水流路22Aは、第1チューブ2Aの先端近傍から基端近傍まで連通している。この第1給排水流路22Aの先端は閉塞されており、先端部の側面(第1チューブ2Aにおける第1バルーン3Aを貫通している部分の側部)には、第1バルーン3A内に向けて開口221Aが形成されている。
【0040】
この第1チューブ2Aの第1ドレーン流路21Aは、図5に示すように、萎んだ状態の第2バルーン3Bを収容する収容部Ar1が開口部211Aに連続して形成されている。また、第1ドレーン流路21Aは、収容部Ar1以外の部分の内径L5が少なくとも第2チューブ2Bを挿通可能に形成されている。具体的には、第1ドレーン流路21Aの内径L5(16mm~20mm)は、第2チューブ2Bの外径L2(6.4mm~12mm)の略2倍となるように設定されている。換言すると、L5とL2との比は、L5:L2=1:0.4~0.6となっている。なお、本実施形態では、第1ドレーン流路21Aは、ストレートに延びる形状であり、その内径L5は、萎んだ状態の第2バルーン3B及びチューブ2Bが挿通可能に設定されている。また、第2バルーン3Bは、収容部Ar1に収容される収容位置と、収容部Ar1から突出した突出位置(図1に示す位置)との間でスライド可能となっている。
【0041】
なお、本実施形態では、第1ドレーン流路21Aがストレートに延び、その内径L5がいずれの位置でも同じ形状であることとしたが、これに限らず、例えば、収容部Ar1となる部位の径を収容部Ar1以外の部分の内径L5よりも大きく設定して、収容部Ar1と第2バルーン3Bとの隙間を大きくしてもよい。この場合、収容部Ar1での第2バルーン3Bの移動をスムースにできる。
【0042】
また、第1チューブ2Aにおいて、第1給排水流路22Aの先端側には、第2検出部材23Bと同様の第1検出部材23Aが封入されている。このため、X線検査装置がない場合でも、第1バルーン3Aの位置を超音波エコーにより容易に検出可能となる。
【0043】
[止血用バルーンの構成]
止血用バルーン3は、例えば、シリコーンゴム等により形成されている。この止血用バルーン3は、第1給排水流路22Aに連通する第1バルーン3Aと、第2給排水流路22Bに連通する第2バルーン3Bとを有しており、各給排水流路22A,22Bを介して水等の液体が注入されることにより膨張する。これら第1バルーン3A及び第2バルーン3Bは、自由な状態では、弾性で若干膨らんでいる。この第1バルーン3Aは、図8に示すように、膨らんだ状態においては、第2バルーン3Bに比べて長さが小さく、その径が大きく形成されている。換言すると、第2バルーン3Bは、膨らんだ状態において、第1バルーン3Aに比べて長さが大きく、その径が小さく形成されている。
【0044】
これらのうち、第1バルーン3Aは、第2バルーン3Bの略2倍(1.8倍~2.2倍)の容量の液体が注入可能に構成され、例えば、最大450ml~880mlの液体を注入することが可能となっている。一方、第2バルーン3Bは、最大250ml~400mlの液体を注入することが可能となっており、第1バルーン3Aの最大容量と第2バルーン3Bの最大容量との比は、第1バルーン3Aの最大容量:第2バルーン3Bの最大容量=1.8~2.2:1となっている。なお、各バルーン3A,3Bには、上記最大容量の液体を注入可能ではあるが、子宮内に挿入された際には、該子宮内の形状に合わせた適切な量が注入される。詳述すると、第1バルーン3Aには、子宮下部内腔M1の形状に合わせた適切な量が注入され、第2バルーン3Bには、子宮上部内腔M2の形状に合わせた適切な量が注入される。
【0045】
また、第1バルーン3Aの液体が注入されていない状態における長さL6は75mm~95mm、直径(外径)L7は35mm~45mmとされ、500mlの液体が注入された際の長さL6は90mm~110mm、直径(外径)L7は95mm~105mmとなる。このような第1バルーン3Aに液体が注入されると、図8に示すように、略球状となる。この第1バルーン3Aは、子宮内で膨張されることにより、子宮下部内腔M1の内面を圧迫する。
【0046】
一方、第2バルーン3Bは、第1バルーン3Aの略半分の容量の液体が注入可能に構成され、上述したように、最大250ml~400mlの液体を注入可能となっている。具体的には、第2バルーン3Bの弾性で若干膨らんでいる状態(図5に示す萎んだ状態、より具体的には、第2チューブ2Bの外周に巻き付けるようにすぼめて収容部Ar1に収容された状態ではなく、図1及び図3に示す状態)における長さL8は80mm~110mm、直径(外径)L9は19mm~29mmとされ、300mlの液体が注入された際の長さL8は100mm~130mm、直径(外径)L9は65mm~75mmとなる。このような第2バルーン3Bに液体が注入されると、略球状となるが、図8に示すように、子宮上部内腔M2に収容された際には、その形状に合わせて扁平状となる。この第2バルーン3Bは、子宮内で膨張されることにより、図8に示すように、子宮下部内腔M1よりも奥側に位置し、子宮下部内腔M1よりも径の小さい子宮上部内腔M2の内面を圧迫する。なお、これら各バルーン3A,3Bの大きさ(最大容量及び各種径)は、任意に設定できる。
【0047】
[コネクタの構成]
コネクタ4は、第2ドレーン流路21Bに連通し、第2チューブ2Bの基端部に設けられたドレーン端子41と、ドレーン端子41よりも先端側で第2給排水流路22Bに連通し、第2チューブ2Bの外部に分岐して延出する可撓性を有する第2給排水管42Bと、第2給排水管42Bの基端に設けられ、第2給排水管42Bに連通する給排水端子43Bと、第1給排水流路22Aに連通し、第1チューブ2Aの外部に分岐して延出する可撓性を有する第1給排水管42Aと、第1給排水管42Aの基端に設けられ第1給排水管42Aに連通する給排水端子43Aと、を備えている。
【0048】
ドレーン端子41は、シリコーンゴム等により形成される可撓性を有する筒状部材である。このドレーン端子41は、基端側に向かうに従って徐々にその径が拡張するいわゆるラッパ状に形成されている。このドレーン端子41は、第2ドレーン流路21Bに連通しているため、開口211Bから流入した子宮内の血液等は、第2ドレーン流路21Bを介してドレーン端子41の開口411から排出される。このドレーン端子41の開口411内には、スタイレット5が挿通され、このスタイレット5に接続されたキャップ6がドレーン端子41に装着される。
【0049】
各給排水管42A,42Bは、例えば、シリコーンゴム等により形成され、可撓性を有している。これら各給排水管42A,42Bは、先端が各チューブ2A,2B内の各給排水流路22A,22Bに連通しており、各チューブ2A,2Bの基端部近傍から外部に延出している。これら各給排水管42A,42Bの基端には、各給排水端子43A,43Bが設けられている。各給排水端子43A,43Bは、例えば、PVC(硬質塩化ビニル)等により形成されている。これら各給排水端子43A,43Bのそれぞれには、二方コック(図示省略)が接続される。
【0050】
上記二方コックには、注射器等の給水器(図示省略)が接続される。この給水器から二方コックを介して液体が注入されると、各給排水端子43A,43B、各給排水管42A,42B及び各給排水流路22A,22Bを介して各バルーン3A,3B内に液体が供給される。一方、各バルーン3A,3B内に液体が供給された状態で、二方コックのロックを解除すると、各バルーン3A,3B内の液体が逆流し、各バルーン3A,3Bが収縮する。
【0051】
[スタイレット及びキャップの構成]
スタイレット5は、図2及び図4に示すように、第2ドレーン流路21B内に配置される。このスタイレット5の基端部には、ドレーン端子41の開口411に着脱可能に嵌合するキャップ6が固定されている。このキャップ6は、スタイレット5を医療従事者が操作する際に指をかけるための保持部として機能する。これらのうち、スタイレット5は、純アルミニウムやアルミニウム合金(例えば、A1070、A1080等)の他、ステンレス鋼、ポリプロピレン等のワイヤにより構成される。これにより、スタイレット5は、該スタイレット5を折り曲げた角度でその形状を維持でき、かつ、強い力が加わった際には変形する。
【0052】
本実施形態では、スタイレット5の長さは、ドレーン端子41の開口411にキャップ6を装着した際に、スタイレット5の先端が第2バルーン3Bの先端から突出不能な位置から第2バルーン3Bの基端部までの間に位置する長さに設定されている。これにより、バルーンユニット1を適切に母体内に挿入でき、かつ、スタイレット5により子宮を傷つけることを抑制している。
【0053】
なお、スタイレット5の先端が第2バルーン3Bの先端から突出不能な位置を越えて第2ドレーン流路21Bの先端近傍まで延びていると、第2ドレーン流路21Bの先端からスタイレット5が飛び出す可能性があり、第2バルーン3Bの基端部まで延びていないと、第2バルーン3Bをスタイレット5により支持できないので、バルーンユニット1を母体内に挿入しにくくなる。
【0054】
[固定用支持具の構成]
図6は、子宮内に配置されたバルーンユニット1を固定用支持具100により支持した状態を示す図である。
【0055】
固定用支持具100は、図6に示すように、バルーンユニット1を患者(母体M)に固定するものである。この固定用支持具100は、バルーンユニット1のチューブ2Aを支持するチューブストッパ7と、チューブストッパ7を患者に固定可能な固定部材8と、を有している。
【0056】
[チューブストッパの構成]
チューブストッパ7は、図6に示すように、チューブ2Aを挟持して支持する。このチューブストッパ7は、図7に示すように、一対の挟持片7A,7Bからなる。これら一対の挟持片7A,7Bのそれぞれは、平面視略半円弧状の挟み部71と、挟み部71とは反対側に位置する把持部72と、挟み部71と把持部72との間に位置する平面視円形状の中間部73と、を備えており、中間部73の中央に形成された孔部を軸支する軸部74により、両挟持片7A,7Bが軸部74を中心に回動可能に一体とされており、挟み部71が離間接近する方向に開閉可能となっている。また、把持部72には、それぞれの挟み部71の先端が互いに当接する方向に押圧するばねが配置されている。
【0057】
各挟持片7A,7Bの挟み部71が当接する状態の際、2つの半円弧状の挟み部71が合わさって、各挟み部71間には、平面視略円形状の空間75が形成される。この空間75は、チューブ2Aを挟持するために形成されており、空間75の開口径は、チューブ2Aの外径よりも小さく設定されている。例えば、この開口径は、10mm~35mmに設定されている。
【0058】
また、各挟み部71の内周面には、弾性部材711が固定されている。これにより、チューブ2Aを挟持した際に、チューブ2Aからチューブストッパ7が外れたり、チューブ2Aに沿ってずれたりすることを抑制している。
【0059】
このため、チューブストッパ7の各把持部72を把持して、互いに近接する方向に移動させると、挟み部71が互いに離間する方向に移動し、挟み部71の先端間に隙間が形成される。この隙間の径は、チューブ2Aの外径と同じか、チューブ2Aの外径よりも若干小さく設定される。これにより、上記隙間を介してチューブ2Aに嵌め入れることができ、各把持部72から手を離すと、上記ばねにより挟み部71が近接する方向に移動して、チューブ2Aを把持することが可能となる。
【0060】
[固定部材の構成]
固定部材8は、チューブストッパ7に接続されるバンド81,82と、患者(母体M)の腹部に巻いて装着される腹部用ベルト83と、を備えている。バンド81は、挟持片7A,7Bの挟み部71の基端部に固定され、バンド82は、挟み部71の先端部に固定されている。このバンド82は、腹部用ベルト83の背中側に接続され、バンド81は、腹部用ベルト83の腹側に接続される。これらバンド81,82は、例えば、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂等により構成され、腹部用ベルト83の調整部84によりその長さを調整可能に固定されている。これらバンド81,82が腹部用ベルト83の調整部84に接続され、腹部用ベルト83側に引っ張られると、バンド81,82が接続されたチューブストッパ7が母体Mの股間に向けて引っ張られて、チューブストッパ7の両挟持片7A,7Bの正面が母体Mの股間(外陰部)に当接する。
【0061】
[バルーンユニットの使用方法]
図8は、子宮内に配置され、子宮下部内腔M1及び子宮上部内腔M2を圧迫する状態で固定用支持具100により支持されたバルーンユニット1を示す図である。なお、図8では、各構成をわかりやすくするため、第1バルーン3Aと子宮下部内腔M1の内面との間、及び第2バルーン3Bと子宮上部内腔M2の内面との間に隙間が空いているが、実際には、隙間はなく、各バルーン3A,3Bは上記各内面を圧迫している。
【0062】
まず、バルーンユニット1を把持してチューブ2A,2Bを所望の角度に曲げた後、図8に示すように、第1チューブ2Aの収容部Ar1に第2バルーン3Bが収容された状態の第1バルーン3Aを腟内に挿入し、子宮口を介して子宮内(子宮下部内腔M1)に挿入する。
【0063】
そして、第1給排水管42A及び第1給排水流路22Aを介して液体を第1バルーン3Aにのみ流入させる。これにより、第1バルーン3Aにより子宮下部内腔M1の内面が圧迫された状態となる。
【0064】
また、第1バルーン3Aにより子宮下部内腔M1の内面を圧迫した後、スタイレット5に接続されたキャップ6を把持し、奥に押し込むことにより、第2バルーン3Bが第1ドレーン流路21A内をスライドして、第1バルーン3Aより奥側に突出する。そして、第2バルーン3Bを子宮上部内腔M2に到達させた後、第2給排水管42B及び第2給排水流路22Bを介して液体を第2バルーン3Bに流入させる。これにより、第2バルーン3Bにより子宮上部内腔M2の内面が圧迫された状態(図8に示す状態)となる。
【0065】
そして、この各バルーン3A,3Bによる圧迫により、止血が可能であるか否かを確認し、可能と判断すると、母体Mに腹部用ベルト83を巻いて装着する。そして、腹部用ベルト83の背中側の部位に、チューブストッパ7の挟み部71の先端部に固定されたバンド82を固定する。そして、第1チューブ2Aにチューブストッパ7の把持部72を把持し、各把持部72を近接させると、各挟み部71が離れる方向に移動し、各挟み部71の先端間に上記隙間が形成される。この隙間を介してチューブストッパ7の挟み部71をチューブ2Aに嵌め入れる。この際、チューブストッパ7は、母体Mの腟から突出する第1チューブ2Aに対して、該腟からの距離が0mmの部位を挟持することが好ましい。すなわち、チューブストッパ7は、母体Mの外陰部に密着していることが好ましい。これにより、位置決めした第1バルーン3A及び第2バルーン3Bが子宮内でずれることを抑制可能となる。
【0066】
そして、チューブストッパ7の挟み部71の先端側のバンド81を腹部用ベルト83の調整部84に固定し、バンド81の長さを調整する。これにより、バンド81,82がチューブストッパ7を腹部用ベルト83に向けて引っ張る状態となり、チューブストッパ7の両挟持片7A,7Bの正面が母体Mの股間に当接した状態で固定される。その結果、各バルーン3A,3Bによって子宮下部内腔M1及び子宮上部内腔M2の内面が圧迫された状態のバルーンユニット1が、固定用支持具100により支持される。
【0067】
本実施形態では、チューブストッパ7が固定部材8により患者(母体M)に固定されることにより、該チューブストッパ7により支持された第1チューブ2Aが患者に固定される。このため、子宮内で膨張した各バルーン3A,3Bが子宮から脱落することを抑制できる。また、固定部材8が腹部用ベルト83及びバンド81,82により構成されるので、チューブストッパ7を確実に母体Mに固定できる。
【0068】
さらに、両挟持片7A,7Bの正面が母体Mの股間に当接した状態でチューブストッパ7が母体Mに固定されるので、第1チューブ2Aにねじりや曲げなどの無理な力を作用させることなく、腟から突出する第1チューブ2Aを安定して支持できる。
【0069】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図面を用いて説明する。図9は、本実施形態に係る子宮用止血バルーンユニット1Aに、その固定用支持具100Aを構成するチューブカバー9が装着された状態を示す模式図である。本実施形態では、固定用支持具100Aがチューブカバー9を有する点を特徴としており、その他の構成は上記第1実施形態と略同じである。このため、以下では、上記第1実施形態と同一又は略同一の構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
【0070】
本実施形態のバルーンユニット1Aは、上記第1実施形態のバルーンユニット1とは異なり、1つのチューブ2C及び1つの止血用バルーン3Cからなる。このバルーンユニット1Aは、いわゆるシングルバルーンユニットであるため、チューブ2Cの外径は、上記第1実施形態の第2チューブ2Bと略同じ外径に形成され、その内部構造は、第2チューブ2Bと同じである。また、止血用バルーン3Cは、第1バルーン3Aと略同じ構造である。このようなバルーンユニット1Aのチューブ2Cの外径は、8mm~12mmと小さいため、剛性が比較的低く(柔らかく)、チューブストッパ7によりチューブ2Cを挟持しても、適切にチューブ2Cを挟持して支持するのは容易ではない。このため、本実施形態では、チューブ2Cに装着して、剛性を高めるためのチューブカバー9を備えている。
【0071】
[チューブカバーの構成]
チューブカバー9は、図9及び図10に示すように、チューブ2Cを覆う筒状に形成され、その内径は、チューブ2Cの外径と同程度に設定され、例えば、8mm~12mmとされている。このチューブカバー9は、例えば、シリコーン、塩化ビニル等の樹脂により構成され、弾性変形可能に構成されている。また、チューブカバー9には、該チューブカバー9の長さ方向に直線状に延び、かつ、チューブカバー9を開いてチューブ2Cに装着するためのスリット91が形成されている。すなわち、このスリット91は、チューブカバー9を長さ方向に延びる1本の切り込みにより構成されている。このスリット91を介してチューブカバー9を開くことにより隙間が形成され、この隙間にチューブ2Cを側方から嵌め入れることにより、チューブカバー9がチューブ2Cに装着される。
【0072】
なお、本実施形態では、スリット91の幅は、例えば、5mm~10mmに設定され、チューブカバー9がチューブ2Cに装着された際に、チューブ2Cの一部が視認可能となっている。これにより、スリット91を介してチューブカバー9をチューブ2Cに装着しやすくできる。また、チューブカバー9は、チューブ2Cを覆うことができることとしたが、その領域は、チューブ2Cの周方向における略全領域である必要はなく、少なくともチューブ2Cの周方向における半分を超える領域を覆うことができればよい。
【0073】
また、チューブカバー9がチューブ2Cに装着された際における該チューブカバー9の止血用バルーン3C側の端部には、クッション部92が形成されている。このクッション部92は、上記端部に向かうに従ってその外径が拡大する形状(いわゆるラッパ状)に形成され、チューブカバー9におけるクッション部92以外の領域に比べて、弾性変形しやすいように薄肉に形成されている。このクッション部92は、チューブカバー9がチューブ2Cに装着された際に、止血用バルーン3Cに当接する。
【0074】
さらに、チューブカバー9は、チューブストッパ7をチューブ2Cの長さ方向における異なる位置で固定するための複数の固定部93を有している。この固定部93は、スリット91の端部からチューブカバー9の長さ方向と直交する方向に周方向の途中まで延びる複数の第1凹部94と、隣り合う第1凹部94間に形成される複数の第2凹部95とからなる。すなわち、複数の第1凹部94は、チューブカバー9の片側の略半周分に形成され、複数の第2凹部95は、第1凹部94とは180°反対側から略半周分に渡って形成されている。これら複数の第1凹部94及び第2凹部95は、チューブカバー9の長さ方向に交差する交互に配置されている。また、これら第1凹部94及び第2凹部95のそれぞれは、チューブカバー9の外周面から該チューブカバー9の中心に向けて凹む形状であり、第1凹部94及び第2凹部95が形成されていない領域よりも肉薄に形成されている。
【0075】
このようなチューブカバー9が装着されたバルーンユニット1Aは、図11に示すように、チューブカバー9を介してチューブストッパ7により挟持される。この場合、チューブストッパ7が挟持する位置は、チューブカバー9の固定部93が形成されている場所であることが好ましい。これにより、各挟み部71における空間75側の外周面に形成された弾性部材711が固定部93(凹部94,95)に係止される。
【0076】
[バルーンユニットの使用方法]
図12は、子宮内に配置され、子宮下部内腔M1を圧迫する状態で固定用支持具100Aにより支持された状態のバルーンユニット1Aを示す図である。なお、図11では、各構成をわかりやすくするため、止血用バルーン3Cと子宮下部内腔M1の内面との間に隙間が空いているが、実際には、隙間はなく、止血用バルーン3Cは上記内面を圧迫している。
【0077】
まず、スリット91を介してチューブストッパ7をチューブ2Cに装着した後、バルーンユニット1Aを把持して所望の角度に曲げた後、図12に示すように、止血用バルーン3C及びチューブ2Cを腟内に挿入させ、子宮口を介して止血用バルーン3Cを子宮内(子宮下部内腔M1)に挿入する。そして、給排水管42Cを介して液体を止血用バルーン3Cに流入させる。これにより、止血用バルーン3Cにより子宮下部内腔M1の内面が圧迫された状態となる。
【0078】
そして、この止血用バルーン3Cによる圧迫により、止血が可能であるか否かを確認し、可能と判断すると、母体Mに腹部用ベルト83を巻いて装着する。そして、腹部用ベルト83の背中側の部位に、チューブストッパ7の挟み部71の先端部に固定されたバンド82を固定する。そして、チューブ2Cにチューブストッパ7の把持部72を把持し、各把持部72を近接させると、各挟み部71が離れる方向に移動し、各挟み部71の先端間に上記隙間が形成される。この隙間を介してチューブストッパ7の挟み部71を、チューブカバー9を装着したチューブ2Cに嵌め入れる。この際、チューブストッパ7は、母体Mの腟から突出するチューブ2Cに対して、該腟からの距離が0mmの部位、すなわち、チューブカバー9の固定部93が形成されている部位を挟持することが好ましい。すなわち、チューブストッパ7は、母体Mの外陰部に密着していることが好ましい。これにより、位置決めした止血用バルーン3Cが子宮内でずれることを抑制可能となる。
【0079】
そして、チューブストッパ7の挟み部71側のバンド81を腹部用ベルト83の調整部84に固定し、バンド81の長さを調整する。これにより、バンド81,82がチューブストッパ7を腹部用ベルト83に向けて引っ張る状態となり、チューブストッパ7の両挟持片7A,7Bの挟み部71の正面が母体Mの股間に当接した状態で固定される。その結果、止血用バルーン3Cによって子宮下部内腔M1の内面が圧迫された状態のバルーンユニット1Aが、固定用支持具100Aにより支持される。
【0080】
本実施形態では、チューブ2Cにチューブカバー9を装着することで、チューブ2Cの剛性を高めることができ、チューブカバー9を介してチューブ2Cを把持して操作しやすくできる。また、チューブ2Cにチューブカバー9が装着された状態で、膨張した止血用バルーン3Cに向けてチューブカバー9が押された場合でも、チューブカバー9の先端部にクッション部92が設けられているので、チューブカバー9により止血用バルーン3Cが傷つけられてしまうことを抑制できる。さらに、チューブカバー9が装着されたチューブ2Cをチューブストッパ7によって挟持するので、チューブ2Cの剛性(チューブ2Cとチューブカバー9とを組み合わせた複合構造体としての剛性)を高めることができる。また、チューブ2Cにチューブカバー9を装着したときのチューブ2Cとチューブカバー9とを組み合わせた複合構造体としての外径は、チューブ2C単体のときのチューブ2Cの外径よりも大きくなるので、チューブストッパ7によって適切にチューブ2Cを挟持して支持できる。また、チューブカバー9には、スリット91が形成されているので、チューブカバー9をチューブ2Cに容易に装着できる。
【0081】
さらに、チューブカバー9に複数の固定部93(各凹部94,95)が設けられているので、チューブストッパ7をチューブ2Cの長さ方向における所望の位置で固定できる他、不測の事態が生じてもチューブ2Cを挟持するチューブストッパ7がチューブカバー9に沿って滑って動いてしまうことを抑制して、チューブストッパ7による挟持位置を維持できる。また、複数の固定部93が内側に凹む第1凹部94及び第2凹部95からなり、複数の固定部93がチューブカバー9の外周面の外側に突出していないので、チューブカバー9を装着したチューブ2Cを母体Mの腟内に挿入する際に、スムースに腟内に挿入でき、母体への負担を軽減できる。
【0082】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0083】
例えば、上記各実施形態では、固定部材8は、バンド81,82及び腹部用ベルト83により構成されることとしたが、これに限らない。例えば、固定部材8は、パンツ型の固定部材にチューブ2Aが挿通可能で、かつ、チューブストッパ7が挿通できない大きさの開口部が形成されたものにより構成されてもよい。この場合、パンツ型の固定部材の開口部にチューブ2Aを挿通させた状態のバルーンユニット1を母体M内に挿入し、チューブストッパ7をチューブ2Aに固定したのち、パンツ型の固定部材を母体Mに装着すればよい。この場合であっても、チューブストッパ7が母体Mに固定されることとなるので、上記各実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0084】
なお、上記パンツ型の固定部材は、例えば、吸水性の素材により構成されてもよい。この場合、バルーンユニット1,1Aを介して流出する血液等の液体をパンツ型の固定部材により吸収できる。
【0085】
また、固定部材8は、バンド81,82により構成されてもよい。この場合、バンド81,82をいわゆるサスペンダーのように用いて、母体Mの両肩に引っ掛けることで、チューブストッパ7を母体Mに固定することとしてもよい。すなわち、固定部材8は、上記実施形態の態様にかかわらず、チューブストッパ7を母体Mに固定できればよい。
【0086】
上記第2実施形態では、チューブカバー9をバルーンユニット1Aに適用する例を示したが、これに限らず、例えば、第1実施形態に示したバルーンユニット1に適用することも可能である。
【0087】
なお、上記第1実施形態の第1チューブ2Aの外周面に、上記第2実施形態の固定部93を形成することとしてもよい。
【0088】
上記第2実施形態では、チューブカバー9に形成されたスリット91は、図9に示すように、チューブカバー9の長さ方向に直線状に延びる形状としたが、これに限らず、例えば、波線状に延びる形状や、ジグザグに延びる形状であってもよい。
【0089】
上記第2実施形態では、チューブカバー9の固定部93は、複数の各凹部94,95により構成されることとしたが、これに限らず、複数の凸部により構成されることとしてもよい。すなわち、チューブストッパ7を係止できればよく、例えば、図13に示す形状であってもよい。
【0090】
図13は、第2実施形態の第1変形例に係るチューブカバー9Eを示す斜視図であり、図14は、チューブカバー9Eが装着されたチューブ2Cをチューブストッパ7で挟んだ状態を示す斜視図であり、図15は、チューブカバー9Eが装着されたバルーンユニット1Aが母体M内に挿入された状態を示す模式図である。なお、以下の説明では、第2実施形態のチューブカバー9と同じ又は略同じ構成については、同じ番号を付し、説明を省略又は簡略化して説明する。
【0091】
本変形例に係るチューブカバー9Eは、図13図15に示すように、チューブ2Cを覆う筒状に形成され、その内径は、チューブ2Cの外径と同程度に設定され、例えば、8mm~12mmとされている。このチューブカバー9Eは、例えば、シリコーン、塩化ビニル等の樹脂により構成され、弾性変形可能に構成されている。また、チューブカバー9Eは、該チューブカバー9Eの長さ方向に直線状に延びており、先端部が屈曲している。具体的には、図15に示すように、チューブカバー9Eの直線状部とチューブカバー9Eの先端部側とがなす角度θ1は、100°~170°に設定されている。この角度θ1は、より好ましくは、120°~150°であるとよい。このチューブカバー9Eには、チューブカバー9Eを開いてチューブ2Cに装着するためのスリット91が形成されている。
【0092】
また、チューブカバー9Eがチューブ2Cに装着された際における該チューブカバー9Eの止血用バルーン3C側の端部(内側に屈曲している側の端部)には、クッション部92Eが形成されている。このクッション部92Eは、上記端部に向かうに従ってその外径が拡大する形状(いわゆるラッパ状)に形成され、チューブカバー9Eにおけるクッション部92E以外の領域に比べて、弾性変形しやすいように薄肉に形成されている。また、このクッション部92Eは、チューブカバー9Eの直線状に延びる部位と略平行に延びる延出部921Eが形成されている。この延出部921Eは、図15に示すように、止血用バルーン3Cが子宮下部内腔M1内で膨張した際に、腟から子宮下部内腔M1への入り口近傍の部位(子宮下部内腔M1の背中側の部位)に当接する部位である。
【0093】
なお、上述したように、チューブカバー9Eの先端側が内側に屈曲しているので、チューブカバー9Eの腟での周方向の回転が抑制され、これによりチューブカバー9Eの延出部92E(延出部921E)が子宮下部内腔M1の背中側の部位に当接して止血用バルーン3Cを確実に支持できる。このため、例えば、医師が母体Mの腹部を押圧した場合でも、止血用バルーン3Cが母体Mの背中側へ逃げることを抑制できる。これにより、医師の手と止血用バルーン3Cとで双手圧迫(子宮内と腹部とに手を当て圧迫する止血方法)と同様の処置が可能となる。
【0094】
さらに、チューブカバー9Eは、チューブストッパ7をチューブ2Cの長さ方向における異なる位置で固定するための複数の固定部93Eを有している。この固定部93Eは、スリット91の端部からチューブカバー9の長さ方向と直交する方向に延びる複数の凸部により構成されている。すなわち、固定部93Eを構成する複数の凸部は、チューブカバー9の外周面よりも外側に突出しており、固定部93Eが形成されていない領域に比べて、肉厚に形成されている。このため、各挟み部71による空間75側の外周面に形成された弾性部材711が、複数の凸部からなる固定部93Eに確実に係止される。また、上記第2実施形態のように固定部93が複数の凹部94,95からなる場合に比べて、チューブカバー9Eの剛性を高めることができる。
【0095】
上記第2実施形態の第1変形例では、チューブカバー9に形成されたスリット91をチューブ2Cに装着すると、チューブ2Cの一部が外部から視認できる形状であることとしたが、これに限らない。例えば、図16に示す形状であってもよい。
【0096】
このチューブカバー9Dのスリット91Dは、図16に示すように、チューブカバー9Dの内面に形成されるチューブカバー9Dの長さ方向に直線状に延びる第1スリット911と、チューブカバー9Dの外面における第1スリット911とは異なる位置に形成されるチューブカバー9Dの長さ方向に延びる直線状の第2スリット912と、第1スリット911と第2スリット912とを接続する第3スリット913と、を備えている。この第1スリット911と第2スリット912とは、それぞれチューブカバー9Dの内面及び外面から半径方向の略半分の深さとされ、第1スリット911と第2スリット912とが周方向に沿う第3スリット913により接続されている。
【0097】
このように、チューブカバー9Dにおいて第1スリット911及び第2スリット912が周方向においてそれぞれが重ならない位置に形成されているので、このチューブカバー9Dをチューブ2Cに装着しても、外部からチューブ2Cが視認できない状態となる。このため、チューブカバー9Dによりチューブ2Cを確実に覆うことができるので、チューブストッパ7とチューブカバー9Dとの摩擦力が高まり、母体Mの腟内にバルーンユニット1を挿入する際に、チューブカバー9Dがチューブ2Cに沿って移動して、止血用バルーン3Cをチューブカバー9Dの先端により押圧することを抑制できる。また、チューブ2Cがチューブカバー9Dにより確実に覆われているので、チューブカバー9Dの外面を滑らかにできることから、腟内へのチューブ2Cの挿入を容易にできる。
【0098】
さらに、膨らんだ止血用バルーン3Cが子宮内に当接している状態で、そこからさらにチューブカバー9Dを押し込もうとする場合、図16のようにチューブ2Cを覆っていれば、チューブカバー9Dからチューブ2Cが抜け出すことを防止できる。
【0099】
上記第2実施形態では、チューブカバー9,9D,9Eには、スリット91,91Dが形成されていることとしたが、これに限らず、スリット91,91Dはなくてもよい。この場合、チューブカバー9,9D,9Eをチューブ2Cの基端部から押し込んで装着するようにしてもよい。
【0100】
上記各実施形態では、チューブストッパ7は、挟み部71、把持部72及び中間部73を備えた挟持片7A,7Bが軸部74により一体とされる構成であることとしたが、これに限らない。例えば、チューブストッパは、チューブ2A,2Cを挿通可能な開口部を有する構成とし、チューブ2A,2Cに沿って移動可能で、かつ、所望の位置で固定可能な構成であればよい。すなわち、チューブストッパ7は、第1チューブ2A及びチューブ2Cを支持できればよく、各チューブ2A,2Cを挟持する構成でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、子宮用止血バルーンユニットを患者に固定するための固定用支持具として利用できる。
【符号の説明】
【0102】
1 1A 子宮用止血バルーンユニット
2 チューブ
2A 第1チューブ
2B 第2チューブ
2C チューブ
21 ドレーン流路
21A 第1ドレーン流路
211A 211B 開口
21B 第2ドレーン流路
22 給排水流路
22A 第1給排水流路
221A 開口
22B 第2給排水流路
221B 開口
23 検出部材
23A 第1検出部材
23B 第2検出部材
3 止血用バルーン
3A 第1バルーン
3B 第2バルーン
3C 止血用バルーン
4 コネクタ
41 ドレーン端子
411 開口
42 給排水管
42A 第1給排水管
42B 第2給排水管
43 給排水端子
43A 第1給排水端子
43B 第2給排水端子
5 スタイレット
6 キャップ
7 チューブストッパ
7A 7B 挟持片
71 挟み部
711 弾性部材
72 把持部
73 中間部
74 軸部
75 空間
8 固定部材
81 82 バンド
83 腹部用ベルト
84 調整部
9 9E チューブカバー
91 91D スリット
911 第1スリット
912 第2スリット
913 第3スリット
92 クッション部
921E 延出部
93 93E 固定部
94 第1凹部
95 第2凹部
100 100A 固定用支持具
M 母体(患者)
M1 子宮下部内腔
M2 子宮上部内腔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-11-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮用止血バルーンユニットを患者に固定するために用いるチューブカバーであって、
前記子宮用止血バルーンユニットは、可撓性を有するチューブと、該チューブの先端に設けられた止血用バルーンと、を備え、
前記チューブカバーは、筒状で、かつ、前記チューブを覆うように構成され、
前記チューブカバーには、該チューブカバーの長さ方向に延び、かつ該チューブカバーを開いて前記チューブに装着するためのスリットが形成されていることを特徴とするチューブカバー
【請求項2】
前記チューブカバーは、
前記チューブカバーの長さ方向に沿って直線状に延びた直線状部と、
前記チューブカバーにおける一方端部であって、前記直線状部に対して所定角度屈曲した先端部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のチューブカバー。
【請求項3】
前記直線状部と前記先端部とのなす角度は、100°~170°に設定されていることを特徴とする請求項2に記載のチューブカバー。
【請求項4】
前記先端部には、クッション部が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のチューブカバー。
【請求項5】
前記クッション部は、前記先端部に向かうに従って外径が拡大するラッパ状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のチューブカバー。
【請求項6】
前記チューブカバーには、前記チューブカバーの外周面から該チューブカバーの中心に向けて凹む凹部からなる複数の固定部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のチューブカバー。
【請求項7】
前記チューブカバーには、前記チューブカバーの外周面から突出する凸部からなる複数の固定部が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のチューブカバー。