(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126533
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】光学積層体
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240912BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20240912BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
G02B5/30
B32B7/023
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034943
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003845
【氏名又は名称】弁理士法人籾井特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 浩明
(72)【発明者】
【氏名】中村 宜弘
(72)【発明者】
【氏名】安▲徳▼ 友里
(72)【発明者】
【氏名】朝永 政俊
【テーマコード(参考)】
2H149
4F100
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AB15
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA22
2H149FA02X
2H149FA03W
2H149FA12Y
2H149FA12Z
2H149FA13Y
2H149FA66
2H149FD00
2H149FD44
2H149FD47
2H149FD48
4F100AJ06
4F100AK21
4F100AK25
4F100AK45
4F100AR00A
4F100AR00B
4F100BA02
4F100DB01B
4F100GB48
4F100JB10
4F100JB10B
4F100JK14A
4F100JL11
4F100JL11B
4F100JN10
4F100JN18
4F100JN18A
4F100YY00A
4F100YY00B
(57)【要約】
【課題】有機溶剤で清掃しても位相差フィルムにクラックが生じることを抑制し得る光学積層体を提供すること。
【解決手段】本発明の実施形態による光学積層体は、位相差フィルムと;該位相差フィルムに積層された第1粘着剤層と;を備えている。光学積層体において、該位相差フィルムの端面における表面粗さが2.0μm以下、および/または、該第1粘着剤層の端面における糊欠け部の寸法が30μm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相差フィルムと、
前記位相差フィルムに積層された第1粘着剤層と、を備え、
前記位相差フィルムの端面における表面粗さが2.0μm以下である、光学積層体。
【請求項2】
前記第1粘着剤層の端部には、糊欠け部が形成されており、前記位相差フィルムの端面と直交する方向における糊欠け部の寸法が30μm以下である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
位相差フィルムと、
前記位相差フィルムに積層された第1粘着剤層と、を備え、
前記第1粘着剤層の端部には、糊欠け部が形成されており、前記位相差フィルムの端面と直交する方向における糊欠け部の寸法が30μm以下である、光学積層体。
【請求項4】
前記位相差フィルムに対して前記第1粘着剤層と反対側に積層された第2粘着剤層と、
前記第2粘着剤層を介して前記位相差フィルムに貼り付けられた偏光板と、をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項5】
前記第1粘着剤層を構成する粘着剤は、下記アセトン浸漬試験における膨張率が5%以下である、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体:
(アセトン浸漬試験)
前記粘着剤を用いて、厚み方向から見て略矩形状の粘着剤層を作製し;
前記粘着剤層をガラス板に貼り付けて、粘着剤とガラス板との積層サンプルを準備し;
前記積層サンプルを25℃においてアセトンに2秒間浸漬し;
前記積層サンプルをアセトンから引き上げた後に乾燥させて、前記粘着剤層における各辺の長さを測定し;
前記粘着剤層における各辺の長さの寸法変化率の平均値から前記膨張率を算出する。
【請求項6】
前記第1粘着剤層の厚みは、5μm以上である、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
【請求項7】
前記位相差フィルムの厚みは、10μm以上である、請求項1から3のいずれかに記載の光学積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置には、用途に適した光学特性を補償するために、位相差フィルムが使用される場合がある。そのような位相差フィルムは、例えば、粘着剤層によって所望の位置に貼り付けられる。そのため、位相差フィルムと、位相差フィルム上に積層された粘着剤層と、を備える粘着剤層付位相差フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
近年、特許文献1に記載されるような粘着剤層付位相差フィルムを光学部材に貼り付けた状態で、光学部材にさらに各種部品を取り付けることが検討されている。この場合、部品の取り付けの前後において、粘着剤層付位相差フィルムおよび光学部品を、有機溶剤を用いて清掃することが望まれている。しかし、有機溶剤を用いて粘着剤層付位相差フィルムを清掃すると、位相差フィルムにクラックが生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、有機溶剤で清掃しても位相差フィルムにクラックが生じることを抑制し得る光学積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明の実施形態による光学積層体は、位相差フィルムと、該位相差フィルムに積層された第1粘着剤層と、を備えている。該位相差フィルムの端面における表面粗さは2.0μm以下である。
[2]上記[1]に記載の光学積層体において、上記第1粘着剤層の端部には、糊欠け部が形成されていてよい。上記位相差フィルムの端面と直交する方向における糊欠け部の寸法は30μm以下であってもよい。
[3]本発明の別の実施形態による光学積層体は、位相差フィルムと、該位相差フィルムに積層された第1粘着剤層と、を備えている。該第1粘着剤層の端部には、糊欠け部が形成されている。該位相差フィルムの端面と直交する方向における糊欠け部の寸法は30μm以下である。
[4]上記[1]から[3]のいずれかに記載の光学積層体は、第2粘着剤層と、偏光板と、をさらに備えていてもよい。第2粘着剤層は、上記位相差フィルムに対して上記第1粘着剤層と反対側に積層されている。偏光板は、該第2粘着剤層を介して上記位相差フィルムに貼り付けられている。
[5]上記[1]から[4]のいずれかに記載の光学積層体において、上記第1粘着剤層を構成する粘着剤は、下記アセトン浸漬試験における膨張率が5%以下であってもよい。
(アセトン浸漬試験)
上記粘着剤を用いて、厚み方向から見て略矩形状の粘着剤層を作製し;該粘着剤層をガラス板に貼り付けて、粘着剤とガラス板との積層サンプルを準備し;該積層サンプルを25℃においてアセトンに2秒間浸漬し;該積層サンプルをアセトンから引き上げた後に乾燥させて、該粘着剤層における各辺の長さを測定し;該粘着剤層における各辺の長さの寸法変化率の平均値から上記膨張率を算出する。
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載の光学積層体において、上記第1粘着剤層の厚みが、5μm以上であってもよい。
[7]上記[1]から[6]のいずれかに記載の光学積層体において、上記位相差フィルムの厚みが、10μm以上であってもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、有機溶剤で清掃しても位相差フィルムにクラックが生じることを抑制し得る光学積層体を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図である。
【
図2】
図2は、
図1の光学積層体が備える第1粘着剤層の端部の概略拡大図である。
【
図3】
図3は、本発明の別の実施形態による光学積層体の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。また、図面は説明をより明確にするため、実施の形態に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0009】
(用語および記号の定義)
本明細書における用語および記号の定義は下記の通りである。
(1)屈折率(nx、ny、nz)
「nx」は面内の屈折率が最大になる方向(すなわち、遅相軸方向)の屈折率であり、「ny」は面内で遅相軸と直交する方向(すなわち、進相軸方向)の屈折率であり、「nz」は厚み方向の屈折率である。
(2)面内位相差(Re)
「Re(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した面内位相差である。例えば、「Re(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した面内位相差である。Re(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Re(λ)=(nx-ny)×dによって求められる。
(3)厚み方向の位相差(Rth)
「Rth(λ)」は、23℃における波長λnmの光で測定した厚み方向の位相差である。例えば、「Rth(550)」は、23℃における波長550nmの光で測定した厚み方向の位相差である。Rth(λ)は、層(フィルム)の厚みをd(nm)としたとき、式:Rth(λ)=(nx-nz)×dによって求められる。
(4)Nz係数
Nz係数は、Nz=Rth/Reによって求められる。
(5)角度
本明細書において角度に言及するときは、当該角度は基準方向に対して時計回りおよび反時計回りの両方を包含する。したがって、例えば「45°」は±45°を意味する。
【0010】
A.光学積層体の概略
図1は本発明の1つの実施形態による光学積層体の概略断面図であり;
図2は
図1の光学積層体が備える第1粘着剤層の端部の概略拡大図である。なお、
図2は、
図1の光学積層体の概略断面図における丸で囲まれた部分の拡大図であるが、
図2では、便宜上、ハッチングを省略している。
【0011】
図示例の光学積層体100は、位相差フィルム1と、第1粘着剤層2と、を備えている。第1粘着剤層2は、位相差フィルム1に積層されている。位相差フィルム1の端面11は、代表的には光学積層体の積層方向に沿っている。位相差フィルム1の端面11における表面粗さは、例えば2.0μm以下である。1つの実施形態において、第1粘着剤層2の端部には、糊欠け部22が形成されている。糊欠け部22は、第1粘着剤層2の端部において、粘着剤が、第1粘着剤層の面方向内方に欠落した部分である。位相差フィルム1の端面11と直交する方向(すなわち法線方向)において、糊欠け部22の寸法Lは、例えば30μm以下である(
図2参照)。
本発明者らは、光学積層体の端面の状態が、有機溶剤を用いて光学積層体を清掃したときに位相差フィルムに生じ得るクラックに影響する場合があることを発見した。そこで、光学積層体の端面の状態について鋭意検討した結果、位相差フィルムの端面の表面粗さを2.0μm以下とするか、あるいは、第1粘着剤層の端部に形成される糊欠け部の寸法を30μm以下とすると、光学積層体を有機溶剤(代表的には、アセトンなどのケトン類)で清掃しても、位相差フィルムにおけるクラックの発生を抑制し得ることを見出した。具体的には、位相差フィルムの端面における表面粗さが2.0μm以下であると、光学積層体を有機溶剤で清掃したときに、第1粘着剤層を構成する粘着剤が有機溶剤によって膨潤して、位相差フィルムに応力が生じても、位相差フィルムの端面からクラックが伸張することを抑制し得ると推察される。また、第1粘着剤層の端部に位置する糊欠け部の寸法が30μm以下であると、粘着剤の膨潤により位相差フィルムに生じる応力に局所的な差が生まれることを抑制し得る。そのため、位相差フィルムにおけるクラックの発生を抑制し得ると推察される。ただし、これら推察は、本願発明の実施形態およびそのメカニズムを拘束するものではない。
【0012】
位相差フィルム1の端面11における表面粗さ(以下、端面粗さと称する場合がある。)は、好ましくは1.8μm以下、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.4μm以下、とりわけ好ましくは1.2μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。位相差フィルムの端面粗さが上記上限以下であれば、光学積層体を有機溶剤で清掃したときに、位相差フィルムにおけるクラックの発生を安定して抑制し得る。位相差フィルム1の端面粗さは、小さいほど好ましい。位相差フィルム1の端面粗さの下限は、代表的には0.1μmである。
位相差フィルム1の端面粗さは、代表的には、任意の適切なレーザー顕微鏡によって測定される。光学積層体の端面を観察し、位相差フィルムの端面(代表的には、端面加工後の短辺方向200μmの範囲)における最凸部と最凹部との差(代表的には、最凸部の頂点の法線方向における、最凸部の頂点と最凹部の頂点との間の距離)を、位相差フィルムの端面粗さとした。
【0013】
図2に示すように、本明細書において、位相差フィルム1の端面11と直交する方向における糊欠け部22の寸法L(以下、糊欠け量Lと称する場合がある。)とは、位相差フィルム1の端面11(すなわち光学積層体100の外縁)と、第1粘着剤層の端部が面方向内方に欠落して形成された端面21(すなわち糊欠け部を規定する面)との間の最大値を意味する。
糊欠け量Lは、好ましくは25μm以下、より好ましくは21μm以下、さらに好ましくは19μm以下、とりわけ好ましくは15μm以下、特に好ましくは11μm以下である。糊欠け量が上記上限以下であれば、光学積層体を有機溶剤で清掃したときに、位相差フィルムにおけるクラックの発生をより安定して抑制し得る。糊欠け量は、小さいほど好ましい。糊欠け量の下限は、代表的には1μmである。
糊欠け量は、代表的には、任意の適切な半導体検査顕微鏡によって測定される。粘着剤が削られて最も内側に凸になっている部分を、位相差フィルムの端部から垂直にとった距離を糊欠け量とした。
【0014】
1つの実施形態では、位相差フィルム1の端面粗さが上記上限以下であり、かつ、第1粘着剤層2の糊欠け量が上記上限以下である。このような構成によれば、光学積層体を有機溶剤で清掃したときに、位相差フィルムにおけるクラックの発生をより一層安定して抑制し得る。
【0015】
図1に示す光学積層体100は、位相差フィルム1および第1粘着剤層2を備える粘着剤層付き位相差フィルム100aである。
図3に示すように、光学積層体100は、位相差フィルム1および第1粘着剤層2に加えて、第2粘着剤層4と、偏光板5と、を備えていてもよい。すなわち、光学積層体100は、第1粘着剤層2および第2粘着剤層4を含む位相差フィルム付き偏光板100bであってもよい。第2粘着剤層4は、位相差フィルム1に対して第1粘着剤層2と反対側に位置しており、位相差フィルム1に積層されている。偏光板5は、第2粘着剤層4に対して位相差フィルム1と反対側に位置している。偏光板5は、第2粘着剤層4を介して位相差フィルム1に貼り付けられている。
【0016】
図示しないが、光学積層体100は、はく離ライナーをさらに備えていてもよい。はく離ライナーは、第1粘着剤層2に対して位相差フィルム1と反対側に位置しており、第1粘着剤層の表面に仮着される。はく離ライナーは、光学積層体が光学部材に貼り付けられるまで第1粘着剤層2に仮着されており、光学積層体の貼り付け時に第1粘着剤層2から剥離される。
【0017】
以下では、光学積層体100の構成要素の詳細について説明する。
【0018】
B.位相差フィルム
位相差フィルム1は、面内位相差を有している。位相差フィルム1の屈折率は、代表的には、nx>ny≧nzの関係を示す。nx>ny=nzの屈折率特性を示す層(フィルム)は、「ポジティブAプレート」等と称される場合がある。nx>ny>nzの屈折率特性を示す層(フィルム)は、「ネガティブBプレート」等と称される場合がある。なお、「ny=nz」はnyとnzが完全に等しい場合だけではなく、実質的に等しい場合を包含する。したがって、本発明の効果を損なわない範囲で、ny<nzとなる場合があり得る。
【0019】
位相差フィルム1の面内位相差Re(550)は、例えば100nm~200nmであり、好ましくは110nm~180nmであり、より好ましくは120nm~160nmであり、さらに好ましくは130nm~150nmである。すなわち、位相差フィルム1は、いわゆるλ/4板として機能し得る。
位相差フィルム1のNz係数は、例えば0.9~2.0であり、好ましくは0.9~1.5であり、より好ましくは0.9~1.2である。
【0020】
位相差フィルム1は、位相差値が測定光の波長に応じて大きくなる逆分散波長特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長に応じて小さくなる正の波長分散特性を示してもよく、位相差値が測定光の波長によってもほとんど変化しないフラットな波長分散特性を示してもよい。
【0021】
1つの実施形態において、位相差フィルム1は、逆分散波長特性を示す。すなわち、位相差フィルム1は、Re(450)<Re(550)の関係を満たし、好ましくはRe(550)<Re(650)の関係をさらに満たす。位相差フィルム1のRe(450)/Re(550)は、例えば0.5を超えて1.0未満であり、好ましくは0.7~0.95であり、より好ましくは0.75~0.92であり、さらに好ましくは0.8~0.9である。位相差フィルム1のRe(650)/Re(550)は、例えば1.0以上1.15未満であり、好ましくは1.03~1.1である。
【0022】
位相差フィルム1の厚みは、所望の光学特性が得られるように設定され得る。位相差フィルム1の厚みは、例えば1μm以上、好ましくは4μm以上、より好ましくは10μm以上であり、例えば200μm以下、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。
【0023】
位相差フィルム1の光弾性係数の絶対値は、例えば20×10-12(m2/N)以下であり、好ましくは1.0×10-12(m2/N)~15×10-12(m2/N)であり、より好ましくは2.0×10-12(m2/N)~12×10-12(m2/N)である。光弾性係数の絶対値がこのような範囲であれば、光学積層体を画像表示装置に適用した場合に表示ムラを抑制し得る。
【0024】
位相差フィルム1を構成する樹脂材料として、上記のような特性が得られる限りにおいて任意の適切な材料が採用され得る。
【0025】
位相差フィルム1を構成する樹脂材料として、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステルカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂が挙げられる。このような樹脂材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。このような樹脂材料のなかでは、好ましくはポリカーボネート(PC)系樹脂が挙げられる。
【0026】
ポリカーボネート系樹脂は、好ましくは、下記一般式(1)で表される構造単位および/または下記一般式(2)で表される構造単位からなる群から選択される少なくとも1つの構造単位を含む。これらの構造単位は、2価のオリゴフルオレンに由来する構造単位であり、以下、オリゴフルオレン構造単位と称する場合がある。このようなポリカーボネート系樹脂などは、正の屈折率異方性を有する。
【化1】
【化2】
一般式(1)および(2)中、R
1~R
3は、それぞれ独立に、直接結合、置換または非置換の炭素数1~4のアルキレン基であり;R
4~R
9は、それぞれ独立に、水素原子、置換または非置換の炭素数1~10のアルキル基、置換または非置換の炭素数4~10のアリール基、置換または非置換の炭素数1~10のアシル基、置換または非置換の炭素数1~10のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数1~10のアリールオキシ基、置換または非置換のアミノ基、置換または非置換の炭素数1~10のビニル基、置換または非置換の炭素数1~10のエチニル基、置換基を有する硫黄原子、置換基を有するケイ素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、またはシアノ基であり;ただし、R
4~R
9は、互いに同一であっても、異なっていてもよく、R
4~R
9のうち隣接する少なくとも2つの基が互いに結合して環を形成していてもよい。
【0027】
ポリカーボネート系樹脂におけるオリゴフルオレン構造単位の含有割合は、例えば1質量%以上、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、例えば40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。オリゴフルオレン構造単位の含有割合が上記下限以上であると、位相差フィルムにおいて逆分散波長依存性を発現させ得る。オリゴフルオレン構造単位の含有割合が上記上限以下であると、位相差を安定して発現させ得る。
【0028】
ポリカーボネート系樹脂は、より好ましくは、オリゴフルオレン構造単位に加えて、下記構造式(3)で表される構造単位、および/または下記構造式(4)で表される構造単位を含む。ポリカーボネート系樹脂が下記構造式(3)および/または下記構造式(4)で表される構造単位を含有すると、位相差フィルムにおいて逆分散波長依存性をより安定して発現させ得る。
【化3】
【化4】
ポリカーボネート系樹脂における上記構造式(3)で表される構造単位の含有割合は、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上であり、例えば90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
ポリカーボネート系樹脂における上記構造式(4)で表される構造単位の含有割合は、例えば5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、例えば90質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。
【0029】
なお、ポリカーボネート系樹脂の詳細は、例えば、特開2014-10291号公報、特開2014-26266号公報、特開2015-212816号公報、特開2015-212817号公報、特開2015-212818号公報に記載されており、当該記載は本明細書に参考として援用される。
【0030】
位相差フィルム1は、代表的には、上記した樹脂材料から構成される高分子フィルムの延伸フィルムであり、高分子フィルムを延伸することにより調製される。具体的には、ポリマーの種類、延伸条件(例えば、延伸温度、延伸倍率、延伸方向)、延伸方法(例えば、縦一軸延伸)を適切に選択することにより、上記所望の光学特性(例えば、屈折率特性、面内位相差、厚み方向の位相差)を有する位相差フィルムが調製され得る。とりわけ、高分子フィルムの厚み(原反厚み)、延伸温度および延伸倍率を調整することにより、位相差フィルムのRe(550)を上記した範囲に調整し得る。
【0031】
また、位相差フィルム1として、市販の延伸フィルムを用いることもできる。市販の延伸フィルムは、そのまま用いてもよく、目的に応じて2次加工(例えば、延伸処理、表面処理)して用いてもよい。市販のフィルムの具体例として、帝人社製の商品名「ピュアエースRM」が挙げられる。
【0032】
C.第1粘着剤層
第1粘着剤層2は、位相差フィルム1の厚み方向の一方面に直接設けられている。
25℃における第1粘着剤層2の貯蔵弾性率は、例えば、1.0×104Pa~1.0×106Paであり、好ましくは1.0×104Pa~2.0×105Paである。第1粘着剤層の貯蔵弾性率がこのような範囲であれば、後述する切削加工において生じ得る糊欠け部の寸法を上記上限以下に安定して調整し得る。
【0033】
第1粘着剤層2の厚みは、例えば3μm以上、好ましくは5μm以上であり、例えば30μm以下、好ましくは20μm以下である。
【0034】
第1粘着剤層2は、粘着剤から構成される。粘着剤としては、任意の適切な構成が採用され得る。第1粘着剤層2を構成する粘着剤は、下記アセトン浸漬試験における膨張率が、例えば5%以下、好ましくは3%以下である。
(アセトン浸漬試験)
上記粘着剤を用いて、厚み方向から見て略矩形状の粘着剤層を作製する。次いで、粘着剤層をガラス板に貼り付けて、粘着剤とガラス板との積層サンプルを準備する。その後、積層サンプルを25℃においてアセトンに2秒間浸漬する。続いて、積層サンプルをアセトンから引き上げた後に乾燥させて、粘着剤層における各辺の長さを測定する。粘着剤層における各辺の長さの寸法変化率の平均値から、上記膨張率を算出する。
粘着剤のアセトン浸漬試験における膨張率が上記上限以下であれば、光学積層体を有機溶剤で清掃したときに、粘着剤が有機溶剤によって膨潤することを抑制し得る。そのため、位相差フィルムに生じ得る応力を低減し得、位相差フィルムにおけるクラックの発生をより一層抑制し得る。粘着剤のアセトン浸漬試験における膨張率は、小さいほど好ましい。粘着剤のアセトン浸漬試験における膨張率の下限は、代表的には0.2%である。
【0035】
粘着剤として、例えば、(メタ)アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、およびポリエーテル系粘着剤が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系」とは、アクリル系および/またはメタクリル系をいう。粘着剤のベース樹脂を形成するモノマーの種類、数、組み合わせおよび配合比、ならびに、架橋剤の配合量、反応温度、反応時間などを調整することにより、目的に応じた所望の特性を有する粘着剤を調製し得る。粘着剤のベース樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような粘着剤のなかでは、好ましくは、(メタ)アクリル系粘着剤((メタ)アクリル系粘着剤組成物)が挙げられる。
【0036】
(メタ)アクリル系粘着剤組成物は、代表的には、(メタ)アクリル系ポリマーを主成分として含む。粘着剤組成物の固形分における(メタ)アクリル系ポリマーの含有割合は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、例えば100質量%以下である。
【0037】
(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位としてアルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、アルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の含有割合は、例えば70質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、例えば90質量%以下である。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基として、例えば、1個~18個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。当該アルキル基の平均炭素数は、好ましくは3個~9個であり、より好ましくは3個~6個である。アルキル(メタ)アクリレートのなかでは、好ましくは、ブチルアクリレートが挙げられる。
【0038】
(メタ)アクリル系ポリマーを構成するモノマー(共重合モノマー)としては、アルキル(メタ)アクリレート以外に、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、芳香環含有(メタ)アクリレート、複素環含有ビニル系モノマーなどが挙げられる。共重合モノマーの代表例としては、アクリル酸、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N-ビニル-2-ピロリドンが挙げられる。共重合モノマーは、単独でまたは組み合わせて使用し得る。共重合モノマーのなかでは、好ましくは、アクリル酸、4-ヒドロキシブチルアクリレート、ベンジルアクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて、共重合モノマーに由来する構成単位の含有割合は、例えば10質量%以上であり、例えば30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。
【0039】
(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量Mwは、例えば20万~300万であり、好ましくは100万~250万であり、より好ましくは120万~250万である。重量平均分子量Mwは、例えば、GPC測定の結果からスチレン換算により算出し得る。重量平均分子量Mwがこのような範囲であれば、耐久性(特に、耐熱性)に優れた粘着剤層が得られ得る。
(メタ)アクリル系ポリマーの数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mw(Mw/Mn)は、例えば1.0以上、好ましくは2.0以上であり、例えば5.0以下、好ましくは4.0以下である。
【0040】
アクリル系粘着剤組成物は、好ましくは、シランカップリング剤および/または架橋剤を含有する。シランカップリング剤としては、例えばエポキシ基含有シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.001質量部以上5質量部以下である。
【0041】
架橋剤として、例えば、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤が挙げられる。架橋剤は、単独でまたは組み合わせて使用し得る。架橋剤のなかでは、好ましくはイソシアネート系架橋剤が挙げられる。架橋剤の含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上、好ましくは1.0質量部以上、より好ましくは2.0質量部以上であり、例えば15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、さらに好ましくは3.0質量部以下である。
【0042】
さらに、アクリル系粘着剤組成物は、酸化防止剤および/または導電剤を含有してもよい。粘着剤層またはアクリル系粘着剤組成物の詳細は、例えば、特開2006-183022号公報、特開2015-199942号公報、特開2018-053114号公報、特開2016-190996号公報、国際公開第2018/008712号に記載されており、これらの公報の記載は本明細書に参考として援用される。
【0043】
D.偏光板
図3に示す光学積層体100(位相差フィルム付き偏光板100b)において、偏光板5は、位相差フィルム1に対して第1粘着剤層2と反対側に位置し、第2粘着剤層4を介して位相差フィルム1に貼り付けられている。つまり、第2粘着剤層4は、位相差フィルム1と偏光板5とに直接接触している。第2粘着剤層4は、上記した第1粘着剤層2と同様に説明され得る。そのため、第2粘着剤層4の詳細な説明は省略する。
【0044】
D-1.偏光子
偏光板5は、代表的には偏光子51を含んでいる。
偏光子51としては、任意の適切な偏光子が採用され得る。例えば、偏光子を形成する樹脂フィルムは、単層の樹脂フィルムであってもよく、二層以上の積層体であってもよい。
【0045】
単層の樹脂フィルムから構成される偏光子の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質による染色処理および延伸処理が施されたもの、PVAの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムが挙げられる。好ましくは、光学特性に優れることから、PVA系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸して得られた偏光子が用いられる。
【0046】
積層体を用いて得られる偏光子の具体例としては、樹脂基材と当該樹脂基材に積層されたPVA系樹脂層(PVA系樹脂フィルム)との積層体、あるいは、樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子が挙げられる。樹脂基材と当該樹脂基材に塗布形成されたPVA系樹脂層との積層体を用いて得られる偏光子は、例えば、PVA系樹脂溶液を樹脂基材に塗布し、乾燥させて樹脂基材上にPVA系樹脂層を形成して、樹脂基材とPVA系樹脂層との積層体を得ること;当該積層体を延伸および染色してPVA系樹脂層を偏光子とすること;により作製され得る。本発明の1つの実施形態においては、好ましくは、樹脂基材の片側に、ハロゲン化物とポリビニルアルコール系樹脂とを含むポリビニルアルコール系樹脂層を形成する。延伸は、代表的には積層体をホウ酸水溶液中に浸漬させて延伸することを含む。さらに、延伸は、必要に応じて、ホウ酸水溶液中での延伸の前に積層体を高温(例えば、95℃以上)で空中延伸することをさらに含み得る。加えて、本発明の1つの実施形態においては、好ましくは、積層体は、長手方向に搬送しながら加熱することにより幅方向に2%以上収縮させる乾燥収縮処理に供される。代表的には、本実施形態の製造方法は、積層体に、空中補助延伸処理と染色処理と水中延伸処理と乾燥収縮処理とをこの順に施すことを含む。補助延伸を導入することにより、熱可塑性樹脂上にPVAを塗布する場合でも、PVAの結晶性を高めることが可能となり、高い光学特性を達成することが可能となる。また、同時にPVAの配向性を事前に高めることで、後の染色工程や延伸工程で水に浸漬された時に、PVAの配向性の低下や溶解などの問題を防止することができ、高い光学特性を達成することが可能になる。さらに、PVA系樹脂層を液体に浸漬した場合において、PVA系樹脂層がハロゲン化物を含まない場合に比べて、ポリビニルアルコール分子の配向の乱れ、および配向性の低下が抑制され得る。これにより、染色処理および水中延伸処理など、積層体を液体に浸漬して行う処理工程を経て得られる偏光子の光学特性を向上し得る。さらに、乾燥収縮処理により積層体を幅方向に収縮させることにより、光学特性を向上させることができる。得られた樹脂基材/偏光子の積層体はそのまま用いてもよく(すなわち、樹脂基材を偏光子の保護層としてもよく)、樹脂基材/偏光子の積層体から樹脂基材を剥離し、当該剥離面に目的に応じた任意の適切な保護層を積層して用いてもよい。このような偏光子の製造方法の詳細は、例えば特開2012-73580号公報、特許第6470455号に記載されている。これらの公報は、その全体の記載が本明細書に参考として援用される。
【0047】
上記ヨウ素による染色は、例えば、PVA系フィルムをヨウ素水溶液に浸漬することにより行われる。上記一軸延伸の延伸倍率は、好ましくは3~7倍である。延伸は、染色処理後に行ってもよいし、染色しながら行ってもよい。また、延伸してから染色してもよい。必要に応じて、PVA系フィルムに、膨潤処理、架橋処理、洗浄処理、乾燥処理などが施される。例えば、染色の前にPVA系フィルムを水に浸漬して水洗することで、PVA系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるだけでなく、PVA系フィルムを膨潤させて染色ムラなどを防止することができる。
【0048】
偏光子51の厚みは、例えば1μm~80μmであり、好ましくは1μm~15μmであり、より好ましくは1μm~12μmであり、さらに好ましくは3μm~12μmである。偏光子の厚みがこのような範囲であれば、加熱時のカールを良好に抑制し得、かつ、良好な加熱時の外観耐久性が得られ得る。
【0049】
偏光子51は、代表的には、波長380nm~780nmのいずれかの波長で吸収二色性を示す。偏光子51の単体透過率は、例えば41.5%~46.0%であり、好ましくは43.0%~46.0%であり、より好ましくは44.5%~46.0%である。偏光子51の偏光度は、好ましくは97.0%以上であり、より好ましくは99.0%以上であり、さらに好ましくは99.9%以上である。
【0050】
偏光子51の吸収軸方向と位相差フィルム1の遅相軸方向とがなす角度は、代表的には40°~50°であり、好ましくは42°~48°であり、より好ましくは44°~46°であり、とりわけ好ましくは45°である。
【0051】
D-2.保護層
偏光板5は、偏光子51に加えて、保護層52を備えていてもよい。保護層52は、偏光子51の少なくとも一方の面に設けられている。図示例では、偏光子51の両面に保護層52が設けられている。保護層52は、代表的には、任意の適切な接着剤層(図示せず)を介して偏光子51に貼り合わされている。
【0052】
保護層は、偏光子の保護層として使用できる任意の適切なフィルムで形成される。当該フィルムの主成分となる材料として、代表的には透明樹脂が挙げられ、具体的には、ポリノルボルネン系などのシクロオレフィン(COP)系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)系などのポリエステル系樹脂;トリアセチルセルロース(TAC)などのセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)系樹脂;(メタ)アクリル系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリオレフィン系樹脂;アセテート系樹脂が挙げられる。また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、(メタ)アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂なども挙げられる。この他にも、例えば、シロキサン系ポリマーなどのガラス質系ポリマーも挙げられる。また、特開2001-343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルムも使用できる。このフィルムの材料としては、例えば、側鎖に置換または非置換のイミド基を有する熱可塑性樹脂と、側鎖に置換または非置換のフェニル基ならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物が使用でき、例えば、イソブテンとN-メチルマレイミドからなる交互共重合体と、アクリロニトリル・スチレン共重合体とを有する樹脂組成物が挙げられる。当該ポリマーフィルムは、例えば、上記樹脂組成物の押出成形物であり得る。樹脂フィルムの材料は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0053】
また、保護層52には、必要に応じて、ハードコート処理、反射防止処理、スティッキング防止処理、アンチグレア処理などの表面処理が施されていてもよい。偏光子51に対して位相差フィルム1と反対側に位置する保護層52には、好ましくは、ハードコート処理が施される。
【0054】
保護層52の厚みは、代表的には5mm以下であり、好ましくは1mm以下、より好ましくは1μm~500μm、さらに好ましくは5μm~150μmである。
【0055】
E.光学積層体の製造方法
1つの実施形態において、光学積層体100は、積層フィルムの端面を切削加工することにより製造される。積層フィルムは、上記した光学積層体100と同様の積層構造を有している。
【0056】
積層フィルムの端面は、代表的にはフライス工具によって切削される。フライス工具は、任意の適切な構成を採用し得る。フライス工具として、例えば、エンドミル(EM)刃、多結晶ダイヤモンド(PCD)刃が挙げられる。
【0057】
EM刃は、任意の適切な構成が採用され得る。EM刃の刃数は、例えば1枚以上であり、例えば6枚以下、好ましくは4枚以下である。切削刃のねじれ角は、例えば0°以上、好ましくは10°以上であり、例えば70°以下、好ましくは60°以下である。切削刃の材料として、例えば超硬合金や高速度鋼が挙げられ、好ましくは超硬合金が挙げられる。EM刃のビッカース硬さ(HV硬度)は、例えば800以上、好ましくは、1500以上であり、例えば2500以下、好ましくは1900以下である。
【0058】
PCD刃は、任意の適切な構成が採用され得る。PCD刃は、代表的には、切削刃を有しない。PCD刃のビッカース硬さ(HV硬度)は、例えば6000以上、好ましくは9000以上であり、例えば15000以下、好ましくは12000以下である。
【0059】
フライス工具のなかでは、好ましくはPCD刃が挙げられる。フライス工具がPCD刃であると、PCD刃を積層フィルムの端面に対して平行に接触させ得る。そのため、フライス工具がEM刃である場合よりも、光学積層体において、位相差フィルムの端面粗さ、および/または、第1粘着剤層の糊欠け部の寸法を上記上限以下に安定して調整し得る。また、フライス工具としてEM刃を積層フィルムの切削加工に繰り返し(例えば100回以上)使用すると、EM刃の切削刃表面に微細な凹凸が生じて、位相差フィルムの端面粗さ、および/または、第1粘着剤層の糊欠け部の寸法を上記上限以下に調整することが困難となる場合がある。これに対して、フライス工具がPCD刃である場合、PCD刃を積層フィルムの切削加工に繰り返し(例えば100回以上)使用しても、位相差フィルムの端面粗さ、および/または、第1粘着剤層の糊欠け部の寸法を上記上限以下に安定して調整し得る。
【0060】
切削加工では、フライス工具が回転しながら、積層フィルムの端面に対して所定の送り速度で相対移動する。積層フィルムが固定された状態でフライス工具が移動してもよく、フライス工具が固定された状態で積層フィルムが移動してもよい。
【0061】
切削加工において、フライス工具は、積層フィルムの積層方向と直交する方向に延びる軸線を中心として回転する。フライス工具の回転速度は、代表的には5000rpm~50000rpmであり、好ましくは7000rpm~40000rpmである。
切削加工におけるフライス工具の送り速度(積層フィルムの端面に対する相対移動速度)は、例えば300mm/分以上、好ましくは500mm/分以上であり、例えば3000mm/分以下、好ましくは2000mm/分以下である。フライス工具の回転速度および/または送り速度が上記範囲であれば、積層フィルムの端面を円滑に切削加工し得る。
【0062】
以上によって、光学積層体100が製造される。
上記A項からF項に記載の光学積層体は、画像表示装置に適用され得る。画像表示装置は、画像表示パネルを含む。画像表示パネルは、画像表示セルを含む。光学積層体100は、代表的には、画像表示パネルなどの光学部品に、第1粘着剤層2を介して貼り付けられる。1つの実施形態において、光学積層体100が貼り付けられた光学部品は、有機溶剤(代表的には、アセトンなどのケトン類)を用いて清掃された後、さらに各種部材(例えば配線)が取り付けられ、その後有機溶剤で再清掃されて、画像表示装置に組み込まれる。
すなわち、画像表示装置は、画像表示パネルと;画像表示パネルに第1粘着剤層2を介して貼り合わせられた光学積層体100と;画像表示パネルに取り付けられた部品と;を含み得る。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、エレクトロルミネセンス(EL)表示装置(例えば、有機EL表示装置、無機EL表示装置)が挙げられる。
【実施例0063】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。各特性の測定方法は以下の通りである。なお、特に明記しない限り、実施例および比較例における「部」および「%」は質量基準である。
【0064】
(1)位相差フィルムの端面における表面粗さ(端面粗さ)
実施例および比較例で得られた光学積層体の端面を観察し、位相差フィルムの端面加工後の短辺方向200μmの範囲における最凸部と最凹部の差を、レーザー顕微鏡(キーエンス製VK-X100)によって測定し、端面粗さとした。その結果を表1~4に示す。
【0065】
(2)位相差フィルムの端面の法線方向における糊欠けの寸法(糊欠け量)
実施例および比較例で得られた光学積層体が備える第1粘着剤層の端面において、粘着剤が削られて最も内側に凸になっている部分を、位相差板の端面から垂直にとった距離を、半導体検査顕微鏡(オリンパス社製、MX61L)によって測定し、糊欠け量とした。その結果を表1~4に示す。
【0066】
(3)耐溶剤性試験
実施例および比較例で得られた光学積層体から、50mm×40mmのサイズを有する長方形状のサンプルを、当該サンプルの1つの端面(1辺)が切削加工面からなるように切り出した。
次いで、サンプルを、第1粘着剤層によって、185mm×50mmのサイズを有する長方形状のガラス板に貼り付けた。サンプルがガラス板に貼り付けられた状態で、サンプルの切削加工面とガラス板の短辺との間の間隔は、1mmであった。
次いで、ガラス板に貼り付けられたサンプルを、25℃において、アセトンに2秒間浸漬した。その後、サンプルを、アセトンから引き上げ、室温(23℃)で1分間乾燥させて、位相差フィルムにおけるクラックの有無を確認した。当該耐溶剤性試験を10回実施した。そして、光学積層体の耐溶剤性を、下記の基準で評価した。その結果を表1~4に示す。
A:10サンプル中0サンプルでクラック発生
B:10サンプル中1サンプルでクラック発生
C:10サンプル中2~4サンプルでクラック発生(実用上許容不可)
D:10サンプル中5~10サンプルでクラック発生(実用上許容不可)
【0067】
(4)アセトン浸漬試験
実施例および比較例で用いられる粘着剤を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:MRF38、三菱化学ポリエステルフィルム社製)上に塗布して粘着剤層を作製し、2mm×2mmのサイズに切り出した。次いで、当該粘着剤層を、50mm×45mmのサイズを有する長方形状のガラス板に貼り付けた。その後、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを剥離し、粘着剤とガラス板との積層サンプルを得た。得られた積層サンプルを25℃において、アセトンに2秒間浸漬した。その後、サンプルを、アセトンから引き上げ、室温(23℃)で1分間乾燥させて、粘着剤層の各辺の長さを測定した。粘着剤層の各辺の長さの寸法変化率の平均値から膨張率を算出した。
【0068】
<<位相差フィルムの作製>>
[調製例1]
市販のポリカーボネート(PC)系樹脂フィルム(商品名:ピュアエースRM、帝人社製、厚み:50μm)を、位相差フィルムAとして準備した。位相差フィルムAのRe(550)は147nmであった。
【0069】
[調製例2]
撹拌翼および100℃に制御された還流冷却器を具備した縦型反応器2器からなるバッチ重合装置に、ビス[9-(2-フェノキシカルボニルエチル)フルオレン-9-イル]メタン29.60質量部(0.046mol)、イソソルビド(ISB)29.21質量部(0.200mol)、スピログリコール(SPG)42.28質量部(0.139mol)、ジフェニルカーボネート(DPC)63.77質量部(0.298mol)、および、触媒として酢酸カルシウム1水和物1.19×10-2質量部(6.78×10-5mol)を仕込んだ。反応器内を減圧窒素置換した後、熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始した。昇温開始40分後に内温を220℃に到達させ、この温度を保持するように制御すると同時に減圧を開始し、220℃に到達してから90分で13.3kPaにした。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を100℃の還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるモノマー成分を反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は45℃の凝縮器に導いて回収した。第1反応器に窒素を導入して一旦大気圧まで復圧させた後、第1反応器内のオリゴマー化された反応液を第2反応器に移した。次いで、第2反応器内の昇温および減圧を開始して、50分で内温240℃、圧力0.2kPaにした。その後、所定の攪拌動力となるまで重合を進行させた。所定動力に到達した時点で反応器に窒素を導入して復圧し、生成したポリエステルカーボネート系樹脂を水中に押し出し、ストランドをカッティングしてペレットを得た。
【0070】
得られたポリエステルカーボネート系樹脂(ペレット)を80℃で5時間真空乾燥をした後、単軸押出機(東芝機械社製、シリンダー設定温度:250℃)、Tダイ(幅200mm、設定温度:250℃)、チルロール(設定温度:120~130℃)および巻取機を備えたフィルム製膜装置を用いて、厚み130μmの長尺状の樹脂フィルムを調製した。得られた長尺状の樹脂フィルムを、150℃で2.7倍に固定端縦延伸して、厚み47μmの位相差フィルムBを得た。位相差フィルムBのRe(550)は143nmであった。
【0071】
<<粘着剤の調製>>
[調製例3]
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート82.1質量部、ベンジルアクリレート13質量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.1質量部、および、アクリル酸4.8質量部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、このモノマー混合物100質量部に対して、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100部と共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した。その後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って、モノマー混合物を8時間重合反応させ、重量平均分子量(Mw)220万、Mw/Mn=3.0のアクリル系ポリマーの溶液を調製した。
【0072】
次いで、アクリル系ポリマー溶液の固形分100質量部に対して、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(東ソー社製、商品名:コロネートL)12質量部、過酸化物架橋剤(ベンゾイルパーオキサイド)0.1質量部、および、エポキシ基含有シランカップリング剤(信越化学工業社製、商品名:KBM-403)0.1質量部を配合して、粘着剤を得た。粘着剤の上記アセトン浸漬試験における膨張率は、2%であった。
【0073】
<<偏光板の調製>>
[調製例4]
平均重合度が2,400、ケン化度が99.9モル%、厚みが30μmであるポリビニルアルコールフィルムを用意した。ポリビニルアルコールフィルムを、周速比の異なるロール間で、25℃の膨潤浴(水浴)中に30秒間浸漬して膨潤しながら搬送方向に2.2倍に延伸し(膨潤工程)、続いて、30℃の染色浴(水100質量部に対して、ヨウ素とヨウ化カリウムを1:7の質量比で配合して得られたヨウ素水溶液)中で、偏光子が所定の透過率になるようにヨウ素濃度を調整しながら30秒間浸漬して染色しながら元のポリビニルアルコールフィルム(搬送方向に全く延伸していないポリビニルアルコールフィルム)を基準にして搬送方向に3.1倍に延伸した(染色工程)。
【0074】
次いで、染色したポリビニルアルコールフィルムを、40℃の架橋浴(ホウ酸濃度が5.0質量%、ヨウ化カリウム濃度が3.0質量%である水溶液)中で30秒間浸漬して元のポリビニルアルコールフィルムを基準にして搬送方向に3.7倍まで延伸した(架橋工程)。
【0075】
さらに、得られたポリビニルアルコールフィルムを、66℃の延伸浴(ホウ酸濃度が4.3質量%、ヨウ化カリウム濃度が5.0質量%である水溶液)中で60秒間浸漬して元のポリビニルアルコールフィルムを基準にして搬送方向に6.0倍まで延伸した(延伸工程)後、20℃の洗浄浴(ヨウ化カリウム濃度が3.6質量%である水溶液)中で10秒間浸漬した(洗浄工程)。洗浄したポリビニルアルコールフィルムを、30℃で30秒間乾燥して偏光子を作製した。偏光子の厚みは12μmであった。
【0076】
得られた偏光子の一方の表面に、紫外線硬化型接着剤(厚み1μm)を介して、保護層としてHC-TACフィルム(厚み40μm)を貼り合わせ、偏光子の他方の表面に、紫外線硬化型接着剤(厚み1μm)を介して、保護層としてTACフィルム(厚み40μm)を貼り合わせた。これによって、保護層/偏光子/保護層の構成を有する偏光板を得た。
【0077】
[実施例1および比較例1、2]
調製例3で得られた粘着剤を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:MRF38、三菱化学ポリエステルフィルム社製)上に、乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布した後、粘着剤の塗膜を乾燥させて、第1粘着剤層を調製した。また、第1粘着剤層と同様にして、厚みが12μmの第2粘着剤層を調製した。
【0078】
次いで、PETフィルム上に形成した第1粘着剤層を、調製例1で得られた位相差フィルムAに転写した。また、PETフィルム上に形成した第2粘着剤層を、調製例4で得られた偏光板のTACフィルムに転写した。
【0079】
次いで、偏光板を第2粘着剤層によって位相差フィルムに貼り付けた。このとき、偏光子の吸収軸と位相差フィルムの遅相軸とのなす角度が45°になるように調整した。
【0080】
これによって、偏光板/第2粘着剤層/位相差フィルム/第1粘着剤層の構成を有する積層フィルム(以下では、第1積層フィルムとする。)を得た。第1積層フィルムは、積層方向から見て長方形状を有していた。第1積層フィルムの長辺の寸法は320mmであり、第1積層フィルムの短辺の寸法は200mmであった。
【0081】
次いで、第1積層フィルムを端面切削加工装置にセットした。詳しくは、2つの押圧治具が、第1積層フィルムを厚み方向に挟んで保持した。次いで、第1積層フィルムの端面を下記切削条件で切削加工した。なお、フライス工具として、事前に表1および2に示す回数の切削加工(切削条件は下記と同様)に使用したエンドミル(EM)刃を用いた。これによって、光学積層体を得た。
<切削条件>
フライス工具:エンドミル(EM)刃
刃数:2枚
ねじれ角:45°
回転速度:35000rpm
送り速度:1000mm/分
最大切削量:0.1mm
【0082】
[実施例2~4]
切削条件を下記の条件に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を得た。なお、フライス工具として、事前に表1に示す回数の切削加工(切削条件は下記と同様)に利用された多結晶ダイヤモンド(PCD)刃を用いた。
<切削条件>
フライス工具:多結晶ダイヤモンド(PCD)刃(神谷機工社製)
回転速度:9000rpm
送り速度:1000mm/分
最大切削量:0.1mm
【0083】
[実施例5]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を得た。
【0084】
[実施例6]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、実施例3と同様にして、光学積層体を得た。
【0085】
[実施例7]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、実施例4と同様にして、光学積層体を得た。
【0086】
[比較例3]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、比較例2と同様にして、光学積層体を得た。
【0087】
【0088】
【0089】
[実施例8および比較例4、5]
調製例3で得られた粘着剤を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名:MRF38、三菱化学ポリエステルフィルム社製)上に、乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布した後、粘着剤の塗膜を乾燥させて、第1粘着剤層を調製した。次いで、PETフィルム上に形成した第1粘着剤層を、調製例1で得られた位相差フィルムAに転写した。
【0090】
これによって、位相差フィルム/第1粘着剤層の構成を有する積層フィルム(以下では、第2積層フィルムとする。)を得た。第2積層フィルムは、積層方向から見て長方形状を有していた。第2積層フィルムの長辺の寸法は320mmであり、第2積層フィルムの短辺の寸法は200mmであった。
【0091】
次いで、第2積層フィルムの端面を、実施例1と同様に切削加工して、光学積層体を得た。なお、フライス工具として、事前に表3および4に示す回数の切削加工(切削条件は下記と同様)に使用したEM刃を用いた。
【0092】
[実施例9~11]
第1積層フィルム(偏光板/第2粘着剤層/位相差フィルム/第1粘着剤層)を、第2積層フィルム(位相差フィルム/第1粘着剤層)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、光学積層体を得た。なお、切削加工では、フライス工具として、事前に表3に示す回数の切削加工(切削条件は下記と同様)に使用したPCD刃を用いた。
【0093】
[実施例12]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、実施例8と同様にして、光学積層体を得た。
【0094】
[実施例13]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、実施例10と同様にして、光学積層体を得た。
【0095】
[実施例14]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、実施例11と同様にして、光学積層体を得た。
【0096】
[比較例6]
調製例1で得られた位相差フィルムAを、調製例2で得られた位相差フィルムBに変更したこと以外は、比較例5と同様にして、光学積層体を得た。
【0097】
【0098】
【0099】
[評価]
表1~4から明らかなように、位相差フィルムの端面粗さが上記上限以下、および/または、第1粘着剤層の糊欠け量が上記上限未満であれば、光学積層体に優れた耐溶剤性を付与し得ることがわかる。そのため、光学積層体を有機溶媒(例えばケトン類)によって清掃しても、位相差フィルムにクラックが生じることを抑制し得ることがわかる。