(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126536
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240912BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240912BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240912BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240912BHJP
H05K 3/16 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K1/11 H
H05K3/40 E
H05K1/02 C
H05K3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034947
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 純
(72)【発明者】
【氏名】吉川 恭平
(72)【発明者】
【氏名】畑中 隼也
【テーマコード(参考)】
5E316
5E317
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA43
5E316BB02
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5E316CC05
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5E316CC32
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5E343DD43
5E343EE17
5E343EE36
5E343ER45
5E343FF16
5E343GG02
(57)【要約】
【課題】プリント配線板の品質向上。
【解決手段】実施形態のプリント配線板2は、第一導体層10と、第一面22及び第一面と反対側の第二面24とを有し、第二面24が第一導体層10と対向して第一導体層10上に形成されていて、第一導体層10を露出するビア孔26を有する樹脂絶縁層20と、樹脂絶縁層20の第一面22に形成されている第二導体層30と、ビア孔26に形成されていて、第一導体層10と第二導体層30と、を接続するビア導体40と、を有するプリント配線板2であって、ビア孔26の内面の面粗度をビア孔面粗度、ビア孔26と第一面22との境界部42における樹脂絶縁層の面粗度を境界部面粗度、第一面22の面粗度を第一面面粗度として、境界部面粗度が第一面面粗度よりも大きく、ビア孔面粗度が境界部面粗度以上である。
【選択図】
図2B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一導体層と、
第一面及び前記第一面と反対側の第二面とを有し、前記第二面が前記第一導体層と対向して前記第一導体層上に形成されていて、前記第一導体層を露出するビア孔を有する樹脂絶縁層と、
前記樹脂絶縁層の前記第一面に形成されている第二導体層と、
前記ビア孔に形成されていて、前記第一導体層と前記第二導体層と、を接続するビア導体と、
を有するプリント配線板であって、
前記ビア孔の内壁面の面粗度をビア孔面粗度、前記ビア孔と前記第一面との境界部における前記樹脂絶縁層の面粗度を境界部面粗度、前記第一面の面粗度を第一面面粗度として、前記境界部面粗度が前記第一面面粗度よりも大きく、前記ビア孔面粗度が前記境界部面粗度以上である。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記境界部面粗度を有する領域は、前記ビア孔と前記第一面との境界から前記第一面上で10μm以上20μm以下離れた位置まで連続している。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記樹脂絶縁層は、樹脂と無機粒子と、を含む。
【請求項4】
請求項3に記載のプリント配線板であって、
前記第一面は前記樹脂で形成されている。
【請求項5】
請求項3に記載にプリント配線板であって、
前記ビア孔の内壁面は前記樹脂と前記無機粒子とで形成されている。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記ビア孔の内壁面の算術平均粗さ(Ra)は0.05μm以上0.4μm以下であり、
前記境界部における前記樹脂絶縁層の表面の算術平均粗さ(Ra)は0.05μm以上0.3μm以下であり、
前記第一面の算術平均粗さ(Ra)は0.005μm以上0.1μm以下である。
【請求項7】
請求項1に記載のプリント配線板であって、
前記樹脂絶縁層の前記第一面に形成されているシード層、を含む。
【請求項8】
請求項7に記載のプリント配線板であって、
前記シード層はスパッタ膜である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示する技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、層間樹脂絶縁層と導体パターンとを交互に積層してなる多層プリント配線板において、下層の層間樹脂絶縁層上にはプレーン層が形成されており、プレーン層は、下層の層間樹脂絶縁層に設けられた開口部内に金属が充填されてなるバイアホールを介して下層の導体パターンに接続されており、バイアホールの表面には窪みが形成されてなる多層プリント配線板が記載されている。特許文献1には、層間樹脂絶縁層の表面に深さ4μmの粗化面を形成する点、この粗化面は、開口部内部の側面に対しても同様に形成される点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリント配線板の樹脂絶縁層において、ビア孔内のビア導体から連続する導体層が、樹脂絶縁層から剥離することを抑制することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のプリント配線板は、第一導体層と、第一面及び第一面と反対側の第二面とを有し、第二面が第一導体層と対向して第一導体層上に形成されていて、第一導体層を露出するビア孔を有する樹脂絶縁層と、樹脂絶縁層の第一面に形成されている第二導体層と、ビア孔に形成されていて、第一導体層と第二導体層と、を接続するビア導体と、を有するプリント配線板であって、ビア孔の内面の面粗度をビア孔面粗度、ビア孔と第一面との境界部における樹脂絶縁層の面粗度を境界部面粗度、第一面の面粗度を第一面面粗度として、境界部面粗度が第一面面粗度よりも大きく、ビア孔面粗度が前記境界部面粗度以上である。
【0006】
本開示の実施形態によれば、樹脂絶縁層においてビア孔内のビア導体から連続する導体層が、樹脂絶縁層から剥離することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第一実施形態のプリント配線板を示す断面図である。
【
図2A】本開示の第一実施形態のプリント配線板を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図2B】本開示の第一実施形態のプリント配線板を部分的に拡大して示す断面図である。
【
図2C】本開示の第一実施形態のプリント配線板を部分的に拡大して示す断面写真である。
【
図3A】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3B】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3C】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3D】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3E】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3F】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3G】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3H】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【
図3I】本開示の第一実施形態のプリント配線板の製造工程の一例を示す断面図である
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本開示の実施形態の一例を詳細に説明する。
【0009】
各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものである。図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0010】
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。
図2A及び
図2Bは実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。
図2Cは、実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面写真である。
図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第一導体層10と樹脂絶縁層20と第二導体層30とビア導体40とを有する。
【0011】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第三面6(図中の上面)と第三面6と反対側の第四面8(図中の下面)を有する。
【0012】
第一導体層10は絶縁層4の第三面6上に形成されている。第一導体層10は信号配線12とパッド14とを含む。第一導体層10は、信号配線12とパッド14とは別の導体回路も含んでいてもよい。第一導体層10は主に銅によって形成される。第一導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。
【0013】
樹脂絶縁層20は絶縁層4の第三面6と第一導体層10上に形成されている。樹脂絶縁層20は第一面22(図中の上面)と第一面22と反対側の第二面24(図中の下面)を有する。樹脂絶縁層20の第二面24は第一導体層10と対向する。樹脂絶縁層20は樹脂80と多数の無機粒子90を含む。樹脂80は、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂を用いてもよい。樹脂80は、一例としてエポキシ系樹脂を用いてもよい。多数の無機粒子90は樹脂80内に分散されている。無機粒子90は、例えば、シリカ、アルミナを用いてもよい。無機粒子90の粒子径は、例えば、平均粒子径0.5μm、粒子径範囲は、0.1μm以上5.0μm以下である。
【0014】
樹脂絶縁層20は厚み方向に貫通する貫通孔としてのビア孔26を有している。ビア孔26の内壁面27は樹脂80と無機粒子90とで形成されている。樹脂絶縁層20の第一面22における境界部42の表面の面粗度を境界部面粗度SF2とする。境界部42は、ビア孔26の内壁面27と樹脂絶縁層20の第一面22との境界44を含み、ランド36が形成されている領域である。境界部42は、境界部面粗度SF2を有している。境界部面粗度SF2を有する領域は、境界44から第一面22上で10μm以上20μm以下離れた位置まで連続している。
【0015】
境界部面粗度SF2は、境界部42の樹脂絶縁層20の表面の算術平均粗さ(Ra)により規定できる。境界部42の樹脂絶縁層20の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.05μm以上0.3μm以下の範囲である。算術平均粗さ(Ra)の数値が大きいほど、面粗度も大きい(すなわち粗化されている)。
【0016】
図1に示されるように、樹脂絶縁層20の第一面22は樹脂80のみで形成されている。第一面22から無機粒子90は露出しない。具体的には、第一面22は無機粒子90の表面を含まない。樹脂絶縁層20の第一面22には凹凸が形成されていない。第一面22は荒らされていない。第一面22は平滑に形成されている。第一面22において、第二導体層30が形成されていない領域の面粗度を、第一面面粗度SF3とする。第一面面粗度SF3は、第一面22の算術平均粗さ(Ra)により規定できる。第一面22の算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.005μm以上0.1μm以下の範囲である。
【0017】
一方、
図2Bに示されるように、ビア孔26の内壁面27には無機粒子90が露出する。ビア孔26の内壁面27は無機粒子90の表面を含む。ビア孔26の内壁面27は凹凸を有する。ビア孔26の内壁面27は樹脂80の露出面と無機粒子90の露出面とで形成される。ビア孔26の内壁面27の面粗度をビア孔面粗度SF1とする。ビア孔面粗度SF1は、ビア孔26の内壁面27の算術平均粗さ(Ra)により規定できる。ビア孔26の内壁面27の算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.05μm以上0.4μm以下の範囲である。
【0018】
ビア孔面粗度SF1、境界部面粗度SF2、及び第一面面粗度SF3には、SF3<SF2≦SF1、の関係がある。
【0019】
樹脂絶縁層20の厚さは、第二導体層30の厚さの2倍以上である。樹脂絶縁層20の厚さTは第一面22と第一導体層10の上面の間の距離である。
【0020】
図2Bに示されるように、ビア孔26の内壁面27は傾斜している。パッド14の上面と内壁面27との間の角度(傾斜角度)θ1は例えば70°以上85°以下である。パッド14の上面は第一導体層10の上面に含まれる。樹脂絶縁層20の第一面(上面)22と内壁面27との間の角度(傾斜角度)θ2は例えば95°以上110°以下である。
【0021】
図1に示されるように、第二導体層30は樹脂絶縁層20の第一面22上に形成されている。第二導体層30は第一信号配線32と第二信号配線34とランド36とを含む。第二導体層30は第一信号配線32と第二信号配線34とランド36とは別の導体回路も含んでいてもよい。第一信号配線32と第二信号配線34はペア配線を形成している。第二導体層30は主に銅によって形成される。第二導体層30は、第一面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第一面22上の第一シード層31aと第一シード層31a上の第二シード層31bで形成されている。第一シード層31aは銅とケイ素とアルミニウムを含む合金(銅合金)で形成されている。第二シード層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第一シード層31aは第一面22に接している。第二シード層31bは電解めっき層30bと接着している。第二導体層30のうち樹脂絶縁層20の第一面22と対向する面は第一面22の表面形状に沿って形成されている。第二導体層30は樹脂絶縁層20の第一面22の内側に入り込まない。
【0022】
ビア導体40はビア孔26内に形成されている。ビア導体40は、積層方向に隣り合う第一導体層10と第二導体層30とを接続する。なお、積層方向とは各層を積層した方向であり、各層の厚み方向と同じ方向である。本実施形態では積層方向は上下方向と同じである。
図1ではビア導体40はパッド14とランド36を接続する。ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。ビア導体40を形成するシード層30aと第二導体層30を形成するシード層30aは共通である。第一シード層31aは内壁面27に接している。
【0023】
樹脂絶縁層20及び第二導体層30の表面には、被膜層35が形成されている。被膜層35により、樹脂絶縁層20及び第二導体層30と、樹脂絶縁層20及び第二導体層30に積層される他の層との密着性が高められる。被膜層35は無くてもよい。
【0024】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
【0025】
図3A~
図3Iは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。
図3A~
図3Iは断面図である。
図3Aは絶縁層4と絶縁層4の第三面6上に形成されている第一導体層10を示す。第一導体層10はセミアディティブ法によって形成される。
【0026】
図3Bに示されるように、絶縁層4と第一導体層10上に樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20の第二面24が絶縁層4の第三面6と対向している。樹脂絶縁層20の第一面22上に保護膜50が形成される。樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90とを有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。樹脂絶縁層20の第一面22は樹脂80のみで形成される。第一面22から無機粒子90は露出しない。第一面22は無機粒子90の表面を含まない。樹脂絶縁層20の第一面22には凹凸が形成されていない。
【0027】
保護膜50は樹脂絶縁層20の第一面22を完全に覆っている。保護膜50は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と樹脂絶縁層20との間に離型剤による層が形成されている。
【0028】
図3Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第一導体層10のパッド14に至るビア導体用のビア孔26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO
2レーザ光である。ビア孔26によりパッド14が露出される。ビア孔26が形成される時、樹脂絶縁層20の第一面22は保護膜50で覆われている。そのため、ビア孔26が形成される時、樹脂が飛散しても、第一面22に樹脂が付着することが抑制される。レーザ光照射後のビア孔26の内壁面27は樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。
【0029】
図3Dに示されるように、ビア孔26内が洗浄される。ビア孔26内を洗浄することによりビア孔26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。ビア孔26内の洗浄は、洗浄液Pを使用して行われる。即ち洗浄は、ウエットプロセスで行われる。洗浄液の種類は、たとえば、過マンガン酸カリウム溶液である。たとえばバスケットにより支持した製造途中のプリント配線板2を浸漬することにより、洗浄が行われる。洗浄はデスミア処理を含む。
【0030】
ビア孔26内を洗浄することにより、ビア孔26の内壁面27には無機粒子90が露出する(
図3D)。ビア孔26の内壁面27は無機粒子90の表面を含む。ビア孔26の内壁面27には凹凸が形成される。ビア孔26内を洗浄することにより、ビア孔26の内壁面27は粗化される。ビア孔26の内壁面27の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、0.05μm以上0.4μm以下である。境界部42の樹脂絶縁層20の表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば0.05μm以上0.3μm以下である。境界部42の樹脂絶縁層20の表面の算術平均粗さ(Ra)は、ビア孔26の内壁面27の算術平均粗さ(Ra)以下である。
【0031】
図3Eに示されるように、ビア孔26内を洗浄後に、樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。保護膜50除去後、樹脂絶縁層20の第一面22を荒らすことは行われない。第一面22は平滑に形成される。第一面22の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、0.005μm以上0.1μm以下である。第一面22の算術平均粗さ(Ra)は、ビア孔26の内壁面27の算術平均粗さ(Ra)、及び境界部42の樹脂絶縁層20の表面の算術平均粗さ(Ra)よりも小さい。第一面22は樹脂80のみで形成されている。第一面22から無機粒子90は露出しない。第一面22は無機粒子90の表面を含まない。樹脂絶縁層20の第一面22には凹凸が形成されない。ビア孔26の内壁面27、境界部42及び第一面22の面粗度は、それぞれ、面粗度SF1、面粗度SF2、及び面粗度SF3となる。
【0032】
図3Fに示されるように、第一面22及び内壁面27上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタによって形成される。シード層30aはスパッタ膜である。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。第一シード層31aが第一面22上にスパッタで形成される。同時に、ビア孔26から露出する内壁面27とパッド14上に第一シード層31aがスパッタで形成される。その後、第一シード層31a上に第二シード層31bがスパッタで形成される。シード層30aはビア孔26から露出するパッド14の上面とビア孔26の内壁面27にも形成される。第一シード層31aは銅とケイ素とアルミニウムを含む合金で形成される。第二シード層31bは銅で形成される。
【0033】
図3Gに示されるように、シード層30a上にめっきレジスト60が形成される。めっきレジスト60は、第一信号配線32と第二信号配線34とランド36(
図1参照)を形成するための開口を有する。
【0034】
図3Hに示されるように、めっきレジスト60から露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは銅で形成される。電解めっき層30bはビア孔26を充填する。第一面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第一信号配線32と第二信号配線34とランド36が形成される。第二導体層30が形成される。ビア孔26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、ビア導体40が形成される。第二導体層30とビア導体40は同時に形成される。ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第一信号配線32と第二信号配線34はペア配線を形成する。
【0035】
図3Iで示されるように、めっきレジスト60が除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。
【0036】
その後、樹脂絶縁層20の第一面22に対し、必要に応じてO2アッシング処理が行われる。O2アッシング処理では、樹脂絶縁層20の第一面22にO2プラズマが照射される。O2プラズマの照射により、樹脂絶縁層20の第一面22からは、たとえばLIS処理で生じた残渣が除去される。
【0037】
その後、第二導体層30に対しさらに化成処理が施される。たとえば、樹脂絶縁層20及び第二導体層30の表面に、被膜層35が形成される。実施形態のプリント配線板2(
図1参照)が得られる。
【0038】
実施形態のプリント配線板2では、ビア孔面粗度SF1、境界部面粗度SF2、及び第一面面粗度SF3には、SF3<SF2≦SF1、の関係がある。
【0039】
境界部面粗度SF2及びビア孔面粗度SF1は第一面面粗度SF3よりも大きいので、ビア孔26及び境界部42において、第一シード層31aの剥離を抑制できる。特に、境界部面粗度SF2が第一面面粗度SF3よりも大きいことにより、境界部42において、第一シード層31aの剥離を抑制できる。第一シード層31aの剥離を抑制できるので、ビア導体40における第二導体層30の剥離も抑制できる。
【0040】
実施形態のプリント配線板2では、境界部面粗度SF2を有する領域は、境界44から第一面22上を10μm以上20μm以下離れた位置まで連続している。境界部面粗度SF2を有する領域の範囲が境界44から10μm以上であることで、10μm未満の場合と比較して、第一シード層31aの剥離を抑制できる。境界部面粗度SF2を有する領域の範囲が境界44から20μm以下であることで、20μm超の場合と比較して、第一面面粗度SF3を有する領域を確保できる。第一面面粗度SF3を有する領域を確保できることで、プリント配線板2の製造工程において、シード層30aの除去が容易である(
図3I)。
【0041】
実施形態のプリント配線板2(
図1参照)では樹脂絶縁層20の第一面22は樹脂80で形成されている。第一面22には無機粒子90が露出しない。第一面22には凹凸が形成されない。樹脂絶縁層20の第一面22近傍部分の比誘電率の標準偏差が大きくなることが抑制される。第一面22の比誘電率は場所によって大きく変わらない。第一信号配線32と第二信号配線34が第一面22に接していても、第一信号配線32と第二信号配線34間の電気信号の伝搬速度の差を小さくすることができる。そのため、実施形態のプリント配線板2ではノイズが抑制される。実施形態のプリント配線板2にロジックICが実装されても、第一信号配線32で伝達されるデータと第二信号配線で伝達されるデータがロジックICにほぼ遅延なく到達する。ロジックICの誤動作を抑制することができる。第一信号配線32の長さと第二信号配線34の長さが5mm以上であっても、両者の伝搬速度の差を小さくすることができる。第一信号配線32の長さと第二信号配線34の長さが10mm以上、20mm以下であっても、ロジックICの誤動作を抑制することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0042】
実施形態のプリント配線板2(
図1参照)では、樹脂絶縁層20の厚さTは第二導体層30の厚さの2倍以上である。プリント配線板2がヒートサイクルを受けると、ビア孔26の内壁面27とビア導体40の間に加わるストレスは、第一面22と第二導体層30の間に加わるストレスより大きいと考えられる。また、ビア孔26の内壁面27は凹凸を有する。そのため、ビア孔26の内壁面27とビア導体40間の密着強度は、第一面22と第二導体層30間の密着強度より高い。ビア導体40が樹脂絶縁層20から剥離し難い。第二導体層30が樹脂絶縁層20から剥離し難い。
【0043】
実施形態のプリント配線板2では、シード層30aはスパッタで形成される(
図3E参照)。シード層30aを形成する粒子は第一面22と垂直に衝突する。そのため、第一面22とシード層30aとの密着強度は高い。一方、シード層30aを形成する粒子とビア孔26の内壁面27は斜めに衝突する。ただし、ビア孔26の内壁面27は凹凸を有する。そのため、シード層30aとビア孔26の内壁面27間の密着強度は高い。第一面22が凹凸を有していなく、且つ、ビア孔26の内壁面27が凹凸を有しても、第二導体層30と第一面22との間の密着強度とビア導体40とビア孔26の内壁面27との間の密着強度の差を小さくすることができる。第二導体層30と第一面22との間の界面にストレスが集中し難い。ビア導体40とビア孔26の内壁面27との間の界面にストレスが集中し難い。プリント配線板2がヒートサイクルを受けても、ビア導体40が樹脂絶縁層20から剥離し難い。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0044】
本開示の技術では、30aの第一シード層31aは、銅と第二元素で形成されている。第二元素は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、炭素、酸素、スズ、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデン、銀、の中から選ばれる。第一シード層31aは銅を含む合金で形成される。第二シード層31bは銅で形成される。第二シード層31bを形成している銅の量(原子量%)は99.9%以上である。99.95%以上が好ましい。
【0045】
シード層30aの第一シード層31aは、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、炭素、酸素、スズ、カルシウム、マグネシウム、鉄、モリブデン、銀、のうちのいずれか1つの金属で形成されてもよい。
【0046】
本開示の技術のプリント配線板2では、樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90を含むが、繊維補強材を含んでいてもよい。繊維補強材としては、例えば、ガラスクロス、ガラス不織布、アラミド不織布を用いてもよい。
【0047】
本開示の技術のプリント配線板2では、樹脂絶縁層が一層であるが、二層以上積層されてもよい。
【0048】
本開示の技術のプリント配線板は、各図面に例示される構造、並びに、本明細書において例示される構造、形状、及び材料を備えるものに限定されない。前述したように、実施形態のプリント配線板は任意の積層構造を有し得る。例えば実施形態の配線基板はコア基板を含まないコアレス基板であってもよい。実施形態のプリント配線板は、任意の数の導体層及び絶縁層を含み得る。
【0049】
本開示の技術のプリント配線板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。例えば、各絶縁層は、フィルム状の樹脂に限らず、任意の形態の樹脂を用いて形成され得る。実施形態のプリント配線板の製造方法には、前述された各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述された工程のうちの一部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0050】
2 プリント配線板
4 絶縁層
6 第三面
8 第四面
10 第一導体層
10a シード層
10b 層
12 信号配線
14 パッド
20 樹脂絶縁層
22 第一面
24 第二面
26 ビア孔
27 内壁面
30 第二導体層
30a シード層
30b 層
31a 第一シード層
31b 第二シード層
32 第一信号配線
34 第二信号配線
35 被膜層
36 ランド
40 ビア導体
42 境界部
44 境界
50 保護膜
60 レジスト
80 樹脂
90 無機粒子