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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012654
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/17 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
C08G59/17
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196463
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2020003527の分割
【原出願日】2020-01-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】加賀 大樹
(72)【発明者】
【氏名】水口 貴文
(57)【要約】
【課題】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、各種基材に対する接着性が優れるものである為、皮膜形成材料や接着剤として有用である。
【解決手段】
一分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)に、一分子中に1個以上のエチレン性不飽和基と1個のカルボキシル基を併せ持つ化合物(b)を反応させて得られる部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A)。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)に、一分子中に1個以上のエチレン性不飽和基と1個のカルボキシル基を併せ持つ化合物(b)を反応させて得られる部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A)であって、
前記成分(a)が下記式(1)で表されるエポキシ樹脂である、部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A)。
【化1】
(式(1)中、Rはそれぞれ独立してメチル基又は水素原子のいずれかを表す。n1、n2は繰り返し数であり、1≦n1≦10、0≦n2≦10を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、成膜形成材料、接着剤、及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することにより硬化する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、印刷関係、塗料関係、電気絶縁関係など種々の用途に開発され、実用的に使用されている。その利点として(1)無溶剤で低公害型である、(2)硬化速度が極めて速く製品の生産性が高い、(3)固形分として硬化するので硬化前後における体積変化が極めて小さい、(4)素材による熱損失、または素材に対する熱影響がない、といったことが挙げられ、プラスチック、紙、無機質素材などの塗料、接着剤にも種々開発されている。
【0003】
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としては、例えば特許文献1のように(メタ)アクリレートオリゴマーや(メタ)アクリレートモノマーを重合成分として使用される場合が多い。このような(メタ)アクリレート化合物は反応性が高く、熱、紫外線、放射線、電子線、重合開始剤の存在下で容易に単独重合、または他のエチレン性不飽和基含有化合物と共重合する。
【0004】
しかしながら、従来開発されてきた活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は特定の基材への接着力は優れるが、複数種類の基材に対して接着力が優れる接着剤はほとんどなかったため、新たな活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-36253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は、このような状況を鑑みてなされたものであり、複数種類の基材への接着性に優れる、特定の構造を有する部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂を含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討の結果、特定の構造を有する部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂を含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が、複数種類の基材に対して接着性に優れることを見出し、本発明に至ったものである。
【0008】
即ち本発明は、次の[1]~[11]に関するものである。
なお、本明細書中、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。
【0009】
[1]
一分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)に、一分子中に1個以上のエチレン性不飽和基と1個のカルボキシル基を併せ持つ化合物(b)を反応させて得られる部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A)を含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[2]
前記成分(a)のエポキシ当量が200~500g/eqである前項[1]に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[3]
前記成分(a)が下記式(1)で表されるエポキシ樹脂である前項[1]又は[2]に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【0010】
【化1】
【0011】
(式(1)中、Rはそれぞれ独立してメチル基又は水素原子のいずれかを表す。n1、n2は繰り返し数であり、1≦n1≦10、0≦n2≦10を表す。)
[4]
前記成分(A)が、前記成分(a)のエポキシ基1当量に対して、成分(b)を20~80当量%を反応させて得られるものである前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[5]
さらに、反応性化合物(B)、光ラジカル重合開始剤(C)、光酸発生剤(D)を含有する前項[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[6]
前記成分(A)100重量部に対して、前記成分(B)を1~300重量部、前記成分(C)を0.1~30重量部、前記成分(D)を0.1~30重量部含有する前項[5]に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[7]
皮膜形成用材料である前項[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[8]
接着剤用材料である前項[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
[9]
前項[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の硬化物。
[10]
前記成分(a)が、触媒としてベタイン型四級アンモニウム塩(E)を使用するものである前項[1]乃至[8]のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の製造方法。
[11]
前記成分(E)がトリメチルグリシンである前項[10]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、複数種類の基材に対して接着性に優れる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、一分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)に、一分子中に1個以上のエチレン性不飽和基と1個のカルボキシル基を併せ持つ化合物(b)を反応させて得られる部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A)を含有する。
本発明において、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物とは紫外線や電子線等の活性エネルギー線により硬化するものをいい、部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A)(以下、単に「成分(A)」ともいう。)とは、一分子中にエポキシ基とエチレン性不飽和基をそれぞれ一つずつ以上有する化合物をいう。
【0014】
一分子中に3個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(a)(以下、単に「成分(a)」ともいう。)は、一分子内にエポキシ基を3個以上有することにより、硬化性、耐熱性、強靭性、接着性などが良好となる。
【0015】
成分(a)の具体例としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール-A型エポキシ樹脂、ビスフェノール-F型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノール-Aノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂、グリオキサール型エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0016】
フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN-770(DIC(株)製)、EPPN-201(日本化薬(株)製)等が挙げられる。クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンN-695(DIC(株)製)、EOCN-102S、EOCN-103S、EOCN-104S(日本化薬(株)製)、UVR-6650(ユニオン・カーバイド社製)、ESCN-195(住友化学(株)製)等が挙げられる。
【0017】
トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、例えばEPPN-503、EPPN-502H、EPPN-501H(日本化薬(株)製)、TACTIXRTM-742(ダウ・ケミカル社製)、jERRTME1032H60(三菱ケミカル(株)製)等が挙げられる。ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばエピクロンEXA-7200(DIC(株)製)、TACTIXRTM-556(Huntsman Advanced Materials製)等が挙げられる。
【0018】
ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばNER-1202、NER-1302(日本化薬(株)製)等のビスフェノール-A型エポキシ樹脂、NER-7403、NER-7604(日本化薬(株)製)等のビスフェノール-F型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0019】
ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えばNC-3000、NC-3000-H、NC-3500(日本化薬(株)製)等のビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0020】
ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂としては、例えばNC-7000(日本化薬(株)製)、EXA-4750(DIC(株)製)等が挙げられる。グリオキサール型エポキシ樹脂としては、例えばGTR-1800(日本化薬(株)製)等が挙げられる。脂環式エポキシ樹脂としては、例えばEHPE-3150((株)ダイセル製)等が挙げられる。複素環式エポキシ樹脂としては、例えばTEPIC(日産化学(株)製)等が挙げられる。
【0021】
成分(a)は、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂であることがさらに好ましく、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂であることが特に好ましい。
【0022】
【化2】
【0023】
式(1)中、Rはそれぞれ独立してメチル基又は水素原子のいずれかを表す。n1、n2は繰り返し数であり、1≦n1≦10、0≦n2≦10を表す。
【0024】
式(1)中、Rは通常メチル基又は水素原子であるが、好ましくは水素原子である。Rが水素原子であると、エポキシ樹脂が適度な柔軟性を有することとなり、融点または軟化点が適切な範囲となるからである。
成分(a)の軟化点は、40~100℃であることが好ましく、45~85℃であることがさらに好ましく、50~80℃であることが特に好ましい。上記範囲内であれば、べた付きが少なく、高温や溶剤溶解性にも優れるため好ましい。
【0025】
成分(a)のエポキシ当量は、柔軟性の観点から150~1000g/eqであることが好ましく、200~500g/eqであることがさらに好ましく、220~350g/eqであることが特に好ましい。
【0026】
一分子中に1個以上のエチレン性不飽和基と1個のカルボキシル基を併せ持つ化合物
(b)(以下、単に「成分(b)」ともいう。)としては、例えば、(メタ)アクリル酸類やクロトン酸、α-シアノ桂皮酸、桂皮酸、或いは、飽和又は不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類を除く不飽和基含有モノグリシジル化合物との反応物が挙げられ、例えば、(メタ)アクリル酸、β-スチリル(メタ)アクリル酸、β-フルフリル(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε-カプロラクトンとの反応生成物、(メタ)アクリル酸二量体、飽和又は不飽和二塩基酸無水物と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート誘導体との当モル反応物である半エステル類、飽和又は不飽和二塩基酸とモノグリシジル(メタ)アクリレート誘導体類との当モル反応物である半エステル類等が挙げられ、好ましくは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸とε-カプロラクトンとの反応生成物又は桂皮酸である。エチレン性不飽和基数は1~4個が好ましく、より好ましくは1~2個、特に好ましくは1個である。
【0027】
成分(a)と成分(b)の反応においては、成分(a)1当量に対して成分(b)が20~80当量%であることが好ましく、より好ましくは30~70当量%、特に好ましくは40~60当量%である。
【0028】
上記反応は無溶剤若しくは溶剤で希釈して行うことが出来る。溶剤を使用する場合には、成分(a)と成分(b)の反応に対してイナートな溶剤であれば特に限定されない。
溶剤を使用する場合、その使用量としては得られる樹脂の粘度や使途により適宜調整されるべきものであるが、好ましくは固形分含有率が99~30重量%、より好ましくは99~45重量%となるように用いればよい。反応に使用する化合物が高粘度である場合は粘度が抑えられ、好適に反応が進行する。
【0029】
溶剤としては、芳香族系炭化水素溶剤、脂肪族系炭化水素溶剤、及びそれらの混合物である石油エーテル、ホワイトガソリン、ソルベントナフサ等、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤等に加えて、例えばアルコール類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、乳酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、アミド類、ケトン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0030】
具体的には、例えばベンジルアルコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のジエチレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n-ブチル、乳酸イソブチル、乳酸n-アミル、乳酸イソアミル等の乳酸エステル類;ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸エチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メチル-3-メトキシブチルブチレート、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン等のケトン類等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。
【0031】
上記反応においては、反応を促進させるための触媒を使用することが好ましい。触媒としては、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムアイオダイド、トリフェニルフォスフィン、トリフェニルスチビン、メチルトリフェニルスチビン、オクタン酸クロム、オクタン酸ジルコニウム等既知一般の塩基性触媒等を用いてもよいが、本発明においては触媒としてベタイン型四級アンモニウム塩(E)(以下、単に「成分(E)」ともいう。)を使用することが特に好ましい。成分(E)は保存安定性にも優れるからである。
成分(E)を使用する場合、その使用量は、成分(a)、成分(b)、及び溶剤を使用する場合は溶剤を加えた総量に対して0.1~10重量%程度である。その際の反応温度は60~150℃、反応時間は好ましくは5~60時間である。
成分(E)としては、反応性の観点からトリメチルグリシンが最も好ましく、例えば旭化成ファインケム株式会社製のアミノコートが挙げられる。
【0032】
また上記反応においては、熱重合禁止剤を使用してもよい。該熱重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2-メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ジフェニルピクリルヒドラジン、ジフェニルアミン、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール等を使用することができる。
【0033】
上記反応は、適宜サンプリングしながらサンプルの酸価が5mg・KOH/g以下、好ましくは2mg・KOH/g以下となった時点を終点とする。
【0034】
本発明において使用しうる反応性化合物(B)(以下、単に「成分(B)」ともいう。)としては、ラジカル反応型のアクリレート類、カチオン反応型のその他エポキシ化合物類、その双方に感応するビニル化合物類等のいわゆる反応性オリゴマー類が挙げられる。
【0035】
ラジカル反応型のアクリレート類としては、例えば、単官能(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー等を挙げることができる。
【0036】
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、アクリロイルモルホリン;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレート;シクロヘキサン-1,4-ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルチオエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、フェニルフェノール(ポリ)エトキシ(メタ)アクリレート、フェニルフェノールエポキシ(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0037】
2官能(メタ)アクリレートとしては、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA(ポリ)プロポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF(ポリ)エトキシジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレートヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールのε-カプロラクトン付加物のジ(メタ)アクリレート(例えば、日本化薬(株)製、KAYARAD HX-220、HX-620等)等を挙げることができる。
【0038】
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(ポリ)プロポキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(ポリ)エトキシ(ポリ)プロポキシトリ(メタ)アクリレートなどのメチロール類;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールポリエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(ポリ)プロポキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のエリスリトール類;トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロイルオキシエチル]イソシアヌレート等;コハク酸変性ペンタエリスリト-ルトリアクリレート、コハク酸変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート類を挙げることができる。
【0039】
(ポリ)エステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、等のグリコール類、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等の直鎖又は分岐アルキルジオール類、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール等の脂環式アルキルジオール類、ビスフェノールA(ポリ)エトキシジオール、又はビスフェノールA(ポリ)プロポキシジオール等のジオール化合物と前記の二塩基酸又はその無水物との反応物である(ポリ)エステルジオールと、(メタ)アクリル酸との反応物等が挙げられる。
【0040】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ジオール化合物(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ビスフェノールAポリプロポキシジオール等)又はこれらジオール化合物と二塩基酸若しくはその無水物(例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸若しくはこれらの無水物)との反応物であるポリエステルジオールと、有機ポリイソシアネート(例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状飽和炭化水素イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート等の環状飽和炭化水素イソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、1,3-キシリレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアネート、6-イソプロピル-1,3-フェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート)を反応させ、次いで水酸基含有(メタ)アクリレートを付加した反応物等が挙げられる。
【0041】
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸とのカルボキシレート化合物である。たとえば、フェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノールF型エポキシ(メタ)アクリレート、ビフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、ビスフェノール-Aノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、ナフタレン骨格含有エポキシ(メタ)アクリレート、グリオキサール型エポキシ(メタ)アクリレート、複素環式エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0042】
ビニル化合物類としてはビニルエーテル類、スチレン類、その他ビニル化合物が挙げられる。ビニルエーテル類としては、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。スチレン類としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。その他ビニル化合物としてはトリアリルイソイシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0043】
また、カチオン反応型単量体としては、一般的にエポキシ基を有する化合物であれば特に限定はない。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリジジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリジジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ユニオン・カーバイド社製「サイラキュアRTMUVR-6110」等)、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド(ダウ・ケミカル社製「ELR-4206」等)、リモネンジオキシド((株)ダイセル製「セロキサイド3000」等)、アリルシクロヘキセンジオキシド、3,4,-エポキシ-4-メチルシクロヘキシル-2-プロピレンオキシド、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート(ダウ・ケミカル社製「サイラキュアRTMUVR-6128」等)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)エーテル、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)ジエチルシロキサン等が挙げられる。
【0044】
これらのうち、成分(B)としては、重合性が良好である単官能、2官能、3官能以上の(メタ)アクリレート等が最も好ましい。
【0045】
成分(B)は、単独で使用してもよいし2種以上を混合して使用してもよい。当該組成物における成分(B)の使用割合としては、成分(A)100重量部に対して、1~300重量部が好ましく、30~250重量部がより好ましく、特に好ましくは50~200重量部である。成分(B)の使用量が1~300重量部の場合、当該組成物の感度、得られる成膜形成材料、接着剤等の耐熱性並びに弾性特性がより良好となる。
【0046】
光ラジカル重合開始剤(C)(以下、単に「成分(C)」ともいう。)としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-フェニルプロパン-1-オン、ジエトキシアセトフェノン、1-ヒドロキシンクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン等のアセトフェノン類;2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン、2-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等の公知一般の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
【0047】
光酸発生剤(D)(以下、単に「成分(D)」ともいう。)としては、オニウム錯塩が挙げられる。オニウム錯塩として、典型的には、芳香族ヨードニウム錯塩や芳香族スルホニウム錯塩を挙げることができる。この内、芳香族ヨードニウム錯塩の具体例としては、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4-ノニルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、トリルクミルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(ローディア社製、商品名ロードシルPI2074)、ジ(4-ターシャリブチル)ヨードニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタニド(BASFジャパン社製、商品名CGI BBI-C1)等が挙げられる。
【0048】
また、芳香族スルホニウム錯塩の具体例としては、4-チオフェニルジフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネート(サンアプロ社製、商品名CPI-101A)、チオフェニルジフェニルスルフォニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(サンアプロ社製、商品名CPI-210S)、4-{4-(2-クロロベンゾイル)フェニルチオ}フェニルビス(4-フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(ADEKA社製、商品名SP-172)、4-チオフェニルジフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートを含有する芳香族スルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートの混合物(ACETO Corporate USA製、商品名CPI-6976)及びトリフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド(BASFジャパン社製、商品名CGI TPS-C1)、トリス[4-(4-アセチルフェニル)スルホニルフェニル]スルホニウムトリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド(BASFジャパン社製、商品名GSID 26-1)、トリス[4-(4-アセチルフェニル)スルホニルフェニル]スルホニウムテトラキス(2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニル)ボレート(BASFジャパン社製、商品名イルガキュアーPAG290)等が挙げられる。ヘキサフルオロアンチモネート塩型は、安価であるが、分解でフッ化水素を発生しやすいため、金属に直接接触しない用途に適する。メチド塩型やボレート塩型は、フッ化水素の発生がないため、金属に接触するものを含めてあらゆる用途に好適に用いられる。
【0049】
更に、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、さらに、非反応性化合物、無機充填剤、有機充填剤、シランカップリング剤、粘着付与剤、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、顔料、染料等を適宜使用することができる。
また、使用目的に応じて、粘度を調整する目的で、樹脂組成物総量中に50質量部、さらに好ましくは35質量部までの範囲において揮発性溶剤を添加することも出来る。
【0050】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は活性エネルギー線によって容易に硬化する。ここで活性エネルギー線の具体例としては、紫外線、可視光線、赤外線、X線、ガンマー線、レーザー光線等の電磁波、アルファー線、ベータ線、電子線等の粒子線等が挙げられる。本発明の好適な用途を考慮すれば、これらのうち、紫外線、レーザー光線、可視光線、または電子線が好ましい。
【0051】
本発明において成形用材料とは、未硬化の組成物を型にいれ、もしくは型を押し付け、物体を成形したのち、活性エネルギー線により硬化反応を起こさせ成形させるもの、もしくは未硬化の組成物にレーザー等の焦点光等を照射し、硬化反応を起こさせ成形させる用途に用いられる材料を指す。
【0052】
具体的な用途としては、平面状に成形したシート、素子を保護するための封止材、未硬化の組成物に微細加工された「型」を押し当て微細な成形を行う、所謂ナノインプリント材料、さらには特に熱的な要求の厳しい発光ダイオード、光電変換素子等の周辺封止材料等が好適な用途として挙げられる。
【0053】
本発明において皮膜形成用材料とは、基材表面を被覆することを目的として利用されるものである。具体的な用途としては、グラビアインキ、フレキソインキ、シルクスクリーンインキ、オフセットインキ等のインキ材料、ハードコート、トップコート、オーバープリントニス、クリヤコート等の塗工材料、ラミネート用、光ディスク用他各種接着剤、粘着剤等の接着材料、ソルダーレジスト、エッチングレジスト、マイクロマシン用レジスト等のレジスト材料等がこれに該当する。さらには、皮膜形成用材料を一時的に剥離性基材に塗工しフィルム化した後、本来目的とする基材に貼合し皮膜を形成させる、いわゆるドライフィルムも皮膜形成用材料に該当する。
【0054】
本発明において接着剤用材料とは、二つの物体を接合することを目的として利用されるものである。前記物体の一例として、金属、紙、繊維、シリコン、プラスチック、ガラス等が挙げられる。
【実施例0055】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。又、実施例中、特に断りがない限り部は重量部を示す。
【0056】
エポキシ当量、GPCは以下の条件で測定した。
・エポキシ当量(WPE):JIS K 7236:2001に準じた方法で測定した。
・ゲル透過クロマトグラフ(GPC)
機種:TOSOH HLC-8220GPC
カラム:TSKGEL Super HZM-N
溶離液:THF(テトラヒドロフラン);0.35ml/分、温度40℃
検出器:示差屈折計
分子量標準:ポリスチレン
【0057】
[合成例1]部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂溶液(A-1)
攪拌装置、還流管をつけた300mLフラスコ中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを29.92g、ビスフェノールF型の多官能エポキシ樹脂(NER-7403、WPE=290g/eq、軟化点=58.2℃、日本化薬(株)製)を51.17gとビスフェノールF型の多官能エポキシ樹脂(NER-7604、WPE=342g/eq、軟化点=69.1℃、日本化薬(株)製)を11.04g、アクリル酸(Mw=72.1)を7.60g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールを0.21g、及びトリメチルグリシン(アミノコート、旭化成ケミカルズ(株)製)0.07gを加え、120℃の温度で反応液の酸価が、3mg・KOH/g以下になるまで7時間反応させ、部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A)の溶液(A-1)を得た。A-1のエポキシ当量は682.7g/eqであった。
【0058】
[合成例2]比較用エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂(A’-1)
攪拌装置、還流管をつけた300mLフラスコ中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを29.92g、ビスフェノールF型の多官能エポキシ樹脂(NER-7403、WPE=290g/eq、軟化点=58.2℃、日本化薬(株)製)を46.15gとビスフェノールF型の多官能エポキシ樹脂(NER-7604、WPE=342g/eq、軟化点=69.1℃、日本化薬(株)製)を9.97g、成分(b)としてアクリル酸(Mw=72.1)を13.70g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールを0.21g、及びトリフェニルホスフィン0.21gを加え、120℃の温度で反応液の酸価が、3mg・KOH/g以下になるまで12時間反応させ、エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂の溶液(A’-1)を得た。A’-1のエポキシ当量は1.1kg/eqであった。
【0059】
[合成例3]比較用部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂溶液(A’-2)
攪拌装置、還流管をつけた300mLフラスコ中に、プロピレングリコールモノメチルエーテルを29.92g、二官能ビスフェノールF型のエポキシ樹脂(RE-304S、WPE=169g/eq、液状、日本化薬(株)製)を57.42g、アクリル酸(Mw=72.1)を12.36g、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾールを0.21g、及びトリフェニルホスフィン0.10gを加え、120℃の温度で反応液の酸価が、3mg・KOH/g以下になるまで8時間反応させ、部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂の溶液(A’-2)を得た。A’-2のエポキシ当量は411.0g/eqであった。
【0060】
[実施例1、比較例1、2]
合成例1~3で得られた部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂、又はエチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂を含む樹脂溶液を4.0g、反応性化合物(B)としてPHE(フェノキシエチルアクリレート、第一工業製薬(株)製)を2.8g、光ラジカル重合開始剤(C)としてOmnirad907(IGM Resins B.V.製)を0.112g及びカヤキュアーDETX-S(日本化薬(株)製)を0.01g、光酸発生剤(D)としてイルガキュアー290(BASFジャパン(株)製)を0.112g、及び濃度調整溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテルを加え、固形分濃度を60重量%に調整し、均一に分散させ、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を得た。
【0061】
評価項目のそれぞれの項目について詳述する。
【0062】
・保存安定性評価(表中略称:保存安定性)
合成例1及び3で得られた部分エチレン性不飽和基含有エポキシ樹脂を含む樹脂溶液の40℃において保管し、GPCで150日後の分子量を測定した。
保存安定性=150日後の分子量/初期の分子量
【0063】
・銅密着性評価(表中略称:銅密着性)
活性エネルギー線硬化型樹脂組成物をアプリケーターにて20μmの厚さになるように銅張り積層板 ELC-4762(住友ベークライト製)に塗布し、塗膜を80℃の熱風乾燥機で30分乾燥させた後、紫外線照射器(GS YUASA製:CS 30L-1)を用いて、1000mJ/cmのエネルギーで紫外線を照射した。硬化後の膜を基盤目剥離試験(JIS K 5400-8.5)により剥離具合を評価した。
評価基準:全基盤目数(100)を分母にし、残った升目の数を分子にした。
【0064】
・ガラス密着性評価(表中略称:ガラス密着性)
基材として素ガラスを用いた以外、銅密着性評価と同様の手順にて硬化膜を作製した後、基盤目剥離試験(JIS K 5400-8.5)により剥離具合を評価した。
【0065】
・ポリカーボネート密着性評価(表中略称:ポリカ密着性)
基材としてポリカーボネート(PC-2151(帝人(株)製))を用いた以外、銅密着性評価と同様の手順にて硬化膜を作製した後、基盤目剥離試験(JIS K 5400-8.5)により剥離具合を評価した。
【0066】
・易接着PET密着性評価(表中略称:PET密着性)
基材として易接着PET(コスモシャインA4300(東洋紡(株)製))を用いた以外、銅密着性評価と同様の手順にて硬化膜を作製した後、基盤目剥離試験(JIS K 5400-8.5)により剥離具合を評価した。
【0067】
【表1】
表中の「-」は未測定であることを示す。
【0068】
表1の結果より、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、すべての基材に対して接着性が良好であり、保存安定性にも優れることが確認された。一方、比較例1、2はいずれも易接着PETフィルム以外とは接着せず、さらに比較例2は保存安定性が悪いことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、各種基材に対する接着性が優れる為、皮膜形成材料や接着剤として有用である。