(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126542
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】無端ベルト、定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G03G15/20 515
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034955
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 亮平
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 智丈
(72)【発明者】
【氏名】梶原 賢志
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】永松 泰樹
【テーマコード(参考)】
2H033
【Fターム(参考)】
2H033AA02
2H033AA23
2H033BB02
2H033BB03
2H033BB14
2H033BB15
2H033BE00
2H033BE03
(57)【要約】
【課題】耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトの提供。
【解決手段】樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含み、前記フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍以上50倍以下である無端ベルト。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含み、
前記フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍以上50倍以下である無端ベルト。
【請求項2】
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの10倍以上20倍以下である請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項3】
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、8μm以上12μm以下である請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項4】
前記フィラーA及び前記フィラーBの合計の含有量が、無端ベルトに対して5体積%以上45体積%以下である請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項5】
前記フィラーBの含有量が、前記フィラーAに対して、20体積%以上30体積%以下である請求項4に記載の無端ベルト。
【請求項6】
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量が、前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量よりも多い請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項7】
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量に対する前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量の体積割合(粒径Dminを持つフィラーBの含有量/粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量)が、11%以上45%以下である請求項6に記載の無端ベルト。
【請求項8】
前記2種以上のフィラーBのうち、少なくとも一つのフィラーBは官能基B1を表面に有し、かつ少なくとも一つのフィラーBは前記官能基B1と反応する官能基B2を表面に有する請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項9】
アスペクト比が5以上のフィラーAの長さL1と、前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxとの比(長さL1/粒径Dmax)が、0.3以上0.6以下である請求項1に記載の無端ベルト。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の無端ベルトからなる基材層と、
前記基材層上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた離型層と、
を有する定着ベルト。
【請求項11】
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、請求項10に記載の定着ベルトであり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。
【請求項12】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する、請求項11に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端ベルト、定着ベルト、定着装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「樹脂と、アスペクト比が2以上であり、前記樹脂中で基材の面内方向に配向して分散している第1の充填剤と、アスペクト比が2以上であり、長径が前記第1の充填剤の長径よりも短く、前記樹脂中で基材の厚さ方向に配向して分散している第2の充填剤と、を含む樹脂基材。」が開示されている。
【0003】
特許文献2には、「弾性層を有するシームレスタイプの円筒型加熱定着部材であって、弾性層にカーボンファイバーを配し、該弾性層の厚み方向の熱伝導率が1.0W/(m・K)以上であることを特徴とする加熱定着部材。」が開示されている。
【0004】
特許文献3には、「樹脂と、フィラーと、を含有する高熱伝導性樹脂硬化物であって、前記フィラーは、その全量に対し、i)平均粒子径D50が0.1~1.0μm未満の範囲内の球状の小粒径フィラーを15~25質量%の範囲内;ii)平均粒子径D50が3~20μmの範囲内の中粒径フィラーを15~25質量%の範囲内; iii)平均粒子径D50が30~60μmの範囲内の球状の大粒径フィラーを50~70質量%の範囲内;でそれぞれ含有し、前記フィラーの最大粒子径が、前記高熱伝導性樹脂硬化物の膜厚に対して、30~70%の範囲内であり、前記大粒径フィラーの平均粒子径が、前記高熱伝導性樹脂硬化物の膜厚に対して、18~35%の範囲内であり、前記フィラーの含有量が、前記高熱伝導性樹脂硬化物全体の70~90vol%の範囲内であることを特徴とする高熱伝導性樹脂硬化物。」が開示されている。
【0005】
特許文献4には、「耐熱性樹脂中に長形状とされた第1の熱伝導性無機粉末と非長形状とされた第2の熱伝導性無機粉末とを分散含有してなる耐熱樹脂製管状物。」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015-118327号公報
【特許文献2】特開2006-259712号公報
【特許文献3】特願2013-189625号公報
【特許文献4】特開平9-328610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含む無端ベルトにおいて、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍未満又は50倍超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1>
樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含み、
前記フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍以上50倍以下である無端ベルト。
<2>
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの10倍以上20倍以下である<1>に記載の無端ベルト。
<3>
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、8μm以上12μm以下である<1>又は<2>に記載の無端ベルト。
<4>
前記フィラーA及び前記フィラーBの合計の含有量が、無端ベルトに対して5体積%以上45体積%以下である<1>~<3>のいずれか1項に記載の無端ベルト。
<5>
前記フィラーBの含有量が、前記フィラーAに対して、20体積%以上30体積%以下である<1>~<4>のいずれか1項に記載の無端ベルト。
<6>
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量が、前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量よりも多い<1>~<5>のいずれか1項に記載の無端ベルト。
<7>
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量に対する前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量の体積割合(粒径Dminを持つフィラーBの含有量/粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量)が、11%以上45%以下である<6>に記載の無端ベルト。
<8>
前記2種以上のフィラーBのうち、少なくとも一つのフィラーBは官能基B1を表面に有し、かつ少なくとも一つのフィラーBは前記官能基B1と反応する官能基B2を表面に有する<1>~<7>のいずれか1項に記載の無端ベルト。
<9>
アスペクト比が5以上のフィラーAの長さL1と、前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxとの比(長さL1/粒径Dmax)が、0.3以上0.6以下である<1>~<8>のいずれか1項に記載の無端ベルト。
<10>
<1>~<9>のいずれか1項に記載の無端ベルトからなる基材層と、
前記基材層上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた離型層と、
を有する定着ベルト。
<11>
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、<10>に記載の定着ベルトであり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。
<12>
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する、<11>に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
<1>に係る発明によれば、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含む無端ベルトにおいて、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍未満又は50倍超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<2>に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの10倍未満又は20倍超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<3>に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、8μm未満又は12μm超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<4>に係る発明によれば、フィラーA及びフィラーBの合計の含有量が、無端ベルトに対して5体積%未満又は45体積%超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<5>に係る発明によれば、フィラーBの含有量が、フィラーAに対して、20体積%未満又は30体積%超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<6>に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量が、最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量よりも少ない場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<7>に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量に対する前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量の体積割合(粒径Dminを持つフィラーBの含有量/粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量)が11%未満又は45%超えある場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<8>に係る発明によれば、2種以上のフィラーBのうち、2種のフィラーBが互いに反応する官能基を有さない場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
<9>に係る発明によれば、アスペクト比が5以上のフィラーAの長さL1と、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxとの比(長さL1/粒径Dmax)が、0.3未満又は0.6超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
【0010】
<10>に係る発明によれば、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含む無端ベルトにおいて、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍未満又は50倍超えである無端ベルトを基材層として有する場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる定着ベルトが提供される。
<11>、<12>に係る発明によれば、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含む無端ベルトにおいて、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍未満又は50倍超えである無端ベルトを基材層として有する定着装置を備える場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる定着ベルトを備える定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る定着ベルトの一例を示す模式断面図である。
【
図2】本実施形態に係る定着装置の一例を示す概略構成図である。
【
図3】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0013】
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0014】
本明細書において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0015】
<無端ベルト>
本実施形態に係る無端ベルトは、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーA(以下「針状又は繊維状フィラーA」とも称する)と、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含み、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍以上50倍以下である。
ここで、以下、フィラーAを「針状又は繊維状フィラーA」、フィラーBを「球状フィラーB」とも称する。
【0016】
本実施形態に係る無端ベルトは、上記構成により、耐久性と共に熱伝導性に優れる。その理由は、次の通り推測される。
【0017】
無端ベルトの熱伝導性を上げるには、熱伝導性フィラーを配合する。
しかし、熱伝導性を上げるために、熱伝導性フィラーの含有量を増加させると、耐久性が低減する。
そのため、少ないで熱伝導性フィラーの含有量で、高い熱伝導性を実現することが求められる。
そして、熱伝導性を高めるには、長い導電パスを形成することがよい。大径の熱伝導性フィラーのみを配合して長い導電パスを形成しようとすると、フィラー量が増加し、耐久性が低下する。そのため、大径の熱伝導性フィラーの配合量は、制限され、フィラー接点が増えず、長い熱伝導パスを形成でき難い。一方、小径の熱伝導性フィラーのみ配合しても、フィラー接点が増えるが、長い熱伝導パスを形成でき難い。
【0018】
それに対して、本実施形態に係る無端ベルトでは、熱伝導性フィラーとして、針状又は繊維状フィラーAと2種以上の球状フィラーBを用いる。そして、球状フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持たせ、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍以上50倍以下とする。
それにより、大径の球状フィラーBと針状又は繊維状フィラーAとの間に小径のフィラーBが介在し、フィラー接点が増加すると共に、長い熱伝導性パスが形成される。そして、熱伝導性フィラーの総量も抑えられる。
【0019】
以上から、本実施形態に係る無端ベルトは、耐久性と共に熱伝導性に優れると推測される。
【0020】
以下、本実施形態に係る無端ベルトについて詳細に説明する。
【0021】
本実施形態に係る無端ベルトは、樹脂と、フィラーを含む単層のベルトである。無端ベルトは、必要に応じてその他添加剤を含んでもよい。
【0022】
(フィラー)
フィラーは、針状又は繊維状フィラーAと、2種以上の球状フィラーBと、を含む。
ここで、2種以上の球状フィラーBとは、体積粒度分布で最大ピークの粒径が異なる2種以上のフィラーであることを示し、材質は同じであっても異なっていてもよい。
【0023】
フィラーは、熱伝導性フィラーが適用される。ここで、熱伝導性フィラーとは、150℃における熱伝導率が20W/m・k以上のフィラーである。熱伝導性フィラーの熱伝導率は、熱伝導率測定機(株式会社アイフェイズ製のai-Phase Mobile)により、荷重50gの条件で求められた値である。また、熱伝導性フィラーの熱伝導率は、メーカーの公称値又は保証値を採用してもよい。
【0024】
-針状又は繊維状フィラー-
針状又は繊維状フィラーAとしては、炭化物(カーボンファイバ-、カーボンナノチューブ等)、金属酸化物(シリカ、チタニア、アルミナ等)、金属窒化物(窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化ホウ素等)等が挙げられる。
【0025】
-フィラーのアスペクト比、粒径等-
針状又は繊維状フィラーAのアスペクト比は、5以上である。ベルトの耐久性及び熱伝導性向上の観点から、10以上が好ましい。ただし、フィラーの強度低下に観点から、針状又は繊維状フィラーAのアスペクト比は、100以下であることが好ましく、80以下であることがより好ましく、60以下であることがさらに好ましい。
針状又は繊維状フィラーAのアスペクト比とは、フィラーの長さ(つまり長軸長さ)とフィラーの径(つまり短軸長さ)との比(フィラーの長さ/フィラーの径)を意味する。
【0026】
針状又は繊維状フィラーAの長さは、1μm以上30μm以下が好ましく、3μm以上15μm以下がより好ましい。
針状又は繊維状フィラーAの径は、0.05μm以上0.5μm以下が好ましく、0.05μm以上0.2μm以下がより好ましい。
【0027】
-球状フィラーB-
球状フィラーBとしては、炭化物(カーボンブラック等)、金属酸化物(シリカ、チタニア、アルミナ等)、金属窒化物(窒化ケイ素、窒化アルミ、窒化ホウ素等)等が挙げられる。
球状フィラーのアスペクト比は、5未満である。ベルトの耐久性及び熱伝導性向上の観点から、3以下が好ましい。
球状フィラーのアスペクト比とは、フィラーの長軸長さとフィラーの短軸長さとの比(フィラーの長軸長さ/フィラーの短軸長さ)を意味する。
フィラーの長軸長さは、フィラーの最大長さを意味する。
フィラーの短軸長さは、フィラーの長軸長さの延長線に対する直交方向の長さのうち、最大長さを意味する。
【0028】
球状フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxは、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍以上50倍以下である。ベルトの耐久性及び熱伝導性向上の観点から、粒径Dmaxは、粒径Dminの5倍以上50倍以下が好ましく、10倍以上20倍以下がより好ましい。
【0029】
粒径Dmaxは、ベルトの耐久性及び熱伝導性向上の観点から、5μm以上20μm以下が好ましく、8μm以上12μm以下がより好ましい。
【0030】
上記体積粒度分布を持つ球状フィラーBをベルトに含有させるには、粒径Dmaxと同じ範囲の体積平均粒径の球状フィラーと、粒径Dminと同じ範囲の体積平均粒径の球状フィラーと、を少なくともベルトに含有させる方法が挙げられる。
【0031】
ここで、針状又は繊維状フィラーAの長さL1と最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxとの比(長さL1/粒径Dmax)は、ベルトの耐久性及び熱伝導性向上の観点から、0.2以上0.75以下が好ましく、0.3以上0.7以下がより好ましく、0.3以上0.6以下が更に好ましい。それにより、球状フィラーBと針状又は繊維状フィラーAとの接触点が増え、熱伝導パスが長くなり易くなる。その結果、ベルトの熱伝導性が向上する。
【0032】
2種以上のフィラーBのうち、少なくとも一つの球状フィラーBは官能基B1を表面に有し、かつ少なくとも一つのフィラーBは官能基B1と反応する官能基B2を表面に有することが好ましい。
具体的には、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBは官能基B1を表面に有し、最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBは能基B1と反応する官能基B2を表面に有することが好ましい。
官能基B1及び官能基B2を各々有する2種の球状フィラーBを適用することで、2種の球状フィラーBは、互いに官能基B1及び官能基B2で結合されて接触した状態で、ベルトに含まれる。そのため、球状フィラーBと針状又は繊維状フィラーAとの接触点が増え、熱伝導パスが長くなり易くなる。その結果、ベルトの熱伝導性が向上する。
【0033】
官能基B1と官能基B2との組み合わせとしては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、スルホ基、シラノール基、エポキシ基から選択される官能基(1)と、ヒドロキシ基、アミノ基、シラノール基から選択される官能基(2)との組み合わせが挙げられる。これらの中でも、樹脂への分散性の観点から、ヒドロキシ基、カルボキシル基から選択される官能基(1)とヒドロキシ基、アミノ基から選択される官能基(2)との組み合わせが好ましい。
なお、官能基B1が官能基(1)、官能基B2が官能基(2)であってもよいし、官能基B1が官能基(2)、官能基B2が官能基(1)であってもよい
【0034】
球状フィラーBの上記官能基は、フィラーの素材に由来する官能基(例えばシリカが持つ水酸基等)であってもよいし、フィラーを表面処理剤により表面処理して付与した官能基であってもよい。
【0035】
-フィラーの、長さ、径及び体積粒度分布の測定-
ベルトから弾性層、表面層を片刃ナイフで剥がし、基材層のみを採取する。厚み方向に基材層を切り出し、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)により、断面において、基材層に含有されるフィラーを観察する。
観察画像から、アスペクト比5以上のフィラーを針状又は繊維状フィラーA、アスペック比5未満のフィラーを球状フィラーBと識別する。
次に、100個の針状又は繊維状フィラーAの長さ、及び径(具体的にはフィラーの幅のうち最大幅)を測定し、その算術平均を求める。
一方、100個の球状フィラーBの面積を測定し、得られた面積値から円相当径(=2√(面積/π))を算出し、円相当径の累積分布を、体積基準で小径側から描き、体積粒度分布を得る。
【0036】
-フィラーの含有量-
フィラーの含有量を増加させると、ベルトの熱伝導性が向上するが、ベルトの耐久性が低下する傾向となる。一方、フィラーの含有量を減少させると、ベルトの耐久性が向上するが、ベルトの熱伝導性が低下する傾向となる。そのため、フィラーの含有量は、ベルトの耐久性及び熱伝導性の向上の観点から、調整することが好ましい。具体的には次の通りである。
【0037】
針状又は繊維状フィラーA及び球状フィラーBの合計の含有量は、無端ベルトに対して5体積%以上45体積%以下が好ましく、10体積%以上40体積%以下がより好ましく、15体積%以上30体積%以下が更に好ましい。
なお、無端ベルトに含むすべてのフィラーの総含有量も上記範囲が好ましい。
【0038】
球状フィラーBの含有量は、針状又は繊維状フィラーAに対して、20体積%以上30体積%以下が好ましく、24体積%以上29体積%以下がより好ましく、25体積%以上27体積%以下が更に好ましい。
針状又は繊維状フィラーAに対する球状フィラーBの含有量を上記範囲とすると、球状フィラーBと針状又は繊維状フィラーAとの接点が増え、熱伝導パスが増加し易くなる。その結果、熱伝導性が向上し易くなる。
【0039】
ここで、粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量は、粒径Dminを持つフィラーBの含有量よりも多いことが好ましい。それにより、球状フィラーBと針状又は繊維状フィラーAとの接点が増え、熱伝導パスが増加し易くなる。その結果、熱伝導性が向上し易くなる。
具体的には、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量に対する前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量の体積割合(粒径Dminを持つフィラーBの含有量/粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量)は、11%以上45%以下が好ましく、20%以上30%以下がより好ましい。
【0040】
粒径Dmaxを持つフィラーB及び粒径Dminを持つフィラーBの含有量の体積割合は、
走査電子顕微鏡像の観察より得られた体積粒度分布における粒径Dmaxと粒径Dminとの頻度比で規定する。
【0041】
(樹脂)
樹脂としては、耐熱性樹脂であることが好ましい。耐熱性樹脂とは、融点が用途で使用する環境下の温度(例えば、定着ベルトに適用する場合、定着温度)以上、又は、融点を有さず分解温度が用途で使用する環境下の温度(例えば、定着ベルトに適用する場合、定着温度)以上の樹脂を意味する。
【0042】
樹脂としては、ポリイミド、芳香族ポリアミド、サーモトロピック液晶ポリマー等の液晶材料など、高耐熱かつ高強度の耐熱性樹脂等が挙げられ、これら以外にも、樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリイミドアミド等が用いられる。
これらの中でも、樹脂としては、ポリイミドが好ましい。
【0043】
ポリイミドとしては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物が挙げられる。ポリイミドとして具体的には、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物との等モル量を溶媒中で重合反応させてポリアミド酸の溶液として得て、そのポリアミド酸をイミド化して得られた樹脂が挙げられる。
【0044】
テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系、及び脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、耐熱性の観点から、芳香族系の化合物であることが好ましい。
【0045】
芳香族系テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物等を挙げられる。
【0046】
脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3-ジメチル-1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5-トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6-トリカルボキシノルボナン-2-酢酸二無水物、2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロフリル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]-オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環式テトラカルボン酸二無水物;1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-8-メチル-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-c]フラン-1,3-ジオン等の芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0047】
これらの中でも、テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族系テトラカルボン酸二無水物がよく、具体的には、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、更に、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物がよく、特に、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物がよい。
【0048】
なお、テトラカルボン酸二無水物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
また、テトラカルボン酸二無水物を2種以上組み合わせて併用する場合、芳香族テトラカルボン酸二無水物、又は脂肪族テトラカルボン酸二無水物を各々併用しても、芳香族テトラカルボン酸二無水物と脂肪族テトラカルボン酸二無水物とを組み合わせてもよい。
【0049】
一方、ジアミン化合物は、分子構造中に2つのアミノ基を有するジアミン化合物である。ジアミン化合物としては、芳香族系、脂肪族系いずれの化合物も挙げられるが、芳香族系の化合物であることが好ましい。
【0050】
ジアミン化合物としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、4,4’-ジアミノベンズアニリド、3,5-ジアミノ-3’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5-ジアミノ-4’-トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、2,7-ジアミノフルオレン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、2,2’,5,5’-テトラクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジクロロ-4,4’-ジアミノ-5,5’-ジメトキシビフェニル、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)-ビフェニル、1,3’-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、4,4’-(p-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’-(m-フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ビス[4-(4-アミノ-2-トリフルオロメチル)フェノキシ]-オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1-メタキシリレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4-ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]-ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミン及び脂環式ジアミン等が挙げられる。
【0051】
これらの中でも、ジアミン化合物としては、芳香族系ジアミン化合物がよく、具体的には、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホンがよく、特に、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、p-フェニレンジアミンがよい。
【0052】
なお、ジアミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて併用してもよい。
また、ジアミン化合物を2種以上組み合わせて併用する場合、芳香族ジアミン化合物、又は脂肪族ジアミン化合物を各々併用しても、芳香族ジアミン化合物と脂肪族ジアミン化合物とを組み合わせてもよい。
【0053】
これらの中でも、耐熱性の観点から、ポリイミドとしては、芳香族ポリイミド(具体的には、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物との重合体であるポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)のイミド化物)が好ましい。
そして、芳香族ポリイミドとしては、下記一般式(PI1)で表される構造単位を有するポリイミドであることがより好ましい。
【0054】
【0055】
一般式(PI1)中、RP1はフェニル基、またはビフェニル基を示し、RP2は2価の芳香族基を示す。
RP2が示す2価の芳香族基は、フェニレン基、ナフチル基、ビフェニル基、ジフェニルエーテル基等が挙げられる。2価の芳香族基としては、屈曲耐久性の観点から、フェニレン基、ビフェニル基が好ましい。
【0056】
ポリイミドの数平均分子量は、5,000以上100,000以下であることがよく、より好ましくは7,000以上50,000以下、更に好ましくは10,000以上30,000以下である。
【0057】
ポリイミドの数平均分子量は、下記測定条件のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)法で測定される。
・カラム:東ソーTSKgelα-M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
【0058】
基材層における樹脂の含有量は、基材層の全質量に対して、80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることが更に好ましい。
【0059】
(その他添加剤)
その他添加剤としては、潤滑剤などの周知の各種添加剤が挙げられる。
【0060】
(無端ベルトの膜厚)
無端ベルトの膜厚は、耐久性及び熱伝導性等の観点から、30μm以上200μm以下であることが好ましく、50μm以上150μm以下であることがより好ましく、70μm以上120μm以下であることが特に好ましい。
【0061】
(無端ベルトの物性)
-熱伝導率-
本実施形態に係る無端ベルトの熱伝導率は、0.5W/m・K以上10W/m・K以下であることが好ましく、0.6W/m・K以上10W/m・K以下であることがより好ましく、1.0W/m・K以上10W/m・K以下であることが更に好ましい。
【0062】
熱伝導率の測定方法は、次の通りである。
測定対象の無端ベルトから試料を採取し、採取した試料に対して、ai-phase(株式会社アイフェイズ製)を用いて温度波分析法により、荷重50gの条件で熱伝導率を測定する。
【0063】
[本実施形態に係る無端ベルトの製造方法]
本実施形態に係る無端ベルトは、樹脂とフィラーと必要に応じて用いられる添加剤とを含むベルト形成用塗布液を調製し、得られたベルト形成用塗布液を円筒状基材上に塗布し、乾燥する周知の方法で製造できる。
なお、樹脂がポリイミドの場合、本実施形態に係る無端ベルトは、ポリアミック酸(ポリイミド樹脂の前駆体)とフィラーと必要に応じて用いられる添加剤とを含む基材層形成用塗布液を調製し、得られた基材層形成用塗布液を円筒状基材上に塗布し、焼成する(即ち、イミド化する)周知の方法で製造できる。
【0064】
(用途)
本実施形態に係る無端ベルトは、高い熱伝導性が要求される用途(例えば、定着ベルト(その基材層)等)に適用される。
【0065】
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置は、
図1に示すように、例えば、基材層110Aと、基材層110A上に設けられた弾性層110Bと、弾性層110B上に設けられた離型層110Cと、を有する定着装置110が例示される。そして、基材層110Aが、上記本実施形態に係る無端ベルトが適用される。
なお、定着装置110の層構成は、
図1に示す層構成に限定されず、弾性層110Bと離型層110Cとの間に接着層を介在させた層構成であってもよい。
【0066】
以下、本実施形態に係る定着ベルトの構成要素について詳細に説明する。なお、符号は省略して説明する。
【0067】
(弾性層)
弾性層は、弾性を有する層であればよく、特に限定されるものではない。
弾性層は、定着ベルトへの外周側からの加圧に対して弾性を付与する観点で設けられる層であり、記録媒体上のトナー像の凹凸に追従して、定着ベルトの表面がトナー像に密着する役割を担う。
【0068】
弾性層は、例えば、100Paの外力印加により変形させても、もとの形状に復元する弾性材料から構成されることがよい。
弾性層に用いられる弾性材料としては、例えば、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、フッ素ゴム、フルオロシリコーンゴム等が挙げられる。弾性層の材質としては、耐熱性、熱伝導性、絶縁性等の観点から、シリコーンゴム及びフッ素ゴムが好ましく、
シリコーンゴムがより好ましい。
【0069】
シリコーンゴムとしては、例えば、RTVシリコーンゴム、HTVシリコーンゴム、液状シリコーンゴムなどが挙げられ、具体的には、ポリジメチルシリコーンゴム(MQ)、メチルビニルシリコーンゴム(VMQ)、メチルフェニルシリコーンゴム(PMQ)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)等が挙げられる。
【0070】
シリコーンゴムとしては、架橋形態として付加反応型を主とするものが好ましい。また、シリコーンゴムは様々な種類の官能基が知られており、メチル基を有するジメチルシリコーンゴム、メチル基とフェニル基を有するメチルフェニルシリコーンゴム、ビニル基を有するビニルシリコーンゴム(ビニル基含有シリコーンゴム)等が好ましい。
また、シリコーンゴムとしては、ビニル基を有するビニルシリコーンゴムがより好ましく、ビニル基を有するオルガノポリシロキサン構造とケイ素原子に結合する水素原子(SiH)を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサン構造とを有するシリコーンゴムが更に好ましい。
【0071】
フッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン/プロピレン系ゴム、四フッ化エチレン/パーフルオロメチルビニルエーテルゴム、フォスファゼン系ゴム、フルオロポリエーテル等が挙げられる。
【0072】
弾性層に用いられる弾性材料は、シリコーンゴムが主成分である(つまり、弾性材料の全質量に対してシリコーンゴムを50質量%以上含む)ことが好ましい。
シリコーンゴムの含有量は、弾性層に用いられる弾性材料の全質量に対して、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
【0073】
弾性層は、弾性材料のほか、補強、耐熱、及び伝熱等を目的として、無機フィラーを含んでもよい。無機フィラーとしては、公知のものが挙げられ、例えば、煙霧状シリカ、結晶性シリカ、酸化鉄、アルミナ、金属珪素等が好ましく挙げられる。
無機フィラーの材質としては、上記のほか炭化物(例えば、カーボンブラック、カーボンファイバ、カーボンナノチューブ等)、酸化チタン、炭化ケイ素、タルク、マイカ、カオリン、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、黒鉛、窒化ケイ素、窒化ホウ素、酸化セリウム、炭酸マグネシウム等の周知の無機フィラーが挙げられる。
これらの中でも、熱伝導性の点からは、窒化ケイ素、炭化ケイ素、黒鉛、窒化ホウ素、炭化物が好ましい。
【0074】
弾性層は、添加剤として、例えば、軟化剤(パラフィン系等)、加工助剤(ステアリン酸等)、老化防止剤(アミン系等)、加硫剤(硫黄、金属酸化物、過酸化物等)等が含んでいてもよい。
【0075】
弾性層の厚みは、例えば、30μm以上600μm以下であることが好ましく、100μm以上500μm以下であることがより好ましい。
【0076】
弾性層の形成は、公知の方法を適用すればよく、例えば、塗布法が適用される。
弾性層の弾性材料としてシリコーンゴムを用いる場合、例えば、まず、加熱により硬化されてシリコーンゴムとなる液状シリコーンゴムを含む弾性層形成用塗布液を調製する。次に、基材層上に弾性層形成用塗布液を塗布して塗膜を形成し、必要に応じて塗膜を加硫させることで、基材層上に弾性層を形成する。なお、塗膜の加硫において、加硫温度としては、例えば、150℃以上250℃以下が挙げられ、加硫時間としては、例えば、30分以上120分以下が挙げられる。
【0077】
(離型層)
離型層は、記録媒体と接触する側の面(外周面)に、定着時に溶融状態のトナー像が固着するのを抑制する役割を担う層である。
【0078】
離型層は、例えば、耐熱性や離型性が求められる。この観点から、離型層を構成する材料には、耐熱性離型材料を用いることが好ましく、具体的には、フッ素ゴム、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性離型材料としては、フッ素樹脂がよい。
フッ素樹脂として、具体的には、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロ三フッ化エチレン(PCTFE)、フッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。
【0079】
離型層の弾性層側の面には表面処理を施してもよい。表面処理としては、湿式処理であっても乾式処理であってもよく、例えば、液体アンモニア処理、エキシマレーザ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
【0080】
離型層の膜厚は、10μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0081】
離型層の形成は公知の方法を適用すればよく、例えば、塗布法を適用してもよい。
また、離型層となるチューブを予め準備し、これを弾性層の外周上に被覆させることで、離型層を形成してもよい。なお、チューブ状の表面層の内面に接着剤層(例えば、エポキシ基を有するシランカップリング剤を含む接着剤層)を形成した上で、外周上に被覆させてもよい。
【0082】
(定着ベルトの膜厚)
本実施形態に係る定着ベルトの膜厚は、例えば、90μm以上600μm以下が好ましく、より好ましくは200μm以上600μm以下、更に好ましくは300μm以上550μm以下である。
【0083】
(定着ベルトの用途)
本開示に係る定着ベルトは、例えば、加熱ベルト、加圧ベルトのいずれにも適用される。
【0084】
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があり、例えば、第1回転体と、第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、を備え、トナー像が表面に形成された記録媒体を第1回転体と第2回転体との接触部に挿通してトナー像を定着する定着装置が例示できる。そして、第1回転体及び第2回転体の少なくとも一方として、本実施形態に係る定着ベルトが適用される。
【0085】
以下に、本実施形態に係る定着装置としては、本実施形態に係る定着ベルトが適用された加熱ベルトと加熱ロールとを備えた定着装置を説明する。
なお、本実施形態に係る定着装置は、上記実施形態に限られず、加熱ベルトと加圧ベルトとを備えた定着装置であってもよいし、加熱ロールと加圧ベルトとを備えた定着装置であってもよい。これらの定着装置では、本実施形態に係る定着ベルトは、加熱ベルト、及び加圧ベルトのいずれにも適用され得る。
【0086】
(定着装置の実施形態)
定着装置の第1実施形態について
図2を参照して説明する。
図2は、定着装置の実施形態の一例(即ち、定着装置80)を示す概略図である。
【0087】
定着装置80は、
図2に示すように、例えば、加熱ベルト84(第1回転体の一例)を備える定着ベルトモジュール86と、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)に押圧して配置された加圧ロール88(第2回転体の一例)とを含んで構成されている。そして、例えば、加熱ベルト84(定着ベルトモジュール86)と加圧ロール88との接触部には挟込領域N(ニップ部)が形成されている。挟込領域Nでは、用紙K(記録媒体の一例)が加圧及び加熱されトナー像が定着される。
【0088】
定着ベルトモジュール86は、例えば、無端状の加熱ベルト84と、加圧ロール88側で加熱ベルト84が巻き掛けられ、モータ(不図示)の回転力で回転駆動すると共に加熱ベルト84をその内周面から加圧ロール88側へ押し付ける加熱押圧ロール89と、加熱押圧ロール89と異なる位置で内側から加熱ベルト84を支持する支持ロール90と、を備えている。
定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84の外側に配置されてその周回経路を規定する支持ロール92と、加熱押圧ロール89から支持ロール90までの加熱ベルト84の姿勢を矯正する姿勢矯正ロール94と、加熱ベルト84と加圧ロール88とで形成された挟込領域Nの下流側において加熱ベルト84に内周面から張力を付与する支持ロール98と、が設けられている。
【0089】
そして、定着ベルトモジュール86は、例えば、加熱ベルト84と加熱押圧ロール89との間に、シート状の摺動部材82が介在するように設けられている。
摺動部材82は、例えば、その摺動面が加熱ベルト84の内周面と接するように設けられており、加熱ベルト84との間に存在するオイルの保持・供給に関与する。
ここで、摺動部材82は、例えば、その両端が支持部材96により支持された状態で設けられている。
【0090】
加熱押圧ロール89の内部には、例えば、ハロゲンヒータ89A(熱源の一例)が設けられている。
【0091】
支持ロール90は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、内部にはハロゲンヒータ90A(熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を内周面側から加熱するようになっている。
支持ロール90の両端部には、例えば、加熱ベルト84を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。
【0092】
支持ロール92は、例えば、アルミニウムで形成された円筒状ロールであり、支持ロール92の表面には膜厚20μmのフッ素樹脂からなる離型層が形成されている。
支持ロール92の離型層は、例えば、加熱ベルト84の外周面からのトナーや紙粉が支持ロール92に堆積するのを防止するために形成されるものである。
支持ロール92の内部には、例えば、ハロゲンヒータ92A(熱源の一例)が配設されており、加熱ベルト84を外周面側から加熱するようになっている。
【0093】
つまり、例えば、加熱押圧ロール89と支持ロール90及び支持ロール92とによって、加熱ベルト84が加熱される構成となっている。
【0094】
姿勢矯正ロール94は、例えば、アルミニウムで形成された円柱状ロールであり、姿勢矯正ロール94の近傍には、加熱ベルト84の端部位置を測定する端部位置測定機構(不図示)が配置されている。
姿勢矯正ロール94には、例えば、端部位置測定機構の測定結果に応じて加熱ベルト84の軸方向における当り位置を変位させる軸変位機構(不図示)が配設され、加熱ベルト84の蛇行を制御するように構成されている。
【0095】
一方、加圧ロール88は、例えば、回転自在に支持されると共に、図示しないスプリング等の付勢装置によって加熱ベルト84が加熱押圧ロール89に巻き回された部位に押圧されて設けられている。これにより、定着ベルトモジュール86の加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)が矢印S方向へ回転移動するのに伴って、加熱ベルト84(加熱押圧ロール89)に従動して加圧ロール88が矢印R方向に回転移動するようになっている。
【0096】
そして、未定着トナー像(不図示)を有する用紙Kは、矢印P方向に搬送され、定着装置80の挟込領域Nに導かれる。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上の未定着トナー像は、挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
【0097】
なお、定着装置80では、複数ある熱源の一例として、ハロゲンヒータ(ハロゲンランプ)を適用した形態を説明したが、これに限られず、ハロゲンヒータ以外の輻射ランプ発熱体(放射線(赤外線等)を発する発熱体)、抵抗発熱体(抵抗に電流を流すことによりジュール熱を発生させる発熱体:例えばセラミック基板に抵抗を有する膜を形成して焼成させたもの等)を適用してもよい。
【0098】
<画像形成装置>
次に、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、トナー像を記録媒体に定着する定着装置と、を備える
そして、定着装置として、本実施形態に係る定着装置が適用される。
【0099】
ここで、本実施形態に係る画像形成装置において、定着装置は、画像形成装置に着脱するようにカートリッジ化していてもよい。つまり、本実施形態に係る画像形成装置は、プロセスカートリッジの構成装置として、本実施形態に係る定着装置を備えてもよい。
【0100】
以下、本実施形態に係る画像形成装置について図面を参照しつつ説明する。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示した概略構成図である。
【0101】
画像形成装置100は、
図3に示すように、例えば、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置であって、電子写真方式により各色成分のトナー像が形成される複数の画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kにより形成された各色成分トナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)させる一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)させる二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置80と、を備えている。また、画像形成装置100は、各装置(各部)の動作を制御する制御部40を有している。
【0102】
この定着装置80に本実施形態に係る定着装置が適用される。なお、画像形成装置100は、本実施形態に係る定着装置を備えていればよく、定着装置80に限定されるものではない。
【0103】
画像形成装置100の各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、表面に形成されるトナー像を保持する像保持体の一例として、矢印A方向に回転する感光体11を備えている。
【0104】
感光体11の周囲には、帯電装置の一例として、感光体11を帯電させる帯電器12が設けられ、静電潜像形成装置の一例として、感光体11上に静電潜像を書込むレーザ露光器13(図中露光ビームを符号Bmで示す)が設けられている。
【0105】
また、感光体11の周囲には、現像装置の一例として、各色成分トナーが収容されて感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する現像器14が設けられ、感光体11上に形成された各色成分トナー像を一次転写部10にて中間転写ベルト15に転写する一次転写ロール16が設けられている。
【0106】
更に、感光体11の周囲には、感光体11上の残留トナーが除去される感光体クリーナ17が設けられ、帯電器12、レーザ露光器13、現像器14、一次転写ロール16及び感光体クリーナ17の電子写真用デバイスが感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。これらの画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、略直線状に配置されている。
【0107】
中間転写体である中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂をベース層としてカーボンブラック等の帯電防止剤を適当量含有させたフィルム状の加圧ベルトで構成されている。そして、その体積抵抗率は106Ωcm以上1014Ωcm以下となるように形成されており、その膜厚は、例えば、0.1mm程度に構成されている。
【0108】
中間転写ベルト15は、各種ロールによって
図3に示すB方向に目的に合わせた速度で循環駆動(回転)されている。この各種ロールとして、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる駆動ロール31、各感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を支持する支持ロール32、中間転写ベルト15に対して張力を与えると共に中間転写ベルト15の蛇行を防止する補正ロールとして機能する張力付与ロール33、二次転写部20に設けられる背面ロール25、及び、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられるクリーニング背面ロール34を有している。
【0109】
一次転写部10は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に対向して配置される一次転写ロール16で構成されている。一次転写ロール16は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は、鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0110】
そして、一次転写ロール16は中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置され、更に一次転写ロール16にはトナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同様。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加されるようになっている。これにより、各々の感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上において重畳されたトナー像が形成されるようになっている。
【0111】
二次転写部20は、背面ロール25と、中間転写ベルト15のトナー像保持面側に配置される二次転写ロール22と、を備えて構成されている。
【0112】
背面ロール25は、表面がカーボンを分散したEPDMとNBRのブレンドゴムのチューブ、内部はEPDMゴムで構成されている。そして、その表面抵抗率が107Ω/□以上1010Ω/□以下となるように形成され、硬度は、例えば、70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同様。)に設定される。この背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写バイアスが安定的に印加される金属製の給電ロール26が接触配置されている。
【0113】
一方、二次転写ロール22は、芯体と、芯体の周囲に固着された弾性層としてのスポンジ層と、で構成されている。芯体は鉄、SUS等の金属で構成された円柱棒である。スポンジ層はカーボンブラック等の導電剤を配合したNBRとSBRとEPDMとのブレンドゴムで形成され、体積抵抗率が107.5Ωcm以上108.5Ωcm以下のスポンジ状の円筒ロールである。
【0114】
そして、二次転写ロール22は中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置され、更に、二次転写ロール22は接地されて背面ロール25との間に二次転写バイアスが形成され、二次転写部20に搬送される用紙K上にトナー像を二次転写する。
【0115】
また、中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去し、中間転写ベルト15の表面をクリーニングする中間転写ベルトクリーナ35が、中間転写ベルト15に対し接離自在に設けられている。
【0116】
なお、中間転写ベルト15、一次転写部10(一次転写ロール16)、及び二次転写部20(二次転写ロール22)が、転写装置の一例に該当する。
【0117】
一方、イエローの画像形成ユニット1Yの上流側には、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。この基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生しており、この基準信号の認識に基づく制御部40からの指示により、各画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kは画像形成を開始するように構成されている。
また、黒の画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
【0118】
更に、本開示に係る画像形成装置では、用紙Kを搬送する搬送装置として、用紙Kを収容する用紙収容部50、この用紙収容部50に集積された用紙Kを予め定められたタイミングで取り出して搬送する給紙ロール51、給紙ロール51により繰り出された用紙Kを搬送する搬送ロール52、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へと送り込む搬送ガイド53、二次転写ロール22により二次転写された後に搬送される用紙Kを定着装置60へと搬送する搬送ベルト55、及び、用紙Kを定着装置60に導く定着入口ガイド56を備えている。
【0119】
次に、本開示に係る画像形成装置の基本的な作像プロセスについて説明する。
本開示に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
【0120】
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の各種画像編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザ露光器13に出力される。
【0121】
レーザ露光器13では、入力された色材階調データに応じて、例えば半導体レーザから出射された露光ビームBmを画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各々の感光体11に照射している。画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの各感光体11では、帯電器12によって表面が帯電された後、このレーザ露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって、Y、M、C、Kの各色のトナー像として現像される。
【0122】
画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kの感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。より具体的には、一次転写部10において、一次転写ロール16により中間転写ベルト15の基材に対しトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が付加され、トナー像を中間転写ベルト15の表面に順次重ね合わせて一次転写が行われる。
【0123】
トナー像が中間転写ベルト15の表面に順次一次転写された後、中間転写ベルト15は移動してトナー像が二次転写部20に搬送される。トナー像が二次転写部20に搬送されると、搬送装置では、トナー像が二次転写部20に搬送されるタイミングに合わせて給紙ロール51が回転し、用紙収容部50から目的とするサイズの用紙Kが供給される。給紙ロール51により供給された用紙Kは、搬送ロール52により搬送され、搬送ガイド53を経て二次転写部20に到達する。この二次転写部20に到達する前に、用紙Kは一旦停止され、トナー像が保持された中間転写ベルト15の移動タイミングに合わせて位置合わせロール(不図示)が回転することで、用紙Kの位置とトナー像の位置との位置合わせがなされる。
【0124】
二次転写部20では、中間転写ベルト15を介して、二次転写ロール22が背面ロール25に加圧される。このとき、タイミングを合わせて搬送された用紙Kは、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。その際に、給電ロール26からトナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)が印加されると、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界が形成される。そして、中間転写ベルト15上に保持された未定着トナー像は、二次転写ロール22と背面ロール25とによって加圧される二次転写部20において、用紙K上に一括して静電転写される。
【0125】
その後、トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離された状態でそのまま搬送され、二次転写ロール22の用紙搬送方向下流側に設けられた搬送ベルト55へと搬送される。搬送ベルト55は、定着装置60における最適な搬送速度に合わせて、用紙Kを定着装置60まで搬送する。定着装置60に搬送された用紙K上の未定着トナー像は、定着装置60によって熱及び圧力で定着処理を受けることで用紙K上に定着される。そして定着画像が形成された用紙Kは、画像形成装置の排出部に設けられた排紙収容部(不図示)に搬送される。
【0126】
一方、用紙Kへの転写が終了した後、中間転写ベルト15上に残った残留トナーは、中間転写ベルト15の回転に伴ってクリーニング部まで搬送され、クリーニング背面ロール34及び中間転写ベルトクリーナ35によって中間転写ベルト15上から除去される。
【0127】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施の形態に限定的に解釈されるものではなく、種々の変形、変更、改良が可能である。
【実施例0128】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0129】
<実施例1>
(基材層の形成)
N-メチル-2-ピロリドン(NMP)と、フィラーAとしてカーボンナノチューブ(CNT(1):昭和電工(株)「VGCF-H」)、大径側のフィラーBとしてSiCフィラー(B11)(信濃電機製練(株)製)と、小径側のフィラーBとしてSiCフィラー(B21)(信濃電機製練(株)製)をポリアミック酸(ユニチカ(株)「TX-HMM」)に混ぜ、高圧分散処理によりフィラー分散液を得た。
次に、フィラー分散液に、ポリアミック酸(ユニチカ(株)「TX-HMM」)を混ぜ、愛工舎製プラネタリーミキサーで撹拌し、ポリアミック酸液を得た。
ただし、各成分の配合量は、各フィラーの量が表1に示す量となる量とした。
【0130】
次に、ポリアミック酸液を円筒状金型上に塗布し、380℃で焼成することで膜厚100μmの無端ベルトを得た。得られた無端ベルトを基材層とした。
【0131】
(弾性層の形成)
次に、得られた基材層の外周面に、液状シリコーンゴム(信越化学工業株式会社製、X34-1053)を塗布し、110℃で15分間加熱し、膜厚400μmの弾性層を得た。
【0132】
(表面層の形成)
次に、PFAを含む、膜厚30μmのフッ素樹脂チューブを、射出成形により成形した。このフッ素樹脂チューブを弾性層の上に被せ、200℃で120分間加熱し、フッ素樹脂チューブからなる表面層を形成した。
【0133】
以上の工程を経て、定着ベルトを得た。
【0134】
<実施例2~14、比較例1~6>
基材層の形成において、表1に従って、フィラーの種類及び量を変更した以外は、実施例1と同様にして、定着ベルトを得た。
【0135】
以下、使用したフィラーの詳細を示す。
-フィラーA-
・CNT(1):カーボンナノチューブ(昭和電工(株)「VGCF-H」)
フィラーB-
・SiCフィラー (B11):信濃電機製練(株)製「SSC-A15」
・Al2O3フィラー(B12):デンカ(株)製「DAM-05」
・Al2O3フィラー(B13):デンカ(株)製「DAW-20」
・Al2O3フィラー(B14):デンカ(株)製「DAM-10(カルボキシ基修飾品)」を
・Al2O3フィラー(B15):デンカ(株)製「DAM-20」
・SiCフィラー (B21):信濃電機製練(株)製「SSC-A01」
・AlNフィラー (B22):(株)MARUWA製「A-01-F」
・Al2O3フィラー(B23):デンカ(株)製「ASFP-20」
・Al2O3フィラー(B23):デンカ(株)製「ASFP-20(アミノ基修飾品)」
・Al2O3フィラー(B25):デンカ(株)製「DAW-01」
【0136】
<定着ベルトの熱伝導率>
各例で得られた定着ベルトから試料を採取した。
そいて、ai-phase(株式会社アイフェイズ製)を用いて温度波分析法により、荷重50gの条件で試料の伝導率を測定した。
【0137】
<定着ベルトの耐久性の評価>
各例で得られた定着ベルトを、熱源が定着ベルトの内側に存在し、定着ベルトを介してトナー像へ熱源からの熱が伝わる定着方式を採用した画像形成装置(富士ゼロックス社製:Versant 3100i Press)の定着装置に装着した。
この画像形成装置を用いて、A4用紙(富士フイルムビジネスイノベーション株式会社製P紙)に対してCin50%のハーフトーン画像を100ppm(1分間当たり100枚)の出力速度(印刷速度)で連続出力した。
印刷10万枚ごとに、定着ベルトを取り出して基材層の亀裂又は破断の有無を確認した。そして、定着ベルトの耐久性は、以下の基準で評価した。
-画像ディフェクト-
A(◎):30万枚時点で、基材層の亀裂又は破断が発生せず。
B(〇):20万枚時点では基材層の亀裂又は破断が発生せず、30万枚時点で基材層の亀裂又は破断が確認された。
C(×):10万枚時点で基材層の亀裂又は破断が確認された。
【0138】
【0139】
【0140】
上記結果から、本実施例の定着ベルトは、比較例の定着ベルトに比べ、基材層(つまり無端ベルト)の耐久性が高く、熱伝導率も高いことがわかる。
【0141】
本実施形態は、下記態様を含む。
(((1)))
樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含み、
前記フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍以上50倍以下である無端ベルト。
(((2)))
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの10倍以上20倍以下である(((1)))に記載の無端ベルト。
(((3)))
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、8μm以上12μm以下である(((1)))又は(((2)))に記載の無端ベルト。
(((4)))
前記フィラーA及び前記フィラーBの合計の含有量が、無端ベルトに対して5体積%以上45体積%以下である(((1)))~(((3)))のいずれか1項に記載の無端ベルト。
(((5)))
前記フィラーBの含有量が、前記フィラーAに対して、20体積%以上30体積%以下である(((1)))~(((4)))のいずれか1項に記載の無端ベルト。
(((6)))
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量が、前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量よりも多い(((1)))~(((5)))のいずれか1項に記載の無端ベルト。
(((7)))
前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量に対する前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量の体積割合(粒径Dminを持つフィラーBの含有量/粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量)が、11%以上45%以下である(((6)))に記載の無端ベルト。
(((8)))
前記2種以上のフィラーBのうち、少なくとも一つのフィラーBは官能基B1を表面に有し、かつ少なくとも一つのフィラーBは前記官能基B1と反応する官能基B2を表面に有する(((1)))~(((7)))のいずれか1項に記載の無端ベルト。
(((9)))
アスペクト比が5以上のフィラーAの長さL1と、前記最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxとの比(長さL1/粒径Dmax)が、0.3以上0.6以下である(((1)))~(((8)))のいずれか1項に記載の無端ベルト。
(((10)))
(((1)))~(((9)))のいずれか1項に記載の無端ベルトからなる基材層と、
前記基材層上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた離型層と、
を有する定着ベルト。
(((11)))
第1回転体と、前記第1回転体の外面に接触して配置される第2回転体と、を備え、
前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が、(((10)))に記載の定着ベルトであり、
トナー像が表面に形成された記録媒体を前記第1回転体と前記第2回転体との接触部に挿通して前記トナー像を定着する定着装置。
(((12)))
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
前記トナー像を前記記録媒体に定着する、(((11)))に記載の定着装置と、
を備える画像形成装置。
【0142】
上記態様の効果は、次の通りである。
(((1)))に係る発明によれば、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含む無端ベルトにおいて、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍未満又は50倍超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((2)))に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの10倍未満又は20倍超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((3)))に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、8μm未満又は12μm超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((4)))に係る発明によれば、フィラーA及びフィラーBの合計の含有量が、無端ベルトに対して5体積%未満又は45体積%超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((5)))に係る発明によれば、フィラーBの含有量が、フィラーAに対して、20体積%未満又は30体積%超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((6)))に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量が、最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量よりも少ない場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((7)))に係る発明によれば、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量に対する前記最も小径側に存在するピークの粒径Dminを持つフィラーBの含有量の体積割合(粒径Dminを持つフィラーBの含有量/粒径Dmaxを持つフィラーBの含有量)が11%未満又は45%超えある場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((8)))に係る発明によれば、2種以上のフィラーBのうち、2種のフィラーBが互いに反応する官能基を有さない場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
(((9)))に係る発明によれば、アスペクト比が5以上のフィラーAの長さL1と、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxとの比(長さL1/粒径Dmax)が、0.3未満又は0.6超えである場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる無端ベルトが提供される。
【0143】
(((10)))に係る発明によれば、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含む無端ベルトにおいて、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍未満又は50倍超えである無端ベルトを基材層として有する場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる定着ベルトが提供される。
(((11)))、(((12)))に係る発明によれば、樹脂と、アスペクト比が5以上のフィラーAと、アスペクト比が5未満の2種以上のフィラーBと、を含む無端ベルトにおいて、フィラーBの体積粒度分布が2つ以上のピークを持ち、2つ以上のピークのうち、最も大径側に存在するピークの粒径Dmaxが、最も小径側に存在するピークの粒径Dminの5倍未満又は50倍超えである無端ベルトを基材層として有する定着装置を備える場合に比べ、耐久性と共に熱伝導性に優れる定着ベルトを備える定着装置、及びその定着装置を備える画像形成装置が提供される。