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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126551
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】フロート式逆流防止装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 24/04 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
F16K24/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034969
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000133733
【氏名又は名称】株式会社テイエルブイ
(72)【発明者】
【氏名】廣谷 昌久
【テーマコード(参考)】
3H055
【Fターム(参考)】
3H055AA04
3H055AA13
3H055AA22
3H055BC05
3H055CC03
3H055CC15
3H055GG22
3H055GG40
3H055JJ02
(57)【要約】
【課題】簡易な構成によって水等の流体の大流量に対応することができ、さらに確実に逆流を防止することができるフロート式逆流防止装置の提供。
【解決手段】
逆流防止弁1は、3つの第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30を備えており、それぞれの弁口18、28、38の鉛直方向における高さL10、L20、L30が異なっている。このため、排水管42に背圧が生じて水が逆流した場合、各々のフロート15、25、35が、順に第1弁ユニット10の弁口18、第2弁ユニット20の弁口28、第3弁ユニット30の弁口38を閉塞し、第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30を順次閉弁する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弁ユニット部を有しており、流体が一次側から二次側に向けて通過するフロート式逆流防止装置であって、
各々の前記弁ユニット部は、
前記流体を通過させる開口部を有し、当該開口部の二次側に弁座面が形成された弁座手段、
前記弁座面の二次側に浮動自在に位置するフロート手段であって、前記流体が前記一次側から前記二次側に流れるとき前記弁座面から退避して前記開口部を開放し、前記流体が前記二次側から前記一次側に逆流するとき前記弁座面に当接して前記開口部を閉塞するフロート手段、
を備えており、
複数の前記弁ユニット部が備える各々の前記弁座面は、前記一次側から前記二次側に向かう方向において異なる位置に配置されている、
ことを特徴とするフロート式逆流防止装置。
【請求項2】
請求項1に係るフロート式逆流防止装置において、
複数の前記弁ユニット部は各々、位置調整手段を備えており、
当該位置調整手段によって前記一次側から前記二次側に向かう方向における前記弁座面の位置を調整することが可能である、
ことを特徴とするフロート式逆流防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願に係るフロート式逆流防止装置は、弁室に逆流した流体によってフロートが浮上して閉弁することにより、流体の逆流を防止するフロート式逆流防止装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
産業プラントや工場等の各種施設の床には作業内容によって水が流れ落ちることがあり、このような水を除去するために床面に排水口が設けられていることが多い。この排水口は排水管に接続されており、水を一次側から二次側に向けて流して排水するが、二次側圧力が一次側圧力よりも高くなる背圧が生じた場合、水が逆流して排水口から水が溢れ出してしまう。
【0003】
このような逆流を防止するために、排水口の直下に逆流防止装置として逆流防止弁が設けられている。逆流防止弁の構造としては種々の方式があり、この中でフロート式の逆流防止弁が広く知られている。フロート式逆流防止弁は、流路に連通する弁口が形成された弁座が弁室に設けられていると共に、弁室内で浮動可能なフロートを内蔵している。そして、弁室に逆流した水等の流体の水位の上昇に従いフロートが浮上し、弁座に着座して弁口を閉塞して閉弁する。これによって、流体の逆流による漏れ出しが防止される。
【0004】
このようなフロート式逆流防止弁としては、まず後記特許文献1に開示されている逆流防止型ファンネルがある。この逆流防止型ファンネルは、ドレン配管7の末端に外枠1が固定されており、外枠1内には各々、中心部に貫通穴が形成された上部仕切版2と下部仕切版4が上下に設けられている。上部仕切版2と下部仕切版4との間にはフロート6を備えたフロートガイド5が固定されている。このフロートガイド5は金網状であり、フロートガイド5に沿ってフロート6は上下方向に浮動自在である。
【0005】
ドレンの正常流は、外枠1の上面に設けられた目皿3を透過して外枠1内に流れ込み、上部仕切版2及び下部仕切版4の各貫通穴を通過してドレン配管7に流出する。これに対し、ドレンの逆流が発生した場合、ドレン配管7から逆流したドレンは上部仕切版2と下部仕切版4との間に徐々に溜まる。そして、ドレンの逆流が続いた場合、浮上したフロート6が上部仕切版2の貫通穴を塞いで閉弁し、ドレンが目皿3から流れ出すことを防止する。
【0006】
次に、フロート式逆流防止弁としては、後記特許文献2に開示されているものがある。このフロート式逆流防止弁は、排水管3内に複数の弁ユニット20A、20Bが水平方向に並列に配置されており、弁ユニット20A、20Bはそれぞれフロート9A、9Bを備えている(図1)。そして、逆流時にはフロート9A、9Bが浮上して同時に環状弁座6A、6Bを閉栓して逆流防止する。このように、複数の弁ユニット20A、20Bを備えることによって、単一の弁ユニットとフロートを設ける場合に比べ、フロート9A、9Bのサイズを小さくすることが可能であり、フロートの配置によって通常時の排水の流れが妨げられることを抑制することができる。
【0007】
また、この特許文献2には、各弁ユニットが備えるフロートの鉛直方向における配置を異なる位置にずらしたフロート式逆流防止弁が開示されている(図4ないし図8)。各々のフロートの配置を異なる位置にずらせて配置することによって、通常時に排水されるドレンがフロートの横を通過し易くなり、排水の流れが妨げられることをより確実に抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】実開昭58-50175号公報
【特許文献2】特開2015-206242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前述の特許文献1に開示された構成においては、大流量の排水に対応しようとした場合、上部仕切版2の貫通穴やフロート6を大きく設定する必要があり、装置の大型化を招いてしまう虞がある。
【0010】
これに対して、前述の特許文献2に開示された構成においては、複数の弁ユニット20A、20Bを水平方向に並列に配置しており、単一の弁ユニットを設ける場合に比べてフロート9A、9Bのサイズを小さくすることが可能であるため、大流量の排水に対応しつつ装置の大型化を回避することができる。
【0011】
しかし、この特許文献2に開示された構成のフロート式逆流防止弁は、逆流時にフロート9A、9Bが浮上して同時に環状弁座6A、6Bを閉栓して逆流を防止する構成を有しているが、フロートの製品の個体差によってフロート9A、9Bの重量は微妙に異なることがあり、この場合、完全に同時に環状弁座6A、6Bを閉栓することは困難である。
【0012】
例えば、複数のフロート9A、9Bによる閉栓のタイミングに僅かなずれが生じた場合、先行するフロートの閉栓によって、僅かに遅れて浮上するフロート周辺に逆流する水が集中することになる。そして、遅れて浮上するフロートと環状弁座との間に生じた僅かな隙間を介して、環状弁座6Aまたは6Bの上部側に水が溢れてしまう虞がある。特に、逆流する水の流速や圧力が大きい場合、フロートが浮上して完全に閉弁することが妨げられ、この隙間から水が逆流し続けてしまう虞もある。
【0013】
そこで、本願に係るフロート式逆流防止装置は、簡易な構成によって水等の流体の大流量に対応することができ、さらに逆流を確実に防止することができるフロート式逆流防止装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願に係るフロート式逆流防止装置は、
複数の弁ユニット部を有しており、流体が一次側から二次側に向けて通過するフロート式逆流防止装置であって、
各々の前記弁ユニット部は、
前記流体を通過させる開口部を有し、当該開口部の二次側に弁座面が形成された弁座手段、
前記弁座面の二次側に浮動自在に位置するフロート手段であって、前記流体が前記一次側から前記二次側に流れるとき前記弁座面から退避して前記開口部を開放し、前記流体が前記二次側から前記一次側に逆流するとき前記弁座面に当接して前記開口部を閉塞するフロート手段、
を備えており、
複数の前記弁ユニット部が備える各々の前記弁座面は、前記一次側から前記二次側に向かう方向において異なる位置に配置されている、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願に係るフロート式逆流防止装置においては、複数の弁ユニット部を有している。このため、単一の弁ユニット部を用いる場合に比べて、装置の大型化を回避しつつ多量の流体を通過させることが可能である。したがって、簡易な構成によって水等の流体の大流量に対応することができる。
【0016】
また、複数の弁ユニット部が備える各々の弁座面は、一次側から二次側に向かう方向において異なる位置に配置されている。このため、流体が二次側から一次側に逆流するとき、二次側に位置する弁ユニット部のうち、一次側から遠い位置にある弁ユニット部から順にフロート手段が開口部を閉塞する。これにより、各弁ユニット部の閉弁間隔を大きく異ならせることができ、二次側から一次側に水が溢れることを防止することができる。
【0017】
さらに、最も遠い位置にある弁ユニット部が閉弁した時、その他の弁ユニット部は未だ開弁状態であるため、開弁状態にある弁ユニット部のフロート手段と弁座面との間に比較的大きな隙間を確保することができる。このため、逆流する水の流速や圧力が大きい場合であっても、遅れて浮上するフロートと環状弁座との間の隙間を大きくして、流速や圧力の影響を受け難くすることができ、確実に逆流を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願に係るフロート式逆流防止装置の第1の実施形態である逆流防止弁1を示す平面図である。
図2図1に示すB―A―Cの側面断面図であり、II-II方向の矢視断面図である。
図3図2に示す環状弁座16近傍の一部拡大図である。
図4図1に示すC―A―Dの側面断面図であり、IV-IV方向の矢視断面図である。
図5】本願に係るフロート式逆流防止装置の第2の実施形態である逆流防止弁51を示す平面図である。
図6図5に示すB―A―Cの側面断面図であり、VI-VI方向の矢視断面図である。
図7図5に示すC―A―Dの側面断面図であり、VII-VII方向の矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態における用語説明]
実施形態において示す主な用語は、それぞれ本願に係るフロート式逆流防止装置の下記の要素に対応している。
逆流防止弁1、51・・・フロート式逆流防止装置
第1弁ユニット10、60、第2弁ユニット20、70、第3弁ユニット30、80・・・弁ユニット部
フロート15、25、35、65、75、85・・・フロート手段
環状弁座16、26、36、66、76、86・・・弁座手段
環状弁座16、26、36、66、76、86の各下端面・・・弁座面
弁口18、28、38、68、78、88・・・開口部
ネジ部61b、71b、81b・・・位置調整手段
水・・・流体
【0020】
[第1の実施形態]
本願に係るフロート式逆流防止装置の第1の実施形態として逆流防止弁1を掲げる。逆流防止弁1は、例えば排水管の流入口の直下に設置される装置であり、通常時は開弁して排水を行うが、逆流が生じた場合、閉弁して流入口から水が溢れ出すことを防止する。
【0021】
(逆流防止弁1の構成の説明)
まず、逆流防止弁1の構成を図1ないし図4に基づいて説明する。図1は逆流防止弁1が床面40に設置された状態を示す平面図である。そして、図2図1に示すB―A―Cの側面断面図であってII-II方向の矢視断面図、図4図1に示すC―A―Dの側面断面図であってIV-IV方向の矢視断面図である。
【0022】
床面40には円柱形状の取付凹部41が形成されている。取付凹部41の上部には床段部41aが形成されており、この床段部41aに目皿(図示せず)が嵌め込まれて取り付けられる。取付凹部41の底面部には、排水管42が埋設されている。この排水管42は所定の排水場所に向かって延びており、床面40から取付凹部41に流れ込んだ水を導いて排水する。なお、排水の流れに従い、床面40側が一次側、排水場所側が二次側である。
【0023】
取付凹部41の底面部には、排水管42の入口部分を覆って円盤状の取付プレート2が設けられている。取付プレート2は4つの固定ボルト3によって取付凹部41の底面部に固定されている。取付プレート2には3箇所に貫通孔が形成されており、この貫通孔に3つの弁ユニット(第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30)が貫通した状態で設けられている。3つの弁ユニットは設置の中心である点A(図1)を中心に周方向に等間隔で近接して配置されている。
【0024】
第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30は、それぞれ本体11、21、31を備えており、本体11、21、31は各々8つのボルト12、22、32で取付プレート2に固定されている。本体11、21、31の中心には一次側から二次側に向かう方向に沿って円柱形状の本体貫通路11a、21a、31aが形成されており、本体11、21、31の底面には環状弁座16、26、36が固定されている。
【0025】
図3は第1弁ユニット10の環状弁座16近傍の一部拡大図である。環状弁座16は、弁座押さえ16aと本体11との間に取り付けられており、ボルト16bによって固定されている。そして、環状弁座16の中央開口部が弁口18として機能する。
【0026】
第2弁ユニット20の環状弁座26、及び第3弁ユニット30の環状弁座36も、図3に示す環状弁座16と同一の構成を有している。すなわち、環状弁座26、36も弁座押さえと本体21、31との間に取り付けられており、ボルトによって固定されている。そして、環状弁座26、36の中央開口部が弁口28、38として機能する。
【0027】
なお、第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30の各本体貫通路11a、11b、11cの軸線、及び弁口18、28、38の軸線は、中心線L19、L29、L39に沿って一致している。
【0028】
本実施形態においては、本体11、21、31の一次側から二次側に向かう鉛直方向の厚みは異なっており、本体31より本体21が厚く、本体21より本体11が厚く形成されている。この厚さの違いに従って、弁口18、28、38の鉛直方向における高さL10、L20、L30も異なり、高さL30よりも高さL20が下方に位置し、高さL20よりも高さL10が下方に位置する。
【0029】
第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30の環状弁座16、26、36の下方にはそれぞれフロート15、25、35が浮動自在に配置されている。このフロート15、25、35は、本体11、21、31の底面に螺入して取り付けられている各々6本のガイド棒13、23、33の内側に位置し、フロート15、25、35の軸線は中心線L19、L29、L39に沿って一致している。中心線L19、L29、L39を挟んで対向するガイド棒13、23、33の間隔はフロート15、25、35の直径よりも僅かに大きく設定されているため、フロート15、25、35は浮動自在である。
【0030】
6本のガイド棒13、23、33の下方先端には、ナットの螺入によってそれぞれ底板14、24、34が固定されている。そして、通常時においては、フロート15、25、35は自重によって底板14、24、34に載った状態に位置している。
【0031】
(逆流防止弁1の動作の説明)
続いて逆流防止弁1の動作を説明する。前述のように、通常時においてはフロート15、25、35は自重によって底板14、24、34に乗った状態に位置し、第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30はすべて開弁している。
【0032】
そして、床面40に流れ落ちた水は取付凹部41に流入して溜まり、第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30の本体貫通路11a、21a、31aを通過して弁口18、28、38から排水管42に矢印91方向に流下する。こうして、床面40上の水は排水管42から排水される。逆流防止弁1が3つの第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30を備えて排水するため、大流量の排水に対応しつつ装置の大型化を回避することができる。
【0033】
ところで、配管系統においては、二次側に背圧が生じて逆流が生じることがある。排水管42に逆流が生じた場合、排水管42内の水位が矢印92方向に徐々に上昇する。この水位の上昇に従ってフロート15、25、35は同時に矢印92方向に浮上する。なお、逆流する水位に従って浮上するフロート15、25、35は同一レベルに並んで矢印92方向に上昇することになる。
【0034】
そして、フロート15、25、35が、弁口18、28、38に当接することによって第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30は閉弁するに至るが、弁口18、28、38の鉛直方向における高さL10、L20、L30が異なるレベルに設定されているため、第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30は時間的間隔をおいて順次閉弁する。
【0035】
すなわち、逆流が生じた場合、まず弁口が最も下方の高さL10に位置する弁口18にフロート15が当接し、第1弁ユニット10が最初に閉弁する。この時点では、フロート25、35は弁口28、38に当接しておらず、フロート25、35と弁口28、38との間には比較的、十分な間隔が確保されている。
【0036】
第1弁ユニット10が閉弁した後、引き続き逆流によって排水管42内の水位は上昇し、弁口が次の高さL20に位置する弁口28にフロート25が当接し、第2弁ユニット20が閉弁する。この時点では、第1弁ユニット10及び第2弁ユニット20は閉弁しているものの、フロート35は弁口38に当接しておらず、フロート35と弁口38との間には比較的、十分な間隔が確保されている。
【0037】
第1弁ユニット10及び第2弁ユニット20が閉弁した後、引き続き逆流によって排水管42内の水位は上昇し、弁口が最も上部の高さL30に位置する弁口38にフロート35が当接し、第3弁ユニット30が閉弁する。こうしてすべての第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30が閉弁し、逆流防止弁1からの逆流を防止する。
【0038】
以上のように、逆流防止弁1は、3つの第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30を備えており、それぞれの弁口18、28、38の鉛直方向における高さL10、L20、L30が異なっている。このため、排水管42に背圧が生じて水が逆流した場合、各々のフロート15、25、35が、順に第1弁ユニット10の弁口18、第2弁ユニット20の弁口28、第3弁ユニット30の弁口38を閉塞し、第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30を順次閉弁する。したがって、各フロートの重量に個体差があっても、確実に逆流を防止することができる。また、逆流する水の流速や圧力が大きい場合であっても、フロートの浮上を妨げられ難くすることができる。
【0039】
なお、排水管42の背圧が解消すると排水管42内の水は矢印91方向に流下して排水され、フロート15、25、35は自重によって矢印91方向に下降し、底板14、24、34に乗って第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30はすべて開弁状態(図2及び図4)に復位する。そして、通常時の動作に従って排水が行われる。
【0040】
[第2の実施形態]
次に、本願に係るフロート式逆流防止装置の第2の実施形態である逆流防止弁51を図5ないし図7に基づいて説明する。図5は逆流防止弁51を示す平面図である。そして、図6図5に示すB―A―Cの側面断面図であってVI-VI方向の矢視断面図、図7図5に示すC―A―Dの側面断面図であってVII-VII方向の矢視断面図である。なお、図において前述の第1の実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0041】
本実施形態の逆流防止弁51は、前述の第1の実施形態における第1弁ユニット10、第2弁ユニット20及び第3弁ユニット30に代えて第1弁ユニット60、第2弁ユニット70及び第3弁ユニット80を備えている。床面40の取付凹部41の底面部に固定された取付プレート9には3箇所に貫通孔が形成されており、この貫通孔に対応して3つの調整用ナット62、72、82が設けられている。調整用ナット62、72、82は、溶接によって取付プレート9に固定されている。
【0042】
一方、第1弁ユニット60、第2弁ユニット70及び第3弁ユニット80は、本体61、71、81を備えている。そして、本体61、71、81には各々、本体貫通路61a、71a、81aが形成され、底面には弁口68、78、88を有する環状弁座66、76、86が固定されている。本体貫通路61a、71a、81a及び弁口68、78、88の軸線は、中心線L69、L79、L89に沿って一致している。
【0043】
さらに、第1弁ユニット60、第2弁ユニット70及び第3弁ユニット80の本体61、71、81の外周にはネジ部61b、71b、81bが形成されており、このネジ部61b、71b、81bが調整用ナット62、72、82に螺着している。例えば、本体61、71、81を締め込む方向に回転操作すれば、第1弁ユニット60、第2弁ユニット70及び第3弁ユニット80はそれぞれ取付位置が矢印91方向に下がり、本体61、71、81を緩める方向に回転操作すれば、第1弁ユニット60、第2弁ユニット70及び第3弁ユニット80はそれぞれ取付位置が矢印92方向に上がる。
【0044】
すなわち、第1の実施形態に係る逆流防止弁1では、本体11、21、31の鉛直方向の厚みを相違させることによって、弁口18、28、38の高さL10、L20、L30に違いを生じさせたが、本実施形態においてはネジ部61b、71b、81bと調整用ナット62、72、82との螺合具合を調整することによって弁口68、78、88の高さL60、L70、L80に違いを生じさせることが可能となる。このため、第1弁ユニット60、第2弁ユニット70及び第3弁ユニット80は、本体61、71、81の厚さも含め同じ形状、構造の機器とすることができる。すわなち、機器の部品を共通化することができる。
【0045】
また、本体61、71、81を回転操作することによって、弁口68、78、88の高さL60、L70、L80を自在に調整して設定することができるため、逆流防止弁51の設置状況に応じて高さL60、L70、L80を任意に設定することが可能である。これによって、設置状況に対応してより確実に水の逆流を防止することができる。
【0046】
環状弁座66、76、86の下方にはそれぞれフロート65、75、85が浮動自在に配置されいる。各フロート65、75、85は、6本のガイド棒63、73、83の内側に位置し、フロート65、75、85の軸線は、中心線L69、L79、L89に沿って一致している。通常時においては、フロート65、75、85はガイド棒63、73、83の先端に固定された底板64、74、84に載った状態に位置する。なお、逆流防止弁51の動作は、第1の実施形態における逆流防止弁1と同様である。
【0047】
[その他の実施形態]
前述の実施形態においては、フロート式逆流防止装置、弁ユニット部、流体、開口部、弁座面、弁座手段、フロート手段及び位置調整手段のそれぞれについて例を掲げたが、これらは単なる例示であり、各々について異なる構成を採用することもできる。
【0048】
たとえば、前述の実施形態では、3つの弁ユニットを例示したが、2つ又は4つ以上設けることもできる。また、弁ユニット部として第1弁ユニット10、60、第2弁ユニット20、70及び第3弁ユニット30、80を例示したが、開口部(弁口18、28、38、68、78、88等)を有して弁座面が形成された弁座手段(環状弁座16、26、36、66、76、86等)、及びフロート手段(フロート15、25、35、65、75、85等)を備えており、各々の弁座面が一次側から二次側に向かう方向において異なる位置に配置されているものであれば他の構成を用いることもできる。
【0049】
また、前述の実施形態においては、弁座手段として環状弁座16、26、36、66、76、86を例示したが、流体を通過させる開口部(弁口18、28、38、68、78、88等)を有し、弁座面が形成されたものであれば、他の形状や構造のものを用いてもよい。
【0050】
また、前述の実施形態においては、フロート手段としてフロート15、25、35、65、75、85を例示したが、弁座手段(環状弁座16、26、36、66、76、86等)の二次側に浮動自在に位置するものであれば、他の形状や構造のものを用いてもよい。
【0051】
また、前述の実施形態においては、位置調整手段として調整用ナット62、72,82に螺合するネジ部61b、71b、81bを例示したが、一次側から二次側に向かう方向における弁ユニット(第1弁ユニット10、60、第2弁ユニット20、70及び第3弁ユニット30、80等)の位置を調整することが可能である限り他の構成を採用することができる。たとえば、弾性リング等の弾性を用いて固定する他の固定手段を採用することもできる。
【符号の説明】
【0052】
1、51:逆流防止弁 10、60:第1弁ユニット
15、25、35、65、75、85:フロート 16、26、36、66、76、86:環状弁座
18、28、38、68、78、88:弁口 20、70:第2弁ユニット
30、80:第3弁ユニット 61b、71b、81b:ネジ部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7