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特開2024-126563環境情報を管理するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126563
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】環境情報を管理するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023034984
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 芳広
(72)【発明者】
【氏名】天野 雅志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 利光
(72)【発明者】
【氏名】梅北 泰輔
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA00
5L049AA00
(57)【要約】
【課題】サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じたCO排出量を精度よく取得することが可能な技術を提供する。
【解決手段】環境情報管理システムは、サプライチェーンを構成している企業群の環境情報を管理するシステムであって、少なくともプロセッサおよび記憶装置を有する企業間情報管理システムと、プロセッサおよび記憶装置をそれぞれ有する複数の企業内システムとを備える。企業間情報管理システムは、サプライチェーンにおける取引対象品目に関する環境情報を分析する分析部を有する。複数の企業内システムの各々は、当該取引対象品目の調達情報を送受信する調達情報送受信部を有する。分析部は、調達情報送受信部で受信した調達情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライチェーンを構成する企業群の環境情報を管理する環境情報管理システムであって、
プロセッサおよび記憶装置を有する企業間情報管理システムと、
プロセッサおよび記憶装置をそれぞれ有する複数の企業内システムと
を備え、
前記企業間情報管理システムは、
前記サプライチェーンにおける取引対象品目に関する環境情報を分析する分析部を有し、
前記複数の企業内システムの各々は、
当該取引対象品目の調達情報を送受信する調達情報送受信部を有し、
前記分析部は、前記調達情報送受信部で受信した調達情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する
環境情報管理システム。
【請求項2】
前記環境情報は、CO排出量を含む情報である、請求項1に記載の環境情報管理システム。
【請求項3】
前記分析部は、当該取引対象品目の納品に際して当該取引対象品目に関する環境情報を算定する、請求項1に記載の環境情報管理システム。
【請求項4】
前記企業間情報管理システムは、
取引対象品目の調達に関する情報である調達情報を管理する調達情報管理部と、
取引対象品目に関する環境情報を管理する環境情報管理部と
をさらに有し、
前記複数の企業内システムの各々は、
環境情報を算定する環境情報算定部と、
環境情報の問合せを行う環境情報問合部と、
環境情報を登録する環境情報登録部と
をさらに有し、
前記調達情報送受信部で受信した調達情報に基づいて、取引対象品目に関する環境情報を登録する際に、
前記環境情報問合部は、前記環境情報管理部から当該取引対象品目に含まれる部品等に関する環境情報を取得し、
前記分析部は、取得した環境情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する、
請求項1に記載の環境情報管理システム。
【請求項5】
前記企業間情報管理システムは、
取引対象品目の調達に関する情報である調達情報を管理する調達情報管理部と、
取引対象品目に関する環境情報を管理する環境情報管理部と
をさらに有し、
前記複数の企業内システムの各々は、
環境情報を算定する環境情報算定部と、
環境情報を登録する環境情報登録部と
をさらに有し、
前記分析部は、
前記環境情報登録部が、前記調達情報送受信部で受信した調達情報に基づいて、取引対象品目に関する環境情報を登録する際に、登録された取引対象品目を構成する部品等に関する環境情報を算定し、当該登録を許可するか否かを判断する、
請求項1に記載の環境情報管理システム。
【請求項6】
サプライチェーンを構成する企業群の環境情報を管理する環境情報管理方法であって、
プロセッサおよび記憶装置を有する企業間情報管理システムと、
プロセッサおよび記憶装置をそれぞれ有する複数の企業内システムと
を備え、
前記企業間情報管理システムは、
前記サプライチェーンにおける取引対象品目に関する環境情報を分析する分析部を有し、
前記複数の企業内システムの各々は、
当該取引対象品目の調達情報を送受信する調達情報送受信部を有し、
前記分析部は、前記調達情報送受信部で受信した調達情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する
環境情報管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サプライチェーン(Supply Chain)において環境情報を適切に管理するためのコンピュータ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日の産業界において、多くの企業を悩ませている主要な経営課題の一つが、サプライチェーン(Supply Chain)またはバリューチェーン(Value Chain)とよばれる、商流の上流から下流まで脈々と連なる原材料、部品、半製品および製品(以下、「部品等」と総称する)の供給網(以下、「サプライチェーン」と総称する)の適切な管理である。こうした背景のもとで、近年、製造業を中心に、調達、生産、物流、販売等のプロセスに係る情報を一元的に管理して全体最適を図るサプライチェーン・マネジメント(Supply Chain Management; SCM)とよばれる経営管理手法への注目度が増している。
【0003】
サプライチェーン・マネジメントの一環として、サプライチェーンにおける各種環境情報を効率よく収集するための各種技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-018458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今日、主に地球環境への配慮から、サプライチェーンを構成している企業の多くが、企業活動に伴って排出されるCOの量(以下、「CO排出量」とも称する)の低減に取り組んでいる。その際に欠かせないのが、各企業の企業活動に起因するCO排出量を正確に把握することである。
【0006】
この点について、例えば、サプライチェーンを構成している各企業が、注文内容に応じたCO排出量を正確に把握しようとしても、既存の技術によっては、当該サプライチェーンにおいて自身よりもさらに上流側に存在する他の企業が当該注文内容に関して排出したCOの量をも考慮して正確にその値を把握することが難しく、新規な技術の開発が待たれていた。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じたCO排出量を精度よく取得することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による環境情報管理システムは、サプライチェーンを構成している企業群の環境情報を管理するシステムであって、少なくともプロセッサおよび記憶装置を有する企業間情報管理システムと、プロセッサおよび記憶装置をそれぞれ有する複数の企業内システムとを備える。企業間情報管理システムは、サプライチェーンにおける取引対象品目に関する環境情報を分析する分析部を有する。複数の企業内システムの各々は、当該取引対象品目の調達情報を送受信する調達情報送受信部を有する。分析部は、調達情報送受信部で受信した調達情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する。
【0009】
その他、本願が開示する課題、およびその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、および図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じたCO排出量を精度よく取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る環境情報管理システムの構成例を示す図である。
図2】環境情報管理部の構成の一例を示す図である。
図3】CO排出量の取得要領の一例を模式的に示す図である。
図4】環境情報管理システムによる環境情報の管理要領の概略を示す図である。
図5】環境情報管理システムによるネットワーク分析の実施要領の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下の説明では、「インターフェース装置」は、一つ以上のインターフェースデバイスでよい。当該一つ以上のインターフェースデバイスは、下記のうちの少なくとも一つでよい。
・一つ以上のI/O(Input/Output)インターフェースデバイス。I/O(Input/Output)インターフェースデバイスは、I/Oデバイスと遠隔の表示用計算機とのうちの少なくとも一つに対するインターフェースデバイスである。表示用計算機に対するI/Oインターフェースデバイスは、通信インターフェースデバイスでよい。少なくとも一つのI/Oデバイスは、ユーザーインターフェースデバイス、例えば、キーボードおよびポインティングデバイスのような入力デバイスと、表示デバイスのような出力デバイスとのうちのいずれでもよい。
・一つ以上の通信インターフェースデバイス。一つ以上の通信インターフェースデバイスは、一つ以上の同種の通信インターフェースデバイス(例えば一つ以上のNIC(Network Interface Card))であってもよいし二つ以上の異種の通信インターフェースデバイス(例えばNICとHBA(Host Bus Adapter))であってもよい。
【0013】
また、以下の説明では、「メモリ」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上のメモリデバイスであり、典型的には主記憶デバイスでよい。メモリにおける少なくとも一つのメモリデバイスは、揮発性メモリデバイスであってもよいし不揮発性メモリデバイスであってもよい。
【0014】
また、以下の説明では、「永続記憶装置」は、一つ以上の記憶デバイスの一例である一つ以上の永続記憶デバイスでよい。永続記憶デバイスは、典型的には、不揮発性の記憶デバイス(例えば補助記憶デバイス)でよく、具体的には、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、NVME(Non-Volatile Memory Express)ドライブ、または、SCM(Storage Class Memory)でよい。
【0015】
また、以下の説明では、「記憶装置」は、メモリと永続記憶装置の少なくともメモリでよい。
【0016】
また、以下の説明では、「プロセッサ」は、一つ以上のプロセッサデバイスでよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、典型的には、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサデバイスでよいが、GPU(Graphics Processing Unit)のような他種のプロセッサデバイスでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、シングルコアでもよいしマルチコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、プロセッサコアでもよい。少なくとも一つのプロセッサデバイスは、処理の一部または全部を行うハードウェア記述言語によりゲートアレイの集合体である回路(例えばFPGA(Field-Programmable Gate Array)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))といった広義のプロセッサデバイスでもよい。
【0017】
また、以下の説明では、「yyy部」の表現にて機能を説明することがあるが、機能は、一つ以上のコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されることで実現されてもよいし、一つ以上のハードウェア回路(例えばFPGAまたはASIC)によって実現されてもよいし、それらの組合せによって実現されてもよい。プログラムがプロセッサによって実行されることで機能が実現される場合、定められた処理が、適宜に記憶装置および/またはインターフェース装置等を用いながら行われるため、機能はプロセッサの少なくとも一部とされてもよい。機能を主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布計算機または計算機が読み取り可能な記録媒体(例えば非一時的な記録媒体)であってもよい。各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0018】
また、以下の説明では、「プログラム」を主語として処理を説明する場合があるが、プログラムを主語として説明された処理は、プロセッサあるいはそのプロセッサを有する装置が行う処理としてもよい。また、二つ以上のプログラムが一つのプログラムとして実現されてもよいし、一つのプログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0019】
また、以下の説明では、「xxxテーブル」といった表現にて、入力に対して出力が得られる情報を説明することがあるが、当該情報は、どのような構造のテーブルでもよいし、入力に対する出力を発生するニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズムやランダムフォレストに代表されるような学習モデルでもよい。従って、「xxxテーブル」を「xxx情報」と言うことができる。また、以下の説明において、各テーブルの構成は一例であり、一つのテーブルは、二つ以上のテーブルに分割されてもよいし、二つ以上のテーブルの全部または一部が一つのテーブルであってもよい。
【0020】
また、以下の説明では、「環境情報管理システム」は、一つ以上の物理的な計算機で構成されたシステムでもよいし、物理的な計算リソース群(例えば、クラウド基盤)上に実現されたシステム(例えば、クラウドコンピューティングシステム)でもよい。環境情報管理システムが表示用情報を「表示する」ことは、計算機が有する表示デバイスに表示用情報を表示することであってもよいし、計算機が表示用計算機に表示用情報を送信することであってもよい(後者の場合は表示用計算機によって表示用情報が表示される)。
【0021】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態を詳細に説明する。
【0022】
なお、以下の説明においては、同一の、または類似する構成に共通の符号を付すことにより、重複した説明を省略することがある。
【0023】
また、同一あるいは同様の機能を有する要素が複数存在する場合に、当該複数の要素を区別するために、同一の符号に異なる添字を付して説明することがある。他方、当該複数の要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明することがある。
【0024】
<用語の定義等>
以下の本実施形態の説明は、サプライチェーンにおいて、「品目A」という種類の部品をセットメーカに供給するサプライヤが、受注した当該部品を、発注したセットメーカに納品する場合を例に行う。
【0025】
この場合において、「サプライヤ」とは、製造した部品等をセットメーカに供給する企業等の事業主体を表す。本実施形態に係る環境情報管理システムのユーザは、このサプライヤにおける受発注業務の担当者である。
【0026】
他方、「セットメーカ」とは、サプライヤから購入した部品等を用いて他の製品等を製造する企業等の事業主体を表す。すなわち、セットメーカは、サプライヤの取引先である。より具体的には、セットメーカは、サプライヤが製造した部品等の受発注における発注元であり、サプライヤが受注した部品等の納入先である。
【0027】
また、以下の本実施形態の説明では、サプライチェーンにおいて使用される各種の電子データ交換システムを、「EDI(Electronic Data Interchange)」と総称する。このうち、環境情報管理システムを使用するサプライヤが使用するEDIを、「当該EDI」と称する。また、当該サプライヤを構成要素として含むサプライチェーンにおいて使用されているEDIのうち、当該EDI以外の種類のEDIを、「他のEDI」と称する。さらに、当該サプライチェーンにおいて使用されている全てのEDIを、「全EDI」と称する。
【0028】
また、以下の本実施形態の説明において、CO排出量の「原単位」とは、取引の対象となる部品等の品目ごとの一円単位のCO排出量を表す。なお、本実施形態に係る環境情報管理システムは、他に、例えば、取引の対象となる部品等の品目ごとの一個単位や基準となる質量の単位、例えば一キログラム(kg)単位のCO排出量を、CO排出量の原単位として設定することも可能である。このように、CO排出量の原単位を規定する際に基準とする単位は、適宜に変更されてよい。
【0029】
なお、以下においては、サプライチェーンにおける各取引を定量的に説明する際、「取引量」、「生産量」および「販売量」がそれぞれ等しいものとして、その量を基準に行う。これは、「販売金額」等の金額はさまざまな要因によって変動するが、量は変動しないためである。
【0030】
また、以下の本実施形態の説明では、いわゆる部品表(構成部品表)を、例えば「製品毎環境BOM」や「環境BOM」、「製造BOM」といったように、「BOM(Bill of Materials)」と省略して表記する場合がある。
【0031】
また、同様に、以下の本実施形態の説明では、ライフサイクルアセスメント(Life Cycle Assessment; LCA)やエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System; EMS)、製造実行システム(Manufacturing Execution System; MES)、企業資源計画(Enterprise Resource Planning; ERP)等といった周知技術に係る表記を適宜に省略する場合がある。
【0032】
<環境情報管理システム100の構成例>
まず、本実施形態に係る環境情報管理システム100の構成例について、図1を参照して説明する。図1は、環境情報管理システム100のシステム全体の構成の一例を概略的に示した図である。
【0033】
(システム全体の構成例)
本実施形態の環境情報管理システム100は、当該サプライチェーンにおいて排出されたCOの量を主要な情報として含む環境情報を、仮想空間等のサイバー空間上で管理したり、当該サプライチェーンを構成している各企業が、注文内容に応じたCO排出量を正確に把握したりすることを可能とするコンピュータシステムであり、主として、後述の各構成を備える二種類のコンピュータ装置またはサーバ装置によって実現される。
【0034】
すなわち、この環境情報管理システム100は、図1に示したように、サプライチェーンを構成しているサプライヤや完成品メーカ(セットメーカ)等といった各企業の企業内システム20a、20b、20c・・・20n(以下、まとめて言うときや特に区別しないときには「企業内システム20」と総称する)と、各企業内システム20とインターネットや専用線等の通信ネットワーク50を介して相互にデータ通信可能に接続された企業間情報管理システム10とを含んで構成される。
【0035】
企業間情報管理システム10は、サプライチェーンを構成している各企業同士の垣根を越えて、少なくともCO排出量を含む当該サプライチェーン全体の環境情報を管理することが可能なコンピュータシステムであり、後述の各構成を備えるコンピュータ装置またはサーバ装置によって実現される。
【0036】
また、企業間情報管理システム10に接続される各企業内システム20は、後述の各構成を備えるコンピュータ装置である。各企業内システム20には、それぞれ企業IDとよばれる一意のIDがあらかじめ付与されている。
【0037】
なお、企業間情報管理システム10および各企業内システム20と、通信ネットワーク50とは、周知の通信用機器(不図示)を介して有線で接続されるが、無線で接続されてもよい。
【0038】
さらに、環境情報管理システム100を構成する、企業間情報管理システム10や各企業内システム20に対して、環境情報管理システム100のユーザが保有するラップトップPCやタブレット、スマートフォン等のユーザ端末(不図示)や、サプライチェーンにおいて製品等の受発注に使用される周知の受発注システム(不図示)等のさらに別の装置や端末が、インターネットや専用線等の適宜な通信ネットワーク50を介して相互にデータ通信可能に接続されていてもよい。環境情報管理システム100は、この受発注システムから、例えば、発注者(セットメーカのバイヤ)に対する取引実績に係る情報、品目別のCO排出量に係る情報、注文に対して引き当てた品目の製番または製造ロット番号を含む納品情報等を取得する。なお、環境情報管理システム100のユーザの一例としては、企業間情報管理システム10の管理者や、各企業内システム20の管理者、各企業の担当者等が挙げられる。ユーザ端末と通信ネットワーク50とは無線で接続されるが、有線で接続されてもよい。ユーザ端末を保有する環境情報管理システム100の各ユーザには、それぞれユーザIDとよばれる一意のIDがあらかじめ付与されている。
【0039】
なお、以下の本実施形態の説明では、企業間情報管理システム10に対して接続される各企業内システム20やユーザ端末等の他の装置・端末や、各企業内システム20に対して接続される企業間情報管理システム10やユーザ端末等の他の装置・端末を、単に「他の装置」や「他の端末」と省略して表記する場合がある。
【0040】
なお、本実施形態では、図1に示したように、企業間情報管理システム10および各企業内システム20がそれぞれ一つの装置からなるものとして説明した。しかしながら、例えば、企業間情報管理システム10および各企業内システム20は、それぞれ複数の装置から構成されていてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、図1に示したように、企業間情報管理システム10が、各企業内システム20と通信ネットワーク50を介して相互に接続されているものとして説明した。しかしながら、例えば、企業間情報管理システムは、企業内システム20を含むシステムとして構成されていてもよいし、企業内システムは、企業間情報管理システム10を含むシステムとして構成されていてもよい。また、例えば、企業間情報管理システムは、企業内システム20が担う一部または全部の機能を含む形で構成されていてもよいし、企業内システムは、企業間情報管理システム10が担う一部または全部の機能を含む形で構成されていてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、図1に示したように、企業間情報管理システム10と企業内システム20とが、通信ネットワーク50を介して相互に接続されている別々の装置からなるものとして説明した。しかしながら、例えば、企業間情報管理システム10と企業内システム20とは、同一の装置によって構成されていてもよい。
【0043】
(環境情報管理システム100のハードウェア構成例)
次に、本実施形態に係る環境情報管理システム100を構成する、企業間情報管理システム10および各企業内システム20のハードウェア構成の一例について説明する。
【0044】
本実施形態の環境情報管理システム100を構成する、企業間情報管理システム10および各企業内システム20は、それぞれ、一台の汎用コンピュータ装置によって実現される。以下の説明は、企業間情報管理システム10および各企業内システム20が、それぞれ、一つ以上のプロセッサ、一つ以上の記憶装置、一つ以上のインターフェース装置、およびそれらを連結する有線または無線の通信線(いずれも不図示)を備える一台の汎用コンピュータ装置により実現されているものとして行う。
【0045】
すなわち、環境情報管理システム100を構成する、企業間情報管理システム10および各企業内システム20は、それぞれ、永続記憶装置およびメモリからなる記憶装置と、インターフェース装置と、それらに接続されたプロセッサとを有する。
【0046】
永続記憶装置は、フラッシュメモリ(Flash Memory)のような不揮発性記憶素子からなる補助記憶デバイスである。永続記憶装置の具体例としては、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等が挙げられる。永続記憶装置は、少なくとも環境情報管理プログラムを格納する。環境情報管理プログラムは、サプライチェーンを構成するサプライヤ等の各企業のCO排出量を含む環境情報(詳細後述)を取得するための処理(以下、「環境情報取得処理」とも称する)を含む、環境情報管理システム100として必要な機能を実装するためのコンピュータプログラムである。
【0047】
環境情報管理プログラムがプロセッサにより実行されることで、上記の環境情報取得処理をはじめとする各種処理が行われる。
【0048】
なお、環境情報管理プログラムは、プログラムソースからインストールされてもよい。プログラムソースは、例えばプログラム配布計算機や計算機が読み取り可能な記録媒体等であってもよい。また、環境情報管理プログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。さらに、二つ以上のプログラムが一つの環境情報管理プログラムとして実現されてもよいし、一つの環境情報管理プログラムが二つ以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0049】
メモリは、主にRAM(Random Access Memory)のような揮発性記憶素子からなる主記憶デバイスである。メモリには、永続記憶装置から読み込んだ各種情報を表すデータや、他の装置や端末から取得した各種データが一時的に保持される。
【0050】
プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサ(Co-processor)等のプロセッサデバイスである。このプロセッサは、環境情報管理プログラムをメモリに呼び出して実行することにより、環境情報管理システム100自体の統括制御を行なうとともに、演算処理や判定処理等の各種処理を行う制御部を司る。
【0051】
インターフェース装置は、通信ネットワーク50に接続して他の端末と通信を行う通信インターフェースデバイスと、I/Oインターフェースデバイスとを含む。
【0052】
(企業間情報管理システム10の機能ブロック例)
次に、本実施形態に係る環境情報管理システム100を構成する、企業間情報管理システム10が備える各種機能のブロックの一例について、図1を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0053】
企業間情報管理システム10は、制御部、記憶部、通信部と、入力部および出力部からなるユーザーインターフェース部(不図示)との各機能ブロックを備えて構成される。
【0054】
制御部は、記憶部が格納しているプログラムやデータ、および、通信部により取得されたデータに基づいて各種データ処理を実行する。制御部は、記憶部および通信部のインターフェースとしても機能する。
【0055】
制御部は、分析部110を機能ブロックとして有する。
【0056】
分析部110は、各種分析処理を司る。
【0057】
制御部は、プロセッサを用いて構成され、所定の環境情報管理プログラムを実行することによって、これらの機能ブロックを実現することができる。なお、プロセッサの代わりに、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路を用いて制御部を構成してもよい。また、プロセッサと論理回路との組合せによって制御部を構成してもよい。
【0058】
記憶部は、例えば永続記憶装置およびメモリからなる記憶装置を用いて構成されており、制御部に各種処理命令を供給するプログラム、および制御部が実行する処理において用いられる各種情報を表すデータを格納する。
【0059】
記憶部は、調達情報管理部120および環境情報管理部130の各機能ブロックを有する。
【0060】
調達情報管理部120は、EDIにおける部品等の調達実績(取引実績)に関する情報(以下、「調達情報」とも称する)を表すデータを記憶することで管理する。この調達情報を管理するためのテーブル(以下、「調達情報管理テーブル」とも称する)は、取引番号ごとにレコードを有する。各レコードは、例えば、各取引を一意に識別するための取引番号と、当該取引の対象である部品等の品目と、当該取引における当該品目の価格と、当該取引における発注者の名称と、当該取引における納品者(受注者)の名称とを少なくとも項目として含む。すなわち、調達情報管理テーブルは、レコードごとに、取引番号と、当該取引番号が表す取引の対象品目およびその価格と、当該取引において発注者および納品者であった企業の名称とを紐付けて記憶することにより、調達情報を注文ごとに管理するものである。
【0061】
環境情報管理部130は、図2にその一例を示したように、サプライチェーンを構成する各企業のCO排出量を含む情報(以下、「環境情報」とも称する)を表すデータを記憶することで管理する。この環境情報管理部130が環境情報を管理するためのテーブル(以下、「環境情報管理テーブル」とも称する)は、品目ごとにレコードを有する。各レコードは、例えば、取引対象の品目と、当該取引における当該品目に関して排出されたCOの総量(以下、単に「CO排出量」とも称する)と、当該CO排出量の値の更新履歴とを少なくとも項目として含む。すなわち、環境情報管理テーブルは、レコードごとに、当該取引の対象品目と、当該対象品目に関するCO排出量と、当該CO排出量の値の更新履歴とを紐付けて記憶することにより、環境情報を品目ごとに管理するものである。なお、環境情報が、CO排出量の原単位(以下、「原単位情報」とも称する)を含んでいてもよい。この場合、原単位情報は、品目別の他に、例えば、バイヤ別や製番等別に記憶されていてもよい。
【0062】
制御部は、これらの情報を記憶部に読み書きすることで、前述の環境情報管理処理をはじめとする各種処理を実行することができる。
【0063】
通信部は、インターネット(通信ネットワーク50の一例)を介して行われる、各企業内システム20等の他の機器との通信処理を担当する。通信部は、例えばNIC(Network Interface Card)やHBA(Host Bus Adapter)等を用いて構成される。
【0064】
ユーザーインターフェース部は、入力部および出力部(いずれも不図示)の各機能ブロックを含んで構成される。
【0065】
入力部は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、ユーザからの入力操作の受け付け等、入力に関する処理を担当する。入力部は、例えばキーボードやポインティングデバイス、タッチパネル等を用いて構成され、ユーザからの各種操作を検出する。
【0066】
出力部は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、表示装置への各種画面の表示や音声出力等、出力に関する処理を担当する。出力部は、例えば液晶ディスプレイやタッチスクリーン等を用いて構成される。
【0067】
すなわち、企業間情報管理システム10の各構成要素は、プロセッサ、メモリや永続記憶装置といった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線やインターフェース装置を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。
【0068】
本実施形態では、企業間情報管理システム10の各機能が一台のコンピュータ装置により一体的に実現されているものとして説明した。しかしながら、これらの各機能は相互に接続された複数台のコンピュータ装置またはサーバ装置によって実現されてもよい。また、企業間情報管理システム10は、ラップトップPC等の汎用コンピュータ装置と、これにインストールされたウェブブラウザとを含む構成であってもよいし、ウェブサーバや各種携帯機器を含む構成であってもよい。
【0069】
(企業内システム20の機能ブロック例)
次に、本実施形態に係る環境情報管理システム100を構成する、企業内システム20が備える各種機能のブロックの一例について説明する。なお、以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0070】
企業内システム20は、制御部、記憶部および通信部と、入力部および出力部からなるユーザーインターフェース部(いずれも不図示)との各機能ブロックを備えて構成される。
【0071】
制御部は、記憶部が格納しているプログラムやデータ、および通信部により取得されたデータに基づいて各種データ処理を実行する。制御部は、記憶部および通信部のインターフェースとしても機能する。
【0072】
制御部は、調達情報送受信部210、環境情報問合部220、環境情報登録部230、生産計画部240、社内環境情報収集部250および環境情報算定部260の各機能ブロックを有する。
【0073】
調達情報送受信部210は、後述する通信部を介して各種EDIと連携し、前述の調達情報を送受信する処理を実行する。
【0074】
環境情報問合部220は、当該サプライチェーンにおいて当該企業よりも上流に存在する各企業が当該注文における当該対象品目に関して排出したCOの量を含む環境情報を、当該企業の企業内システム20に後述する通信部を介して問合せて、取得する処理を実行する(図3に関連して詳細後述)。
【0075】
環境情報登録部230は、環境情報問合部220により取得された環境情報を、後述する環境情報記憶部270に登録する処理を実行する。
【0076】
生産計画部240は、取引対象品目の生産計画に係る各種処理を実行する。
【0077】
社内環境情報収集部250は、当該企業の社内における環境情報(以下、「社内環境情報」とも称する)を収集する処理を実行する。社内環境情報収集部250により収集された社内環境情報は、後述する環境情報記憶部270に登録される。
【0078】
環境情報算定部260は、環境情報問合部220により上流の各企業から収集された環境情報と、社内環境情報収集部250により収集された当該企業の社内環境情報とに基づいて、当該企業が取引先に納品するまでの段階で当該取引対象品目に関してこれまで排出されたCOの合計量を積算することにより、環境情報を算定する。
【0079】
制御部は、プロセッサを用いて構成され、所定のプログラムを実行することによって、これらの機能ブロックを実現することができる。なお、プロセッサの代わりに、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)等の論理回路を用いて制御部を構成してもよい。また、プロセッサと論理回路との組合せによって制御部を構成してもよい。
【0080】
記憶部は、例えば永続記憶装置およびメモリからなる記憶装置を用いて構成されており、制御部に各種処理命令を供給するプログラム、および制御部が実行する処理において用いられる各種情報を表すデータを格納する。制御部は、これらの情報を記憶部に読み書きすることで、各種処理を実行することができる。
【0081】
記憶部は、環境情報記憶部270を機能ブロックとして有する。
【0082】
環境情報記憶部270は、環境情報問合部220により上流の各企業から収集された環境情報や、社内環境情報収集部250により収集された当該企業の社内環境情報、環境情報算定部260により算定された当該取引対象品目に関するそれまでの合計CO排出量等を環境情報として記憶する。
【0083】
通信部は、インターネット(通信ネットワーク50の一例)を介して行われる、企業間情報管理システム10等の他の機器との通信処理を担当する。通信部は、例えばNIC(Network Interface Card)やHBA(Host Bus Adapter)等を用いて構成される。
【0084】
また、通信部は、例えば無線通信が可能な通信モジュール等を用いて構成されていてもよい。この場合、通信部が対応する通信規格は特に限定しないが、通信部は、例えば、3G、4Gおよび5Gの少なくともいずれかに対応可能であればよい。また、この場合に、通信部は、企業間情報管理システム10と直接接続されてもよいし、通信事業者が提供する基地局やインターネットを介して企業間情報管理システム10と接続されてもよい。
【0085】
ユーザーインターフェース部は、入力部および出力部(いずれも不図示)の各機能ブロックを含んで構成される。
【0086】
入力部は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、ユーザからの入力操作の受け付け等、入力に関する処理を担当する。入力部は、例えばタッチパネル等を用いて構成され、ユーザからの各種操作を検出する。
【0087】
出力部は、ユーザーインターフェースに関する処理のうち、表示装置への各種画面の表示や音声出力等、出力に関する処理を担当する。出力部は、例えばタッチスクリーンや液晶ディスプレイ等を用いて構成される。
【0088】
なお、上述した各機能の説明は一例であり、複数の機能が一つの機能にまとめられたり、一つの機能が複数の機能に分割されたりしてもよい。
【0089】
また、企業間情報管理システム10および企業内システム20が、上述した各種機能に加えて、さらに別の機能を備えていてもよい。例えば、企業間情報管理システム10は、企業内システム20が備える上記機能の一部を含む形で構成されていてもよいし、企業内システム20は、企業間情報管理システム10が備える上記機能の一部を含む形で構成されていてもよい。
【0090】
<CO排出量(環境情報)の取得・管理要領>
前述したように、本実施形態の環境情報管理システム100は、当該サプライチェーンにおいて排出されたCOの量を主要な情報として含む環境情報の管理のためのコンピュータシステムである。そこで、環境情報管理システム100によるCO排出量(環境情報)の管理要領について、図3および図4を参照しつつ以下で説明する。
【0091】
(CO排出量の取得要領)
図3は、CO排出量の取得要領の一例を模式的に示す図である。
【0092】
図3に示したように、環境情報管理システム100は、当該サプライチェーンにおいて排出されたCOの量を主要な情報として含む環境情報を、エージェントシミュレーション等の公知の手法を用いて、仮想空間等のサイバー空間上で管理する。当該サプライチェーンにおける実際のCO排出量は、当該サプライチェーンの構成企業ごとに仮想空間上に登録され、環境情報管理システム100は、当該サプライチェーンにおける最上流の企業から当該企業に至るまでの合計CO排出量を積算する。このとき、環境情報管理システム100は、各企業について登録されているCO排出量を、下流側から上流側に向けて順に参照することで、上流から下流までのCO排出量の正確な値を積算する。これにより、企業間の垣根、すなわち異なるTierの垣根を越えて、各企業のCO排出量を順に積算することができる。
【0093】
図4は、環境情報管理システム100によるCO排出量(環境情報)の管理要領の概略を示す図である。
【0094】
図4に示したように、環境情報管理システム100は、当該取引における見積時には、登録されたカタログ値を用いてCO排出量を概算し、当該取引における納品時には、参照したカタログ値について、必要に応じて、各企業による実測値や輸送カタログ値、輸送実測値等のより正確な値を用いて実測補正を行い、CO排出量の値を精度よく算出する。サプライチェーンにおける取引の性質上、見積時に計画値を取引先に伝える必要があり、参照可能なデータベースに格納されたカタログ値を用いることで計画値について信頼性が確保されるが、計画値と実際の値との間にずれがある場合には、このずれを補正する必要があるためである。
【0095】
環境情報管理システム100は、計画値と実際の値との間にずれがあるか否かの判定(検証)処理を、ユーザの選択操作に応じて、企業間情報管理システム10および各サプライヤ企業の企業内システム20のいずれにおいても実行することができる。
【0096】
企業間情報管理システム10において検証を行う場合、調達情報送受信部210で受信した調達情報に基づいて、取引対象品目に関する環境情報を登録する際に、環境情報問合部220は、環境情報管理部130から当該取引対象品目に含まれる部品等に関する環境情報を取得し、分析部110は、取得した環境情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する。
【0097】
各サプライヤ企業の企業内システム20において検証を行う場合、分析部110は、環境情報登録部230が、調達情報送受信部210で受信した調達情報に基づいて、取引対象品目に関する環境情報を登録する際に、登録された取引対象品目を構成する部品等に関する環境情報を算定し、当該登録を許可するか否かを判断する。
【0098】
以上説明した本発明の実施形態は、以下のように総括される。
【0099】
(1)環境情報管理システム100は、サプライチェーンを構成している企業群の環境情報を管理するシステムであって、少なくともプロセッサおよび記憶装置を有する企業間情報管理システム10と、プロセッサおよび記憶装置をそれぞれ有する複数の企業内システム20とを備える。企業間情報管理システム10は、サプライチェーンにおける取引対象品目に関する環境情報を分析する分析部110を有する。複数の企業内システム20の各々は、当該取引対象品目の調達情報を送受信する調達情報送受信部210を有する。分析部110は、調達情報送受信部210で受信した調達情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する。このようにしたので、環境情報管理システム100は、サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じた環境情報を精度よく取得することができる。
【0100】
(2)環境情報は、CO排出量を含む情報である。このようにしたので、環境情報管理システム100は、サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じたCO排出量を精度よく取得することができる。
【0101】
(3)分析部110は、当該取引対象品目の納品に際して当該取引対象品目に関する環境情報を算定する。このようにしたので、環境情報管理システム100は、サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じたCO排出量を納品時に精度よく取得することができる。
【0102】
(4)企業間情報管理システム10は、取引対象品目の調達に関する情報である調達情報を管理する調達情報管理部120と、取引対象品目に関する環境情報を管理する環境情報管理部130とをさらに有する。複数の企業内システム20の各々は、環境情報を算定する環境情報算定部260と、環境情報の問合せを行う環境情報問合部220と、環境情報を登録する環境情報登録部230とをさらに有する。調達情報送受信部210で受信した調達情報に基づいて、取引対象品目に関する環境情報を登録する際に、環境情報問合部220は、環境情報管理部130から当該取引対象品目に含まれる部品等に関する環境情報を取得し、分析部110は、取得した環境情報に基づいて、当該取引対象品目に関する環境情報を算定する。このようにしたので、環境情報管理システム100は、サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じたCO排出量を企業間情報管理システム10において精度よく取得することができる。
【0103】
(5)企業間情報管理システム10は、取引対象品目の調達に関する情報である調達情報を管理する調達情報管理部120と、取引対象品目に関する環境情報を管理する環境情報管理部130とをさらに有する。複数の企業内システム20の各々は、環境情報を算定する環境情報算定部260と、環境情報を登録する環境情報登録部230とをさらに有する。分析部110は、環境情報登録部230が、調達情報送受信部210で受信した調達情報に基づいて、取引対象品目に関する環境情報を登録する際に、登録された取引対象品目を構成する部品等に関する環境情報を算定し、当該登録を許可するか否かを判断する。このようにしたので、環境情報管理システム100は、サプライチェーンにおいて各企業が注文内容に応じたCO排出量を各企業内システム20において精度よく取得することができる。
【0104】
(6)環境情報管理システム100は、図5に例示したように、サプライチェーンを構成するサプライヤや完成品メーカ等の各企業を各ノードとして表し、上流側の企業と下流側の企業との間の各取引関係を各リンクとして表したネットワークモデルを用いて、ネットワーク分析を実行してもよい。環境情報管理システム100は、このネットワーク分析において、取引対象品目の生産や流通に係るコストに関する情報(以下、「コスト情報」と称する)と環境情報とを紐付けて、コスト情報および環境情報のホットスポットやクリティカルパスを算定してもよい。このようにした場合、環境情報管理システム100は、取引額やCO排出量を下流から上流に遡って、CO排出量の削減に影響が大きいサプライチェーンを特定して情報提供したり、サプライヤ企業の環境負荷の大きさや経営上のリスク分析を行ったりするための情報を提供することができるようになる。その結果、環境情報管理システム100のユーザは、自社の事業に関してもたらされる環境負荷を低減するために、他のサプライヤ企業と連携してCO排出量を削減したり、CO排出量の少ないサプライヤ企業に取引先を変更したりすることができるようになる。
【0105】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で、任意の構成要素を用いて実施可能である。
【0106】
上記の実施形態や実施例、変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。また、上記では種々の実施形態や実施例、変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【0107】
上記の各図において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、必ずしも実装上の全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。例えば、実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【0108】
また、以上に説明した環境情報管理システム100の各種機能部、各種処理部、各種データベースの配置形態は一例に過ぎない。各種機能部、各種処理部、各種データベースの配置形態は、環境情報管理システム100が備えるハードウェアやソフトウェアの性能、処理効率、通信効率等の観点から最適な配置形態に変更し得る。
【符号の説明】
【0109】
100:環境情報管理システム
図1
図2
図3
図4
図5