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特開2024-126570学習装置、判定装置、群管理制御装置、学習方法および判定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126570
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】学習装置、判定装置、群管理制御装置、学習方法および判定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/00 20060101AFI20240912BHJP
   B66B 1/18 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B66B3/00 L
B66B1/18 Q
【審査請求】有
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035001
(22)【出願日】2023-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】濱口 萌子
(72)【発明者】
【氏名】物部 愛
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CB22
3F303CB25
3F303CB31
3F303CB48
3F502JA25
3F502JA73
3F502KA02
3F502KA10
3F502KA19
3F502KA37
3F502KA43
(57)【要約】
【課題】エレベータの利用者がかご内乗車人数について不満を抱き得る要因を考慮に入れて、かご内乗車人数の適否を判定する。
【解決手段】学習装置(10)は、エレベータの乗りかご(2)内を撮影して得られた撮影画像から推定された乗りかご(2)内の混雑の度合を示す混雑情報と、撮影の時期を示す時期情報、並びに、エレベータが設置されている環境における撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む学習用データセット(101)に対して、乗りかご(2)の乗車人数が適正であることを示すラベル(102)が対応付けられた教師データ(100)を取得する取得部(111)と、教師データ(100)を用いて学習を行うことにより、撮影時点における乗りかご(2)の乗車人数の適否を判定するための判定モデル(300)を生成する学習部(112)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得部と、
前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習部と、を備える学習装置。
【請求項2】
前記混雑の度合は、前記撮影画像において前記かごを除く被撮影物が映る総領域の、前記撮影画像の全体領域に対する割合である、請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
前記時期は、日時、時間帯、曜日、および季節、の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の学習装置。
【請求項4】
前記温度は、前記かご内の温度、前記エレベータの乗場の温度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の温度、の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の学習装置。
【請求項5】
前記湿度は、前記かご内の湿度、前記エレベータの乗場の湿度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の湿度、の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の学習装置。
【請求項6】
前記データセットは、前記撮影時の前記かご内の照明の度合を示す情報をさらに含む、請求項1に記載の学習装置。
【請求項7】
前記照明の度合は、前記撮影画像から推定されたものである、請求項6に記載の学習装置。
【請求項8】
前記データセットは、さらに、前記混雑を許容する時間の長さを含む、請求項1に記載の学習装置。
【請求項9】
前記データセットは、さらに、前記エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報を含む、請求項1に記載の学習装置。
【請求項10】
前記データセットは、さらに、前記かごに乗車している台車の有無を示す台車情報を含む、請求項1に記載の学習装置。
【請求項11】
前記台車情報は、前記撮影画像を解析することにより得られる、請求項10に記載の学習装置。
【請求項12】
1または複数の情報処理装置が実行する学習方法であって、
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得ステップと、
前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習ステップと、を含む学習方法。
【請求項13】
請求項1に記載の学習装置としてコンピュータを機能させるための学習プログラムであって、前記取得部および前記学習部としてコンピュータを機能させるための学習プログラム。
【請求項14】
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得部と、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備える判定装置。
【請求項15】
エレベータのかごが出発階を出発する直前に前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における当該撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記かごが前記出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む判定用データセットを取得する取得部と、
前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、および、前記環境における当該撮影時の環境情報との少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さと、を含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備える判定装置。
【請求項16】
前記出発階と前記停止階との間に前記かごが常時停止しない階床が存在する場合、前記判定用データセットに含まれる前記移動時間から、前記かごが前記階床を通過する時間を減じることにより、当該移動時間を補正する補正部をさらに備え、
前記判定部は、前記補正後の前記移動時間を含む前記判定用データセットを前記判定モデルに入力する、請求項15に記載の判定装置。
【請求項17】
前記混雑の度合は、前記撮影画像において前記かごを除く被撮影物が映る総領域の、前記撮影画像の全体領域に対する割合である、請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項18】
前記時期は、日時、時間帯、曜日、および季節、の少なくともいずれかを含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項19】
前記温度は、前記かご内の温度、前記エレベータの乗場の温度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の温度、の少なくともいずれかを含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項20】
前記湿度は、前記かご内の湿度、前記エレベータの乗場の湿度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の湿度、の少なくともいずれかを含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項21】
前記学習用データセットおよび前記判定用データセットは、前記撮影時の前記かご内の照明の度合を示す情報をさらに含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項22】
前記照明の度合は、前記撮影画像から推定されたものである、請求項21に記載の判定装置。
【請求項23】
前記学習用データセットおよび前記判定用データセットは、前記エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報をさらに含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項24】
前記学習用データセットおよび前記判定用データセットは、前記かごに乗車している台車の有無を示す台車情報をさらに含む、請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項25】
前記台車情報は、前記撮影画像を解析することにより得られる、請求項24に記載の判定装置。
【請求項26】
前記取得部による前記取得および前記判定部による前記判定を、所定周期で行う、請求項14に記載の判定装置。
【請求項27】
前記環境情報は、温度および湿度の少なくとも一方である温度湿度を含み、
前記取得部による前記取得および前記判定部による前記判定を、前記温度湿度の単位時間当たりの変動率が所定閾値を超えたときに行う、請求項14に記載の判定装置。
【請求項28】
前記取得部による前記取得および前記判定部による前記判定を、前記かごが出発階を出発する直前に行う、請求項14に記載の判定装置。
【請求項29】
利用者により登録された行先階を前記エレベータの複数台の号機のいずれかに割り当てる群管理制御装置であって、
前記かごの各々の乗車人数が、前記かごの仕様情報に基づいて予め設定された最大許容乗車人数を超えないように前記号機の各々の運行を制御し、
請求項14から16のいずれか1項に記載の判定装置により、所定数以上の前記かごの前記乗車人数が不適と判定された場合、前記最大許容乗車人数の設定値を減じる、群管理制御装置。
【請求項30】
前記最大許容乗車人数の設定値が初期値より小さい場合において、現在時刻が所定時間帯に至った場合、前記最大許容乗車人数の設定値を、前記初期値以下の範囲で増加させる、請求項29に記載の群管理制御装置。
【請求項31】
前記最大許容乗車人数の設定値が初期値より小さい場合において、前記環境情報が所定条件を満たした場合、前記最大許容乗車人数の設定値を、前記初期値以下の範囲で増加させる、請求項29に記載の群管理制御装置。
【請求項32】
1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得ステップと、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含む判定方法。
【請求項33】
1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、
エレベータのかごが出発階を出発する直前に前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における当該撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記かごが前記出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む判定用データセットを取得する取得ステップと、
前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、および、前記環境における当該撮影時の環境情報との少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さと、を含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含む判定方法。
【請求項34】
請求項14に記載の判定装置としてコンピュータを機能させるための判定プログラムであって、前記取得部および前記判定部としてコンピュータを機能させるための判定プログラム。
【請求項35】
請求項15に記載の判定装置としてコンピュータを機能させるための判定プログラムであって、前記取得部および前記判定部としてコンピュータを機能させるための判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータのかごの乗車人数の適否を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示すように、エレベータを効率的に運行させるために、利用者にエレベータを割り当てて運行することが行われている。通常、エレベータの割り当ては、利用者による目的階の登録および乗りかごの仕様により設定されている定員に基づき行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4187792号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の機能を備えるエレベータを利用する利用者は、自分に割り当てられたかごに乗車する必要があるところ、例えば利用者が少ない閑散時において、乗車人数が想定より多い状態のかごに乗車することになった場合、不満を抱く可能性がある。
【0005】
本発明の一態様は、エレベータの利用者がかご内乗車人数について不満を抱き得る要因を考慮に入れて、かご内乗車人数の適否を判定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る学習装置は、エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得部と、前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習部と、を備える。
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る学習方法は、1または複数の情報処理装置が実行する学習方法であって、エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得ステップと、前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習ステップと、を含む。
【0008】
エレベータのかごの利用者は様々な要因によりかご内乗車人数に不満を頂くことがある。しかしながら、従来は、利用者が不満を抱き得る要因を考慮に入れてかご内乗車人数を設定できておらず、例えばかご内乗車人数が想定より多い状態のかごに乗車することになった場合、利用者に不満が生じていた。上記構成によれば、混雑情報と、時期情報および環境情報の少なくともいずれかとを含むデータセットに対してかご内乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを学習させた判定モデルを生成する。したがって、判定モデルを用いれば、利用者がかご内乗車人数等について不満を抱き得る要因となる混雑情報、時期情報、および環境情報を考慮に入れて、かご内乗車人数の適否を判定することができる。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定装置は、エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得部と、前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備える。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定方法は、1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得ステップと、前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含む。
【0011】
上記構成によれば、利用者がかご内乗車人数について不満を抱き得る要因となる混雑情報、時期情報、および環境情報を考慮に入れて、かご内乗車人数の適否を判定することができる。
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定装置は、エレベータのかごが出発階を出発する直前に前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における当該撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記かごが前記出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む判定用データセットを取得する取得部と、前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、および、前記環境における当該撮影時の環境情報との少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さと、を含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備える。
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る判定方法は、1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、エレベータのかごが出発階を出発する直前に前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における当該撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記かごが前記出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む判定用データセットを取得する取得ステップと、前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、および、前記環境における当該撮影時の環境情報との少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さと、を含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含む。
【0014】
利用者はかごが混雑していても、混雑しているかごの中にいる時間が短ければ不満を抱きにくく、混雑しているかごの中にいる時間が長い程、不満を抱きやすい。そのため、学習用データセットに混雑を許容する時間を含め、判定用データセットに移動時間の長さを含めることで、より正確に、かご内乗車人数の適否を判定することができる。
【0015】
本発明の各態様に係る学習装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記学習装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記学習装置をコンピュータにて実現させる学習装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0016】
本発明の各態様に係る判定装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記判定装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記判定装置をコンピュータにて実現させる判定装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、エレベータの利用者がかご内乗車人数について不満を抱き得る要因を考慮に入れて、かご内乗車人数の適否を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態1に係る学習装置の概略構成の一例を示すブロック図である。
図2】教師データの例を示す図である。
図3】ラベル付条件の例を示す図である。
図4】教師データの具体例を示す図である。
図5】学習装置が実行する判定モデル生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態1に係る判定装置を含むエレベータシステムの概略構成の一例を示すブロック図である。
図7】判定用データセットの例を示す図である。
図8】判定装置が実行する判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】人数設定装置および群管理制御装置の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の実施形態2に係る教師データの一例を示す図である。
図11】本発明の実施形態2に係る判定用データセットの一例を示す図である。
図12】本発明の実施形態2の変形例に係る判定装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態1〕
本実施形態に係るエレベータシステム1(図6参照)では、学習装置10(図1参照)が機械学習を行うことにより生成される判定モデル300を用いて、判定装置20(図6参照)により乗りかご2(かご)内乗車人数の適否を判定する。そして、乗りかご2内乗車人数が不適正と判定された場合に、人数設定装置30(図6参照)により乗りかご2内の最大許容乗車人数を再設定し、再設定した最大許容乗車人数に基づいて群管理制御装置40(図6参照)が乗りかご2の運行制御を行う。これにより、エレベータシステム1では、乗りかご2に乗車する利用者が乗りかご2内乗車人数について不満を抱く機会を低減することができる。
【0020】
なお、本実施形態では、乗りかご2の乗車人数を示す用語として、「仕様定員」、「最大許容乗車人数」、および「適正乗車人数」を使用する。「仕様定員」は、乗りかご2の積載荷重等の仕様に基づいて予め規定されている定員である。「最大許容乗車人数」は、利用者が不満を抱かないであろうと想定される最大の乗車人数であり、仕様定員以下の人数である。上述したとおり、群管理制御装置40は最大許容乗車人数に基づいて乗りかご2の運行制御を行う。「適正乗車人数」は、最大許容乗車人数よりさらに少ない人数であって、利用者が不満を抱く可能性をより低減させるために、時期、天候、温度、および湿度の少なくともいずれかに基づいて最大許容乗車人数を下方修正した値である。
【0021】
(学習装置の構成)
まず、乗りかご2内乗車人数の適否を判定するための判定モデル300を生成する学習装置10について説明する。図1は、本実施形態に係る学習装置10の概略構成の一例を示すブロック図である。学習装置10は、教師データ100を用いて機械学習することにより、判定モデル300を生成する。なお、判定モデル300は、乗りかご2毎に生成されてもよいし、複数の乗りかご2に共通するものとして生成されてもよい。
【0022】
学習装置10は、制御部11および記憶部12を備えている。制御部11は、学習装置10の各部を統括して制御するものであり、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。制御部11は、学習装置10が備える各機能の処理を実行するように制御する。
【0023】
制御部11は、取得部111と、学習部112と、を備えている。取得部111は教師データ100を取得する。取得部111は、例えば、学習装置10の記憶部12に記憶された教師データ100を取得してもよいし、学習装置10と通信可能な外部装置から教師データ100を取得してもよい。
【0024】
学習部112は、教師データ100を用いて学習を行うことにより、教師データ100の撮影画像の撮影時点における乗りかご2の乗車人数の適否を判定するための判定モデル300を生成する。判定モデル300は、例えば、乗りかご2の乗車人数の適正度を示す確率を出力するものであってもよい。
【0025】
学習部112は、一例として、ニューラルネットワークやサポートベクターマシンなどの既知の教師あり機械学習手法を用いて、判定モデル300を生成する。ニューラルネットワークは、例えば、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる隠れ層(中間層)、および複数のニューロンからなる出力層で構成され、これらを実現するプロセッサおよびメモリ等で構成されてもよい。また、学習部112は、既存の機械学習サービスを用いて、判定モデル300を生成してもよい。学習部112は、生成した判定モデル300を例えば記憶部12へ格納してもよい。
【0026】
記憶部12は、制御部11によって読み出される各種コンピュータプログラム、制御部11が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
【0027】
(教師データ)
教師データ100について、図1から図3に基づき説明する。図2は教師データ100の例を示す図である。図3は、ラベル付条件の例を示す図である。図2に示すように、教師データ100は、例えば、学習用データセット101(データセット)に対して乗りかご2の乗車人数が適正であることを示すラベル102(正解データ)が対応づけられたデータである。また、教師データ100として、学習用データセット101に対して乗りかご2の乗車人数が不適正であることを示すラベル102(不正解データ)が対応づけられたデータを採用してもよい。
【0028】
本実施形態では、生成済みの教師データ100を学習装置10が取得する構成としたが、学習装置10が教師データ100を生成してもよい。
【0029】
(学習用データセット)
図1および図2に示すように、学習用データセット101は、時期情報と、環境情報と、混雑情報と、を含む。学習用データセット101は、環境情報および時期情報の少なくともどちらか一方を含んでいればよく、環境情報および時期情報の両方を含んでいてもよい。
【0030】
時期情報は、撮影画像の撮影の時期を示す。当該時期は、日時、時間帯、曜日、および季節、の少なくともいずれかを含む。時期情報は、例えば、カメラ3(図6参照)により撮影画像が撮影された時点におけるシステム時刻に基づいて算出されてもよい。
【0031】
環境情報は、エレベータが設置されている環境における、撮影画像の撮影時の天候、温度、湿度の少なくともいずれかを示す。撮影画像の撮影時の温度は、乗りかご2内の温度、エレベータの乗場の温度、および、エレベータの設置場所の屋外の温度、の少なくともいずれかを含む。また、撮影画像の撮影時の湿度は、乗りかご2内の湿度、エレベータの乗場の湿度、および、エレベータの設置場所の屋外の湿度、の少なくともいずれかを含む。環境情報のうちの天候は、例えば、図示しない気象情報提供サーバから取得されてもよい。環境情報のうちの温度および湿度は、例えば、乗りかご2内、エレベータの乗場、エレベータの設置場所の屋外に設けられた温度検知装置および湿度検知装置から取得されてもよい。
【0032】
混雑情報は、エレベータの乗りかご2内を撮影して得られた撮影画像(かご内画像)から推定された乗りかご2内の混雑の度合を示す情報である。混雑の度合は、例えば、乗りかご2に設置されたカメラ3により乗りかご2の内部を撮影して得られた撮影画像を画像解析することにより算出される。混雑の度合は、例えば、カメラ3の撮影画像において乗りかご2を除く被撮影物が映る総領域の、撮影画像の全体領域に対する割合により算出されてもよい。これにより、乗りかご2内の撮影画像から混雑の度合を簡便に算出することができる。
【0033】
時期情報、環境情報、および混雑情報を学習用データセット101に含めることで、エレベータの利用者が乗りかご2内乗車人数について不満を抱き得る要因を考慮に入れた教師データ100を生成することができる。
【0034】
また、学習用データセット101は、撮影画像の撮影時の乗りかご2内の照明の度合を示す情報をさらに含んでいてもよい。照明の度合は、例えば撮影画像の明度や彩度から推定されてもよい。乗りかご2の照明の度合により、利用者が不満を抱く乗りかご2内乗車人数が変化することが考えられる。そこで、学習用データセット101に照明の度合を示す情報を含むことで、判定モデル300の判定精度を向上させ得る教師データ100を生成することができる。
【0035】
(教師データの変形例)
図2に示す教師データ100Aは、学習用データセット101の変形例である学習用データセット101Aにラベル102が対応づけられたデータである。また、図2に示す教師データ100Bは、学習用データセット101の変形例である学習用データセット101Bにラベル102が対応づけられたデータである。
【0036】
学習用データセット101Aは、学習用データセット101に加えて、さらに、エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報を含んでいてもよい。エレベータが設置されている建物で行われているイベントとは、例えば、当該建物の休館日等である。学習用データセット101Aにイベント情報を含むことで、判定モデル300の判定精度を向上させ得る教師データ100Aを生成することができる。
【0037】
学習用データセット101Bは、学習用データセット101に加えて、さらに、乗りかご2に乗車している台車の有無を示す台車情報を含んでいてもよい。台車情報は、撮影画像を解析することにより得られてもよい。台車は占有面積が広いが、台車の荷台の上部には空間が確保される場合が多い。そのため、混雑の度合の算出において、台車の有無を考慮することが好ましい。例えば、台車情報が「台車有り」を示す場合、撮影画像から推定された混雑の度合を、所定割合だけ、もしくは、台車の台数や大きさに応じて低減するように修正してもよい。
【0038】
(ラベル付)
学習用データセット101へのラベル102の対応付け(以降、単に「ラベル付」と記載する場合がある)は、学習用データセット101に含まれる混雑情報と、学習用データセット101に含まれる時刻情報および環境情報の少なくともいずれかから特定される適正乗車人数とを対比して判断される。ラベル付は、人手により行われてもよく、自動で行われてもよい。
【0039】
例えば混雑情報と適正乗車人数とを対比した結果、利用者が不満を抱かないと判断される場合(例えば、混雑情報から算出される乗りかご2内乗車人数が適正乗車人数に至らない場合)、学習用データセット101には適正であることを示すラベル102がラベル付される。また、混雑情報と適正乗車人数とを対比した結果、利用者が不満を抱くおそれがあると判断される場合(例えば、混雑情報から算出される乗りかご2内乗車人数が適正乗車人数を超える場合)、学習用データセット101には不適正であることを示すラベル102がラベル付される。
【0040】
図3および図4に基づき、ラベル付の一例について説明する。ラベル付にあたり、まず、機械学習を行う期間における最大許容乗車人数の初期値を定める。最大許容乗車人数の初期値は、例えば、乗りかご2に関する仕様に基づいて定められることが望ましい。当該仕様は、例えば、仕様定員、積載荷重、走行速度、防犯窓の有無、手すりの有無、車椅子仕様か否か、ペット仕様か否か、エアコンの仕様、かご床サイズ、天井高さ、内装デザイン、内装色、などが含まれる。これらに基づいて、最大許容乗車人数の初期値は、仕様定員以下の人数に定められる。例えば仕様定員が15人と規定されている乗りかご2について、最大許容乗車人数の初期値は、一例として15人から3人を減じて12人と定められる。
【0041】
次に、図3に示す条件により、適正乗車人数を定める。例えば、図3に示す条件1では、学習用データセット101の時期情報に含まれる曜日が土日祝である場合、最大許容乗車人数の初期値(図3では12人)から4人を減じた人数(12人-4人=8人)が適正乗車人数として定められる。なお、本実施形態では、乗りかご2の適正乗車人数は、上述のように最大許容乗車人数の初期値から減じて設定されるものとして説明するが、乗りかご2の仕様定員から減じて設定されてもよい。以下の乗りかご2の適正乗車人数の算出の例においても同様である。
【0042】
また、図3に示す条件2では、学習用データセット101の時期情報に含まれる時刻が早朝または夜間である場合、最大許容乗車人数の初期値(図3では12人)から4人を減じた人数(12人-4人=8人)が適正乗車人数として定められる。
【0043】
また、図3に示す条件3では、(1)学習用データセット101の時期情報に含まれる季節が夏または冬であり、(2)学習用データセット101の時期情報に含まれる時刻が出社時または退社時以外であり、(3)学習用データセット101の時期情報に含まれる天候が雨天である場合、最大許容乗車人数の初期値(図3では12人)から3人を減じた人数(12人-1人-1人-1人=9人)が適正乗車人数として定められる。
【0044】
さらに、条件3では、上記(1)から(3)の条件に加え、以下の(4)または(5)に示す条件が満たされる場合、さらに3人を減じた人数(9人-3人=6人)が適正乗車人数として定められる。(4)学習用データセット101の時期情報に含まれる季節が夏である場合において、学習用データセット101の環境情報について、かご内の温度>屋外の温度、または、かご内の温度>30℃、または、(かご内の温度-10℃)>乗場の温度、または、かご内の湿度>80%、または、不快指数>80。(5)学習用データセット101の時期情報に含まれる季節が冬である場合において、学習用データセット101の環境情報について、かご内の温度<屋外の温度、または、かご内の温度<10℃、または、かご内の温度<(乗場の温度-10℃)、または、かご内の湿度≦40%、または、不快指数<55。なお、不快指数は、公知方法により算出すればよい。
【0045】
また、交通の健康学的影響に関する研究によれば、通勤に鉄道を利用する場合においてストレス値(アミラーゼ活性)が低くあまり変化しない混雑度は180%以下であることが知られている。そのため、適正乗車人数は、混雑度合いが例えば180%以下となるように定められてもよい。具体的には、例えば、混雑度合いが100%となる場合の1人当たりの面積を0.3mとすると、混雑度合いが180%となる1人当たりの面積が約0.17m(≒0.3÷1.8)となるため、1人当たりの面積が0.17m以上となるように適正乗車人数を定めてもよい。
【0046】
さらに、適正乗車人数は、利用者の占有面積に基づき定められてもよい。例えば、通常時の利用者一人あたりの占有面積と、非通常時の利用者一人あたりの占有面積との比率を算出し、その比率に基づき適正乗車人数が定められてもよい。
【0047】
例えば、季節の観点で通常時が春夏秋であり非通常時が冬であるものと仮定する。利用者は、通常時である春夏秋は防寒着を着用しない状態で乗りかご2に乗車することが多く、非通常時である冬は防寒着を着用した状態で乗りかご2に乗車することが多い。後者の場合、防寒着の厚み分だけ(例えば前後左右に2.5cm程度)、利用者が占有する面積が大きくなる。この場合、防寒着着用時の一人あたりの占有面積に対する防寒着非着用時の一人あたりの占有面積の比率は、大よそ0.79となる。そこで、学習用データセット101の環境情報に含まれる季節が冬である場合の適正乗車人数は、最大許容乗車人数の初期値から例えば21(=100-79)%を減じた人数と定められてもよい。この場合、最大許容乗車人数の初期値が9人であれば適正乗車人数は8人となる。
【0048】
また、天候の観点で通常時が雨天以外であり非通常時が雨天であるものと仮定する。利用者は、通常時である雨天以外では傘を所持しない状態で乗りかご2に乗車することが多く、非通常時である雨天時は傘を所持した状態で乗りかご2に乗車することが多い。後者の場合、他者が所持する傘に触れたくないため利用者間で距離(例えば傘を中心として半径10cm程度)を取ることが通常である。この場合、傘所持時の一人あたりの占有面積に対する傘非所持時の一人あたりの占有面積の比率は、大よそ0.83となる。そこで、学習用データセット101の環境情報に含まれる天候が雨である場合の適正乗車人数は、最大許容乗車人数の初期値から例えば17(100-83)%を減じた人数と定められてもよい。この場合、最大許容乗車人数の初期値が9人であれば適正乗車人数は8人となる。
【0049】
また、時間帯の観点で通常時がランチタイム以外であり非通常時がランチタイムであるものと仮定する。利用者は、通常時であるランチタイム以外では飲食用容器(コーヒーカップ、カップ麺など)を所持しない状態で乗りかご2に乗車することが多く、非通常時であるランチタイム時は飲食用容器を所持した状態で乗りかご2に乗車することが多い。飲食用容器を所持している場合、利用者同士が衝突しないようにお互いの距離(例えば利用者の前方10cm程度)を確保することが通常である。この場合、飲食用容器所持時の利用者一人あたりの占有面積に対する飲食用容器非所持時の一人あたりの占有面積の比率は、大よそ0.75である。そこで、学習用データセット101の時期情報に含まれる時刻または時間帯がランチタイムである場合の適正乗車人数は、最大許容乗車人数の初期値から例えば25(100-75)%を減じた人数と定められてもよい。この場合、最大許容乗車人数の初期値が9人であれば適正乗車人数は7人となる。
【0050】
なお、適正乗車人数を定める条件は、上述した例に限られるものではない。また当該条件は、適宜単独で用いられてもよいし、組合せて用いられてもよい。
【0051】
図4は、ラベル付された教師データ100の具体例である教師データ100D1から教師データ100D4を示す図である。なお、図4に示すかご内画像は、かご2の天井側からかご2の床へ向けて撮影して得られた撮影画像であり、人物および荷物の上部が映っている様子が示されている。
【0052】
まず、教師データ100D1について説明する。学習用データセット101D1の時刻情報および環境情報に基づいて定まる適正乗車人数は10人であるものと仮定する。一方、学習用データセット101D1の混雑情報から、かご内乗車人数が10人程度の混雑の度合であることが分かる。適正乗車人数と混雑情報とを対比した結果、かご内乗車人数は適正であることから、教師データ100D1には、乗車人数が適正であることを示すラベル102D1(正解データ)が付されている(図では「OK」と記載している)。
【0053】
次に、教師データ100D2について説明する。学習用データセット101D2の時刻情報および環境情報に基づいて定まる適正乗車人数は、学習用データセット101D1の適正乗車人数と同じく10人であるものと仮定する。一方、学習用データセット101D2の混雑情報から、かご内乗車人数が11人程度の混雑の度合であることが分かる。適正乗車人数と混雑情報とを対比した結果、かご内乗車人数は不適正であることから、教師データ100D2には、乗車人数が不適正であることを示すラベル102D2(不正解データ)が付されている(図では「NG」と記載している)。
【0054】
次に、まず、教師データ100D3および教師データ100D4について説明する。学習用データセット101D3および学習用データセット101D4の時刻情報および環境情報に基づいて定まる適正乗車人数は10人から1人減じた9人であるものと仮定する。学習用データセット101D3および学習用データセット101D4は、学習用データセット101D1および学習用データセット101D2の翌日の同時間帯のデータであるが、天候が晴ではなく雨である。上述したとおり図3の条件3によれば、雨の場合は適正乗車人数を定めるにあたり1人減じるからである。
【0055】
学習用データセット101D3の混雑情報から、かご内乗車人数が9人程度の混雑の度合であることが分かる。適正乗車人数と混雑情報とを対比した結果、かご内乗車人数は適正であることから、教師データ100D3には、乗車人数が適正であることを示すラベル102D3(正解データ)が付されている(図では「OK」と記載している)。
【0056】
一方、学習用データセット101D4の混雑情報から、かご内乗車人数が10人程度の混雑の度合であることが分かる。適正乗車人数と混雑情報とを対比した結果、かご内乗車人数は不適正であることから、教師データ100D4には、乗車人数が不適正であることを示すラベル102D4(不正解データ)が付されている(図では「NG」と記載している)。
【0057】
(判定モデルの生成処理)
図5は学習装置10が実行する判定モデル生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0058】
取得部111は、混雑情報と、時期情報および環境情報の少なくとも一方と、を含む学習用データセット101に対してラベル102が対応付けられた教師データ100を取得する(ステップS1、取得ステップ)。
【0059】
次に学習部112は、教師データ100を用いて学習を行うことにより、撮影時点における乗りかご2の乗車人数の適否を判定するための判定モデル300を生成する(ステップS2、学習ステップ)。学習部112は、生成した判定モデル300を記憶部12へ格納する(ステップS3)。
【0060】
なお、学習装置10の各機能は、複数の情報処理装置で構成されるシステムにより実現することも可能であり、また、学習装置10を構成する各機能は適宜変更することができる。したがって、図5に示した各ステップの実行主体は上述の例に限られない。つまり、図5に示した各ステップは、1つの情報処理装置に実行させることもできるし、複数の情報処理装置に各ステップの処理を分担させることにより実行することもできる。
【0061】
乗りかご2の利用者は様々な要因により乗りかご2内乗車人数に不満を頂くことがある。しかしながら、従来は、利用者が乗りかご2内乗車人数について不満を抱き得る要因を考慮に入れて乗りかご2内乗車人数の適否を判定できておらず、利用者に不満が生じていた。それに対して、学習装置10では、混雑情報と、時期情報および環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセット101に対してラベル102が対応付けられた教師データ100を学習させた判定モデル300を生成する。したがって、判定モデル300を用いれば、利用者が乗りかご2内乗車人数について不満を抱き得る要因となる混雑情報、時期情報、および環境情報を考慮に入れて、乗りかご2内乗車人数の適否を判定することができる。
【0062】
(エレベータシステム)
図6は、本実施形態に係る判定装置20を含むエレベータシステム1の概略構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、エレベータシステム1は、判定装置20と、人数設定装置30と、群管理制御装置40と、を備えている。
【0063】
(判定用データセット)
まず、判定装置20が判定処理を行うために用いる判定用データセット400について、図6および図7に基づき説明する。図7は判定用データセット400の例を示す図である。
【0064】
判定用データセット400は、教師データ100を用いて学習された判定モデル300を用いて判定装置20が判定を行う際に判定モデル300に入力するデータセットである。そのため、判定用データセット400は、学習用データセット101と同種類のデータを含んでいる。図6および図7に示すように、判定用データセット400は、時期情報と、環境情報と、混雑情報と、を含む。判定用データセット400は、環境情報および時期情報の少なくともどちらか一方を含んでいればよく、環境情報および時期情報の両方を含んでいてもよい。
【0065】
時期情報は、撮影画像の撮影の時期を示す。当該時期は、日時、時間帯、曜日、および季節、の少なくともいずれかを含む。時期情報は、例えば、カメラ3により撮影画像が撮影された時点におけるシステム時刻に基づいて算出されてもよい。
【0066】
環境情報は、エレベータが設置されている環境における、撮影画像の撮影時の天候、温度、湿度の少なくともいずれかを示す。撮影画像の撮影時の温度は、乗りかご2内の温度、エレベータの乗場の温度、および、エレベータの設置場所の屋外の温度、の少なくともいずれかを含む。また、撮影画像の撮影時の湿度は、乗りかご2内の湿度、エレベータの乗場の湿度、および、エレベータの設置場所の屋外の湿度、の少なくともいずれかを含む。環境情報のうちの天候は、例えば、図示しない気象情報提供サーバから取得されてもよい。環境情報のうちの温度および湿度は、例えば、乗りかご2内、エレベータの乗場、エレベータの設置場所の屋外に設けられた温度検知装置および湿度検知装置から取得されてもよい。
【0067】
混雑情報は、エレベータの乗りかご2内を撮影して得られた撮影画像(かご内画像)から推定された乗りかご2内の混雑の度合を示す。混雑の度合は、例えば、図6に示すように、乗りかご2に配置されたカメラ3により乗りかご2の内部を撮影して得られた撮影画像を画像解析することにより算出される。混雑の度合は、例えば、カメラ3の撮影画像において乗りかご2を除く被撮影物が映る総領域の、撮影画像の全体領域に対する割合により算出してもよい。これにより、乗りかご2内の撮影画像から混雑の度合を簡便に算出することができる。
【0068】
時期情報、環境情報、および混雑情報を判定用データセット400に含めることで、エレベータの利用者が乗りかご2内乗車人数について不満を抱き得る要因を考慮に入れて乗りかご2の乗車人数の適否を判定することができる。
【0069】
なお、学習用データセット101に、撮影画像の撮影時の乗りかご2内の照明の度合を示す情報が含まれている場合、判定用データセット400は照明の度合を示す情報を含んでいてもよい。照明の度合は、例えば撮影画像の明度や彩度から推定されてもよい。判定モデル300の判定精度を向上させることができる。
【0070】
(判定用データセットの変形例)
図7に示す、判定用データセット400Aおよび判定用データセット400Bは、判定用データセット400の変形例である。
【0071】
判定用データセット400Aは、教師データ100Aを用いて学習された判定モデル300を用いて判定装置20が判定を行う際に判定モデル300に入力するデータセットである。そのために、判定用データセット400Aは、学習用データセット101Aと同種類のデータを含んでいる。判定用データセット400Aは、判定用データセット400に加えて、さらに、エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報を含んでいてもよい。
【0072】
判定用データセット400Bは、教師データ100Bを用いて学習された判定モデル300を用いて判定装置20が判定を行う際に判定モデル300に入力するデータセットである。そのために、判定用データセット400Bは、学習用データセット101Bと同種類のデータを含んでいる。判定用データセット400Bは、判定用データセット400に加えて、さらに、乗りかご2に乗車している台車の有無を示す台車情報を含んでいてもよい。台車情報は、撮影画像を解析することにより得られてもよい。
【0073】
(判定装置の構成)
判定装置20は、判定モデル300と判定用データセット400とにより乗りかご2の乗車人数の適否を判定する。図6に示すように、判定装置20は、制御部21と、記憶部22と、を備えている。
【0074】
制御部21は、判定装置20の各部を統括して制御するものであり、例えばCPUであってもよい。制御部21は、判定装置20が備える各機能の処理を実行するように制御する。制御部21の詳細については後述する。
【0075】
記憶部22は、制御部21によって読み出される各種コンピュータプログラム、制御部21が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。また、記憶部22は、一例として判定モデル300を記憶している。判定モデル300の所在は記憶部22に限定されるものではなく、判定装置20以外の装置に記憶されていてもよい。
【0076】
(制御部の詳細)
制御部21は、取得部211と、判定部213と、を備えている。取得部211は、判定用データセット400を取得する。取得部211は、例えば、予め判定装置20の記憶部22に記憶された判定用データセット400を取得してもよいし、判定装置20と通信可能な外部装置から判定用データセット400を取得してもよい。
【0077】
判定部213は、学習装置10が生成した判定モデル300(つまり、学習用データセット101とラベル102との関係を学習することにより生成された判定モデル300)に判定用データセット400を入力することにより、乗りかご2の乗車人数の適否を判定する。
【0078】
判定部213は、適正であることを示す判定結果(以下では単に「OK結果」と記載する)、または、不適正であることを示す判定結果(以下では単に「NG結果」と記載する)を、人数設定装置30に出力する。判定モデル300が適正度を示す確率を出力するものである場合、判定部213は、判定モデル300が出力する確率が所定値以上であればOK結果を人数設定装置30に出力し、一方、判定モデル300が出力する確率が所定値未満であればNG結果を人数設定装置30に出力してもよい。また、判定部213は、判定モデル300が出力する確率を人数設定装置30に出力してもよい。
【0079】
制御部21は、取得部211による取得および判定部213による判定を、所定周期で行ってもよい。これにより、乗りかご2内乗車人数の適否を所定周期(例えば、1分毎)で判定できる。
【0080】
また、制御部21は、取得部211による取得および判定部213による判定を、温度および湿度の少なくとも一方である温度湿度の単位時間当たりの変動率が所定閾値を超えたときに行ってもよい。温度湿度の単位時間当たりの変動率がある一定の閾値を超えた場合、利用者が不満を抱きやすい乗車人数が変化すると考えられる。そのため、温度湿度の単位時間当たりの変動率が所定閾値を超えたときに判定を行うことで、効率よく処理を行うことができる。
【0081】
また、制御部21は、取得部211による取得および判定部213による判定を、乗りかご2が出発階を出発する直前に行ってもよい。乗りかご2が戸閉して戸開するまでの間は、乗りかご2内の環境の変化は少ないと考えられる。また、乗りかご2が戸閉して戸開するまでの間、複数回NGの情報が出力されても、乗りかご2の乗車人数を変更することができない。そのため、上記のタイミングで判定を行うことで、効率よく処理を行うことができる。
【0082】
(判定装置の判定処理の流れ)
図8は判定装置20が実行する判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、取得部211は、混雑情報と、時期情報および環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセット400を取得する(ステップS11、取得ステップ)。
【0083】
次に、判定モデル300に判定用データセット400を入力することにより、乗りかご2の乗車人数の適否を判定する(ステップS12、判定ステップ)。
【0084】
その後、判定部213は、判定モデル300から得られた判定結果を人数設定装置30に出力する(ステップS13)。
【0085】
なお、判定装置20の各機能は、複数の情報処理装置で構成されるシステムにより実現することも可能であり、また、判定装置20を構成する各機能は適宜変更することができる。したがって、図8に示した各ステップの実行主体は上述の例に限られない。つまり、図8に示した各ステップは、1つの情報処理装置に実行させることもできるし、複数の情報処理装置に各ステップの処理を分担させることにより実行することもできる。
【0086】
上記処理により、利用者が乗りかご2内乗車人数について不満を抱き得る要因となる混雑情報、時期情報、および環境情報を考慮に入れて、乗りかご2内乗車人数の適否を判定することができる。
【0087】
(人数設定装置)
人数設定装置30は、判定部213の判定結果に応じて、乗りかご2の最大許容乗車人数を設定する。図6に示すように、人数設定装置30は、制御部31と、記憶部32とを備えている。
【0088】
制御部31は、人数設定装置30の各部を統括して制御するものであり、例えばCPUであってもよい。制御部31は、人数設定装置30が備える各機能の処理を実行するように制御する。制御部31の詳細については後述する。
【0089】
記憶部32は、制御部31によって読み出される各種コンピュータプログラム、制御部31が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
【0090】
(制御部の詳細)
制御部31は、取得部311と、人数設定部312と、を備えている。取得部311は、判定装置20の判定結果を取得する。
【0091】
人数設定部312は、判定装置20の判定結果に応じて、乗りかご2の最大許容乗車人数を設定する。具体的には、例えば、人数設定部312は、連続して所定数以上の乗りかご2内乗車人数が不適と判定された場合、すなわち、取得部311が、判定装置20からNG結果を連続して所定回数以上取得した場合、乗りかご2の最大許容乗車人数を減じる。所定回数は任意に設定される。判定装置20からNG結果を所定回数以上取得した場合の最大許容乗車人数の設定方法については後述する。
【0092】
人数設定部312は、取得部311が判定装置20からNG結果を取得した回数が所定回数未満であった場合、乗りかご2の最大許容乗車人数を現状のまま維持する。
【0093】
人数設定部312は、乗りかご2内乗車人数が適切であると判定された場合、すなわち、取得部311が判定装置20からOK結果を取得した場合、現在時刻が所定時間帯に至ったか否か、または、環境条件が所定の条件を満たしたか否かを判定する。環境条件の所定の条件は、例えば、乗りかご2内の温度が所定の基準温度よりも高くなった、または、乗りかご2内の湿度が所定の基準湿度よりも低くなった、等である。
【0094】
人数設定部312は、取得部311が判定装置20からOK結果を取得し、かつ、(1)現在時刻が所定の条件を満たしている、または、(2)環境条件が所定の条件を満たしていると判定すると、最大許容乗車人数を初期値以下の範囲で増加させる。一度に増加させる人数は任意に定めてもよい。上記(1)は例えば現在時刻が通勤時間帯に含まれることである。上記(2)は例えば温度や湿度が規定値に達したことである。人数設定部312は、設定した最大許容乗車人数を群管理制御装置40に送信する。
【0095】
一方、人数設定部312は、取得部311が判定装置20からOK結果を取得し、かつ、現在時刻が所定の条件を満たしていない場合、および、環境条件の所定の条件を満たしていない場合、乗りかご2の最大許容乗車人数を現状のまま維持する。人数設定部312は、設定した最大許容乗車人数を群管理制御装置40に送信する。
【0096】
(最大許容乗車人数の設定例)
上述したように、人数設定部312は、取得部311が、判定装置20からNG結果を所定回数以上取得した場合、乗りかご2の最大許容乗車人数を減じる。最大許容乗車人数の設定例について以下に説明する。
【0097】
(設定例1)
人数設定部312は、取得部311が判定装置20からNG結果を所定回数以上取得した場合、予め設定された人数を現状の乗りかご2の最大許容乗車人数(判定装置20の判定時の最大許容乗車人数)から減じて、乗りかご2の新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0098】
最大許容乗車人数から減じる人数は、仕様定員に応じて決定されていてもよい。例えば、仕様定員が6人である乗りかご2において、取得部311が、判定装置20からNG結果を連続して所定回数以上取得すると、人数設定部312は、現状の最大許容乗車人数から1人を減じた人数を新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0099】
同様に、人数設定部312は、仕様定員が11人、13人、15人または17人である乗りかご2では1人、仕様定員が20人である乗りかご2では2人、仕様定員が24人である乗りかご2では5人、仕様定員が30人である乗りかご2では7人を、現状の最大許容乗車人数から減じた人数を新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0100】
なお、判定装置20の判定時の天候が雨の場合は、最大許容乗車人数から減ずる人数を変更してもよい。その場合、例えば、仕様定員が9人である乗りかご2において、取得部311が、判定装置20からNG結果を連続して所定回数以上取得すると、人数設定部312は、現状の最大許容乗車人数から2人を減じて新たな最大許容乗車人数としてもよい。
【0101】
同様に、人数設定部312は、仕様定員が11人である乗りかご2では2人、仕様定員が13人または15人である乗りかご2では3人、仕様定員が17人である乗りかご2では5人、仕様定員が20人である乗りかご2では4人、仕様定員が24人である乗りかご2では6人、仕様定員が30人である乗りかご2では9人を、現状の最大許容乗車人数から減じて、新たな最大許容乗車人数としてもよい。
【0102】
なお、人数設定部312は、仕様定員から予め設定された人数を減じた人数を、新たな最大許容乗車人数と設定してもよい。また、人数設定部312は、新たな最大許容乗車人数を設定する場合、最大許容乗車人数を最少でも5人程度確保することが望ましい。
【0103】
(設定例2)
人数設定部312は、取得部311が判定装置20からNG結果を連続して所定回数以上取得した場合、利用者の占有面積に基づき、新たな最大許容乗車人数を設定してもよい。例えば、人数設定部312は、通常時の一人あたりの占有面積と、非通常時の一人あたりの占有面積との比率を算出し、その比率に基づき新たな最大許容乗車人数を設定してもよい。
【0104】
例えば、季節の観点で通常時が春夏秋であり非通常時が冬であるものと仮定する。上述したとおり、防寒着着用時の一人あたりの占有面積に対する防寒着非着用時の一人あたりの占有面積の比率は、大よそ0.79となることが知られている。そこで、判定用データセット400の環境情報に含まれる季節が冬である場合は、人数設定部312は、現状の最大許容乗車人数の79%を新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0105】
また、天候の観点で通常時が雨天以外であり非通常時が雨天であるものと仮定する。上述したとおり、傘所持時の一人あたりの占有面積に対する傘非所持時の一人あたりの占有面積の比率は、大よそ0.83となることが知られている。そこで、判定用データセット400の環境情報に含まれる天候が雨の場合は、人数設定部312は、現状の最大許容乗車人数の83%を新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0106】
また、時間帯の観点で通常時がランチタイム以外であり非通常時がランチタイムであるものと仮定する。上述したとおり、飲食用容器所持時の利用者一人あたりの占有面積に対する飲食用容器非所持時の一人あたりの占有面積の比率は、大よそ0.75である。そこで、判定用データセット400の時期情報に含まれる時刻または時間帯がランチタイムの場合は、人数設定部312は、現状の最大許容乗車人数の75%を新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0107】
なお、人数設定部312は、非通常時の一人あたりの占有面積との比率を、仕様定員に乗じて算出される人数を新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0108】
(最大許容乗車人数設定の変形例)
判定装置20の判定部213が適正度を示す確率を出力する場合、人数設定部312は当該確率に従って、または、当該確率に所定演算を施して得られる演算値に従って、新たな最大許容乗車人数を設定してもよい。例えば、70%の確率で適正であることを示す判定結果が出力された場合、人数設定部312は、現状の最大許容乗車人数の70%を新たな最大許容乗車人数として設定してもよい。
【0109】
(群管理制御装置)
群管理制御装置40は、エレベータの複数台の号機の運行を統合的に制御する装置である。群管理制御装置40は、利用者により登録された行先階をエレベータの複数台の号機のいずれかに割り当て、乗りかご2の各々の乗車人数が、乗りかご2の仕様情報に基づいて予め設定された最大許容乗車人数を超えないようにエレベータの複数台の号機の各々の運行を制御する。
【0110】
群管理制御装置40は、制御部41と、記憶部42と、を備えている。制御部41は、群管理制御装置40の各部を統括して制御するものであり、例えばCPUであってもよい。制御部41は、群管理制御装置40が備える各機能の処理を実行するように制御する。
【0111】
制御部41は、判定装置20により、所定数以上の乗りかご2の乗車人数が不適と判定された場合(つまり、NG結果が出力された場合)、最大許容乗車人数の設定値を減じてもよい。当該所定数は1以上の整数である。
【0112】
また、制御部41は、最大許容乗車人数の設定値が初期値より小さい場合において、現在時刻が所定時間帯に至った場合、現状の最大許容乗車人数の設定値を、初期値以下の範囲で増加させてもよい。さらに、制御部41は、現状の最大許容乗車人数の設定値が初期値より小さい場合において、環境情報が所定条件を満たした場合、最大許容乗車人数の設定値を、初期値以下の範囲で増加させてもよい。
【0113】
具体的には、制御部41は、乗りかご2の現状の最大許容乗車人数の設定値を、人数設定装置30が設定した新たな最大許容乗車人数に変更する。これにより、判定装置20の判定結果に基づき、乗りかご2の乗車人数が適正となるように、乗りかご2の運行を制御することができる。
【0114】
記憶部42は、制御部41によって読み出される各種コンピュータプログラム、制御部41が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
【0115】
(人数設定装置および群管理制御装置の処理の流れ)
図9は、人数設定装置30および群管理制御装置40の処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0116】
人数設定装置30の人数設定部312は、判定装置20からOK結果が出力されたか否かを判定する(ステップS21)。判定装置20からNG結果が出力された場合(ステップS21でNO)、人数設定部312は、判定装置20から連続して所定回数以上のNG結果が出力されたか否かを判定する(ステップS26)。
【0117】
判定装置20から連続して所定回数以上のNG結果が出力された場合(ステップS26でYES)、人数設定部312は現状の最大許容乗車人数を減じ(ステップS27)、新たに設定した乗りかご2の最大許容乗車人数を群管理制御装置40に送信する(ステップS24)。
【0118】
群管理制御装置40は、最大許容乗車人数の設定値を人数設定装置30から送信された新たな最大許容乗車人数に変更し、乗りかご2の運行制御を行う(ステップS25)。
【0119】
判定装置20からOK結果が出力された場合(ステップS21でYES)、人数設定部312は、所定の条件を満たしたか否かを判定する(ステップS22)。所定の条件を満たしている場合(ステップS22でYES)、人数設定部312は、乗りかご2の最大許容乗車人数を最大許容乗車人数の初期値以下の範囲で増加させ(ステップS23)、ステップS24の処理を行う。
【0120】
所定の条件を満たしていない場合(ステップS22でNO)、ステップS21の処理に戻る。また、判定装置20から連続してNG結果が出力された回数が所定回数未満の場合(ステップS26でNO)も、ステップS21の処理に戻る。
【0121】
群管理制御装置40は、人数設定装置30から送信された新たな最大許容乗車人数により、群管理制御装置40が管理する全ての乗りかご2についての最大許容乗車人数の設定値を変更してもよく、対応する乗りかご2のみの最大許容乗車人数の設定値を変更してもよい。
【0122】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0123】
実施形態1と実施形態2とは、教師データ100Cの学習用データセット101Cに混雑を許容する時間の長さの情報が含まれている点と、判定用データセット400Cに移動時間の長さが含まれている点が異なり、その他の構成は同じである。これにより、利用者が不満を抱く原因となる移動時間を考慮して、乗車人数の適否を判定することができる。
【0124】
(教師データ)
図10は本実施形態に係る教師データ100Cの一例を示す図である。図10に示すように、教師データ100Cは、学習用データセット101Cにラベル102が対応付けられている。学習用データセット101Cは、学習用データセット101に加えて、混雑を許容する時間の長さを含む。
【0125】
混雑を許容する時間の長さは、乗りかご2の撮影画像に基づき任意に設定してもよいし、予め定められた固定値が設定されてもよい。
【0126】
学習用データセット101Cに対して、乗りかご2の乗車人数が適正であることを示すラベル102(正解データ)が対応付けられて教師データCが生成される。学習用データセット101Cのラベル102の対応付けは、実施形態1での学習用データセット101のラベル102の対応付けに加えて、「混雑を許容する時間の長さ」を考慮して行われる。
【0127】
実施形態1において正解データがラベル付された学習用データセット101は、当該学習用データセット101にどのような「混雑を許容する時間」が付加されて学習用データセット101Cとなっても、正解データがラベル付された教師データ100Cとなる。
【0128】
一方、実施形態1において不正解データがラベル付された学習用データセット101は、当該学習用データセット101に付加される「混雑を許容する時間」によりラベル付が異なり得る。乗りかご2の乗車人数が最大許容乗車人数よりも多くても、移動時間が「混雑を許容する時間」内であれば、利用者は不満を抱かないと考えられるからである。
【0129】
例えば、実施形態1において不正解データがラベル付された学習用データセット101に「混雑を許容する時間」が付加された学習用データセット101Cであっても、当該学習用データセット101の時刻から乗りかご2が次の停止階に停止するまでの時間が、「混雑を許容する時間」以内であれば、正解データがラベル付された教師データ100Cとなる。
【0130】
一方、実施形態1において不正解データがラベル付された学習用データセット101に「混雑を許容する時間」が付加された学習用データセット101Cであっても、当該学習用データセット101の時刻から乗りかご2の次の停止階に停止するまでの時間が、「混雑を許容する時間」よりも長ければ、不正解データがラベル付された教師データ100Cとなる。
【0131】
利用者は乗りかご2が混雑していても、混雑している乗りかご2の中にいる時間が短ければ不満を抱きにくく、混雑している乗りかご2の中にいる時間が長い程、不満を抱きやすいと考えらえる。そのため、学習用データセット101Cに混雑を許容する時間を含めることで、より適切に、エレベータの利用者が乗りかご2内乗車人数について不満を抱き得る要因を考慮に入れた教師データ100Cを生成することができる。
【0132】
(学習装置)
学習装置10の学習部112は、学習用データセット101Cに対して、乗りかご2の乗車人数が適正であることを示すラベル102(正解データ)が対応付けられた教師データ100Cを用いて学習を行うことにより、撮影時点における乗りかご2の乗車人数の適否を判定するための判定モデル300を生成する。また、教師データ100Cとして、学習用データセット101Cに対して乗りかご2の乗車人数が不適正であることを示すラベル102(不正解データ)が対応づけられたデータを採用してもよい。
【0133】
(判定用データセット)
図11は本実施形態に係る判定用データセット400Cの一例を示す図である。図11に示すように、判定用データセット400Cは、混雑情報と、時期情報および環境情報の少なくとも一方と、乗りかご2が出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む。
【0134】
本実施形態における判定装置20では、出発階から次の停止階への移動時間の長さを考慮に入れた乗りかご2の乗車人数の適否について判定を行うため、判定用データセット400Cにおける混雑情報は、エレベータの乗りかご2が出発階を出発する直前に乗りかご2内を撮影して得られた撮影画像から推定された乗りかご2内の混雑の度合を示す情報であることが望ましい。
【0135】
(判定装置)
取得部211は、判定用データセット400Cを取得する。判定部213は、学習用データセット101Cと、ラベル102との関係を学習することにより生成された判定モデル300に判定用データセット400Cを入力することにより、乗りかご2の乗車人数の適否を判定する。
【0136】
(判定装置の判定処理の流れ)
本実施形態における判定装置20の判定処理の流れについて図8に基づき説明する。まず、取得部211は、混雑情報と、時期情報および環境情報の少なくとも一方と、乗りかご2が出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む判定用データセット400Cを取得する(ステップS11、取得ステップ)。
【0137】
次に、混雑情報と、時期情報および環境情報の少なくとも一方と、混雑を許容する時間の長さと、を含む学習用データセット101Cと、ラベル102との関係を学習することにより生成された判定モデル300に、判定用データセット400Cを入力することにより、乗りかご2の乗車人数の適否を判定する(ステップS12、判定ステップ)。
【0138】
その後、判定部213は、判定モデル300から得られた判定結果を人数設定装置30に出力する(ステップS13)。
【0139】
(変形例)
図12は本実施形態の変形例に係る判定装置20の一例を示すブロック図である。図12に示すように、本実施形態の変形例に係る判定装置20において、制御部21は補正部212をさらに備えている。
【0140】
いわゆるシャトルエレベータは、予め定められた1または複数の階床には乗りかご2が常時停止せずに通過するよう運行される。例えば、高層ビルにおいて、ロビー階と中階層または上層階との間を、低階層に停止することなく行き来するエレベータがこれに該当する。このようなエレベータでは、常時停止しない階床を通過する時間を考慮したうえで、乗車人数の適否を判定することが好ましいことを本願発明者らは見出した。
【0141】
具体的には、出発階と停止階との間に乗りかご2が常時停止しない階床が存在する場合、補正部212が、判定用データセット400Cに含まれる移動時間から、乗りかご2が階床を通過する時間を減じることにより、当該移動時間を補正することが好ましい。
【0142】
その場合、判定部213は、補正部212で補正した補正後の移動時間を含む判定用データセット400Cを判定モデル300に入力し、乗りかご2の乗車人数の適否を判定してもよい。
【0143】
利用者は、混雑している乗りかご2の中にいる時間が長い程不満を抱きやすいが、乗りかご2の出発階から停止階までの運行において、常時停止しない階床を通過している間は、利用者は「通過する時間は仕方がない」という心理が働く傾向にある。そのため、常時停止しない階床を通過している時間分は、利用者の混雑を許容する時間に含まなくてもよいと考えらえる。したがって、補正部212で判定用データセット400Cに含まれる移動時間から、乗りかご2が階床を通過する時間を減じた補正後の移動時間を含む判定用データセット400Cで判定装置20が判定を行うことで、より正確に、乗りかご2内乗車人数の適否を判定することができる。
【0144】
〔ソフトウェアによる実現例〕
学習装置(10)および判定装置(20)(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部(11)および制御部(21)に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0145】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0146】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0147】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0148】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0149】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0150】
2 乗りかご(かご)
10 学習装置
20 判定装置
40 群管理制御装置
100、100A、100B、100C、100D1~100D4 教師データ
101、101A、101B、101C、101D1~101D4 学習用データセット
102、102D1~102D4 ラベル
111、211、311 取得部
112 学習部
212 補正部
213 判定部
300 判定モデル
400、400A、400B、400C 判定用データセット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さとを含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得部と、
前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習部と、を備える学習装置。
【請求項2】
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報とを含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得部と、
前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習部と、を備える学習装置。
【請求項3】
前記混雑の度合は、前記撮影画像において前記かごを除く被撮影物が映る総領域の、前記撮影画像の全体領域に対する割合である、請求項1または2に記載の学習装置。
【請求項4】
前記時期は、日時、時間帯、曜日、および季節、の少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載の学習装置。
【請求項5】
前記温度は、前記かご内の温度、前記エレベータの乗場の温度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の温度、の少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載の学習装置。
【請求項6】
前記湿度は、前記かご内の湿度、前記エレベータの乗場の湿度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の湿度、の少なくともいずれかを含む、請求項1または2に記載の学習装置。
【請求項7】
前記データセットは、前記撮影時の前記かご内の照明の度合を示す情報をさらに含む、請求項1または2に記載の学習装置。
【請求項8】
前記照明の度合は、前記撮影画像から推定されたものである、請求項に記載の学習装置。
【請求項9】
前記データセットは、さらに、前記かごに乗車している台車の有無を示す台車情報を含む、請求項1または2に記載の学習装置。
【請求項10】
前記台車情報は、前記撮影画像を解析することにより得られる、請求項に記載の学習装置。
【請求項11】
1または複数の情報処理装置が実行する学習方法であって、
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さとを含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得ステップと、
前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習ステップと、を含む学習方法。
【請求項12】
1または複数の情報処理装置が実行する学習方法であって、
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報とを含むデータセットに対して、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データが対応付けられた教師データを取得する取得ステップと、
前記教師データを用いて学習を行うことにより、前記撮影時点における前記かごの乗車人数の適否を判定するための判定モデルを生成する学習ステップと、を含む学習方法。
【請求項13】
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報とを含む判定用データセットを取得する取得部と、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方と前記イベント情報とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備える判定装置。
【請求項14】
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得部と、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備え、
前記取得部による前記取得および前記判定部による前記判定を、所定周期で行う、判定装置。
【請求項15】
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得部と、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備え、
前記環境情報は、温度および湿度の少なくとも一方である温度湿度を含み、
前記取得部による前記取得および前記判定部による前記判定を、前記温度湿度の単位時間当たりの変動率が所定閾値を超えたときに行う、判定装置。
【請求項16】
エレベータのかごが出発階を出発する直前に前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における当該撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記かごが前記出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む判定用データセットを取得する取得部と、
前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、および、前記環境における当該撮影時の環境情報との少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さと、を含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定部と、を備える判定装置。
【請求項17】
前記出発階と前記停止階との間に前記かごが常時停止しない階床が存在する場合、前記判定用データセットに含まれる前記移動時間から、前記かごが前記階床を通過する時間を減じることにより、当該移動時間を補正する補正部をさらに備え、
前記判定部は、前記補正後の前記移動時間を含む前記判定用データセットを前記判定モデルに入力する、請求項16に記載の判定装置。
【請求項18】
前記混雑の度合は、前記撮影画像において前記かごを除く被撮影物が映る総領域の、前記撮影画像の全体領域に対する割合である、請求項13から17のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項19】
前記時期は、日時、時間帯、曜日、および季節、の少なくともいずれかを含む、請求項13から17のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項20】
前記温度は、前記かご内の温度、前記エレベータの乗場の温度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の温度、の少なくともいずれかを含む、請求項13から17のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項21】
前記湿度は、前記かご内の湿度、前記エレベータの乗場の湿度、および、前記エレベータの設置場所の屋外の湿度、の少なくともいずれかを含む、請求項13から17のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項22】
前記学習用データセットおよび前記判定用データセットは、前記撮影時の前記かご内の照明の度合を示す情報をさらに含む、請求項13から17のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項23】
前記照明の度合は、前記撮影画像から推定されたものである、請求項22に記載の判定装置。
【請求項24】
前記学習用データセットおよび前記判定用データセットは、前記エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報をさらに含む、請求項14から17のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項25】
前記学習用データセットおよび前記判定用データセットは、前記かごに乗車している台車の有無を示す台車情報をさらに含む、請求項13から17のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項26】
前記台車情報は、前記撮影画像を解析することにより得られる、請求項25に記載の判定装置。
【請求項27】
前記取得部による前記取得および前記判定部による前記判定を、前記かごが出発階を出発する直前に行う、請求項13に記載の判定装置。
【請求項28】
利用者により登録された行先階を前記エレベータの複数台の号機のいずれかに割り当てる群管理制御装置であって、
前記かごの各々の乗車人数が、前記かごの仕様情報に基づいて予め設定された最大許容乗車人数を超えないように前記号機の各々の運行を制御し、
請求項13から17のいずれか1項に記載の判定装置により、所定数以上の前記かごの前記乗車人数が不適と判定された場合、前記最大許容乗車人数の設定値を減じる、群管理制御装置。
【請求項29】
前記最大許容乗車人数の設定値が初期値より小さい場合において、現在時刻が所定時間帯に至った場合、前記最大許容乗車人数の設定値を、前記初期値以下の範囲で増加させる、請求項28に記載の群管理制御装置。
【請求項30】
前記最大許容乗車人数の設定値が初期値より小さい場合において、前記環境情報が所定条件を満たした場合、前記最大許容乗車人数の設定値を、前記初期値以下の範囲で増加させる、請求項28に記載の群管理制御装置。
【請求項31】
1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記エレベータが設置されている建物で行われているイベントを示すイベント情報とを含む判定用データセットを取得する取得ステップと、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方と前記イベント情報とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含む判定方法。
【請求項32】
1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得ステップと、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含み、
前記取得ステップにおける前記取得および前記判定ステップにおける前記判定を、所定周期で行う、判定方法。
【請求項33】
1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、
エレベータのかご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、前記撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における前記撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、を含む判定用データセットを取得する取得ステップと、
前記混雑情報と前記時期情報および前記環境情報の少なくとも一方とを含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含み、
前記環境情報は、温度および湿度の少なくとも一方である温度湿度を含み、
前記取得ステップにおける前記取得および前記判定ステップにおける前記判定を、前記温度湿度の単位時間当たりの変動率が所定閾値を超えたときに行う、判定方法。
【請求項34】
1または複数の情報処理装置が実行する判定方法であって、
エレベータのかごが出発階を出発する直前に前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記かご内の混雑の度合を示す混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、並びに、前記エレベータが設置されている環境における当該撮影時の天候、温度、および湿度の少なくともいずれかを示す環境情報の少なくとも一方と、前記かごが前記出発階から次の停止階へ移動する移動時間の長さと、を含む判定用データセットを取得する取得ステップと、
前記かご内を撮影して得られた撮影画像から推定された前記混雑情報と、当該撮影の時期を示す時期情報、および、前記環境における当該撮影時の環境情報との少なくとも一方と、前記混雑を許容する時間の長さと、を含む学習用データセットと、前記かごの乗車人数が適正であることを示す正解データとの関係を学習することにより生成された判定モデルに、前記判定用データセットを入力することにより、前記かごの乗車人数の適否を判定する判定ステップと、を含む判定方法。