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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126576
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ガス分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3504 20140101AFI20240912BHJP
【FI】
G01N21/3504
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035013
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】中城 安里珠
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
(72)【発明者】
【氏名】光本 康彦
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB01
2G059EE01
2G059KK01
2G059MM14
(57)【要約】
【課題】調整の容易性、迅速性、安全性などに優れるガス分析装置を提供する。
【解決手段】光を出す発光部2と、発光部2から出て被測定ガス3を透過した光の強度に基づいて被測定ガス3の物性を分析する分析部4と、光透過部6、少なくとも1つの封入容器7及び切り替え部8を有する調整部5とを有し、封入容器7は、光透過部6に配置され且つ調整用ガスを封入した状態において、発光部2を出た光が調整用ガスを透過して分析部4に入ることを許容し、切り替え部8は、光透過部6に所定の封入容器7が配置された第1状態と、光透過部6に所定の封入容器7が配置されず且つ発光部2を出た光が分析部4に入ることが許容される第2状態とを切り替え可能である、ガス分析装置1。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出す発光部と、
前記発光部から出て被測定ガスを透過した前記光の強度に基づいて前記被測定ガスの物性を分析する分析部と、
光透過部、少なくとも1つの封入容器及び切り替え部を有する調整部とを有し、
前記封入容器は、前記光透過部に配置され且つ調整用ガスを封入した状態において、前記発光部を出た前記光が前記調整用ガスを透過して前記分析部に入ることを許容し、
前記切り替え部は、前記光透過部に所定の前記封入容器が配置された第1状態と、前記光透過部に前記所定の封入容器が配置されず且つ前記発光部を出た前記光が前記分析部に入ることが許容される第2状態とを切り替え可能である、ガス分析装置。
【請求項2】
前記第2状態において、前記所定の封入容器以外の前記封入容器が前記光透過部に配置される、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項3】
前記第2状態において、前記封入容器が前記光透過部に配置されない、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項4】
前記第2状態において、前記所定の封入容器以外の前記封入容器が前記光透過部に配置され、
前記切り替え部は、前記第1状態と、前記第2状態と、前記封入容器が前記光透過部に配置されず且つ前記発光部を出た前記光が前記分析部に入ることが許容される第3状態とを切り替え可能である、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項5】
前記調整部は、濃度又は成分が互いに異なる前記調整用ガスを封入する複数の前記封入容器を有し、
前記切り替え部は、前記光透過部に前記複数の封入容器のそれぞれを選択的に配置可能である、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項6】
前記複数の封入容器は、前記調整用ガスとして、所定のガス成分に対するスパン校正用ガスを封入する前記封入容器と、前記調整用ガスとして、前記所定のガス成分に対するゼロ点校正用ガスを封入する前記封入容器とを含む、請求項5に記載のガス分析装置。
【請求項7】
前記複数の封入容器は、前記調整用ガスとして、所定のガス成分に対するスパン校正用ガスを封入する前記封入容器と、前記調整用ガスとして、前記所定のガス成分に対するゼロ点校正用ガスを封入する前記封入容器と、前記調整用ガスとして、前記所定のガス成分に対する直線性の検査・確認用ガスを封入する前記封入容器とを含む、請求項5に記載のガス分析装置。
【請求項8】
前記調整用ガスとして前記光の波長の基準となる光波長診断用ガス成分を封入する前記封入容器を有する、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項9】
前記切り替え部は、少なくとも1つの前記封入容器を伴って前記光透過部に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部を有し、
前記切り替え部は、前記少なくとも1つの動作部の前記動作により、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え可能である、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項10】
前記切り替え部は、少なくとも1つの前記封入容器を伴って前記光透過部に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部を有し、
前記切り替え部は、前記少なくとも1つの動作部の前記動作により、前記第1状態と前記第2状態と前記第3状態とを切り替え可能である、請求項4に記載のガス分析装置。
【請求項11】
前記切り替え部は、少なくとも1つの前記封入容器を伴って前記光透過部に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部を有し、
前記切り替え部は、前記少なくとも1つの動作部の前記動作により、前記光透過部に前記複数の封入容器のそれぞれを選択的に配置可能である、請求項5に記載のガス分析装置。
【請求項12】
前記動作部の前記動作は回転である、請求項9~11の何れか1項に記載のガス分析装置。
【請求項13】
前記動作部の前記動作はスライドである、請求項9~11の何れか1項に記載のガス分析装置。
【請求項14】
前記発光部を出て前記被測定ガスを通った前記光を前記分析部に向けて反射する反射部を有し、前記発光部と前記分析部とが前記被測定ガスに対する片側に配置される反射型ガス分析装置である、請求項1に記載のガス分析装置。
【請求項15】
前記調整部は、前記光を反射する調整用反射部と、前記調整用反射部が前記光透過部に配置された反射状態と前記調整用反射部が前記光透過部に配置されない非反射状態とを切り替え可能な反射用切り替え部とを有し、
前記反射状態では、前記調整用反射部は、前記第1状態で前記発光部を出て前記所定の封入容器を透過した前記光を前記被測定ガスに入る前に反射し、前記所定の封入容器を透過させて前記分析部に入れ、
前記非反射状態では、前記調整用反射部は、前記第2状態で前記発光部を出た前記光が前記反射部で反射されて前記分析部に入ることを許容する、請求項14に記載のガス分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はガス分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光を出す発光部と、発光部から出て被測定ガスを透過した光の強度に基づいて被測定ガスの物性を分析する分析部と、校正のために調整用ガス収容部を有する調整部とを有するガス分析装置が知られている(例えば特許文献1の図7等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-191154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなガス分析装置は、校正、診断などの調整の容易性、迅速性、安全性などに優れることが好ましい。
【0005】
そこで本開示の目的は、調整の容易性、迅速性、安全性などに優れるガス分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
光を出す発光部と、
前記発光部から出て被測定ガスを透過した前記光の強度に基づいて前記被測定ガスの物性を分析する分析部と、
光透過部、少なくとも1つの封入容器及び切り替え部を有する調整部とを有し、
前記封入容器は、前記光透過部に配置され且つ調整用ガスを封入した状態において、前記発光部を出た前記光が前記調整用ガスを透過して前記分析部に入ることを許容し、
前記切り替え部は、前記光透過部に所定の前記封入容器が配置された第1状態と、前記光透過部に前記所定の封入容器が配置されず且つ前記発光部を出た前記光が前記分析部に入ることが許容される第2状態とを切り替え可能である、ガス分析装置。
【0008】
[2]
前記第2状態において、前記所定の封入容器以外の前記封入容器が前記光透過部に配置される、[1]に記載のガス分析装置。
【0009】
[3]
前記第2状態において、前記封入容器が前記光透過部に配置されない、[1]に記載のガス分析装置。
【0010】
[4]
前記第2状態において、前記所定の封入容器以外の前記封入容器が前記光透過部に配置され、
前記切り替え部は、前記第1状態と、前記第2状態と、前記封入容器が前記光透過部に配置されず且つ前記発光部を出た前記光が前記分析部に入ることが許容される第3状態とを切り替え可能である、[1]又は[2]に記載のガス分析装置。
【0011】
[5]
前記調整部は、濃度又は成分が互いに異なる前記調整用ガスを封入する複数の前記封入容器を有し、
前記切り替え部は、前記光透過部に前記複数の封入容器のそれぞれを選択的に配置可能である、[1]~[4]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0012】
[6]
前記複数の封入容器は、前記調整用ガスとして、所定のガス成分に対するスパン校正用ガスを封入する前記封入容器と、前記調整用ガスとして、前記所定のガス成分に対するゼロ点校正用ガスを封入する前記封入容器とを含む、[5]に記載のガス分析装置。
【0013】
[7]
前記複数の封入容器は、前記調整用ガスとして、所定のガス成分に対するスパン校正用ガスを封入する前記封入容器と、前記調整用ガスとして、前記所定のガス成分に対するゼロ点校正用ガスを封入する前記封入容器と、前記調整用ガスとして、前記所定のガス成分に対する直線性の検査・確認用ガスを封入する前記封入容器とを含む、[5]に記載のガス分析装置。
【0014】
[8]
前記調整用ガスとして前記光の波長の基準となる光波長診断用ガス成分を封入する前記封入容器を有する、[1]~[7]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0015】
[9]
前記切り替え部は、少なくとも1つの前記封入容器を伴って前記光透過部に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部を有し、
前記切り替え部は、前記少なくとも1つの動作部の前記動作により、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え可能である、[1]~[8]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0016】
[10]
前記切り替え部は、少なくとも1つの前記封入容器を伴って前記光透過部に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部を有し、
前記切り替え部は、前記少なくとも1つの動作部の前記動作により、前記第1状態と前記第2状態と前記第3状態とを切り替え可能である、[4]に記載のガス分析装置。
【0017】
[11]
前記切り替え部は、少なくとも1つの前記封入容器を伴って前記光透過部に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部を有し、
前記切り替え部は、前記少なくとも1つの動作部の前記動作により、前記光透過部に前記複数の封入容器のそれぞれを選択的に配置可能である、[5]~[8]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0018】
[12]
前記動作部の前記動作は回転である、[9]~[11]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0019】
[13]
前記動作部は第1歯車部を有し、
前記切り替え部は、前記第1歯車部に噛み合う第2歯車部を有する回転操作部を有し、
前記動作部は、前記回転操作部の回転によって回転させられ、
前記調整部は、前記回転操作部の一部を露出し且つ前記動作部を全体的又は部分的に覆うカバー部を有する、[12]に記載のガス分析装置。
【0020】
[14]
前記回転操作部を回転駆動する駆動部を有する、[13]に記載のガス分析装置。
【0021】
[15]
前記動作部の前記動作はスライドである、[9]~[11]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0022】
[16]
複数の前記封入容器が前記動作部に並べて配置され、
前記動作部の前記動作は、前記複数の封入容器が並ぶ方向に前記複数の封入容器が移動するように行われる、[9]~[15]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0023】
[17]
複数の前記動作部が個別に前記動作をし得る、[15]に記載のガス分析装置。
【0024】
[18]
前記封入容器は前記動作部に着脱可能に配置される、[9]~[17]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0025】
[19]
前記動作部は、動作部本体と、前記封入容器を着脱可能な少なくとも1つの蓋体とを有し、前記蓋体は、前記動作部本体に着脱可能に取り付けられることで、前記蓋体に着脱可能に取り付けられた前記封入容器を前記動作部本体の内部空間に収容する、[18]に記載のガス分析装置。
【0026】
[20]
前記発光部と前記分析部とが前記被測定ガスに対する両側に配置される対向型ガス分析装置である、[1]~[19]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0027】
[21]
前記発光部を出て前記被測定ガスを通った前記光を前記分析部に向けて反射する反射部を有し、前記発光部と前記分析部とが前記被測定ガスに対する片側に配置される反射型ガス分析装置である、[1]~[19]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0028】
[22]
前記調整部は、前記光を反射する調整用反射部と、前記調整用反射部が前記光透過部に配置された反射状態と前記調整用反射部が前記光透過部に配置されない非反射状態とを切り替え可能な反射用切り替え部とを有し、
前記反射状態では、前記調整用反射部は、前記第1状態で前記発光部を出て前記所定の封入容器を透過した前記光を前記被測定ガスに入る前に反射し、前記所定の封入容器を透過させて前記分析部に入れ、
前記非反射状態では、前記調整用反射部は、前記第2状態で前記発光部を出た前記光が前記反射部で反射されて前記分析部に入ることを許容する、[21]に記載のガス分析装置。
【0029】
[23]
前記反射用切り替え部は、前記調整用反射部を伴って前記光透過部に対する動作をし得る反射用動作部を有し、
前記反射用切り替え部は、前記反射用動作部により、前記光透過部に前記調整用反射部を配置可能である、[22]に記載のガス分析装置。
【0030】
[24]
前記反射用動作部の前記動作は回転である、[23]に記載のガス分析装置。
【0031】
[25]
前記反射用動作部は反射用第1歯車部を有し、
前記反射用切り替え部は、前記反射用第1歯車部に噛み合う反射用第2歯車部を有する反射用回転操作部を有し、
前記反射用動作部は、前記反射用回転操作部の回転によって回転させられ、
前記調整部は、前記反射用回転操作部の一部を露出し且つ前記反射用動作部を全体的又は部分的に覆う反射用カバー部を有する、[24]に記載のガス分析装置。
【0032】
[26]
前記反射用回転操作部を回転駆動する反射用駆動部を有する、[25]に記載のガス分析装置。
【0033】
[27]
前記反射用動作部の前記動作はスライドである、[23]に記載のガス分析装置。
【0034】
[28]
前記調整部は、前記封入容器及び前記切り替え部を有する第1層部分と、前記調整用反射部及び前記反射用切り替え部を有する第2層部分と、前記第1層部分と前記第2層部分とに跨る前記光透過部とを有する、[22]~[27]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0035】
[29]
前記発光部は、前記光として所定の波長範囲のレーザーを発振するレーザー発振部である、[1]~[28]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【0036】
[30]
前記分析部は、吸収分光法による分析を行う、[1]~[29]の何れか1項に記載のガス分析装置。
【発明の効果】
【0037】
本開示によれば、調整の容易性、迅速性、安全性などに優れるガス分析装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A】一実施形態に係るガス分析装置が有する調整部を部分的に示す正面図である。
図1B図1Aに示す部分の背面図である。
図1C図1Aに示す部分を斜めから見た投影図である。
図2】対向型ガス分析装置の概念図である。
図3】反射型ガス分析装置の概念図である。
図4A図1Aに示す部分を有する調整部を示す一部断面投影図である。
図4B図4Aに示す部分を斜めから見た投影図である。
図5A】調整部の他の例を斜めから見た投影図である。
図5B図5Aに示す調整部を部分的に示す投影図である。
図5C図5Aに示す調整部における切り替え部の蓋と、蓋に装着された封入容器とを示す投影図である。
図5D図5Aに示す調整部における切り替え部の蓋を示す投影図である。
図6】対向型ガス分析装置を測定箇所で調整する時の状態を示す模式図である。
図7】反射型ガス分析装置を測定箇所で調整する時の状態を示す模式図である。
図8】対向型ガス分析装置を測定箇所から取り外して調整する時の状態を示す模式図である。
図9】調整部の他の例を示す正面図である。
図10】調整部の他の例を示す正面図である。
図11A】調整部の他の例における第1層部分を示す正面図である。
図11B図11Aに示す第1層部分の背面側に位置する第2層部分を示す正面図である。
図11C図11Aに示す第1層部分と図11Bに示す第2層部分とを有する調整部を有するガス分析装置を調整する時の状態を示す模式図である。
図11D図11Cに示すガス分析装置で測定する時の状態を示す概念図である。
図11E図11Cに示すガス分析装置で調整する時の状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0040】
図1図4Bに示すように、一実施形態に係るガス分析装置1は、光を出す発光部2と、発光部2から出て被測定ガス3を透過した光の強度に基づいて被測定ガス3の物性を分析する分析部4と、光透過部6、少なくとも1つの封入容器7及び切り替え部8を有する調整部5とを有し、封入容器7は、光透過部6に配置され且つ調整用ガスを封入した状態において、発光部2を出た光が調整用ガスを透過して分析部4に入ることを許容し、切り替え部8は、光透過部6に所定の封入容器7が配置された第1状態と、光透過部6に所定の封入容器7が配置されず且つ発光部2を出た光が分析部4に入ることが許容される第2状態とを切り替え可能である。
【0041】
上記構成によれば、切り替え部8によって第1状態にすることで、所定の封入容器7内の調整用ガスを用いた校正、診断などの調整を行うことができ、切り替え部8によって第2状態にすることで、第1状態の時とは異なる調整、或いは被測定ガス3の測定などを行うことができる。したがって、切り替え部8の利用により、調整の容易性、迅速性、安全性などを高めることができる。また上記構成によれば、調整に封入容器7を用いることからも、調整の容易性、迅速性、安全性などを高めることができる。したがって上記構成によれば、調整の容易性、迅速性、安全性などに優れるガス分析装置1を実現できる。分析部4によって分析される被測定ガス3の物性は、例えば、単一又は複数のガス成分の濃度又は有無を含む。
【0042】
第2状態において、所定の封入容器7以外の封入容器7が光透過部6に配置される構成としてもよい。上記構成によれば、切り替え部8によって第1状態にすることで、所定の封入容器7内の調整用ガスを用いた調整を行うことができ、切り替え部8によって第2状態にすることで、第1状態の時とは異なる調整を行うことができる。
【0043】
第2状態において、封入容器7が光透過部6に配置されない構成としてもよい。上記構成によれば、切り替え部8によって第1状態にすることで、所定の封入容器7内の調整用ガスを用いた調整を行うことができ、切り替え部8によって第2状態にすることで、被測定ガス3の測定を行うことができる。この場合、第2状態において光透過部6には何も配置されない構成、すなわち、第2状態において光透過部6が空洞からなる構成としてもよい。
【0044】
第2状態において、所定の封入容器7以外の封入容器7が光透過部6に配置され、切り替え部8は、第1状態と、第2状態と、封入容器7が光透過部6に配置されず且つ発光部2を出た光が分析部4に入ることが許容される第3状態とを切り替え可能である構成としてもよい。上記構成によれば、切り替え部8によって第1状態にすることで、所定の封入容器7内の調整用ガスを用いた調整を行うことができ、切り替え部8によって第2状態にすることで、第1状態の時とは異なる調整を行うことができ、切り替え部8によって第3状態にすることで、被測定ガス3の測定を行うことができる。
【0045】
調整部5は、濃度又は成分が互いに異なる調整用ガスを封入する複数の封入容器7を有し、切り替え部8は、光透過部6に複数の封入容器7のそれぞれを選択的に配置可能である。上記構成によれば、複数の調整を切り替え部8によって容易に行うことができる。
【0046】
複数の封入容器7は、調整用ガスとして、所定のガス成分に対するスパン校正用ガスを封入する封入容器7と、調整用ガスとして、所定のガス成分に対するゼロ点校正用ガスを封入する封入容器7とを含む構成としてもよい。上記構成によれば、所定のガス成分に対するスパン及びゼロ点の校正を切り替え部8によって容易に行うことができる。スパン校正用ガスは、所定の濃度の所定のガス成分を含むガスである。ゼロ点校正用ガスは、発光部2から出る光を実質的に吸収しないガス(例えば窒素)である。
【0047】
複数の封入容器7は、調整用ガスとして、所定のガス成分に対するスパン校正用ガスを封入する封入容器7と、調整用ガスとして、所定のガス成分に対するゼロ点校正用ガスを封入する封入容器7と、調整用ガスとして、所定のガス成分に対する直線性の検査・確認用ガスを封入する封入容器7とを含む構成としてもよい。上記構成によれば、所定のガス成分に対するスパン点及びゼロ点の校正、並びに直線性の検査・確認を切り替え部8によって容易に行うことができる。直線性の検査・確認用ガスは、スパン校正用ガスの半分程度の濃度の所定のガス成分を含むガスである。
【0048】
ガス分析装置1は、調整用ガスとして光の波長の基準となる光波長診断用ガス成分を封入する封入容器7を有する。上記構成によれば、発光部2から発振されるレーザーの波長が基準からずれていないかの診断を切り替え部8によって容易に行うことができる。光波長診断用ガス成分のピーク波長は、レーザーの波長範囲内にあり且つ被測定ガス3に含まれる被測定ガス3成分のピーク波長とは異なる。光波長診断用ガス成分を封入する封入容器7を光透過部6に配置した状態とし、この状態のままで、光波長診断用ガス成分によりレーザーの波長を基準に合わせながら被測定ガス3の測定を行ってもよい。
【0049】
切り替え部8は、少なくとも1つの封入容器7を伴って光透過部6に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部8aを有し、切り替え部8は、少なくとも1つの動作部8aの動作により、第1状態と第2状態とを切り替え可能である。上記構成によれば、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0050】
切り替え部8は、少なくとも1つの封入容器7を伴って光透過部6に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部8aを有し、切り替え部8は、少なくとも1つの動作部8aの動作により、第1状態と第2状態と第3状態とを切り替え可能である。上記構成によれば、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0051】
切り替え部8は、少なくとも1つの封入容器7を伴って光透過部6に対する動作をし得る少なくとも1つの動作部8aを有し、切り替え部8は、少なくとも1つの動作部8aの動作により、光透過部6に複数の封入容器7のそれぞれを選択的に配置可能である。上記構成によれば、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0052】
動作部8aの動作は回転である。上記構成によれば、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0053】
動作部8aは第1歯車部8a1を有し、切り替え部8は、第1歯車部8a1に噛み合う第2歯車部8b1を有する回転操作部8bを有し、動作部8aは、回転操作部8bの回転によって回転させられ、調整部5は、回転操作部8bの一部を露出し且つ動作部8aを全体的又は部分的に覆うカバー部9を有する。上記構成によれば、調整部5の光透過部6への異物の侵入をカバー部9によって抑制できるため、ガス分析の精度を高めることができる。また、カバー部9の外部から例えば手で回転操作部8bを操作することで、回転操作部8bを介して動作部8aを操作し、動作させることができる。
【0054】
回転操作部8bを回転駆動する駆動部を有する構成としてもよい。上記構成によれば、駆動部によって回転操作部8bを介して動作部8aを動作させることができる。駆動部は例えば、電動モータ等のアクチュエータ等によって構成される。
【0055】
図9又は図10に示すように、動作部8aの動作はスライドである構成としてもよい。上記構成によっても、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0056】
図1A図1Cに示すように、複数の封入容器7が動作部8aに並べて配置され、動作部8aの動作は、複数の封入容器7が並ぶ方向に複数の封入容器7が移動するように行われる。上記構成によれば、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0057】
図9に示すように、動作部8aの動作はスライドであり、複数の封入容器7が動作部8aに並べて配置され、動作部8aの動作は、複数の封入容器7が並ぶ方向に複数の封入容器7が移動するように行われる構成としてもよい。上記構成によっても、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0058】
図10に示すように、動作部8aの動作はスライドであり、複数の動作部8aが個別に動作をし得る構成としてもよい。上記構成によっても、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0059】
図5A図5Dに示すように、封入容器7は動作部8aに着脱可能に配置される構成としてもよい。上記構成によれば、封入容器7の着脱により、複数種類の調整を適宜行うことができる。
【0060】
図5A図5Dに示すように、動作部8aは、動作部本体10と、封入容器7を着脱可能な少なくとも1つの蓋体11とを有し、蓋体11は、動作部本体10に着脱可能に取り付けられることで、蓋体11に着脱可能に取り付けられた封入容器7を動作部本体10の内部空間に収容する構成としてもよい。上記構成によれば、封入容器7の着脱の容易性を高めることができる。
【0061】
図5Aに示すように、カバー部9は、蓋体11を通す窓部9cを有する構成としてもよい。上記構成によれば、封入容器7の着脱の容易性を高めることができる。
【0062】
図4Aに示すように、動作部8aは、切り替え部8による切り替えが行われる毎にカバー部9に対して移動への抵抗を与えるように引っ掛かる位置合わせ部12を有する構成としてもよい。上記構成によれば、切り替え部8による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0063】
図4Aに示すように、位置合わせ部12は複数の穴12aによって構成され、カバー部9は、カバー部本体9aと、カバー部本体9aに設けられる穴にスライド可能に配置され、凸曲面状の先端面を有するスライド部材9bと、スライド部材9bをカバー部9の内側へ付勢するバネとを有し、切り替え部8による切り替えが行われる毎に、スライド部材9bの先端面は、位置合わせ部12としての複数の穴12aに選択的に入る構成としてもよい。上記構成によれば、位置合わせ部12の構造を簡単化できる。
【0064】
図2又は図6に示すように、ガス分析装置1は、発光部2と分析部4とが被測定ガス3に対する両側に配置される対向型ガス分析装置1である構成としてもよい。上記構成によれば、ガス分析装置1の構造を簡単化できる。
【0065】
ガス分析装置1が対向型ガス分析装置1である場合、調整は、図6に示すようにガス分析装置1が被測定ガス3を測定するための場所に配置された状態で行ってもよいし、図8に示すようにガス分析装置1が被測定ガス3を測定するための場所以外の場所に配置された状態で行ってもよい。
【0066】
図3又は図7に示すように、ガス分析装置1は、発光部2を出て被測定ガス3を通った光を分析部4に向けて反射する反射部13を有し、発光部2と分析部4とが被測定ガス3に対する片側に配置される反射型ガス分析装置1である構成としてもよい。上記構成によっても、ガス分析装置1の構造を簡単化できる。
【0067】
ガス分析装置1が反射型ガス分析装置1である場合、調整は、図7に示すようにガス分析装置1が被測定ガス3を測定するための場所に配置された状態で行ってもよいし、ガス分析装置1が被測定ガス3を測定するための場所以外の場所に配置された状態で行ってもよい。
【0068】
図11A図11Eに示すように、調整部5は、光を反射する調整用反射部14と、調整用反射部14が光透過部6に配置された反射状態と調整用反射部14が光透過部6に配置されない非反射状態とを切り替え可能な反射用切り替え部15とを有し、反射状態では、調整用反射部14は、第1状態で発光部2を出て所定の封入容器7を透過した光を被測定ガス3に入る前に反射し、所定の封入容器7を透過させて分析部4に入れ、非反射状態では、調整用反射部14は、第2状態で発光部2を出た光が反射部13で反射されて分析部4に入ることを許容する構成としてもよい。上記構成によれば、反射用切り替え部15によって反射状態とすることで、調整への被測定ガス3の影響を抑制し、調整の精度を高めることができ、反射用切り替え部15によって非反射状態とすることで、測定を行うことができる。したがって上記構成によれば、反射型ガス分析装置1としてのガス分析装置1による調整の精度と容易性を高めることができる。
【0069】
図11Bに示すように、反射用切り替え部15は、調整用反射部14を伴って光透過部6に対する動作をし得る反射用動作部15aを有し、反射用切り替え部15は、反射用動作部15aにより、光透過部6に調整用反射部14を配置可能である構成としてもよい。上記構成によれば、反射用切り替え部15による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0070】
図11Bに示すように、反射用動作部15aの動作は回転である構成としてもよい。上記構成によれば、反射用切り替え部15による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0071】
図11Bに示すように、反射用動作部15aは反射用第1歯車部15a1を有し、反射用切り替え部15は、反射用第1歯車部15a1に噛み合う反射用第2歯車部15b1を有する反射用回転操作部15bを有し、反射用動作部15aは、反射用回転操作部15bの回転によって回転させられ、調整部5は、反射用回転操作部15bの一部を露出し且つ反射用動作部15aを全体的又は部分的に覆う反射用カバー部を有する構成としてもよい。上記構成によれば、調整部5の光透過部6への異物の侵入を反射用カバー部によって抑制できるため、ガス分析の精度を高めることができる。また、反射用カバー部の外部から例えば手で反射用回転操作部15bを操作することで、反射用回転操作部15bを介して反射用動作部15aを操作し、動作させることができる。
【0072】
反射用回転操作部15bを回転駆動する反射用駆動部を有する構成としてもよい。上記構成によれば、反射用駆動部によって反射用回転操作部15bを介して反射用動作部15aを動作させることができる。
【0073】
反射用動作部15aの動作はスライドである構成としてもよい。上記構成によっても、反射用切り替え部15による切り替え操作の容易性を高めることができる。
【0074】
図11A図11Cに示すように、調整部5は、封入容器7及び切り替え部8を有する第1層部分16と、調整用反射部14及び反射用切り替え部15を有する第2層部分17と、第1層部分16と第2層部分17とに跨る光透過部6とを有する構成としてもよい。上記構成によれば、調整用反射部14及び反射用切り替え部15を有する調整部5の構造を簡単化できる。
【0075】
発光部2は、光として所定の波長範囲のレーザーを発振するレーザー発振部である構成としてもよい。上記構成によれば、ガス分析の精度を高めることができる。
【0076】
分析部4は、吸収分光法による分析を行う構成としてもよい。上記構成によれば、ガス分析の精度を高めることができる。
【0077】
ガス分析装置1は、産業プラントにおいて被測定ガス3としてのプロセスガス等をその場で(in-situで)分析する構成としてもよい。上記構成によれば、産業プラントの操業を効率化できる。
【0078】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0079】
したがって、前述した実施形態に係るガス分析装置1は、光を出す発光部2と、発光部2から出て被測定ガス3を透過した光の強度に基づいて被測定ガス3の物性を分析する分析部4と、光透過部6、少なくとも1つの封入容器7及び切り替え部8を有する調整部5とを有し、封入容器7は、光透過部6に配置され且つ調整用ガスを封入した状態において、発光部2を出た光が調整用ガスを透過して分析部4に入ることを許容し、切り替え部8は、光透過部6に所定の封入容器7が配置された第1状態と、光透過部6に所定の封入容器7が配置されず且つ発光部2を出た光が分析部4に入ることが許容される第2状態とを切り替え可能である、ガス分析装置1である限り、種々変更可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 ガス分析装置
2 発光部
3 被測定ガス
4 分析部
5 調整部
6 光透過部
7 封入容器
8 切り替え部
8a 動作部
8a1 第1歯車部
8b 回転操作部
8b1 第2歯車部
9 カバー部
9a カバー部本体
9b スライド部材
9c 窓部
10 動作部本体
11 蓋体
12 位置合わせ部
12a 穴
13 反射部
14 調整用反射部
15 反射用切り替え部
15a 反射用動作部
15a1 反射用第1歯車部
15b 反射用回転操作部
15b1 反射用第2歯車部
16 第1層部分
17 第2層部分
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E