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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126592
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】車両用ドアのアウトハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 77/02 20140101AFI20240912BHJP
   E05B 85/16 20140101ALI20240912BHJP
   E05B 5/02 20060101ALI20240912BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E05B77/02
E05B85/16 D
E05B5/02 D
B60J5/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035061
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000155067
【氏名又は名称】ミネベアアクセスソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 秀明
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ31
2E250LL01
2E250MM03
2E250PP12
(57)【要約】
【課題】アウトハンドルをその操作部がアウターパネルから外側方に突出するポップアップ位置までアクチュエータで駆動することを可能とした車両用ドアのアウトハンドル装置において、乗員救出時にアウトハンドルの操作が困難となることを防止して乗員救出に要する時間の短縮を可能とする。
【解決手段】車両に外部から設定値以上の衝撃が加わったことを衝撃検知手段67が検知するのに応じて、制御ユニット66にアクチュエータ39の作動が制御され、操作部18aがポップアップ位置となるようにアウトハンドル17が回動駆動される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドア(15)のアウターパネル(16)に取付けられる支持ケース(22)に、手動操作可能な操作部(18a)を一端部に有するアウトハンドル(17)が回動可能に支持されるとともに、前記ドア(15)側に収納された収納位置に在る前記アウトハンドル(17)を前記操作部(18a)が前記アウターパネル(16)から外側方に突出するポップアップ位置まで駆動することを可能としたアクチュエータ(39)が取付けられる車両用ドアのアウトハンドル装置において、
車両に外部から衝撃が加わったことを検知する衝撃検知手段(67)と、当該衝撃検知手段(67)が設定値以上の衝撃を検知するのに応じて前記アクチュエータ(39)で前記アウトハンドル(17)を回動駆動して前記操作部(18a)が前記ポップアップ位置となるように前記アクチュエータ(39)の作動を制御する制御ユニット(66)とを含むことを特徴とする車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項2】
衝撃を検知してエアバッグを展開させるべくエアバッグシステムに用いられるセンサを前記衝撃検知手段(67)として前記エアバッグシステムと共用することを特徴とする請求項1に記載の車両用ドアのアウトハンドル装置。
【請求項3】
ドア(15)のアウターパネル(16)に取付けられる支持ケース(22)に、手動操作可能な操作部(18a)を一端部に有するアウトハンドル(17)が回動可能に支持されるとともに、前記ドア(15)側に収納された収納位置に在る前記アウトハンドル(17)を前記操作部(18a)が前記アウターパネル(16)から外側方に突出するポップアップ位置まで駆動することを可能としたアクチュエータ(39)が取付けられる車両用ドアのアウトハンドル装置において、
車両が急減速状態にあることを検知する急減速検知手段(68)と、当該急減速検知手段(68)が設定以上の急減速状態にあるのを検知するのに応じて前記アクチュエータ(39)で前記アウトハンドル(17)を回動駆動して前記操作部(18a)が前記ポップアップ位置となるように前記アクチュエータ(39)の作動を制御する制御ユニット(66)とを含むことを特徴とする車両用ドアのアウトハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアのアウターパネルに取付けられる支持ケースに、手動操作可能な操作部を一端部に有するアウトハンドルが回動可能に支承されるとともに、前記ドア側に収納された収納位置に在る前記アウトハンドルを前記操作部が前記アウターパネルから外側方に突出するポップアップ位置まで駆動することを可能としたアクチュエータが取付けられる車両用ドアのアウトハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のデザイン性向上や防盗性の観点から非操作状態ではアウトハンドルがアウターパネルの外面と面一となるようにドア内に収納され、操作時にはアウトハンドルがその操作部をポップアップ位置まで突出させるようにモータ等の駆動手段で駆動されるようにした車両用ドアのアウトハンドル装置が、特許文献1等で知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6084551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが上記特許文献1で開示されたものでは、アウトハンドルが車両走行中にはドア内に収納された状態にあるので、その収納状態のままで事故等によって車両に外部から衝撃が加わると、アウトハンドルの操作部をポップアップ位置まで突出させることができず、外部からアウトハンドルを操作してドアを開くことが困難となり、乗員の救出に時間を要してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、乗員救出時にアウトハンドルの操作が困難となることを防止して乗員救出に要する時間の短縮を可能とした車両ドアのアウトハンドル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、ドアのアウターパネルに取付けられる支持ケースに、手動操作可能な操作部を一端部に有するアウトハンドルが回動可能に支持されるとともに、前記ドア側に収納された収納位置に在る前記アウトハンドルを前記操作部が前記アウターパネルから外側方に突出するポップアップ位置まで駆動することを可能としたアクチュエータが取付けられる車両用ドアのアウトハンドル装置において、車両に外部から設定値以上の衝撃が加わったことを検知する衝撃検知手段と、当該衝撃検知手段が設定値以上の衝撃を検知するのに応じて前記アクチュエータで前記アウトハンドルを回動駆動して前記操作部が前記ポップアップ位置となるように前記アクチュエータの作動を制御する制御ユニットとを含むことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴の構成に加えて、衝撃を検知してエアバッグを展開させるべくエアバッグシステムに用いられるセンサを前記衝撃検知手段として前記エアバッグシステムと共用することを第2の特徴とする。
【0008】
さらに本発明は、ドアのアウターパネルに取付けられる支持ケースに、手動操作可能な操作部を一端部に有するアウトハンドルが回動可能に支持されるとともに、前記ドア側に収納された収納位置に在る前記アウトハンドルを前記操作部が前記アウターパネルから外側方に突出するポップアップ位置まで駆動することを可能としたアクチュエータが取付けられる車両用ドアのアウトハンドル装置において、車両が急減速状態にあることを検知する急減速検知手段と、当該急減速検知手段が設定以上の急減速状態にあるのを検知するのに応じて前記アクチュエータで前記アウトハンドルを回動駆動して前記操作部が前記ポップアップ位置となるように前記アクチュエータの作動を制御する制御ユニットとを含むことを第3の特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の特徴によれば、事故等によって車両に外部から設定値以上の衝撃が加わると、制御ユニットでアクチュエータの作動が制御され、アウトハンドルがその操作部をポップアップ位置まで突出させるように回動駆動され、それにより外部からアウトハンドルを操作してドアを開くことが容易となり、乗員を短時間で救出することが可能となる。
【0010】
また本発明の第2の特徴によれば、エアバッグシステムに用いられるセンサを衝撃検知センサとして共用することで、部品点数の増大を回避し、コスト低減に寄与することができる。
【0011】
さらに本発明の第3の特徴によれば、事故等によって車両が設定以上の急減速状態になると、制御ユニットでアクチュエータの作動が制御され、アウトハンドルがその操作部をポップアップ位置まで突出させるように回動駆動され、それにより外部からアウトハンドルを操作してドアを開くことが容易となり、乗員を短時間で救出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】アウトハンドルが収納位置(a)、ポップアップ位置(b)およびフルストローク位置(c)にある状態でドアの要部を示す側面図である。
図2図1の2-2線に沿う断面図である。
図3図2で示した部分の分解斜視図である。
図4】ケースカバーを省略して駆動レバーが初期位置にある状態を示すための図2の4矢視図である。
図5】駆動レバーが作動位置まで回動した状態での図3に対応した図である。
図6】アウトハンドルをフルストローク位置まで回動操作した状態での図3に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0014】
本発明の実施の形態について図1図6を参照しながら説明すると、先ず図1において、乗用車両のサイドドア15におけるアウターパネル16には、車両前後方向に長く形成されるアウトハンドル17が配設されており、このアウトハンドル17は、図1(a)で示すように前記アウターパネル16の外面とアウトハンドル17の外面を面一とした収納位置と、図1(b)で示すように前記アウトハンドル17の一端部の操作部18aを前記アウターパネル16の外面から側方に突出させたポップアップ位置と、図1(c)で示すように前記操作部18aを把持して操作することによって前記ポップアップ位置からさらに外側方に回動したフルストローク位置とで、その回動位置を変化させることが可能である。
【0015】
図2および図3を併せて参照して、前記アウトハンドル17は、前記アウターパネル16側に臨む凹部20を有して車両前後方向に長く延びるとともに一端部に前記操作部18aを有するハンドル本体18と、前記凹部20を閉じるようにして前記アウターパネル16側から前記ハンドル本体18に締結されるカバー部材19とで構成され、カバー部材19の内面には、タッチセンサやアンテナ等の電子部品が搭載される基板21が取付けられる。
【0016】
前記アウトハンドル17は、前記アウターパネル16に固定される支持ケース22に支軸23を介して回動可能に支持される。前記アウターパネル16には、車両前後方向に長く延びる開口部24が設けられる。前記支持ケース22は、前記アウターパネル16の内面に対向する支持板部22aと、前記開口部24を前記アウターパネル16の内方側から閉じるようにして前記支持板部22aの上部に一体に設けられて車両前後方向に延びるハンドル支持部22bとを有して前記アウターパネル16の内面側に締結されるものであり、この支持ケース22および前記アウターパネル16間には前記開口部24の周縁部をシールするシール部材25が介装される。
【0017】
前記支持ケース22の前記ハンドル支持部22bには、前記開口部24に対応して車両前後方向に長く延びる収容凹部26が前記アウターパネル16の内方側に凹むように形成されており、前記アウトハンドル17の前記操作部18aを除く大部分は、該アウトハンドル17が前記アウターパネル16の外面と面一となる収納位置にあっては、前記収容凹部26に収容される。また前記支軸23は前記収容凹部26を上下方向に横断するようにして前記支持ケース22の前記ハンドル支持部22bに取付けられるものであり、前記アウトハンドル17の他端寄りで前記ハンドル本体18に一体に設けられて前記収容凹部26内に配置される支持部18bに、一対の短円筒状のカラー27,27を介して前記支軸23が挿通される。また前記アウターパネル16には、前記アウトハンドル17が前記収納位置にある状態で該アウトハンドル17の前記操作部18aを収容する凹部28が前記開口部24に連なるようにして設けられる。
【0018】
前記カバー部材19には、前記アウトハンドル17が前記収納位置にある状態で前記操作部18aに近接する当接突部19aが一体に設けられる。前記支持ケース22の前記ハンドル支持部22bには、前記当接突部19aを当接させる第1の弾性部材29が前記収容凹部26内に位置するようにして取付けられるとともに、前記フルストローク位置で前記アウトハンドル17におけるハンドル本体18の他端部を当接させる第2の弾性部材30(図2参照)が前記収容凹部26内に位置するようにして貼着される。
【0019】
前記収容凹部26のうち前記収納位置に在る前記アウトハンドル17の大部分を収容する部分を除く残部は、前記収納位置にある前記アウトハンドル17の他端部に隣接して前記支持ケース22に取付けられるベースカバー31で閉じられるものであり、このベースカバー31に対応する位置で前記支持ケース22の前記ハンドル支持部22bには、前記収容凹部26内に突出するスイッチ支持部22cが一体に設けられる。
【0020】
図2に注目して、前記スイッチ支持部22cには、前記サイドドア15の施錠意志を示すための車両ユーザの操作によってオンオフするタクトスイッチ32を保持するスイッチホルダ33が支持される。一方、前記スイッチ支持部22cに対応する部分で前記前記ベースカバー31には、車両前後方向に長く延びる矩形状の窓34が設けられる。また前記スイッチホルダ33には、前記タクトスイッチ32の被押圧部32aに押圧力を作用せしめることを可能とした弾性材料製の中間キャップ35が前記タクトスイッチ32を覆うようにして装着される。この中間キャップ35には、前記窓34に配置される矩形状の押圧操作部36aを有して硬質の合成樹脂から成るスイッチボタン36が連接されており、このスイッチボタン36には、前記窓34の周囲で前記ベースカバー31の内面に当接する鍔部36bが一体に形成される。しかも前記中間キャップ35が発揮する弾発力によって前記スイッチボタン36は、その鍔部36bを前記ベースカバー31の内面に当接させた非操作位置側に付勢される。
【0021】
図4および図5を併せて参照して、前記支持ケース22の支持板部22aには、前記支持ケース22側に収納された収納位置に在る前記アウトハンドル17を前記操作部18aが前記アウターパネル16から外側方に突出するポップアップ位置まで駆動することを可能としたアクチュエータ39が取付けられる。このアクチュエータ39は、図4で示す初期位置ならびに図5で示す作動位置間で回動可能な駆動レバー40と、通電時に前記駆動レバー40を前記初期位置から前記作動位置に回動駆動するとともに前記駆動レバー40が前記作動位置に在るときの非通電状態では前記駆動レバー40が前記作動位置から前記初期位置に戻ることを許容する電気駆動源としての電動モータ41とを含むように構成される。
【0022】
前記電動モータ41を収容するアクチュエータケース42は、前記支持ケース22における前記支持板部22aの下部に、該支持板部22aから下方に張り出すようにして取付けられる。また前記アクチュエータケース42の上部に回動自在に支持される回動軸43に前記駆動レバー40の一端部が固定され、前記電動モータ41および前記回動軸43間に設けられる伝動機構(図示せず)が前記アクチュエータケース42に収容される。
【0023】
また前記支持ケース22の前記支持板部22aには、前記駆動レバー40を前記作動位置で機械的に保持するためのねじりばね44が設けられる。前記支持ケース22の前記支持板部22aには、前記駆動レバー40の上方かつ前記ハンドル支持部22bの下方に配置されるようにして円筒状のばね支持部45が突設されており、前記ねじりばね44は、前記ばね支持部45を囲繞するコイル部44aと、該コイル部44aの両端から延出される第1および第2アーム部44b,44cとを有する。
【0024】
前記ねじりばね44が有する第1アーム部44bは、前記ばね支持部45の上方に在る前記ハンドル支持部22bに下方から当接、係合される。また第2アーム部44cは、前記ばね支持部45から前記駆動レバー40側に延びるように配置されており、この第2アーム部44cの中間部には、前記駆動レバー40側に突出するように屈曲した山部44dが形成される。
【0025】
一方、前記駆動レバー40の前記支持板部22a側に臨む面には、第2アーム部44cに下方から当接するようにして山形に形成される当接段部40aが一体に設けられる。前記駆動レバー40が前記初期位置にある状態では、第2アーム部44cの前記山部44dよりも前記ばね支持部45側の部分が前記当接段部40aに上方から弾発的に当接しており、前記駆動レバー40が前記初期位置から図5の鎖線で示す中間位置を経て図5の実線で示す前記作動位置まで回動する際に、前記当接段部40aは第2アーム部44cを上方に押し上げながら前記山部44dを乗り越えることになり、前記作動位置に前記駆動レバー40が回動した状態では、該駆動レバー40に外力が作用しない限り、前記駆動レバー40は前記ねじりばね44の前記山部44dによって前記作動位置に機械的に保持されることになる。
【0026】
また前記支持ケース22の前記支持板部22aには、前記回動軸43の軸線を中心とした円弧状のガイド孔46が形成されており、前記駆動レバー40には、前記ガイド孔46を貫通するピン47が植設され、前記ガイド孔46は、前記初期位置および前記作動位置間での前記駆動レバー40の回動に伴う前記ピン47の移動を許容するように形成される。
【0027】
前記アウトハンドル17の前記ハンドル本体18には、前記支持部18bに連なる連結突部18cが一体に設けられ、この連結突部18cは、前記支持ケース22における前記ハンドル支持部22bに設けられて車両の前後方向に長く延びる長孔48を貫通し、該連結突部18cの先端部は前記支持ケース22の前記ハンドル支持部22bから内方に突出する。
【0028】
また前記支持ケース22の前記支持板部22aには、前記長孔48に対応する部分で前記ハンドル支持部22bの下方に配置される円筒状のレバー支持部49が一体に設けられており、このレバー支持部49には、ハンドルレバー50が回動可能に支持される。
【0029】
前記ハンドルレバー50は、前記レバー支持部49で回動可能に支持される円筒状の第1支持筒部50a(図3参照)が設けられる第1レバー基部50bと、第1レバー基部50bから上方に延びるアウトハンドル側連結腕部50cと、第1レバー基部50bから前記駆動レバー40側に向けて斜め下方に延びる駆動レバー側連結腕部50dと、第1レバー基部50bから前記ねじりばね44と反対方向に突出するセクタギヤ部50eとを一体に有する。
【0030】
前記アウトハンドル側連結腕部50cには、その長手方向に長く延びる連結孔52が形成されており、前記アウトハンドル17が備える前記連結突部18cの先端部が前記連結孔52に挿入、連結される。すなわち前記ハンドルレバー50は、前記アウトハンドル17に連動、連結されており、前記第1支持筒部50aを囲繞して前記ハンドルレバー50および前記支持板部22a間に設けられるねじりばねである第1戻しばね53(図3参照)のばね力で、前記ハンドルレバー50は前記アウトハンドル17を前記収納位置側に戻す方向に付勢される。
【0031】
前記駆動レバー側連結腕部50dの先端部には、前記初期位置にある駆動レバー40に作動位置側から当接する当接ピン54が、前記支持板部22a側に向けて突出するように植設されており、前記初期位置から前記作動位置までの前記駆動レバー40の回動に応じて該駆動レバー40で前記当接ピン54が押圧されることで、前記ハンドルレバー50は、前記アウトハンドル17を前記収納位置から前記ポップアップ位置まで駆動するように回動する。
【0032】
しかも前記ハンドルレバー50は、前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置までの前記アウトハンドル17の回動時には、前記駆動レバー40が前記ねじりばね44で保持されていることによって、前記駆動レバー40を前記作動位置に置き去りにしたままで前記アウトハンドル17とともに回動することになる。
【0033】
また前記セクタギヤ部50eは、前記支持板部22aに締結されたロータリーダンパ55が有するギヤ56に噛合される。このロータリーダンパ55は、前記収納位置側に戻る側に付勢されている前記アウトハンドル17を前記フルストローク位置まで回動した後に該アウトハンドル17から手を離しても収納位置まで緩やかに回動するようにする働きをする。
【0034】
また前記支持ケース22の前記支持板部22aには、前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置までの前記アウトハンドル17の手動操作に伴う前記ハンドルレバー50の回動に応じて回動して前記ねじりばね44による保持を解除するとともに前記駆動レバー40を前記初期位置に強制的に戻す解除レバー58が回動自在に支持される。
【0035】
この解除レバー58は、前記支持板部22aおよび前記アウターパネル16間に配置されるものであり、前記ハンドルレバー50の下方に配置されるようにして前記支持板部22aに取付けられる第1軸59を介して前記支持板部22aに回動可能に支持される第2レバー基部58aと、第2レバー基部58aから前記駆動レバー40側に延びる駆動レバー側腕部58bと、駆動レバー側腕部58bとともに略V字を形成するとともに前記支持板部22aから前記アクチュエータ39の取付け部と反対側に向けて突出するようにして第2レバー基部58aに連設されるラッチ機構側腕部58cとを一体に有する。
【0036】
前記ハンドルレバー50の前記第1レバー基部50bおよび前記解除レバー58の前記第2レバー基部58a間に配置される矩形の透孔60が前記支持板部22aに形成されており、この透孔60に挿入される受圧部58dがラッチ機構側腕部58cの中間部に直角に連なって一体に設けられ、この受圧部58dには、弾性材料から成るハンドル側キャップ61が装着される。一方、前記ハンドルレバー50における駆動レバー側連結腕部50dには、前記アウトハンドル17が前記収納位置から前記ポップアップ位置に回動したときに該アウトハンドル17とともに前記ハンドルレバー50が回動することによって前記ハンドル側キャップ61に先端部を当接させる押圧腕部50fが一体に連設されており、前記アウトハンドル17が前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置まで回動すると、そのアウトハンドル17とともに前記ハンドルレバー50が回動することによって前記押圧腕部50fで前記ハンドル側キャップ61すなわち前記受圧部58dが押されて前記解除レバー58が図6で示す位置まで回動する。
【0037】
前記サイドドア15には、そのサイドドア15の閉じ状態を車体側に係合することで保持するラッチ状態ならびに前記サイドドア15を開放操作することを可能としたアンラッチ状態を切り換え可能としたラッチ機構62が配設されており、前記解除レバー58の回動は、駆動レバー側腕部58bの先端部に一端部が連結された伝動ロッド63を介して前記ラッチ機構62に伝達される。
【0038】
前記ラッチ機構62は、そのラッチ状態を解除することを可能としたアンロック状態ならびに前記ラッチ状態を解除することを不能としたロック状態を切換える電動モータ(図示せず)を備えており、ロック状態で前記アウトハンドル17を正規の車両ユーザが把持したことを前記アウトハンドル17内のタッチセンサが検出するのに応じて、前記ラッチ機構62はアンロック状態となる。
【0039】
前記ラッチ機構62は、アンロック状態となったときに、前記アウトハンドル17を前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置に回動するのに応じて前記解除レバー58から前記伝動ロッド63を介して伝達される力でアンラッチ状態となり、この状態で前記サイドドア15を開くことが可能となる。
【0040】
前記解除レバー58における駆動レバー側腕部58bの先端部には、前記ガイド孔46に挿通される前記駆動レバー40の前記ピン47に、前記駆動レバー40が前記初期位置から前記作動位置に回動した状態で当接する弾性材料製の駆動レバー側キャップ64が装着されており、前記アウトハンドル17が前記ポップアップ位置から前記フルストローク位置まで回動するのに応じた前記解除レバー58の回動によって、前記ピン47すなわち前記駆動レバー40が前記解除レバー58のラッチ機構側腕部58cによって押されることになり、図6で示すように、前記ねじりばね44の第2アーム部44cを上方に押し上げつつ第2アーム部44cの前記山部44dを前記当接段部40aが乗り越えるように前記駆動レバー40が強制的に回動駆動され、その山部44dを乗り越えた状態で第2アーム部44cの前記山部44dから作用する弾発力で前記駆動レバー40は初期位置に戻ることになる。
【0041】
前記解除レバー58および前記支持板部22a間には、前記第1軸59を囲繞するねじりばねである第2戻しばね65(図3参照)が設けられており、この第2戻しばね65のばね力により、前記解除レバー58は前記ハンドル側キャップ61を前記ハンドルレバー50の押圧腕部50fに当接させる側に回動付勢される。
【0042】
一方、前記アクチュエータ39の前記電動モータ41の作動は制御ユニット66で制御されるものであり、車両から所定範囲内にいる車両ユーザが携帯した携帯機および車両間の通信によって正規の車両ユーザであることが確認された状態で前記制御ユニット66は、前記駆動レバー40を前記初期位置から前記作動位置に回動駆動するように前記伝動モータ41を動かし、その駆動レバー40の回動に応じてポップアップ位置となった前記アウトハンドル17を車両ユーザが把持してフルストローク位置側に回動操作することで前記サイドドア15を開放することが可能となる。なお携帯機との間の通信による事前認証ではなく、携帯機側での操作によって前記アクチュエータ39の電動モータ41の作動が開始されるようにしてもよい。また前記アクチュエータ39の前記電動モータ41を正逆回転可能なものとし、アウトハンドル17が前記ポップアップ位置にある状態が所定時間以上経過したときに、前記アウトハンドル17を前記収納位置に戻すべく、前記駆動レバー40を前記作動位置から前記初期位置に戻すように前記電動モータ41を逆方向に作動させるようにしてもよい。
【0043】
また前記制御ユニット66には、車両に外部から設定値以上の衝撃が加わったことを検知する衝撃検知手段67からの信号と、車両が急減速状態にあることを検知する急減速検知手段68からの信号とが入力されており、前記制御ユニット66は、車両に外部から設定値以上の衝撃が加わったことを前記衝撃検知手段67が検知したとき、ならびに車両が急減速状態にあることを前記急減速検知手段66が検知したときの少なくとも一方の状態で、前記操作部18aがポップアップ位置となるように前記アウトハンドル18を回動駆動すべく前記アクチュエータ39の電動モータ41の作動を制御する。
【0044】
前記衝撃検知手段67は、衝撃を検知してエアバッグを展開させるべくエアバッグシステムに用いられるセンサを共用するようにしてもよい。
【0045】
また前記急減速検知手段68は、ブレーキ操作量を検出し、その操作量の変化速度に基づいて急減速状態にあると検知するようにしてもよく、また車輪速センサで検出される車輪測の変化速度に基づいて急減速状態であることを検知するようにしてもよい。
【0046】
前記支持ケース22には、該支持ケース22に配設される前記アクチュエータ39の一部、前記ねじりばね44、前記ハンドルレバー50、前記ロータリーダンパ55等を覆うケースカバー85が取付けられており、このケースカバー85によって、前記アウターパネル16およびウインドガラス間の間隙から前記サイドドア15内に入った水やダストによる悪影響が、前記アクチュエータ39、前記ねじりばね44、前記ハンドルレバー50、前記ロータリーダンパ55等に及ぶのを防止することができる。
【0047】
次にこの実施の形態の作用について説明すると、サイドドア15側に収納された収納位置に在るアウトハンドル17を操作部18aが前記サイドドア15のアウターパネル16から外側方に突出するポップアップ位置まで駆動することを可能としたアクチュエータ39の作動が制御ユニット66で制御され、車両に外部から設定値以上の衝撃が加わったことを衝撃検知手段67が検知するのに応じて前記操作部18aが前記ポップアップ位置となるように前記制御ユニット66で前記アクチュエータ18の作動が制御されるので、事故等によって車両に外部から設定値以上の衝撃が加わると、前記アウトハンドル17がその操作部18aをポップアップ位置まで突出させるように回動駆動され、それにより外部からアウトハンドル17を操作して前記サイドドア15を開くことが容易となり、乗員を短時間で救出することが可能となる。
【0048】
また衝撃を検知してエアバッグを展開させるべくエアバッグシステムに用いられるセンサを前記衝撃検知手段67したときには、部品点数の増大を回避し、コスト低減に寄与することができる。
【0049】
さらに車両が急減速状態にあることを急減速検知手段68が検知するのに応じて前記操作部18aが前記ポップアップ位置となるように前記制御ユニット66で前記アクチュエータ18の作動が制御されるので、事故等で車両が急減速して停止したときに、外部からアウトハンドルを操作して前記サイドドア15を開くことが容易となり、乗員を短時間で救出することが可能となる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0051】
たとえば上述の実施の形態では、衝撃検知手段67および急減速検知手段68の両方が制御ユニット66に接続されたが、衝撃検知手段67および急減速検知手段68のいずれか一方のみが制御ユニット66に接続される構成としてもよい。
【符号の説明】
【0052】
15・・・ドアであるサイドドア
16・・・アウターパネル
17・・・アウトハンドル
18a・・・操作部
22・・・支持ケース
39・・・アクチュエータ
66・・・制御ユニット
67・・・衝撃検知手段
68・・・急減速検知手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6