(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126596
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】両面粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20240912BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035079
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000226091
【氏名又は名称】日榮新化株式会社
(72)【発明者】
【氏名】北岡 典征
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛史
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CB04
4J004EA05
4J040EF181
4J040EF281
4J040JA09
4J040JB09
4J040LA11
4J040NA12
4J040NA15
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】製造が容易で強い粘着力を発揮できる両面粘着テープを提供する。
【解決手段】両面粘着テープ10は、第1の主面14と、第1の主面14に対向する第2の主面16とを有し、発泡体により形成された芯材3と、芯材3の第1の主面14に形成された第1の粘着剤層11と、芯材3の第2の主面16に形成された第2の粘着剤層13とを備えている。芯材3は粘着剤組成物の硬化物により形成されており、23℃、相対湿度50%の環境下、研磨されたSUS鋼板に第1の粘着剤層11側及び第2の粘着剤層13側の少なくとも一方を貼り付けた後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の条件で剥がした場合の粘着力は20N/20mm以上であり、SUS鋼板から剥がされる際に芯材3に糸引きが見られる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面とを有し、発泡体により形成された芯材と、
前記芯材の前記第1の主面に形成された第1の粘着剤層と、
前記芯材の前記第2の主面に形成された第2の粘着剤層とを備え、
前記芯材は粘着剤組成物の硬化物により形成されており、
23℃、相対湿度50%の環境下、研磨されたSUS鋼板に前記第1の粘着剤層側及び前記第2の粘着剤層側の少なくとも一方を貼り付けた後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の条件で剥がした場合の粘着力は20N/20mm以上であり、前記SUS鋼板から剥がされる際に前記芯材に糸引きが見られる両面粘着テープ。
【請求項2】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
23℃、相対湿度50%の環境下、前記SUS鋼板に対し、剥離速度を300mm/分で剥離角度を90度とした場合の粘着力は、剥離角度を180度とした場合の粘着力よりも大きい両面粘着テープ。
【請求項3】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
前記芯材は、発泡剤を含有している両面粘着テープ。
【請求項4】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
少なくとも1つの方向について、前記芯材の300mm/分の速度での破断伸度が200%以上である両面粘着テープ。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項に記載の両面粘着テープにおいて、
40℃での保持力持続時間は1分以上である両面粘着テープ。
【請求項6】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
23℃、相対湿度50%の環境下、研磨された前記SUS鋼板に前記第1の粘着剤層側及び前記第2の粘着剤層側の少なくとも一方を貼り付けた後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の条件で剥がした場合の粘着力は35N/20mm以上である両面粘着テープ。
【請求項7】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
前記芯材はアクリル系粘着剤組成物の硬化物により形成されており、
前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層は、アクリル系粘着剤組成物の硬化物により形成されている両面粘着テープ。
【請求項8】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
23℃において、応力/伸度の変化率は、-4.00×10-4(MPa/%GL)以上である両面粘着テープ。
【請求項9】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
前記芯材の厚みは、50μm以上1000μm以下である両面粘着テープ。
【請求項10】
請求項1に記載の両面粘着テープにおいて、
前記芯材の形成に使用される粘着剤組成物は、バイオマス度が10%以上の粘着剤を主剤として含んでいる両面粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された技術は、発泡体により形成された芯材と、芯材の両面に設けられた粘着剤層とを備えた両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
両面テープを用いて2つの被着体同士を強力に貼り合わせたいというニーズは、建装材だけでなく電子機器や車両の構成部材等、種々の分野・製品で存在する。強粘着の両面テープは、貼り合わせ後に剥がすことを考慮しない用途等で多く用いられる。
【0003】
特開2011-84732号公報(特許文献1)には、芯材と、芯材の両面に形成され、粘着性組成物の重合体からなる表層(粘着剤層)とを有する両面テープが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、強粘着の両面テープが記載されているが、より強い粘着力が望まれる場合がある。一般的に、粘着剤層を厚くすれば、両面テープの粘着力を上げることができるが、粘着剤層を厚くすると製造コストが上がるうえ、粘着力の増大にも限度がある。
【0006】
上記の課題に鑑みて、本発明の目的は、製造コストの増加を来さずに強い粘着力を発揮できる両面粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に開示された両面粘着テープの一例は、第1の主面と、前記第1の主面に対向する第2の主面とを有し、発泡体により形成された芯材と、前記芯材の前記第1の主面に形成された第1の粘着剤層と、前記芯材の前記第2の主面に形成された第2の粘着剤層とを備えている。前記芯材は粘着剤組成物の硬化物により形成されており、23℃、相対湿度50%の環境下、研磨されたSUS鋼板に前記第1の粘着剤層側及び前記第2の粘着剤層側の少なくとも一方を貼り付けた後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の条件で剥がした場合の粘着力は20N/20mm以上であり、前記SUS鋼板から剥がされる際に前記芯材に糸引きが見られる。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示された両面粘着テープによれば、芯材に糸引きが生じることにより、被着体からの剥離時に強い粘着力が発揮できる。また、この両面粘着テープは、製造コストの増加を来すことなく製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る両面粘着テープの一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す両面粘着テープを被着体から剥がしているところを側方から見た図である。
【
図3】
図3は、樹脂の応力と歪みの関係を説明するためのグラフ図である。
【
図5】
図5は、実施例及び比較例において、両面粘着テープの芯材に用いられた粘着剤組成物の応力―歪み曲線を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[両面粘着テープの構成]
図1は、本明細書に開示された実施形態の一例である、両面粘着テープ10と、両面粘着テープ10を有する積層体12とを示す断面図である。
【0011】
本実施形態に係る両面粘着テープ10は、第1の主面14と、第1の主面14に対向する第2の主面16とを有し、発泡体により形成された芯材3と、芯材3の第1の主面14に形成された第1の粘着剤層11と、芯材3の第2の主面16に形成された第2の粘着剤層13とを備えている。両面粘着テープ10と、第1の粘着剤層11の芯材3とは反対側の面に接するように設けられた第1の剥離ライナー9と、第2の粘着剤層13の芯材3とは反対側の面に接するように設けられた第2の剥離ライナー1とが積層体12を構成している。
芯材3は粘着剤組成物の硬化物により形成されており、23℃、相対湿度50%の環境下、研磨されたSUS鋼板に第1の粘着剤層11側及び第2の粘着剤層13側の少なくとも一方を貼り付けた後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の条件で剥がした場合の粘着力は20N/20mm以上であり、SUS鋼板から剥がされる際に芯材3に糸引きが見られる。ここでの粘着力は、両面粘着テープ10の第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13のいずれか一方に測定用の支持体25として、厚さ25μmの易接着処理を施していない二軸延伸PETフィルムを貼り付けた状態で測定した値とする。
【0012】
図2は、糸引き現象を説明するための側面図である。本明細書での「糸引き」とは、
図2に示すように、対象となる部材の構成材料自体が剥離に伴って糸状や帯状に引き伸ばされることを指し、糸引きの長さLが5mm以上の部分が1つ以上ある場合に「糸引きが生じている」と判断するものとする。
【0013】
本実施形態の両面粘着テープ10は、被着体22に貼り付けられた後、剥離される際に芯材3に糸引きが生じるため、第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の材質や厚みによらず、非常に強い粘着力を発揮させることが可能となる。
【0014】
図2において、芯材3の糸引きが生じている領域の剥離進行方向に平行な方向の幅を糸引きの幅Wとし、糸の長さをLとし、テープの幅方向における糸の長さをW2(図示せず)とすると、糸の長さが長い方が糸引きの幅Wも長くなり、糸引きが生じる領域の面積が広くなる。また、糸の幅W2についても大きい方が、糸引きを生じる領域の面積を広くできる。この結果、糸引きが生じることにより、両面粘着テープ10の被着体22に対する粘着力を強くすることができる。
【0015】
芯材3は、主として粘着剤組成物の硬化物により形成され、剥離時に糸引きを生じる発泡体材料であれば特に限定されない。芯材3の形成に用いられる粘着剤としては、例えばアクリル系粘着剤、アクリルーウレタン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤及びゴム系粘着剤から選ばれた1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0016】
粘着剤組成物は、熱硬化性であってよいし、紫外線等により硬化する光硬化性であってもよい。熱硬化性の場合、粘着剤組成物には公知の硬化剤が含まれていることが好ましい。粘着剤組成物がアクリル系粘着剤を含む場合、硬化剤としてイソシアネート系硬化剤、エポキシ系硬化剤又はキレート系硬化剤、あるいはこれら硬化剤の混合物を使用することが好ましい。芯材3中の硬化剤の含有率は、硬化後の芯材3の破断伸度が適切になる範囲であれば特に限定されないが、例えば0.01質量%以上3.0質量%以下であってもよい。硬化剤の含有率が低過ぎると芯材3が十分に硬化しなくなり、硬化剤の含有率が高過ぎると芯材3が伸長しにくくなって糸引きが生じにくくなる。
【0017】
図3は、樹脂の応力と歪みの関係を説明するためのグラフ図である。芯材3に糸引きを生じさせるには、線Aのように、引き伸ばした際に加えた応力に応じて良く伸び、且つ最大応力が大きい構成材料を用いるのが理想的である。しかし、粘着剤組成物の硬化物からなる発泡体は、例えば線Bのように、歪み量が小さい段階で応力のピーク(降伏点)を迎え、その後は引き伸ばしに必要な応力が小さくなっていく材料が多い。この場合、歪み量が降伏点より大きい範囲において、できるだけ歪み量の減少割合の小さい(すなわち、グラフの負の傾きが小さい)材料を芯材3に使用することが好ましい。例えば、「応力/伸度の変化率」の値、具体的には{破断点応力(MPa)-最大点応力(MPa)}/{破断伸度(%GL)-最大点応力時の歪み(%GL)}の式で求められる値が-4.00×10
-4(MPa/%GL)以上である材料であれば、好ましく用いられる。ここで、線Bで表されるモデルで、発泡体の「最大点応力時の歪み」は、後述する応力―歪み曲線における降伏点での歪みとなる。応力/伸度の変化率」の値が-3・40×10
-4(MPa/%GL)以上且つ2.00×10
-4(MPa/%GL)以下であれば、糸引きの長さと粘着力のバランスを良好に取れるので、より好ましい。
【0018】
芯材3を形成するために使用される粘着剤組成物は、少なくとも一部にバイオマス材料を含むことが好ましい。粘着剤組成物のバイオマス度は、例えば10%以上であってもよいし、20%以上であればより好ましい。粘着剤組成物は、テルペン系やロジン系などの生物由来の粘着性付与剤を含有していてもよい。
【0019】
また、芯材3の構成材料が発泡体であることにより、比較的低コストで且つ容易に芯材3の厚みを大きくすることができ、糸の長さLを長く、糸引きの幅Wを大きくすることができる。
【0020】
芯材3の厚みは50μm以上1000μm以下程度であってもよく、100μm以上800μm以下であれば好ましく、200μm以上700μm以下であればより好ましい。芯材3の厚みが薄すぎると剥離時に長い糸が生じにくくなり、粘着力の上昇効果を十分に得られない可能性がある。また、芯材3が厚すぎると製造しにくくなったり、ロールにする際に巻き取りにくくなる可能性がある。
【0021】
芯材3は、公知の発泡剤を含有させることにより発泡体にしてもよいし、粘着剤組成物と窒素等の不活性ガスとを混合させた状態で塗工すること等により、多数の気泡を含む発泡体にしてもよい。芯材3に占める気泡の割合は、体積基準で例えば1%以上60%以下であってもよく、5%以上40%以下であってもよく、10%以上30%以下であってもよい。気泡の割合を1体積%以上とすることで、比較的低コストで容易に芯材3の厚みを稼ぐことができ、気泡の割合を60体積%以下とすることで、芯材3に引っ張り応力を加えても破断しにくくすることができる。
【0022】
芯材3の形成に発泡剤5を使用する場合、例えば、イソブタン、プロパン、ペンタン等、加熱により容易にガス化して膨張する物質を、弾性を有する殻内に内包させたマイクロカプセルを粘着剤組成物に添加して塗工した後、加熱により芯材3を乾燥させるとともに、マイクロカプセルを膨張させてもよい。殻は、熱溶融性物質や熱膨張により伸長又は破壊される物質により構成される。殻の構成材料としては、例えば、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが挙げられる。マイクロカプセルは、公知の方法、例えば、コアセルベーション法、界面重合法等により製造できる。
発泡剤5の発泡開始温度は特に限定されないが、省エネルギーの観点から、50℃以上100℃以下であってもよい。なお、発泡剤5が膨張して最大粒径となる際の温度は、100℃以上140℃以下程度であってもよい。
【0023】
発泡剤5として、市販品を用いてもよい。市販品の具体例としては、松本油脂製薬社製の商品名「マツモトマイクロスフェアー」(グレード:F-30、F-30D、F-36D、F-36LV、F-50、F-50D、F-65、F-65D、HF-36D、HF-48D、FN-100SS、FN-100SSD、FN-180SS、FN-180SSD、F-190D、F-260D、F-2800D)、日本フィライト社製の商品名「エクスパンセル」(グレード:053-40、031-40、007-40)、呉羽化学工業社製「ダイフォーム」(グレード:M330、M430)、積水化学工業社製「アドバンセル」(グレード:EML101、EMH204、EHM301、EHM302、EHM303、EM304、EHM401、EM403、EM501)等が挙げられる。
膨張後の発泡剤5の平均粒径は、例えば5μm以上150μm以下であってもよく、10μm以上100μm以下であってもよく、30μm以上80μm以下であってもよい。発泡剤5の平均粒径が5μm以上であれば、比較的少量で芯材3の厚みを増加させることができ、発泡剤5の平均粒径が150μm以下であれば、芯材3の第1の主面14及び第2の主面16の凹凸を小さく抑えやすくなる。
【0024】
第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の構成材料は、強粘着性の粘着材料であれば特に限定されない。第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の作製に使用される粘着剤は、例えば、アクリル系粘着剤、アクリルーウレタン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系及びゴム系粘着剤から選ばれた1種又は2種以上の混合物であってもよい。粘着剤としては、水系粘着剤、溶剤系粘着剤、無溶剤タイプの粘着剤等を使用できる。
第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の主剤となる粘着剤と、芯材3の主剤となる粘着剤とは同じタイプの粘着剤であってもよく、第1の粘着剤層11、第2の粘着剤層13及び芯材3が同一の粘着剤の硬化物により形成されていてもよい。この場合、第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13と芯材3との密着性が良好になるので、両面粘着テープ10の剥離時にこれら粘着剤層と芯材3との間で層間剥離が生じにくくなる。一例として、第1の粘着剤層11、第2の粘着剤層13及び芯材3の形成にいずれもアクリル系粘着剤が使用されていてもよい。この場合に、両面粘着テープ10がアクリル系粘着剤を主剤とするモノマテリアルテープとして、ケミカルリサイクル等のリサイクルを容易に実施できるようになるという観点から好ましい。
第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13を形成するために使用される粘着剤組成物は、少なくとも一部にバイオマス材料を含むことが好ましい。粘着剤組成物のバイオマス度は、例えば10%以上であってもよいし、20%以上であればより好ましい。粘着剤組成物は、テルペン系やロジン系などの生物由来の粘着性付与剤を含有していてもよい。
第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層13の構成材料や厚みは、互いに同一であってもよいが、互いに異なっていてもよい。例えば、互いに異なる材料から構成された第1の部材と第2の部材とを、本実施形態の両面粘着テープ10によって貼り合わせる場合、第1の粘着剤層11を第1の部材に対する粘着力が特異的に大きい材料で構成し、第2の粘着剤層13を第2の部材に対する粘着力が特異的に大きい材料で構成してもよい。
【0025】
また、第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の少なくとも一方に機能性材料が添加されていてもよい。機能性材料としては、例えば磁性粒子、抗菌・抗ウイルス材料、リラックス効果や虫よけ効果のある香料、帯電防止剤、導電性粒子等が挙げられる。一層の粘着剤層のみからなる基材レス粘着テープの場合、粘着剤層への機能性材料の添加により粘着力の低下を来しやすいが、本実施形態の両面粘着テープでは芯材3に生じる糸引きにより粘着力が向上しているので、粘着力の低下を生じることなく第1の粘着剤層11又は第2の粘着剤層13に機能性材料を添加することが可能になっている。
第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の厚みは特に限定されないが、例えば2μm以上200μm以下であってもよく、10μm以上100μm以下であれば好ましく、30μm以上80μm以下であればより好ましい。粘着剤層の厚みが薄すぎると被着体に対する粘着力が弱くなり、粘着剤層の厚みが厚過ぎると製造コストが上がってしまう。
【0026】
第1の剥離ライナー9及び第2の剥離ライナー1は、互いに同じ構成であってもよいし、互いに異なる構成であってもよい。一方の剥離ライナーがポリエチレンテレフタレート(PET)等の樹脂フィルム基材を有しており、他方の剥離ライナーが上質紙等の紙基材を有している場合、両側の剥離ライナーが樹脂フィルム基材を有する場合に比べてロール状に巻きやすくなるので、好ましい。第1の剥離ライナー9を剥離するのに要する剥離力と、第2の剥離ライナー1を剥離するのに要する剥離力とはほぼ同等であってもよいが、一方を軽剥離、他方を重剥離として剥離力に差をつけてもよい。
【0027】
[両面粘着テープの物性]
本実施形態の両面粘着テープ10について、上述のように、23℃、相対湿度50%の環境下、研磨されたSUS鋼板に第1の粘着剤層11側及び第2の粘着剤層13側の少なくとも一方を貼り付けた後、剥離角度90度、剥離速度300mm/分の条件で剥がした場合の粘着力は、少なくとも20N/20mm以上となっている。両面粘着テープ10の粘着力は、30N/20mm以上であればより好ましく、35N/20mm以上であればさらに好ましい。
本実施形態の両面粘着テープ10について、23℃、相対湿度50%の環境下、SUS鋼板に対し、剥離速度を300mm/分で剥離角度を90度とした場合の粘着力は、剥離角度を180度とした場合の粘着力よりも大きくなっている。これは、剥離角度が180度の場合よりも90度の場合の方が芯材3に生じる糸の本数や幅が増えるためと考えられる。
【0028】
芯材3を300mm/分の速度で引っ張った際の破断伸度は、例えば200%以上であってもよい。破断伸度が200%以上であれば、被着体から剥離する際に糸引きを生じやすくなる。また、芯材3を300mm/分の速度で引っ張った際の最大点応力は、例えば0.10MPa以上1.0MPa以下程度であってもよい。
【0029】
両面粘着テープ10の保持力の指標となる保持力持続時間は、40℃の条件下で1分以上であることが好ましく、5分以上であればより好ましく、60分以上であればさらに好ましい。保持力持続時間の測定方法は後述する。保持力持続時間が長い程、粘着面に対して水平な方向に応力が印加される場合のズレが小さくなる。従って、保持力持続時間が1分以上であれば、壁面に物品を固定する等の、粘着面に水平な方向に力が加わる用途に好ましく使用できる。保持力持続時間が50000秒以上である場合は、ズレ量が小さい方が好ましい。ただし、保持力が小さくても、例えば路面にシート等を固定する用途に使用する場合には好ましく用いられる。本実施形態の両面粘着テープ10は、発泡体からなる芯材3を有しているので、路面の凹凸を吸収することもできる。
【0030】
以上で説明した本実施形態の両面粘着テープ10は、本発明の一例であって、芯材3、第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の組成や厚み、形状、形成位置等は本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0031】
[両面粘着テープの製造方法]
図4A~
図4Dは、両面粘着テープの製造方法を示す断面図である。
【0032】
本実施形態の両面粘着テープ10を作製する際には、
図4Aに示す工程で、まず粘着剤に適量の硬化剤と所定量の発泡剤5aとを加えて混合することにより、塗液を作製する。発泡剤5aの添加量は、例えば粘着剤の樹脂固形分に対して1質量%以上50質量%以下とする。次いで、紙製又は樹脂フィルム製の剥離ライナー21の剥離面に、乾燥及び発泡後に所望の厚さになるようにコンマ型コーター等により塗液を塗工して、発泡剤5aを含む芯材3を形成させる。熱硬化性の粘着剤組成物と熱膨張性の発泡剤5aとを用いることで、次工程において乾燥・硬化・発泡剤5aの熱膨張とを一度の加熱で行うことができる。
次いで、
図4Bに示す工程で、発泡剤5aの発泡開始温度以上の温度でシートを乾燥させる。これにより、発泡剤5aは熱膨張した状態の発泡剤5となり、芯材3の厚みは乾燥前の数倍から10倍程度になる。
次に、
図4Cに示す工程で、芯材3の露出面に剥離ライナー23を貼り合わせる。
続いて、
図4Dに示す工程で、第1の剥離ライナー9の剥離面に所定の粘着剤と適量の硬化剤とを含む粘着剤組成物をコンマ型コーター等により塗布した後、100℃~120℃程度で乾燥させて第1の粘着剤層11を形成する。次いで、芯材3から剥離ライナー23を剥離し、芯材3の露出面に第1の粘着剤層11を貼り合わせる。次に、第2の剥離ライナー1の剥離面に所定の粘着剤と適量の硬化剤とを含む粘着剤組成物をコンマ型コーター等により塗布した後、100℃~120℃程度で乾燥させて第2の粘着剤層13を形成する。次いで、芯材3から剥離ライナー21を剥離し、芯材3の露出面に第2の粘着剤層13を貼り合わせて両面粘着テープ10を作製する。その後、両面粘着テープ10を40℃で72時間程度静置することによってエージングを行う。
なお、ここでは熱膨張性の発泡剤5aを用いて発泡性の芯材3を形成する方法を示したが、粘着剤組成物に窒素をバブリングさせた状態で塗工し、乾燥させることによって芯材3を形成してもよい。また、光照射によりラジカルを発生させる光開始剤と粘着剤とを含む光硬化型の粘着剤組成物を用いて第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層13の少なくとも一方を形成してもよい。芯材3の主材料となる粘着剤組成物も光硬化型粘着剤組成物であってよい。この場合、例えば紫外線等による光硬化をまず行い、その後加熱による芯材3の膨張及び乾燥とを行えばよい。
【実施例0033】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0034】
[両面粘着テープの作製]
<製造例1>
市販のアクリル系粘着剤A(樹脂固形分45%)100質量部に対して市販のイソシアネート系硬化剤A(樹脂含有率35%)を0.05質量部、発泡剤を4.5質量部、酢酸エチルを20質量部添加して混合した樹脂組成物A1を、剥離ライナーの剥離面にコンマ型コーターを用いて塗工し、80℃で乾燥させた後所定期間110℃で乾燥させることにより、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。次いで、芯材の露出面に他の剥離ライナーを貼り合わせた。本製造例及び他の製造例では、発泡剤として松本油脂製薬社の「マツモトマイクロスフェアーHF-48D」を使用した(表1参照)。粘着剤Aは、植物由来のロジン系粘着付与剤を含んでおり、樹脂固形分中の植物由来成分の含有量は10質量%(すなわち、バイオマス度10%)である。
【0035】
【表1】
<製造例2>
硬化剤Aの添加部数をアクリル系粘着剤A100質量部に対して0.1質量部に変更した以外は製造例1と同様の方法により、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。
<製造例3>
硬化剤Aの添加部数をアクリル系粘着剤A100質量部に対して0.5質量部に変更した以外は製造例1と同様の方法により、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。
<製造例4>
硬化剤Aの添加部数をアクリル系粘着剤A100質量部に対して1.0質量部に変更した以外は製造例1と同様の方法により、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。
<製造例5>
硬化剤Aの添加部数をアクリル系粘着剤A100質量部に対して2.0質量部に変更した以外は製造例1と同様の方法により、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。
<製造例6>
アクリル系粘着剤B(樹脂固形分50%)100質量部に対してイソシアネート系硬化剤B(樹脂含有率45%)を0.05質量部、発泡剤(「マツモトマイクロスフェアーHF-48D」)を5.0質量部、酢酸エチルを20質量部添加して混合した樹脂組成物B1を、剥離ライナーの剥離面にコンマ型コーターを用いて塗工し、80℃で乾燥させた後所定期間115℃で乾燥させることにより、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。次いで、芯材の露出面に他の剥離ライナーを貼り合わせた。
<製造例7>
発泡剤の添加部数をアクリル系粘着剤B100質量部に対して7.5質量部に変更したことと、塗工後の乾燥温度を80℃及び110℃としたこと以外は製造例6と同様の方法により、厚みが480μm~530μmの芯材を作製した。
<製造例8>
発泡剤の添加部数をアクリル系粘着剤B100質量部に対して7.5質量部に変更したことと、塗工後の乾燥温度を80℃及び105℃としたこと以外は製造例6と同様の方法により、厚みが480μm~580μmの芯材を作製した。
<製造例9>
アクリル系粘着剤C(樹脂固形分50%)100質量部に対してイソシアネート系硬化剤C(樹脂含有率45%)を0.1質量部、発泡剤(「マツモトマイクロスフェアーHF-48D」)を5.0質量部、酢酸エチルを20質量部添加して混合した樹脂組成物Cを、剥離ライナーの剥離面にコンマ型コーターを用いて塗工し、80℃で乾燥させた後所定期間115℃で乾燥させることにより、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。次いで、芯材の露出面に他の剥離ライナーを貼り合わせた。
【0036】
粘着剤Cは、植物由来のロジン系粘着付与剤を樹脂固形分の5~10質量%程度含んでいる。
<製造例10>
アクリル系粘着剤D(樹脂固形分38%)100質量部に対して硬化剤B(樹脂含有率45%)を0.05質量部、発泡剤(「マツモトマイクロスフェアーHF-48D」)を3.8質量部、酢酸エチルを20質量部添加して混合した樹脂組成物Dを、剥離ライナーの剥離面にコンマ型コーターを用いて塗工し、80℃で乾燥させた後所定期間125℃で乾燥させることにより、厚みが500μm~600μmの芯材を作製した。次いで、芯材の露出面に他の剥離ライナーを貼り合わせた。
<製造例11>
硬化剤Aの添加部数をアクリル系粘着剤A100質量部に対して3.0質量部に変更した以外は製造例1と同様の方法により、厚みが400μm~500μmの芯材を作製した。
【0037】
<実施例1>
市販のPET製の第1の剥離ライナーの剥離面に、市販のアクリル系粘着剤E(樹脂固形分55%)とイソシアネート系硬化剤D(樹脂含有率45%)とが混合されてなる塗液をコンマ型コーターにより塗布した後、100℃~120℃程度で乾燥させて厚さ50μmの第1の粘着剤層を形成した。次に、製造例1で作製した芯材から一方の剥離ライナーを剥離し、芯材の露出面に第1の粘着剤層付きの第1の剥離ライナーを貼り合わせた。次に、第2の剥離ライナー1の剥離面に第1の粘着剤層と同じ組成及び厚みを有する第2の粘着剤層を形成した後、他方の剥離ライナーを剥離した芯材に第2の粘着剤層を貼り合わせることにより、両面粘着テープを作製した。
【0038】
<実施例2~9、比較例1、2>
製造例2で作製した芯材に実施例1と同じ方法により第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層を貼り合わせて実施例2の両面粘着テープを作製した。製造例3~9で作製した芯材に実施例1と同じ方法によりそれぞれ第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層を貼り合わせて実施例3~9の両面粘着テープを作製した。製造例10、11で作製した芯材にそれぞれ実施例1と同様の方法により第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層を貼り合わせて比較例1、2の両面粘着テープを作製した。
【0039】
[測定方法]
<最大点応力、破断伸度の測定及び応力―歪み曲線の作成>
製造例1~11で作製した芯材を、幅10mm、長さ30mmの短冊状にカットし、引張試験機を用い、23℃、相対湿度50%の環境下、つかみ間隔10mm、引張速度300mm/分で引張り試験を行い、応力及び破断伸度の測定を行った。この測定結果から、応力―歪み曲線(以下「SSカーブ」と称する)を作成した。このSSカーブの縦軸は引張応力σ(MPa)(=引張荷重F(N)/試験片の初期断面積S(mm2)であり、横軸は歪みε(%GL)(=試験片の変形量ΔL(mm)/試験片の初期長さ(mm))である。試験片の初期長さは10mmである。このSSカーブにおいて、応力が最も大きくなる点を最大点応力とした。この試験において、引張比例限度内における引張応力σとこれに対応する歪みεLの比(σ/εL)により、ヤング率を測定した。上述の測定は、第1の剥離ライナー及び第2の剥離ライナーを剥がした状態の試料を用いて測定した。
【0040】
<両面粘着テープの対SUS粘着力の測定>
実施例1~9及び比較例1、2で作製した両面粘着テープを幅20mm、長さ150mmの短冊状にカットして試験片を作成した後、第1の剥離ライナーを剥がして露出面に、表面処理が施されていない厚さ25μmの二軸延伸PETフィルムを貼り合わせた。この状態で、第2の剥離ライナーを剥離し、粒度が♯360の耐水ペーパーを用いて研磨したSUS鋼板に、JIS Z 0237に準拠する方法により露出面を貼り付けて粘着力を測定した。具体的には、幅20mmに裁断した両面粘着テープの試験片を被着体であるSUS鋼板に貼り付けてから2kgのローラーで2往復して圧着し、23℃、相対湿度50%で24時間静置した。これらの試験片を剥離速度300mm/分の条件で万能材料試験機を用いてSUS鋼板から剥離するのに要する力を粘着力(N/20mm)として測定した。剥離角度は90度及び180度とした。
【0041】
<保持力及び保持力持続時間の測定>
両面粘着テープから幅20mm、長さ100mmのサイズの試験片を切り出し、この試験片の一端における20mm×25mmの部分をSUS鋼板に貼り付けた。SUS鋼板に貼り付けた当該正方形部分に対してスキージを用いて均一な力で強く圧着した。
【0042】
次いで、試験片の正方形部分が上方に位置するようにSUS鋼板を垂直にし、下方に位置する試験片の他端側に1kgの重りを吊り下げた。この状態で、両面粘着テープが完全に剥がれるまでの時間を保持力持続時間として測定した。また、測定開始から5万秒経過時での試験片のズレ量(単位:mm)を、保持力を表す値として測定した。なお、測定は40℃で行ったが、一部の試験片に対しては23℃(常温)又は80℃でも測定を行った。
【0043】
<両面粘着テープのせん断接着力の測定>
両面粘着テープを10mm×10mmの大きさにカットした後、露出させた粘着剤層をSUS鋼板に貼り合わせて、引張試験機によりせん断方向に引っ張り、試験片をSUS鋼板から剥がすのに要する力をせん断接着力として測定した。測定は、23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
【0044】
[測定結果]
表2に、製造例1~9で作製した芯材の組成等と、芯材の最大点応力(MPa)及び破断伸度(%)を示す。表3に、製造例10、11で作製した芯材の組成等と、芯材の最大点応力(MPa)及び破断伸度(%)を示す。表4に、製造例1~11で作製した芯材の最大点伸び、最大点荷重、最大点応力等の物性を示す。また、
図5は、引張試験の結果を描画した各試験片のSSカーブを示す図である。
【0045】
【0046】
【0047】
【表4】
表2に示すように、製造例1~9で作製した芯材の破断伸度はいずれも200%以上となっていた。製造例1~5、11の比較から、同じ粘着剤を使用した場合、硬化剤の添加量が増えるにつれて破断伸度は小さくなることが確認できた。硬化剤の添加量が多くなると最大点応力が大きくなる傾向が見られた。なお、粘着剤組成物A2、B1等を用いて作製された芯材では、柔軟性が高く破断点が明確でなかったため、応力がほぼ0MPaとなった時点を破断点とみなして測定を終了した。
【0048】
図5は、製造例2、4、6、9、10で作製した芯材のSSカーブを示している。いずれの芯材も降伏点に至るまでは応力の増加に伴って歪みも大きくなっていたが、降伏点を超えて引っ張ると応力は小さくなっていくことが分かった。ただし、粘着剤組成物A5、A6のように、硬化剤の添加部数が粘着剤100質量部に対して2.0質量部以上になると、必ずしも最大点応力が降伏点とは言えなくなり、応力/伸度の変化率を正確に算出することが難しくなっていた。
【0049】
表4に示す通り、粘着剤組成物A1~A4の応力/伸度の変化率は、それぞれ-2.85×10-4(MPa/%GL)、-2.33×10-4(MPa/%GL)、-1.64×10-4(MPa/%GL)及び-3.50×10-4(MPa/%GL)であり、粘着剤組成物B、C、Dの応力/伸度の変化率は、それぞれ-1.61×10-4(MPa/%GL)、-1.89×10-4(MPa/%GL)、-6.75×10-4(MPa/%GL)であった。
【0050】
表5に実施例1~9で作製した両面粘着テープの粘着力、保持力及びせん断接着力を示し、表6に比較例1、2で作製した両面粘着テープの粘着力、保持力及びせん断接着力を示す。
【0051】
【0052】
【表6】
表5に示すように、実施例1~9で作製した両面粘着テープでは、SUS鋼板から剥離する際にいずれも糸引きが見られた。実施例1~3では大きな糸引きが見られたのに対し、実施例4では中程度の糸引きが、実施例5では小さい糸引きがそれぞれ見られた。このことから、破断伸度が小さくなるにつれて糸引きが生じにくくなることが確認できた。また、多少の誤差はあるものの、実施例1~9の両面粘着テープでは、剥離角度が180度の場合の粘着力よりも剥離角度が90度の場合の粘着力が強く、粘着力はいずれも20N/20mm以上であった。
【0053】
これに対し、比較例1、2で作製した両面粘着テープでは糸引きが見られず、剥離角度が180度の場合の粘着力は、剥離角度が90度の場合の粘着力よりも強かった。また、表5に示す応力/破断伸度の値(SSカーブの降伏点以降の傾き)が-4.00×10-4(MPa/%GL)以上である実施例1~4、6の両面粘着テープでは、中程度以上の糸引きが見られ、応力/破断伸度の値が-4.00×10-4(MPa/%GL)未満である比較例1の両面粘着テープでは糸引きが見られないことも確認できた。
【0054】
実施例1~9、比較例1、2の両面粘着テープの保持力持続時間は、いずれも1分以上であった。特に、実施例5の両面粘着テープでは、常温において保持力を表す50000秒経過時のズレ量が0.6mmであることが確認できた。