IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新日鐵住金株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-構造部材 図1
  • 特開-構造部材 図2
  • 特開-構造部材 図3
  • 特開-構造部材 図4
  • 特開-構造部材 図5
  • 特開-構造部材 図6
  • 特開-構造部材 図7
  • 特開-構造部材 図8
  • 特開-構造部材 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126603
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】構造部材
(51)【国際特許分類】
   B60G 7/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B60G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035093
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001553
【氏名又は名称】アセンド弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田畑 亮
(72)【発明者】
【氏名】大塚 研一郎
(72)【発明者】
【氏名】河内 毅
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博司
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA60
3D301AA69
3D301AA72
3D301AA85
3D301CA09
3D301DA90
3D301DA94
(57)【要約】
【課題】アーム部材及び補強部材の面外変形を抑制し、複数の向きの外力に対する強度を確保することができる構造部材を提供する。
【解決手段】構造部材(100)は、取付け部(11,12,13)と、アーム部材(20)と、補強部材(30)とを備える。補強部材(30)は、補強部材本体(31)と、フランジ(32)とを含む。補強部材本体(31)において、枝部(312a)は、基部(311)から取付け部(12)側に延在し、枝部(312b)は、枝部(312a)と分かれて基部(311)から取付け部(13)側に延在する。補強部材本体(31)の端縁(314)のうち枝部(312a,312b)を接続する部分である分岐部(313)は、平面視で取付け部(11)側に凹の湾曲形状を有する。フランジ(32)は、その少なくとも一部が分岐部(313)に沿って配置されるように端縁(314)に連続して設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の構造部材であって、
他の部材を取り付けるための第1取付け部、第2取付け部、及び第3取付け部と、
前記第1取付け部側から前記第2取付け部側に延在する第1側縁と、前記第1取付け部側から前記第3取付け部側に延在し、前記構造部材の平面視で内側に凹に湾曲する第2側縁とを含む天板と、前記第1側縁に連続して設けられ、前記第1側縁に沿って延在する第1縦壁と、前記第2側縁に連続して設けられ、前記第2側縁に沿って延在する第2縦壁とを含むアーム部材と、
前記天板と対向するように配置される補強部材本体と、前記補強部材本体から前記天板に向かって突出し、前記天板から隙間を空けて配置されるフランジとを含む補強部材と、
を備え、
前記補強部材本体は、
前記第2取付け部及び前記第3取付け部に対して前記第1取付け部側に配置され、前記第1縦壁及び前記第2縦壁に接合される基部と、
前記基部から前記第2取付け部側に前記第1縦壁に沿って延在し、前記第1縦壁に接合される第1枝部と、
前記第1枝部と分かれて前記基部から前記第3取付け部側に前記第2縦壁に沿って延在し、前記第2縦壁に接合される第2枝部と、
を含み、
前記補強部材本体の端縁のうち前記第1枝部と前記第2枝部とを接続する部分である分岐部は、前記構造部材の平面視で前記第1取付け部側に凹の湾曲形状を有し、
前記フランジは、当該フランジの少なくとも一部が前記分岐部に沿って配置されるように前記端縁に連続して設けられる、構造部材。
【請求項2】
請求項1に記載の構造部材であって、
前記分岐部は、前記第2縦壁の延在方向の中央近傍に位置している、構造部材。
【請求項3】
請求項1に記載の構造部材であって、
前記フランジの少なくとも一部は、前記分岐部において当該分岐部の頂点から前記第2枝部側の領域に配置されている、構造部材。
【請求項4】
請求項1に記載の構造部材であって、
前記天板から前記補強部材本体までの距離をH、前記フランジの突出高さをHとしたとき、H/Hは0.40以上である、構造部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動車用の構造部材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車の車体は、複数の構造部材を連結して形成されている。各構造部材には、自動車の走行時や衝突時において外力が作用する。
【0003】
例えば、特許文献1では、自動車用の構造部材について、外力が作用したときに生じる応力集中を低減するための技術が提案されている。特許文献1では、構造部材の一種としてロアアームが例示されている。特許文献1のロアアームは、アーム部材(主部材)と、補強部材と、取付け部材とを備えている。アーム部材は、入力部と、取付け部とを含む。入力部は、ロアアームのうち外力が作用する部分であり、ボールジョイントを介してステアリングナックルに取り付けられる。ロアアームは、アーム部材の取付け部、及びアーム部材に溶接された取付け部材を介し、車体を構成するサスペンションメンバに取り付けられる。
【0004】
特許文献1のロアアームにおいて、アーム部材は、天板と、複数の縦壁とを含む。補強部材は、アーム部材の天板に対向している。補強部材は、アーム部材の各縦壁に接合され、アーム部材とともに閉断面を構成する。補強部材のうちアーム部材の取付け部の近傍の端縁は、平面視で取付け部から遠ざかる方向に凹の形状を有し、且つ天板側又は天板の反対側に折り曲げられている。特許文献1によれば、これにより、取付け部近傍の端縁での補強部材の曲げ剛性が増加するため、車両衝突に伴う衝撃力がアーム部材の入力部に作用したとき、当該端縁で発生しやすい応力集中が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-109388号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示される構造部材は、平面視で湾曲形状を有している。このような構造部材では、構造部材に外力が入力された際、湾曲部の近傍で座屈が生じる可能性がある。構造部材が座屈に至る過程では、アーム部材や補強部材の面外変形が発生する。アーム部材及び補強部材の面外変形が大きくなると構造部材が座屈しやすくなるため、構造部材の強度を確保することが難しい。特に、軽量化のために高強度薄肉材で構造部材を形成した場合、面外変形量は増加する。
【0007】
自動車の構造部材では、様々な向きの外力の入力が想定される。例えば、自動車が横滑りして縁石等に乗り上げた場合、構造部材に車幅方向(左右方向)の荷重が作用することがある。例えば、自動車が前進して縁石等に乗り上げた場合には、構造部材に対して車長方向(前後方向)の荷重が作用することがある。そのため、構造部材は、複数の向きの外力に対する強度を確保することが好ましい。
【0008】
本開示は、アーム部材及び補強部材の面外変形を抑制し、複数の向きの外力に対する強度を確保することができる構造部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る構造部材は、自動車用の構造部材である。構造部材は、他の部材を取り付けるための第1取付け部、第2取付け部、及び第3取付け部と、アーム部材と、補強部材とを備える。アーム部材は、天板と、第1縦壁と、第2縦壁とを含む。天板は、第1側縁と、第2側縁とを含む。第1側縁は、第1取付け部側から第2取付け部側に延在する。第2側縁は、第1取付け部側から第3取付け部側に延在する。第2側縁は、構造部材の平面視で内側に凹に湾曲する。第1縦壁は、第1側縁に連続して設けられる。第1縦壁は、第1側縁に沿って延在する。第2縦壁は、第2側縁に連続して設けられる。第2縦壁は、第2側縁に沿って延在する。補強部材は、補強部材本体と、フランジとを含む。補強部材本体は、天板と対向するように配置される。フランジは、補強部材本体から天板に向かって突出する。フランジは、天板から隙間を空けて配置されている。補強部材本体は、基部と、第1枝部と、第2枝部とを含む。基部は、第2取付け部及び第3取付け部に対して第1取付け部側に配置されている。基部は、第1縦壁及び第2縦壁に接合される。第1枝部は、基部から第2取付け部側に第1縦壁に沿って延在する。第1枝部は、第1縦壁に接合される。第2枝部は、第1枝部と分かれて基部から第3取付け部側に第2縦壁に沿って延在する。第2枝部は、第2縦壁に接合される。補強部材本体の端縁のうち第1枝部と第2枝部とを接続する部分である分岐部は、構造部材の平面視で第1取付け部側に凹の湾曲形状を有する。フランジは、当該フランジの少なくとも一部が分岐部に沿って配置されるように端縁に連続して設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本開示に係る構造部材によれば、アーム部材及び補強部材の面外変形を抑制し、複数の向きの外力に対する強度を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態に係る構造部材の斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る構造部材の別の斜視図である。
図3図3は、図2における構造部材のIII-III断面図である。
図4図4は、図2における構造部材のIV-IV断面図である。
図5図5は、実施形態に係る構造部材の平面図である。
図6図6は、比較例1に係る構造部材の斜視図である。
図7図7は、比較例2に係る構造部材の斜視図である。
図8図8は、単位重量当たりの後退力に対する反力と変位との関係を示すグラフである。
図9図9は、単位重量当たりの横力に対する反力と変位との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施形態に係る構造部材は、自動車用の構造部材である。構造部材は、他の部材を取り付けるための第1取付け部、第2取付け部、及び第3取付け部と、アーム部材と、補強部材とを備える。アーム部材は、天板と、第1縦壁と、第2縦壁とを含む。天板は、第1側縁と、第2側縁とを含む。第1側縁は、第1取付け部側から第2取付け部側に延在する。第2側縁は、第1取付け部側から第3取付け部側に延在する。第2側縁は、構造部材の平面視で内側に凹に湾曲する。第1縦壁は、第1側縁に連続して設けられる。第1縦壁は、第1側縁に沿って延在する。第2縦壁は、第2側縁に連続して設けられる。第2縦壁は、第2側縁に沿って延在する。補強部材は、補強部材本体と、フランジとを含む。補強部材本体は、天板と対向するように配置される。フランジは、補強部材本体から天板に向かって突出する。フランジは、天板から隙間を空けて配置されている。補強部材本体は、基部と、第1枝部と、第2枝部とを含む。基部は、第2取付け部及び第3取付け部に対して第1取付け部側に配置されている。基部は、第1縦壁及び第2縦壁に接合される。第1枝部は、基部から第2取付け部側に第1縦壁に沿って延在する。第1枝部は、第1縦壁に接合される。第2枝部は、第1枝部と分かれて基部から第3取付け部側に第2縦壁に沿って延在する。第2枝部は、第2縦壁に接合される。補強部材本体の端縁のうち第1枝部と第2枝部とを接続する部分である分岐部は、構造部材の平面視で第1取付け部側に凹の湾曲形状を有する。フランジは、当該フランジの少なくとも一部が分岐部に沿って配置されるように端縁に連続して設けられる(第1の構成)。
【0013】
第1の構成では、アーム部材を補強する補強部材の本体が第1枝部と第2枝部とに分岐する。補強部材本体の端縁のうち第1枝部と第2枝部との分岐部は、平面視で湾曲形状を有している。さらに、湾曲形状の分岐部に沿ってアーム部材の天板に向かって突出するフランジが配置されている。これにより、構造部材に外力が入力されたとき、アーム部材及び補強部材本体に作用するせん断力がフランジに分散しやすくなる。そのため、アーム部材及び補強部材の面外変形が生じにくい。
【0014】
第1の構成において、補強部材本体の第1枝部は、第1取付け部側から第2取付け部側へと向かい、アーム部材の第1縦壁に沿って延びている。そのため、第1取付け部から第2取付け部側に向かって構造部材に荷重が入力されたとき、第1枝部がこの荷重を負担することができる。第1の構成では、補強部材のフランジによってアーム部材及び補強部材の面外変形が抑制され、構造部材の座屈が生じにくくなっているため、入力された荷重は第1枝部を効率よく伝達する。その結果、構造部材は、第1取付け部側から第2取付け部側への荷重に対し、優れた強度を発揮することができる。
【0015】
第1の構成において、補強部材本体の第2枝部は、第1取付け部側から第3取付け部側へと向かい、アーム部材の第2縦壁に沿って延びている。そのため、第1取付け部から第3取付け部側に向かって構造部材に荷重が入力されたとき、第2枝部がこの荷重を負担することができる。第1の構成では、補強部材のフランジによってアーム部材及び補強部材の面外変形が抑制され、構造部材の座屈が生じにくくなっているため、入力された荷重は第2枝部を効率よく伝達する。その結果、構造部材は、第1取付け部側から第3取付け部側への荷重に対し、優れた強度を発揮することができる。
【0016】
したがって、第1の構成に係る構造部材によれば、アーム部材及び補強部材の面外変形を抑制し、複数の向きの外力に対する強度を確保することができる。
【0017】
第1の構成に係る構造部材において、補強部材本体は、アーム部材の第1縦壁に沿って延在する第1枝部と、アーム部材の第2縦壁に沿って延在する第2枝部とに分岐している。すなわち、補強部材本体は、アーム部材の全体に設けられるのではなく、アーム部材のうち、第1取付け部側から第2取付け部側への荷重及び第1取付け部側から第3取付け部側への荷重に対して座屈が生じると想定される部分を選んで設けられている。これにより、構造部材の重量の増加を抑制しつつ、第1取付け部に入力される各荷重に対する強度を高めることができる。
【0018】
第1の構成に係る構造部材において、補強部材のフランジは、アーム部材の天板から隙間を空けて配置される。補強部材のフランジは、アーム部材の天板に接合されていない。そのため、フランジを天板に溶接等で接合する場合と比較して、構造部材の製造における工数及びコストが低減する。また、溶接部の疲労き裂の問題も生じないため、構造部材自身の部材性能を高めることができる。
【0019】
第1の構成に係る構造部材において、分岐部は、第2縦壁の延在方向の中央近傍に位置していてもよい(第2の構成)。
【0020】
構造部材に対して外力が入力されたとき、構造部材は、湾曲形状を有する第2縦壁の延在方向の中央近傍で座屈しやすい。特に、第1取付け部から第3取付け部側に向かって荷重が入力されたとき、第2縦壁の中央近傍で構造部材の座屈が生じやすくなる。これに対して、第2の構成では、補強部材本体の端縁のうち第1枝部と第2枝部との分岐部が第2縦壁の延在方向の中央近傍に位置づけられている。そのため、構造部材のうち座屈が生じやすい位置に補強部材のフランジを配置することができる。これにより、構造部材に対して第1取付け部から外力が入力されたとき、アーム部材及び補強部材の面外変形がフランジによってより抑制されやすくなる。したがって、構造部材の座屈がより生じにくくなり、構造部材がさらに優れた強度を発揮することができる。
【0021】
第1又は第2の構成に係る構造部材において、フランジの少なくとも一部は、分岐部において当該分岐部の頂点から第2枝部側の領域に配置されていてもよい(第3の構成)。
【0022】
構造部材に対して外力が入力されたとき、構造部材は、湾曲形状を有する第2縦壁側で座屈しやすい。特に、第1取付け部から第3取付け部側に向かって荷重が入力されたとき、第2縦壁側で構造部材が座屈しやすくなる。そのため、第3の構成では、補強部材本体の端縁のうち第1枝部と第2枝部との分岐部において、当該分岐部の頂点から第2枝部側の領域に補強部材のフランジが配置されている。すなわち、補強部材のフランジが第2縦壁の近傍に位置づけられている。これにより、構造部材に対して外力が入力されたとき、第2縦壁側でのアーム部材及び補強部材の面外変形が生じにくくなる。したがって、構造部材の座屈がより抑制され、構造部材の強度が向上しやすくなる。
【0023】
第1から第3のいずれかの構成に係る構造部材において、天板から補強部材本体までの距離をH、フランジの突出高さをHとしたとき、H/Hは0.40以上であってもよい(第4の構成)。
【0024】
第4の構成によれば、アーム部材の天板から補強部材本体までの距離(部材高さ)に対し、フランジの突出高さが十分に確保されている。この場合、アーム部材及び補強部材の面外変形がより効果的に抑制されるため、構造部材の強度がより向上しやすくなる。
【0025】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。各図において同一又は相当の構成については同一符号を付し、同じ説明を繰り返さない。
【0026】
[構造部材の構成]
図1及び図2は、本実施形態に係る構造部材100を模式的に示す斜視図である。構造部材100は、自動車の車体に用いられる。構造部材100は、例えば、自動車のシャシー部品である。シャシー部品には、ロアアームやアッパーアーム等のサスペンションアームが含まれる。本実施形態では、構造部材100がロアアームである例について説明する。
【0027】
図1を参照して、構造部材100は、平面視で湾曲した部材である。平面視とは、構造部材100を水平面に載置した状態で、この水平面に対して実質的に垂直な方向に沿って構造部材100を見る方法をいう。構造部材100は、取付け部11,12,13を備える。取付け部11,12,13は、構造部材100において他の部材を取り付けるための部分である。
【0028】
構造部材100がロアアームである場合、取付け部11は、構造部材100が自動車の車体に設置された状態で、取付け部12,13に対して車幅方向(左右方向)の外側に配置される。取付け部11は、例えば、構造部材100を車高方向(上下方向)に貫通する取付け孔111を含む。取付け孔111には、ボールジョイントが装着される。構造部材100は、ボールジョイント及びステアリングナックルを介して自動車の車輪に接続される。
【0029】
構造部材100がロアアームである場合、取付け部12,13は、構造部材100が自動車の車体に設置された状態で車長方向(前後方向)に配置される。取付け部12は、取付け部13の前方に配置される。取付け部12は、例えばカラー121を含む。カラー121には、ブッシュが装着される。構造部材100は、このブッシュを介して自動車の車体に接続される。
【0030】
取付け部13は、例えば、構造部材100を車高方向に貫通する取付け孔131を含む。取付け孔131には、ブッシュが装着される。構造部材100は、このブッシュを介して自動車の車体に接続される。
【0031】
図1及び図2を参照して、構造部材100は、さらに、アーム部材20と、補強部材30とを備える。
【0032】
アーム部材20は、構造部材100の本体である。アーム部材20は、平面視で全体的に湾曲した形状を有する。アーム部材20は、天板21と、縦壁221,222,223とを含む。
【0033】
天板21は、天板本体211と、側縁212a,212b,212cとを含んでいる。側縁212a,212b,212cは、天板本体211に連続して設けられる。側縁212a,212b,212cは、それぞれ、天板本体211と縦壁221,222,223との間のコーナー部(稜線部)である。側縁212aは、取付け部11側から取付け部12側に延在する。側縁212bは、取付け部11側から取付け部13側に延在する。側縁212cは、取付け部12側から取付け部13側に延在する。
【0034】
取付け部11と取付け部13との間で延在する側縁212bは、構造部材100の平面視でアーム部材20の内側に凹に湾曲している。側縁212bは、一定の曲率半径を有していてもよいし、曲率半径を変化させながら延在していてもよい。一方、他の側縁212a,212cは、平面視で湾曲していてもよいし、直線状に延びていてもよい。
【0035】
縦壁221は、天板21の側縁212aに連続して設けられている。縦壁221は、側縁212aに沿い、取付け部11側から取付け部12側へと延在している。
【0036】
縦壁222は、天板21の側縁212bに連続して設けられている。縦壁222は、側縁212bに沿い、取付け部11側から取付け部13側へと延在している。縦壁222は、側縁212bと同様、構造部材100の平面視でアーム部材20の内側に凹の湾曲形状を有している。縦壁222は、例えば、延在方向の中央又はその近傍で最も内側に凹んでいる。縦壁222の一部は、取付け部11と取付け部12との間で延在する縦壁221と対向している。
【0037】
縦壁223は、天板21の側縁212cに連続して設けられている。縦壁223は、側縁212cに沿い、取付け部12側から取付け部13側へと延在している。縦壁223は、取付け部11と取付け部13との間で延在する縦壁222の一部と対向している。
【0038】
平面視で全体的に湾曲するアーム部材20において、天板21の側縁212b及び縦壁222は湾曲内側に配置されている。一方、天板21の側縁212a,212c及び縦壁221,223は、アーム部材20の湾曲外側に配置されている。
【0039】
図2に示すように、補強部材30は、補強部材本体31と、フランジ32とを含む。
【0040】
補強部材本体31は、アーム部材20の天板21と対向するように配置される。補強部材本体31は、基部311と、枝部312a,312bとを含む。
【0041】
基部311は、取付け部12,13に対して取付け部11側に配置されている。基部311は、取付け部11から取付け部12に向かい、アーム部材20の縦壁221,222に沿って延在している。
【0042】
図3は、図2における構造部材100のIII-III断面図である。図3では、補強部材本体31の基部311の位置で、アーム部材20の湾曲内側の縦壁222の法線方向に沿って構造部材100を切断したときの断面を示す。以下、構造部材100の平面視での縦壁222の法線方向を構造部材100の幅方向ともいい、幅方向に沿って切断した断面を横断面という。
【0043】
図3に示すように、構造部材100の横断面で見て、アーム部材20の縦壁221,222は、その一端が天板21によって接続されている。補強部材本体31の基部311は、アーム部材20とともに閉断面を形成する。より具体的には、基部311は、アーム部材20の天板21に対して間隔を空けて対向し、縦壁221,222に接合される。基部311は、例えば溶接によって縦壁221,222に接合されていてもよい。
【0044】
補強部材本体31の基部311は、縦壁221,222の他端(開放端)に配置されていてもよいし、縦壁221,222の開放端よりも天板21側に配置されていてもよい。基部311の両端部は、縦壁221,222との接合代を確保するために折り曲げられていてもよい。
【0045】
図2に戻り、補強部材本体31の一方の枝部312aは、基部311から取付け部12側に向かい、アーム部材20の縦壁221に沿って延在する。枝部312aは、縦壁221に接合されている。枝部312aの縦壁221側の端部は、例えば溶接によって縦壁221に接合される。枝部312aの端部は、縦壁221との接合代を確保するために折り曲げられていてもよい。
【0046】
枝部312aは、取付け部12まで達していることが好ましい。この場合、図2に示すように、枝部312aは、取付け部12及びその近傍の位置で縦壁221,223に接合されていてもよい。
【0047】
補強部材本体31の他方の枝部312bは、基部311から取付け部13側に向かい、アーム部材20の縦壁222に沿って延在する。枝部312bは、枝部312aと分かれて基部311から取付け部13側へと延在している。すなわち、枝部312bは、枝部312aから構造部材100の幅方向に離隔している。枝部312bは、縦壁222に接合されている。枝部312bの縦壁222側の端部は、例えば溶接によって縦壁222に接合される。枝部312bの端部は、縦壁222との接合代を確保するために折り曲げられていてもよい。
【0048】
枝部312bは、取付け部13まで達していてもよいし、達していなくてもよい。枝部312bが取付け部13まで達している場合、図2に示すように、枝部312bは、取付け部13及びその近傍の位置で縦壁222,223に接合されていてもよい。
【0049】
枝部312a及び枝部312bは、分岐部313によって接続される。より具体的には、枝部312aの縦壁221と逆側の端縁と、枝部312bの縦壁222と逆側の端縁とが分岐部313を介して接続されている。分岐部313は、補強部材本体31の端縁314の一部である。端縁314は、補強部材本体31のうち、アーム部材20の縦壁221,222,223の内側に配置された連続する端縁であって、縦壁221,222,223のいずれにも接合されていない端縁である。
【0050】
分岐部313は、平面視で取付け部11側に凹の湾曲形状を有する。分岐部313は、一定の曲率半径を有していてもよいし、曲率半径を変化させながら延在していてもよい。
【0051】
フランジ32は、補強部材本体31からアーム部材20の天板21に向かって突出する。フランジ32は、補強部材本体31の端縁314に連続する。フランジ32は、その少なくとも一部が分岐部313に沿って配置されるように端縁314に連続して設けられている。
【0052】
図4は、図2における構造部材100のIV-IV断面図である。図4では、補強部材本体31の枝部312a,312bの位置で構造部材100を幅方向に沿って切断したときの断面(横断面)を示す。
【0053】
図4に示すように、枝部312a,312bの位置での横断面においても、アーム部材20は、縦壁221,221の一端が天板21によって接続されている。ただし、枝部312a,312bの位置では、アーム部材20は、補強部材本体31とともに閉断面を形成しない。
【0054】
枝部312aは、アーム部材20の縦壁221に接合される一方、縦壁222から離隔する。枝部312bは、アーム部材20の縦壁222に接合される一方、縦壁221から離隔する。分岐部313に沿って延びるフランジ32は、アーム部材20の天板21に接合されていない。フランジ32は、天板21から隙間を空けて配置されている。したがって、枝部312a,312bの位置では、構造部材100は、天板21とフランジ32との間が開放された開断面となっている。
【0055】
フランジ32は、アーム部材20の天板21又は補強部材本体31に対して垂直であってもよいし、傾いていてもよい。フランジ32の突出高さは、フランジ32の全体にわたって一定であってもよいし、補強部材本体31の端縁314の延在方向に沿って変化してもよい。構造部材100の高さをH、フランジ32の突出高さをHとしたとき、H/Hは0.40以上であることが好ましい。H/Hは、例えば0.90以下である。
【0056】
構造部材100の高さH及びフランジ32の突出高さHは、構造部材100を水平面に載置した状態で測定することができる。突出高さHは、フランジ32の最大突出高さであり、フランジ32の先端から補強部材本体31の端縁314の外面上のR止まり(フランジ32の逆側)までの鉛直方向(水平面に垂直な方向)における距離である。構造部材100の高さHは、フランジ32の突出高さHの測定位置と同一の位置におけるアーム部材20の天板21から補強部材本体31までの距離である。より具体的には、構造部材100の高さHは、天板本体211の内面から補強部材本体31の端縁314の外面上のR止まり(フランジ32の逆側)までの鉛直方向における距離である。
【0057】
図5は、構造部材100の平面図であって、補強部材30側から構造部材100を見た図である。図5を参照して、補強部材本体31に設けられた分岐部313は、その少なくとも一部がアーム部材20の縦壁222の延在方向の中央近傍に配置されていることが好ましい。
【0058】
アーム部材20の縦壁222の延在方向の中央近傍とは、例えば、取付け部11の中心から取付け部13の中心までの幅中心線CLに沿った距離を構造部材100の全長Lとしたとき、取付け部11の中心から取付け部13側に0.30L以上0.60L以下の範囲をいう。より具体的には、構造部材100の平面視で、取付け部11の中心から取付け部13側に0.30Lの位置で幅中心線CLと交差する縦壁222の法線と、取付け部11の中心から取付け部13側に0.60Lの位置で幅中心線CLと交差する縦壁222の法線とで画定される領域を縦壁222の延在方向の中央近傍と定義する。分岐部313の少なくとも一部は、取付け部11の中心から取付け部13側に0.30L以上0.60L以下の範囲に位置することが好ましい。より好ましくは、分岐部313の頂点315が取付け部11の中心から取付け部13側に0.30L以上0.60L以下の範囲に配置される。すなわち、取付け部11の中心から分岐部313の頂点315までの幅中心線CLに沿った距離をLとしたとき、L/Lが0.30以上0.60以下であることが好ましい。
【0059】
幅中心線CLは、縦壁222の法線方向に沿う構造部材100の断面の法線方向中央を通り、取付け部11から取付け部13に向かって延びる線である。分岐部313の頂点315は、構造部材100の平面視で、縦壁222の法線と分岐部313とが接する点である。取付け部11,13の中心とは、例えば、それぞれ取付け部11,13に装着されるブッシュの中心軸の位置である。
【0060】
分岐部313が縦壁222の延在方向の中央近傍に位置している場合、フランジ32も、その少なくとも一部が縦壁222の延在方向の中央近傍で延在していることが好ましい。すなわち、フランジ32の少なくとも一部が取付け部11の中心から取付け部13側に0.30L以上0.60L以下の範囲に位置していることが好ましい。フランジ32は、分岐部313の全体に設けられていてもよいし、分岐部313の一部に設けられていてもよい。フランジ32は、分岐部313を超えて取付け部12,13側に延在していてもよい。フランジ32の少なくとも一部は、分岐部313において頂点315から枝部312b側の領域に配置されていることが好ましい。
【0061】
フランジ32は、補強部材本体31の端縁314の全体にわたって延在していてもよいし、端縁314の一部に沿って延在していてもよい。例えば、補強部材本体31の端縁314のうち、取付け部12側でアーム部材20に当接する点を開始点とし、取付け部13側でアーム部材20に当接する点を終点として、開始点から終点までの端縁314の線長を周長Nと定義する。端縁314の開始点を0、終点を1としたとき、フランジ32は、少なくとも0.4N以上0.6N以下の範囲にわたって延在していてもよい。
【0062】
引き続き図5を参照して、補強部材30は、平面視でアーム部材20の一部のみを覆っている。そのため、構造部材100を水平面に載置し、この水平面にアーム部材20及び補強部材30を投影したとき、補強部材30の投影面積はアーム部材20の投影面積よりも小さい。補強部材30の投影面積をA、アーム部材20の投影面積をAとしたとき、A/Aは0.25以上0.95以下であってもよい。
【0063】
アーム部材20及び補強部材30は、典型的には金属板で形成される。アーム部材20及び補強部材30は、好ましくは鋼板で形成される。アーム部材20及び補強部材30は、高張力鋼板又は超高張力鋼板から形成されていてもよい。この場合、構造部材100を薄肉軽量化することができる。アーム部材20及び補強部材30の引張強さは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アーム部材20及び補強部材30の板厚は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0064】
本実施形態において、アーム部材20及び補強部材30は、取付け部11,13と一体に形成されている。ただし、取付け部11,13は、アーム部材20及び補強部材30と別体として形成された後、アーム部材20及び補強部材30に接合されてもよい。同様に、取付け部12は、アーム部材20及び補強部材30と一体形成されてもよいし、別体で形成されてもよい。
【0065】
[効果]
本実施形態に係る構造部材100では、アーム部材20が補強部材30によって補強されている。補強部材30の本体31は、平面視で二股に分岐している。より具体的には、補強部材本体31は、アーム部材20の縦壁221に沿う枝部312aと、縦壁222に沿う枝部312bとに分岐する。これらの枝部312a,312bを接続する分岐部313は平面視で凹状に湾曲し、この分岐部313に沿って配置されるフランジ32も平面視で凹状に湾曲している。これにより、構造部材100に外力が入力されたとき、アーム部材20及び補強部材本体31に作用するせん断力をフランジ32が負担しやすくなる。その結果、アーム部材20及び補強部材30の面外変形が抑制される。
【0066】
アーム部材20及び補強部材30の面外変形が抑制されることにより、構造部材100に外力が入力されたとき、構造部材100の荷重伝達能が向上する。例えば、構造部材100の取付け部11側から取付け部12側に向かう荷重、より具体的には車幅方向の外側から内側に向かう荷重(横力)が入力されたとき、アーム部材20及び補強部材30の面外変形が抑制されることにより、構造部材100に座屈を生じさせることなく荷重が構造部材100を伝達する。取付け部11に入力された横力は、取付け部11,12の間で延在する補強部材本体31の枝部312aによって負担される。したがって、構造部材100は、横力に対して優れた強度を発揮することができる。
【0067】
例えば、構造部材100の取付け部11側から取付け部13側に向かう荷重、より具体的には車長方向の前方から後方に向かう荷重(前後力)が入力されたとき、アーム部材20及び補強部材30の面外変形が抑制されることにより、構造部材100に座屈を生じさせることなく荷重が構造部材100を伝達する。また、取付け部11に入力された前後力は、取付け部11,13の間で延在する補強部材本体31の枝部312bによって負担される。したがって、構造部材100は、前後力に対して優れた強度を発揮することができる。
【0068】
このように、本実施形態に係る構造部材100によれば、アーム部材20及び補強部材の面外変形を抑制することができ、横力及び前後力の双方に対する強度を確保することができる。
【0069】
本実施形態に係る構造部材100において、補強部材30は、平面視でアーム部材20の一部のみを覆っている。水平面に対する補強部材30の投影面積は、アーム部材20の投影面積よりも小さい。本実施形態では、補強部材本体31が二股に分岐することにより、構造部材100のうち、横力及び前後力が入力されたときに座屈が生じやすい部分がそれぞれ補強されている。これにより、構造部材100の重量の増加を抑制しながら横力及び前後力のそれぞれに対する強度を高めることができる。
【0070】
本実施形態では、補強部材30のフランジ32とアーム部材20の天板21との間に隙間が形成されている。フランジ32は、天板21に接合されていない。そのため、フランジ32を天板21に溶接等で接合する場合と比較して、構造部材100の製造における工数及びコストが低減する。また、溶接部の疲労き裂の問題も生じないため、構造部材100の部材性能を高めることができる。
【0071】
本実施形態では、補強部材本体31の端縁314のうち枝部312a,312bの分岐部313が縦壁222の延在方向の中央近傍に位置づけられることが好ましい。これにより、縦壁222の中央近傍に補強部材30のフランジ32が配置されやすくなる。そのため、構造部材100に対して取付け部11から前後力が入力されたとき、座屈が生じやすい縦壁222の中央近傍でのアーム部材20及び補強部材30の面外変形を抑制することができる。したがって、構造部材100がより座屈しにくくなり、さらに優れた強度を発揮することができる。
【0072】
本実施形態では、枝部312a,312bの分岐部313のうち頂点315から枝部312b側の領域に補強部材30のフランジ32が配置されることが好ましい。これにより、構造部材100に対して取付け部11から前後力が入力されたとき、座屈が生じやすい湾曲内側でのアーム部材20及び補強部材30の面外変形を抑制することができる。したがって、構造部材100がより座屈しにくくなり、さらに優れた強度を発揮することができる。
【0073】
本実施形態において、構造部材100の高さHに対する補強部材30のフランジ32の突出高さHの比:H/Hは、0.40以上であることが好ましい。この場合、アーム部材20及び補強部材30の面外変形がフランジ32によってより効果的に抑制される。そのため、構造部材100の強度がより向上しやすい。
【0074】
以上、本開示に係る実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【実施例0075】
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0076】
[第1実施例]
本開示の効果を確認するため、上記実施形態において説明した形状を有する構造部材100について、市販の構造解析ソフトウェア(LS-DYNA,Livermore Software Technology Corporation製)を用いた解析を実施した(実施例)。より具体的には、車長方向の前方から後方に向かう荷重(後退力)及び車幅方向の外側から内側に向かう荷重(横力)の入力を想定した構造解析を実施し、それぞれの荷重に対する反力を調査した。比較のため、実施例に係る構造部材100と異なる形状を有する構造部材800,900について同様の解析を実施した(比較例1及び比較例2)。
【0077】
図6は、比較例1に係る構造部材800の斜視図である。比較例1に係る構造部材800は、実施例に係る構造部材100と異なる補強部材80を備える。補強部材80は、アーム部材20の開口を完全に覆っている。したがって、構造部材800は、その全体にわたり閉断面構造を有する。
【0078】
図7は、比較例2に係る構造部材900の斜視図である。比較例2に係る構造部材900は、実施例に係る構造部材100と異なる補強部材90を備える。補強部材90は、平面視で実施例に係る構造部材100の補強部材30と同様の形状を有している。ただし、補強部材90は、補強部材30と異なり、フランジ32を有していない。
【0079】
図8及び図9は、本解析の結果を示すグラフである。図8では、単位重量当たりの後退力に対する反力(kN)と変位(mm)との関係を示す。図9では、単位重量当たりの横力に対する反力(kN)と変位(mm)との関係を示す。
【0080】
図8に示すように、実施例では、比較例1及び比較例2と比べて単位重量当たりの後退力強度(最大反力)が有意に向上した。図9に示すように、実施例では、比較例1と比べて単位重量当たりの横力強度(最大反力)が有意に向上した。実施例の単位重量当たりの横力強度は、比較例2の単位重量当たりの横力強度と同等であった。
【0081】
本解析により、実施例に係る構造部材100では、後退力及び横力の双方に対する強度が重量効率よく確保されることを確認できた。
【0082】
[第2実施例]
上記実施形態において説明した形状を有する構造部材100について、補強部材30の形状を変更しながら第1実施例と同様の解析を実施した。本解析の条件及び結果を表1に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
表1に示すように、実施例1~実施例5は、構造部材100の全長に対する取付け部11の中心から補強部材30の分岐部313の頂点315までの距離の比:L/Lが異なるが、それ以外の主たる条件が同一の実施例である。実施例1、実施例3、及び実施例4では、L/Lが0.30以上0.60以下であり、分岐部313の頂点315が湾曲形状を有する縦壁222の延在方向の中央近傍に位置づけられている。実施例1、実施例3、及び実施例4では、L/Lが0.30未満又は0.60超であった実施例2及び実施例5よりも単位重量当たりの後退力強度が大きくなった。したがって、分岐部313の頂点315が縦壁222の延在方向の中央近傍に位置する場合、構造部材100の後退力強度がより向上するといえる。
【0085】
実施例1、及び実施例6~実施例11は、補強部材本体31の端縁314の周長Nに対するフランジ32の付与範囲が異なるが、それ以外の条件が同一の実施例である。実施例1、実施例7、及び実施例8では、補強部材本体31の端縁314の開始点を0、終点を1としたとき、端縁314において少なくとも0.4N以上0.6N以下の範囲にフランジ32が延在している。実施例1、実施例7、及び実施例8では、主に分岐部313の位置にフランジ32が配置されている。実施例1、実施例7、及び実施例8では、端縁314において0.4N以上0.6N以下の範囲でフランジ32が延在しない実施例6、及び実施例9~実施例11よりも単位重量当たりの後退力強度が大きくなった。したがって、端縁314において少なくとも0.4N以上0.6N以下の範囲にフランジ32が延在している場合、構造部材100の後退力強度がより向上するといえる。
【0086】
実施例1、及び実施例12~実施例17は、構造部材100の高さに対するフランジ32の突出高さの比:H/Hが異なるが、それ以外の条件が同一の実施例である。実施例1、及び実施例12~実施例15では、H/Hが0.40以上であり、フランジ32の突出高さが比較的大きく確保されている。実施例1、及び実施例12~実施例15では、H/Hが0.40未満であった実施例16及び実施例17よりも単位重量当たりの後退力強度が大きくなった。したがって、H/Hが0.40以上である場合、構造部材100の後退力強度がより向上するといえる。
【符号の説明】
【0087】
100:構造部材
11,12,13:取付け部
20:アーム部材
21:天板
212a,212b,212c:側縁
221,222,223:縦壁
30:補強部材
31:補強部材本体
311:基部
312a,312b:枝部
313:分岐部
314:端縁
315:頂点
32:フランジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9