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特開2024-126610処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126610
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/00 20180101AFI20240912BHJP
【FI】
G16H40/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035100
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】521177500
【氏名又は名称】株式会社fcuro
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直己
(72)【発明者】
【氏名】井上 周祐
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
(57)【要約】
【課題】 効率的に医療リソースを選択する。
【解決手段】 少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサは、ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、前記測定データに基づいて前記身体の状態に関する結果情報を取得し、前記身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する、ための処理を実行するように構成された処理装置が提供される。
【選択図】 図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、
前記測定データに基づいて前記身体の状態に関する結果情報を取得し、
前記身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する、
ための処理を実行するように構成された処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの医療リソースは医療従事者である、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記出力情報は、前記医療従事者を特定するための医療リソース識別情報と、前記結果情報に基づいて生成された医用情報とを含む、請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
前記他の処理装置は、前記医療従事者が利用可能な医療従事者端末装置である、請求項2に記載の処理装置。
【請求項5】
前記少なくとも一つの医療リソースは医療機器及び医療設備のいずれかである、請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記出力情報は、前記医療機器及び前記医療設備のうちの少なくともいずれかを特定するための医療リソース識別情報と、前記医療リソース識別情報によって特定された前記医療機器及び前記医療設備のうちのいずれかの利用を要求する要求情報とを含む、請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記他の処理装置は、前記医療機器、並びに前記医療機器又は前記医療設備の利用を管理するための管理装置である、請求項5に記載の処理装置。
【請求項8】
前記他の処理装置は、前記複数の医療リソースのそれぞれに関連付けられた複数の他の処理装置を含み、
前記出力情報は、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの他の処理装置に送信される、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項9】
前記結果情報は、前記身体の重症度に関する情報を含み、
前記少なくとも一つの医療リソースは前記重症度に応じて複数の医療リソースのうちから選択される、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項10】
前記結果情報は、学習済み解析モデルに前記測定データを入力することで取得される、請求項1に記載の処理装置。
【請求項11】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、
ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、
前記測定データに基づいて前記身体の状態に関する結果情報を取得し、
前記身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する、
ように機能させる処理プログラム。
【請求項12】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、
ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する段階と、
前記測定データに基づいて前記身体の状態に関する結果情報を取得する段階と、
前記身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する段階と、
を含む処理方法。
【請求項13】
請求項1に記載の処理装置と、
通信ネットワークを介して前記処理装置と接続され、前記出力情報を前記処理装置から受信するように構成された他の処理装置と、
を含む処理システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトの身体の測定データを処理するための処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒトの身体の測定データを処理して取得されたデータを出力することが可能な処理システムが知られていた。特許文献1は、紫外線を照射する紫外光源と、検査室における前記紫外線の照射対象物に対する前記紫外光源の位置を相対的に移動させ、前記照射対象物に対する前記紫外線の照射を制御する照射制御部と、被検体の医用画像を撮像する撮像部とを備える、医用画像診断装置であって、撮影された医用画像や、医用画像の解析結果などを表示するディスプレイを有する医用画像診断装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-014262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記のような技術を踏まえ、本開示では、様々な実施形態により、効率的に医療リソースを選択することが可能な処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサは、ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、前記測定データに基づいて前記身体の状態に関する結果情報を取得し、前記身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する、ための処理を実行するように構成された処理装置」が提供される。
【0006】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得し、記測定データに基づいて前記身体の状態に関する結果情報を取得し、前記身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する、ように機能させる処理プログラム」が提供される。
【0007】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する段階と、前記測定データに基づいて前記身体の状態に関する結果情報を取得する段階と、前記身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、前記結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する段階と、を含む処理方法」が提供される。
【0008】
本開示の一態様によれば、「上記記載の処理装置と、通信ネットワークを介して前記処理装置と接続され、前記出力情報を前記処理装置から受信するように構成された他の処理装置と、を含む処理システム」が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、効率的に医療リソースを選択することが可能な処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムを提供することができる。
【0010】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る処理システム1の構成を示すブロック図である。
図2図2は、本開示の一実施形態に係る処理装置100の構成を示すブロック図である。
図3A図3Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される対象者管理テーブルを概念的に示す図である。
図3B図3Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される疾患情報テーブルを概念的に示す図である。
図3C図3Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶されるリソース管理テーブルを概念的に示す図である。
図4図4は、本開示の一実施形態に係る処理システム1において実行される処理シーケンスを示す図である。
図5図5は、本開示の一実施形態に係るモデル生成装置300において実行される処理フローを示す図である。
図6図6は、本開示の一実施形態に係る測定データの一例を概念的に示す図である。
図7図7は、本開示の一実施形態に係る測定データが処理されることによって医用情報が生成される過程の一例を概念的に示す図である。
図8図8は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。
図9A図9Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される通知情報の一例を示す図である。
図9B図9Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。
図10A図10Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される通知情報の一例を示す図である。
図10B図10Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。
図11A図11Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される通知情報の一例を示す図である。
図11B図11Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.処理システム1の概要
本開示に係る処理システム1は、測定装置によって取得された測定データを解析して結果情報を取得し、当該結果情報に基づいて必要な医療リソースを選択するために用いられる。特に、処理システム1は、ヒトを対象者として複数の部位(例えば、全身)にわたって取得された測定データを処理するために用いられる。このような測定データは、典型的には、ヒトの身体の状態を測定したものであって、ヒトの身体の内部を撮影したCT画像(コンピュータ断層撮影画像)が用いられる。このようなCT画像は、処理装置100によって処理されることによって、ヒトの身体の状態を解析するのに用いられる。そして、その解析結果は、例えば医療従事者がヒトに対して処置、診断又は手術等の医療行為をするのに必要な医療リソースを確保するために用いられる。これによって、処理システム1は、効率的にこのような医療リソースを選択し、さらには確保することが可能となる。
【0013】
なお、本開示に係る処理システム1は、典型的には医療リソースの選択や確保が必要とされる医療の現場(例えば、医療機関)において好ましくは利用される。その中でも、救急医療の現場において特に好ましく利用される(ただし、利用の場面を救急医療のみに限定する意図はない)。このような救急医療の現場においては、測定データに基づいて対象者の身体の状態が解析され、その解析結果に従って迅速に対象者に対して必要とされる医療行為を提供する必要がある。この場合に必要とされる医療リソースを迅速に選択し確保することは、スピードの観点で極めて重要である。そのため、本開示に係る処理システム1を用いることによって、とりわけ救急医療の現場で適切な医療リソースを迅速に選択し確保することが可能にする。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る処理システム1の構成を示すブロック図である。図1によれば、処理システム1は、測定装置400によって取得された測定データを処理して医用情報を出力するための処理装置100と、医療リソースの管理をするための管理装置500と、医療従事者が利用可能な端末装置600とを含む。また、当該処理システムは、医用情報を表示するためのディスプレイ装置200、測定データを取得するための測定装置400、処理装置100によって医用情報を出力するときに用いられる学習済み解析モデルを生成するためのモデル生成装置300などを必要に応じて含んでもよい。処理装置100、ディスプレイ装置200、モデル生成装置300、測定装置400、管理装置500及び端末装置600は、無線及び有線の少なくともいずれかによって構成される通信ネットワークを介して、互いに通信可能に接続される。
【0015】
なお、本開示において、「測定装置400」は、測定データを取得するために用いられる装置であればいずれでもよく、特定のものに限定されるわけではない。このような測定装置の典型としてはCT装置が挙げられるが、ほかにはMRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。このような測定装置400は、医療機関で用いられる場合に限らず、対象者の自宅や学校、職場など、その使用場所はいずれでもよい。なお、CT装置は、救急搬送されてきた対象者に対して少なくとも複数の部位に跨がって断層画像データを取得するために用いられ、疾患部位の特定やその重症度の判定をするために有益な情報を提供することが可能である。そのため、本開示の処理システム1においては、測定装置400としてCT装置が特に好ましい。以下の例では、主にCT装置を測定装置として用いる場合について説明するが、当然これのみに限定されるわけではない。
【0016】
また、本開示において、「測定データ」は、測定装置400によって測定されたデータであればいずれでもよく、特定のものに限定されるわけではない。このような測定データの典型としてはCT画像が挙げられるが、ほかにはMRI画像、三次元計測データ、レントゲン画像データ、心電データ、エコー検査データ、内視鏡画像データ、血圧測定データ、採血データ、呼吸機能データ、その他の検査データ又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。CT画像は、対象者の所定の範囲(例えば、複数の部位や全身)にまたがって、対象者の複数の断層面の状態を評価するために用いられる。したがって、特定の断層面の状態だけではなく、空間的に連続する複数の断層面の状態を評価することが可能である。このようなCT画像を解析することによって、疾患の種類、それが生じている部位、及びその重症度の情報を得ることが可能となるため、医用情報を得るための測定データとしては、CT画像が特に好ましい。
【0017】
なお、測定データとして用いることができるのは、上記のとおり「空間的に連続して測定された測定データ」である必要は必ずしもない。例えば、血圧測定データからは、ある時点の血圧測定データと、ある一定の期間にわたって時間的に連続して測定された血圧測定データとをそれぞれ取得することが可能である。このように、「時間的に連続して測定された測定データ」であっても、好適に本開示の測定データとして利用することが可能である。また、測定データは学習済み解析モデルに入力されるが、入力されるデータは、測定データの全てである必要はなく、そのうちの少なくとも一部であればよい。以下の例では、主にCT画像を測定データとして用いる場合について説明するが、当然これのみに限定されるわけではない。
【0018】
また、本開示においては、測定データを用いて必要な医療リソースを選択することがきるが、この測定データは、上記で例示したCT画像や、MRI画像データ、三次元計測データ、レントゲン画像データなどが必ずしも単独で用いられなくてもよい。例えば、CT画像、採血データ及びレントゲン画像データなどの複数の測定データを組み合わせたり、CT画像及び採血データなどの測定データにさらに他の情報(体温や自覚症状などの対象者の問診情報、対象者のカルテ情報、又は対象者の身体状態の測定作業を行った医療従事者により入力された身体所見情報など)を組み合わせて、必要な医療リソースを選択することも可能である。
【0019】
また、本開示において、測定データは各測定装置から受信することが考えられるが、すでに測定された測定データが記憶されたデータベース装置やサーバ装置などから受信するようにしてもよい。すなわち、測定データはリアルタイムで測定されたもののみを意味するわけではない。このような一例としては、電子カルテやPACS(Picture Archiving and Communication Systems:画像保存通信システム)のためのデータベース装置やサーバ装置に記憶された測定データであっても同様に本開示における処理システム1に利用することができる。
【0020】
また、本開示において、「対象者」は、測定データの測定の対象となる者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限定されるわけではない。したがって、このような対象者としては、患者、被検者、診断対象者、健常者など、あらゆるヒトを含みうる。また、本開示において、「操作者」は、少なくとも処理装置100を操作するか、処理装置100によって出力された医用情報を参照する者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限定されるわけではない。したがって、このような操作者としては、医師、看護師、検査技師などの医療従事者に限らず、対象者自身などあらゆるヒトを含みうる。また、本開示において、「医療従事者」は医療に従事する者であればいずれでもよく、特定の属性を有する者のみに限定されるわけではない。したがって、このような医療従事者としては、医師、看護師、検査技師、医療事務者、医療機関の職員や管理者、救急隊員、医療機器や医療設備の担当者などあらゆるヒトを含みうる。
【0021】
また、本開示において、「医療リソース」は、医療機関に関連する医療従事者、医療機器、医療設備など医療行為に必要とされるあらゆるリソースを含みうる。すなわち、医療機関としては、測定装置が設置された医療機関のみならず、当該医療機関以外の外部の医療機関又は医療サービスを行う事業者(例えば、介護サービスの事業者や遠隔で読影を行う事業者、通訳や手話等などのサービスを提供する事業者等)を含む。また、医療従事者の例は上記のとおりであるが、このような医療従事者としては特定の医療機関に所属している者のみならず、外部の医療機関又は医療サービスを行う事業者に所属している者なども含みうる。また、医療機器としては、典型的には、ヒトの疾病の診断、治療若しくは予防に使用されこと、又はヒトの身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具が挙げられる。このような医療機器としては、以下のものに限られるわけではないが、経腸栄養注入セット、ネブライザ、X線フィルム、血液ガス分析装置、手術用不織布、X線撮影装置、心電計、超音波診断装置、注射針、採血針、真空採血管、輸液ポンプ用輸液セット、フォーリーカテーテル、吸引カテーテル、補聴器、家庭用マッサージ器、コンドーム、粒子線治療装置、人工透析器、硬膜外用カテーテル、輸液ポンプ、自動腹膜灌流用装置、人工骨、人工心肺装置、多人数用透析液供給装置、成分採血装置、人工呼吸器、ペースメーカ、冠動脈ステント、人工血管、PTCAカテーテル、中心静脈カテーテル、吸収性体内固定用ボルト、CT装置、MRI装置、内視鏡装置、血圧計装置などが挙げられる。また、医療設備としては、典型的には医療機関に配置された設備であればいずれでもよい。このような医療設備としては、以下にものに限定されるわけではないが、ICU、HCU、救急車、ベッド、病床、他の医療機関のベッドや病床などが挙げられる。
【0022】
また、本開示において、所定の疾患や症状に対して、「判定」や「診断」等の用語を用いるが、これらは医師による確定的な判定や診断を必ずしも意味するものではない。例えば、これらの用語は、本開示の処理システム1を対象者自らが使用したり、医師以外の操作者が使用したりして、処理システム1に含まれる処理装置100によって判定又は診断されることも当然に含む。また、これらの用語は、医師等が確定的な判定や診断をするためにその補助をすることも含む。
【0023】
2.処理装置100の構成
図2は、本開示の一実施形態に係る処理装置100の構成を示すブロック図である。図2によると、処理装置100は、プロセッサ111、メモリ112、入力インターフェイス113、出力インターフェイス114及び通信インターフェイス115を含む。これらの各構成要素は、互いに、制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。なお、処理装置100は、図2に示す構成要素のすべてを備える必要はなく、一部を省略して構成することも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。例えば、処理装置100は、各構成要素を駆動するためのバッテリ等を含むことが可能である。
【0024】
このような処理装置100としては、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末など、本開示に係る処理を実行可能な装置であればいずれでも好適に適用することが可能である。また、処理装置100は、少なくとも一部の処理をクラウド上のサーバ装置で行うことも可能である。したがって、処理装置100には、当該サーバ装置、又は操作者が操作するラップトップパソコン等の装置と当該サーバ装置との組み合わせも含む。
【0025】
処理装置100において、プロセッサ111は、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて処理装置100又は処理システム1の他の構成要素の制御を行う制御部として機能する。具体的には、プロセッサ111は、「ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する処理」、「測定データに基づいて身体の状態に関する結果情報を取得する処理」、「身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する処理」等を、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて実行する。プロセッサ111は、主に一又は複数のCPUにより構成されるが、適宜GPUやFPGAなどを組み合わせてもよい。
【0026】
メモリ112は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDD等から構成され、記憶部として機能する。メモリ112は、本実施形態に係る処理システム1の様々な制御のための指示命令をプログラムとして記憶する。具体的には、メモリ112は、「ヒトの身体の状態を測定した測定データを取得する処理」、「測定データに基づいて身体の状態に関する結果情報を取得する処理」、「身体に対する医療行為に用いられる複数の医療リソースのうち、結果情報に基づいて選択された少なくとも一つの医療リソースが特定された出力情報を、通信ネットワークを介して接続された他の処理装置に送信する処理」等、プロセッサ111が実行するためのプログラムを記憶する。また、メモリ112は、当該プログラムのほかに、対象者管理テーブル、疾患情報テーブル及びリソース管理テーブルに記憶される各種情報を記憶してもよい。
【0027】
入力インターフェイス113は、処理装置100に対する操作者の指示入力を受け付ける入力部として機能する。入力インターフェイス113の一例としては、キーボード、マウス等の各種ハードキーや、ディスプレイ装置200のディスプレイに重畳して設けられ、ディスプレイの表示座標系に対応する入力座標系を有するタッチパネルが挙げられる。タッチパネルの場合、ディスプレイに入力したいコマンドに対応したアイコンが表示され、当該タッチパネルを介して操作者が指示入力を行うことで、各アイコンに対する選択が行われる。タッチパネルによる対象者の指示入力の検出方式は、静電容量式、抵抗膜式などいかなる方式であってもよい。入力インターフェイス113は、常に処理装置100に物理的に備えられる必要はなく、有線や無線ネットワークを介して必要に応じて接続されてもよい。
【0028】
出力インターフェイス114は、処理装置100によって解析の結果得られた結果情報、医用情報等の情報を出力するための出力部として機能する。出力インターフェイス114の一例としては、液晶パネル、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等から構成されるディスプレイ装置200等の外部装置又は外部機器と接続するためのインターフェイスが挙げられる。しかし、処理装置100そのものがディスプレイを有する場合には、当該ディスプレイが出力インターフェイスとして機能することが可能である。また、ディスプレイ装置200などに対して通信インターフェイス115を介して接続されている場合には、当該通信インターフェイス115が出力インターフェイス114として機能することも可能である。
【0029】
通信インターフェイス115は、有線又は無線で構成された通信ネットワークを介して測定装置400、ディスプレイ装置200、モデル生成装置300、管理装置500、端末装置600、他の処理装置、サーバ装置等との間で測定データや医用情報、出力情報等を送受信するための通信部として機能する。通信インターフェイス115の一例としては、USB、SCSIなどの有線通信用コネクタや、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線などの無線通信用送受信デバイスや、プリント実装基板やフレキシブル実装基板用の各種接続端子など、様々なものが挙げられる。
【0030】
なお、ディスプレイ装置200の構成については特に具体的には説明しないが、上記のとおり液晶パネル、有機ELディスプレイ又はプラズマディスプレイ等から構成されるディスプレイ、処理装置100から各種情報の入力を受け付ける入力インターフェイス及び通信インターフェイスの少なくともいずれか、上記ディスプレイに受け付けられた各種情報を表示するための処理をするプロセッサ等を含む。
【0031】
また、学習済み解析モデルを生成するためのモデル生成装置300の構成については特に具体的には説明しない。しかし、処理装置100と同様に、プロセッサ、メモリ、入力インターフェイス、出力インターフェイス及び通信インターフェイス等を含む。このような装置としては、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末、サーバ装置又はこれらの組み合わせが用いられる。
【0032】
また、医療リソースの予約状況、勤務状況などの稼働状況を管理し、他の処理装置の一つとして機能する管理装置500の構成については特に具体的には説明しない。しかし、処理装置100と同様に、プロセッサ、メモリ、入力インターフェイス、出力インターフェイス及び通信インターフェイス等を含む。このような装置としては、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末、サーバ装置又はこれらの組み合わせが用いられる。
【0033】
また、例えば医療従事者によって利用可能に所持されたり、各医療機器や医療設備を操作・制御するために医療従事者が利用可能に各医療機器や医療設備に対応して設置され、他の処理装置の一つとして機能する端末装置600の構成については特に具体的には説明しない。しかし、処理装置100と同様に、プロセッサ、メモリ、入力インターフェイス、出力インターフェイス及び通信インターフェイス等を含む。このような装置としては、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、スマートフォン、タブレット端末、サーバ装置又はこれらの組み合わせが用いられる。
【0034】
なお、本開示では、処理装置100、モデル生成装置300、管理装置500及び端末装置600をそれぞれ別体として設けた。しかし、これに限らず、例えば処理装置100が、モデル生成装置300、管理装置500及び端末装置600のうちの少なくともいずれかの装置として機能してもよい。
【0035】
3.処理装置100のメモリ112に記憶される情報
図3Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される対象者管理テーブルを概念的に示す図である。対象者管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のプロセッサ111の処理の進行に応じて随時更新して記憶される。
【0036】
図3Aによれば、対象者管理テーブルには、対象者ID情報に対応付けて、対象者情報、測定データ、入力情報、結果情報及び医用情報等が記憶される。「対象者ID情報」は、各対象者に固有の情報で各対象者を特定するための情報である。対象者ID情報は、操作者又は対象者自身によって新たな対象者が登録されるごとに生成される。対象者情報は、各対象者の属性に関する情報である。このような属性情報の例としては、対象者名情報、生年月日情報、性別情報、住所情報、他の測定データ、カルテ情報、所見情報、問診情報、疾患関連情報(例えば、救急隊員からもたらされる交通事故、転倒、火災などの疾患原因、事故の発生状況、目撃情報、身体所見等)などが挙げられる。
【0037】
「測定データ」は、測定装置400において測定されたヒトの身体の状態を示すデータであり、測定装置400から通信インターフェイス115を介して受信される情報である。測定データとしてCT画像が用いられる場合は、所定の範囲(例えば、複数の部位や全身)にまたがって撮影された複数のCT画像のそれぞれ、又は複数のCT画像の全体のことを意味する。このようなCT画像は、静止画又は動画のいずれであってもよいし、その白黒画像、カラー画像などその画像形式はいずれであってもよい。このような測定データの具体例は図6等において後述する。
【0038】
「入力情報」は、結果情報を取得するために学習済み解析モデルに入力される情報である。測定データとして複数のCT画像が用いられる場合、入力情報には、典型的には、複数のCT画像のうちの特定の1又は複数個のCT画像が用いられる。このような複数のCT画像は、空間的に一定の間隔で取得されたものである。つまり、複数のCT画像に含まれる各CT画像は、その前後のCT画像と空間的に連続性又は関連性を有する。このような入力情報の具体例は図7等において後述する。
【0039】
「結果情報」は、学習済み解析モデルに入力情報が入力されることによって取得された情報である。測定データとして複数のCT画像が用いられる場合、結果情報には、典型的には、個々のCT画像ごとに検出される疾患の種類、その存在する部位、及びその重症度を示す情報である。このような疾患の重症度しては、特定の数値だけでなく、数値に基づいて分けられた分類(例えば、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」又は「レベル4」や、「軽度」、「中度」又は「重度」など、その分類の数はいずれでもよい)などが例として挙げられる。このような結果情報の具体例は図7等において後述する。
【0040】
「医用情報」は、結果情報に基づいて生成される情報である。当該医用情報は、出力インターフェイス114を介して、ディスプレイ装置200に出力され、ディスプレイ装置200に表示されたり、結果情報に基づいて選択された端末装置600に対して送信される。測定データとして複数のCT画像が用いられる場合、医用情報としては、典型的には、図8図11Bに示す医用情報が挙げられる。すなわち、医用情報は、検出された疾患名、それが存在する部位、及びその重症度等の結果情報に加え、検出に利用された測定データや特定の疾患に対する対処法などを示した論文やWEBサイト、特定の疾患に有用な医薬品に関する情報、特定の疾患を専門とする医療機関に関する情報、特定の疾患に対する処置のための装置・機器等に関する情報などを含んでよい。
【0041】
なお、対象者管理テーブルに記憶される情報は処理装置100のメモリ112に記憶されてもよいが、他の処理装置やデータベース装置など、他の装置に記憶されてもよい。
【0042】
図3Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶される疾患情報テーブルを概念的に示す図である。疾患情報テーブルに記憶される情報は、処理装置100のプロセッサ111の処理の進行に応じて随時更新して記憶される。
【0043】
図3Bによれば、疾患情報テーブルには、疾患ID情報に対応付けて、疾患情報、部位情報、重症度情報、必要リソース情報等が記憶される。「疾患ID」情報は、測定データを解析することによって特定される各疾患に固有の情報で各疾患を特定するための情報である。このような疾患の一例としては、出血、血管障害、意識障害、骨折、肺炎、肺がん、胸水、腫瘍、結石、副鼻腔炎等が挙げられる。「疾患情報」は、各疾患の疾患名、症状、又は病態に関する情報である。また、当該疾患情報には、疾患名以外にも、各疾患に対する対処法などを示した論文やWEBサイト、各疾患に有用な医薬品に関する情報、各疾患を専門とする医療機関に関する情報、各疾患に対する処置のための装置・機器等に関する情報などを含んでよい。
【0044】
「部位情報」は、測定データを解析することによって特定された各疾患が存在してる部位を特定するための情報である。このような部位の一例としては、頭部、胸部、腹部、骨盤部などの身体部位や、肝臓、脾臓、膵臓、骨、血管などの箇所等が挙げられる。「重症度情報」は、測定データを解析することによって特定された各疾患の重症度を特定するための情報である。このような重症度の一例としては、特定の数値や数値範囲だけでなく、数値に基づいて分けられた分類(例えば、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」又は「レベル4」や、「軽度」、「中度」又は「重度」など、その分類の数はいずれでもよい)。
【0045】
「必要リソース情報」は、測定データを解析することによって特定された疾患、その部位及びその重症度に応じて、各対象者に対して提供すべき医療リソースを特定するための情報である。このような必要リソース情報は、各医療従事者、各医療機器及び各医療設備を特定する情報、その数、その期間等を含んでよい。例えば、必要リソース情報には、
・外科医師/1名/2022年11月27日午前4時~午前6時
・看護師/3名/2022年11月27日午前3時~午前8時
・注射器/1個/2022年11月27日午前4時~未定
・超音波診断装置/1個/2022年11月27日午前4時~5時
・ICU/1部屋/2022年11月27日午前3時~午前8時
・一般病床/1床/2022年11月27日午前8時~2022年11月30日午後5時
などの情報が各行に記憶されている。
【0046】
すなわち、図3Bに示す疾患情報テーブルを参照することによって、測定データから疾患名、その存在する部位、及びその重症度が解析されると、解析されたこれらの情報から医療行為を提供するのに必要とされる医療リソースとその数及び期間を特定することが可能である。例えば、疾患ID情報F1に対応付けて、疾患情報G1=出血、部位情報J1=胸部、重症度情報=中度が記憶され、さらに必要リソース情報L1として、
・外科医師/1名/2022年11月27日午前4時~午前6時
・看護師/3名/2022年11月27日午前3時~午前8時
・注射器/1個/2022年11月27日午前4時~未定
・超音波診断装置/1個/2022年11月27日午前4時~5時
・ICU/1部屋/2022年11月27日午前3時~午前8時
・一般病床/1床/2022年11月27日午前8時~2022年11月30日午後5時
が記憶されている。このとき、測定データを解析することによって、結果情報として、疾患名が出血、その部位が胸部、及びその重症度情報が中度であることが取得されると、上記疾患ID情報F1及びそれに関連付けられた疾患情報G1、部位情報J1、重症度情報K1を参照して、必要リソース情報L1が選択される。
【0047】
なお、疾患情報テーブルに記憶される情報は処理装置100のメモリ112に記憶されてもよいが、他の処理装置やデータベース装置など、他の装置に記憶されてもよい。
【0048】
図3Cは、本開示の一実施形態に係る処理装置100に記憶されるリソース管理テーブルを概念的に示す図である。リソース管理テーブルに記憶される情報は、処理装置100のプロセッサ111の処理の進行に応じて管理装置500から受信して記憶される。また、処理装置100において選択された医療リソースを特定する出力情報が管理装置500に送信されると、管理装置500では当該出力情報に基づいてリソース管理テーブルが更新して記憶される。
【0049】
図3Cによれば、リソース管理テーブルには、リソースID情報に対応付けて、リソース情報、属性情報、稼働情報、送信先報等が記憶される。「リソースID情報」は、各医療リソースに固有の情報で各医療リソースを特定するための情報である。「リソース情報」は、各医療リソースの名称を特定するための情報である。具体的には、医師や看護師等の医療従事者それぞれの氏名であったり、各医療機器の名称(例えば、心電計A、心電計B、X社製注射器(型番Y)等)であったり、各医療設備の名称(例えば、S病院T号室等)であったりが記憶される。「属性情報」は、各医療リソースの属性を示す情報である。具体的には、医療リソースが医療従事者の場合には、外科医師、内科医師、麻酔科医師、看護師、検査技師等の情報が記憶される。また、医療リソースが医療機器の場合には、血液ガス分析装置、注射針、心電計、超音波診断装置等の情報が記憶される。また、医療リソースが医療設備の場合には、ICU、HCU、救急車、病床等の情報が記憶される。
【0050】
「稼働情報」は、各医療リソースの稼働状況を示す情報である。すなわち、当該稼働情報を参照することによって、各医療リソースにおいて利用可能な期間を特定することが可能となる。このような稼働情報としては、例えば医療従事者の勤務状況を示す情報(典型的には、応対可能な期間を示す情報)や、医療機器や医療設備の予約状況を示す情報、在庫状況を示す情報等が挙げられる。「送信先情報」は、処理装置100で出力情報として生成された要求情報や通知情報の送信先を指定する情報である。このような送信先情報としては、各医療従事者のメールアドレス、電話番号、SNS、チャットツールのアカウント、各医療機器を制御するための端末装置のネットワーク上の位置を特定する情報、各医療設備の予約状況等を管理する管理者の端末装置を特定する情報等、種々のものが利用可能である。
【0051】
なお、リソース管理テーブルに記憶される情報は処理装置100のメモリ112に記憶されてもよいが、他の処理装置やデータベース装置など、他の装置に記憶されてもよい。
【0052】
4.処理システム1で実行される処理シーケンス
図4は、本開示の一実施形態に係る処理システム1において実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図4は、処理装置100において測定装置400から測定データを受信し、当該測定データに基づいて出力情報が出力されるまでに、処理装置100、管理装置500及び端末装置600等において実行される処理シーケンスを示す図である。各装置における各処理は、各装置のプロセッサが各装置のメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって行われる。なお、以下の例では、管理装置500が、処理装置100が設置された医療機関に同様に設置され、かつ医療リソースも同様に当該医療機関に存在する場合について説明する。しかし、当然これに限らず、外部の医療機関や医療サービスを行う事業者に設置された管理装置を代替して用いたり、当該管理装置を組み合わせて用いることも可能である。また、管理装置500を含むこれらの管理装置によって管理される医療リソースも、当該医療機関のみならず、外部の医療機関や医療サービスに属する医療リソースも含むことが可能である。
【0053】
図4によると、とくに図示はしていなものの、例えば対象者が医療機関に救急搬送されてくると、処理装置100のプロセッサ111は、通信インターフェイス115を制御して、他の処理装置(例えば、問診用端末装置や電子カルテ用端末装置、PACSなど)から対象者の対象者ID情報とともに対象者情報(T11)を受信し、受信した対象者ID情報に対応付けて対象者情報を対象者情報テーブルに記憶する。なお、当該対象者情報は、処理装置100の入力インターフェイス113を介して操作者の指示入力を受け付けることにより取得してもよい。
【0054】
次に、特に図示はしていないものの、医療従事者によって測定装置400(例えば、CT装置)が操作され、対象者の全身のCT画像が撮影される。そして、撮影された全身のCT画像が測定データとして測定装置400に取得され、測定装置400の通信インターフェイスを介して、測定された対象者を特定するための対象者ID情報とともに、処理装置100に送信される。処理装置100のプロセッサ111は、通信インターフェイス115を介して、測定装置400から測定データ(T12)を受信すると、対象者ID情報に対応付けて受信した測定データを対象者管理テーブルに記憶する。
【0055】
次に、処理装置100のプロセッサ111は、入力インターフェイス113を介して、対象者管理テーブルに記憶されている複数の対象者の中から測定データの解析を行う所望の対象者ID情報を選択するために、操作者による操作入力を受け付ける。そして、プロセッサ111は、当該操作入力を受け付けると、対象者ID情報に対応付けられた測定データを対象者管理テーブルから読み出して、解析処理を実行する(S11)。当該解析処理は、一例としては、読み出された測定データを学習済み解析モデルに入力することによって行われる。
【0056】
ここで、図5は、本開示の一実施形態に係るモデル生成装置300において実行される処理フローを示す図である。具体的には、図5は、図4のS11の解析処理にいて用いられる学習済み解析モデルの生成に係る処理フローを示す図である。当該処理フローは、主にモデル生成装置300のプロセッサがメモリに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより行われる。
【0057】
図5によると、例えば測定装置400又は他の測定装置で測定された測定データを学習用データとして取得するステップが実行され得る(S111)。例えば、測定装置400としてCT装置が用いられる場合には、測定データとして対象者の全身を撮影した複数のCT画像が用いられる。なお、学習用データには、上記のような実際にCT装置を用いて撮影されたCT画像が用いられてもよいが、画像処理によるシミュレーションによって取得されたシミュレーション画像が用いられてもよい。以下では、学習用データとして複数のCT画像を用いる場合を説明する。
【0058】
次に、取得された複数のCT画像のそれぞれに対して、各CT画像中に見られる身体部位の疾患に関する情報(例えば、疾患名、その存在する部位及びその重症度)を疾患情報としてラベル付けする処理が実行される(S112)。当該ラベル付けは、医師などの医療従事者によって、外科的な損傷の種類やその度合い(重症度)、内科的な病変や炎症の種類とその度合い(例えば、重症度)、これらが所見として見られる部位(例えば、頭部、胸部、腹部、骨盤部などの身体部位や、肝臓、脾臓、膵臓、骨、血管などの箇所等)が入力されることによって行われる。なお、上記度合い(重症度)には、例えば、特定の数値のみに限らず、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」又は「レベル4」や、「軽度」、「中度」又は「重度」などの分類が例として挙げられる。また、これに代えて、又はこれに加えて、あらかじめ用意された特定の部位において重症度の異なる外科的な損傷が見られるCT画像や、特定の部位において重症度の異なる内科的な病変や炎症が見られるCT画像を用意し、これらの画像との一致度を画像解析処理によって算出し、この一致度に基づいてラベル付けが行われてもよい。
【0059】
学習用データとして複数のCT画像と、それに対応付けられたラベル情報がそれぞれ得られると、プロセッサによって、それらを用いて疾患パターン(疾患の種類、その部位及びその重症度)の機械学習を行うステップが実行される(S113)。当該機械学習は、一例として、学習用データとラベル情報の組を、ニューロンを組み合わせて構成されたニューラルネットワークに与え、ニューラルネットワークの出力がラベル情報と同じになるように、各ニューロンのパラメータを調整しながら学習を繰り返すことにより行われる。そして、学習済み解析モデル(例えば、ニューラルネットワークとパラメータ)を取得するステップが実行される(S114)。これにより、プロセッサは学習済み解析モデルの生成を終了する。なお、取得された学習済み解析モデルは、通信インターフェイスを介して処理装置100に送信され、処理装置100のメモリ112に記憶されてもよい。また、モデル生成装置300や他の処理装置、サーバ装置等のメモリに記憶されてもよい。
【0060】
再び図4に戻り、処理装置100のプロセッサ111は、このようにして生成された学習済み解析モデルに、取得された測定データを入力することにより解析処理を実行する。そして、処理装置100のプロセッサ111は、当該学習済み解析モデルに測定データが入力されることによって、各測定データに含まれる疾患の疾患名、その存在する部位及びその重症度を示す結果情報を取得する(S12)。処理装置100のプロセッサ111は、結果情報を取得すると、当該結果情報を対象者ID情報に対応付けて対象者管理テーブルに記憶する。
【0061】
次に、処理装置100のプロセッサ111は、結果情報が取得されると当該結果情報に基づいて医用情報を生成する(S13)。医用情報の一例としては、結果情報に含まれる疾患の名称、その部位及びその重症度の情報に加えて、検出に利用された測定データや特定の疾患に対する対処法などを示した論文やWEBサイト、特定の疾患に有用な医薬品に関する情報、特定の疾患を専門とする医療機関に関する情報、特定の疾患に対する処置のための装置・機器等に関する情報などを含んでよい。
【0062】
なお、処理装置100のプロセッサ111は、結果情報に加えて対象者に関する他の情報(例えば、対象者の問診情報、対象者のカルテ情報、又は対象者の身体状態の測定作業を行った医療従事者により入力された身体所見情報)を参照して、医用情報を生成してもよい。また、プロセッサ111は、結果情報の取得又は医用情報の生成の際に、複数の測定データを組み合わせることも可能である。例えば、プロセッサ111は、CT画像データを処理するための学習済み解析モデルにCT画像を入力することでCT画像データ由来の結果情報を取得するが、採血データを処理するための学習済み解析モデルに採血データを入力することで採血データ由来の結果情報を取得し、レントゲン画像データを処理するための学習済み解析モデルにレントゲン画像データを入力することでレントゲン画像由来の結果情報を取得し、各結果情報を組み合わせて(例えば、加算や重み付け、アンサンブルなどの処理を行う)総合評価としての結果情報を取得する。このように複数の測定データを組み合わせることによって、より多様な評価が可能となる。
【0063】
次に、処理装置100のプロセッサ111は、医用情報の生成がなされると、生成された医用情報を対象者ID情報に対応付けて対象者管理テーブルに記憶する。そして、プロセッサ111は、出力インターフェイス114を介して、生成された医用情報(T13)をディスプレイ装置200などに対して出力する。なお、このとき出力される医用情報の詳細は図8において後述する。
【0064】
次に、解析処理がされ結果情報が取得されると、処理装置100のプロセッサ111は管理装置500に対して、管理装置500に記憶されている最新のリソース管理テーブルの情報の送信要求(T14)を、通信インターフェイス115を介して送信する。これは、結果情報に基づいて医療行為を提供するのに必要とされる医療リソースを選択し確保するため、各医療リソースの現在の稼働状況を確認するために送信される。管理装置500のプロセッサは、通信インターフェイスを介して当該送信要求を受信すると、メモリに記憶されたリソース管理テーブル及びそこで管理される各種情報を読み出して(S14)、リソース情報(T15)として処理装置100に送信する。送信されるリソース情報は、図3Cに示す通りである。
【0065】
次に、処理装置100のプロセッサ111は、通信インターフェイス115を介してリソース情報を受信すると、メモリ112に受信したリソース情報を記憶する。そして、プロセッサ111は、解析された結果情報(つまり、疾患名、その存在する部位及びその重症度)に基づいて疾患情報テーブルを参照する。そして、プロセッサ111は、疾患情報テーブルの必要リソース情報から医療行為を提供するのに必要とされる医療リソースを特定する情報、その数及びその期間を特定する。プロセッサ111は、特定されたこれらの情報に基づいて、メモリ112に記憶されたリソース管理テーブルに記憶された各医療リソースの属性情報及び稼働情報を参照し、確保すべき医療リソースを選択する。そして、プロセッサ111は、対象者を特定する対象者ID情報、選択された医療リソースのリソース情報とリソースID情報、その数及びその期間の情報を含む要求情報を生成し(S15)、通信インターフェイス115を介して生成された要求情報(T16)を管理装置500に送信する。なお、処理装置100プロセッサ111は、結果情報に加えて対象者に関する他の情報(例えば、対象者のカルテ情報、又は対象者の身体状態の測定作業を行った医療従事者により入力された身体所見)を参照して、医療リソースの選択及び要求情報の生成を行ってもよい。
【0066】
次に、管理装置500のプロセッサは、処理装置100から要求情報を受信すると、メモリに記憶されたリソース管理テーブルを参照し、要求情報に含まれるリソースID情報とその数及びその期間に基づいて、医療リソースの確保が可能か否かを判断する。そして、医療リソースの確保が可能な場合には、管理装置500のプロセッサは医療リソースの要求を承認する(S16)。そして、管理装置500のプロセッサは、メモリに記憶されたリソース管理テーブルのうち、要求情報に含まれるリソースID情報に対応付けられた稼働情報を、要求情報に含まれる数及び期間に基づいて更新して記憶する(S17)。なお、医療リソースの確保が困難な場合には、その旨を処理装置100に送信し、医療リソースの選択の再調整をするように要求する。処理装置100のプロセッサ111は、再調整が必要な場合にはその旨を操作者に通知し、操作者からの指示入力を受け付けて医療リソースの再選択を行い、再度要求情報を送信する。以下、S16及びS17に係る処理が繰り返される。
【0067】
なお、上記においては、要求情報が管理装置500に送信され、管理装置500において選択された医療リソースの確保を行っているが、要求情報は、例えば選択された医療機器に直接送信されるようにしてもよい。
【0068】
次に、管理装置500のプロセッサは、医療リソースの確保ができた場合には、通信インターフェイスを介して処理装置100に対して、対象者ID情報、リソースID情報及び確保ができた旨を含む確保情報(T17)を送信する。そして、処理装置100のプロセッサ111は、通信インターフェイス115を介して確保情報を受信すると、通知情報を含む医用情報の生成を行う(S18)。具体的には、プロセッサ111は、リソース管理テーブルを参照し、受信したリソースID情報に対応付けられた送信先情報を通知情報の送信先として特定する。また、プロセッサ111は、測定データ、当該測定データを解析して取得された結果情報、及び対象者情報等を利用して通知情報を含む医用情報を生成し、生成した医用情報を対象者ID情報に対応付けて対象者管理テーブルに記憶する。生成される通知情報及び医用情報の詳細は図9等において後述する。
【0069】
次に、処理装置100のプロセッサ111は、生成された通知情報を含む医用情報(T18)をメモリ112から読み出して、通信インターフェイス115を介して、当該情報を各端末装置600に送信する。この場合、送信対象となる端末装置600は、送信先情報として特定された送信先に基づいて選択される。例えば、送信先として医療従事者のメールアドレス、電話番号、SNS、チャットツールのアカウント等が特定された場合には、当該医療従事者が所持し利用可能な端末装置が選択され情報が送信される。また、送信先として各医療機器を制御するための端末装置のネットワーク上の位置を特定する情報が特定された場合には、当該位置により特定される端末装置が選択され情報が送信される。また、各医療設備の予約状況等を管理する管理者の端末装置を特定する情報が特定された場合には、当該位置により特定される端末装置が選択され情報が送信される。
【0070】
各端末装置600のプロセッサは、通信インターフェイスを介して通知情報を含む医用情報を受信すると、各端末装置600のディスプレイに通知情報を受信した旨を出力する(S19)。なお、当該出力は、ディスプレイに代えてスピーカを介して音声で出力してもよい。また、端末装置600のプロセッサは、受信した医用情報をディスプレイに出力する(S20)。当該医用情報を参照することにより、直ちに通知の内容を把握することが可能となる。出力される通知情報及び医用情報の詳細は、図10等において後述する。以上により、本処理シーケンスを終了する。
【0071】
なお、図4において、通知情報を含む医用情報は、処理装置100から選択された各端末装置600に対して送信される場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば処理装置100から通知情報を含む医用情報とその送信先情報を管理装置500に送信し、管理装置500から各端末装置600に送信するようにしてもよい。
【0072】
また、図4において、結果情報は、学習済み解析モデルに入力情報を入力することによって取得される場合について説明した。しかし、学習済み解析モデルを用いるのは単なる一例であって、当然他の方法を用いてもよい。例えば、入力情報としてCT画像が用いられる場合には、疾患に対する罹患状態が解析された画像との一致度を比較する方法など、他の画像解析処理も用いることが可能である。
【0073】
5.測定データ
上記のとおり、測定装置400において測定されたヒトの身体の状態を示すデータであり、測定装置400から通信インターフェイス115を介して受信される情報である。図6は、本開示の一実施形態に係る測定データの一例を概念的に示す図である。図6によれば、測定データとして測定装置400(例えば、CT装置)で撮影された複数のCT画像が用いられる場合が示されている。
【0074】
このようなCT画像は、典型的には、ヒトの身体において所定の範囲(少なくとも複数の部位(例えば、頭部、胸部、腹部、骨盤部など)や全身にわたって、空間的に一定の間隔(例えば、スライス間隔=5mm)で、身体の頭部から脚部に向かう方向に、厚さ方向の断面を撮影することによって取得される。図6では、少なくとも測定データとしてCT画像Dm-7~CT画像Dm、及びCT画像Dn-7~CT画像Dnを少なくとも含む複数のCT画像が、空間的に一定の間隔(例えば、スライス間隔=5mm)で、部位A~部位Dの複数の部位(すなわち、全身)に跨って撮影されている。なお、図6に示す各部位は説明の便宜のための一例であって、必ずしもヒトの身体の特定の部位を正確に示したものではない。
【0075】
このように取得された複数のCT画像は、上記のとおり一定の間隔で撮影されたものであるため、例えば、CT画像Dm-7~CT画像Dm等の連続する複数のCT画像を参照すると、各CT画像の含まれる部位に現れる疾患の様子を確認することが可能である。すなわち、個々のCT画像に着目すると、各CT画像中に含まれる疾患の名称、その断面上の部位及びその重症度を検出することができる。さらに、前後の連続する複数個のCT画像に着目すると、疾患の名称、その断面上の部位、重症度の遷移を把握することができる。本開示においては、入力情報として、複数のCT画像の中から選択された特定の1個又は複数個(好ましくは1個)のCT画像を用いて解析処理を行うことにより、主に個々のCT画像に含まれる疾患の名称、その部位及びその重症度を結果情報として取得することができる。さらに、空間的に連続性又は関連性を有する複数のCT画像において同様の処理を行うことにより、疾患の名称、その部位及びその重症度の空間的な遷移情報を取得することができる。なお、「空間的に連続性又は関連性を有すること」とは、各CT画像が一定の間隔(例えば、スライス間隔=5mm)で撮影されたことのみならず、測定装置400を用いて同じ対象者に対してなされた一連の測定処理によって撮影されたことも含む。
【0076】
ここで、CT画像は、救急医療の現場で疾患の有無の判断によく用いられる。しかし、このような場合、CT画像は少なくとも複数の部位(場合によっては全身)に跨って一定の間隔で撮影されるため、かなり多量のCT画像を医療従事者が一つずつ確認して疾患の有無を判断する必要がある。本開示に係る処理システム1では、取得された測定データである複数のCT画像を入力情報として、上記判断した結果を示す情報又は上記判断を補助する情報を医用情報として出力することが可能である。したがって、本開示に係る処理システム1は、特に救急医療における疾患の有無の判断において有益に用いることが可能である。ただし、当然に、救急医療における当該判断のみにその用途が限定されるわけではない。
【0077】
6.医用情報の生成に係る処理
図6で説明したとおり測定装置400で撮影された測定データ(例えば、CT画像)が処理装置100に送信され、処理装置100のプロセッサ111によって処理されることによって医用情報が生成される。図7は、本開示の一実施形態に係る測定データが処理されることによって医用情報が生成される過程の一例を概念的に示す図である。
【0078】
図7によると、図6で示したとおり、測定装置400で撮影されたCT画像であって、身体の所定の範囲(例えば、複数の部位や全身)に跨って撮影された複数のCT画像(CT画像D1-1~CT画像D1-n)が、測定データとして処理装置100において取得されたことを示している。
【0079】
次に、図7によると、これらの複数のCT画像は、プロセッサ111の処理によって個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)ごとに選択され、入力情報として学習済み解析モデルに入力される(解析処理)。なお、測定装置400において撮影され処理装置100において取得された全てのCT画像D1-1~CT画像D1-n(測定データ)が、入力情報である個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)として取得されてもよい。また、全てのCT画像D1-1~CT画像D1-n(測定データ)から一定の間隔(例えば、5個ごと)で選択されたCT画像が、入力情報である個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)として取得されてもよい。また、全てのCT画像D1-1~CT画像D1-n(測定データ)から操作者によって選択されたCT画像が、入力情報である個々のCT画像(CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-n)として取得されてもよい。
【0080】
上記のとおり、CT画像E1-1、CT画像E1-2~CT画像E1-nが入力情報として取得され、学習済み解析モデルに入力されることによって、結果情報が生成される。すなわち、CT画像E1-1が入力されることによって当該画像に含まれる疾患の名称、その存在する部位、及びその重症度が結果情報として取得される。また、CT画像E1-2が入力されることによって当該画像に含まれる疾患の名称、その存在する部位、及びその重症度が別の結果情報として取得される。また、CT画像E1-nが入力されることによって当該画像に含まれる疾患の名称、その存在する部位、及びその重症度がさらに別の結果情報として取得される。このように解析処理では、入力情報として取得された個々のCT画像ごとに疾患の名称、その存在する部位、及びその重症度が、結果情報として取得される。そして、取得された疾患の名称、その存在する部位、及びその重症度を示す情報は、対象者管理テーブルにおいて、結果情報として個々のCT画像ごとに記憶される。
【0081】
なお、上記では、入力情報として1個のCT画像ごとに学習済み解析モデルに入力される場合について説明したが、例えば3個などの数個単位で一まとまりのグループとしてCT画像を準備し、グループごとに学習済み解析モデルに入力されるようにしてもよい。この場合、個々のCT画像ごとに取得された疾患の名称、その存在する部位、及びその重症度の平均値や最大値、最小値などをグループごとに求め、これらを結果情報としてもよい。
【0082】
次に、図7によると、プロセッサ111の処理によって、それぞれ取得された結果情報に基づいて、医用情報が生成される。
【0083】
7.出力される医用情報及び通知情報の例
図4のT13で出力される医用情報の例>
図7で説明したとおり、入力情報から結果情報が取得されると、プロセッサ111の処理によって医用情報が生成される(図4のT13)。そして、生成された医用情報は、メモリ112の対象者管理テーブルに記憶されるとともに、出力インターフェイス114を介して例えばディスプレイ装置200に出力される。
【0084】
図8は、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。このうち、図8は、出力された結果情報に加えて、現在出力されている結果情報の検出に利用されたCT画像(測定データ)が含まれる医用情報の例である。
【0085】
具体的には、図8によれば、当該医用情報には、結果情報として取得された疾患名(出血)、その発生した部位(部位A)及びその重症度を示す棒グラフが表示される表示領域16、同様に結果情報として取得された疾患名(骨折)、その発生した部位(部位B)及びその重症度を示す棒グラフが表示される表示領域17を含む。また、当該医用情報には、表示領域16及び表示領域17に示された結果情報を取得するために利用されたCT画像(測定データ)15が含まれる。このCT画像(測定データ)15は、切り替えボタン22に対する操作入力を受け付けることによって切り替えて表示される。そして、当該切り替えて表示されるCT画像15に対応して、同様に表示領域16及び表示領域17に表示される結果情報も切り替えられる。
【0086】
また、図9によれば、これらに加えて、当該医用情報には、部位Aに存在する疾患の重症度の空間的な遷移を示す曲線19、部位Bに存在する疾患の重症度の空間的な遷移を示す曲線20、及び部位Cに存在する疾患の重症度の空間的な遷移を示す曲線21が含まれる。ここで、入力情報である個々のCT画像ごとに、結果情報である所定の疾患、その存在する部位及び重症度が取得される。そのため、プロセッサ111の処理によって、個々のCT画像が撮影された順、すなわち撮影された断面の順に所定の疾患、その存在する部位及び重症度が整列されることによって、その重症度が空間的に遷移する様子を曲線として示すことが可能である。図9の例では、横軸に撮影された断面の位置が、縦軸に疾患の重症度が示されている。これにより、操作者は、確認すべき断面の位置をより直感的に把握することが可能となる。
【0087】
また、図9によれば、当該医用情報には、曲線19、曲線20及び曲線21の少なくともいずれかに対して重畳するように選択バー41が含まれている。入力インターフェイス113を介して操作者の当該選択バー41に対する操作入力を受け付けることによって、プロセッサ111は医用情報として出力する結果情報を切り替えることが可能である。すなわち、選択バー41が操作者によって所望の方向に移動されると、その移動先の位置に対応した結果情報も同様に切り替えられるとともに、当該結果情報に対応するCT画像(測定データ)15も同様に切り替えられる。したがって、操作者は、医用情報として出力するCT画像や結果情報を、各曲線を参照しながら、より直感的に切り替えることが可能となる。
【0088】
図4のT18で出力される医用情報の例>
図7で説明したとおり、医療リソース(例えば、外科医師)が選択され、送信先として選択された当該外科医師が利用可能に所持する端末装置600に通知情報を含む医用情報が出力される。そして、出力された医用情報に含まれる通知情報は、端末装置600において受信され、当該端末装置600のディスプレイに出力される。
【0089】
図9Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される通知情報の一例を示す図である。具体的には、図9Aは、処理装置100から出力され、外科医師が利用可能に所持する端末装置600のディスプレイに表示された通知情報の例を示す。図9Aによれば、通知情報を受信することを契機として、プロセッサの処理を受けて、ディスプレイにおいて通知情報表示領域23がポップアップ表示されている。当該通知情報表示領域23には、対象者ID、対象者情報、結果情報(疾患名とその部位及びその重症度)及び選択された期間がそれぞれ表示される。
【0090】
なお、ここでは結果情報に基づいて選択される医療リソースは外科医師のみならず他の医療従事者や医療機器、医療設備が含まれる。医療リソースとして選択された外科医師の端末装置600には、ともに選択された他の医療リソースの情報(例えば対象者の手術に用いられる手術室の名称及び使用する機器の種類)が表示されてもよい。当該通知情報のうち、期間については、送信先である外科医師に対応付けられた期間のみの情報が選択されて出力される。また、疾患名とその部位及びその重症度は、解析処理によって特定された疾患ごとに情報が生成されるため、必ずしも一つではない。しかし、通知情報は、医療リソースとして選択されたことを外科医師にいち早く通知するためのものであり、且つ他の表示に重畳して表示されるものである。そのため、複数ある疾患のうち最も重症度が高いもののみが通知情報には含まれるようにしてもよい。
【0091】
さらに、当該端末装置600を利用可能な外科医師による通知情報表示領域23に対する操作入力を受け付けることによって、医用情報が端末装置600のディスプレイに出力される。
【0092】
図9Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。具体的には、図9Bは、処理装置100から出力され、外科医師が利用可能に所持する端末装置600のディスプレイに表示された医用情報の例を示す。図9Bによれば、通知情報に対する操作入力を受け付けることを契機として、プロセッサの処理を受けて、ディスプレイに医用情報が表示されている。当該医用情報には、結果情報として取得された疾患名(出血)、その発生した部位(部位A)及びその重症度を示す棒グラフが表示される表示領域26、同様に結果情報として取得された疾患名(骨折)、その発生した部位(部位B)及びその重症度を示す棒グラフが表示される表示領域27を含む。また、当該医用情報には、表示領域26及び表示領域27に示された結果情報を取得するために利用されたCT画像(測定データ)24が含まれる。このCT画像24は、切り替えボタン25に対する操作入力を受け付けることによって切り替えて表示される。そして、当該切り替えて表示されるCT画像24に対応して、同様に表示領域26及び表示領域27に表示される結果情報も切り替えられる。
【0093】
図9Bによると、当該医用情報には、これらの結果情報に加えて、対象者ID情報に対応付けられたカルテ情報28、所見情報29、疾患関連情報30等の、医療行為を提供するために必要とされる情報であったり、トリアージによって優先的に医療行為を提供しなければいけない対象者を選択するために有益な情報を含む。なお、図9Bの例ではカルテ情報、所見情報及び疾患関連情報を例に挙げたが、ほかに問診情報、対象者名情報、生年月日情報、性別情報、住所情報、他の測定データ、期間、疾患の対処法などを示した論文やWEBサイト、有益な医薬品に関する情報、他の医療リソースの選択状況などの情報を含むことが可能である。また、図9Bに示す例は医療リソースとして外科医師が選択された場合を示す。したがって、例えば医療リソースとして検査技師が選択された場合など、同じ医療従事者であっても、その属性に応じて医用情報として含む情報は変更してもよい。具体的には、検査技師の端末装置600に出力される医用情報には、検査技師が担当する医療機器に関する情報を優先的に表示するようにしてもよい。
【0094】
次に、図7で説明したとおり、医療リソース(例えば、医療機器である超音波診断装置)が選択され、送信先として選択された当該超音波診断装置を制御するために用いられる端末装置600に通知情報を含む医用情報が出力される。そして、出力された医用情報に含まれる通知情報は、端末装置600において受信され、当該端末装置600のディスプレイに出力される。
【0095】
図10Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される通知情報の一例を示す図である。具体的には、図10Aは、処理装置100から出力され、超音波診断装置を制御する端末装置600のディスプレイに表示された通知情報の例を示す。図10Aによれば、通知情報を受信することを契機として、プロセッサの処理を受けて、ディスプレイにおいて通知情報表示領域31がポップアップ表示されている。当該通知情報表示領域31には、対象者ID、対象者情報、結果情報(疾患名とその部位及びその重症度)及び選択された期間がそれぞれ表示される。
【0096】
なお、ここでは結果情報に基づいて選択される医療リソースは超音波診断装置のみならず他の医療従事者や医療機器、医療設備が含まれる。医療リソースとして選択された超音波診断装置を制御する端末装置600には、ともに選択された他の医療リソースの情報(例えば超音波診断装置を使用して処置を行う医療従事者の氏名)が表示されてもよい。当該通知情報のうち、期間については、超音波診断装置に対応付けられた期間のみの情報が選択されて出力される。また、疾患名とその部位及びその重症度は、解析処理によって特定された疾患ごとに情報が生成されるため、必ずしも一つではない。しかし、通知情報は、疾患情報テーブルにおいて必要リソース情報として超音波診断装置が対応付けられた疾患IDにより特定される疾患の疾患名等の情報を優先的に表示するようにしてもよい。
【0097】
さらに、当該端末装置600を利用可能な医療従事者による通知情報表示領域31に対する操作入力を受け付けることによって、医用情報が端末装置600のディスプレイに出力される。
【0098】
図10Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。具体的には、図10Bは、処理装置100から出力され、超音波診断装置を制御するための端末装置600のディスプレイに表示された医用情報の例を示す。図10Bによれば、通知情報に対する操作入力を受け付けることを契機として、プロセッサの処理を受けて、ディスプレイに医用情報が表示されている。当該医用情報には、図10Bと同様に、結果情報として取得された疾患名(出血)、その発生した部位(部位A)及びその重症度を示す棒グラフが表示される表示領域34、同様に結果情報として取得された疾患名(骨折)、その発生した部位(部位B)及びその重症度を示す棒グラフが表示される表示領域35、表示領域34及び表示領域35に示された結果情報を取得するために利用されたCT画像(測定データ)32、切り替えボタン33を含む。
【0099】
図10Bによると、当該医用情報には、さらに対象者ID情報に対応付けられたカルテ情報36、所見情報39、問診情報37等の医療機器の設定等に有益な情報を含む。また、これらに加えて、当該医用情報には、超音波診断装置の制御に関する情報38等の医療機器の操作や制御に有益な情報を含む。なお、図10Bの例ではカルテ情報、所見情報、問診情報及び医療機器に関する情報を例に挙げたが、ほかに対象者名情報、生年月日情報、性別情報、住所情報、他の測定データ、期間、疾患の対処法などを示した論文やWEBサイト、有益な医薬品に関する情報、他の医療リソースの選択状況などの情報を含むことが可能である。また、図10Bに示す例は医療リソースとして超音波診断装置が選択された場合を示す。したがって、例えば医療リソースとして心電計が選択された場合など、同じ医療機器であっても、その属性に応じて医用情報として含む情報は変更してもよい。具体的には、心電計を制御するための端末装置600に出力される医用情報には、心電計に関する情報を優先的に表示するようにしてもよい。
【0100】
次に、図7で説明したとおり、医療リソース(例えば、医療設備であるICU及び一般病床)が選択され、送信先として選択されたICU及び一般病床の管理者が利用可能な端末装置600に通知情報を含む医用情報が出力される。そして、出力された医用情報に含まれる通知情報は、端末装置600において受信され、当該端末装置600のディスプレイに出力される。
【0101】
図11Aは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される通知情報の一例を示す図である。具体的には、図11Aは、処理装置100から出力され、ICU及び一般病床等の医療設備を管理する管理者が利用可能な端末装置600のディスプレイに表示された通知情報の例を示す。図11Aによれば、通知情報を受信することを契機として、プロセッサの処理を受けて、ディスプレイにおいて通知情報表示領域42がポップアップ表示されている。当該通知情報表示領域42に表示される内容は、図10Aと同様である。
【0102】
なお、ここでは結果情報に基づいて選択される医療リソースはICU及び一般病床の複数の医療リソースを含む。このような場合には、通知情報には最初に利用される医療設備の期間を優先的に表示するようにしてもよい。
【0103】
さらに、当該端末装置600を利用可能な管理者による通知情報表示領域42に対する操作入力を受け付けることによって、医用情報が端末装置600のディスプレイに出力される。
【0104】
図11Bは、本開示の一実施形態に係る処理装置100において出力される医用情報の一例を示す図である。具体的には、図11Bは、処理装置100から出力され、管理者が利用可能な端末装置600のディスプレイに表示された医用情報の例を示す。図11Bによれば、表示領域45、表示領域46、CT画像(測定データ)43及び切り替えボタン44は、図10Bの表示領域34、表示領域35、CT画像(測定データ)32及び切り替えボタン33と同様である。
【0105】
図11Bによると、当該医用情報には、さらに医療リソースとして選択されたICU及び一般病床に関して、これらが必要な個数及び期間の情報を含む。これらの情報を含むことによって管理者は必要な医療設備を直ちに把握し、設備の準備などにいち早く着手したり、指示を出すことが可能となる。なお、当然に、医用情報には、カルテ情報、所見情報、問診情報、対象者名情報、生年月日情報、性別情報、住所情報、他の測定データ、期間、疾患の対処法などを示した論文やWEBサイト、有益な医薬品に関する情報、他の医療リソースの選択状況などの情報を含むことが可能である。
【0106】
以上、本実施形態においては、効率的に医療リソースを選択することが可能な処理装置、処理プログラム、処理方法及び処理システムを提供することができる。
【0107】
8.変形例
上記実施形態においては、医用情報として特定の疾患の有無に対する重症度を棒グラフや曲線で示した。しかし、これらは当該重症度を示す情報の表現方法の一例であるに過ぎず、具体的な数値や、「該当あり」又は「該当なし」、「レベル1」、「レベル2」、「レベル3」又は「レベル4」、「軽度」、「中度」又は「重度」などの分類情報として示すようにしてもよい。
【0108】
上記実施形態においては、入力情報として、測定装置400で測定されたCT画像を用いる場合について説明した。しかし、測定装置400で測定されたCT画像に対して、ハイパスフィルタやローパスフィルタを含むバンドパスフィルタ、平均化フィルタ、ガウシアンフィルタ、ガボールフィルタ、キャニーフィルタ、ソーベルフィルタ、ラプラシアンフィルタ、メディアンフィルタ、バイラテラルフィルタなどのフィルタ処理、ヘッセ行列等を用いた血管抽出処理、機械学習を用いた特定領域(例えば、疾患領域)のセグメンテーション処理、セグメンテーションされた領域に対するトリミング処理、曇り除去処理、超解像処理及びこれらの組み合わせから、高精細化、領域抽出、ノイズ除去、エッジ強調、画像補正、画像変換などの各種前処理を施した画像を入力情報として用いてもよい。
【0109】
上記実施形態においては、測定装置400としてCT装置を用いる場合について説明した。しかし、これらに限らず、MRI装置、レントゲン装置、心電計装置、超音波診断装置、内視鏡装置、血圧計装置又はこれらの組み合わせを測定装置400として用い、MRI画像、三次元計測データ、レントゲン画像データ、心電データ、エコー検査データ、内視鏡画像データ、血圧測定データ、採血データ、呼吸機能データ、その他の検査データ又はこれらの組み合わせを入力情報として用いてもよい。例えば、血圧測定データを用いる場合、ある時点の局所的な血圧測定データや所定の期間において経時的に変化する血圧測定データを入力情報として用いることが可能である。
【0110】
上記実施形態においては、測定装置400で測定された測定データに基づいて特定の疾患の有無、その存在位置、及びその確度を取得するようにした。しかし、測定装置400で測定された測定データに加えて、問診情報、所見情報、他の測定データ(MRI画像、三次元計測データ、レントゲン画像データ、心電データ、エコー検査データ、内視鏡画像データ、血圧測定データ、採血データ、呼吸機能データ、その他の検査データ又はこれらの組み合わせ)など用いて取得するようにしてもよい。
【0111】
上記実施形態で説明した学習済み解析モデルは、ニューラルネットワークや畳み込みニューラルネットワークを用いて生成した。しかし、これらに限らず、ニアレストネイバー法、決定木、回帰木、ランダムフォレスト等の機械学習を用いて生成することも可能である。
【0112】
本明細書で説明される処理及び手順は、実施形態において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、処理装置やサーバ装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0113】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0114】
1 処理システム
100 処理装置
200 ディスプレイ装置
300 モデル生成装置
400 測定装置
500 管理装置(処理装置)
600 端末装置(処理装置)

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B