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  • 特開-横断歩道標示システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126614
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】横断歩道標示システム
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/559 20160101AFI20240912BHJP
   E01F 9/524 20160101ALI20240912BHJP
   E01F 9/518 20160101ALI20240912BHJP
   G08G 1/095 20060101ALI20240912BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
E01F9/559
E01F9/524
E01F9/518
G08G1/095 A
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035107
(22)【出願日】2023-03-07
(71)【出願人】
【識別番号】522482120
【氏名又は名称】株式会社Asuka
(71)【出願人】
【識別番号】322012929
【氏名又は名称】藤井忠生
(72)【発明者】
【氏名】上林 昭平
(72)【発明者】
【氏名】藤井 忠生
【テーマコード(参考)】
2D064
5H181
【Fターム(参考)】
2D064AA11
2D064BA11
2D064DA08
2D064DA09
2D064EA04
2D064EA22
2D064EB17
2D064FA06
5H181AA01
5H181AA21
5H181GG01
5H181GG07
5H181HH09
5H181HH24
5H181JJ03
(57)【要約】
【課題】歩行者の安全の向上が図れ、かつメンテナスが容易な低コストの横断歩道標示システムを提供する。
【解決手段】信号機1に設けられ、車道上の三次元空間内に横断歩道の映像を投影するプロジェクター3と、プロジェクターに作動的に接続され、信号機の灯火切替信号に基づき、プロジェクターを制御するプロジェクター制御ユニット2を備える。プロジェクター制御ユニットは、信号機の灯火切替信号を受信する切替信号受信部4と、横断歩道の映像データが格納された映像データ格納部5と、灯火切替信号に基づき、信号機が青色に切り替わるタイミングでプロジェクターから横断歩道の映像が投影され、信号機が赤色に切り替わるタイミングでプロジェクターによる投影が終了するように、プロジェクターに映像信号を送信する映像信号送信部6を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車道の両側に設置された一対の信号機と、
前記一対の信号機のうちの少なくとも一方の信号機および/または前記車道の少なくとも一方の側の歩道上に設けられ、前記車道上の三次元空間内に横断歩道の映像を投影する少なくとも1つのプロジェクターと、
前記プロジェクターに作動的に接続され、前記信号機の灯火切替信号に基づき、前記プロジェクターを制御するプロジェクター制御ユニットと、を備え、
前記プロジェクター制御ユニットは、
前記信号機の前記灯火切替信号を受信する切替信号受信部と、
前記横断歩道の映像データが格納された映像データ格納部と、
前記灯火切替信号に基づき、前記信号機が青色に切り替わるタイミングで前記プロジェクターから前記横断歩道の映像が投影され、前記信号機が赤色に切り替わるタイミングで前記プロジェクターによる前記投影が終了するように、前記プロジェクターに前記映像信号を送信する映像信号送信部と、を有していることを特徴とする横断歩道標示システム。
【請求項2】
前記映像データは、車両の運転者によって前記横断歩道が少なくとも部分的に前記車道の路面から突出したように視認されるトリックアートとして描写されるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の横断歩道標示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横断歩道標示システム、特に、プロジェクションマッピングによって横断歩道を標示するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
横断歩道は、車道を横断する歩行者の安全を確保すべく設けられた道路上の標示であり、通常、車道の舗装面に白色のペイントによってストライプマークとして描かれている。
【0003】
そして、歩行者が横断歩道上に入ったとき、車両は、歩行者が横断歩道を渡りきるまで、横断歩道の手前で一時停止する義務がある。
【0004】
しかしながら、車両の運転者のうちの6割以上がこれに違反しているのが現状であり、横断歩道上での歩行者対車両の事故が繰り返されている。
【0005】
また、通常、横断歩道近辺の歩道には道路灯が設置され、夜間や雨天、および霧の発生時等には、道路灯によって横断歩道が照明されるようになっているが、天候の状況および歩行者の服装の色等によっては、車両の運転者から、横断歩道および横断歩道上の歩行者が目視しにくいことがしばしばあった。
【0006】
そのため、横断歩道の手前において、車道の路側帯や中央分離帯、および/または当該横断歩道に沿って路面に報知ランプのアレイを埋設するシステムが、従来技術において知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この構成によれは、横断歩道の視認性が向上し、車両の運転者の注意を喚起し、横断歩道での一時停止を促すことができる一方、報知ランプの埋設およびメンテナンスに多大な労力および費用がかかるという問題があった。
【0008】
加えて、従来と同様に、横断歩道を白色ペイントで路面に描いており、日射や降雨、および車両のタイヤとの摩擦等によって、ペイントの塗布が劣化および摩耗し、時間経過とともに横断歩道の標示が次第に剥がれ、消失する。そのため、横断歩道標示が完了した後、一定期間が経過するごとに、新たに横断歩道を描く必要があるが、これには多大な労力と費用がかかっていた。
【0009】
また、従来技術においては、複数の有機EL素子を有する発光パネルを路面に埋設することによって、横断歩道の白線を形成するシステムが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0010】
しかしながら、この構成によれば、発光パネルの埋設およびメンテナンスに多大な労力と費用がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002-175590号公報
【特許文献2】特開2012-12916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の課題は、歩行者の安全の向上が図れ、かつメンテナスが容易な低コストの横断歩道標示システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明によれば、車道の両側に設置された一対の信号機と、前記一対の信号機のうちの少なくとも一方の信号機および/または前記車道の少なくとも一方の側の歩道上に設けられ、前記車道上の三次元空間内に横断歩道の映像を投影する少なくとも1つのプロジェクターと、前記プロジェクターに作動的に接続され、前記信号機の灯火切替信号に基づき、前記プロジェクターを制御するプロジェクター制御ユニットと、を備え、前記プロジェクター制御ユニットは、前記信号機の前記灯火切替信号を受信する切替信号受信部と、前記横断歩道の映像データが格納された映像データ格納部と、前記灯火切替信号に基づき、前記信号機が青色に切り替わるタイミングで前記プロジェクターから前記横断歩道の映像が投影され、前記信号機が赤色に切り替わるタイミングで前記プロジェクターによる前記投影が終了するように、前記プロジェクターに前記映像信号を送信する映像信号送信部と、を有していることを特徴とする横断歩道標示システムが提供される。
【0014】
本発明の好ましい実施例によれば、前記映像データは、車両の運転者によって前記横断歩道が少なくとも部分的に前記車道の路面から突出したように視認されるトリックアートとして描写されるように形成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、横断歩道を車道上に白色ペイントによって描くのではなく、プロジェクターによって車道上の三次元空間内に横断歩道の映像を投影することによって横断歩道を標示するので、従来よりも横断歩道のメンテナンスが容易かつ低コストで行えるようになる。
【0016】
また、横断歩道の映像を投影するので、横断歩道用の照明を追加で設けずとも、夜間や雨天等において、横断歩道が車両の運転者および歩行者の双方、特に運転者側から明確に視認でき、それによって、歩行者の安全の向上が図れる。
特に、積雪があった場合、従来の横断歩道は雪の下に埋もれてしまうが、本発明によれば、横断歩道が雪上に投影されて運転者側から明確に視認可能となるので、歩行者は安全に横断歩道を渡ることができる。
【0017】
さらに、横断歩道を、車両の運転者によって横断歩道が少なくとも部分的に車道の路面から突出したように視認されるトリックアートとして描写される構成とすれば、運転者は、横断歩道との衝突を避けるべく、横断歩道の手前で車両を停止させようとする。それによって、横断歩道に入る歩行者がいる時の車両の停止義務違反、および横断中の歩行者と車両との事故の撲滅に大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の1実施例による横断歩道標示システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図1の横断歩道標示システムが交差点に適用された状態を示す斜視図である。
図3図1の横断歩道標示システムが車道に適用された状態を示す斜視図である。
図4図1の横断歩道標示システムによって標示された横断歩道の1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて説明する。
図1は、本発明の1実施例による横断歩道標示システムの概略構成を示すブロック図であり、図2は、図1の横断歩道標示システムが交差点に設けられた状態を示す斜視図である。
【0020】
図1および図2を参照して、本発明によれば、車道7の両側に設置された一対の信号機1と、一対の信号機1のうちの少なくとも一方の信号機1に設けられ、車道7上の三次元空間内に横断歩道の映像を投影する少なくとも1つのプロジェクター3と、プロジェクター3に作動的に接続され、信号機1の灯火切替信号に基づき、プロジェクター3を制御するプロジェクター制御ユニット2とが備えられる。
【0021】
この実施例では、プロジェクター3は信号機1に設けられているが、図3に示すように、プロジェクター3を車道7の少なくとも一方の側の歩道8上に設けてもよいし、信号機1および歩道上8の両方に設けてもよい。
【0022】
プロジェクター制御ユニット2は、信号機1の灯火切替信号を受信する切替信号受信部4と、横断歩道の映像データが格納された映像データ格納部5と、切替信号に基づき、信号機1が青色に切り替わるタイミングでプロジェクター3から横断歩道の映像が投影され、信号機1が赤色に切り替わるタイミングでプロジェクター3による投影が終了するように、プロジェクター3に映像信号を送信する映像信号送信部6とを有している。
【0023】
映像データは、横断歩道が通常の二次元の白色ストライプマークとして描写されるように形成されていてもよいが、好ましくは、図4に示すように、車両の運転者によって横断歩道が少なくとも部分的に車道7の路面から突出したように視認されるトリックアートとして描写されるように形成されている。
【0024】
こうして、本発明によれば、横断歩道を車道上に白色ペイントによって描くのではなく、プロジェクターによって車道上の三次元空間内に横断歩道の映像を投影することによって横断歩道を標示するので、従来よりも横断歩道のメンテナンスが容易かつ低コストで行えるようになる。
【0025】
また、横断歩道の映像を投影するので、横断歩道用の照明を追加で設けずとも、夜間や雨天等において、横断歩道が車両の運転者および歩行者の双方、特に運転者側から明確に視認でき、それによって、歩行者の安全の向上が図れる。
特に、積雪があった場合、従来の横断歩道は雪の下に埋もれてしまうが、本発明によれば、横断歩道が雪上に投影されて運転者側から明確に視認可能となるので、歩行者は安全に横断歩道を渡ることができる。
【0026】
さらに、横断歩道を、車両の運転者によって横断歩道が少なくとも部分的に車道の路面から突出したように視認されるトリックアートとして描写される構成とすれば、運転者は、横断歩道との衝突を避けるべく、横断歩道の手前で車両を停止させようとする。それによって、横断歩道に入る歩行者がいる時の車両の停止義務違反、および横断中の歩行者と車両との事故の撲滅に大きく寄与することができる。
【0027】
この場合、映像データを入れ替えることで、投影される横断歩道の態様を容易に変更することができるので、たとえ車両の運転者が1つのトリックアートに慣れてしまって、所期の効果が薄れてきても、新たなトリックアートを投影することによって迅速に対応することができる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明の構成はこれに限定されず、当業者が添付の特許請求の範囲に記載された構成の範囲内で種々の変形例を案出し得ることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0029】
1 信号機
2 プロジェクター制御ユニット
3 プロジェクター
4 切替信号受信部
5 映像データ格納部
6 映像信号送信部
7 車道
8 歩道
図1
図2
図3
図4