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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126616
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】脱色装置、脱色方法
(51)【国際特許分類】
   D06B 11/00 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
D06B11/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035110
(22)【出願日】2023-03-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-29
(71)【出願人】
【識別番号】514015019
【氏名又は名称】エレファンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅明
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 衛
【テーマコード(参考)】
3B154
【Fターム(参考)】
3B154AB19
3B154AB27
3B154AB31
3B154BA17
3B154BB12
3B154BB31
3B154BB72
3B154BD01
3B154BD03
3B154DA13
(57)【要約】
【課題】染色又は印刷された繊維布を脱色する脱色剤を回収し再利用可能とする。
【解決手段】染色又は印刷された繊維布に脱色剤をしみ込ませる吸収処理手段と、繊維布を加熱及び加圧して繊維布にしみ込んだ脱色剤を繊維布に染色又は印刷された染料とともに吸収体に移動させる移動手段と、繊維布にしみ込んだ脱色剤の一部を回収する回収手段と、回収手段で回収した脱色剤を吸収処理手段により再度しみ込ませる脱色剤再利用手段と、脱色剤が移動した吸収体を洗浄液中で洗浄して移動手段で脱色剤を再度移動させる吸収体として利用可能にする吸収体再生手段と、を備えた。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色又は印刷された繊維布に脱色剤をしみ込ませる吸収処理手段と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに吸収体に移動させる移動手段と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収手段と、を備えた、
ことを特徴とする脱色装置。
【請求項2】
前記吸収処理手段は、前記繊維布を前記脱色剤に接触させて前記繊維布に前記脱色剤をしみ込ませる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項3】
前記脱色剤に前記繊維布をしみ込ませた後、前記脱色剤を予め定められた量に絞る絞り手段を更に備えた、
ことを特徴とする請求項2に記載の脱色装置。
【請求項4】
前記吸収処理手段は、前記繊維布の脱色する領域を指定して、前記繊維布の種類、前記繊維布の厚み、前記繊維布の縫い目、の少なくとも一つ又はこれらの組み合わせに応じて前記脱色剤のしみ込み量を調整しながらしみ込ませる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項5】
前記吸収処理手段は、前記繊維布の重なり部分で前記脱色剤のしみ込み量を増加させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の脱色装置。
【請求項6】
前記移動手段は、前記繊維布を前記吸収体を介して加熱して前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに前記吸収体に移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項7】
前記移動手段は、前記吸収体を前記脱色剤の沸点以下の温度で接触加熱する、
ことを特徴とする請求項6に記載の脱色装置。
【請求項8】
前記吸収体は、しみ込む前記脱色剤の必要吸収量に応じて取り換え可能に用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項9】
前記回収手段は、しみ込んだ前記脱色剤のうち前記繊維布に吸収されなかった前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項10】
前記回収手段は、前記移動手段により加熱した際に前記脱色剤から発生した蒸気を回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項11】
前記回収手段は、前記脱色剤が移動した前記吸収体から前記脱色剤を抽出して液体として回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項12】
前記回収手段は、脱色された前記繊維布を加熱して前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項13】
前記回収手段で回収した前記脱色剤を前記吸収処理手段により再度しみ込ませる脱色剤再利用手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項14】
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して前記移動手段で前記脱色剤を再度移動させる前記吸収体として利用可能にする吸収体再生手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項15】
前記洗浄液から前記繊維布から移動した染料を抽出して回収する、
ことを特徴とする請求項14に記載の脱色装置。
【請求項16】
染色又は印刷された繊維布に脱色剤をしみ込ませる吸収処理工程と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに吸収体に移動させる移動工程と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収工程と、を含み、
脱色装置として、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の脱色装置を用いる、
ことを特徴とする脱色方法。
【請求項17】
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して新たな吸収体として利用可能にする再生工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の脱色方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱色装置、脱色方法に関し、詳しくは、染色又は印刷された繊維布を脱色する脱色装置、脱色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
布帛を染料捺染剤で印捺する工程1と、工程1で印捺された一部を脱色する工程2と、顔料捺染剤で印捺する工程3とを有する捺染物の製造方法であって、顔料捺染剤としてジスアゾ系顔料を含む顔料捺染剤を使用する捺染物の製造方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
繊維布等の被抜染物を抜染処理する抜染処理機において、被抜染物を加熱及び加圧処理する熱プレス装置と、この熱プレス装置の下方に配置され、上面に被抜染物を載置する載置面を形成した被抜染物載置台と、この被抜染物載置台の下方に配置され、水を収容する水収容槽と、当該水収容槽内の水を加熱する加熱器とを有し、この水収容槽から発生する蒸気を利用して被抜染物を蒸熱処理する蒸気発生装置とを有し、被抜染物載置台に被抜染物を載置させた状態で、熱プレス装置を用いて、被抜染物に対して上方より加熱及び加圧処理を施すと同時に、蒸気発生装置を用いて被抜染物に対して下方より蒸熱処理を施す抜染処理機も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-11464号公報
【特許文献2】特開2006-176889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、染色又は印刷された繊維布を脱色する脱色剤を回収し再利用可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の脱色装置は、
染色又は印刷された繊維布に脱色剤をしみ込ませる吸収処理手段と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに吸収体に移動させる移動手段と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記吸収処理手段は、前記繊維布を前記脱色剤に接触させて前記繊維布に前記脱色剤をしみ込ませる、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の脱色装置において、
前記脱色剤に前記繊維布をしみ込ませた後、前記脱色剤を予め定められた量に絞る絞り手段を更に備えた、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記吸収処理手段は、前記繊維布の脱色する領域を指定して、前記繊維布の種類、前記繊維布の厚み、前記繊維布の縫い目、の少なくとも一つ又はこれらの組み合わせに応じて前記脱色剤のしみ込み量を調整しながらしみ込ませる、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の脱色装置において、
前記吸収処理手段は、前記繊維布の重なり部分で前記脱色剤のしみ込み量を増加させる、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記移動手段は、前記繊維布を前記吸収体を介して加熱して前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに前記吸収体に移動させる、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の脱色装置において、
前記移動手段は、前記吸収体を前記脱色剤の沸点以下の温度で接触加熱する、
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記吸収体は、しみ込む前記脱色剤の必要吸収量に応じて取り換え可能に用いられる、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、しみ込んだ前記脱色剤のうち前記繊維布に吸収されなかった前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、前記移動手段により加熱した際に前記脱色剤から発生した蒸気を回収する、
ことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、前記脱色剤が移動した前記吸収体から前記脱色剤を抽出して液体として回収する、
ことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、脱色された前記繊維布を加熱して前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段で回収した前記脱色剤を前記吸収処理手段により再度しみ込ませる脱色剤再利用手段を有する、
ことを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して前記移動手段で前記脱色剤を再度移動させる前記吸収体として利用可能にする吸収体再生手段を更に備える、
ことを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、請求項14に記載の脱色装置において、
前記洗浄液から前記繊維布から移動した染料を抽出して回収する、
ことを特徴とする。
【0021】
前記課題を解決するために、請求項16に記載の脱色方法は、
染色又は印刷された繊維布に脱色剤をしみ込ませる吸収処理工程と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに吸収体に移動させる移動工程と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収工程と、を含み、
脱色装置として、請求項1ないし15のいずれか1項に記載の脱色装置を用いる、
ことを特徴とする。
【0022】
請求項17に記載の発明は、請求項16に記載の脱色方法において、
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して新たな吸収体として利用可能にする再生工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項16に記載の脱色方法。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、16に記載の発明によれば、染色又は印刷された繊維布を脱色する脱色剤を回収し再利用可能とすることができる。
【0024】
請求項2に記載の発明によれば、脱色剤を繊維布にしみ込ませることができる。
【0025】
請求項3に記載の発明によれば、必要量を超えて繊維布にしみ込んだ脱色剤を回収することができる。
【0026】
請求項4に記載の発明によれば、指定された領域で脱色する繊維布の状態に合わせて脱色剤の使用量を最適化することができる。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、繊維布の重なり部も十分に脱色することができる。
【0028】
請求項6に記載の発明によれば、繊維布の脱色性能を向上させることができる。
【0029】
請求項7に記載の発明によれば、繊維布への熱ダメージを抑制しながら脱色剤の吸収体への移動を促進することができる。
【0030】
請求項8に記載の発明によれば、脱色剤の使用量、繊維布の加熱温度及び加熱時間を最適化することができる。
【0031】
請求項9に記載の発明によれば、脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【0032】
請求項10に記載の発明によれば、脱色剤を接触加熱する際に発生した蒸気を回収して脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【0033】
請求項11に記載の発明によれば、脱色剤が移動した吸収体を加熱して発生した蒸気を回収して脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【0034】
請求項12に記載の発明によれば、脱色された繊維布に残る脱色剤を回収して脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【0035】
請求項13に記載の発明によれば、脱色剤を再利用して脱色剤の使用量を減少させることができる。
【0036】
請求項14、17に記載の発明によれば、吸収体を再利用して吸収体の使用量を減少させることができる。
【0037】
請求項15に記載の発明によれば、繊維布から脱色した染料を再利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本実施形態に係る脱色装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】繊維布の一面への脱色処理を説明する図である。
図3】吸収処理部の構成例を示す図である。
図4】ディップ方式による変形例1の吸収処理部の構成例を示す図である。
図5】ローラ方式による変形例2の吸収処理部の構成例を示す図である。
図6】絞り処理部の構成例を示す図である。
図7】加熱処理部の構成例を示す図である。
図8】加熱処理部における脱色剤の繊維布から吸収体への移動を説明する模式図である。
図9】繊維布にしみ込んだ脱色剤の一部を回収する回収部の構成例を説明する図である。
図10】脱色剤が移動した吸収体から脱色剤を真空抽出して液体として回収する回収部の構成例を説明する図である。
図11】再生処理部の構成例を説明する図である。
図12】本実施形態に係る脱色方法の脱色処理の流れを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0040】
(1)脱色装置の構成
図1は本実施形態に係る脱色装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図、図2は繊維布Tの一面への脱色処理を説明する図である。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る脱色装置1の構成について説明する。
【0041】
本実施形態に係る脱色装置1は、図1に示すように、染色又は印刷された繊維布Tに脱色剤をしみ込ませる吸収処理手段の一例としての吸収処理部10と、吸収処理部10で吸収処理された繊維布Tから脱色剤を予め定められた量に絞る絞り手段としての絞り処理部20と、繊維布Tを加熱及び加圧して繊維布Tにしみ込んだ脱色剤を繊維布Tに染色又は印刷された染料とともに吸収体Fに移動させる移動手段の一例としての加熱処理部30と、繊維布Tにしみ込んだ脱色剤の一部を回収する回収手段の一例としての回収部40と、脱色剤が移動した吸収体Fを洗浄液中で洗浄して新たな吸収体Fとして利用可能にする吸収体再生手段の一例としての再生処理部50と、吸収処理部10、絞り処理部20,加熱処理部30、回収部40及び再生処理部50の動作を含む脱色装置1の全体を制御する制御部60と、を備える。
【0042】
本実施形態においては、図2(a)に示すように、脱色装置1の吸収処理部10で、染色又は印刷された繊維布Tの一面の一部に脱色剤(図2(a)において符号Dで示す)をしみ込ませ、絞り処理部20で繊維布Tから脱色剤を予め定められた量に絞った後、図2(b)に示すように、加熱処理部30で吸収体Fを当てて熱処理を施して染料を加熱することにより染料が吸収体Fに昇華転写されて元の繊維布Tの一面(図2(c)においてPで示す)が露出した布地が得られる。そして、繊維布Tにしみ込んだ脱色剤の一部は、回収部40を介して回収され、周囲環境への脱色剤の流出を抑えることが可能となる。
【0043】
(繊維布)
本実施形態において使用できる繊維布Tは、特に限定なく、分散染料により印刷又は染色される繊維として、ポリエステル繊維、アセテート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維等任意の天然・合成繊維からなる繊維素材が挙げられる。繊維布Tは複数種類の繊維からなるもの(混紡、交撚、交織、交編等)であってもよいし、一種類の繊維からなるものであってもよい。また、繊維布Tは、編物や織物であってもよいし、不織布であってもよい。
本実施形態に係る脱色方法によれば、特に、ポリエステル繊維を含む繊維布である場合により高い明度で脱色することが可能となっている。
このような材料からなる繊維布Tの態様は、図2に例示する枚葉でもよく、ロール状に巻かれた連続体であってもよい。
【0044】
(脱色剤)
脱色剤としては、染料の脱色で通常使用される脱色剤であれば特に限定なく使用することができる。具体的には、染料を脱色又は抜染するような、還元剤が一般的に使用される。
【0045】
尚、元の繊維布Tに形成された模様等をより高い明度で脱色するために好適な脱色剤として、二塩基酸モノエステル又はジエステルを使用してもよく、例えば、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等が挙げられる。
また、脱色剤として、例えば、エチレングリコールジアセテート、ジ又はトリエチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノアセテート、ジ又はトリエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジ又はトリプロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジ又はトリプロピレングリコールモノアセテート、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ又はトリエチレングリコール、ジ又はトリプロピレングリコール等を使用することで、元の繊維布Tに形成された模様等を一層高い明度で脱色可能となる。
【0046】
脱色剤は、さらに、水、湿潤材、界面活性剤等のその他の成分を含んでもよく、これら脱色剤が所定の濃度で分散した液体として調製される。
【0047】
(吸収処理部)
図3は吸収処理部10の構成例を示す図である。
吸収処理部10は、図3(a)に示すように、脱色剤を貯留する貯留槽11を備える。貯留槽11は、上面側が開口した箱状に形成されている。
貯留槽11の内部には脱色剤(符号Dで示す)を吸い上げる液吸収部12が配置されている。液吸収部12は、複数の貫通孔12aが設けられ液状の脱色剤が貫通孔12aを通過する様に構成され貫通孔12aから脱色剤を吸い上げている(図3中 矢印で示す)。このように構成されることにより、脱色剤が過剰に吸い上げられることがない。なお、液吸収部12は、図3においては、貯留槽11の底面から浮かして配置されているが、貯留槽11の底面上に載置されているだけでも良く、底面に押し付けられるようにして固定されていても良い。
【0048】
貯留槽11には、脱色剤を供給するための脱色剤供給タンク13が接続されている。脱色剤供給タンク13は、パイプ等により貯留槽11と接続され、脱色剤供給タンク13の液位を一定に保ことにより、貯留槽11内に貯留されている脱色剤の液面高さを所定の高さに調整し、液吸収部12が適正に脱色剤を吸収するようにしている。なお、液吸収部12は、脱色剤供給タンク13を備えて無くとも良く、脱色剤の液位を適正に保つことができればその他の手段により脱色剤を貯留槽11に供給しても良い。
【0049】
液吸収部12は、上面に脱色剤保持材14を積層させて構成されている。脱色剤保持材14としては、貫通孔12aから吸い上げられる脱色剤を吸収して保持できるものであれば、特に限定されないが、本実施形態においては、比較的厚い紙を積層させて構成されている。脱色剤を吸い上げた液吸収部12の上面から、紙の繊維による毛細管現象により液脱色剤が脱色剤保持材14全体にしみ込む。
【0050】
液吸収部12の最も上の層に位置する紙は、図3(b)に示すように、脱色剤をしみ込ませる繊維布Tが押し付けられ、紙にしみ込んだ脱色剤を繊維布Tにしみ込ませる。最も上の層に位置する紙は、繊維布Tが何回も押し付けられているうちに、繊維布Tの表面に残存した汚れが付着したり、紙の表面が削られ破れたりする虞がある。そのため、最も上の層に位置する紙は、液吸収部12の最も上の層から剥離して交換可能に構成されている。最も上の層に位置する紙が剥離されるとその下に位置する紙が新たに最も上の層に位置することになる。新たに最も上の層に位置する紙は、表面が清浄に保たれており、かつ脱色剤がしみ渡っているため、繊維布Tを押し付ければ脱色剤を繊維布Tにしみ込ませることができる。
また、最も上の層に位置する紙と繊維布Tの間に、繊維布Tの脱色する領域を開口させたマスクシートMを介在させて、脱色剤のしみ込み量を調整しながらしみ込ませてもよい。
なお、図3には図示していないが、液吸収部12は、最も上の層に位置する紙に接触するように載置された繊維布Tを押し付ける押し付け手段を備えてもよい。
【0051】
「変形例1」
図4にはディップ方式による変形例1の吸収処理部10Aの構成例を示す。
吸収処理部10Aは、図4に示すように、繊維布Tが搬送ロール対15によって、ディップ槽11A中の脱色剤に浸漬した状態で搬送され、繊維布Tに脱色剤をしみ込ませる吸収処理を行うディップ装置である。なお、搬送ロール対15の設置位置及び数は、繊維布Tを搬送することができれば、特に図4に示される設置位置及び数に限定されるものではない。
【0052】
吸収処理部10Aは、脱色剤が入ったディップ槽11Aと、ディップ槽11Aに脱色剤を供給する脱色剤供給ポンプ(不図示)と、脱色剤供給スリットノズル12Aと、ディップ槽11Aからオーバーフローした脱色剤を回収する貯蔵タンク13Aとを有する。
貯蔵タンク13Aは、ディップ槽11Aへ脱色剤を供給するためのタンクともなり、吸収処理部10Aは、脱色剤を循環して使用するディップ装置である。
【0053】
脱色剤は、貯蔵タンク13Aの脱色剤吸込口13Aaから脱色剤供給用ポンプ(不図示)によって、脱色剤供給管13Abに送られ、脱色剤供給管13Abの出口と繋がっている脱色剤供給スリットノズル12Aを介してディップ槽11Aに供給される。脱色剤供給スリットノズル12Aを介して脱色剤を供給することで、繊維布Tに均一且つ連続的に新しい脱色剤を供給するとともに、ディップ槽11A内の脱色剤を流動循環させ、繊維布Tの表面から脱落した汚れ等を速やかに除去することができる。ディップ槽11Aからオーバーフローした脱色剤は、脱色剤回収管13Acを介して、脱色剤回収口13Adより貯蔵タンク13Aに戻る。
【0054】
尚、ディップ方式による吸収処理部10Aとしては、脱色剤が入ったディップ槽11Aと、繊維布Tをディップ槽11A中の脱色剤に浸漬した状態で搬送する搬送ロール対15を備えて繊維布Tに脱色剤をしみ込ませる吸収処理を行うことができれば、脱色剤供給スリットノズル12A、貯蔵タンク13A等は、必ずしも備えている必要はない。
【0055】
「変形例2」
図5にはローラ方式による変形例2の吸収処理部10Bの構成例を示す。
吸収処理部10Bは、図5に示すように、塗布ローラ11Bと、スポンジローラ12Bと、清掃部13Bとを備えている。
【0056】
塗布ローラ11Bは、繊維布Tの表面に対して脱色剤を塗布する。塗布ローラ11Bは、繊維布Tの幅方向に延設されるローラであり、繊維布Tの幅方向に交差する方向に移動する。塗布ローラ11Bに対して、脱色剤供給部(不図示)から塗布する脱色剤が供給され、塗布ローラ11Bは、繊維布Tに接触し、繊維布Tとの摩擦力によって回転しながら図5に示す矢印R方向に移動する。塗布ローラ11Bの回転によって繊維布T上に脱色剤が塗布される。なお、この際、繊維布T上に塗布される脱色剤の量は、繊維布Tの表面に一様に塗布可能な十分な量である。
また、塗布ローラ11Bと繊維布Tの間に、繊維布Tの脱色する領域を開口させたマスクシートMを介在させて、繊維布Tの必要な領域にのみ脱色剤を塗布してもよい。
【0057】
スポンジローラ12Bは、脱色剤が塗布された繊維布Tの表面に所定の圧力で接触しながら、繊維布Tに対して相対的に移動してその表面を摺動する。
スポンジローラ12Bが、所定の圧力で押し付けられた状態で繊維布Tの表面上を摺動することによって、塗布ローラ11Bによって塗布された脱色剤を繊維布Tの表面に押し付けることができ、これにより、繊維布Tに脱色剤を均一にしみ込ませることができる。
スポンジローラ12Bは、塗布ローラ11Bによって繊維布Tに塗布された脱色剤のうちの一部を吸収することができるので、過剰に塗布された脱色剤を吸収することができる。
【0058】
清掃部13Bは、スポンジローラ12Bに吸収された脱色剤を回収しながら、スポンジローラ12Bの表面を清掃する。本実施形態では、スポンジローラ12Bが繊維布Tの表面を摺動するが、この際、繊維布Tの表面の汚れ等がスポンジローラ12Bの表面を汚染し、スポンジローラ12Bの吸収性を低下させたり、二次汚染を発生したりする虞がある。本実施形態では、清掃部13Bによってスポンジローラ12Bの表面を清掃することで、スポンジローラ12Bの吸収性の低下や二次汚染を防止することが可能となっている。
【0059】
(絞り処理部)
図6は絞り処理部20の構成例を示す図である。
絞り処理部20は、搬送ローラ21と、第1絞りローラ22と、第2絞りローラ23と、加圧ブラケット24と、繊維布Tから絞った脱色剤を回収する貯留容器25とを備えている。
【0060】
搬送ローラ21は、不図示の駆動源によって矢印R1方向に回転駆動され、当接する第1絞りローラ22及び第2絞りローラ23との間で繊維布Tを挟んで搬送する。
第1絞りローラ22及び第2絞りローラ23は、搬送ローラ21の周面に接触し、搬送ローラ21の周面にラップして担持された繊維布Tを扱いて(絞って)繊維布Tにしみ込んでいる脱色剤の一部を絞り出す。なお、本実施形態では、第1絞りローラ22及び第2絞りローラ23は、同径で、搬送ローラ21の中心Oに対して同心円上に配置されているが、第1絞りローラ22及び第2絞りローラ23は異なる径であってもよい。また、3つ以上の絞りローラを配置してもよい。
【0061】
第1絞りローラ22及び第2絞りローラ23は、同じ保持部材である加圧ブラケット24に保持され、搬送ローラ21の周面に沿って配置されている。加圧ブラケット24は、搬送ローラ21の周面に向けて矢印R2方向に付勢され、第1絞りローラ22及び第2絞りローラ23は搬送ローラ21の周面に押し付けられている。このように、複数の絞りローラを同じ加圧ブラケットに保持することで、複数の絞りローラ間の絞り力(押し付け力)を均一化することができる。
【0062】
脱色剤がしみ込んだ繊維布Tは、搬送ローラ21と第1絞りローラ22とのニップ部、搬送ローラ21の第2絞りローラ23とのニップ部で、それぞれ均一に押圧されて(絞られて)脱色剤が予め定められた量に絞られる。ここで、予め定められた量は、加圧ブラケット24の加圧力を調整することで設定することができる。
搬送ローラ21上で絞られた脱色剤は、貯留容器25に回収される。
【0063】
本実施形態において、搬送ローラ21の周面に押し付けられて配置された第1絞りローラ22及び第2絞りローラ23からなる構成について説明したが、絞り処理部20としては、プラテン上に載置された繊維布Tを直接押圧して脱色剤を絞るプレス方式であってもよい。
【0064】
(しみ込み量制御)
吸収処理部10は、繊維布Tの脱色する領域を指定して脱色剤がしみ込む塗対象である繊維布Tの種類、繊維布Tの厚み、繊維布Tの縫い目の少なくとも一つ又はこれらの組み合わせに応じて脱色剤のしみ込み量を調整することもできる。
繊維布Tの種類としては、例えば、ポリエステル繊維、アセテート繊維、ポリ乳酸繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維、ビニロン繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維等任意の天然・合成繊維からなる繊維素材を単独で又は混紡、交撚、交織、交編等により組み合わせて用いた織編物や不織布が挙げられる。
繊維布Tの厚みは、繊維布Tそのものの厚み、重なった部分の厚み等、脱色剤をしみ込ませる対象の厚みが異なり、吸収処理部10は、特に繊維布Tの重なり部分(図7に一例を示す)では、マスクシートMの開口を調整して脱色剤のしみ込み量を増加させるように吸収処理される。
また、繊維布Tの縫い目に当たる領域では、脱色剤のしみ込み量を増加させるように吸収処理される。
【0065】
(加熱処理部)
図7には加熱処理部30の構成例を示す。
加熱処理部30は、繊維布Tを保持するプラテン31と、接触加熱される繊維布Tから移動する染料を含む脱色剤を吸収して保持する吸収体Fと、脱色剤がしみ込んだ繊維布Tを吸収体Fを介して接触加熱するヒートプレス板32とを備えている。
【0066】
プラテン31は、繊維布Tを、その脱色部分が上面に来るように位置決めして、かつ、ピンと張った皺のない平坦な状態で保持できるように固定具(不図示)が設けられている。また、プラテン31の表面はフッ素樹脂コーティング又はテフロン(登録商標)シートが貼付されていることが好ましい。これにより、耐熱性、耐腐食性、非粘着性が向上する。
【0067】
プラテン31は、1つに限らず、例えば、交互にスライド移動可能に2つ設けてもよい。プラテン31をスライド移動可能に複数設けることで、一方のプラテン31に固定した繊維布Tを接触加熱している間に、他方のプラテン31への繊維布Tの固定作業を行うことができ、作業効率を高めることができる。
尚、加熱処理部30は、公知の輪転式熱プレス機を用いて構成してもよい。輪転式熱プレス機を用いることで加熱処理を高速化することが可能となる。
【0068】
吸収体Fは、脱色剤に対して耐性を有し、かつ、ヒートプレス板32の加熱に耐えられるものであればよい。吸収体Fの材質は、液相化した脱色剤を例えば毛細管現象により移動させることができれば特に限定されるものではなく、紙、布、不織布等であってもよく、これ以外の材質、例えば、セラミック、樹脂等であってもよい。また、吸収体Fの形状は特に限定されるものではなく、例えば、シート状であってもよいし、これ以外の形状であってもよい。
【0069】
吸収体Fは、繊維布Tにしみ込んだ脱色剤のしみ込み量、ヒートプレス板32による加熱温度、加熱時間等によってその脱色剤の必要吸収量が変わる。吸収体Fは、繊維布Tにしみ込ませる脱色剤の必要吸収量に応じて、厚みや吸収力の異なる吸収体Fに取り換え可能である。
【0070】
図7に示すように、ヒートプレス板32は、内部にニクロム線(不図示)が配置された発熱部32Aと、例えばシリコンゴムからなる断熱部32Bと、発熱部32Aを挟み込むように配置された蓄熱部32Cからなり、プラテン31に対して昇降可能に構成されている。
ヒートプレス板32は、脱色剤とともに染料の移動が生じる温度になるように吸収体Fの上から繊維布Tを加熱する。具体的には、プラテン31上に載置された繊維布Tにしみ込んだ脱色剤の沸点以下の温度で加熱する。脱色剤の沸点以下の温度は、脱色剤に応じて、例えば、120℃以上又は150℃以上、210℃以下又は190℃以下である。加熱温度を脱色剤の沸点以下とすることで、繊維布T、例えばポリエステル布の熱収縮など熱ダメージを抑制することができる。特に沸点マイナス20℃以下の温度で加熱することで、繊維布Tの熱ダメージを押さえながら一定の加熱時間で脱色することができる。
加熱時間は、目的とする脱色の程度に応じて適宜決定され、例えば、30秒以上又は1分以上であってもよく、30分以下又は3分以下であってもよい。
【0071】
図8には、加熱処理部30における脱色剤の繊維布Tから吸収体Fへの移動を模式的に示している。本実施形態に係る脱色装置1においては、図8(a)に示すように、脱色剤(図中 符号Dで示す)がしみ込んだ繊維布Tを加熱処理部30のプラテン31上に平坦な状態で保持して繊維布Tの接触加熱側に吸収体Fを当てて所定の温度に発熱したヒートプレス板32を下降させて加圧する。
繊維布Tが吸収体Fを介して加熱され、脱色剤に熱が伝わり液相化する。繊維布Tに染色されている染料(図中 符号PGで示す)は、図8(b)に示すように、液相化した脱色剤とともに繊維布Tから分離され、吸収体Fの毛細管力で吸収体Fへ移動する。
【0072】
吸収体Fへ移動した脱色剤はヒートプレス板32に接触して蒸発し(図中 矢印Rで示す)、蒸気は上方へ放出される。これにより、図8(c)に示すように、吸収体Fのヒートプレス板32に接している側は乾燥し、再度脱色剤とともに染料が繊維布Tから吸収体Fへ毛細管力で移動する。
このように、加熱処理部30においては、繊維布Tを吸収体Fを介して加熱して脱色剤を繊維布Tに染色又は印刷された染料とともに吸収体Fに移動させるプロセスが継続されることで、脱色性能を向上させている。
【0073】
(回収部)
図9は繊維布Tにしみ込んだ脱色剤の一部を回収する回収部40の構成例を説明する図、図10は脱色剤が移動した吸収体Fから脱色剤を真空抽出して液体として回収する回収部の構成例を説明する図である。
【0074】
回収部40は、図9に示すように、加熱処理部30で繊維布Tを加熱した際に脱色剤から発生する蒸気を液体として回収するための構成として、蒸気を含む空気が入る回収室41と、回収室41内の圧力を高めて蒸気が液化する高圧状態を作る圧力上昇部42と、液化で生じた液体を分離して気体を外部に排気する液体分離部43と、を備える。
繊維布Tを加熱した際に脱色剤から発生する蒸気を液体として回収する場合としては、脱色剤がしみ込んだ繊維布Tに加熱処理を行って染料の脱色を行う場合と、加熱処理により染料が脱色された後の繊維布Tを加熱して繊維布Tに残留する脱色剤を回収する場合がある。いずれの場合であっても、回収部40で繊維布Tを加熱した際に脱色剤から発生する蒸気を液体として回収することが可能である。
【0075】
回収室41は、ヒートプレス板32の鉛直上方に下端が開口して配置され、開口には圧力上昇部42が設けられている。圧力上昇部42は、本実施形態においては、蒸気を含む気体を吸い込んで回収室41内に送り込む吸引ファンで構成されている。
尚、圧力上昇部42は、吸引ファンに限定されることはなく、他の構造でも回収室41内の圧力を高めることができるものであれが使用できる。ここで、回収室41内を高圧状態にして蒸気が液化する圧力の大きさとしては、30~50Pa程度である。
【0076】
液体分離部43は、回収室41内の高圧状態を維持しつつ回収室41内の気体を外部に排出させ、高圧によって液化した液体を回収室41内に残す気体通過材を備えている。気体通過材を通過した気体は乾燥気体になる。
気体通過材としては、気体が通過する小孔を多数有する多孔質体を用いることができる。多孔質体を用いた場合は、液化された液体LQを液体分離部43の鉛直下方に配置された貯留部44で受けて貯留する。貯留部44は取り外すことができ、液体LQとして回収された蒸気は脱色剤として再利用可能となる。
【0077】
回収部40は、脱色剤が移動した吸収体Fから脱色剤を真空抽出して液体として回収するための構成として、繊維布Tから脱色剤が移動した吸収体Fを収容して吸収体Fから脱色剤を蒸発させる気密性容器45と、気密性容器45で発生した蒸気を冷却して液化する冷却装置46と、冷却装置46で液化された脱色剤を貯留する回収槽47と、回収槽47及び気密性容器45内を減圧する減圧装置48と、を備える。
【0078】
まず、脱色剤が移動した吸収体Fを気密性容器45内に投入して加熱用蒸気を供給することにより、気密性容器45内の温度を所定の温度(例えば脱色剤の沸点以上)に加熱する。気密性容器45に加えられる熱は、吸収体Fに伝達され、吸収体Fが吸収している脱色剤の蒸発が促進される。
【0079】
また、減圧装置48を駆動しておくと、気密性容器45内の蒸気および空気が吸引され、気密性容器45内で吸収体Fの脱色剤が蒸発して発生した蒸気の全部または一部は、冷却装置46で冷却されて液体に戻る。この冷却装置46を通過した液体、又は液体と蒸気が回収槽47内に噴出される。回収槽47内に噴出された液体LQは脱色剤として再利用可能となる。
【0080】
(再生処理部)
図11は再生処理部50の構成例を説明する図である。
再生処理部50は、不純物を予め取り除いたRO水等からなる洗浄液Lを貯留する水槽部51と、洗浄液L中に含まれる気体(例えば空気)の含有量を減じながらその温度を所定に維持する液体制御部52(不図示)と、洗浄液L中で吸収体Fを間に挟むように対向かつ平行配置させた一対の超音波振動ユニット53を含む振動制御部54と、液体制御部52及び振動制御部54の動作を制御する制御機構55と、を備え、洗浄液L中に浸漬した吸収体Fの表面に付着している脱色剤及び吸収体Fの内部に残留する脱色剤を超音波によって形成されたキャビティの破裂に伴って生じる衝撃波で除去する。
尚、洗浄液Lとして、繊維布Tにしみ込ませる脱色剤そのものを使用してもよい。この場合、洗浄に用いた脱色剤は染料と分離して再利用される。
【0081】
脱色剤が移動した吸収体Fを洗浄した洗浄液Lは、繊維布Tに染色または印刷された染料を含んでいる。このような洗浄液LをRO膜処理により濃縮して透過液として染料と分離して、分離された染料は再度染色に再利用可能となる。
RO膜処理は、公知のRO膜およびモジュールを用い、加圧ポンプで洗浄液Lを加圧して供給し、染料と水とを分離する。RO膜は染料を分離する半透膜であり、モジュールはこのRO膜を取り付けた平膜型、チューブラ型、スパイラル型、中空糸型等のモジュールを用いることができる。RO膜処理は透過液における染料の濃度により、1段または2段のRO膜装置により、一過式または循環式で処理を行うことができる。
【0082】
(2)脱色処理
図12は本実施形態に係る脱色方法の脱色処理の流れを示すフローチャート図である。
本実施形態に係る繊維布Tの脱色処理は、染色又は印刷された繊維布Tに脱色剤をしみ込ませる吸収処理S101と、繊維布Tを加熱及び加圧して繊維布Tにしみ込んだ脱色剤を繊維布Tに染色又は印刷された染料とともに吸収体Fに移動させる移動工程S102と、繊維布Tにしみ込んだ脱色剤の一部を回収する回収工程S103と、脱色剤が移動した吸収体Fを洗浄液L中で洗浄して新たな吸収体Fとして利用可能にする再生工程S104と、を含む。
【0083】
(吸収処理工程:S101)
本実施形態において使用される繊維布T(図2において符号Tで示す)は、その一面に染料によって印刷又は染色された布地であり、繊維布Tに脱色剤をしみ込ませて接触加熱処理を施すことで染料を吸収体Fに移動させて脱色する。
【0084】
まず、染色又は印刷された繊維布Tに脱色剤をしみ込ませる。具体的には、吸収処理部10の脱色剤を貯留する貯留槽11に配置された液吸収部12の上面に脱色剤保持材14を積層して脱色剤を吸収させる。そして、脱色剤がしみ渡った脱色剤保持材14に繊維布Tを押し当てて、脱色剤をしみ込ませる。繊維布Tに脱色剤をしみ込ませる吸収処理は、ディップ方式による吸収処理部10A、あるいはローラ方式による吸収処理部10Bによって実行されても良い。
【0085】
脱色剤がしみ込んだ繊維布Tは、必要に応じて、絞り処理部20の搬送ローラ21と第1絞りローラ22とのニップ部、搬送ローラ21の第2絞りローラ23とのニップ部で、それぞれ均一に押圧されて(絞られて)脱色剤が予め定められた量に絞られる。
【0086】
(移動工程:S102)
まず、加熱処理部30のプラテン31上に脱色剤がしみ込んだ繊維布Tをその脱色部分が上面に来るように位置決めして、固定具(不図示)で固定する。そして、脱色剤がしみ込んだ繊維布Tの上面に吸収体Fを当ててヒートプレス板32を下降させて加圧しながら、吸収体Fの上から繊維布Tを脱色剤の沸点以下の温度で加熱する。
脱色剤の沸点以下の温度は、脱色剤に応じて、例えば、120℃以上又は150℃以上、210℃以下又は190℃以下である。加熱時間は、目的とする脱色の程度に応じて適宜決定され、例えば、30秒以上又は1分以上であってもよく、10分以下又は3分以下であってもよく、加熱される繊維布Tの熱ダメージを抑制しながら十分な脱色効果が得られる時間とされる。
【0087】
繊維布Tは吸収体Fを介して加熱され、脱色剤に熱が伝わり液相化する。繊維布Tに染色されている染料は、液相化した脱色剤とともに繊維布Tから分離され、吸収体Fの毛細管力で吸収体Fへ移動する。
吸収体Fへ移動した脱色剤はヒートプレス板32に接触して蒸発し、蒸気は上方へ放出される。これにより、吸収体Fのヒートプレス板32に接している側は乾燥し、再度脱色剤とともに染料が繊維布Tから吸収体Fへ毛細管力で移動する。
【0088】
移動工程S102で繊維布Tを加熱した際に脱色剤から発生する蒸気は、繊維布Tにしみ込んだ脱色剤の一部を回収する回収工程S103の一部を同時に実施して液体として回収される(S103B)。すなわち、ヒートプレス板32の鉛直上方に下端が開口した回収室41が配置され、移動工程S102でヒートプレス板32の上方へ放出される蒸気は、回収室41内にファンで送り込まれる。回収室41内は、送り込まれた蒸気が液化する30~50Pa程度の高圧に維持され脱色剤として再利用可能に回収される。
【0089】
(回収工程:S103)
回収工程S103は、脱色剤がしみ込んだ繊維布Tに加熱処理を行って染料の脱色を行う移動工程102と同時に行う第1の回収工程S103Aと、加熱処理により染料が脱色された後の繊維布Tを加熱して繊維布Tに残留する脱色剤を回収する第2の回収工程S103Bとがある。
【0090】
第2の回収工程S103Bでは、繊維布Tから脱色剤が移動した吸収体Fを気密性容器45内に投入して加熱用蒸気を供給することにより、気密性容器45内の温度を所定の温度(例えば脱色剤の沸点以上)に加熱する。
また、減圧装置48を駆動して、気密性容器45内の吸収体Fの脱色剤が蒸発して発生した蒸気及び空気を吸引して冷却装置46に導き、冷却装置46で冷却して液化する。この冷却装置46で液化した液体LQ、または液体LQと蒸気は回収槽47内に噴出され、液体LQは脱色剤として再利用可能となる。
【0091】
(再生工程:S104)
再生工程S104は、脱色剤が移動した吸収体Fを洗浄液L中で洗浄して新たな吸収体Fとして利用可能にする。再生工程S104においては、不純物を予め取り除いたRO水等の洗浄液L中に浸漬した吸収体Fの表面に付着している脱色剤及び吸収体Fの内部に残留する脱色剤を超音波によって形成されたキャビティの破裂に伴って生じる衝撃波で除去する。尚、洗浄液Lとしては、繊維布Tにしみ込ませる脱色剤そのものであってもよい。この場合、洗浄に用いた脱色剤は染料と分離して再利用される。
【0092】
脱色剤が移動した吸収体Fを洗浄した洗浄液Lは、RO膜処理により濃縮して透過液として染料と分離して、分離された染料は再度染色に再利用可能となる。
【0093】
本実施形態に係る脱色装置1によれば、染色又は印刷された繊維布Tに脱色剤を必要な領域に必要な量でしみ込ませる。ヒートプレス板32は、脱色剤とともに染料の移動が生じる温度になるように吸収体Fの上から繊維布Tを脱色剤の沸点以下の温度で加熱して、脱色剤を染料とともに吸収体Fに移動させて蒸発させる。このプロセスが継続されることで脱色性能を向上させることが可能となっている。ヒートプレス板32で繊維布Tを加熱した際に脱色剤から発生する蒸気は液化して液体LQとして回収され脱色剤として再利用可能となる。
【0094】
脱色剤が移動した吸収体Fは洗浄液L中で洗浄して新たな吸収体Fとして利用可能になり、脱色剤が移動した吸収体Fを洗浄した洗浄液Lは、RO膜処理により濃縮して透過液として染料と分離して、分離された染料は再度染色に再利用可能となる。
【符号の説明】
【0095】
1・・・脱色装置
10・・・吸収処理部、20・・・絞り処理部、30・・・加熱処理部、40・・・回収部、50・・・再生処理部、60・・・制御部
T・・・繊維布、F・・・吸収体、M・・・マスクシート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-05-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
染色又は印刷された繊維布を脱色剤に浸漬して前記繊維布前記脱色剤をしみ込ませる吸収処理手段と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を予め定められた量に調整する絞り手段と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに吸収体に移動させる移動手段と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収手段と、を備えた、
ことを特徴とする脱色装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記繊維布を前記吸収体を介して加熱して前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに前記吸収体に移動させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記吸収体を前記脱色剤の沸点以下の温度で接触加熱する、
ことを特徴とする請求項に記載の脱色装置。
【請求項4】
前記吸収体は、しみ込む前記脱色剤の必要吸収量に応じて取り換え可能に用いられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項5】
前記回収手段は、しみ込んだ前記脱色剤のうち前記繊維布に吸収されなかった前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項6】
前記回収手段は、前記移動手段により加熱した際に前記脱色剤から発生した蒸気を回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項7】
前記回収手段は、前記脱色剤が移動した前記吸収体から前記脱色剤を抽出して液体として回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項8】
前記回収手段は、脱色された前記繊維布を加熱して前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項9】
前記回収手段で回収した前記脱色剤を前記吸収処理手段により再度しみ込ませる脱色剤再利用手段を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項10】
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して前記移動手段で前記脱色剤を再度移動させる前記吸収体として利用可能にする吸収体再生手段を更に備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項11】
前記洗浄液から前記繊維布から移動した染料を抽出して回収する、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色装置。
【請求項12】
染色又は印刷された前記繊維布を前記脱色剤に浸漬して前記繊維布前記脱色剤をしみ込ませる吸収処理工程と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を予め定められた量に調整する絞り工程と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに前記吸収体に移動させる移動工程と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収工程と、を含み、
脱色装置として、請求項1ないし1のいずれか1項に記載の脱色装置を用いる、
ことを特徴とする脱色方法。
【請求項13】
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して新たな吸収体として利用可能にする再生工程を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の脱色方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の脱色装置は、
染色又は印刷された繊維布を脱色剤に浸漬して前記繊維布前記脱色剤をしみ込ませる吸収処理手段と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を予め定められた量に調整する絞り手段と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに吸収体に移動させる移動手段と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記移動手段は、前記繊維布を前記吸収体を介して加熱して前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに前記吸収体に移動させる、
ことを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の脱色装置において、
前記移動手段は、前記吸収体を前記脱色剤の沸点以下の温度で接触加熱する、
ことを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記吸収体は、しみ込む前記脱色剤の必要吸収量に応じて取り換え可能に用いられる、
ことを特徴とする。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、しみ込んだ前記脱色剤のうち前記繊維布に吸収されなかった前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、前記移動手段により加熱した際に前記脱色剤から発生した蒸気を回収する、
ことを特徴とする。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、前記脱色剤が移動した前記吸収体から前記脱色剤を抽出して液体として回収する、
ことを特徴とする。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段は、脱色された前記繊維布を加熱して前記脱色剤を回収する、
ことを特徴とする。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記回収手段で回収した前記脱色剤を前記吸収処理手段により再度しみ込ませる脱色剤再利用手段を有する、
ことを特徴とする。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して前記移動手段で前記脱色剤を再度移動させる前記吸収体として利用可能にする吸収体再生手段を更に備える、
ことを特徴とする。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の脱色装置において、
前記洗浄液から前記繊維布から移動した染料を抽出して回収する、
ことを特徴とする。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の脱色方法は、
染色又は印刷された前記繊維布を前記脱色剤に浸漬して前記繊維布前記脱色剤をしみ込ませる吸収処理工程と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を予め定められた量に調整する調整工程と、
前記繊維布を加熱及び加圧して前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤を前記繊維布に染色又は印刷された染料とともに前記吸収体に移動させる移動工程と、
前記繊維布にしみ込んだ前記脱色剤の一部を回収する回収工程と、を含み、
脱色装置として、請求項1ないし1のいずれか1項に記載の脱色装置を用いる、
ことを特徴とする。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項1に記載の発明は、請求項1に記載の脱色方法において、
前記脱色剤が移動した前記吸収体を洗浄液で洗浄して新たな吸収体として利用可能にする再生工程を更に含む、
ことを特徴とする。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0023】
請求項1、1に記載の発明によれば、染色又は印刷された繊維布を脱色する脱色剤を回収し再利用可能とすることができる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正23】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正24】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0028
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0028】
請求項に記載の発明によれば、繊維布の脱色性能を向上させることができる。
【手続補正25】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
請求項に記載の発明によれば、繊維布への熱ダメージを抑制しながら脱色剤の吸収体への移動を促進することができる。
【手続補正26】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
請求項に記載の発明によれば、脱色剤の使用量、繊維布の加熱温度及び加熱時間を最適化することができる。
【手続補正27】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
請求項に記載の発明によれば、脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【手続補正28】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
請求項に記載の発明によれば、脱色剤を接触加熱する際に発生した蒸気を回収して脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【手続補正29】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
請求項に記載の発明によれば、脱色剤が移動した吸収体を加熱して発生した蒸気を回収して脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【手続補正30】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
請求項に記載の発明によれば、脱色された繊維布に残る脱色剤を回収して脱色剤の周囲環境への流出を抑えることができる。
【手続補正31】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0035】
請求項に記載の発明によれば、脱色剤を再利用して脱色剤の使用量を減少させることができる。
【手続補正32】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
請求項1、1に記載の発明によれば、吸収体を再利用して吸収体の使用量を減少させることができる。
【手続補正33】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
請求項1に記載の発明によれば、繊維布から脱色した染料を再利用することができる。