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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126620
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】液吐出ノズル
(51)【国際特許分類】
   B05B 1/26 20060101AFI20240912BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20240912BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20240912BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20240912BHJP
【FI】
B05B1/26 A
B65D47/06 400
B05B11/00 102B
B05B11/10 102B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035127
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板持 伸弥
(72)【発明者】
【氏名】青山 涼平
(72)【発明者】
【氏名】児玉 大輔
【テーマコード(参考)】
3E084
4F033
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB11
3E084FA09
3E084KB05
3E084KB06
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD22
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033JA01
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】液体の粘性に関係なく広範囲に液体を吐出することが可能な液吐出ノズルに関する。
【解決手段】液体を吐出可能な液吐出口と、液吐出口の液吐出方向に対向かつ離間して設けられた液衝突壁とを備え、液衝突壁は、液吐出口の液吐出方向に沿う中心軸上に位置し、かつ、液吐出口と対向する方向から見た場合における液吐出口の開口投影面積の5%以上99%以下を覆う被覆領域を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出可能な液吐出口と、
前記液吐出口の液吐出方向に対向かつ離間して設けられた液衝突壁と
を備え、
前記液衝突壁は、前記液吐出口の前記液吐出方向に沿う中心軸上に位置し、かつ、前記液吐出口と対向する方向から見た場合における前記液吐出口の開口投影面積の5%以上99%以下を覆う被覆領域を有する
液吐出ノズル。
【請求項2】
前記被覆領域は、前記液吐出方向に対して傾斜している
請求項1に記載の液吐出ノズル。
【請求項3】
前記被覆領域は、前記中心軸に対して5°以上90°以下の傾斜角度を有する
請求項1又は2に記載の液吐出ノズル。
【請求項4】
前記液衝突壁は、前記被覆領域における前記液吐出口に対して最も離れた部位と前記液吐出口との間の距離が0.5mm以上5.0mm以下となる位置に設けられている
請求項4~6のいずれか1項に記載の液吐出ノズル。
【請求項5】
内面に前記液衝突壁が立設された筒状部を更に備え、
前記液衝突壁は、
前記筒状部の内面から延出する延出部と、
前記延出部の先端から、前記液吐出方向かつ前記延出部の延出方向と反対方向に向けて湾曲する湾曲部とを有する
請求項1~3のいずれか1項に記載の液吐出ノズル。
【請求項6】
前記延出部は、
前記被覆領域を有する対向面部と、
前記対向面部の前記液吐出方向及び前記延出方向の双方に直交する幅方向の両端部から前記液吐出方向に向けて延出する側面部を有し、
前記側面部は、前記液吐出方向に対して傾斜している
請求項4に記載の液吐出ノズル。
【請求項7】
前記延出部は、前記幅方向において、前記幅方向に沿う前記液吐出口の径の10%以上1000%以下の長さを有している
請求項4又は5に記載の液吐出ノズル。
【請求項8】
前記液吐出口を有するノズル本体部を更に備え、
前記筒状部は、前記ノズル本体部に対して着脱可能に構成されている
請求項4~7のいずれか1項に記載の液吐出ノズル。
【請求項9】
前記液吐出口を有するノズル本体部を更に備え、
前記筒状部は、前記ノズル本体部と一体に構成されている
請求項4~7のいずれか1項に記載の液吐出ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液吐出ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を吐出可能な液吐出ノズルが知られている。例えば、特許文献1には、液体を旋回させる旋回流路と、旋回流路を流れて旋回した液体を噴出可能な噴出孔とを備える液吐出ノズルが記載されている。また、特許文献2には、液体を噴射可能な噴射口と、噴射口の上方において液体の噴射方向に対して傾斜するように配置され、噴射口の開口面積よりも大きな面積を有する衝突面とを備える液吐出ノズルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-136803号公報
【特許文献2】国際公開2012/001774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の液吐出ノズルでは、旋回した液体が噴出されるため、液体が低粘度である場合には旋回により流速が増加し、広範囲に液体を噴出することができる反面、液体が高粘度である場合には旋回により流速が増加しないため、広範囲に液体を噴出することができないという問題がある。また、特許文献2に記載の液吐出ノズルでは、噴射口から噴射された液体が衝突面に衝突して一応は霧状になるものの、衝突面が噴射口の開口面積の全部を覆っており、噴射口から噴射された液体の全てが衝突面に衝突するため、液体の拡散性が低く、広範囲に液体を噴射することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、液体の粘性に関係なく広範囲に液体を吐出することが可能な液吐出ノズルに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液吐出ノズルは、液体を吐出可能な液吐出口と、前記液吐出口の液吐出方向に対向かつ離間して設けられた液衝突壁とを備え、前記液衝突壁は、前記液吐出口の前記液吐出方向に沿う中心軸上に位置し、かつ、前記液吐出口と対向する方向から見た場合における前記液吐出口の開口投影面積の5%以上99%以下を覆う被覆領域を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液吐出ノズルによれば、液体の粘性に関係なく広範囲に液体を吐出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係るトリガー式スプレー容器の構成を示す概略図である。
図2】本実施形態に係る液吐出ノズルを示す斜視図である。
図3】本実施形態に係る液吐出ノズルを示す断面斜視図である。
図4】本実施形態に係る液吐出ノズルの液吐出方向に沿う断面を示す断面図である。
図5図4の一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
図6】本実施形態に係る液吐出ノズルを液吐出口と対向する方向から見た図であり、液衝突壁の一部を透過して示している。
図7図6の一部を拡大して示す部分拡大図である。
図8図6のA-A線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面は、本発明を示すために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0010】
[トリガー式スプレー容器の全体構成]
図1に示すように、本実施形態に係るトリガー式スプレー容器1は、液体を収容可能な容器本体100と、容器本体100に対して取り付け可能であり、使用者の手動操作によって容器本体100内の液体を吐出させることが可能なトリガー式液体吐出器200とを備えている。また、本実施形態に係るトリガー式スプレー容器1は、例えば、住居用洗剤、カビ取り剤、整髪剤、芳香剤及び消臭剤等の液体を霧状又は泡状にして吐出させる用途で用いることが可能である。
【0011】
以下、本実施形態において、説明の便宜上、トリガー式液体吐出器200による液体の吐出方向(後述する液吐出口311aの液吐出方向)を「前方」、これとは反対の方向を「後方」として説明する場合がある。また、容器本体100にトリガー式液体吐出器200を取り付けた状態(図1の状態)において、トリガー式液体吐出器200が位置する側を「上方」、容器本体100が位置する側を「下方」として説明する場合がある。
【0012】
[容器本体の構成]
図1に示すように、容器本体100は、上部に小径円筒状の口筒部110を有する有底筒状に形成された容器であり、その内部空間において、液体を収容可能に構成されている。なお、このような容器本体100は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明を省略する。
【0013】
[トリガー式液体吐出器の構成]
図1に示すように、トリガー式液体吐出器200は、容器本体100内の液体を吸引及び圧送可能なポンプ220が内蔵された本体部210と、ポンプ220を作動させる操作レバー230(トリガー)と、ポンプ220の作動によって液体を吐出させる液吐出ノズル240とを備えている。
【0014】
なお、本実施形態に係るトリガー式液体吐出器200において、液吐出ノズル240に関する構成以外の構成については、種々の公知のトリガー式液体吐出器の構成を採用可能であるため、以下では一例に関する簡略的な説明にとどめ、その詳細な説明は省略する。
【0015】
本体部210は、容器本体100の口筒部110に装着可能に構成された装着キャップ211と、装着キャップ211から上方に向けて延出した縦筒部212と、縦筒部212の上端部から前方に向けて延出して液吐出ノズル240に接続された横筒部213と、縦筒部212の中途部から前方に向けて延在する円筒状の保持部214と、保持部214内に保持されたポンプ220と、縦筒部212、横筒部213、保持部214、ポンプ220及び操作レバー230の一部を覆い隠すヘッドカバー215とを備えている。
【0016】
縦筒部212は、装着キャップ211の上部開口(図示せず)に挿通される円筒状のネック部212aを下端に有している。ネック部212aは、装着キャップ211に比して、操作レバー230の揺動方向に対して交差する方向の幅(すなわち、径)が小さい。また、縦筒部212は、円筒状のインテイク212bをその内部に有している。インテイク212bは、その下端が容器本体100内に延在するパイプ216に連通されると共に、その上端が横筒部213の後端に連通されており、これにより、パイプ216、インテイク212b及び横筒部213によって容器本体100から液吐出ノズル240に至る送給経路が形成されている。インテイク212bには、後述するポンプ室224に連通する連通孔212cが形成されると共に、連通孔212cの上流側及び下流側にそれぞれ吸入弁212d及び吐出弁212eが配されており、ポンプ220の作動によって、容器本体100からポンプ室224内への液体の吸引と、ポンプ室224から液吐出ノズル240への圧送を行うことが可能に構成されている。
【0017】
ポンプ220は、保持部214に嵌合保持される円筒状のシリンダ221と、シリンダ221の内側において往復動可能に収容されたピストン222とを備えている。ピストン222は、シリンダ221よりも小径に形成されており、これにより、その外周面とシリンダ221の内周面との間に隙間が形成されている。ピストン222の後端部には、シリンダ221の内周面に対して摺動可能に液密に当接する環状のシール部223が突設されており、該シール部223によってシリンダ221の内側を封止することにより、シール部223よりも後方側にポンプ室224を形成するよう構成されている。ピストン222は、その前端部が操作レバー230に係合されると共に、その内部に設けられたコイルスプリング225によって操作レバー230を押し戻す方向(ポンプ室224の拡張方向)に向けて付勢されている。
【0018】
操作レバー230は、その上端部(基端部)が本体部210の横筒部213の先端部側において揺動可能に枢着され、縦筒部212、保持部214及び装着キャップ211と対向するよう、該横筒部213から下方(容器本体100側)に向けて垂下して設けられている。操作レバー230の後面は、上述のとおりピストン222の前端部に係合されており、該操作レバー230の往復動によってピストン222を往復動させるよう構成されている。本実施形態に係るトリガー式液体吐出器200は、このように垂下された操作レバー230により、操作レバー230と、本体部210の装着キャップ211、縦筒部212及び横筒部213との間に空間が形成され、該空間内にポンプ220のピストン222が配置されている。
【0019】
[液吐出ノズルの構成]
図1図4及び図6に示すように、液吐出ノズル240は、本体部210の横筒部213の先端部に設けられるノズル本体部300と、ノズル本体部300に対して着脱可能に構成された筒状部400と、筒状部400の内面に立設された液衝突壁500と、筒状部400と液衝突壁500との間に形成された液通過部600と、ノズル本体部300、筒状部400及び液衝突壁500を覆うノズルカバー700とを備えている。なお、ノズル本体部300は、本体部210に対して着脱可能に構成されていても良いし、着脱不能に構成されていても良い。
【0020】
ノズル本体部300は、液体を吐出可能な液吐出口311aを有する外側本体部310と、外側本体部310の内部かつ後方側に設けられた内側本体部320とを備えている。
【0021】
外側本体部310は、円状の前壁部311と、前壁部311の外周縁部全域から後方に向けて延びる周壁部312とを有しており、全体として後方側が開放された円筒状に形成されている。この前壁部311の中心部には、液吐出口311aが形成されている。液吐出口311aは、前壁部311の外面から内面に亘って貫通して形成された開口である。
【0022】
内側本体部320は、互いに対向して設けられた前面部321及び後面部322と、前面部321の外周縁から後面部322の外周縁に亘って設けられた周面部323とを有しており、全体として円柱状に形成されている。前面部321及び後面部322は、同形同大に形成されており、内側本体部320を外側本体部310内に嵌合させることが可能な大きさを有している。内側本体部320は、外側本体部310の内部かつ後方側に設けられており、前後方向の長さが外側本体部310よりも短く形成されている。
【0023】
また、内側本体部320は、その上端部と下端部に、ポンプ220から圧送された液体を液吐出口311aに向けて流通させるノズル流路324を有している。ノズル流路324は、前面部321から後面部322に亘って貫通して形成された開口であり、本体部210の送給経路に連通している。なお、本実施形態では、ノズル流路324は、内側本体部320の上端部と下端部に設けられているものとして説明したが、これに限定されず、内側本体部320のいずれの位置に設けられていても良いし、1つ乃至3つ以上設けられても良い。
【0024】
また、ノズル本体部300は、液吐出口311aとノズル流路324との間に形成され、液吐出口311a及びノズル流路324に連通する流速緩衝領域330を有している。ここで、「流速緩衝領域」とは、ノズル流路324から流通される液体の流速を均一にするための空間である。本実施形態において、流速緩衝領域330は、前壁部311の内面と、周壁部312の内周面と、前面部321とにより画定された円柱状の空間である。このように、ノズル本体部300が流速緩衝領域330を有しており、特許文献1に記載された液吐出ノズルのような旋回流路を有していないことにより、液吐出口311aから流速に強弱のある状態の液体が吐出されず、液吐出口311aから吐出される液体が旋回しないため、直進性の高い液体を吐出することができる。その結果、後述するような、液衝突壁500に衝突せずに直進した液体と液衝突壁500に沿って拡散した液体とが混在して、広範囲に液体を吐出するという効果を最大化することができるという利点がある。
【0025】
本実施形態において、液吐出口311aの開口部体積(液吐出口311aの最小径における体積)に対する流速緩衝領域330の空間体積の大きさが、5倍以上3000倍以下であることが好ましく、20倍以上1500倍以下であることがより好ましく、50倍以上800倍以下であることが最も好ましい。流速緩衝領域330の空間体積がこのような大きさであることにより、ノズル流路324から流通される液体の流速を均一にすることができるという利点がある。また、流速緩衝領域330の空間体積の大きさが大きければ大きい程、より低粘度の液体の流速も均一にすることができる。
【0026】
筒状部400は、前面部及び後面部が開放された円筒状に形成されている。また、筒状部400の内周面部410は、その前端から後方に向けて延びる前側内周面部411と、前側内周面部411の先端から前後方向に直交する方向かつ外側に向けて延びる中間部412と、中間部412の先端から後方に向けて延びる後側内周面部413とを有しており、前後方向及び上下方向に沿う断面視において、段差状に形成されている(図4参照)。
【0027】
後側内周面部413は、ノズル本体部300の外側本体部310の外径よりも大きな内径を有しており、後側内周面部413により形成される内部空間内に外側本体部310を挿入させることが可能に構成されている。すなわち、筒状部400は、後側内周面部413により形成される内部空間内に外側本体部310を挿入させることにより、ノズル本体部300に対して取り付け可能に構成されており、これとは反対の動作を行うことにより、ノズル本体部300から取り外し可能に構成されている。
【0028】
中間部412は、外側本体部310が筒状部400の内部に挿入された状態において、外側本体部310の前壁部311と当接するように構成されており、これにより筒状部400の内部における外側本体部310の位置を規定するように構成されている。このように、筒状部400が中間部412を有していることにより、外側本体部310の位置を規定することができるため、筒状部400をノズル本体部300に対して取り付けた際に、後述する被覆領域CAにおける液吐出口311aに対して最も離れた部位と液吐出口311aとの間の距離Dを適正なものにすることができるという利点がある。
【0029】
また、筒状部400は、前後方向及び液衝突壁500の立設方向と直交する方向において、液衝突壁500を境とした一方側と他方側に切り欠き部414を有している。切り欠き部414は、筒状部400の前端から液衝突壁500の立設位置まで切り欠かれて形成されている。このように、筒状部400が切り欠き部414を有していることにより、液吐出口311aから吐出された液体が液衝突壁500の後述する側面部512に沿って拡散するときに、当該液体の流れを阻害しないという利点がある。
【0030】
液衝突壁500は、ノズル本体部300の液吐出口311aの液吐出方向(前方)に対向かつ離間して設けられている。また、液衝突壁500は、筒状部400と一体に構成されており、筒状部400の内面(前側内周面部411)から延出する延出部510と、延出部510の先端から、液吐出方向かつ延出部510の延出方向と反対方向に向けて湾曲する湾曲部520とを有している。
【0031】
延出部510は、液吐出口311aの液吐出方向に対向する対向面部511と、対向面部511の液吐出方向及び延出方向の双方に直交する幅方向の両端部から液吐出方向に向けて延出する側面部512と、一方の側面部512の先端から他方の側面部512の先端に亘って設けられた非対向面部513とを有している。
【0032】
対向面部511は、液吐出口311aの液吐出方向に沿う中心軸上に位置し、かつ、液吐出口311aと対向する方向(前方)から見た場合における液吐出口311aの開口投影面積の5%以上99%以下を覆う被覆領域CAを有している(図3図7参照)。なお、被覆領域CAは、液吐出口311aの開口投影面積の50%以上90%以下を覆うことがより好ましく、液吐出口311aの開口投影面積の65%以上85%以下を覆うことが最も好ましい。また、本実施形態において、被覆領域CAの被覆率(被覆領域CAが液吐出口311aを覆う割合)は、液吐出口311aにおける液衝突壁500の立設方向(延出部510の延出方向)に沿う方向の被覆率である。
【0033】
図4及び図5に示すように、被覆領域CAは、液吐出方向に対して傾斜している。具体的には、被覆領域CAは、液吐出方向に対して直線上に傾斜している領域CA1と液吐出方向に対して湾曲状に傾斜している領域CA2とを有している。なお、被覆領域CAは、液吐出方向に対して直線上に傾斜している領域CA1のみを有していても良いし、液吐出方向に対して湾曲状に傾斜している領域CA2のみを有していても良い。
【0034】
また、被覆領域CAは、液吐出口311aの液吐出方向に沿う中心軸に対して5°以上90°以下の傾斜角度を有することが好ましく、30°以上70°以下の傾斜角度を有することがより好ましく、40°以上55°以下の傾斜角度を有することが最も好ましい。被覆領域CAの傾斜角度が大きければ大きい程、液吐出口311aから吐出される液体が被覆領域CAに沿って拡散しやすくなるという利点があり、被覆領域CAの傾斜角度が小さければ小さい程、液体の直進性を維持することができるため、液体の吐出距離を増加させることができるという利点がある。なお、本実施形態において、被覆領域CAの傾斜角度とは、領域CA1に沿って延びる第1仮想線VL1と、液吐出口311aの液吐出方向に沿う中心軸に沿って延びる第2仮想線VL2とのなす角θ1である(図4参照)。
【0035】
図8に示すように、側面部512は、液吐出方向に対して傾斜している。具体的には、側面部512は、液吐出方向に対して5°以上90°以下の傾斜角度を有することが好ましく、30°以上70°以下の傾斜角度を有することがより好ましく、40°以上55°以下の傾斜角度を有することが最も好ましい。側面部512の傾斜角度が大きければ大きい程、液吐出口311aから吐出される液体が側面部512に沿って拡散しやすくなるという利点があり、側面部512の傾斜角度が小さければ小さい程、液体の直進性を維持することができるため、液体の吐出距離を増加させることができるという利点がある。なお、本実施形態において、側面部512の傾斜角度とは、側面部512に沿って延びる第3仮想線VL3と、液吐出口311aの液吐出方向に沿う中心軸に沿って延びる第2仮想線VL2とのなす角θ2である(図8参照)。
【0036】
また、延出部510は、幅方向において、幅方向に沿う液吐出口311aの径(最小径)の10%以上1000%以下の長さを有していることが好ましく、10%以上500%以下の長さを有していることがより好ましく、10%以上300%以下の長さを有していることが最も好ましい。延出部510の幅方向の長さが長ければ長い程、液吐出口311aから吐出される液体が延出部510に沿って拡散しやすくなるという利点があり、延出部510の幅方向の長さが短ければ短い程、液体の直進性を維持することができるため、液体の吐出距離を増加させることができるという利点がある。なお、当該延出部510の幅方向の長さは、幅方向における延出部510の最大長さであり、本実施形態では、非対向面部513の幅方向の長さである。
【0037】
湾曲部520は、対向面部511の被覆領域CAの先端(領域CA2の上端)から液吐出方向かつ延出方向と反対方向に向けて湾曲する湾曲面である。また、湾曲部520は、0.1mm以上10.0mm以下の曲率半径を有していることが好ましく、0.2mm以上5.0mm以下の曲率半径を有していることがより好ましく、0.3mm以上2.0mm以下の曲率半径を有していることが最も好ましい。湾曲部520がこのような曲率半径を有していることにより、液吐出口311aから吐出される液体が湾曲部520に沿って流れるため、液体が拡散する方向を調整することができるという利点がある。
【0038】
このような構成を備える液衝突壁500は、被覆領域CAにおける液吐出口311aに対して最も離れた部位(本実施形態では、被覆領域CAの先端)と液吐出口311aとの間の距離D(液吐出方向に沿う直線距離)が0.5mm以上5.0mm以下となる位置に設けられていることが好ましく、1.0mm以上4.0mm以下となる位置に設けられていることがより好ましく、1.5mm以上3.0mm以下となる位置に設けられていることが最も好ましい。
【0039】
図2図6に示すように、液通過部600は、筒状部400の径方向において、筒状部400と液衝突壁500との間に形成された開放空間である。この液通過部600は、液吐出ノズル240を液吐出口311aと対向する方向(前方)から見た場合において、液吐出口311aにおける液衝突壁500によって覆われていない領域である開放領域OAを有している(図5及び図7参照)。このような構成を有する液通過部600は、液吐出口311aから吐出され、液衝突壁500に衝突せずに直進する液体と、液衝突壁500に沿って拡散する液体とを通過させるように構成されている。
【0040】
本実施形態に係る液吐出ノズル240は、液通過部600を有していることにより、すなわち、筒状部400と液衝突壁500との間に遮蔽物が存在しないことにより、液衝突壁500に衝突せずに直進する液体及び液衝突壁500に沿って拡散する液体の流れが阻害されないため、液衝突壁500に衝突せずに直進した液体と液衝突壁500に沿って拡散した液体とが混在して、広範囲に液体を吐出することが可能になるという利点がある。
【0041】
[本実施形態に係るトリガー式スプレー容器の使用方法]
まず、本実施形態に係るトリガー式スプレー容器1の動作について説明する。本実施形態に係るトリガー式スプレー容器1は、トリガー式液体吐出器200の操作レバー230を容器本体100に接近させるよう牽曳してピストン222をシリンダ221に対して後退させることで、ポンプ室224内の液体を加圧し、該加圧力によって吸入弁212dを弁座に押し付けて閉状態を維持しつつ吐出弁212eを弁座から離間させて開状態に変位させることで、ポンプ室224内の液体を送給経路を介して液吐出ノズル240の液吐出口311aから外部に吐出させることが可能である。
【0042】
本実施形態では、被覆領域CAが液吐出口311aの開口投影面積の5%以上99%以下を覆っているため、液吐出口311aから吐出された液体の一部は液衝突壁500に衝突せずに直進し、液吐出口311aから吐出された液体の残りの部分は液衝突壁500に衝突し、かつ液衝突壁500に沿って拡散する。すなわち、液衝突壁500に衝突せずに直進した液体と液衝突壁500に沿って拡散した液体とにより、広範囲に液体が吐出されることとなる。
【0043】
また、トリガー式スプレー容器1は、液体の吐出後、操作レバー230を解放すると、コイルスプリング225の付勢力によってピストン222及び操作レバー230が前方に押し戻され、これによってポンプ室224内が負圧となり、該負圧によって吸入弁212dを弁座から離間させて開状態に変位させつつ吐出弁212eを弁座に押し付けて閉状態とすることで、容器本体100内の液体をパイプ216を介してポンプ室224内に流入させることが可能である。このような操作レバー230の牽曳と解放を繰り返すことにより、容器本体100内の液体を液吐出ノズル240から連続的に吐出することが可能である。
【0044】
トリガー式スプレー容器1がこのような動作をするため、トリガー式スプレー容器1を使用する使用者は、トリガー式スプレー容器1を把持した状態において、トリガー式液体吐出器200の操作レバー230を容器本体100に向けて牽曳することにより、被吐出対象に向けて容器本体100内の液体を吐出することができる。
【0045】
なお、本実施形態に係る液吐出ノズル240は、液体の粘度に関係なく広範囲に液体を吐出することができるが、特に液体が高粘度である場合には、従来の液吐出ノズル(例えば、特許文献1及び2に記載の液吐出ノズル)に比して液体の広がりが顕著となる。この場合の液体の粘度としては、1mPa・s以上2000mPa・s以下であることが好ましく、5mPa・s以上1000mPa・s以下であることがより好ましく、10mPa・s以上600mPa・s以下であることが最も好ましい。
【0046】
[本実施形態に係る液吐出ノズルの利点]
このように、本実施形態に係る液吐出ノズル240は、液体を吐出可能な液吐出口311aと、液吐出口311aの液吐出方向に対向かつ離間して設けられた液衝突壁500とを備え、液衝突壁500は、液吐出口311aの液吐出方向に沿う中心軸上に位置し、かつ、液吐出口311aと対向する方向から見た場合における液吐出口311aの開口投影面積の5%以上99%以下を覆う被覆領域CAを有している。
【0047】
このような構成を備える液吐出ノズル240によれば、液衝突壁500が液吐出口311aの開口投影面積の5%以上99%以下を覆うため、液吐出口311aから吐出された液体の一部は液衝突壁500に衝突せずに直進し、液吐出口311aから吐出された液体の残りの部分は液衝突壁500に衝突し、かつ液衝突壁500に沿って拡散する。このため、液衝突壁500に衝突せずに直進した液体と液衝突壁500に沿って拡散した液体とが混在して、広範囲に液体を吐出することが可能になるという利点がある。また、液衝突壁500に衝突せずに直進した液体と液衝突壁500に沿って拡散した液体とにより液体を広範囲に拡散するため、液体の粘性に関係なく広範囲に液体を吐出することができるという利点もある。
【0048】
また、本実施形態に係る液吐出ノズル240において、被覆領域CAは、液吐出方向に対して傾斜している。このような構成を備える液吐出ノズル240によれば、液吐出口311aから吐出された液体が液衝突壁500に衝突したときに、液体が被覆領域CAの傾斜方向に沿って移動するため、液体の拡散が容易になるという利点がある。
【0049】
さらに、本実施形態に係る液吐出ノズル240は、内面に液衝突壁500が立設された筒状部400を更に備え、液衝突壁500は、筒状部400の内面から延出する延出部510と、延出部510の先端から、液吐出方向かつ延出部510の延出方向と反対方向に向けて湾曲する湾曲部520とを有している。このような構成を備える液吐出ノズル240によれば、液吐出口311aから吐出された液体が液衝突壁500に衝突したときに、液体の一部が延出部510に沿って拡散された後、湾曲部520に沿って移動することにより、液体の拡散方向を調整することが可能になるため、液体の拡散性が向上するという利点がある。
【0050】
また、本実施形態に係る液吐出ノズル240において、延出部510は、被覆領域CAを有する対向面部511と、対向面部511の液吐出方向及び延出方向の双方に直交する幅方向の両端部から液吐出方向に向けて延出する側面部512を有し、側面部512は、液吐出方向に対して傾斜している。このような構成を備える液吐出ノズル240によれば、側面部512が液吐出方向に対して傾斜しているため、液吐出口311aから吐出された液体が液衝突壁500に衝突したときに、液体が側面部512の傾斜方向に沿って移動するため、液体の拡散が容易になるという利点がある。また、対向面部511の延出方向と幅方向の両側に向けて液体を移動させることができるため、広範囲に液体を吐出することができるという利点がある。
【0051】
さらに、本実施形態に係る液吐出ノズル240において、液吐出口311aを有するノズル本体部300を更に備え、筒状部400は、ノズル本体部300に対して着脱可能に構成されている。このような構成を備える液吐出ノズル240によれば、液性にあわせて適した筒状部400を選択することができるという利点がある。
【0052】
[変形例]
本発明に係る液吐出ノズルは、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、液吐出ノズル240がトリガー式スプレー容器1に適用されるものであると説明したが、これに限定されず、トリガー式スプレー容器以外の他の吐出容器、例えば、スクイズ容器やポンプ容器に適用されても良い。
【0054】
また、上述した実施形態では、筒状部400がノズル本体部300に対して着脱可能に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、例えば、筒状部400がノズル本体部300と一体に構成されていても良い。
【0055】
さらに、上述した実施形態では、液衝突壁500が筒状部400と一体に構成されているものとして説明したが、これに限定されず、例えば、液衝突壁500が筒状部400と一体的に構成されていても良い。
【0056】
また、上述した実施形態では、被覆領域CAが液吐出方向に対して傾斜しているものとして説明したが、これに限定されず、被覆領域CAが液吐出方向に対して傾斜しない構成としても良い。
【0057】
さらに、上述した実施形態では、液衝突壁500が筒状部400の内面に立設されているものとして説明したが、これに限定されず、液衝突壁500が筒状部400の内面に立設せずに、例えば、ノズル本体部300の前壁部311の前面から延びて形成される構成としても良い。
【0058】
また、上述した実施形態では、液衝突壁500が延出部510の先端から、液吐出方向かつ延出方向と反対方向に向けて湾曲する湾曲部520を有するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、湾曲部520を有しない構成として良い。
【0059】
さらに、上述した実施形態では、側面部512が液吐出方向に対して傾斜しているものとして説明したが、これに限定されず、例えば、側面部512が液吐出方向に対して傾斜しない構成としても良い。
【0060】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0061】
1 :トリガー式スプレー容器
100 :容器本体
110 :口筒部
200 :トリガー式液体吐出器
210 :本体部
211 :装着キャップ
212 :縦筒部
212a :ネック部
212b :インテイク
212c :連通孔
212d :吸入弁
212e :吐出弁
213 :横筒部
214 :保持部
215 :ヘッドカバー
216 :パイプ
220 :ポンプ
221 :シリンダ
222 :ピストン
223 :シール部
224 :ポンプ室
225 :コイルスプリング
230 :操作レバー
240 :液吐出ノズル
300 :ノズル本体部
310 :外側本体部
311 :前壁部
311a :液吐出口
312 :周壁部
320 :内側本体部
321 :前面部
322 :後面部
323 :周面部
324 :ノズル流路
330 :流速緩衝領域
400 :筒状部
410 :内周面部
411 :前側内周面部
412 :中間部
413 :後側内周面部
414 :切り欠き部
500 :液衝突壁
510 :延出部
511 :対向面部
512 :側面部
513 :非対向面部
520 :湾曲部
600 :液通過部
700 :ノズルカバー
CA :被覆領域
CA1 :領域
CA2 :領域
OA ;開放領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8