(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126632
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20240912BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240912BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H02G3/04 062
H02G1/06
H01B7/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035156
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 拓真
【テーマコード(参考)】
5G309
5G352
5G357
【Fターム(参考)】
5G309AA01
5G309AA09
5G352CH03
5G357DA06
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD01
5G357DD05
5G357DD06
(57)【要約】
【課題】仕様変更に対応することのできるワイヤーハーネスを提供すること。
【解決手段】ワイヤハーネスWHは、導電性を有する第1配索材W1と、第1配索材W1と一体で設けられるモールド成形部材1と、モールド成形部材1を第1配索材の延在方向に沿って貫通する貫通孔2と、を備える。従って、このワイヤハーネスWHによれば、モールド成形部材1の貫通孔2に追加部材3として、例えば、第2配索材W2を挿通することで、回路追加が可能であり、モールド成形部材1の形状変更を行うことなく仕様変更に対応できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する第1配索材と、
前記第1配索材と一体で設けられるモールド成形部材と、
前記モールド成形部材を前記第1配索材の延在方向に沿って貫通する貫通孔と、
を備える、ワイヤハーネス。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記モールド成形部材に埋め込まれた筒部材からなる、請求項1に記載のワイヤハーネス。
【請求項3】
前記第1配索材とは別に、前記延在方向に沿って前記貫通孔に挿通された第2配索材を備える、請求項1又は請求項2に記載のワイヤハーネス。
【請求項4】
前記第1配索材は、複数設けられており、前記モールド成形部材は、前記複数の第1配索材を束ねるように当該複数の第1配索材と一体で設けられる、請求項1に記載のワイヤハーネス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1のワイヤハーネスは、電線束と、電線束の軸線方向の一部である取付部に一体的に設けられた成形体と、を備える。成形体は、熱可塑性樹脂から構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の電線が成形体にて束ねられたワイヤハーネスは、小型化・省スペース化が可能であるが、その半面、成形体の形状の変更や追加が容易でないため、例えば、仕様変更時の回路追加に対応することが難しい。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、仕様変更に対応することのできるワイヤーハーネスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るワイヤハーネスは、導電性を有する第1配索材と、前記第1配索材と一体で設けられるモールド成形部材と、前記モールド成形部材を前記第1配索材の延在方向に沿って貫通する貫通孔と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るワイヤハーネスは、モールド成形部材の貫通孔に追加部材として、例えば、第2配索材を挿通することで、回路追加が可能であり、モールド成形部材の形状変更を行うことなく仕様変更に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るワイヤハーネスの概略構成を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1及び
図2に示す本実施形態のワイヤハーネスWHは、車両等に配索されるものである。ワイヤハーネスWHは、例えば、車両に搭載される各機器間の接続のために、電源供給や信号通信に用いられる複数の第1配索材W1を束にして集合部品とし、コネクタ等で複数の第1配索材W1を各機器に電気的に接続するようにしたものである。ワイヤハーネスWHは、導電性を有する複数の第1配索材W1と、複数の第1配索材W1を束ねるように当該複数の第1配索材W1の周囲に一体で設けられるモールド成形部材1とを備える。ワイヤハーネスWHは、この他、さらに、コルゲートチューブ、樹脂テープ、プロテクタ等の外装部材、電気接続箱、固定具など種々の構成部品を含んで構成されてもよい。
【0011】
第1配索材W1は、例えば、金属棒、電線、電線束等によって構成される。金属棒は、導電性を有する棒状部材である。電線は、複数の導電性を有する金属素線からなる導体部(芯線)である。電線束は、当該電線を束ねたものである。なお、個々の第1配索材W1は、絶縁性を有する被覆部によって覆ったものであってもよい。
【0012】
モールド成形部材1は、複数の第1配索材W1が延在する所定方向(以下、延在方向Xと言う)に沿って束ねるように複数の第1配索材W1の周囲に設けられる。モールド成形部材1は、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性が低く高い可撓性を有する絶縁性の弾性樹脂材料(例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等)により形成される。モールド成形部材1は、この弾性樹脂材料がモールド成形によって、複数の第1配索材W1を束ねるように複数の第1配索材W1の周囲に一体で設けられる。従って、ワイヤハーネスWHは、モールド成形部材1と共に可撓性を有することができる。モールド成形部材1は、複数の第1配索材W1の一部の区間を一括で覆い、当該複数の第1配索材W1の区間が埋設される。
【0013】
モールド成形部材1は、貫通孔2が形成される。貫通孔2は、モールド成形部材1の一部を貫通する中空空間を構成する。貫通孔2は、複数の第1配索材W1と共にモールド成形部材1の延在方向Xに沿ってモールド成形部材1を貫通するように形成される。貫通孔2は、第1配索材W1に干渉(交差しない)ように形成される。従って、第1配索材W1は、貫通孔2の内部や内壁に存在しない。貫通孔2は、モールド成形部材1をモールド成形するときに共に成形される。本実施形態の貫通孔2は、モールド成形部材1をモールド成形するときに、筒部材21が埋め込まれて構成される。筒部材21は、例えば、チューブやコルゲートからなる。筒部材21は、モールド成形部材1と同様に、例えば、ゴムや熱可塑性エラストマー等、剛性が低く高い可撓性を有する絶縁性の弾性樹脂材料(例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等)により形成できる。
【0014】
なお、貫通孔2は、筒部材21によって構成せず、モールド成形部材1を直接貫通する中空空間として形成されていてもよい。この場合、貫通孔2は、モールド成形部材1をモールド成形するときの硬化後に型抜きによって成形される。
【0015】
このようなワイヤハーネスWHは、複数の第1配索材W1がモールド成形部材1で束ねられていることから、小型化、省スペース化を図ることができる。しかも、このワイヤハーネスWHは、仕様変更が生じた場合、貫通孔2に追加部材3を挿通することで、仕様変更に対応できる。追加部材3は、例えば、追加の第2配索材W2が考えられる。追加部材3が第2配索材W2の場合、回路追加が可能である。追加部材3としての第2配索材W2は、例えば、長い棒状の治具の先端に先端を保持して通すことで貫通孔2に挿通される。第2配索材W2は、ある程度の剛性があるものであれば、その自身の剛性で貫通孔2に挿通される。第2配索材W2を挿通させる場合、貫通孔2への挿通後に端子を圧着できる。第2配索材W2の端部にコネクタ等が予め設けられている場合、コネクタ等の外形よりも貫通孔2の内径が大きければコネクタ等と共に貫通孔2に挿通できる。従って、例えば、システム追加が想定される場合は、仕様から想定される電線や端子、コネクタ等の大きさよりも大きな内径の貫通孔2としておくことが仕様変更の自由度を高めるうえで好ましい。また、追加部材3は、例えば、追加のホースが考えられる。追加部材3が追加のホースの場合、例えば、ホースを介して流体を送るような機構追加が可能である。
【0016】
このように、実施形態のワイヤハーネスWHは、導電性を有する第1配索材W1と、第1配索材W1と一体で設けられるモールド成形部材1と、モールド成形部材1を第1配索材W1の延在方向Xに沿って貫通する貫通孔2と、を備える。
【0017】
このワイヤハーネスWHによれば、モールド成形部材1の貫通孔2に追加部材3を挿通することで、モールド成形部材1の形状変更のような設計変更の工数増大をまねくことなく仕様変更に対応できる。
【0018】
また、実施形態のワイヤハーネスWHでは、貫通孔2は、モールド成形部材1に埋め込まれた筒部材21からなる。
【0019】
このワイヤハーネスWHによれば、貫通孔2を筒部材21から構成することで、貫通孔2を含むモールド成形部材1の成形に必要となる新たな金型を起工する必要がなく、コストの増大を抑えることができる。
【0020】
また、実施形態のワイヤハーネスWHでは、第1配索材W1とは別に、延在方向Xに沿って貫通孔2に挿通された第2配索材W2を備える。
【0021】
このワイヤハーネスWHによれば、貫通孔2に挿入された第2配索材W2を備えることで、回路追加やシステム追加をすることができる。
【0022】
また、実施形態のワイヤハーネスWHでは、第1配索材W1は、複数設けられており、モールド成形部材1は、複数の第1配索材W1を束ねるように当該複数の第1配索材W1と一体で設けられる。
【0023】
このワイヤハーネスWHによれば、モールド成形部材1に複数の第1配索材W1が一体で設けられることで、当該複数の第1配索材W1を用いた回路を構成でき、この構成に対して追加部材3を追加できる。しかも、このワイヤハーネスWHによれば、複数の第1配索材W1がモールド成形部材1で束ねられていることから、小型化、省スペース化を図ることができる。
【0024】
また、実施形態のワイヤハーネスWHでは、モールド成形部材1、及び、筒部材21は、可撓性を有する。
【0025】
このワイヤハーネスWHによれば、モールド成形部材1、及び、筒部材21が可撓性を有することで、モールド成形部材1、複数の第1配索材W1、及び、貫通孔2に挿入される追加部材3(第2配索材W2)の曲げに応じて貫通孔2を曲げられるため、ワイヤハーネスWH全体の立体の形状に対応できる。
【0026】
なお、本実施形態に係るワイヤハーネスWHは、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【0027】
なお、上述した実施形態では、第1配索材W1が複数である構成を説明したが、第1配索材W1は単線であってもよい。本実施形態のワイヤハーネスWHは、単線の第1配索材W1が太物電線である場合、当該第1配索材W1と一体に設けられるモールド成形部材1によって太物電線の癖付け保持を行うことができる。そのうえで、本実施形態のワイヤハーネスWHは、貫通孔2に追加部材3を挿入することで、モールド成形部材1の形状変更のような設計変更の工数増大をまねくことなく仕様変更に対応できる。
【符号の説明】
【0028】
1 モールド成形部材
2 貫通孔
21 筒部材
W1 第1配索材
W2 第2配索材
WH ワイヤハーネス