(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126633
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】インサート成形機及びインサート成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B29C45/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035157
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】南野 祐也
(72)【発明者】
【氏名】山梨 大介
(72)【発明者】
【氏名】曽根 隆
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AD03
4F206AH33
4F206JA07
4F206JB12
4F206JB20
4F206JL02
4F206JQ81
(57)【要約】
【課題】原価を低く抑えること。
【解決手段】第1金型10と第2金型20の樹脂成形空間に連結部513,523,533を互いに間隔を空け且つ貫通孔の配列方向にずらして積層配置させ、第1金型の第1支持ピン11Aと第2金型の第1押えピン21Aの間及び第1金型の第2支持ピン12Aと貫通孔533a,523bに挿通させた第2金型の第2押えピン22Aの間で連結部513を挟み込み、貫通孔513aに挿通させた第1金型の第1支持ピン11Bと第2金型の第1押えピン21Bの間及び第1金型の第2支持ピン12Bと貫通孔533bに挿通させた第2金型の第2押えピン22Bの間で連結部523を挟み込み、貫通孔513b,523aに挿通させた第1金型の第1支持ピン11Cと第2金型の第1押えピン21Cの間及び第1金型の第2支持ピン12Cと第2金型の第2押えピン22Cの間で連結部533を挟み込むこと。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通孔及び第2貫通孔を有する連結部によって第1電気接続部及び第2電気接続部が繋がれた板状の第1から第3のバスバのそれぞれの前記連結部を互いに間隔を空け且つ前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらして積層配置させる第1金型と、
それぞれの前記連結部を内在させる樹脂成形空間を前記第1金型との間で内方に形成する第2金型と、
前記樹脂成形空間に内在させたそれぞれの前記連結部に樹脂部をインサート成形するための液状の合成樹脂材料を前記樹脂成形空間に流し込む樹脂供給装置と、
を備え、
前記第1金型は、前記第1バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第1バスバ用の第1支持ピンと、前記第1バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第1バスバ用の第2支持ピンと、前記第1バスバの前記連結部の前記第1貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第2バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第2バスバ用の第1支持ピンと、前記第2バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第2バスバ用の第2支持ピンと、前記第1バスバの前記連結部の前記第2貫通孔と前記第2バスバの前記連結部の前記第1貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第3バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第3バスバ用の第1支持ピンと、前記第3バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第3バスバ用の第2支持ピンと、を有し、
前記第2金型は、前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込む前記第1バスバ用の第1押えピンと、前記第3バスバの前記第1貫通孔と前記第2バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込む前記第1バスバ用の第2押えピンと、前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込む前記第2バスバ用の第1押えピンと、前記第3バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込む前記第2バスバ用の第2押えピンと、前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込む前記第3バスバ用の第1押えピンと、前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込む前記第3バスバ用の第2押えピンと、を有することを特徴としたインサート成形機。
【請求項2】
前記第1金型は、それぞれの前記第1電気接続部を前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらし、かつ、それぞれの前記第2電気接続部を前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらして、それぞれの前記連結部を積層配置させることを特徴とした請求項1に記載のインサート成形機。
【請求項3】
第1貫通孔及び第2貫通孔を有する連結部によって第1電気接続部及び第2電気接続部が繋がれた板状の第1から第3のバスバのそれぞれの前記連結部を互いに間隔を空け且つ前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらして第1金型に積層配置するバスバ設置工程と、
前記第1金型と第2金型とで形成される内方の樹脂成形空間にそれぞれの前記連結部を内在させ、かつ、前記第1金型における前記連結部毎の第1支持ピン及び第2支持ピンと前記第2金型における前記連結部毎の第1押えピン及び第2押えピンとでそれぞれの前記連結部を挟み込む金型設置工程と、
前記樹脂成形空間に液状の合成樹脂材料を流し込み、それぞれの前記連結部に樹脂部をインサート成形する成形工程と、
を有し、
前記バスバ設置工程では、前記第1バスバの前記連結部に前記第1バスバ用の前記第1支持ピンと前記第2支持ピンのそれぞれの先端を突き当てると共に、前記第1バスバの前記連結部の前記第1貫通孔と前記第2貫通孔に前記第2バスバ用の前記第1支持ピンと前記第3バスバ用の前記第1支持ピンを先端から各々挿通して前記第1バスバを設置し、かつ、前記第2バスバの前記連結部に前記第2バスバ用の前記第1支持ピンと前記第2支持ピンのそれぞれの先端を突き当てると共に、前記第2バスバの前記連結部の前記第1貫通孔に前記第3バスバ用の前記第1支持ピンを先端から挿通して前記第2バスバを設置し、前記第3バスバの前記連結部に前記第3バスバ用の前記第1支持ピンと前記第2支持ピンのそれぞれの先端を突き当てて前記第3バスバを設置して、互いに前記間隔を空け且つ前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらしてそれぞれの前記連結部を積層配置し、
金型設置工程では、前記第1バスバ用の前記第1押えピンで前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込むと共に、前記第3バスバの前記第1貫通孔と前記第2バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させた前記第1バスバ用の前記第2押えピンで前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込み、かつ、前記第2バスバ用の前記第1押えピンで前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込むと共に、前記第3バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させた前記第2バスバ用の前記第2押えピンで前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込み、かつ、前記第3バスバ用の前記第1押えピンで前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込むと共に、前記第3バスバ用の前記第2押えピンで前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込むことを特徴としたインサート成形方法。
【請求項4】
前記バスバ設置工程では、それぞれの前記第1電気接続部を前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらし、かつ、それぞれの前記第2電気接続部を前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらして、それぞれの前記連結部を積層配置することを特徴とした請求項3に記載のインサート成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インサート成形機及びインサート成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタや中継器等の電気接続部品では、複数枚の板状のバスバを互いに隙間を空けて金型内に設置し、その金型内に流し込んだ液状の合成樹脂材料を固化させるインサート成形が採用されることがある。かかるインサート成形については、例えば、下記の特許文献1及び2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-034448号公報
【特許文献2】特開2014-78406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気接続部品においては、バスバ間の絶縁距離を確保するために、インサート成形に際してバスバ間の隙間を確保しておく必要がある。例えば、上記の特許文献1及び2には、インサート成形を行う際にバスバ間に樹脂製のスペーサを介在させることで、インサート成形後の電気接続部品でバスバ間の絶縁距離を確保すると云う技術が開示されている。しかしながら、この技術は、スペーサを別途用意した上で、これをインサート成形時にバスバに取り付けなければならず、生産性、延いては原価低減の観点で改善の余地がある。また、上記の特許文献2には、2枚の矩形の平板状のバスバの間に配置した中型でバスバ間における両端部の隙間を確保した上で、更に上下それぞれの金型に設けたピンでバスバ間における中央部の隙間を確保し、これにより、インサート成形後の電気接続部品でバスバ間の絶縁距離を確保すると云う技術が開示されている。しかしながら、この技術は、インサート成形を行う際に3つの金型が必要になり、生産性、延いては原価低減の観点で改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、原価を低く抑え得るインサート成形機及びインサート成形方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るインサート成形機は、第1貫通孔及び第2貫通孔を有する連結部によって第1電気接続部及び第2電気接続部が繋がれた板状の第1から第3のバスバのそれぞれの前記連結部を互いに間隔を空け且つ前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらして積層配置させる第1金型と、それぞれの前記連結部を内在させる樹脂成形空間を前記第1金型との間で内方に形成する第2金型と、前記樹脂成形空間に内在させたそれぞれの前記連結部に樹脂部をインサート成形するための液状の合成樹脂材料を前記樹脂成形空間に流し込む樹脂供給装置と、を備え、前記第1金型は、前記第1バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第1バスバ用の第1支持ピンと、前記第1バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第1バスバ用の第2支持ピンと、前記第1バスバの前記連結部の前記第1貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第2バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第2バスバ用の第1支持ピンと、前記第2バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第2バスバ用の第2支持ピンと、前記第1バスバの前記連結部の前記第2貫通孔と前記第2バスバの前記連結部の前記第1貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第3バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第3バスバ用の第1支持ピンと、前記第3バスバの前記連結部に先端を突き当てる前記第3バスバ用の第2支持ピンと、を有し、前記第2金型は、前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込む前記第1バスバ用の第1押えピンと、前記第3バスバの前記第1貫通孔と前記第2バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込む前記第1バスバ用の第2押えピンと、前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込む前記第2バスバ用の第1押えピンと、前記第3バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させ、かつ、前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込む前記第2バスバ用の第2押えピンと、前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込む前記第3バスバ用の第1押えピンと、前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込む前記第3バスバ用の第2押えピンと、を有することを特徴としている。
【0007】
また、本発明に係るインサート成形方法は、第1貫通孔及び第2貫通孔を有する連結部によって第1電気接続部及び第2電気接続部が繋がれた板状の第1から第3のバスバのそれぞれの前記連結部を互いに間隔を空け且つ前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらして第1金型に積層配置するバスバ設置工程と、前記第1金型と第2金型とで形成される内方の樹脂成形空間にそれぞれの前記連結部を内在させ、かつ、前記第1金型における前記連結部毎の第1支持ピン及び第2支持ピンと前記第2金型における前記連結部毎の第1押えピン及び第2押えピンとでそれぞれの前記連結部を挟み込む金型設置工程と、前記樹脂成形空間に液状の合成樹脂材料を流し込み、それぞれの前記連結部に樹脂部をインサート成形する成形工程と、を有し、前記バスバ設置工程では、前記第1バスバの前記連結部に前記第1バスバ用の前記第1支持ピンと前記第2支持ピンのそれぞれの先端を突き当てると共に、前記第1バスバの前記連結部の前記第1貫通孔と前記第2貫通孔に前記第2バスバ用の前記第1支持ピンと前記第3バスバ用の前記第1支持ピンを先端から各々挿通して前記第1バスバを設置し、かつ、前記第2バスバの前記連結部に前記第2バスバ用の前記第1支持ピンと前記第2支持ピンのそれぞれの先端を突き当てると共に、前記第2バスバの前記連結部の前記第1貫通孔に前記第3バスバ用の前記第1支持ピンを先端から挿通して前記第2バスバを設置し、前記第3バスバの前記連結部に前記第3バスバ用の前記第1支持ピンと前記第2支持ピンのそれぞれの先端を突き当てて前記第3バスバを設置して、互いに前記間隔を空け且つ前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の配列方向にずらしてそれぞれの前記連結部を積層配置し、金型設置工程では、前記第1バスバ用の前記第1押えピンで前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込むと共に、前記第3バスバの前記第1貫通孔と前記第2バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させた前記第1バスバ用の前記第2押えピンで前記第1バスバの前記連結部を前記第1バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込み、かつ、前記第2バスバ用の前記第1押えピンで前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込むと共に、前記第3バスバの前記第2貫通孔に先端から挿通させた前記第2バスバ用の前記第2押えピンで前記第2バスバの前記連結部を前記第2バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込み、かつ、前記第3バスバ用の前記第1押えピンで前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第1支持ピンとの間に挟み込むと共に、前記第3バスバ用の前記第2押えピンで前記第3バスバの前記連結部を前記第3バスバ用の前記第2支持ピンとの間に挟み込むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るインサート成形機及びインサート成形方法においては、第1金型と第2金型によって第1から第3のバスバに樹脂部がインサート成形されるので、原価を低く抑えて第1から第3のバスバにおける互いの絶縁距離を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態のインサート成形機及びインサート成形方法で作り出された電気接続部品を第1金型及び第2金型の模式図と共に説明する平面図である。
【
図2】
図2は、第1金型と第2金型で挟まれたバスバについて説明する平面図である。
【
図3】
図3は、第1金型と第2金型で挟まれたバスバについて説明する断面図である。
【
図4】
図4は、第1金型と第2金型で挟まれたバスバを
図2の矢印Aの方向に見た説明図である。
【
図5】
図5は、第1金型と第2金型で挟まれたバスバを
図2の矢印Bの方向に見た説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態のインサート成形機及びインサート成形方法で作り出された電気接続部品の斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態のインサート成形機及びインサート成形方法で作り出された電気接続部品を別角度から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、それぞれのバスバを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係るインサート成形機及びインサート成形方法の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
[実施形態]
本発明に係るインサート成形機及びインサート成形方法の実施形態の1つを
図1から
図8に基づいて説明する。
【0012】
図1の符号1は、本実施形態のインサート成形機を示す。また、
図1から
図5の符号10,20は、本実施形態のインサート成形機1の第1金型と第2金型を示す。そして、
図1、
図6及び
図7の符号501は、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法で作り出された電気接続部品を示す。
【0013】
電気接続部品501とは、コネクタや中継器等のような他部品との間の電気的な接続関係を構築するための部品のことである。この電気接続部品501は、少なくとも3枚の板状のバスバ(第1バスバ510、第2バスバ520、第3バスバ530)を備え、かつ、この第1から第3のバスバ510,520,530に対して形成された樹脂部540を備える(
図1、
図6及び
図7)。例えば、この電気接続部品501は、3枚で一組の板状のバスバ(第1バスバ510、第2バスバ520、第3バスバ530)を少なくとも一組備えている。
【0014】
第1から第3のバスバ510,520,530は、各々、相手方に対して物理的且つ電気的に接続させる端子部等の第1電気接続部511,521,531と、相手方に対して物理的且つ電気的に接続させる端子部等の第2電気接続部512,522,532と、この第1電気接続部511,521,531と第2電気接続部512,522,532とを繋ぐ連結部513,523,533と、を有する(
図2から
図5及び
図8)。第1バスバ510においては、長方形の連結部513における長手方向の一端と他端とに各々第1電気接続部511と第2電気接続部512が配置されている。第2バスバ520においては、長方形の連結部523における長手方向の一端と他端とに各々第1電気接続部521と第2電気接続部522が配置されている。第3バスバ530においては、長方形の連結部533における長手方向の一端と他端とに各々第1電気接続部531と第2電気接続部532が配置されている。第1電気接続部511,521,531と第2電気接続部512,522,532は、同一形状のものであってもよく、異形状のものであってもよい。ここでは、第1から第3のバスバ510,520,530毎に、第1電気接続部511,521,531と第2電気接続部512,522,532が異形状の雄タブとして形成されている。
【0015】
ここで示す第1から第3のバスバ510,520,530は、各々、連結部513,523,533における長手方向の一端の一方の長辺から連結部513,523,533と同一平面上で突出させた矩形の第1片部514,524,534と、連結部513,523,533における長手方向の他端の他方の長辺から連結部513,523,533と同一平面上で突出させた矩形の第2片部515,525,535と、を有している(
図4、
図5及び
図8)。第1電気接続部511,521,531は、その第1片部514,524,534における突出方向側の辺部から一方に向けて垂設させている。そして、第2電気接続部512,522,532は、第2片部515,525,535における突出方向側の辺部から他方に向けて垂設させている。
【0016】
ここで、連結部513,523,533は、長手方向における一端と他端との間に、この長手方向に間隔を空けて配置された第1貫通孔513a,523a,533aと第2貫通孔513b,523b,533bとを有する(
図3から
図5及び
図8)。ここで示す第1貫通孔513a,523a,533aと第2貫通孔513b,523b,533bは、互いに同径の円形の貫通孔として形成されている。尚、ここで示す連結部513,523,533のそれぞれの長辺には、第1貫通孔513a,523a,533aと同心の弧状部と、第2貫通孔513b,523b,533bと同心の弧状部と、が形成されている。
【0017】
この電気接続部品501においては、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533を互いに間隔を空け且つ第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして積層配置させる。これに伴い、この電気接続部品501においては、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの第1電気接続部511,521,531が第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして配置される。更に、この電気接続部品501においては、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの第2電気接続部512,522,532が第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして配置される。
【0018】
この電気接続部品501においては、その第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533に樹脂部540がインサート成形される。
【0019】
インサート成形機1は、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533を互いに間隔を空け且つ第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして積層配置させる第1金型10を備える。よって、インサート成形方法は、そのそれぞれの連結部513,523,533を互いに間隔を空け且つ第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして第1金型10に積層配置するバスバ設置工程を有する。ここで示す第1金型10は、それぞれの第1電気接続部511,521,531を第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらし、かつ、それぞれの第2電気接続部512,522,532を第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして、それぞれの連結部513,523,533を積層配置させる。このため、バスバ設置工程では、それぞれの第1電気接続部511,521,531を第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらし、かつ、それぞれの第2電気接続部512,522,532を第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして、それぞれの連結部513,523,533を積層配置する。
【0020】
第1金型10は、第1バスバ510の連結部513に先端を突き当てる第1バスバ510用の第1支持ピン11Aと、第1バスバ510の連結部513に先端を突き当てる第1バスバ510用の第2支持ピン12Aと、を有する(
図1から
図4)。また、この第1金型10は、第2バスバ520の連結部523に先端を突き当てる第2バスバ520用の第1支持ピン11Bと、第2バスバ520の連結部523に先端を突き当てる第2バスバ520用の第2支持ピン12Bと、を有する(
図1から
図4)。第1支持ピン11Bは、第1バスバ510の連結部513の第1貫通孔513aに先端から挿通させ、かつ、第2バスバ520の連結部523に先端を突き当てる。また、この第1金型10は、第3バスバ530の連結部533に先端を突き当てる第3バスバ530用の第1支持ピン11Cと、第3バスバ530の連結部533に先端を突き当てる第3バスバ530用の第2支持ピン12Cと、を有する(
図1から
図4)。第1支持ピン11Cは、第1バスバ510の連結部513の第2貫通孔513bと第2バスバ520の連結部523の第1貫通孔523aに先端から挿通させ、かつ、第3バスバ530の連結部533に先端を突き当てる。例えば、この第1金型10は、上型としての第2金型20と対になる下型であり、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533がそれぞれの第1支持ピン11A,11B,11Cの先端と第2支持ピン12A,12B,12Cの先端の上に載せ置かれる。
【0021】
バスバ設置工程では、第1バスバ510の連結部513に第1バスバ510用の第1支持ピン11Aと第2支持ピン12Aのそれぞれの先端を突き当てると共に、第1バスバ510の連結部513の第1貫通孔513aと第2貫通孔513bに第2バスバ520用の第1支持ピン11Bと第3バスバ530用の第1支持ピン11Cを先端から各々挿通して第1バスバ510を設置する。続けて、このバスバ設置工程では、第2バスバ520の連結部523に第2バスバ520用の第1支持ピン11Bと第2支持ピン12Bのそれぞれの先端を突き当てると共に、第2バスバ520の連結部523の第1貫通孔523aに第3バスバ530用の第1支持ピン11Cを先端から挿通して第2バスバ520を設置する。そして、このバスバ設置工程では、第3バスバ530の連結部533に第3バスバ530用の第1支持ピン11Cと第2支持ピン12Cのそれぞれの先端を突き当てて第3バスバ530を設置する。このバスバ設置工程では、このように、第1バスバ510と第2バスバ520と第3バスバ530をその順番で第1金型10に設置することによって、互いに間隔を空け且つ第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらしてそれぞれの連結部513,523,533を積層配置する。
【0022】
更に、インサート成形機1は、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533を内在させる樹脂成形空間を第1金型10との間で内方に形成する第2金型20を備える。このインサート成形機1は、図示しないが、第1金型10に対して第2金型20を近づけたり引き離したりする駆動装置を備えている。このインサート成形機1は、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533が設置された第1金型10に対して駆動装置が第2金型20を近づけていくことによって、第1金型10と第2金型20との間に樹脂成形空間を形成する。
【0023】
第2金型20は、第1バスバ510の連結部513を第1バスバ510用の第1支持ピン11Aとの間に挟み込む第1バスバ510用の第1押えピン21Aと、第1バスバ510の連結部513を第1バスバ510用の第2支持ピン12Aとの間に挟み込む第1バスバ510用の第2押えピン22Aと、を有する(
図1から
図3及び
図5)。第2押えピン22Aは、第3バスバ530の第1貫通孔533aと第2バスバ520の第2貫通孔523bに先端から挿通させ、かつ、第1バスバ510の連結部513を第1バスバ510用の第2支持ピン12Aとの間に挟み込む。また、この第2金型20は、第2バスバ520の連結部523を第2バスバ520用の第1支持ピン11Bとの間に挟み込む第2バスバ520用の第1押えピン21Bと、第2バスバ520の連結部523を第2バスバ520用の第2支持ピン12Bとの間に挟み込む第2バスバ520用の第2押えピン22Bと、を有する。第2押えピン22Bは、第3バスバ530の第2貫通孔533bに先端から挿通させ、かつ、第2バスバ520の連結部523を第2バスバ520用の第2支持ピン12Bとの間に挟み込む。また、この第2金型20は、第3バスバ530の連結部533を第3バスバ530用の第1支持ピン11Cとの間に挟み込む第3バスバ530用の第1押えピン21Cと、第3バスバ530の連結部533を第3バスバ530用の第2支持ピン12Cとの間に挟み込む第3バスバ530用の第2押えピン22Cと、を有する。
【0024】
インサート成形方法は、第1金型10と第2金型20とで形成される内方の樹脂成形空間に第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533を内在させ、かつ、第1金型10における連結部513,523,533毎の第1支持ピン11A,11B,11C及び第2支持ピン12A,12B,12Cと第2金型20における連結部513,523,533毎の第1押えピン21A,21B,21C及び第2押えピン22A,22B,22Cとでそれぞれの連結部513,523,533を挟み込む金型設置工程を有する。この金型設置工程では、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533が設置された第1金型10に対して駆動装置が第2金型20を近づけていく。これにより、この金型設置工程では、第1金型10と第2金型20との間に樹脂成形空間が形成されて、その樹脂成形空間に第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533を内在させ、かつ、第1金型10における連結部513,523,533毎の第1支持ピン11A,11B,11C及び第2支持ピン12A,12B,12Cと第2金型20における連結部513,523,533毎の第1押えピン21A,21B,21C及び第2押えピン22A,22B,22Cとでそれぞれの連結部513,523,533を挟み込む。
【0025】
具体的に、金型設置工程では、第1バスバ510用の第1押えピン21Aで第1バスバ510の連結部513を第1バスバ510用の第1支持ピン11Aとの間に挟み込むと共に、第3バスバ530の第1貫通孔533aと第2バスバ520の第2貫通孔523bに先端から挿通させた第1バスバ510用の第2押えピン22Aで第1バスバ510の連結部513を第1バスバ510用の第2支持ピン12Aとの間に挟み込む。更に、この金型設置工程では、第2バスバ520用の第1押えピン21Bで第2バスバ520の連結部523を第2バスバ520用の第1支持ピン12Bとの間に挟み込むと共に、第3バスバ530の第2貫通孔533bに先端から挿通させた第2バスバ520用の第2押えピン22Bで第2バスバ520の連結部523を第2バスバ520用の第2支持ピン12Bとの間に挟み込む。また更に、この金型設置工程では、第3バスバ530用の第1押えピン21Cで第3バスバ530の連結部533を第3バスバ530用の第1支持ピン11Cとの間に挟み込むと共に、第3バスバ530用の第2押えピン22Cで第3バスバ530の連結部533を第3バスバ530用の第2支持ピン12Cとの間に挟み込む。これにより、この金型設置工程では、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533が互いに間隔を空け且つ第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして樹脂成形空間に積層配置される。
【0026】
更に、インサート成形機1は、その樹脂成形空間に内在させた第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533に樹脂部540をインサート成形するための液状の合成樹脂材料を樹脂成形空間に流し込む樹脂供給装置を備える(図示略)。よって、インサート成形方法は、樹脂成形空間に液状の合成樹脂材料を流し込み、そのそれぞれの連結部513,523,533に樹脂部540をインサート成形する成形工程を有する。この成形工程では、樹脂成形空間に流し込まれた液状の合成樹脂材料が固化して樹脂部540として成形される。
【0027】
インサート成形機1は、樹脂部540が成形された後、駆動装置が第2金型20を第1金型10から引き離す。そして、その第1金型10からは、電気接続部品501が取り出される。つまり、インサート成形方法は、樹脂部540が成形された後、第2金型20を第1金型10から引き離し、その第1金型10から電気接続部品501を取り出す(換言するならば、電気接続部品501から第1金型10と第2金型20を引き離す)離型工程を有している。
【0028】
この離型工程では、電気接続部品501から第1金型10を引き離した際に、この第1金型10における連結部513,523,533毎の第1支持ピン11A,11B,11Cと第2支持ピン12A,12B,12Cとが樹脂部540から引き抜かれる。このため、樹脂部540は、その第1支持ピン11A,11B,11Cと第2支持ピン12A,12B,12Cによって形成された孔部541を有する(
図6)。また、離型工程では、電気接続部品501から第2金型20を引き離した際に、この第2金型20における連結部513,523,533毎の第1押えピン21A,21B,21Cと第2押えピン22A,22B,22Cとが樹脂部540から引き抜かれる。このため、樹脂部540は、その第1押えピン21A,21B,21Cと第2押えピン22A,22B,22Cによって形成された孔部542を有する(
図7)。
【0029】
尚、ここで示すインサート成形機1及びインサート成形方法においては、第1金型10に2つの金属製のカラー部材550も配置され、この2つのカラー部材550に対しても樹脂部540がインサート成形される(
図6及び
図7)。
【0030】
以上示したように、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法においては、第1金型10と第2金型20によって第1から第3のバスバ510,520,530に樹脂部540がインサート成形されるので、原価を低く抑えて第1から第3のバスバ510,520,530における互いの絶縁距離を確保することができる。
【0031】
また、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法においては、金型設置工程を終えてから成形工程を終えるまでの間、第1金型10と第2金型20との間に駆動装置によって圧力が加えられており、その圧力が第1金型10における第1支持ピン11A,11B,11C及び第2支持ピン12A,12B,12Cと第2金型20における第1押えピン21A,21B,21C及び第2押えピン22A,22B,22Cとの間に作用している。しかしながら、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法においては、その第1支持ピン11A,11B,11C及び第2支持ピン12A,12B,12Cと第1押えピン21A,21B,21C及び第2押えピン22A,22B,22Cとでそれぞれの連結部513,523,533を挟み込んでおり、それぞれの連結部513,523,533における互いの間隔の変化を抑えることができる。このため、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法は、寸法精度の高い第1から第3のバスバ510,520,530における互いの絶縁距離を確保することができる。
【0032】
また、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法においては、第1から第3のバスバ510,520,530のそれぞれの連結部513,523,533を互いに間隔を空け且つ第1貫通孔513a,523a,533a及び第2貫通孔513b,523b,533bの配列方向(つまり、連結部513,523,533の長手方向)にずらして樹脂成形空間に積層配置させる。このため、そのようなずれの無い従来の積層配置であれば各バスバに積層枚数分の貫通孔を必要とするが、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法においては、積層枚数よりも1つ少ない数の貫通孔(第1貫通孔513a,523a,533a、第2貫通孔513b,523b,533b)をそれぞれの連結部513,523,533に設ければよい。従って、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法は、従来のものと比較して、連結部513,523,533の強度低下を抑えることができる。
【0033】
ここで、本実施形態のインサート成形機1及びインサート成形方法においては、積層させるバスバの枚数を増やすこともできる。この場合には、その増加させるバスバの枚数分だけ第1金型10の第1支持ピン及び第2支持ピンと第2金型20の第1押えピン及び第2押えピンを増やすと共に、増加させるバスバの枚数分だけ連結部の貫通孔を先の配列方向に増やす。
【符号の説明】
【0034】
1 インサート成形機
10 第1金型
11A,11B,11C 第1支持ピン
12A,12B,12C 第2支持ピン
20第2金型
21A,21B,21C 第1押えピン
22A,22B,22C 第2押えピン
501 電気接続部品
510第1バスバ
511 第1電気接続部
512 第2電気接続部
513 連結部
513a 第1貫通孔
513b 第2貫通孔
520 第2バスバ
521 第1電気接続部
522 第2電気接続部
523 連結部
523a 第1貫通孔
523b 第2貫通孔
530 第3バスバ
531 第1電気接続部
532 第2電気接続部
533 連結部
533a 第1貫通孔
533b 第2貫通孔
540 樹脂部