(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126634
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】洗車装置および洗浄システム
(51)【国際特許分類】
B60S 3/06 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
B60S3/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035158
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伝田 健
(72)【発明者】
【氏名】神蔵 淳一
(72)【発明者】
【氏名】大橋 寛文
【テーマコード(参考)】
3D026
【Fターム(参考)】
3D026AA03
3D026AA12
3D026AA19
3D026AA35
3D026AA71
(57)【要約】
【課題】汚れが付着したままとなりにくい洗車装置および洗浄システムを提供する。
【解決手段】本発明の一解決手段に係る洗車装置は、対向する筐体を有し、該筐体の間で車両を洗浄する洗車装置であって、前記筐体は洗浄水を噴射するノズルを有し、前記ノズルは対向する前記筐体側へ洗浄水を噴射可能に設けられ、前記ノズルは対向する前記筐体側へ洗浄水を噴射し、該筐体を洗浄することを一特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する筐体を有し、該筐体の間で車両を洗浄する洗車装置において、
前記筐体は洗浄水を噴射するノズルを有し、
前記ノズルは対向する前記筐体側へ洗浄水を噴射可能に設けられ、
前記ノズルは対向する前記筐体側へ洗浄水を噴射し、該筐体を洗浄する
ことを特徴とする洗車装置。
【請求項2】
対向する前記筐体の第一の側の前記ノズルが洗浄水を噴射しているとき、第一の側と対向する第二の側の前記ノズルが洗浄水を噴射しない
ことを特徴とする請求項1に記載の洗車装置。
【請求項3】
対向する前記筐体の各側は複数の前記ノズルを有し、対向する前記筐体の第一の側の複数の前記ノズルのうち、一部の前記ノズルが洗浄水を噴射しているとき、前記第一の側と対向する第二の側の複数の前記ノズルのうち、洗浄水を噴射している前記第一の側の前記ノズルと対向しない前記第二の側の前記ノズルから洗浄水を噴射する
ことを特徴とする請求項1に記載の洗車装置。
【請求項4】
門型状に形成された筐体を有する洗車装置において、
前記筐体は、対向する脚部と、前記脚部を繋ぐ梁部を有し、
前記梁部は洗浄水を噴射するノズルを有し、
前記ノズルは前記脚部へ洗浄水を噴射可能に設けられ、
前記ノズルは前記脚部へ洗浄水を噴射し、該脚部を洗浄する
ことを特徴とする洗車装置。
【請求項5】
ブラシを有し、前記ブラシを前記筐体に当接させて該筐体を洗浄する
ことを特徴とする請求項4に記載の洗車装置。
【請求項6】
門型状に形成された筐体を有する洗車装置を有し、
前記筐体は洗浄水を噴射するノズルを有し、
前記ノズルは前記筐体が敷設される敷設面に洗浄水を噴射し、該敷設面を洗浄する
ことを特徴とする洗浄システム。
【請求項7】
前記筐体は、対向する脚部と、前記脚部を繋ぐ梁部を有し、
前記梁部は洗浄水を噴射するノズルを有し、
前記梁部の前記ノズルは前記敷設面に洗浄水を噴射し、該敷設面を洗浄する
ことを特徴とする請求項6に記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗車装置および洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4125218号公報(以下、特許文献1とする)には洗車装置が記載されている。特許文献1の洗車装置は高圧水や洗剤を車両の側面へ噴射し、車両に付着する汚れを洗い落とすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗車装置で車両を洗い続けるうちに、洗車装置や洗車装置の周囲が汚れてしまうという問題があった。例えば泥にまみれた車両に水を噴射すると、泥水が洗車装置や洗車装置が敷設される地面にはね返り付着する。このようにして洗車装置や洗車装置の周囲は車両の汚れを含んだ水によって汚れてしまう。
【0005】
洗車装置で車両を洗浄するにあたり、洗剤やワックスが用いられる場合がある。洗車装置や洗車装置の周囲はこうした液剤によっても汚れてしまう。車両に液剤を噴射すると、液剤が洗車装置などに飛散するためである。飛散した液剤は洗車装置などに付着し、シミや黒ずみ汚れの原因となる。
【0006】
本発明の一目的は、汚れが付着したままとなりにくい洗車装置および洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一解決手段に係る洗車装置は、対向する筐体を有し、該筐体の間で車両を洗浄する洗車装置であって、前記筐体は洗浄水を噴射するノズルを有し、前記ノズルは対向する前記筐体側へ洗浄水を噴射可能に設けられ、前記ノズルは対向する前記筐体側へ洗浄水を噴射し、該筐体を洗浄することを一特徴とする。
【0008】
また、本発明の一解決手段に係る洗浄システムは、門型状に形成された筐体を有する洗車装置を有し、前記筐体は洗浄水を噴射するノズルを有し、前記ノズルは前記筐体が敷設される敷設面に洗浄水を噴射し、該敷設面を洗浄することを一特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一解決手段によれば、汚れが付着したままとなりにくい洗車装置および洗浄システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る洗車装置10の構成図である。
【
図2】
図1に示す洗車装置10の模式的な正面図である。
【
図3】筐体11aと11bを洗浄する処理のフロー図である。
【
図4】筐体11bの洗浄の様子を示すイメージ図である。
【
図5】筐体11aと11bに複数の散水ノズルを設けた洗車装置10の模式的な正面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態に係る洗車装置100の模式的な正面図である。
【
図8】脚部102aと102bを洗浄する処理のフロー図である。
【
図9】散水ノズル106から噴射された水が脚部102aにあたる様子を示すイメージ図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る洗車装置200の模式的な正面図である。
【
図11】回転ブラシ211cの駆動機構の構造を示す説明図である。
【
図12】回転ブラシ211aと211bの駆動機構の構造を示す説明図である。
【
図13】
図10に示す洗車装置200の制御系を示す構成図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の本発明における実施形態では、必要な場合に複数のセクションなどに分けて説明するが、原則、それらは互いに無関係ではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細などの関係にある。このため、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0012】
(第一実施形態)
図面をもとに本発明の一実施形態について説明する。
図1は洗車装置10の構成図であり、
図2は洗車装置10の正面図である。洗車装置10は筐体11a、筐体11b、タンク12a、タンク12b、ポンプ13a、ポンプ13bを備えている。
【0013】
筐体11aと11bは敷設面300上に設けられている。筐体11aと11bは互いに対向して設けられている。筐体11aと11bはそれらの間を車両が通行できるように、互いに離れて設けられている。以降の説明において
図2の敷設面300側を筐体11aと11bの下側とする。
【0014】
筐体11aは散水ノズル14aを備えている。散水ノズル14aは筐体11bと対向するように設けられている。筐体11bは散水ノズル14bを備えている。散水ノズル14bは筐体11aと対向するように設けられている。散水ノズル14aはポンプ13aと接続されており、ポンプ13aにより供給される水を噴射することができる。同様に、散水ノズル14bはポンプ13bと接続されており、ポンプ13bにより供給される水を噴射することができる。
【0015】
タンク12aと12bは図示しない給水源と接続されており、水を貯えている。ポンプ13aはタンク12aと接続されており、駆動に伴いタンク12a内の水を散水ノズル14aへ送ることができる。同様に、ポンプ13bはタンク12bと接続されており、駆動に伴いタンク12b内の水を散水ノズル14bへ送ることができる。
【0016】
洗車装置10はセンサ15aとセンサ15bを備えている。本実施形態においてセンサ15aとセンサ15bは光電センサである。センサ15aは投光側であり、センサ15bは受光側である。センサ15bはセンサ15aの投光を受光できる位置に設けられている。
【0017】
洗車装置10は制御部20を備えている。制御部20はCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、タイマーユニットを含む電気回路で構成されている。制御部20はセンサ15a、15b、ポンプ13a、13bと電気的に接続されている。制御部20は制御プログラムを記憶しており、センサ15a、15b、ポンプ13a、13bの動作を制御することができる。
【0018】
(車両洗浄処理)
洗車装置10の車両洗浄処理について説明する。車両Cの洗浄を希望する者(以下、ユーザとする)は、まず、車両Cを運転し、筐体11aおよび11b付近に移動させる。
【0019】
次に、ユーザは車両Cを筐体11aと11bの間へゆっくりと前進させる。車両Cが筐体11aと11bの間に来ると、センサ15aの投光が車両Cで遮られ、センサ15bが受光しない状態となる。センサ15bは受光しない状態となったら、制御部20に遮光信号を送る。
【0020】
制御部20はセンサ15bから遮光信号を受信したら、ポンプ13aと13bに作動指令を送る。ポンプ13aは制御部20から作動指令を受信したら作動し、タンク12aの水を散水ノズル14aへ送る。同様にポンプ13bは制御部20から作動指令を受信したら作動し、タンク12bの水を散水ノズル14bへ送る。
【0021】
こうして散水ノズル14aと14bからは水が噴射される。このとき車両Cは散水ノズル14aと14bの間に位置するため、噴射された水で洗浄される。ユーザは車両Cを動かし、車両Cの汚れに水を当てることができる。
【0022】
ユーザは車両Cを洗い終わったら、車両Cを散水ノズル14aと14bの間から移動させる。車両Cの移動に伴い、センサ15bはセンサ15aの投光を受光する状態となる。センサ15bは受光する状態となったら、制御部20に入光信号を送る。
【0023】
制御部20はセンサ15bから入光信号を受信したら、ポンプ13aと13bに停止指令を送る。ポンプ13aは制御部20から停止指令を受信したら動作を停止し、散水ノズル14aへの送水を止める。同様にポンプ13bは制御部20から停止指令を受信したら動作を停止し、散水ノズル14bへの送水を止める。以上で洗車装置10の車両洗浄処理は終了となる。
【0024】
(筐体11aと11bを洗浄する処理)
洗浄処理の中で散水ノズル14aから噴射された水は、車両Cに当たり筐体11aへとはね返る。同様に、散水ノズル14bから噴射された水は、車両Cに当たり筐体11bへとはね返る。筐体11aと11bにはね返る水は車両Cの汚れを含んだ水であり、筐体11aと11bを汚してしまう。筐体11aにはね返った汚水は散水ノズル14bからの水で洗い流すとよい。同様に、筐体11bにはね返った汚水は散水ノズル14aからの水で洗い流すとよい。
【0025】
筐体11aと11bを洗浄する際の洗車装置10の処理について、
図3のフロー図をもとに説明する。制御部20は、所定の時刻に、筐体11aと11bを洗浄する処理を開始する[1]。この時刻には、例えば洗車装置10が設置されている施設の開店時刻や閉店刻を設定するとよい。
【0026】
処理が開始されたら、まず、制御部20はポンプ13aに作動指令を送り、散水ノズル14aから水を噴射させる[2]。
図4のイメージ図に示す通り散水ノズル14aから噴射された水(矢印W)は筐体11bに当たり、筐体11bに付着した汚れを洗い落とす。
【0027】
所定時間が経過したら、制御部20はポンプ13aに停止指令を送り、水の噴射を止める[3]。次に、ポンプ13bに作動指令を送り、散水ノズル14bから水を噴射させる[4]。散水ノズル14bから噴射した水は筐体11aに当たり、筐体11aに付着した汚れを洗い落とす。
【0028】
所定時間が経過したら、制御部20はポンプ13bに停止指令を送り、水の噴射を止める[5]。以上で筐体11aと11bを洗浄する処理は終了となる。
【0029】
このような処理を行うことにより、筐体11aと11bへの汚れの固着を防ぐことができる。車両の汚れがはね返りやすい筐体11aと11bが定期的に洗浄されるため、洗車装置10は汚れにくい。
【0030】
筐体11aと11bを洗浄する処理の開始条件としては、時刻ではなく、数時間毎といった頻度を設定してもよい。車両を洗浄するたびに筐体11aと11bを洗浄してもよい。季節などに応じて処理開始の条件を変更してもよい。処理開始の条件を適宜設定することで、筐体11aと11bへの汚れの固着をより効果的に防ぐことができる。
【0031】
これまで説明した通り、対向する筐体11aと11bは片側ずつ交互に洗浄してもよい。散水ノズル14aと14bから同時に水を噴射しないことにより、筐体11aと11bの間での水のぶつかりを避けることができる。これにより、筐体11aと11bに効率的に水を行き届かせることができる。
【0032】
散水ノズル14aと14bから同時に水を噴射し、筐体11aと11bを同時に洗浄してもよい。筐体11aと11bを同時に洗浄することで、筐体11aと11bの洗浄にかかる時間を短くすることができる。例えばユーザの車両を洗浄するごとに筐体11aと11bを洗浄するよう設定した場合など、高い頻度で筐体11aと11bを洗浄する場合には、一回あたりの洗浄にかかる時間を短くすると良い。これにより、次のユーザを待たせることなく、筐体11aと11bに汚れを固着させ辛くすることができる。
【0033】
図5に示すように筐体11aと11bのそれぞれに複数の散水ノズルを設けてもよい。
図5は筐体11aと11bに複数の散水ノズルを設けた洗車装置10の模式的な正面図である。複数の散水ノズルを設ける場合、噴射範囲が異なる散水ノズルの弁を選択的に制御することで、筐体11aと11bを同時に洗浄することができる。例えば散水ノズル14a-1と散水ノズル14b-2から水を噴射させることで、筐体11aと11bを部分的に同時に洗浄することができる。水のぶつかりを避けつつ散水ノズル14aと14bから同時に噴射することで、筐体11aと11bの洗浄にかかる時間を短くすることができる。なお、複数の散水ノズルは筐体11aと11bの高さ方向でなく、幅方向に並べて設けてもよい。
【0034】
筐体11aと11bの洗浄処理ごとに異なる散水ノズルから水を噴射させてもよい。筐体11aと11bの洗浄処理ごとに必ずしも筐体11aと11bの両方を満遍なく洗浄しなくてもよい。例えば車両1台目を洗浄したら筐体11aを洗浄し、車両2台目を洗浄したら筐体11bを洗浄するよう制御部20で制御してもよい。このように制御することで、車両の洗浄を希望するユーザを待たせることなく、筐体11aと11bに汚れを固着させ辛くすることができる。
【0035】
液剤を用いて車両Cや筐体11a、11bを洗浄してもよい。液剤吐出用ノズルを筐体11aと11bに設けてもよい。散水ノズル14aと14bから水と液剤の混合液を噴射可能としてもよい。液剤を用いることで、水では落ちない固着した汚れを効果的に落とすことができる。
【0036】
筐体11aや11bにセンサを設け、筐体11aと11bを洗浄する処理の開始前に、周囲に人や車がないことを確認可能としてもよい。
【0037】
散水ノズル14aと14bは揺動可能としてもよい。ノズルの揺動には公知の種々の手段を用いることができる。例えば水噴射の反力により噴射の向きが筐体11aと11bの上下に変わるようにしてもよいし、スプリンクラー機構を用いて筐体11aと11bの上下を含む広範囲に散水できるようにしてもよい。
【0038】
センサ15aは筐体11aに設けられてもよい。センサ15bは筐体11bに設けられてよい。センサ15aや15bに限らず、制御部20やポンプ13a、13b、タンク12a、12bも筐体11aや11bに設けられてもよい。
【0039】
筐体11aと11bは必ずしも別体として設けられなければならないものではない。例えば筐体11aと11bを梁で接続し、一体として形成してもよい。
【0040】
(第二実施形態)
筐体を門型状に形成し、上方から筐体を洗浄可能としてもよい。本発明の他の実施形態として、門型状に形成された筐体101を有する洗車装置100について説明する。
図6は洗車装置100の正面図であり、
図7は洗車装置100の構成図である。
【0041】
洗車装置100は筐体101、ポンプ104、タンク107を備えている。筐体101は門型状に形成されており、脚部102a、脚部102b、梁部103を有している。筐体101は脚部102aと102bで敷設面300上に起立している。以降の説明において
図6の敷設面300側を筐体101の下側とする。
【0042】
脚部102aは散水ノズル105aを備えている。散水ノズル105aは脚部102bと対向するように設けられている。脚部102bは散水ノズル105bを備えている。散水ノズル105bは脚部102aと対向するように設けられている。散水ノズル105aと105bはポンプ104と接続されており、ポンプ104により供給される水を噴射することができる。
【0043】
梁部103は散水ノズル106を備えている。散水ノズル106はポンプ104と接続されており、ポンプ104により供給される水を噴射することができる。散水ノズル106はモータ(揺動手段)を有しており、制御部110の制御により脚部102a方向、敷設面300方向、脚部102b方向へと水を噴射することができる。
【0044】
タンク107は図示しない給水源と接続されており、水を貯えている。ポンプ104はタンク107と接続されており、駆動に伴いタンク107内の水を散水ノズル105a、105b、106へ送ることができる。
【0045】
洗車装置100はセンサ15a、15bを備えている。センサ15a、15bには第一実施形態で説明したセンサと同様のものを用いることができる。
【0046】
洗車装置100は制御部110を備えている。制御部110はCPU、ROM、RAM、タイマーユニットを含む電気回路で構成されている。制御部110はセンサ15a、15b、ポンプ104、散水ノズル106と電気的に接続されている。制御部110は制御プログラムを記憶しており、センサ15a、15b、ポンプ104、散水ノズル106の動作を制御することができる。
【0047】
洗車装置100の車両洗浄処理は第一実施形態として説明した洗車装置10の車両洗浄処理と同様のため説明を割愛する。異なる点として、洗車装置100は散水ノズル106から水を噴射することで、車両Cの上面を効果的に洗浄することができる。
【0048】
洗浄処理の中で散水ノズル105aから噴射された水は、車両Cに当たり脚部102aへとはね返る。同様に、散水ノズル105bから噴射された水は、車両Cに当たり脚部102bへとはね返る。さらに、散水ノズル106から噴射された水は、車両Cに当たり脚部102aと102bへはねる。脚部102aと102bにはねる水は車両Cの汚れを含んだ水であり、脚部102aと102bを汚してしまう。脚部102aと102bに付着した汚れは散水ノズル106からの水で洗い流すとよい。
【0049】
脚部102aと102bを洗浄する際の洗車装置100の処理について、
図8のフロー図をもとに説明する。制御部110は、所定の時刻に、脚部102aと102bを洗浄する処理を開始する[6]。
【0050】
処理が開始されたら、まず、制御部110は散水ノズル106に指令を送り、散水ノズル106の向きを脚部102a側へと向ける。制御部110はポンプ104に作動指令を送り、散水ノズル106から水を噴射させる[7]。
図9のイメージ図に示す通り散水ノズル106から噴射された水は脚部102aに当たり、脚部102aに付着した汚れを洗い落とす。
【0051】
所定時間が経過したら、制御部110はポンプ104に停止指令を送り、水の噴射を止める[8]。次に、散水ノズル106に指令を送り、散水ノズル106の向きを脚部102b側へと向ける。そして、ポンプ104に作動指令を送り、散水ノズル106から水を噴射させる[9]。散水ノズル106から噴射した水は脚部102bに当たり、脚部102bに付着した汚れを洗い落とす。
【0052】
所定時間が経過したら、制御部110はポンプ104に停止指令を送り、水の噴射を止める[10]。以上で脚部102aと102bを洗浄する処理は終了となる。
【0053】
このような処理を行うことにより、脚部102aと102bへの汚れの固着を防ぐことができる。車両の汚れがはね返りやすい脚部102aと102bが定期的に洗浄されるため、洗車装置100は汚れにくい。
【0054】
脚部102aを洗浄するために散水ノズル106と散水ノズル105bから水を噴射してもよい。同様に、脚部102bを洗浄するために散水ノズル106と散水ノズル105aから水を噴射してもよい。多角的に脚部102aと脚部102bに水を噴射することで、より確実に脚部102aと102bの汚れを洗い落とすことができる。
【0055】
車両Cの洗浄中、梁部103にも汚水がはね返ることが想定される。散水ノズル105aと105bで梁部103の汚れを洗浄可能としてもよい。例えば、散水ノズル105aと105bにモータなどの揺動手段を搭載し、制御部110の制御により梁部103に向けて水を噴射可能としてもよい。このような構成とすることにより、揺動するノズルにより車両を効果的に洗浄しつつ、さらに洗車装置100をより汚れにくくすることができる。
【0056】
散水ノズル105a、105b、106の揺動には、公知の種々の手段を用いることができる。例えば水噴射の反力により噴射の向きが筐体101の上下に変わるようにしてもよいし、スプリンクラー機構を用いて筐体101の上下を含む広範囲に散水できるようにしてもよい。
【0057】
散水ノズル106から敷設面300へ水を噴射し、敷設面300を洗浄可能としてもよい。車両Cの洗浄にあたり、車両Cの汚れを含んだ水は敷設面300に流れることから、敷設面300も車両Cを洗浄するたびに汚れてしまう。また、筐体101が門型状に形成されるため、敷設面300に日陰となる箇所が増え、その日陰で苔類が育ちやすい。散水ノズル106から敷設面300へ水を噴射することで、敷設面300上に付着した苔やぬめりを洗い落としたり、敷設面300上に留まる汚れを洗い流したりするとよい。散水ノズル105aと105bを揺動可能とし、散水ノズル105aと105bから敷設面300に洗浄水を噴射してもよい。
【0058】
敷設面300を洗浄することで、車両Cが移動しても敷設面300の汚れが筐体101(特に脚部102aと脚部102b)に飛散しなくなる。このように、敷設面300を含む洗車装置100の周囲を洗浄することにより、洗車装置100を汚れにくくすることができる。こうした敷設面300の洗浄処理は筐体101の洗浄処理に組み込んで行ってもよいし、筐体101の洗浄処理と異なる頻度で行ってもよい。
【0059】
(第三実施形態)
前記実施形態では水を噴射して車両を洗浄する洗車装置について説明したが、水と回転ブラシで車両を洗浄する洗車装置に本発明を適用してもよい。
図10は回転ブラシ211を備える洗車装置200の正面図である。回転ブラシ211を筐体204と接触する位置で回転させ、筐体204をブラッシングしてもよい。例えば脚部201a、脚部202b、梁部203と接触する位置で回転ブラシ211を回転させてもよい。回転ブラシは汚れを擦って落とすため、固着した汚れに対して好適である。回転ブラシ211で洗車装置200を洗浄する際、各種散水ノズルから水を噴射してもよい。
【0060】
図11は回転ブラシ211cの駆動機構の構造を示す説明図である。回転ブラシ211cは軸の両端がキャリア212a・212bに連結されている。回転ブラシ211cは、筐体204内に垂設されたレール213a・213bに沿って昇降動作する。回転ブラシ211cはキャリア212bに固定されたモータ214により正逆転駆動される。キャリア212a・212bはチェーン機構215とモータ216により昇降される。スイッチ217はレール213aの上端に設けられたリミットスイッチで、キャリア212aとの接触によりスイッチングする。
【0061】
図12は回転ブラシ211aと211bの駆動機構の構造を示す説明図である。回転ブラシ211aは軸の上端がキャリア222aに連結されている。回転ブラシ211bは軸の上端がキャリア221bに連結されている。回転ブラシ211aと211bは、筐体204内に横架されたレール227に沿って開閉動作(互いが近づいたり離れたりする動作)する。回転ブラシ211aはキャリア222aに固定されたモータ224aにより正逆転駆動される。回転ブラシ211bはキャリア222bに固定されたモータ224bにより正逆転駆動される。キャリア222aはチェーン機構225aとモータ226aによりレール227に沿って移動する。キャリア222bはチェーン機構225bとモータ226bによりレール227に沿って移動する。スイッチ228aはレール227の一端に設けられたリミットスイッチで、キャリア222aとの接触によりスイッチングする。スイッチ228bはレール227の他端に設けられたリミットスイッチで、キャリア222bとの接触によりスイッチングする。スイッチ229aはレール227の中央付近に設けられるリミットスイッチで、キャリア222aとの接触によりスイッチングする。スイッチ229bはレール227の中央付近に設けられるリミットスイッチで、キャリア222bとの接触によりスイッチングする。
【0062】
洗車装置200は制御部230を備えている。
図13は洗車装置200の制御系の構成図である。制御部230はセンサ15a、15b、ポンプ104、散水ノズル106、モータ214、モータ216、モータ224a、モータ224b、モータ226a、モータ226b、スイッチ228a、スイッチ228bと電気的に接続されている。制御部230は制御プログラムを記憶しており、接続された各部の動作を制御することができる。
【0063】
制御部230の制御により、キャリア212aがスイッチ217とスイッチングする位置にあるとき、回転ブラシ211cを回転させ、ブラシの毛で梁部203を洗浄できるようにするとよい。同様に、キャリア222aがスイッチ228aとスイッチングする位置にあるとき、回転ブラシ211aを回転させ、ブラシの毛で脚部201aを洗浄できるようにするとよい。キャリア222bがスイッチ228bとスイッチングする位置にあるとき、回転ブラシ211bを回転させ、ブラシの毛で脚部201bを洗浄できるようにするとよい。このように構成することで、筐体各部の汚れをブラシで擦り、効果的に落とすことができる。この際、散水ノズル105a、105b、106からの水の噴射を併用し、筐体各部を洗浄してもよい。
【0064】
脚部201a、脚部202b、梁部203と回転ブラシ211の距離は、回転ブラシ211の毛の長さにより調節してもよい。筐体の汚れやすい場所にブラシを当接できるよう、回転ブラシの可動範囲を適宜設定してもよい。
【0065】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0066】
敷設面300に水散布ノズルを埋め込み、下側から洗車装置の筐体を洗浄可能としてもよい。多角的に筐体に水を噴射することで、より確実に汚れを洗い落とすことができる。公知の走行機構を用いて洗車装置の筐体を往復移動可能として、敷設面300に埋め込んだ水散布ノズルの散水が筐体の各部に効果的に行き届くようにしてもよい。
【0067】
自動四輪車に限らず、例えば自転車、自動二輪車、電車、新幹線などの洗浄に本発明の洗車装置を用いてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10 洗車装置
11a 筐体
11b 筐体
14a 散水ノズル
14b 散水ノズル
103 梁部
211a 回転ブラシ
211b 回転ブラシ
211c 回転ブラシ
300 敷設面