(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126635
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】制御装置、及び制御装置における通信方法
(51)【国際特許分類】
H02P 29/024 20160101AFI20240912BHJP
【FI】
H02P29/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035161
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 未也
(72)【発明者】
【氏名】深代 晃汰
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA05
5H501AA20
5H501CC04
5H501HA08
5H501HB07
5H501JJ30
5H501LL52
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】同一システム上における通信によるノイズ発振を低減させる。
【解決手段】モータ制御装置10は、モータの駆動を制御するための回路の少なくとも一部を構成するMCU12及びプリドライバ13を含み、MCU12は、MCU12とプリドライバ13との組合せの制御対象の仕組みや機器がフェール状態であるか否かを示す情報を含むダイアグ信号DIAGがプリドライバ13からMCU12へと入力されたときに通信検証指令を出力する通信時機判断部121と、通信検証指令が入力されたときにダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態であるか否かを判断してダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示している場合に通信実行指令を出力する信号内容判断部122と、通信実行指令が入力されたときにMCU12とプリドライバ13との間でプリドライバ13のフェール情報を読み出すための通信を実行する通信部123と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MCU及びICを含み、
前記MCUは、
前記MCUと前記ICとの組合せの制御対象がフェール状態であるか否かを示す情報を含む信号が前記ICから前記MCUへと入力されたときに通信検証指令を出力する通信時機判断部と、
前記通信検証指令が入力されたときに前記信号の内容がフェール状態であるか否かを判断して前記信号の内容がフェール状態を示している場合に通信実行指令を出力する信号内容判断部と、
前記通信実行指令が入力されたときに前記MCUと前記ICとの間で前記ICのフェール情報を読み出すための通信を実行する通信部と、を備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記MCU及び前記ICはモータの駆動を制御するための回路の少なくとも一部を構成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
MCU及びICを含む制御装置において実行される方法であって、
前記MCUと前記ICとの組合せの制御対象がフェール状態であるか否かを示す情報を含む信号が前記ICから前記MCUへと入力されたときに前記信号の内容がフェール状態であるか否かを判断するステップと、
前記信号の内容がフェール状態を示している場合に前記MCUと前記ICとの間で前記ICのフェール情報を読み出すための通信を実行するステップと、を有する、
ことを特徴とする制御装置における通信方法。
【請求項4】
前記MCU及び前記ICはモータの駆動を制御するための回路の少なくとも一部を構成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置における通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、及び制御装置における通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同一システム上にMCU(Micro Controller Unit)及びIC(Integrated Circuit)を有するモータ駆動システムにおいて、MCUやICは、例えばICの設定書込みやICのフェール情報読出しなどのために定期的に通信(具体的には例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)通信)を実行している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、通信の実行中はノイズ発振し、ノイズ発振の発生頻度、発生条件によっては、通信に伴うノイズ発振が電磁波障害を惹き起こす場合がある。このため、電子機器に、例えば、誤作動、機能低下、データの損失、安全上のリスクなどの多くの有害な結果を惹き起こす場合がある、という問題がある。
【0005】
そこで本発明は、1つの側面では、同一システム上における通信によるノイズ発振を低減させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る制御装置は、MCU及びICを含み、前記MCUは、前記MCUと前記ICとの組合せの制御対象がフェール状態であるか否かを示す情報を含む信号が前記ICから前記MCUへと入力されたときに通信検証指令を出力する通信時機判断部と、前記通信検証指令が入力されたときに前記信号の内容がフェール状態であるか否かを判断して前記信号の内容がフェール状態を示している場合に通信実行指令を出力する信号内容判断部と、前記通信実行指令が入力されたときに前記MCUと前記ICとの間で前記ICのフェール情報を読み出すための通信を実行する通信部と、を備える、ようにしてもよい。
【0007】
本発明に係る制御装置は、前記MCU及び前記ICはモータの駆動を制御するための回路の少なくとも一部を構成する、ようにしてもよい。
【0008】
本発明に係る制御装置における通信方法は、MCU及びICを含む制御装置において実行される方法であって、前記MCUと前記ICとの組合せの制御対象がフェール状態であるか否かを示す情報を含む信号が前記ICから前記MCUへと入力されたときに前記信号の内容がフェール状態であるか否かを判断するステップと、前記信号の内容がフェール状態を示している場合に前記MCUと前記ICとの間で前記ICのフェール情報を読み出すための通信を実行するステップと、を有する、ようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る制御装置における通信方法は、前記MCU及び前記ICはモータの駆動を制御するための回路の少なくとも一部を構成する、ようにしてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1つの側面では、同一システム上における通信によるノイズ発振を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係るモータ制御装置における通信方法が実行される、本発明の実施の形態に係るモータ制御装置の構成の例を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態に係るモータ制御装置のMCUの機能構成を説明する図である。
【
図3】実施の形態に係るモータ制御装置及びモータ制御装置における通信方法の処理内容を説明する図である。
【
図4】実施の形態に係るモータ制御装置及びモータ制御装置における通信方法の処理手順を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。下記の実施の形態では、本発明に係る制御装置における通信方法が
図1に示す本発明に係る制御装置の一例において実行される場合を例に挙げて説明する。
【0013】
(装置の構成)
図1は、本発明に係る制御装置及び制御装置における通信方法の具体的な構成態様の例としての、実施の形態に係るモータ制御装置における通信方法が実行される、実施の形態に係るモータ制御装置10の構成の例を示すブロック図である。
【0014】
実施の形態に係るモータ制御装置10は、車両に搭載される3相交流モータ20(3相:U相、V相、及びW相)の駆動を制御するための機序である。3相交流モータ20は、具体的には、オイルを循環させる電動オイルポンプを駆動するモータである。ここで、本発明に係る制御装置における通信方法が適用され得る装置、回路(即ち、本発明に係る制御装置)はモータの駆動を制御するための装置、回路に限定されるものではなく、
図1に示すモータ制御装置10は本発明に係る制御装置における通信方法が適用され得る装置、回路の構成のあくまでも一例であるので詳細な説明は省略するが、概略は下記のとおりである。
【0015】
モータ制御装置10は、電源回路11、MCU(Micro Controller Unit)12、プリドライバ13、及びFET(Field Effect Transistor)ブリッジ14を含む。
【0016】
電源回路11は、直流電源電圧VCC、VDCを生成する。直流電源電圧VCCは、MCU12用の電源電圧(電源電位)であり、MCU12の端子VCCへと供給される。直流電源電圧VDCは、3相交流モータ20のインバータ駆動用の電源電圧(駆動電圧)であり、プリドライバ13の端子VDCへと供給される。
【0017】
MCU12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やメモリなどを含むチップとして構成される。MCU12のCPUは、メモリに記憶されているプログラムやデータを読み出して、所定の処理を行うように構成されている。
【0018】
MCU12は、制御信号UT,UB,VT,VB,WT,WBを生成してプリドライバ13へと供給する。制御信号UT,UBは、FETブリッジ14内のU相に係るスイッチング素子のオン/オフを制御するための信号である。制御信号VT,VBは、FETブリッジ14内のV相に係るスイッチング素子のオン/オフを制御するための信号である。制御信号WT,WBは、FETブリッジ14内のW相に係るスイッチング素子のオン/オフを制御するための信号である。
【0019】
プリドライバ13は、FETブリッジ14内のスイッチング素子を駆動するための駆動回路に相当し、IC(Integrated Circuit)により構成される。プリドライバ13は、MCU12から供給される制御信号UT,UB,VT,VB,WT,WBに従って生成される各スイッチング素子を制御するための信号を、6個の出力端子を介して、FETブリッジ14の各スイッチング素子の制御端子へと供給する。プリドライバ13は、すなわち、MCU12から供給される制御信号UT,UB,VT,VB,WT,WBに基づいて、FETブリッジ14内の6個のスイッチング素子のスイッチング動作(即ち、オン/オフ)を制御する。
【0020】
FETブリッジ14は、プリドライバ13から6個の入力端子を介して供給される、6個のスイッチング素子のスイッチング動作(即ち、オン/オフ)を制御するための信号に従って3相交流モータ20をインバータ駆動する。FETブリッジ14は、3相交流モータ20をインバータ駆動するための6個のスイッチング素子を備えており、具体的には、ブリッジ回路の上側に位置する3個の上アーム(ハイサイド)のスイッチング素子と、ブリッジ回路の下側に位置する3個の下アーム(ローサイド)のスイッチング素子とを備えている。各スイッチング素子は、電界効果トランジスタ(FET)によって構成されている。FETブリッジ14の3個の出力端子は、3相交流モータ20の3個のコイル(即ち、U相コイル、V相コイル、及びW相コイル;図示省略)それぞれに接続されている。
【0021】
MCU12とプリドライバ13とは、通信を実行し、具体的には例えばSPI(Serial Peripheral Interface)通信を実行する。
図1に示す例では、MCU12をSPIメイン(又は、SPIマスター)とするとともにプリドライバ13をSPIサブノード(又は、SPIスレーブ)として4線式のSPI通信が実行される。
【0022】
この場合、SPIメインとしてのMCU12から、通信信号として、チップセレクト用の信号/CS(尚、/はCSの上に付される─を表す)、メイン出力-サブノード入力の信号SDI、及び、通信の同期をとるための、当該MCU12によって生成されるクロック信号SCLKが、SPIサブノードとしてのプリドライバ13へと送信される。また、SPIサブノードとしてのプリドライバ13から、メイン入力-サブノード出力の信号SDOが、SPIメインとしてのMCU12へと送信される。
【0023】
メイン出力-サブノード入力の信号SDIは、プリドライバ13においてFETブリッジ14内の6個のスイッチング素子のスイッチング動作の制御を行うための、MCU12(SPIメイン)からプリドライバ13(SPIサブノード)に対するデータである。メイン入力-サブノード出力の信号SDOは、プリドライバ13(SPIサブノード)からMCU12(SPIメイン)に対するデータである。
【0024】
また、プリドライバ13から、ダイアグ信号DIAG(具体的には、Hi/Loの信号)が、MCU12のダイアグ端子DIAGへと入力される。ダイアグ信号DIAGは、例えば3相交流モータ20の異常を示す情報(「フェール情報」や「ダイアグ情報」とも称される)に相当する電気的な信号である。なお、ダイアグ信号DIAGが入力されると、MCU12及びプリドライバ13の上位の制御装置であるECU(Electronic Control Unit;
図1には図示していない)は、ダイアグ信号DIAGの内容を確認し、例えば、軽微な異常を示すダイアグ信号(フェール情報)であるか即時保護すべき異常を示すダイアグ信号(フェール情報)であるかなどに応じて、フェールセーフ処理を実行したり他の処理や制御を実行したりする。
【0025】
また、MCU12から、リセット信号/RESET(尚、/はRESETの上に付される─を表す)が、プリドライバ13のイネーブル端子ENAへと送信される。例えば、プリドライバ13や3相交流モータ20をもとの状態に復帰させる場合に、MCU12からプリドライバ13のイネーブル端子ENAに対してリセット信号/RESETが印加される。
【0026】
ここで、例えば、モータ制御装置10の制御対象の仕組みや機器(即ち、この実施の形態における3相交流モータ20)に異常が生じた場合やIC(即ち、この実施の形態におけるプリドライバ13に相当するIC)に異常が生じた場合にMCU12側でICのフェール情報(例えば、3相交流モータ20の異常を示す情報や、ICの過電流、過熱、過電圧、低電圧、ウォッチドッグ異常を示す情報)を取得する必要があるシステムにおいては、MCU12とICとの間の通信によってICのフェール情報を取得する。しかしながら、フェールはいつ発生するか分からないものの、早期に発見する必要がある。そこで、いつ発生するか分からないフェールを早期に発見するため、MCU12とICとの間で定期的に通信を実行してICのフェール情報を取得するようにすることが考えられる。
【0027】
また、MCU12とIC(即ち、この実施の形態におけるプリドライバ13に相当するIC)との間で通信可能であるように構成することにより、例えば、モータ制御装置10が制御する仕組みや機器の仕様、モータ制御装置10に関連する仕組みや機器の仕様、また、システム稼働中の状況などに合わせてICの設定を書き換えて適宜変更することが可能となる。
【0028】
しかしながら、通信の実行中はノイズ発振し、システム稼働中の通信に伴うノイズ発振が電磁波障害を惹き起こす場合がある。そこで、本発明は、通信によるノイズ発振を低減させるために、通信を実行するタイミングを限定するとともに不要な通信を禁止するようにしている。
【0029】
(処理内容)
図2は、本発明に係る制御装置の具体的な構成態様の例としての、実施の形態に係るモータ制御装置10のMCU12の機能構成を説明する図である。
図3は、本発明に係る制御装置及び制御装置における通信方法の具体的な構成態様の例としての、実施の形態に係るモータ制御装置10及びモータ制御装置における通信方法における処理内容を説明する図である。
図4は、実施の形態に係るモータ制御装置10及びモータ制御装置における通信方法の処理手順を説明するフロー図である。
【0030】
実施の形態に係るモータ制御装置10は、モータの駆動を制御するための回路の少なくとも一部を構成するMCU12及びプリドライバ13を含み、MCU12は、MCU12とプリドライバ13との組合せの制御対象の仕組みや機器がフェール状態であるか否かを示す情報を含むダイアグ信号DIAGがプリドライバ13からMCU12へと入力されたときに通信検証指令を出力する通信時機判断部121と、通信検証指令が入力されたときにダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態であるか否かを判断してダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示している場合に通信実行指令を出力する信号内容判断部122と、通信実行指令が入力されたときにMCU12とプリドライバ13との間でプリドライバ13のフェール情報を読み出すための通信を実行する通信部123と、を備える、ようにしている。
【0031】
また、実施の形態に係るモータ制御装置における通信方法は、MCU12及びプリドライバ13を含むモータ制御装置において実行される方法であって、MCU12とプリドライバ13との組合せの制御対象の仕組みや機器がフェール状態であるか否かを示す情報を含むダイアグ信号DIAGがプリドライバ13からMCU12へと入力されたとき(ステップS1)にダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態であるか否かを判断するステップS2と、ダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示している場合(ステップS2:No)にMCU12とプリドライバ13との間でプリドライバ13のフェール情報を読み出すための通信を実行するステップS3と、を有する、ようにしている。
【0032】
この実施の形態では、プリドライバ13からMCU12へとダイアグ信号DIAGが入力されたタイミングで、MCU12とプリドライバ13との間の通信を実行するか否かの検証が行われて、検証の結果に基づいて必要に応じてMCU12とプリドライバ13との間の通信が実行されてプリドライバ13のフェール情報の読み出しが実施される。
【0033】
具体的には、まず、プリドライバ13からMCU12の通信時機判断部121へとダイアグ信号DIAGが入力される(ステップS1)と、通信時機判断部121から通信検証指令が出力されてMCU12の信号内容判断部122へと入力され、信号内容判断部122は、入力されたダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示していないか否か(例えば、3相交流モータ20の状態が正常であるか異常であるか)を判断する(ステップS2)。
【0034】
ここで、MCU12とプリドライバ13との間の通信を実行するか否かの検証開始のトリガー(きっかけ)として本発明において利用される信号は、「ダイアグ信号」と称される信号に限定されるものではなく、回路(特に、MCU12と、当該MCU12との間で通信を実行するIC(即ち、この実施の形態におけるプリドライバ13に相当するIC)と、の組合せ)の制御対象の仕組みや機器(即ち、この実施の形態における3相交流モータ20)がフェール状態であるか否かを示す情報を含む信号であればどのような信号であってもよい。すなわち、MCU12とプリドライバ13との間の通信を実行するか否かの検証開始のトリガーとして本発明において利用される信号は、特に、MCU12と、当該MCU12との間で通信を実行するIC(即ち、この実施の形態におけるプリドライバ13に相当するIC)と、の組合せの制御対象の仕組みや機器がフェール状態であるか否かを示す情報を含む信号であればどのような信号であってもよい。
【0035】
そして、入力されたダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示していない場合(ステップS2:Yes)は、MCU12とプリドライバ13との間でプリドライバ13のフェール情報(例えば、3相交流モータ20の異常を示す情報)を読み出すための通信は実行されずに、一のダイアグ信号DIAGの入力(ステップS1)に対応するMCU12とプリドライバ13との間の通信は終了する。そして、次にダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示すまでの間は、MCU12とプリドライバ13との間において、フェール情報の読み出しに関わる通信は実行されない。
【0036】
一方で、入力されたダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示している場合(ステップS2:No)は、MCU12の信号内容判断部122から通信実行指令が出力されてMCU12の通信部123へと入力され、通信部123によってMCU12とプリドライバ13との間でプリドライバ13のフェール情報(例えば、3相交流モータ20の異常を示す情報)を読み出すための通信が実行される(ステップS3)。これにより、一のダイアグ信号DIAGの入力(ステップS1)に対応するMCU12とプリドライバ13との間の通信は終了する。そして、次にダイアグ信号DIAGの内容がフェール状態を示すまでの間は、MCU12とプリドライバ13との間において、フェール情報の読み出しに関わる通信は実行されない。
【0037】
なお、フェール情報を読み出すための通信が実行されて(ステップS3)プリドライバ13のフェール情報の内容が確認された後、必要に応じて、ECUにより、フェールセーフ処理が実行されたり他の処理や制御が実行されたりする。
【0038】
(作用効果)
実施の形態に係るモータ制御装置10及びモータ制御装置における通信方法によれば、特にプリドライバ13のフェール情報を読み出すための通信を実行するタイミングを限定するとともに不要な通信を禁止するようにしているので、ノイズ発振の頻度を減らしたりノイズ発振する状況を制限したりすることができ、同一システム上における通信によるノイズ発振を低減させることが可能となり、延いては電磁波障害による電子機器への悪影響の発生を低減させることが可能となる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0040】
例えば、上記の実施の形態では車両に搭載される3相交流モータ20の駆動を制御するための機序としてモータ制御装置10が構成されて(言い換えると、MCU12及びプリドライバ13はモータの駆動を制御するための回路の少なくとも一部を構成して)MCU12とプリドライバ13との間で通信が実行されるようにしているが、本発明に係る装置の制御対象はモータに限定されるものではなく、また、MCU12の通信相手はプリドライバ13には限定されない。すなわち、MCU12と通信を実行する相手方はどのようなICであってもよい。
【0041】
また、上記の実施の形態ではMCU12とプリドライバ13(即ち、1個のIC)とが通信を実行するようにしているが、MCU12と通信を実行するICの個数は、1個に限定されるものではなく、2個以上でもよい。
【0042】
また、上記の実施の形態ではMCU12とプリドライバ13との間でSPI通信が実行されるようにしているが、MCU12とプリドライバ13との間で実行される通信の種類、規格はSPI通信に限定されるものではなく、MCU12とプリドライバ13との間で他の種類、規格の通信が実行されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 モータ制御装置
11 電源回路
12 MCU
121 通信時機判断部
122 信号内容判断部
123 通信部
13 プリドライバ
14 FETブリッジ
20 3相交流モータ