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特開2024-126645ウェアラブルバンド、ウェアラブル機器及びウェアラブルバンドの装着方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126645
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ウェアラブルバンド、ウェアラブル機器及びウェアラブルバンドの装着方法
(51)【国際特許分類】
   A44C 5/20 20060101AFI20240912BHJP
   A44C 5/02 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A44C5/20 C
A44C5/02 E
A44C5/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035174
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 彩花
(57)【要約】
【課題】誰でも容易にバンドを着脱することができる。
【解決手段】バンド2(ウェアラブルバンド)が、長尺なバンド部材20と、バンド部材20の一端側に設けられる第2部材24と、内部空間に第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が挿通される第1部材23と、を備え、第2部材24又は第2部材24が設けられているバンド部材20の一端側は、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が第1部材23の内部空間に挿通されている状態において、その幅又は厚みが第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも大きい「第1状態」を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺なバンド部材と、
前記バンド部材の一端側に設けられる第2部材と、
内部空間に前記第2部材及び前記バンド部材の少なくとも一端側が挿通される第1部材と、
を備え、
前記第2部材又は前記第2部材が設けられている前記バンド部材の一端側は、前記第2部材及び前記バンド部材の少なくとも一端側が前記第1部材の内部空間に挿通されている状態において、その幅又は厚みが前記第1部材の内部空間の幅又は厚みよりも大きい第1状態を維持する、
ことを特徴とするウェアラブルバンド。
【請求項2】
前記第2部材は、その幅又は厚みが、前記第1部材の内部空間の幅又は厚みよりも大きい第1状態、前記第1部材の内部空間の幅又は厚みよりも小さい第2状態、を取り得るように弾性変形可能であり、
前記第2部材は、前記第2状態となって前記第1部材の内部空間に挿通され、前記第2部材及び前記バンド部材の少なくとも一端側とが前記第1部材の内部空間に挿通されている状態において、常態として前記第1状態となる、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェアラブルバンド。
【請求項3】
前記第2部材及び前記バンド部材の少なくとも一端側が前記第1部材に挿通されている状態において、前記バンド部材の前記一端側を係止させる係止手段を備えている、
ことを特徴とする請求項1に記載のウェアラブルバンド。
【請求項4】
前記係止手段は、
前記第2部材及び前記バンド部材の少なくとも一端側が前記第1部材に挿通されている状態において、前記第1部材を挟んで前記バンド部材の長手方向の前後に設けられた第1の係止手段及び第2の係止手段で構成されており、
前記第1の係止手段及び前記第2の係止手段のうち少なくとも一方は、前記第2部材又はその近傍に設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載のウェアラブルバンド。
【請求項5】
前記係止手段は磁力によって係止されるものである、
ことを特徴とする請求項3に記載のウェアラブルバンド。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のウェアラブルバンドと、
機器ケースと、
を備える、ことを特徴とするウェアラブル機器。
【請求項7】
前記ウェアラブルバンドのバンド部材は、
バンド取付け状態において前記機器ケースの一側に配置される第1のバンド部と、
前記機器ケースの他側に配置される第2のバンド部と、
を含み、
前記第1部材は前記第1のバンド部側に設けられ、前記第2部材は前記第2のバンド部側に設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載のウェアラブル機器。
【請求項8】
前記第1部材は、時計における12時側に配置される、
ことを特徴とする請求項6に記載のウェアラブル機器。
【請求項9】
前記第1状態において、前記バンド部材全体が装着対象に対して環状となる状態が維持されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のウェアラブル機器。
【請求項10】
長尺なバンド部材の一端側に設けられる第2部材又は前記第2部材が設けられている前記バンド部材の一端側を、第1部材の内部空間の幅又は厚みよりも小さい第2状態で前記第1部材の内部空間に挿通させたのち、前記第1部材の内部空間の幅又は厚みよりも大きい第1状態として、前記バンド部材全体が装着対象に対して環状となる状態を維持させる、
ことを特徴とするウェアラブルバンドの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェアラブルバンド、ウェアラブル機器及びウェアラブルバンドの装着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、磁石を用いて磁気的に結合されるバンドが知られている。
例えば特許文献1には、時計をユーザに固定するためのリストバンドについて、リストバンドが折り畳まれたとき又は別個のバンド部分が重なり合っているときに、磁気的に結合されることを可能にする複数の磁石を含むことが記載されている。
このように、磁石を用いてバンドを結合させることができれば、簡易にバンドの着脱を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2022-530911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば手指にしびれや硬直がある等により、自由に動かすことが困難なユーザにとって、バンドを腕や手首等の装着したい対象に巻き付けて固定することは、難易度の高い動作である。
特許文献1に記載のように磁石を用いることでバンドの結合自体を簡易に行うことができても、そもそもバンドを腕や手首等の装着したい対象に巻き付けることができなければバンドを思い通りに装着することができない。
【0005】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、誰でも容易に着脱することのできるウェアラブルバンド、ウェアラブル機器及びウェアラブルバンドの装着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明のウェアラブルバンドは、
長尺なバンド部材と、
前記バンド部材の一端側に設けられる第2部材と、
内部空間に前記第2部材及び前記バンド部材の少なくとも一端側が挿通される第1部材と、
を備え、
前記第2部材又は前記第2部材が設けられている前記バンド部材の一端側は、前記第2部材及び前記バンド部材の少なくとも一端側が前記第1部材の内部空間に挿通されている状態において、その幅又は厚みが前記第1部材の内部空間の幅又は厚みよりも大きい第1状態を維持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、誰でも容易にバンドを着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態のバンドが取り付けられた時計を視認側から見た外観を示す平面図である。
図2】本実施形態のバンドが取り付けられた時計を非視認側から見た外観を示す平面図である。
図3図1に示すバンドをバックル部材の部分で結合した状態の時計を側方から見た斜視図である。
図4図3に示す状態の時計を非視認側から見た外観を示す平面図である。
図5】(a)は、バンドの第2部材を第1部材から取り外した状態の時計の平面図であり、(b)は、(a)においてバンドから取り外されていた第2のバックル部材を示す平面図である。
図6】第1部材の内部空間に第2部材を挿通させる様子を示す説明図である。図である。
図7】第1部材の内部空間に挿通させた後の第2部材に第2のバックル部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[構成]
図1から図7を参照しつつ、本発明に係るウェアラブルバンド、ウェアラブル機器及びウェアラブルバンドの装着方法の一実施形態について説明する。なお、以下では、ウェアラブルバンドを単に「バンド」とする。また以下の実施形態ではウェアラブルバンドが適用されたウェアラブル機器が腕時計(以下、単に「時計」と言う)である場合について説明するが、本発明を適用可能な実施形態はこれに限定されるものではない。
【0010】
図1は、本実施形態のバンドが取り付けられた時計を視認側から見た外観を示す平面図である。図2は、図1に示す時計を非視認側から見た外観を示す平面図である。また図3は、図1に示すバンドをバックル部材の部分で結合した状態の時計を側方から見た斜視図であり、図4は、図3に示す状態の時計を非視認側から見た外観を示す平面図である。
図1から図4に示すように、本実施形態において、ウェアラブル機器である時計100は、機器ケース1と、この機器ケース1に取り付けられたバンド2(ウェアラブルバンド)とを備えている。
【0011】
機器ケース1の上下両端部(図1等において上下端部)、つまりアナログ方式の時計における12時方向側端部及び6時方向側端部には、バンド2が取り付けられるバンド取付け部11が設けられている。
また、機器ケース1の内部には、図示しない表示部を含むモジュール等が収容されている。なお時計100は、図示しない指針等を備えるアナログ方式の表示部を備えていてもよいし、例えば液晶表示部等を備えるデジタル方式の表示部を備えていてもよい。さらにデジタル方式とアナログ方式の両方を有するハイブリッドタイプの表示部を備えてもよい。
【0012】
バンド2は長尺なバンド部材20を備えている。本実施形態のバンド部材20はバンド取付け状態において機器ケース1の一側に配置される第1のバンド部21と、機器ケース1の他側に配置される第2のバンド部22と、を含んでいる。
本実施形態において、第1のバンド部21が配置される機器ケース1の一側は、アナログ方式の時計における12時側であり、第2のバンド部22が配置される機器ケース1の他側は、アナログ方式の時計における6時側となっている。
本実施形態のバンド部材20は、例えば帯状の布テープや革等で形成されている。布テープの場合、強化用の各種繊維等が含まれていることが好ましい。なお、バンド部材20を形成する材料はここに例示したものに限定されない。
【0013】
またバンド2は、第1部材23及び第2部材24を備えている。
本実施形態では、第1部材23はアナログ方式の時計における12時側に配置される第1のバンド部21側に設けられ、第2部材24はアナログ方式の時計における6時側に配置される第2のバンド部22側に設けられている。
【0014】
このうち第1部材23は、例えば図2等に示すような枠状の部材であり、枠内の内部空間に第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が挿通されるようになっている。
図2に示すように、本実施形態における第1部材23の内部空間の幅(バンド2の幅方向の寸法)は、「第1長L1」となっている。
バンド部材20が布テープや革等で形成されている場合、第1部材23は、例えば第1部材23を挟み込むようにバンド部材20の端部を折返して縫い付けることにより取り付けられる。なお、第1部材23をバンド部材20に取り付ける手法はこれに限定されない。
【0015】
第1部材23は、例えばチタン、ステンレス鋼(SUS)、アルミニウム等の金属材料で形成されている。なお、第1部材23を形成する材料はここに例示したものに限定されず、例えば各種の硬質な樹脂材料等で形成されていてもよい。
第1部材23は、「第1長L1」よりも大きな幅寸法のものを通過させないように、内部空間の幅ができるだけ「第1長L1」を維持できることが望ましく、変形しにくい材料で形成されていることが好ましい。
【0016】
第2部材24は、バンド部材20の一端側(本実施形態では第2のバンド部22側)に設けられ、図1等に示すように環状部分241を有している。本実施形態では、第2部材24全体が輪ゴムのような環状となっている。なお本実施形態では、第2部材24におけるバンド2の長手方向の途中に後述するバックル部材3(後述する第2のバックル部材32、図1図2参照)が取り付けられる。これにより、第2部材24は、第2のバックル部材32によりバンド2の長手方向の前後で分断された状態となるが、第2のバックル部材32の取り付け位置よりも自由端側に、指1本分を引っ掛けることのできる程度(例えば環の内径が1.5cm程度)の環状部分241が確保されることが好ましい。なお第2部材24に確保されるべき環状部分241の大きさは、少なくとも指1本分を引っ掛けることのできる程度のものであればよく、具体的な大きさ等は限定されない。
【0017】
本実施形態の第2部材24は、第1部材23の内部空間の幅(すなわち「第1長L1」(図2参照))よりも小さい幅である「第2長L2」(図5(a)、図6参照)となる「第2状態」と、第1部材23の内部空間の幅よりも大きい幅である「第3長L3」(図1図2図7参照)となる「第1状態」と、を取り得る。
例えば第2部材24はゴム等の弾性体で形成されており、「第2状態」と「第1状態」と、を取り得るように弾性変形可能となっている。
第2部材24は、「第2状態」となって第1部材23の内部空間に挿通され、第2部材24とバンド部材20の少なくとも一端側とが第1部材23の内部空間に挿通されたのちは、「第1状態」となる。
【0018】
なお、第2部材24を形成する材料はここに例示したものに限定されないが、ある程度腰があり、自立するような材料(外力によって変形し、形状を保つ性質を有する材料)で形成されることが好ましい。
本実施形態において第2部材24は、指で押し縮める等されていない常態において「第1状態」を維持するようになっている。
【0019】
バンド部材20が布テープや革等で形成されている場合、第2部材24は、例えば第1部材23と同様に、第2部材24を挟み込むようにバンド部材20の端部を折返して縫い付けることにより取り付けられる。なお、第2部材24をバンド部材20に取り付ける手法はこれに限定されない。
【0020】
またバンド2は、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が第1部材23に挿通されている状態において、バンド部材20の挿通端部側(一端側)を係止させる係止手段を備えている。本実施形態において係止手段はマグネット式のバックル部材3である。
バックル部材3は、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が第1部材23に挿通されている状態において、第1部材23を挟んでバンド部材20の長手方向の前後に設けられた第1の係止手段としての第1のバックル部材31と、第2の係止手段としての第2のバックル部材32と、を備えている。
【0021】
図2等に示すように、本実施形態では、第1のバックル部材31が第1部材23を挟んでバンド部材20の長手方向における機器ケース1側(すなわち、機器ケース1と第1部材23との間)に配置されている。また、第2のバックル部材32が第1部材23を挟んでバンド部材20の長手方向における自由端側(すなわち、第1部材23と第2部材24を含むバンド部材20の自由端との間)に配置されている。
第1のバックル部材31は、バンド2における外側面(図2において表に見えている側の面)に第1のマグネット311を備えている。また第1のバックル部材31は、バンド2における内側面であってバンド2の長手方向の前後に一対の挿通部312(図3参照)を有している。第1のバックル部材31は、挿通部312に第2のバンド部22が挿通されることで第2のバンド部22に摺動可能に係止されている。これにより第1のバックル部材31は、バンド部材20の長手方向の位置を変更可能となっている。
【0022】
第1のバックル部材31及び第2のバックル部材32のうち少なくとも一方は、第2部材24又はその近傍に設けられている。本実施形態では第2のバックル部材32が、前述のように第2部材24におけるバンド2の長手方向の途中に取り付けられている。なお第2のバックル部材32の設けられる位置はこれに限定されない。例えば第2部材24が取り付けられている近傍のバンド部材20(第2のバンド部22)に取り付けられていてもよい。
第2のバックル部材32は、バンド2における外側面(図2において表に見えている側の面)に、第1のマグネット311と引き合う第2のマグネット321を備えている。バンド部材20(本実施形態では、第2のバンド部22)が、第1部材23を支点に折り返された際に、第2のバックル部材32は第1のバックル部材31と対向する位置に配置され、第2のマグネット321は、第1のマグネット311と対向する。
第1のバックル部材31及び第2のバックル部材32は、第1のマグネット311及び第2のマグネット321を備えることにより、両者が対向位置又はその近くにおいて一定程度近接すると磁力によって引き付け合う。そして本実施形態における係止手段であるバックル部材3は、磁力によって係止される。
【0023】
図5(b)に第2のバックル部材を単体の状態で示す。
本実施形態の第2のバックル部材32は、図5(b)に示すように、バンド2の幅方向の両側に一対の係止部322(図4参照)を有している。係止部322は環状の第2部材24にそれぞれ引っ掛けられることで第2部材24に摺動可能に係止されている。これにより第2のバックル部材32は、バンド部材20の長手方向の位置を変更可能となっている。
第2のバックル部材32は、そのバンド幅方向の長さ又は厚みが、第1部材23の内部空間の幅(すなわち「第1長L1」(図2参照))又は厚みよりも大きく形成されていることが好ましい。これにより、第2のバックル部材32を取り外した状態(図5(a)参照)で第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側を第1部材23に挿通させた後に第2のバックル部材32を第2部材24に取り付けることで、より確実に第2部材24の第1部材23からの抜け落ちを防止することができる。
【0024】
[作用]
次に本実施形態に係るウェアラブルバンド(バンド2)、ウェアラブル機器(時計100)の作用、ウェアラブルバンド(バンド2)の装着方法について説明する。
本実施形態において、バンド2を時計100の機器ケース1に取り付ける際は、第1のバンド部21を機器ケース1の12時側のバンド取付け部11に取り付け、第2のバンド部22を機器ケース1の6時側のバンド取付け部11に取り付ける(例えば図5(a)に示す状態)。
次に、長尺なバンド部材20の一端側(実施形態では第2のバンド部22の自由端側)に設けられ環状部分241を有する第2部材24をバンド幅方向に指等で押し縮めることで、第1部材23の内部空間のバンド幅方向の幅寸法「第1長L1」よりも小さな幅寸法「第2長L2」となる「第2状態」に弾性変形させる(図5(a)参照)。そしてこの状態で、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側(自由端側、第2部材24が設けられている側)を、第1部材23の内部空間に挿通させる(図6参照)。
【0025】
第1部材23に挿通させた後に第2部材24を押し縮めていた指等を離すことで第2部材24を解放すると、第2部材24は弾性力により第1部材23の内部空間の幅「第1長L1」よりも大きい幅寸法である「第3長L3」となる「第1状態」に変形(常態としての「第1状態」に復帰)し、この状態を維持する。
これにより、指で押し縮める等しない常態において、第2部材24は第1部材23の内部空間を通過できない状態となり、第1部材23からの抜け落ちが防止されて、バンド2が装着対象(例えばユーザの腕や手首等)に対して全体が環状となる状態が維持される。
【0026】
次いで第2部材24に第2のバックル部材32を取り付ける(図7参照)。第2のバックル部材32の幅又は厚みが第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも大きい場合には、第2部材24に第2のバックル部材32を取り付けることで第2部材24の第1部材23からの抜け落ちがより確実に防止できる。なお、第2部材24に第2のバックル部材32を取り付けたままでも第1部材23の内部空間に挿通することができる場合には、第2のバックル部材32を第2部材24に取り付けたままの状態としておいてもよい。
なお、ここまではユーザ本人若しくはその補助者等が予めセットしておいてもよい。バンド2を、予め装着対象(例えばユーザの腕や手首等)に対して全体が環状となる状態としておけば、時計100をユーザが装着したい場合には、環状になっているバンド2に、時計100を装着したい側の腕又は手首等を通すだけでここまでのセッティングが完了する。
【0027】
次に第2部材24の環状部分241に指等を引っ掛けたり、口でくわえる等して、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも自由端側(第2部材24が設けられている側)を引っ張り、第1部材23を巻くように、第1部材23を支点として折り返す。そして、第2のバックル部材32を第1のバックル部材31に対向する位置又はその付近まで近づけると、第1のマグネット311及び第2のマグネット321が互いに磁力によって引き付け合い、第1のバックル部材31と第2のバックル部材32とが係止される。
なおこの状態で、ユーザは第2部材24の環状部分241に指等を引っ掛けたり、口でくわえる等してさらに引っ張ることにより、第2部材24に対する第2のバックル部材32の位置を移動させることができてもよい。この場合、バンド2を、装着対象(例えばユーザ自身の腕又は手首等)に沿う長さまで短くする等、バンド長の微調整を行うことができる。
【0028】
また、バンド2を取り外す際には、ユーザが第2部材24の環状部分241に指等を引っ掛けたり、口でくわえる等して第2のバックル部材32が第1のバックル部材31から離れる方向に引っ張る。これにより第1のマグネット311と第2のマグネット321との結合が解除されると、バンド2は装着対象(例えばユーザの腕又は手首等)に対して全体が環状となる状態を維持したまま、第2部材24等が第1部材23に引っ掛かる位置までバンド2は長くなる。これにより、バンド2及びバンド2が取り付けられた時計100が腕又は手首等から誤って落下するおそれを回避しつつ、腕や手首等の装着対象をバンド2から引き抜き、バンド2を取り外すことのできる状態となる。
【0029】
これにより、ユーザが手や指を自由に動かすことができない場合でも、バンド2が取り付けられた時計100を誤って落下させたりするおそれを低減させ、容易に自力で腕や手首等に装着したり腕や手首等から取り外したりすることが可能となる。
【0030】
[効果]
以上のように、本実施形態にかかるバンド2(ウェアラブルバンド)は、長尺なバンド部材20と、バンド部材20の一端側に設けられ環状部分241を有する第2部材24と、内部空間に第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が挿通される第1部材23と、を備え、第2部材24は、第1部材23の内部空間に挿通されたのちは、常態としてその幅又は厚みが第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも大きい「第1状態」を維持する。
これにより、指を引っ掛けたり、口でくわえたりすることのできる環状部分241を有する第2部材24を第1部材23の内部空間に通したのちは、第2部材24が第1部材23の内部空間よりも大きな幅となって抜け落ちが防止される。
このため、バンド2全体が環状となった状態としたのちは、手や指を自由に動かすことができないユーザでも環状のバンド2に腕や手首等の装着対象を通しさえすれば、あとは指や口を使って第2部材24の環状部分241を引くだけで容易にバンド2を装着することができる。またバンド2を外す際にも、バンド2が環状となった状態が維持されるため、意図せずバンド2が腕から落下する事態を生じにくく、環状部分241に指を引っ掛けたり、口でくわえたりして引っ張るだけで簡単に外すことができる。このように本実施形態のバンドでは、誰でも容易にバンド2を着脱することが可能となる。
【0031】
また本実施形態では、第2部材24は、その幅が、第1部材23の内部空間の幅(第1長L1)よりも小さい幅(第2長L2)となる「第2状態」、第1部材23の内部空間の幅よりも大きい幅(第3長L3)となる「第1状態」、を取り得るように弾性変形可能となっており、常態として「第1状態」を維持する。
これにより、一旦第2部材24を押し縮める等して第1部材23の内部空間を通したのちは、押し縮めていた手や指等を離すだけで、第2部材24自体が第1部材23の内部空間の幅である「第1長L1」よりも大きい「第3長L3」となる「第1状態」となり、その状態が維持される。
このため、第1部材23の内部空間からの第2部材24の抜け落ちが防止される。
【0032】
また本実施形態では、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が第1部材23に挿通されている状態において、バンド部材20の挿通端部側を係止させる係止手段としてバックル部材3を備えている。
これにより、全体が環状とされたバンド2を自分に合ったデフォルトの長さで止めておくことができる。例えば自分の腕の太さ等に合わせて予めバックル部材3(係止手段)を摺動させてバックル部材3の位置を調整しておけばバックル部材3を止めるだけで自分に合った長さのバンド2とすることができる。
【0033】
また本実施形態のバックル部材3(係止手段)は、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が第1部材23に挿通されている状態において、第1部材23を挟んでバンド部材20の長手方向の前後に設けられた第1の係止手段である第1のバックル部材31及び第2の係止手段である第2のバックル部材32であり、第1のバックル部材31及び第2のバックル部材32のうち少なくとも一方は、第2部材24又はその近傍に設けられている。
これにより、環状部分241に指を引っ掛けたり、口でくわえたりすることで第2部材24を引っ張れば容易に第1のバックル部材31と第2のバックル部材32とを係止状態としたり係止状態を解除したりすることができる。
【0034】
また本実施形態の係止手段であるバックル部材3は磁力によって係止されるものである。
これにより、手や指を自由に動かすことが難しいような場合でも、第1のバックル部材31に第2のバックル部材32を近づけるだけで、特に難しい動作を要せずにバックル部材3を止めることができる。
また磁石同士が結合する際の感触や音によって、第1のバックル部材31に第2のバックル部材32が係止されたことをユーザが直感的に確認しやすい。
【0035】
また本実施形態におけるウェアラブル機器としての時計100は、実施形態で示したようなバンド2(ウェアラブルバンド)と、機器ケース1と、を備えている。
これにより、機器ケース1内に時計モジュール等の破損しやすい精密機器等を収容している場合でも、ユーザの意図に反して誤って時計100が落下してしまうことを防止して、簡易かつ安全に時計100を着脱することができる。
【0036】
また本実施形態では、バンド2(ウェアラブルバンド)のバンド部材20は、バンド取付け状態において機器ケース1の一側(例えば時計における12時側)に配置される第1のバンド部21と、機器ケースの他側(例えば時計における6時側)に配置される第2のバンド部22と、を含み、第1部材23は第1のバンド部21側に設けられ、第2部材24は第2のバンド部22側に設けられている。
このように、バンド部材20が第1のバンド部21と第2のバンド部22とに分かれているため、バンド部材20の一部に破損等の不具合が生じた場合には、不具合を生じた部分(第1のバンド部21又は第2のバンド部22)のみを取り換えればよく便利である。
【0037】
また本実施形態では、第1部材23は、時計における12時側に配置される。
例えば時計100(腕時計)を装着する場合、特に右利きのユーザの場合には、バンド2全体を環状とするためにバンド部材20の一端側(第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側)を係止させる第1部材23が時計の12時側に配置され、あとから引っ張って係止させたい側の部材(本実施形態では第2のバックル部材32が設けられている第2のバンド部22側)が腕に装着した際に手前側となる6時側に設けられていた方が、バンド2の着脱を円滑に行うことができる。このため、第1部材23を時計における12時側に配置することで、バンド2を円滑に着脱することのできる時計100を実現することができる。
【0038】
[変形例]
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0039】
例えば、バンド部材20は布テープや革で形成されている場合に限定されず、シリコンやウレタン等の各種合成樹脂等で形成されていてもよい。
【0040】
また第1部材23の形状や設けられる位置、取付け手法等は、実施形態に示したものに限定されない。
例えば第1部材23は、ねじや軸等を介してバンド部材20に取り付けられていてもよい。
また第1部材23は、バンド部材20に取り付けられている場合に限定されない。
例えば第1部材23は、ねじや軸等を介して機器ケース1自体(例えば本実施形態で示したバンド取付け部11等)に取り付けられていてもよい。
さらに第1部材23は、機器ケース1と一体的に設けられていてもよい。すなわち、例えばバンド取付け部11が第1部材23として機能してもよい。
【0041】
また第2部材24の形状や設けられる位置、取付け手法等についても、実施形態に示したものに限定されず、適宜変更可能である。
また第2部材24は、その幅又は厚みが、第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも大きい「第1状態」、第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも小さい「第2状態」を取り得るものであればよい。
したがって第2部材24は、例えば幅は第1部材23の内部空間の幅(すなわち「第1長L1」(図2参照))よりも小さい状態のまま変わらずに、厚みが第1部材23の内部空間の厚みよりも大きい「第1状態」、第1部材23の内部空間の厚みよりも小さい「第2状態」を取り得るようになっていてもよい。
【0042】
また本実施形態では第2部材24自体が、第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも大きい「第1状態」と、第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも小さい「第2状態」と、を取り得る場合を例示したが、第2部材24は、他の部材を着脱することで「第1状態」と「第2状態」とを取り得るように構成されていてもよい。
例えば、第2部材24自体は、第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも小さい状態であり、例えば第2のバックル部材32を第2部材24に取り付けることで、第2部材24が第2のバックル部材32と一体となって第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも大きい「第1状態」となるようなものでもよい。これにより、第2のバックル部材32を取り外した状態(図5(a)参照)では第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも小さい「第2状態」であり、第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側を第1部材23に挿通させた後に第2のバックル部材32を第2部材24に取り付けることで「第1状態」となって、第2部材24の第1部材23からの抜け落ちを防止することができる。
【0043】
なおこの場合には、第2部材24は、必ずしもゴム等の弾性変形する弾性体で形成されている必要はない。第2部材24それ自体が係止手段を有する係止部材であってもよい。すなわちバンド部材全体が装着対象に対して環状となる状態を維持するための係止手段を第2部材24それ自体が備えていてもよい。
一旦第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側を第1部材23に挿通させてバンド2全体が環状となったのちは、第2のバックル部材32が第2部材24に取り付けられ、単にバンド2を着脱する際には第2のバックル部材32が取り付けられている状態が維持される。したがって、バンド2全体が環状となった常態において第2部材24は第2のバックル部材32と一体となって「第1状態」を維持する。
なお、この場合に第2部材24に着脱されて「第1状態」と「第2状態」とを取り得るようにする「他の部材」は第2のバックル部材32に限定されない。
【0044】
さらに第2部材24が設けられているバンド部材20の一端側が、第1部材23の内部空間に挿通後に、常態としてその幅又は厚みが第1部材23の内部空間の幅又は厚みよりも大きい「第1状態」となってもよい。
例えば第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側を第1部材23に挿通させたのちに、バンド部材20の一端側を折り返して第1部材23の内部空間の厚みよりも厚い状態とし、折り返し部分を接着したり縫うことによって当該状態(「第1状態」)を維持できるようにしてもよい。
【0045】
また係止手段であるバックル部材3の形状や設けられる位置等は、実施形態に例示したものに限定されない。
例えば第1のバックル部材31を第2のバンド部22に係止させる手法は、ベルトのように挿通部312にバンド部材20の布テープ部分等を挿通させるものに限定されない。
例えば、第1のバックル部材31は、バンド部材20の布テープ部分等にその一部を縫い付けたりバンド部材20内に縫い込んだりすることで係止されてもよいし、留め具等を介して係止されてもよい。
【0046】
また第2のバックル部材32を設ける位置や設ける手法についても実施形態に例示したものに限定されない。
例えば第2部材24及びバンド部材20の少なくとも一端側が第1部材23に挿通されている状態において、第1部材23と機器ケース1との間に第1の係止部材である第1のバックル部材31を設け、第1部材23と第2部材24との間に第2の係止部材である第2のバックル部材32を設けてもよい。この場合には、第2のバックル部材32についてもバンド部材20の布テープ部分等を挿通させる挿通部等を設けて、バンド部材20を挿通させるようにしてもよい。またバンド部材20の布テープ部分等にその一部を縫い付けたりバンド部材20内に縫い込んだりすることで係止されてもよいし、留め具等を介して係止されてもよい。
【0047】
なお第1のバックル部材31や第2のバックル部材32を縫い込むことで係止したり、留め具等を用いて係止した場合には、当該バックル部材の長手方向の位置が固定され、移動させることができなくなる。いずれか一方のみが固定されている場合には、固定されていない側のバックル部材を移動させることでバンド長の微調整を行う。また、第1のバックル部材31や第2のバックル部材32をバンド2の長手方向に移動させる以外の手法によりバンド長の微調整を行ってもよい。
【0048】
また係止部材は、本実施形態で例示したようなマグネット式のバックル部材3に限定されない。
例えば、面ファスナーや各種ボタン、フック等によって係止させる構成であってもよい。
またこれらと磁石との組み合わせで係止させる構成であってもよい。
【0049】
またバンド2は、装着して用いられるものであればよく、腕や手首に装着される場合に限定されない。
例えば脚や、腰等に装着されるものでもいい。またヘッドバンドのように頭部に装着されるものでもよい。
さらにバンド2の装着対象は人でなくてもよく、例えばペットに装着するバンド等に本実施形態のバンド2(ウェアラブルバンド)を適用してもよい。
【0050】
またバンド2は、本実施形態で例示したようにバンド部材20が第1のバンド部21、第2のバンド部22に分かれているものに限定されない。
例えば一つながりのバンド部材の一端側に第1部材23が設けられ他端側に第2部材24が設けられていてもよい。
このような一つながりのバンドを時計等のウェアラブル機器に適用する場合には、例えば機器ケースの非視認側等にバンド2を挿通させる挿通部を設けて、機器ケースにバンドを取り付ける。
また、第1のバンド部21が時計における6時側に配置され、第2のバンド部22が時計における12時側に配置されてもよい。さらに、バンド2を装着するユーザの利き手に応じて第1のバンド部21及び第2のバンド部22や第1部材23及び第2部材24の取り付け位置を使いやすいように適宜変えられるようにしてもよい。
【0051】
またウェアラブルバンドが取り付けられるウェアラブル機器は時計に限定されない。
例えば各種のスマートウォッチ、スポーツウォッチ等の電子機器、時刻の他、心拍や血流の情報等の生体情報を取得する各種電子機器等のウェアラブル機器に適用することも可能である。
さらにウェアラブルバンドは各種電子機器等の機器ケースに取り付けられて用いられるものに限定されず、バンドだけで使用されるようなものでもよい。
【0052】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、各実施形態の各要素を組み合わせてなるものでもよく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲をその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0053】
1 機器ケース
2 バンド(ウェアラブルバンド)
20 バンド部材
21 第1のバンド部
22 第2のバンド部
23 第1部材
24 第2部材
241 環状部分
3 バックル部材(係止手段)
31 第1のバックル部材(第1の係止手段)
32 第2のバックル部材(第2の係止手段)
100 時計(ウェアラブル機器)
L1 第1長
L2 第2長
L3 第3長
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7