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特開2024-126658情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126658
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
G01C21/26 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035200
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠山 茉央
(72)【発明者】
【氏名】平館 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】虞 淳韜
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和貴
(72)【発明者】
【氏名】小林 陽介
(72)【発明者】
【氏名】林 雄大
(72)【発明者】
【氏名】大林 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】水田 健人
(72)【発明者】
【氏名】村谷 瞭介
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129BB20
2F129DD13
2F129DD20
2F129DD32
2F129DD40
2F129DD53
2F129EE02
2F129EE43
2F129EE62
2F129EE78
2F129EE91
2F129EE95
2F129FF12
2F129FF20
2F129FF52
2F129FF60
2F129FF62
2F129FF72
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH35
(57)【要約】

【課題】更新処理の実行の可否を適切に判断可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、更新判定部と更新処理部とを備える。更新判定部は、車両の位置情報と、地図情報と、車載機器の機能を提供するためのプログラムまたはデータを更新する更新処理の実行を禁止する条件を示す禁止条件と、に基づいて、更新処理の実行の可否を判定する。更新処理部は、更新処理の実行が可能であると更新判定部が判定した場合に、更新処理を前記車載機器に実行させる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の位置情報と、地図情報と、前記車両に搭載された機器を示す車載機器の機能を提供するためのプログラムまたはデータを更新する更新処理の実行を禁止する条件を示す禁止条件と、に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する更新判定部と、
前記更新処理の実行が可能であると前記更新判定部が判定した場合に、前記更新処理を前記車載機器に実行させる更新処理部と、を備える、
情報処理装置。
【請求項2】
前記更新判定部は、さらに、前記車両のサイズまたは種類を少なくとも含む車両情報に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記更新判定部は、さらに、前記車両の位置情報に対応する場所に関する情報を示す場所情報に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記場所情報は、他の車両の混雑度合いを示す情報を含み、
前記更新判定部は、前記場所情報が示す混雑度合いが閾値以上の場合は、前記更新処理の実行を許可しない、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記更新判定部は、さらに、時刻情報に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記更新判定部は、時刻情報が示す現在の時刻が、前記車両の位置情報に対応する場所に隣接する施設の営業時間外の場合は、前記更新処理の実行を許可しない、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記更新判定部は、さらに、自装置と外部との通信状態を示す通信状態情報に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記地図情報のうち、前記更新判定部により前記更新処理の実行が可能または不可能と判定された場所を示す情報を出力する制御を行う出力制御部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記車両が、前記更新判定部により前記更新処理の実行が可能または不可能と判定された場所に入ったら、その旨を出力する制御を行う出力制御部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記車両が、前記更新判定部により前記更新処理の実行が不可能と判定された場所に停止した場合、その旨を出力する制御を行う出力制御部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記出力制御部は、前記更新処理を実行できない理由を出力する制御を行う、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記出力制御部は、前記更新処理の実行に必要な対応を出力する制御を行う、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記位置情報の精度が悪い場合、その旨を出力する制御を行う出力制御部をさらに備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
車両の位置情報と、地図情報と、前記車両に搭載された機器を示す車載機器の機能を提供するためのプログラムまたはデータを更新する更新処理の実行を禁止する条件を示す禁止条件と、に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する更新判定ステップと、
前記更新処理の実行が可能であると前記更新判定ステップが判定した場合に、前記更新処理を前記車載機器に実行させる更新処理ステップと、を含む、
情報処理方法。
【請求項15】
車両の位置情報と、地図情報と、前記車両に搭載された機器を示す車載機器の機能を提供するためのプログラムまたはデータを更新する更新処理の実行を禁止する条件を示す禁止条件と、に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する更新判定ステップと、
前記更新処理の実行が可能であると前記更新判定ステップが判定した場合に、前記更新処理を前記車載機器に実行させる更新処理ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されたECU(Electronic Control Unit)などの機器(車載機器)の機能を提供するためのプログラムまたはデータに対して、例えば機能追加、不具合の修正またはバージョンアップ等の必要が生じた際には、新たなプログラムまたはデータに書き換える更新処理を行うことが知られている。
【0003】
上記更新処理の実行に際しては、まずユーザに対して更新処理の実行を許可するか否かを問い合わせ、ユーザが許可した場合に更新処理が行われる。更新処理が行われている間は、車両が走行不可能な状態となることから、不適切な場所で更新処理が行われることを防止するために、更新処理の実行を許可または禁止する位置を示す位置情報を予め登録しておき、その予め登録した位置情報(事前登録位置情報)を用いて、更新処理の実行の可否を判断する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6696417号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記技術では、事前登録位置情報からしか更新処理の実行の可否を判断できないので柔軟性に欠け、更新処理の実行の可否を適切に判断できない場合もある。
【0006】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであって、更新処理の実行の可否を適切に判断可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の情報処理装置は、車両の位置情報と、地図情報と、前記車両に搭載された機器を示す車載機器の機能を提供するためのプログラムまたはデータを更新する更新処理の実行を禁止する条件を示す禁止条件と、に基づいて、前記更新処理の実行の可否を判定する更新判定部と、前記更新処理の実行が可能であると前記更新判定部が判定した場合に、前記更新処理を前記車載機器に実行させる更新処理部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、更新処理の実行の可否を適切に判断することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本明細書中に記載された何れかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の車両のシステム構成の一例を示す図である。
図2図2は、実施形態のECUのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態のゲートウェイのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態のゲートウェイの処理部が有する機能の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態の更新判定情報取得部の詳細な機能の一例を示す図である。
図6図6は、実施形態の更新処理の実行の可否の判断例を説明するための図である。
図7図7は、実施形態の更新処理の実行の可否の判断例を説明するための図である。
図8図8は、実施形態の更新処理の実行の可否の判断例を説明するための図である。
図9図9は、実施形態の更新処理の実行の可否の判断例を説明するための図である。
図10図10は、実施形態の更新処理の実行の可否の判断例を説明するための図である。
図11図11は、実施形態の更新処理を実行できない理由を示すメッセージの一例を示す図である。
図12図12は、実施形態の更新処理を実行できない場所を示す画面の一例を示す図である。
図13図13は、実施形態の更新処理を実行できない理由および更新処理を実行可能な場所へ移動することを促すメッセージの一例を示す図である。
図14図14は、実施形態の位置情報の精度が悪い旨を示すメッセージの一例を示す図である。
図15図15は、実施形態のメッセージの一例を示す図である。
図16図16は、実施形態のゲートウェイが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図17図17は、第2の実施形態の更新可否情報の一例を示す図である。
図18図18は、第2の実施形態の更新処理の実行を禁止することを示すアイコンの表示例を示す図である。
図19図19は、第2の実施形態の音声出力されるメッセージの一例を示す図である。
図20図20は、第2の実施形態のゲートウェイが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態に係る情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを詳細に説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、「情報処理装置」の一例であるゲートウェイ10が搭載された車両100のシステム構成の一例を示す図である。図1に示すように、車両100に搭載された複数のECU(Electronic Control Unit)2は、車両100内に設けられた通信線1a,1bおよびゲートウェイ10を介して相互に通信可能に構成されている。図1の例では、ゲートウェイ10には、通信線1aおよび通信線1bが接続される。通信線1aには2つのECU2および表示装置3が接続され、通信線1bには3つのECU2が接続される。
【0012】
また、図1に示すように、ゲートウェイ10には、さらに通信線1cが接続される。通信線1cには、無線通信装置4aおよび無線通信装置4bが接続される。図1の例では、ゲートウェイ10は、無線通信装置4aを介して、ユーザが所持する端末の一例であるスマートフォン5と通信可能である。また、ゲートウェイ10は、無線通信装置4bを介して、車両100外に設けられたサーバ装置6と通信可能である。
【0013】
さらに、図1に示すように、ゲートウェイ10には、車両100に設けられたイグニッションスイッチ(IGスイッチ)7からIG信号が入力される。また、ゲートウェイ10には、車両100に設けられたGPS受信装置8からGPS信号(GPS衛星から発信された電波)が入力される。
【0014】
ゲートウェイ10は、車両100の車内ネットワークを構成する通信線1a~1cのうちの何れかより受信したデータを他の通信線(1a~1cのうちの何れか)へ送信することによってデータの中継を行う。ゲートウェイ10の詳細な構成については後述する。
【0015】
ECU2は、車両100に搭載された機器を示す「車載機器」の一例である。複数のECU2は、例えば車両100のエンジンの動作を制御するECU2、ドアのロック/アンロックを制御するECU2、ライトの点灯/消灯を制御するECU2、エアバッグの動作を制御するECU2、および、ABS(Antilock Brake System)の動作を制御するECU2等を含む。各ECU2は、車両100に設けられた通信線1aまたは1bに接続され、通信線1aまたは1bを介して他のECU2およびゲートウェイ10との間で情報の送受信を行うことができる。
【0016】
図2は、本実施形態のECU2のハードウェア構成の一例を示す図である。各ECU2の基本的なハードウェア構成は同様である。図2に示すように、ECU2は、プロセッサ21と、記憶部22と、通信部23と、を備える。
【0017】
プロセッサ21は、ECU2の動作を統括的に制御し、記憶部22に記憶されたプログラムを実行することにより、各種の機能を実現可能である。なお、記憶部22に記憶されたプログラムは、ECU2が有する機能ごとに異なる(ECU2ごとに異なる)。
【0018】
記憶部22は、プロセッサ21が実行するプログラム、該プログラムを実行するのに必要なデータ等を記憶する。記憶部22は、例えばフラッシュメモリまたはEEPROM等のプログラム等を記憶する不揮発メモリと、プロセッサ21がプログラムを実行する際の作業領域として機能するRAM等の揮発メモリとを含む。
【0019】
通信部23は、通信線1aまたは1bに接続され、例えばCAN(Controller Area Network)などの通信プロトコルに従って情報の送受信を行うことができる。通信部23は、プロセッサ21から受信した情報を、通信線1aまたは1bへ出力して外部へ送信することもできるし、通信線1aまたは1bから受信した情報(例えば通信線1aまたは1bの電位をサンプリングすることにより情報を取得)を、プロセッサ21へ送信することもできる。
【0020】
本実施形態では、プロセッサ21は、記憶部22に記憶されたプログラムまたはデータ(ECU1の機能を提供するためのプログラムまたはデータ)を更新する更新処理を行う機能を有している。例えばプロセッサ21は、更新用の情報(プログラムまたはデータ)を、通信部23を介してゲートウェイ10から受信し、その受信した更新用の情報を用いて更新処理を行うことができる。
【0021】
図1に戻って説明を続ける。表示装置3は、例えば液晶ディスプレイであり、ECU2またはゲートウェイ10から与えられる表示命令などに応じて、車両100のユーザに対するメッセージ等を表示可能である。また、表示装置3は、例えばタッチパネル又はハードウェアキー等の操作部3aを有しており、操作部3aに対するユーザの操作を受け付けて、ECU2またはゲートウェイ10へ受け付けた操作内容を通知する。なお、表示装置3は、例えばカーナビゲーション装置と共用であってもよい。
【0022】
無線通信装置4aは、スマートフォン5と無線通信可能な装置である。また、無線通信装置4aは、通信線1cに接続され、通信線1cを介してゲートウェイ10との間でデータの送受信を行うことができる。
【0023】
無線通信装置4bは、例えば携帯電話通信網またはLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して、車両100外に設けられたサーバ装置6との間で情報の送受信を行うことができる。無線通信装置4bは、ゲートウェイ10とサーバ装置6との間の通信を中継することができ、ゲートウェイ10から受信した情報をサーバ装置6へ送信することもできるし、サーバ装置6から受信した情報をゲートウェイ10へ送信することもできる。
【0024】
本実施形態では、スマートフォン5と無線通信する無線通信装置4a、および、サーバ装置6と無線通信する無線通信装置4bの各々は個別に設けられているが、これに限らず、例えばスマートフォン5およびサーバ装置6の各々と無線通信可能な1つの無線通信装置4が車両100内に設けられる形態であってもよい。
【0025】
スマートフォン5は、例えば車両100のユーザが所持する可搬型の通信端末である。スマートフォン5は、無線通信装置4aを介してゲートウェイ10との間で情報を送受信するためのアプリケーション(プログラム)がインストールされている。なおスマートフォン5は、無線通信装置4aを介してゲートウェイ10と通信する形態ではなく、例えばUSB(Universal Serial Bus)などの通信ケーブルを介してゲートウェイ10と通信する形態であってもよい。また、ユーザが所持し、ゲートウェイ10と通信するための端末はスマートフォン5に限られるものではなく、例えば携帯電話機、タブレット型の端末、ノートパソコン、ゲーム機などであってもよい。
【0026】
サーバ装置6は、車両100に搭載されるECU2にて実行されるプログラムおよびデータを管理および記憶している。サーバ装置6は、車両100からの問い合わせに応じてプログラムなどの更新が必要であるか否かを通知するとともに、車両100からの要求に応じて、更新用の情報(プログラムまたはデータ)を車両100へ送信する。
【0027】
IGスイッチ7は、車両100のエンジンの始動などをユーザが行うためのスイッチであり、オンおよびオフの2つの状態の何れかに切り替わる。IG信号はIGスイッチ4の状態を表す信号であり、「オン」状態を示すIG信号は、例えば車両100のエンジンが動作しており、オルタネータなどによる発電が行われている状態である。「オフ」状態を示すIG信号は、車両100のエンジンが停止して発電が行われていない状態である。本実施形態では、「オン」状態を示すIG信号は、車速には関係なく車両100が走行している状態であるとし、「オフ」状態を示すIG信号は、車両100が停止(駐車)している状態であるとする。ただし、車両100の走行状態または駐車状態の区別は、IG信号に基づく形態には限らず、例えば車両100のシフトレバーの位置、パーキングブレーキの状態、車両100の速度などに基づいて決定される形態であってもよいし、IG信号とこれらを組み合わせて決定する形態であってもよい。
【0028】
GPS受信装置8は、複数のGPS衛星の各々から発信された電波を示すGPS信号を受信し、その受信したGPS信号をゲートウェイ10へ送信する。例えばGPS受信装置8で受信した複数のGPS信号に基づく3次元測位により車両100の現在位置を割り出すことが可能になる。
【0029】
本実施形態では、IGスイッチ7がオン状態の場合に、ゲートウェイ10とサーバ装置6との通信が行われ、サーバ装置6からゲートウェイ10へ更新用の情報が送信される。ゲートウェイ10は、上述の更新処理の実行の可否を判定し、その判定結果が肯定であって、かつ、IGスイッチ7がオフ状態の場合に(車両100が停止した場合に)、サーバ装置6から取得済みの更新用の情報を用いた更新処理をECU2に実行させる。以下、ゲートウェイ10の具体的な構成を説明する。
【0030】
図3は、ゲートウェイ10のハードウェア構成の一例を示す図である。図3に示すように、ゲートウェイ10は、処理部110と、記憶部120と、車内通信部130と、を備える。なお、ゲートウェイ10のハードウェア要素は、図3に例示した構成に限られるものではなく、他のハードウェア要素を備える形態であっても構わない。
【0031】
処理部110は、ゲートウェイ10の動作を統括的に制御する装置であり、例えばCPU又はMPU等の演算処理装置で構成される。処理部110は、記憶部120に記憶されたプログラムを実行することにより、各種の機能を実現可能である。処理部110が有する各種の機能については後述する。
【0032】
記憶部120は、地図情報、車両情報、禁止条件、処理部110が実行するプログラム(プログラムを実行するためのデータも含む)、サーバ装置6から取得した更新用の情報等を記憶する。
【0033】
車両情報は、車両100のサイズまたは種類を少なくとも含む情報である。例えば車両情報は、車両100の幅、全長等のサイズを示す情報、乗用車またはトラックかを識別可能な車種を示す情報等が含まれる。
【0034】
禁止条件は、更新処理の実行を禁止する(許可しない)条件である。例えば禁止条件として、信号付近等の駐車禁止エリア、道幅が狭い場所(自車両100を含めた2台以上の車両が通行不可能な場所)、私有地等の進入禁止エリアまたは駐停車禁止エリア等の地理的条件を設定可能である。道幅が狭い場所であるか否かは、地図情報に加えて、上述の車両情報が示すサイズに基づいて、自車両100を含めた2台以上の車両が通行可能か否かを判断することができる。また、進入禁止エリアまたは駐停車禁止エリアであるか否かは、地図情報に加えて、上述の車両情報が示す車種に基づいて判断することができる。車種ごとに、進入禁止エリアまたは駐停車禁止エリアが異なる場合もあるためである。車両情報、禁止条件を用いた具体的な処理については後述する。
【0035】
車内通信部130は、車内ネットワークを構成する通信線1a~1cに接続され、例えばCANなどの通信プロトコルに従って情報の送受信を行う。図3の例では、ゲートウェイ10は3つの車内通信部130を備えているが、車内通信部130の数は設計条件等に応じて任意に変更可能である。また、各車内通信部130は同じ通信プロトコルに従って通信を行う形態であってもよいし、互いに異なる通信プロトコルに従って通信を行う形態であってもよい。
【0036】
図4は、ゲートウェイ10の処理部110が有する機能の一例を示す図である。図4に示すように、処理部110は、更新判定情報取得部111と、更新判定部112と、出力制御部113と、受付処理部114と、更新処理部115と、を有する。なお、図4の例では、本実施形態の要部の説明に必要な機能のみを例示しているが、処理部110が有する機能はこれらに限られるものではない。
【0037】
更新判定情報取得部111は、更新処理の実行の可否の判定に用いられる情報を示す更新判定情報を取得する。図5は、更新判定情報取得部111の詳細な機能の一例を示す図である。図5に示すように、更新判定情報取得部111は、位置情報取得部201と、地図情報取得部202と、禁止条件取得部203と、車両情報取得部204と、場所情報取得部205と、時刻情報取得部206と、施設情報取得部207と、通信状態情報取得部208と、を有する。
【0038】
位置情報取得部121は、車両100の位置を示す位置情報を取得する。本実施形態では、位置情報取得部121は、GPS受信装置8から入力されたGPS信号に基づいて車両100の位置情報を求め、その求めた位置情報を取得することができる。なお、GPS信号に基づいて車両100の位置情報を求める機能は、位置情報取得部121とは別に設けられる形態であってもよい。例えば位置情報取得部121は、GPS受信装置8から入力されたGPS信号に基づいて車両100の位置情報を求めることはせずに、他の機能により求められた位置情報を取得する形態であってもよい。
【0039】
地図情報取得部202は、地図情報を取得する。本実施形態では、地図情報取得部202は、記憶部120に記憶された地図情報を取得する。なお、本実施形態では、地図情報の記憶先はゲートウェイ10内の記憶部120であるが、これに限らず、地図情報の記憶先は任意に変更可能であり、例えば車両100内のゲートウェイ10外に設けられたメモリに記憶される形態であってもよい。また、例えば地図情報取得部202は、車両100外の装置(サーバ等の外部装置)にアクセスし、該外部装置から地図情報を取得する形態であってもよい。
【0040】
禁止条件取得部203は、上述の禁止条件を取得する。本実施形態では、禁止条件取得部203は、記憶部120に記憶された禁止条件を取得する。なお、本実施形態では、禁止条件の記憶先はゲートウェイ10内の記憶部120であるが、これに限らず、禁止条件の記憶先は任意に変更可能であり、例えば車両100内のゲートウェイ10外に設けられたメモリに記憶される形態であってもよい。また、例えば禁止条件取得部203は、車両100外の装置(サーバ等の外部装置)にアクセスし、該外部装置から禁止条件を取得する形態であってもよい。
【0041】
車両情報取得部204は、上述の車両情報を取得する。本実施形態では、車両情報取得部204は、記憶部120に記憶された車両情報を取得する。なお、本実施形態では、車両情報の記憶先はゲートウェイ10内の記憶部120であるが、これに限らず、車両情報の記憶先は任意に変更可能であり、例えば車両100内のゲートウェイ10外に設けられたメモリに記憶される形態であってもよい。また、例えば車両情報取得部204は、車両100外の装置(サーバ等の外部装置)にアクセスし、該外部装置から車両情報を取得する形態であってもよい。
【0042】
場所情報取得部205は、車両の位置情報に対応する場所に関する情報を示す場所情報を取得する。場所情報は、例えば他の車両の混雑度合いを示す情報を含む。例えば場所情報取得部205は、地図情報取得部202により取得された地図情報を参照して、位置情報取得部201により取得された位置情報に対応する場所を特定し、サーバ等の車両100外の装置(外部装置)に対して、その特定した場所に関する場所情報を要求して取得することもできる。
【0043】
時刻情報取得部206は、現在の時刻を示す時刻情報を取得する。時刻情報の取得方法としては公知の様々な技術を利用可能である。
【0044】
施設情報取得部207は、地図情報取得部202により取得された地図情報内の施設に関する情報を示す施設情報を取得する。例えば施設情報は、施設の営業時間等を含む。例えば施設情報取得部207は、サーバ等の車両100外の装置(外部装置)に対して、施設情報を要求して取得することもできる。
【0045】
通信状態取得部208は、自装置(ゲートウェイ10)と外部との通信状態を示す通信状態情報を取得する。本実施形態では、通信状態取得部208は、車内通信部130から、無線通信装置4bと、更新用の情報を記憶および管理するサーバ装置6との間の通信状態(相互に接続されているか否か、十分な通信速度が担保されているか否か等)を示す通信状態情報を取得することができる。
【0046】
本実施形態では、以上に説明した位置情報、禁止条件、地図情報、車両情報、場所情報、時刻情報、施設情報、通信状態情報などが更新判定情報に含まれる。
【0047】
図4に戻って説明を続ける。更新判定部112は、更新処理の実行の可否を判定する。本実施形態では、更新判定部112は、位置情報取得部201により取得された位置情報と、地図情報取得部202により取得された地図情報と、禁止条件取得部203により取得された禁止条件と、に基づいて、更新処理の実行の可否を判定する。例えば禁止条件として、信号付近という地理的条件が設定されていた場合を想定する。この場合、更新判定部112は、地図情報を参照して、位置情報が示す車両100の位置が信号付近に該当するか否かを判断し、車両100の位置が信号付近に該当する場合は、更新処理の実行を許可しないと判定することができる。
【0048】
例えば禁止条件として、私有地という地理的条件が設定されていた場合を想定する。この場合、更新判定部112は、地図情報のうち、位置情報が示す車両100の位置が私有地に含まれるか否かを判断し、車両100の位置が私有地に含まれる場合は、更新処理の実行を許可しないと判定することができる。
【0049】
さらに、更新判定部112は、上述の車両情報取得部204により取得された車両情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定することができる。例えば禁止条件として、道幅が狭い場所(自車両100を含めた2台以上の車両が通行不可能な場所)という地理的条件が設定されていた場合を想定する。この場合、更新判定部112は、地図情報のうち、位置情報が示す車両100の位置に対応する道の幅が、自車両100を含めた2台以上の車両が通行可能であるか否かを、該道の幅と、車両情報が示す車両100の幅等のサイズとを用いて判断する。例えば図6に示すように、更新判定部112は、自車両100の位置に対応する道の幅が、自車両100を含めた2台以上の車両が通行不可能であると判断した場合は、更新処理の実行を許可しないと判定することができる。言い換えれば、更新判定部112は、車両100の位置は更新処理の実行を許可する場所ではないと判定(更新処理の実行を禁止する場所であると判定)することができる。
【0050】
一方、例えば図7に示すように、更新判定部112は、自車両100の位置に対応する道の幅が、自車両100を含めた2台以上の車両が通行可能であると判断した場合は、更新処理の実行を許可すると判定することができる。言い換えれば、更新判定部112は、車両100の位置は更新処理の実行を許可する場所であると判定(更新処理の実行を禁止する場所ではないと判定)することができる。
【0051】
図4に戻って更新判定部112の説明を続ける。例えば禁止条件として、駐停車禁止エリアという地理的条件が設定されていた場合を想定する。この場合、更新判定部112は、地図情報のうち、位置情報が示す車両100の位置に対応するエリアが、駐停車禁止エリアであるか否かを、該エリアの情報と、車両情報が示す車両100の種類とを用いて判断することができる。例えば車両100の車種がトラックであり、地図情報のうち位置情報に対応するエリアが、トラックの駐停車を禁止するエリアであった場合は、更新判定部112は、更新処理の実行を許可しないと判定することができる。例えばコンビニエンスストアまたはスーパーによっては、トラック等の大型車両の駐停車を禁止するエリアが設けられる場合もあり、本実施形態では、そのような場所での更新処理の実行を禁止する。
【0052】
さらに、更新判定部112は、上述の場所情報取得部205により取得された場所情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定することができる。例えば場所情報は、他の車両の混雑度合いを示す情報を含む場合を想定する。この場合、更新判定部112は、地図情報のうち、位置情報が示す車両100の位置に対応する場所情報が示す混雑度合いが閾値以上の場合は、更新処理の実行を許可しないと判定することができる。このような状況で更新処理が実行されると、車両100は更新処理が完了するまでの間、停車状態となるため、混雑の悪化を招くおそれがある。この例では、更新判定部112は、混雑度合いが閾値以上の地点においては更新処理の実行を許可しないと判定するので、混雑の悪化を抑制できる。
【0053】
図8および図9は、車両100の位置に対応する場所として、施設等に隣接する駐車場を想定した例であり、図8の例は混雑度合いが閾値未満の状態(混雑してない状態)を示し、図9の例は混雑度合いが閾値以上の状態(混雑している状態)を示している。図8の場合、更新判定部112は、更新処理の実行を許可すると判定する。言い換えれば、更新判定部112は、車両100の位置は更新処理の実行を許可する場所であると判定する。一方、図9の場合、更新判定部112は、更新処理の実行を許可しないと判定する。言い換えれば、更新判定部112は、車両100の位置は更新処理の実行を許可する場所ではないと判定する。
【0054】
図4に戻って更新判定部112の説明を続ける。更新判定部112は、さらに、上述の時刻情報取得部206により取得された時刻情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定することができる。より具体的には、更新判定部112は、時刻情報取得部206により取得された時刻情報が示す現在の時刻が、位置情報取得部210により取得された位置情報に対応する場所に隣接する施設の営業時間外の場合は、更新処理の実行を許可しないと判定することができる。言い換えれば、更新判定部112は、更新処理の実行を許可しない(禁止する)時刻であると判定することができる。一方、更新判定部112は、時刻情報取得部206により取得された時刻情報が示す現在の時刻が、位置情報取得部210により取得された位置情報に対応する場所に隣接する施設の営業時間内の場合は、更新処理の実行を許可すると判定することができる。言い換えれば、更新判定部112は、更新処理の実行を許可する時刻(タイミング)であると判定することができる。
【0055】
さらに詳述すると、更新判定部112は、地図情報取得部202により取得された地図情報を参照して、位置情報取得部201により取得された位置情報に対応する場所に隣接する施設が存在する場合は、該施設に関する施設情報を、施設情報取得部207から取得する。上述したように、施設情報は施設の営業時間を含むので、更新判定部112は、時刻情報取得部206により取得された時刻情報が示す現在の時刻が、施設情報が示す営業時間外か否かを判定して、更新処理の実行の可否を判定できる。
【0056】
例えば図10に示すように、自車両100に対応する場所が駐車場であり、該駐車場に隣接する施設の営業時間が午前9:00~午後17:00である場合を想定する。例えば現在の時刻が午後16:00の場合は営業時間内であるため、更新判定部112は更新処理の実行を許可すると判定することができる。一方、例えば現在の時刻が午後19:00の場合は営業時間外となるため、更新判定部112は更新処理の実行を許可しないと判定することができる。
【0057】
図4に戻って更新判定部112の説明を続ける。更新判定部112は、さらに、上述の通信状態情報取得部208により取得された通信状態情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定することができる。例えば更新判定部112は、通信状態情報が示す通信状態が悪い場合(ゲートウェイ10とサーバ装置6とがネットワーク接続されてない場合、十分な通信速度を担保できていない場合等)は、更新処理の実行を許可しないと判定することができる。
【0058】
本実施形態では、更新判定部112は、以上に説明した各判定の判定結果が肯定であり、かつ、車両100が停止中(駐停車中)の場合に、車両100の更新処理の実行を最終的に許可する。上述したように、車両100が停止中であるか否かは、IG信号に基づいて判断することができる。また、本実施形態では、更新判定部112は、位置情報、禁止条件、地図情報、車両情報、場所情報、時刻情報、施設情報、通信状態情報を含む更新判定情報を用いて、更新処理の実行の可否を判定しているが、これに限らず、例えば更新判定部112は、更新判定情報のうち、位置情報、禁止条件、地図情報以外の情報の一部または全部については利用せずに、更新処理の実行の可否を判定する形態であってもよい。
【0059】
図4の説明を続ける。図4に示す出力制御部113は情報の出力を制御する。例えば出力制御部113は、表示装置3に情報を表示する制御を行うこともできるし、不図示のスピーカから情報を音声出力する制御を行うこともできる。例えば出力制御部113は、更新判定部112により更新処理の実行が可能であると判定された場合に、更新処理の実行の可否をユーザに問い合わせる処理を行う。例えば出力制御部113は、更新処理の実行の可否をユーザに問い合わせるメッセージを表示装置3に表示する制御を行う。例えば出力制御部113は、「ECUのソフトウェア更新処理を実行しますか?」のような問い合わせメッセージを表示装置3に表示する制御を行うことができる。ユーザは、表示装置3の操作部3aに対する操作を行うことによって、この問い合わせに対する応答を行うことができる。
【0060】
また、出力制御部113は、車両100が更新判定部112により更新処理の実行が不可能と判定(更新処理の実行を許可しないと判定)された場所に停止した場合、その旨を出力する制御を行うこともできる。この場合、例えば出力制御部113は、更新処理を実行できない理由を出力する制御を行うこともできる。例えば出力制御部113は、図11に示すようなメッセージを表示装置3に表示する制御を行うこともできる。また、出力制御部113は、更新処理を実行するために必要な対応を出力する制御を行うこともできる。例えば図12に示すように、出力制御部113は、更新処理を実行できない場所をハッチングで示す画面を表示装置3に表示し、更新処理を実行可能な場所(ハッチングが施されてない場所)へ移動することを提案することもできる。この際、出力制御部113は、図12の画面に、更新処理を実行可能な場所へ移動することを促すメッセージを併せて表示してもよい。また、例えば出力制御部113は、図12の画面に、図11のメッセージを重畳して表示する制御を行うこともできる。また、例えば出力制御部113は、図13に示すような、更新処理を実行できない理由および更新処理を実行可能な場所へ移動することを促すメッセージを、スピーカから音声出力する制御を行うこともできる。この音声出力は、図11または図12の画面表示と同時に行ってもよいし、単独で行ってもよい。
【0061】
図11乃至図13の例では、更新処理を実行できない理由として、車両100が、禁止条件で定められた進入禁止場所に位置していた場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、例えば車両100(ゲートウェイ10)がサーバ装置6とネットワーク接続されていない状態で停止した場合、更新処理を実行できない理由としてネットワーク接続されてない旨を出力するとともに、更新処理を実行するための対応として、ネットワークへの接続を促す旨を出力することもできる。
【0062】
また、出力制御部113は、車両100の位置情報の精度が悪い場合、その旨を出力する制御を行うこともできる。本実施形態では、車両100が更新判定部112により更新処理の実行を許可すると判定された場所に停止した場合であっても、上述の問い合わせメッセージを出力する前に車両100の位置情報の精度を判定し、出力制御部113は、精度が悪い場合はその旨を出力する制御を行う。例えば出力制御部113は、図14に示すメッセージを表示装置3に表示する制御を行うことができる。このメッセージを見たユーザは、自身が更新処理を実行してよいと判断した場合は、表示装置3の操作部3aに対する操作を行うことによって、更新処理の実行を許可する操作を行うことができる。また、例えば出力制御部113は、図15に示すメッセージをスピーカから音声出力する制御を行うこともできる。一方、位置情報の精度が十分である場合、出力制御部113は上述の問い合わせメッセージを出力する制御を行う。
【0063】
位置情報の精度を判定する方法の一例としては、GPS受信装置8がGPS信号を受信できない期間(言い換えれば、位置情報取得部201がGPS受信装置8からGPS信号を受信できない期間)が所定期間以上にわたった場合に、位置情報の精度が悪いと判定する方法であってもよい。要するに、位置情報の精度が悪いとは、位置情報取得部201が位置情報を取得できない状態を意味する。位置情報の精度を判定する主体は任意に変更可能であり、例えば出力制御部113でもよいし、他の機能であってもよい。
【0064】
図4に戻って説明を続ける。図4に示す受付処理部114は、ユーザの操作を受け付ける処理を行う。より具体的には、表示装置3は操作部3aに対するユーザの操作の内容をゲートウェイ10へ送信する。受付処理部114は、表示装置3から車内通信部130を介して送信されたユーザの操作内容を受信して受け付けることができる。
【0065】
更新処理部115は、更新処理の実行が可能であると更新判定部122が判定した場合に、更新処理をECU2に実行させる。本実施形態では、更新処理部115は、ユーザが更新処理の実行を許可する操作を受付処理部114で受け付けた場合、更新対象のECU2(サーバ装置6から取得済みの更新用の情報を用いて更新が行うことができるECU2)に更新処理を実行させる。更新処理部115は、サーバ装置6から取得した記憶部120に記憶した更新用の情報を読み出し、読み出した更新用の情報を更新対象のECU2へ送信し、更新対象のECU2は、受信した更新用の情報を用いて更新処理を実行する。例えばECU2は、記憶部22に記憶された更新前のプログラムを、更新処理部115から受信した更新用の情報に含まれるプログラムで上書きすることにより、プログラムの更新を行うことができる。
【0066】
図16は、本実施形態のゲートウェイ10(処理部110)が実行する処理の一例を示すフローチャートである。処理部110は、図16に示す処理を所定の周期で繰り返し実行する。なお、以下の処理部110が有する各機能による処理の説明において、前述の説明と重複する部分については適宜説明を省略する。また、図16のフローチャートの各ステップの順番については、図16の例に限られるものではなく、適宜に変更可能である。
【0067】
図16に示すように、車両情報取得部204は車両情報を取得する(ステップS1)。次に、通信状態情報取得部208は通信状態情報を取得する(ステップS2)。更新判定部112が、ステップS2で取得された通信状態情報が示す通信状態が良好であると判定した場合(ステップS3:Yes)、処理はステップS4に移行し、通信状態が良好でないと判定した場合(ステップS3:Nо)、処理はステップS2に戻される。
【0068】
ステップS4において、位置情報取得部201は車両100の位置情報を取得する(ステップS4)。次に、地図情報取得部202は地図情報を取得する(ステップS5)。次に、禁止条件取得部203は禁止条件を取得する(ステップS6)。
【0069】
次に、更新判定部112は、ステップS1で取得された車両情報と、ステップS4で取得された位置情報と、ステップS5で取得された地図情報と、ステップS6で取得された禁止条件とに基づいて、位置情報が示す車両100の位置が、更新処理を実行可能な場所であるか否かを判断する(ステップS7)。この判断方法は上述したとおりである。
【0070】
ステップS7の結果が肯定の場合(ステップS7:Yes)、場所情報取得部205は、ステップS4で取得された位置情報に対応する場所情報を取得する(ステップS8)。ステップS7の結果が否定の場合(ステップS7:Nо)、処理は後述のステップS14に移行する。
【0071】
ステップS8の後、更新判定部112は、ステップS8で取得された場所情報に基づいて、車両100の位置が、更新処理を実行可能な場所であるか否かを判定する(ステップS9)。上述したように、例えば更新判定部112は、場所情報が示す混雑度合いが閾値以上の場合は、更新処理の実行を許可しないと判定するため、この場合は、車両100の位置は更新処理を実行可能な場所ではないと判定することができる。
【0072】
ステップS9の結果が肯定の場合(ステップS9:Yes)、時刻情報取得部206は時刻情報を取得し(ステップS10)、施設情報取得部207は、ステップS4で取得された位置情報が示す位置に隣接する施設に関する施設情報を取得する(ステップS11)。ステップS9の結果が否定の場合(ステップS9:Nо)、処理は後述のステップS14に移行する。
【0073】
ステップ11の後、更新判定部112は、ステップS10で取得された時刻情報と、ステップS11で取得された施設情報とに基づいて、更新処理を実行可能な時刻(タイミング)であるか否かを判定する(ステップS12)。上述したように、例えば更新判定部112は、時刻情報が示す現在の時刻が、施設情報が示す営業時間外の場合は、更新処理の実行を許可しないと判定するので、この場合は、更新処理を実行可能な時刻ではないと判定することができる。ステップS12の結果が肯定の場合(ステップS12:Yes)、処理はステップS13に移行し、否定の場合(ステップS12:Nо)、処理はステップS14に移行する。
【0074】
ステップS13において、更新判定部112は、IG信号に基づいて、車両100が駐停車中であるか否かを判断する。車両100が駐停車中の場合(ステップS13:Yes)、更新判定部112は、更新処理を実行可能な状態であるとして、処理は後述のステップS15に移行する。一方、車両100が駐停車中ではない場合(ステップS13:Nо)、処理はステップS2に戻される。
【0075】
ステップS14において、更新判定部112は、IG信号に基づいて、車両100が駐停車中であるか否かを判断する。車両100が駐停車中の場合(ステップS14:Yes)、更新判定部112は、更新処理を実行不可能な状態であるとして、処理は後述のステップS15に移行する。一方、車両100が駐停車中ではない場合(ステップS14:Nо)、処理はステップS2に戻される。
【0076】
ステップS15において、更新判定部112は、更新処理が必要であるか否かを判断する(ステップS15)。例えば更新判定部112は、何れかのECU2の更新用の情報をサーバ装置6から取得していた場合は、該ECU2の更新処理が必要であると判断することができる。ステップS15の結果が否定の場合(ステップS15:Nо)、処理は終了する。ステップS15の結果が肯定の場合(ステップS15:Yes)、更新判定部112は、更新処理を実行可能な状態であるか否かを確認する(ステップS16)。
【0077】
ステップS16の結果が否定の場合(ステップS16:Nо)、つまり、車両100が更新処理の実行が不可能な状態で駐停車した場合、出力制御部113は、図11に示すような、更新処理を実行できない理由を示すメッセージを表示装置3に表示する制御を行い(ステップS17)、処理は終了する。上述したように、このとき出力制御部113は、更新処理を実行するために必要な対応を出力(表示出力または音声出力)する制御を行うこともできる。
【0078】
ステップS16の結果が肯定の場合(ステップS16:Yes)、つまり、車両100が更新処理の実行が可能な状態で駐停車した場合、処理部110は、ステップS4で取得される位置情報の精度が悪いか否かを判断する(ステップS18)。この判断方法は上述したとおりである。
【0079】
ステップS18の結果が肯定の場合(ステップS18:Yes)、出力制御部113は、通信状態が悪い旨を示すメッセージ(例えば図14等)を表示装置3に表示する制御を行う(ステップS19)。ステップS18の結果が否定の場合(ステップS18:Nо)、出力制御部113は、更新処理の実行の可否をユーザに問い合わせる上述の問い合わせメッセージを表示装置3に表示する制御を行う(ステップS20)。
【0080】
ステップS19またはステップS20の後のステップS21において、受付処理部114が、更新処理の実行を許可する操作を受け付けた場合(ステップS21:Yes)、更新処理部115は、更新対象のECU2に更新処理を実行させる(ステップS22)。
【0081】
以上に説明したように、本実施形態のゲートウェイ10は、車両100の位置情報と、地図情報と、禁止条件と、に基づいて、更新処理の実行を判定する。これにより、禁止条件に応じて更新処理の実行を禁止する場所を動的に変化させることができるので、更新処理の実行の可否を柔軟かつ適切に判定できる。
【0082】
また、本実施形態のゲートウェイ10は、さらに、車両100のサイズまたは種類を少なくとも含む車両情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定する。つまり、車両情報も反映させて更新処理の実行を禁止する場所(更新処理の実行を許可しない場所)を動的に変化させて、更新処理の実行の可否を判定するので、より柔軟かつ適切に判定できる。
【0083】
また、上述したように、本実施形態のゲートウェイ10は、車両100の位置に対応する場所情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定する。例えば場所情報は、他の車両の混雑度合いを示す情報を含み、上述の本実施形態のゲートウェイ10は、場所情報が示す混雑度合いが閾値以上の場合は、更新処理の実行を許可しないと判定するので、混雑している状況下で更新処理が実行されることによる混雑の悪化を抑制できる。
【0084】
また、上述したように、本実施形態のゲートウェイ10は、時刻情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定する。さらに言えば、時刻情報が示す現在の時刻が、車両100の位置に対応する場所に隣接する施設の営業時間外の場合は、更新処理の実行を許可しないと判定する。これにより、例えば施設の営業時間外において、該施設に隣接する駐車場で更新処理のための無駄な駐車が発生することを抑制できる。
【0085】
また、上述したように、本実施形態のゲートウェイ10は、通信状態情報に基づいて、更新処理の実行の可否を判定し、通信状態が悪い場合(ゲートウェイ10とサーバ装置6とがネットワーク接続されてない場合、十分な通信速度を担保できていない場合等)は、更新処理の実行を許可しないと判定する。これにより、例えば通信不良のために、いつまで経っても更新処理が完了しないといった不具合を抑制できる。
【0086】
また、上述したように、本実施形態のゲートウェイ10は、車両100が、更新判定部112により更新処理の実行が不可能と判定された場所に停止した場合、その旨を出力する制御を行う。上述したように、本実施形態のゲートウェイ10は、車両100が、更新判定部112により更新処理の実行が不可能と判定された場所に停止した場合、更新処理を実行できない理由を示すメッセージを表示装置3に表示する制御を行う。これにより、ユーザは、更新処理を実行できない理由を直ちに把握することができ、更新処理を実行するために必要な対応を採ることが容易になる。また、出力制御部113は、更新処理を実行するために必要な対応を出力する制御を行うこともできる。これにより、ユーザは更新処理を実行するために必要な対応を直ちに把握することができ、スムーズな対応が可能となるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0087】
また、上述したように、本実施形態のゲートウェイ10は、車両100の位置情報の精度が悪い場合、その旨を出力する制御を行う。位置情報の精度が悪い場合は、更新判定部112による判定精度にも影響が出るおそれがあり、更新処理の実行を許可しない場所での更新処理となる可能性もある。本制御は、このような場合はユーザ判断で実施の可否を決めさせることを目的とする。
【0088】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態と共通する部分については適宜、説明を省略する。本実施形態では、ゲートウェイ10は、更新処理の実行が可能または不可能と判定された場所を示す情報を出力する制御を行い、車両100が、更新処理の実行が可能または不可能な場所に入った場合はその旨を出力する等の制御を行う点で上述の第1の実施形態と相違する。本実施形態では、上述の更新判定部112および出力制御部113の各々の一部の機能が上述の第1の実施形態と相違するのみであり、その他の機能は上述の第1の実施形態と同様である。
【0089】
この例では、車両100の走行中において、地図情報に基づくナビゲーション用のマップを表示装置3に表示する形態を想定する。更新判定部112は、上述の地図情報、禁止条件、車両情報、場所情報、時刻情報、施設情報、通信状態情報に基づいて、地図情報のうち更新処理の実行を許可しない場所を判定する。以下では、地図情報のうち、更新判定部112により更新処理の実行を許可しないと判定された場所を示す情報を更新可否情報と称する。
【0090】
出力制御部113は、例えば図17に示す更新可否情報を表示装置3に表示する制御を行うことができる。図17に示す更新可否情報は、地図情報のうち、更新判定部112により更新の実行を許可しないと判定された場所をハッチングで示す形態であるが、表示の仕方は任意であり、これに限られるものではない。例えば上記とは反対に、更新判定部112により更新の実行を許可すると判定された場所に対してのみハッチングを施す態様であってもよい。要するに、出力制御部113は、更新判定部112により更新処理の実行が可能または不可能と判定された場所を示す情報を出力する形態であればよい。
【0091】
また、出力制御部113は、車両100が、上述の更新可否情報が示す場所に入ったら、その旨を出力する制御を行うことができる。例えば図18に示すように、出力制御部113は、車両100が、地図情報のうち更新判定部112により更新処理の実行を許可しない場所に入った場合、更新処理の実行を禁止することを示すアイコンを表示することもできる。なお、車両100が、更新可否情報が示す場所に入ったことを示すための出力方法はこれに限らず任意であり、例えば車両100のアイコンを強調表示する形態であってもよいし、図19に示すように、スピーカから、車両100が、更新可否情報が示す場所に入ったことを示すメッセージを音声出力する形態であってもよい。
【0092】
図20は、第2の実施形態のゲートウェイ10(処理部110)が実行する処理の一例を示すフローチャートである。上述の第1の実施形態と重複する部分については適宜、説明を省略する。なお、図20のフローチャートの各ステップの順番については、図20の例に限られるものではなく、適宜に変更可能である。
【0093】
図20に示すように、車両情報取得部204は車両情報を取得する(ステップS101)。次に、地図情報取得部202は地図情報を取得する(ステップS102)。次に、禁止条件取得部203は禁止条件を取得する(ステップS103)。次に、場所情報取得部205は、地図情報上の場所ごとに、該場所に関する情報を示す場所情報を取得する(ステップS104)。次に、時刻情報取得部206は時刻情報を取得する(ステップS105)。次に、施設情報取得部207は地図情報上の施設ごとに、該施設に関する情報を示す施設情報を取得する(ステップS106)。次に、通信状態情報取得部208は通信状態情報を取得する(ステップS107)。
【0094】
次に、更新判定部112は、上述のステップS101~ステップS107で取得された更新判定情報を用いて、上述の更新可否情報を生成する(ステップS108)。次に、出力制御部113は、ステップS108で生成された更新可否情報を出力する制御を行う(ステップS109)。この例では、出力制御部113は、更新可否情報を表示装置3に表示する制御を行う。これにより、車両100を運転するユーザは、更新可否情報を見ることで、更新処理の実行が可能な場所または不可能な場所を把握することができる。
【0095】
次に、位置情報取得部201は車両100の位置情報を取得する(ステップS110)。次に、更新判定部112は、ステップS108で生成した更新可否情報と、ステップS110で取得された位置情報とに基づいて、更新処理の実行を許可するか否かを判断する(ステップS111)。この例では、更新判定部112は、更新可否情報が示す更新処理の実行を許可しない場所に位置情報が含まれる場合は、更新処理の実行を許可しない一方、更新処理の実行を許可しない場所に位置情報が含まれない場合は、更新処理の実行を許可することができる。
【0096】
ステップS111の結果が否定の場合(ステップS110:Nо)、出力制御部113は、車両100が、更新処理の実行を許可しない場所に入った旨を出力する制御を行う(ステップS112)。ステップS111の結果が肯定の場合(ステップs110:Yes)、出力制御部113は、車両100が、更新処理の実行を許可する場所に入った旨を出力する制御を行う(ステップS113)。
【0097】
ステップS112の後、更新判定部112は、IG信号に基づいて、車両100が駐停車中であるか否かを判断する(ステップS114)。車両100が駐停車中の場合(ステップS114:Yes)、更新判定部112は、更新処理を実行不可能な状態であるとして、処理はステップS116に移行する。一方、車両100が駐停車中ではない場合(ステップS114:Nо)、処理はステップS110に戻される。
【0098】
ステップS113の後、更新判定部112は、IG信号に基づいて、車両100が駐停車中であるか否かを判断する(ステップS115)。車両100が駐停車中の場合(ステップS115:Yes)、更新判定部112は、更新処理を実行可能な状態であるとして、処理はステップS116に移行する。一方、車両100が駐停車中ではない場合(ステップS1115:Nо)、処理はステップS110に戻される。
【0099】
ステップS116以降の処理は、第1の実施形態の図16のステップS15以降の処理と同じなので詳細な説明は省略する。
【0100】
以上に説明したように、本実施形態の出力制御部113は、更新判定部112より更新処理の実行が不可能と判定された場所を示す更新可否情報を出力する制御を行い、車両100が、更新可否情報が示す場所に入ったら、その旨を出力する制御を行う。これにより、車両100のユーザは、現在、更新処理の実行が不可能な位置にいるかどうかを容易に把握することができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。また、本実施形態の構成でも、上述の第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0101】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述の実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら新規な実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 通信線
2 ECU
3 表示装置
4 無線通信装置
5 スマートフォン
6 サーバ装置
7 IGスイッチ
8 GPS受信装置
10 ゲートウェイ
100 車両
110 処理部
111 更新判定情報取得部
112 更新判定部
113 出力制御部
114 受付処理部
115 更新処理部
120 記憶部
130 車内通信部
201 位置情報取得部
202 地図情報取得部
203 禁止条件取得部
204 車両情報取得部
205 場所情報取得部
206 時刻情報取得部
207 施設情報取得部
208 通信状態情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20