(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126674
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】留置装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/966 20130101AFI20240912BHJP
【FI】
A61F2/966
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035233
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】横田 知明
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA56
4C267BB02
4C267BB52
4C267CC07
4C267GG04
4C267GG06
4C267GG07
4C267GG10
4C267GG24
(57)【要約】
【課題】軸状部材上で線状部材を保持する箇所の周方向のずれを抑制できる留置装置を提供する。
【解決手段】径方向に拡張可能な管状留置具を生体管腔内に留置する留置装置は、管状留置具を収容可能なシースと、管状留置具を保持可能に構成され、シースの内側にて遠位側を軸方向に沿って進退可能に構成された長尺の軸状部材と、軸状部材の軸方向に沿って配設され、軸状部材に保持された管状留置具の軸方向の一部分の拡張状態を制御する線状部材と、線状部材を摺動可能に保持する保持部を有し、軸状部材の周方向に回動自在に取り付けられるガイド部材と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に拡張可能な管状留置具を生体管腔内に留置する留置装置であって、
前記管状留置具を収容可能なシースと、
前記管状留置具を保持可能に構成され、前記シースの内側にて遠位側を軸方向に沿って進退可能に構成された長尺の軸状部材と、
前記軸状部材の軸方向に沿って配設され、前記軸状部材に保持された前記管状留置具の軸方向の一部分の拡張状態を制御する線状部材と、
前記線状部材を摺動可能に保持する保持部を有し、前記軸状部材の周方向に回動自在に取り付けられるガイド部材と、
を備える留置装置。
【請求項2】
前記軸状部材に対して固定された一対の位置決め部をさらに備え、
前記ガイド部材は、一対の前記位置決め部で軸方向に挟まれて前記軸状部材の軸方向の所定位置に位置決めされる
請求項1に記載の留置装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記軸状部材が挿通される開口を有し、
前記位置決め部は、前記軸状部材に挿通された前記ガイド部材を軸方向両側から挟むように前記軸状部材にそれぞれ固定されるストッパー部材で構成される
請求項2に記載の留置装置。
【請求項4】
前記軸状部材には、筒状の接続部の軸方向両側に一対の前記位置決め部が一体に成形されたストッパー部材が固定され、
前記ガイド部材は、径方向に切り欠きを有し、前記切り欠きを介して前記接続部の外周に回動自在に取り付けられる
請求項2に記載の留置装置。
【請求項5】
前記軸状部材の外周には、一対の前記位置決め部が加工され、
前記ガイド部材は、径方向に切り欠きを有し、前記軸状部材の前記位置決め部の間に形成される取付部位に前記切り欠きを介して回動自在に取り付けられる
請求項2に記載の留置装置。
【請求項6】
前記ガイド部材の前記保持部は、前記位置決め部よりも径方向外側の位置で前記線状部材を保持する
請求項2から請求項5のいずれか1項に記載の留置装置。
【請求項7】
前記ガイド部材の前記保持部は、軸方向において前記位置決め部との境界を跨いで前記線状部材を保持する
請求項6に記載の留置装置。
【請求項8】
前記ガイド部材は、前記軸状部材の軸方向に間隔をあけて複数配置される
請求項1に記載の留置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、径方向に拡張可能な管状留置具を生体管腔内に留置する留置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食道、胃、小腸、大腸、胆管などの消化管や血管(以下、「生体管腔」と称する)に生じた狭窄部又は閉塞部に留置され、病変部位を拡径して生体管腔の開存状態を維持する管状留置具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
管状留置具は、カテーテルなどの留置装置を用いて留置目標部位まで送達される。そして、留置装置の軸状部材に沿って配設された線状部材の牽引により、軸状部材に対する管状留置具の拘束が解除されて管状留置具の展開が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の留置装置において、軸状部材上で線状部材を保持する箇所が周方向にずれていると線状部材が絡まって、線状部材を牽引するときの抵抗が大きくなる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は上記の状況に鑑みてなされたものであって、軸状部材上で線状部材を保持する箇所の周方向のずれを抑制できる留置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、径方向に拡張可能な管状留置具を生体管腔内に留置する留置装置である。留置装置は、管状留置具を収容可能なシースと、管状留置具を保持可能に構成され、シースの内側にて遠位側を軸方向に沿って進退可能に構成された長尺の軸状部材と、軸状部材の軸方向に沿って配設され、軸状部材に保持された管状留置具の軸方向の一部分の拡張状態を制御する線状部材と、線状部材を摺動可能に保持する保持部を有し、軸状部材の周方向に回動自在に取り付けられるガイド部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、軸状部材上で線状部材を保持する箇所の周方向のずれを抑制できる留置装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態の留置装置を示す模式図である。
【
図2】インナーチューブ上に配置されたガイド部材を模式的に示す説明図である。
【
図3】第1実施形態のガイドリブの構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態のガイドリブの動きを説明する図である。
【
図5】第2実施形態のガイドリブの構成例を示す図である。
【
図6】第3実施形態のガイドリブの構成例を示す図である。
【
図7】回り止めを有するガイドリブの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、実施形態に係る留置装置の構成例について説明する。なお、図面における各部の形状、寸法等は模式的に示したもので、実際の形状や寸法等を示すものではない。
【0011】
また、以下の説明では、留置装置のオペレータからみて遠い方を遠位側と称し、オペレータからみて近い方を近位側と称する。図面では、留置装置の長手方向(軸方向Ax)を適宜矢印で示す。また、長手方向に略直交する方向を径方向と定義し、長手方向を中心とする回転方向を周方向と定義する。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の留置装置を示す模式図である。
図2は、インナーチューブ上に配置されたガイドリブを模式的に示す説明図である。
【0013】
第1実施形態の留置装置1は、ステント5を生体管腔内に搬送して留置するための装置である。
図1、
図2に示すように、留置装置1は、インナーチューブ2と、シース3と、ストリング6と、ガイドリブ10とを備えている。
【0014】
ここで、ステント5は、管状留置具の一例であって、生体管腔内の狭窄部位や閉塞部位等の病変部位に留置され、これらの病変部位を拡張させるために適用される。ステント5は、留置装置1のシース3に収容されて径方向内側に収縮された状態で生体管腔内に導入される。ステント5は、生体管腔内の所定位置に運ばれた後にシース3から放出され、径方向外側に拡張する。
【0015】
ステント5は、拡張状態の形状が記憶されたいわゆる自己拡張型の筒状骨格を有し、径方向内側に収縮した収縮状態から径方向外側に拡張した拡張状態へと自己拡張するように変形可能である。ステント5の骨格は、例えば、金属線材をフェンス状に編み込んで形成されてもよく、金属線材を螺旋状に巻回して形成されていてもよい。なお、ステント5は、骨格を覆う筒状の皮膜を有するステントグラフトであってもよい。
【0016】
ステント5の骨格の材料としては、例えば、Ni-Ti合金(ニチノール)、コバルト-クロム合金、チタン合金、及びステンレス鋼等に代表される公知の金属又は金属合金が挙げられる。Ni-Ti合金を材料に用いる場合、骨格を拡張状態の形状に整えた後に所定の熱処理を施すことにより、拡張状態の形状を骨格に記憶させることができる。なお、ステント5の骨格は、金属以外の材料(例えば、セラミックや樹脂等)で形成されていてもよい。
【0017】
シース3は、収縮状態のステント5と、インナーチューブ2とをその内側に収容可能な管状部材である。シース3の近位側には、オペレータに把持されるスライダ9が設けられている。
【0018】
シース3の材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及び、ポリ塩化ビニル系樹脂等から選択された生体適合性を有する合成樹脂(エラストマー)、これら樹脂に他の材料が混合された樹脂コンパウンド、これらの合成樹脂による多層構造体、並びに、これら合成樹脂と金属線との複合体などが挙げられる。
【0019】
インナーチューブ2は、シース3よりも長尺の軸状部材であり、近位側にはオペレータが把持するハンドル8が設けられている。シース3のスライダ9をハンドル8に対して軸方向に相対移動させることで、インナーチューブ2はシース3の内側で遠位側を軸方向に沿って進退可能に構成される。なお、インナーチューブ2の材料としては、例えば、樹脂(プラスチック及びエラストマー等)並びに金属など、適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料が挙げられる。
【0020】
また、インナーチューブ2は、遠位側の小径部2aと、小径部2aよりも近位側に形成された大径部7とを有する。インナーチューブ2の小径部2aの外周部には、収縮状態のステント5が保持される。また、インナーチューブ2の大径部7は、小径部2aとの段差によりステント5の近位側への移動を規制する。なお、インナーチューブ2の遠位端には、シース3の遠位側の端部開口を塞ぐ先端チップ4が取り付けられている。
【0021】
ストリング6は、線状部材の一例であって、インナーチューブ2の軸方向に沿って配設される。また、ストリング6の材料としては、例えば、ナイロン繊維やフッ素繊維などの縫合糸や樹脂製の紐状部材を適用できる。
【0022】
ストリング6の近位側は、留置装置1の近位側に設けられた操作部(不図示)に接続されている。また、ストリング6の遠位側は、ステント5の軸方向の少なくとも一部を縛ることでステント5の径方向への拡張を規制している。ストリング6は、近位側への牽引でステント5の拘束が解除される巻き方でステント5を縛っている。そのため、オペレータは、ストリング6の牽引操作でインナーチューブ2に保持されたステント5の拡張状態を制御できる。
【0023】
ストリング6は、例えば、ステント5の軸方向の遠位側を縛ることでステント5の遠位側の拡張状態を制御する構成であってもよい。なお、
図1に示すように、ステント5の軸方向の異なる部位を縛る複数本のストリング6を設けてもよい。この場合、複数本のストリング6の操作により、ステント5を軸方向の部分ごとに段階的に拡張させることが可能となる。
【0024】
ガイドリブ10は、インナーチューブ2の小径部2aに取り付けられる突起体であり、インナーチューブ2の軸方向に間隔をあけて複数設けられる。ガイドリブ10の配置間隔は、軸方向に任意の間隔で設けることができる。
【0025】
ガイドリブ10は、シース3に対してインナーチューブ2を遠位側に進行させるときにステント5の骨格を押して、インナーチューブ2に保持されたステント5に遠位側への推力を伝える機能を担う。ガイドリブ10の材料としては、例えば、樹脂(プラスチック及びエラストマー等)並びに金属など、適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料が挙げられる。
【0026】
図3は、第1実施形態のガイドリブ10の構成例を示す図である。
図3(a)はガイドリブ10の斜視図であり、
図3(b)はガイドリブ10の分解斜視図であり、
図3(c)はガイドリブ10の軸方向に沿った平面での断面図である。
図4は、第1実施形態のガイドリブ10の動きを説明する図である。第1実施形態のガイドリブ10は、リブ本体11と、一対のストッパー部材12とを有している。
【0027】
リブ本体11は、ガイド部材の一例であって、インナーチューブ2に対して周方向に回動自在に取り付けられる。リブ本体11は、全体形状が円筒状に形成されている。リブ本体11の中央部には、軸方向に沿ってインナーチューブ2が挿通される開口15が設けられている。また、リブ本体11の軸方向両端部には、外周縁が軸方向に突出した環状の突出部13がそれぞれ形成されている。
【0028】
また、リブ本体11には、保持部の一例としてストリングを軸方向に挿通させるガイド穴14が形成されている。ガイド穴14は、リブ本体11の外周側に形成され、軸方向両側の突出部13をそれぞれ貫通して形成されている。なお、
図3では、リブ本体11に3つのガイド穴14が等間隔に形成されている例を示すが、リブ本体11に形成されるガイド穴14の数や配置は図面の例に限定されない。
【0029】
ストッパー部材12は、位置決め部の一例であって、インナーチューブ2に挿通されたリブ本体11を軸方向両側から挟むように、インナーチューブ2に接着や溶着などでそれぞれ固定される。リブ本体11は、ストッパー部材12に挟み込まれることで、インナーチューブ2の軸方向所定位置に位置決めされる。
【0030】
ストッパー部材12は、例えば、径方向寸法がリブ本体11の突出部13の内径よりも小さい円錐台形状であり、中央にインナーチューブ2を挿通する開口12aが形成されている。そのため、リブ本体11の突出部13の内側のくぼみにストッパー部材12を配置することができる。なお、ストッパー部材12は、縮径する面がリブ本体11の外側に向く配置でそれぞれ取り付けられる。
【0031】
また、ガイドリブ10のリブ本体11は、ストッパー部材12よりも径方向外側に位置するガイド穴14でストリング6を保持している。また、リブ本体11のガイド穴14は突出部13を貫通して形成されているため、リブ本体11は、リブ本体11のくぼみとストッパー部材12の境界を軸方向に跨ぎ、ストッパー部材12よりも径方向外側でストリング6を保持している。
【0032】
以下、第1実施形態の留置装置1の効果を述べる。
第1実施形態において、径方向に拡張可能なステント(管状留置具)5を生体管腔内に留置する留置装置1は、ステント5を収容可能なシース3と、長尺のインナーチューブ(軸状部材)2と、ストリング(線状部材)6と、ガイドリブ10のリブ本体11(ガイド部材)と、を備える。インナーチューブ2は、ステント5を保持可能に構成され、シース3の内側にて遠位側を軸方向に沿って進退可能に構成される。ストリング6は、インナーチューブ2の軸方向に沿って配設され、インナーチューブ2に保持されたステント5の軸方向の一部分の拡張状態を制御する。リブ本体11は、ストリング6を摺動可能に保持するガイド穴(保持部)14を有し、インナーチューブ2の周方向に回動自在に取り付けられる。
第1実施形態の留置装置1は、リブ本体11がインナーチューブ2の周方向に回動自在であるため、複数のガイドリブ10の間でストリング6を保持するガイド穴14の位相がずれていても、
図4に示すように、リブ本体11の回転でガイド穴14の位相が自動的に調整される。これにより、ストリング6がインナーチューブ2に絡まって動作不良が生じる可能性が低減する。例えば、ストリング6が絡まることで抜去時の抵抗が増加してストリング6が断裂する可能性や、ストリング6が絡まることによるインナーチューブ2のキンクの可能性がいずれも低減する。
また、例えば、屈曲した生体管腔に留置装置1を導入した場合においてストリング6に張力がかかると、ストリング6を保持するガイド穴14はリブ本体11の回転で小弯側に揃うようになる。これにより、留置装置1の屈曲時にはストリング6の張力が小湾側に作用するようになり、手技の際の留置装置1の操作が安定しやすくなる。
【0033】
また、留置装置1は、インナーチューブ2に対して固定された一対のストッパー部材12(位置決め部)をさらに備え、リブ本体11は、一対のストッパー部材12で軸方向に挟まれてインナーチューブ2の軸方向の所定位置に位置決めされる。
これにより、リブ本体11が軸方向に位置決めされ、インナーチューブ2に沿ってストリング6を安定して配設することができる。
【0034】
また、リブ本体11のガイド穴14は、ストッパー部材12よりも径方向外側の位置でストリング6を保持する。
これにより、リブ本体11の回転時に、ガイドリブ10に保持されるストリング6とストッパー部材12の干渉を避けることができる。
【0035】
また、リブ本体11のガイド穴14は、軸方向においてストッパー部材12との境界を跨いでストリング6を保持する。
これにより、リブ本体11の回転時にリブ本体11とストッパー部材12の間にストリング6が巻き込まれにくくなる。
【0036】
また、リブ本体11は、インナーチューブ2の軸方向に間隔をあけて複数配置される。
これにより、複数のリブ本体11でストリング6が保持され、ストリング6をインナーチューブ2の軸方向に安定して保持できる。また、ストリング6を牽引して近位側に回収するときに、ストリング6がインナーチューブ2に沿ってリブ本体11のガイド穴14を通過するのでステント5に絡まりにくくなる。
【0037】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態のガイドリブ10Aの構成例を示す図である。
図5(a)はガイドリブ10Aの斜視図であり、
図5(b)はガイドリブ10Aの分解斜視図であり、
図5(c)はガイドリブ10Aの軸方向に沿った平面での断面図である。なお、以下の実施形態の説明では、上述した実施形態と共通の要素には同じ符号を付して重複説明を適宜省略する。
【0038】
第2実施形態のガイドリブ10Aは、第1実施形態の変形例であって、リブ本体11Aと、ストッパー部材20を有する。
【0039】
リブ本体11Aは、全体形状が第1実施形態のリブ本体11とほぼ同様であるが、リブ本体11Aの一部が開口15に至るまで径方向に切り欠かれている。リブ本体11Aの切り欠き16は、リブ本体11Aの軸方向一端から他端まで延びており、切り欠き16からストッパー部材20を径方向に押し込んではめ込むことが可能である。なお、リブ本体11Aの突出部13は、周方向の一部が切り欠かれた環状をなす点を除き第1実施形態と同様である。また、突出部13に形成されるガイド穴14の構成は第1実施形態と同様である。
【0040】
また、ストッパー部材20は、内側にインナーチューブ2が挿通される筒状の部材であり、インナーチューブ2に接着や溶着などで固定される。ストッパー部材20は、接続部21と、一対の位置決め部22とが一体成形された形状である。
【0041】
ストッパー部材20の接続部21は、リブ本体11Aが取り付けられる円筒状の部位であり、リブ本体11Aの開口部分の軸方向長さに対応する寸法に形成されている。
【0042】
また、ストッパー部材20の位置決め部22は、接続部21よりも径方向に突出した環状の突起であり、接続部21の軸方向両側でリブ本体11Aを挟みこむ機能を担う。位置決め部22は、例えば、径方向寸法がリブ本体11Aの突出部13の内径よりも小さく、外側に向けて縮径する円錐台形状にそれぞれ形成されている。
【0043】
第2実施形態のガイドリブ10Aは、インナーチューブ2を挿通した状態でインナーチューブ2に固定されたストッパー部材20に対し、リブ本体11Aを弾性変形させて切り欠き16から接続部21の外周にはめ込むことで組み立てられる。切り欠き16を介して外側からはめ込まれたリブ本体11Aは、接続部21に回動自在に取り付けられ、かつ位置決め部22に挟まれて軸方向の所定位置に位置決めされる。なお、ストッパー部材20にリブ本体11Aをはめ込んだときに、位置決め部22は、リブ本体11Aの突出部13の内側のくぼみに収容される。
【0044】
上記のように、第2実施形態の留置装置1では、インナーチューブ2には、筒状の接続部21の軸方向両側に一対の位置決め部22が一体に成形されたストッパー部材20が固定される。リブ本体11Aは、径方向に切り欠き16を有し、切り欠き16を介して接続部21の外周に回動自在に取り付けられる。
第2実施形態の留置装置1は、第1実施形態とほぼ同様の効果を有する。さらに、第2実施形態の留置装置1では、ストッパー部材20が1部材で形成される。そのため、インナーチューブ2に対して位置決め部22の固定強度を向上させることができ、また位置決め部22を別々にインナーチューブ2に固定する場合と比べて組立時の作業性を向上させることができる。
【0045】
(第3実施形態)
図6は、第3実施形態のガイドリブ10Bの構成例を示す図であり、ガイドリブ10Bの軸方向に沿った平面での断面図である。第3実施形態のガイドリブ10Bは、第2実施形態の変形例であって、インナーチューブ2を加工して位置決め部2dを形成し、第2実施形態と同様のリブ本体11Aを回動自在に取り付ける構成である。
【0046】
第3実施形態のインナーチューブ2は、リブ本体11Aの取付部位2cを軸方向に挟み込むように一対の位置決め部2dが形成されている。インナーチューブ2上において、リブ本体11Aの取付部位2cは、リブ本体11Aの開口15の軸方向長さに対応する寸法に設定されている。なお、取付部位2cの外径は、インナーチューブ2と同じ径であってもよく、異なる径であってもよい。
【0047】
また、インナーチューブ2の位置決め部2dは、取付部位2cよりも径方向に突出した環状の突起であり、取付部位2cの軸方向両側でリブ本体11Aを挟みこむ機能を担う。位置決め部2dは、例えば、径方向寸法がリブ本体11Aの突出部13の内径よりも小さく、それぞれ外側に向けて縮径するテーパー形状に形成されている。
【0048】
インナーチューブ2の位置決め部2dは、例えば、インナーチューブ2に熱収縮材料のチューブを被せて加温する加工によってインナーチューブ2と一体化させてもよい。また、位置決め部2dは、インナーチューブ2を加熱した金型に挟み込んでインナーチューブ2上に加工してもよい。なお、図示を省略するが、インナーチューブ2の表面を研磨して周方向に環状をなす溝を形成し、溝内にリブ本体11Aの取付部位とするとともに、溝とインナーチューブの段差で位置決め部を構成してもよい。
【0049】
第3実施形態のガイドリブ10Bは、インナーチューブ2上に設けられた取付部位2cに対し、リブ本体11Aを弾性変形させて切り欠き16から取付部位2cの外周にはめ込むことで組み立てられる。切り欠き16を介して外側からはめ込まれたリブ本体11Aは、取付部位2cに回動自在に取り付けられ、かつ位置決め部2dに挟まれて軸方向の所定位置に位置決めされる。なお、取付部位2cにリブ本体11Aをはめ込んだときに、位置決め部2dは、リブ本体11Aの突出部13の内側のくぼみに収容される。
【0050】
上記のように、第3実施形態の留置装置1では、インナーチューブ2の外周には、一対の位置決め部2dが加工され、リブ本体11Aは、径方向に切り欠き16を有し、インナーチューブ2の位置決め部2dの間に形成される取付部位2cに切り欠き16を介して回動自在に取り付けられる。
第3実施形態の留置装置1は、第1実施形態とほぼ同様の効果を有する。さらに、第3実施形態の留置装置1では、位置決め部2dがインナーチューブ2に一体に形成されるため、位置決め部2dによるリブ本体11Aの軸方向の位置決めをより確実に行うことができる。
【0051】
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。
一例として、上記実施形態では円筒状のリブ本体を適用する例を説明したが、リブ本体の形状は、例えば楕円筒状などの他の形状であってもよい。
【0052】
また、リブ本体11が必要以上に回転することによるストリング6のねじれや巻き付きなどの事象を抑制するため、ガイドリブ10に回り止めを設けることでリブ本体11の回転量を制御してもよい。
【0053】
図7は、回り止めを有するガイドリブ10の一例を示す図である。
図7に示すガイドリブ10は、一方のストッパー部材12に回り止め部を形成し、リブ本体11に設けた突起13aを回り止め部に係止させてリブ本体11の回転量を制御する。
【0054】
図7(a)に示すように、回り止め部12bは、ストッパー部材12においてリブ本体11と対向する面に設けられている。
図7(b)に示すように、回り止め部12bは、軸方向から見た形状が略水滴状であり、周方向の所定箇所に径方向外側に突出した係止部12cを有している。
【0055】
一方、
図7(a)に示すように、リブ本体11の突起13aは、リブ本体11においてストッパー部材12の回り止め部12bと対向する面に設けられる。
図7(b)に示すように、突起13aは、突出部13内側のくぼみの面上で外周寄りの任意の位置に設けられている。
【0056】
回り止め部12bを有するストッパー部材12をリブ本体11と組み合わせたときに、回り止め部12bの周方向において係止部12cのない領域は突起13aと干渉しない。そのため、回り止め部12bの係止部12cのない領域では、回り止め部12bの外周側で突起13aが自由に移動できるので、リブ本体11の周方向の回動が許容される。一方で、リブ本体11が周方向に回動することで突起13aが係止部12cの位置までくると、係止部12cが突起13aを係止してリブ本体11が回り止めされる。これにより、リブ本体11の回転量が制御される。
【0057】
なお、ガイドリブ10の回り止めは、
図7の構成には限定されない。例えば、図示は省略するが、ストッパー部材にC字状のカム溝を形成し、リブ本体に設けた突起をカム溝に係合させて周方向のカム溝の範囲でリブ本体が回動できるようにしてもよい。また、
図7では、第1実施形態のガイドリブに回り止めを設けた変形例を示したが、他の実施形態のガイドリブに回り止めを設けるようにしてもよい。
【0058】
また、軸方向に隣り合う複数のガイドリブ10がそれぞれ逆方向に回転すると、ストリング6がインナーチューブ2に絡まりやすくなる。そのため、隣り合うガイドリブ10において、回り止めの突起13などを基準としてリブ本体11の重心を周方向の同じ方向(例えば、遠位側からみて時計周り方向など)にずらし、隣り合うガイドリブ10で回転方向を揃えやすくしてもよい。
【0059】
加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0060】
なお、上記の実施形態の開示は以下の技術的思想を包含する。
(1)径方向に拡張可能な管状留置具を生体管腔内に留置する留置装置であって、前記管状留置具を収容可能なシースと、前記管状留置具を保持可能に構成され、前記シースの内側にて遠位側を軸方向に沿って進退可能に構成された長尺の軸状部材と、前記軸状部材の軸方向に沿って配設され、前記軸状部材に保持された前記管状留置具の軸方向の一部分の拡張状態を制御する線状部材と、前記線状部材を摺動可能に保持する保持部を有し、前記軸状部材の周方向に回動自在に取り付けられるガイド部材と、を備える留置装置。
(2)前記軸状部材に対して固定された一対の位置決め部をさらに備え、前記ガイド部材は、一対の前記位置決め部で軸方向に挟まれて前記軸状部材の軸方向の所定位置に位置決めされる上記(1)に記載の留置装置。
(3)前記ガイド部材は、前記軸状部材が挿通される開口を有し、前記位置決め部は、前記軸状部材に挿通された前記ガイド部材を軸方向両側から挟むように前記軸状部材にそれぞれ固定されるストッパー部材で構成される上記(2)に記載の留置装置。
(4)前記軸状部材には、筒状の接続部の軸方向両側に一対の前記位置決め部が一体に成形されたストッパー部材が固定され、前記ガイド部材は、径方向に切り欠きを有し、前記切り欠きを介して前記接続部の外周に回動自在に取り付けられる上記(2)に記載の留置装置。
(5)前記軸状部材の外周には、一対の前記位置決め部が加工され、前記ガイド部材は、径方向に切り欠きを有し、前記軸状部材の前記位置決め部の間に形成される取付部位に前記切り欠きを介して回動自在に取り付けられる上記(2)に記載の留置装置。
(6)前記ガイド部材の前記保持部は、前記位置決め部よりも径方向外側の位置で前記線状部材を保持する上記(2)から上記(5)のいずれか1項に記載の留置装置。
(7)前記ガイド部材の前記保持部は、軸方向において前記位置決め部との境界を跨いで前記線状部材を保持する上記(6)に記載の留置装置。
(8)前記ガイド部材は、前記軸状部材の軸方向に間隔をあけて複数配置される上記(1)から上記(7)のいずれか1項に記載の留置装置。
【符号の説明】
【0061】
1…留置装置、2…インナーチューブ、2c…取付部位、2d…位置決め部、3…シース、5…ステント、6…ストリング、10,10A,10B…ガイドリブ、11,11A…リブ本体、12…ストッパー部材、14…ガイド穴、15…開口、16…切り欠き、20…ストッパー部材、21…接続部、22…位置決め部