(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024126677
(43)【公開日】2024-09-20
(54)【発明の名称】連携業務支援プログラム、業務支援プログラム、連携業務支援システム及び業務支援システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20240912BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240912BHJP
G06F 111/02 20200101ALN20240912BHJP
【FI】
G06F30/13
G06Q50/08
G06F111:02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023035236
(22)【出願日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】片山 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 英範
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B146AA03
5B146AA04
5B146BA01
5B146DE12
5B146DE16
5B146DL03
5B146DL08
5B146EA11
5B146EA15
5B146EC04
5B146FA02
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】
【課題】建築物のライフサイクルにおいて行われる業務をより効率化する。
【解決手段】連携業務支援プログラムは、建築に関する所定の業務を支援する複数の業務支援プログラムを含む。複数の業務支援プログラムのうち第1の業務支援プログラムは、第1のコンピュータに、BIMモデルの少なくとも一部を作成する手順と、BIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を出力する手順と、を実行可能である。複数の業務支援プログラムのうち第2の業務支援プログラムは、第2のコンピュータに、第1の業務支援プログラムにより作成されたBIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を入力する第1の手順と、第1の業務支援プログラムによらずに作成されたBIMモデル又はBIMモデルではない情報を入力する第2の手順と、第1の手順又は第2の手順により入力に基づいて生成された情報を出力する第3の手順と、を実行可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築に関する所定の業務を支援する複数の業務支援プログラムを含む連携業務支援プログラムであって、
前記複数の業務支援プログラムのうち第1の業務支援プログラムは、第1のコンピュータに、
BIMモデルの少なくとも一部を作成する手順と、
前記BIMモデル又は前記BIMモデルに基づいて生成された情報を出力する手順と、
を実行可能であり、
前記複数の業務支援プログラムのうち第2の業務支援プログラムは、第2のコンピュータに、
前記第1の業務支援プログラムにより作成された前記BIMモデル又は前記BIMモデルに基づいて生成された情報を入力する第1の手順と、
前記第1の業務支援プログラムによらずに作成されたBIMモデル又はBIMモデルではない情報を入力する第2の手順と、
前記第1の手順又は前記第2の手順により入力に基づいて生成された情報を出力する第3の手順と、業務支援プログラム
を実行可能な連携業務支援プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載の連携業務支援プログラムであって、
前記業務支援プログラムは、コンピュータに、前記複数の業務支援プログラムの間で共有される共有情報を取得する手順を実行させる、
連携業務支援プログラム。
【請求項3】
請求項2に記載の連携業務支援プログラムであって、
前記取得する手順は、前記コンピュータとネットワークを介して接続される記憶装置から前記共有情報を取得する、
連携業務支援プログラム。
【請求項4】
請求項1に記載の連携業務支援プログラムであって、
前記第1の業務支援プログラムは、前記第1のコンピュータに、建築物の建築費を積算する手順を実行させ、
前記第2の業務支援プログラムは、前記第2のコンピュータに、前記建築物の施工図を作成する手順を実行させる、
連携業務支援プログラム。
【請求項5】
請求項4に記載の連携業務支援プログラムであって、
前記第1の業務支援プログラムは、前記第1のコンピュータに、2次元データに基づいて高さに関する情報を有さない前記BIMモデルを作成する手順を実行させる、
連携業務支援プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載の連携業務支援プログラムであって、
前記第1の業務支援プログラムは、前記BIMモデルに基づいて生成された積算情報に高さに応じた係数を乗じることで前記建築費を計算する、
連携業務支援プログラム。
【請求項7】
請求項5に記載の連携業務支援プログラムであって、
前記第2の業務支援プログラムは、前記高さに関する情報を有さない前記BIMモデルに基づいて、前記高さに関する情報を有する前記BIMモデルを作成する手順を実行させる、
連携業務支援プログラム。
【請求項8】
建築に関する所定の業務を支援する業務支援プログラムであって、
コンピュータに、他の業務支援プログラムにより作成されたBIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を入力する第1の手順と、
前記他の業務支援プログラムによらずに作成されたBIMモデル又はBIMモデルではない情報を入力する第2の手順と、
前記第1の手順又は前記第2の手順により入力に基づいて生成された情報を出力する第3の手順と、
を実行可能な業務支援プログラム。
【請求項9】
建築に関する所定の業務を支援する複数の業務支援システムを含む連携業務支援システムであって、
前記複数の業務支援システムうち第1の業務支援システムは、
BIMモデルの少なくとも一部を作成するモデル生成部と、
前記BIMモデル又は前記BIMモデルに基づいて生成された情報を出力する出力部と、
を備え、
前記複数の業務支援システムのうち第2の業務支援システムは、
前記第1の業務支援システムにより作成された前記BIMモデル又は前記BIMモデルに基づいて生成された情報を入力する第1の入力部と、
前記第1の業務支援システムによらずに作成されたBIMモデル又はBIMモデルではない情報を入力する第2の入力部と、
前記第1の入力部又は前記第2の入力部により入力に基づいて生成された情報を出力する出力部と、
を備える連携業務支援システム。
【請求項10】
建築に関する所定の業務を支援する業務支援システムであって、
他の業務支援システムにより作成されたBIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を入力する第1の入力部と、
前記他の業務支援システムによらずに作成されたBIMモデル又はBIMモデルではない情報を入力する第2の入力部と、
前記第1の入力部又は前記第2の入力部により入力に基づいて生成された情報を出力する出力部と、
を備える業務支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連携業務支援プログラム、業務支援プログラム、連携業務支援システム及び業務支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の設計において、BIM(Building Information Modeling)を実現するCAD(Computer Aided Design)が活用されている。建築物のBIMを活用することで、設計段階、実施工段階、運用管理段階といった建築物のライフサイクルにおいて、都度効率的な業務を行うことが可能になる。
【0003】
例えば、特許文献1には、建築物のBIMモデルに基づいてCAD図面を作成する設計支援装置が開示されている。特許文献1に開示された設計支援装置は、免震装置を有する建築物のCAD図面の作成において、免震装置の稼働域と他のオブジェクトとの干渉までを考慮している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、建築物のライフサイクルにおけるBIMの活用が十分ではない、という課題がある。例えば、従来技術では、設計段階において建築物のBIMモデルが生成されるが、見積段階ではBIMモデルが活用されていない。特に、建築に携わる設計会社、施工会社、施工管理会社、施工事業会社、運用管理会社などがBIMの活用を始めているが、それぞれの業務に合わせた機能を有するソフトウェアが求められている。
【0006】
本発明の一態様は、上記のような技術的課題に鑑みて、建築物のライフサイクルにおいて行われる業務をより効率化する業務支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様による連携業務支援プログラムは、建築に関する所定の業務を支援する複数の業務支援プログラムを含む連携業務支援プログラムであって、複数の業務支援プログラムのうち第1の業務支援プログラムは、第1のコンピュータに、BIMモデルの少なくとも一部を作成する手順と、BIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を出力する手順と、を実行可能であり、複数の業務支援プログラムのうち第2の業務支援プログラムは、第2のコンピュータに、第1の業務支援プログラムにより作成されたBIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を入力する第1の手順と、第1の業務支援プログラムによらずに作成されたBIMモデル又はBIMモデルではない情報を入力する第2の手順と、第1の手順又は第2の手順により入力に基づいて生成された情報を出力する第3の手順と、を実行可能である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、建築物のライフサイクルにおいて行われる業務をより効率化する連携業務支援プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】連携業務支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】コンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】連携業務支援システムのデータフローの一例を示すブロック図である。
【
図4】自動設計システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】見積支援システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】引合システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図15】原価検討システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図17】施工図作成システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図23】工程管理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図25】進捗管理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図29】品質管理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図33】運用管理システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図34】情報共有システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図35】連携業務支援方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の各実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省略する。
【0011】
[実施形態]
本発明の一実施形態は、建築物の設計を支援する連携業務支援システム(以下、「設計支援システム」と呼ぶことがある。)である。本実施形態における連携業務支援システムは、建築物のライフサイクルにおいて行われる各業務を支援する複数の業務支援システムを含む。また、連携業務支援システムは、各業務で共通して使用される共有情報を複数の業務支援システムに提供する情報共有システムを含む。
【0012】
各業務支援システムは、必要な情報を入力することで単独でも利用可能であるが、前工程で生成された情報を保持するBIMモデルまたはBIMモデルに基づいて生成された情報等に基づいて、所定の業務を支援する処理を実行することができる。BIMモデルは、属性情報を含む複数のオブジェクトを有するモデルである。本実施形態におけるBIMモデルは、3次元モデルであるが、高さの情報を含めないことで、実質的に2次元のモデルを生成又は利用してもよい。
【0013】
建築物のBIMモデルでは、オブジェクトは、例えば、梁、柱、壁、床、天井等の建築物の構造、又は、空調設備、電気設備、衛生設備、配管、配線等の設備を含む。建築物のBIMモデルでは、属性情報は、例えば、各オブジェクトの形状、材質、寸法、配設位置等に関する情報である。本実施形態における属性情報は、これらに加えて、製品情報、価格情報等の設計段階で用いる情報、及び、工程管理情報、進捗管理情報、品質管理情報等の施工段階で用いる情報を含む。
【0014】
各業務支援システムは、前工程を支援する業務支援システムから、前工程で生成された情報が各オブジェクトの属性情報に登録されたBIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を受け取り、当該BIMモデル又は情報に基づいて所定の業務を実行する。また、各業務支援システムは、所定の業務で生成された情報を各オブジェクトの属性情報に登録することで、後工程を支援する業務支援システムが用いるBIMモデルを生成する。
【0015】
従来、建築物のBIMモデルは、建築物のライフサイクルにおける各業務で活用するために、設計段階で作成され、運用管理段階で活用されていた。しかしながら、建築物のライフサイクルは、設計段階から運用管理段階にとどまらず、見積段階から始まると考えることができる。特に、運用中の建築物に対して建て替え又はリニューアル等を行う場合には、運用管理段階のBIMモデルを活用すると効率的に見積段階の業務を行うことが可能である。従来技術では、見積段階においてBIMモデルを活用することができておらず、設計段階において見積段階のBIMモデルを活用することもできない。
【0016】
本実施形態における連携業務支援システムは、建築物のライフサイクルにおいてBIMモデルの活用範囲を拡大し、建築物のライフサイクルにおける各業務をより効率化することを目的とする。
【0017】
<連携業務支援システムの全体構成>
本実施形態における連携業務支援システムの全体構成について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態における連携業務支援システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示されているように、本実施形態における連携業務支援システム100は、自動設計システム1、見積支援システム2、引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8、運用管理システム9及び情報共有システム10を含む。
【0019】
本実施形態における連携業務支援システム100は、見積システム20、基幹システム30、集中生産システム40及びユーザ端末50と、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークN1を介してデータ通信可能に構成されている。
【0020】
なお、自動設計システム1、見積支援システム2、引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8及び運用管理システム9は、業務支援システムの一例である。特に、見積支援システム2及び自動設計システム1は、第1の業務支援システムの一例である。また、引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8及び運用管理システム9は、第2の業務支援システムの一例である。
【0021】
自動設計システム1は、設計業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。設計業務は、建築物の仕様情報に基づいて、建築物を設計する業務である。設計業務は、設計図書の作成、施主又はゼネコン等に提出する資料の作成、協力会社の成果物の確認等を含む。
【0022】
本実施形態では、自動設計システム1は、過去に建築した建築物に関するBIMモデルに基づいて、設計図を示すBIMモデルを生成する機能を有する。また、自動設計システム1は、BIMモデルに基づいて設計計算書を自動的に作成する機能を有する。また、自動設計システム1は、BIMモデルに基づいて温室効果ガス(CO2)排出量を自動的に計算する機能を有する。さらに、自動設計システム1は、BIMモデルに基づいて、建築物内に設置する設備機器を自動的に選定し、配置する機能を有する。設備機器は、例えば、空調設備、電気設備、衛生設備等を含む。
【0023】
見積支援システム2は、見積業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。見積業務は、建築物の設計情報に基づいて、建築費の初期見積を作成する業務である。初期見積は、建築物の建築に用いる資材、設備機器等の種別と、建築物の建築にかかる材料費、作業費、管理費等の概算価格とを含む。
【0024】
本実施形態では、見積支援システム2は、建築物の設計情報及び特記仕様書に基づいて、建築物の構造及び設備を示すBIMモデルを生成する。また、見積支援システム2は、BIMモデルに基づいて、初期見積を示す積算情報を作成する機能を有する。さらに、見積支援システム2は、2次元のCAD図面に基づいて、高さに関する情報を有さない3次元のBIMモデルを作成する機能を有する。そして、見積支援システム2は、紙の特記仕様書に記載された仕様情報を光学文字認識(OCR; Optical Character Recognition)等で認識し、BIMモデルに反映する機能を有する。
【0025】
引合システム3は、引合業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。引合業務は、建築物に設置する設備機器の提案情報を機器ベンダー等から収集し、設備機器に関する製品情報及び価格情報を決定する業務である。引合業務は、機器ベンダー等への連絡、設備機器の提案情報の受信、提案情報の比較評価等を含む。
【0026】
本実施形態では、引合システム3は、基幹システム30からベンダー情報を取得し、機器ベンダー等に積算情報を含む提案依頼を送信する機能を有する。なお、提案依頼は、統一されたフォーマットで記述されており、引合システム3が入力する提案情報も統一されたフォーマットで生成される。また、引合システム3は、機器ベンダー等から受信した提案情報を、過去の建築プロジェクトにおける製品情報及び価格情報と比較することで、提案情報の妥当性を評価する機能を有する。
【0027】
原価検討システム4は、原価検討業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。原価検討業務は、建築物の建築費を積算するための原価を管理する業務である。原価検討業務は、過去の建築プロジェクトにおける原価に基づいて、統一原価を計算することを含む。統一原価は、資材又は設備機器等の材料費に関する原価と、作業又は管理等の人件費に関する原価とを含む。
【0028】
本実施形態では、原価検討システム4は、見積システム20と連携することにより、引合システム3により決定された製品情報及び価格情報から統一原価を算出する機能を有する。また、原価検討システム4は、BIMモデルに基づいて、詳細見積を示す積算情報を作成する機能を有する。
【0029】
施工図作成システム5は、施工図作成業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。施工図作成業務は、設計図から施工図を作成する業務である。
【0030】
本実施形態では、施工図作成システム5は、自動設計システム1により生成されたBIMモデル及び原価検討システム4により生成されたBIMモデルに基づいて、施工図を示すBIMモデルを生成する機能を有する。なお、原価検討システム4により生成されたBIMモデルは高さに関する情報を有さない。言い換えると高さが規定されていない(高さに関する情報が得られておらず、例えば、高さ0に設定されている)BIMモデルであり、施工図を示すBIMモデルは高さに関する情報を有するBIMモデルである。また、施工図作成システム5は、各種配管の経路を最適化する自動ルーティング機能を有する。さらに、施工図作成システム5は、建築物内で各設備機器を設置する位置を最適化するユニット機能を有する。
【0031】
工程管理システム6は、工程管理業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。工程管理業務は、建築に用いる資材又は設備機器等の発注状況及び納期情報等を示すスケジュール情報に基づいて、建築物を建築する各工程を管理する業務である。
【0032】
本実施形態では、工程管理システム6は、施工図作成システム5により生成されたBIMモデルに基づいて、各オブジェクトの属性情報に工程情報が登録されたBIMモデルを生成する機能を有する。また、工程管理システム6は、集中生産システム40から取得したスケジュール情報に基づいて、BIMモデルを生成する機能を有する。さらに、工程管理システム6は、BIMモデルに基づいて工程表を生成し、スマートフォン又はタブレット端末等の携帯情報端末に表示する機能を有する。
【0033】
進捗管理システム7は、進捗管理業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。進捗管理業務は、建築物を建築する建築プロジェクトにおける各工程の進捗状況を管理する業務である。
【0034】
本実施形態では、進捗管理システム7は、施工図作成システム5により生成されたBIMモデルに、進捗管理情報を反映する機能を有する。進捗管理情報は、建築物内で撮影された全景写真(360度画像)を識別する情報及び指摘事項を含む。また、進捗管理システム7は、BIMモデルに基づいて建築物の仮想空間を生成し、仮想空間と全景写真とを比較可能に表示し、各工程の進捗を遠隔地から確認可能とする機能を有する。
【0035】
全景写真を識別する情報は、例えば、全景写真を記録した電子データの電子的な位置を示すURL(Uniform Resource Locator)である。なお、全景写真を記録した電子データは、進捗管理システム7のHDD504等の記憶装置に記憶されてもよいし、情報共有システム10のHDD504等の記憶装置に記憶されてもよい。
【0036】
品質管理システム8は、品質管理業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。品質管理業務は、各工程で発生するタスク(指摘事項)の対応状況を追跡し、建築物の品質を管理する業務である。
【0037】
本実施形態では、品質管理システム8は、施工図作成システム5により生成されたBIMモデルに、品質管理情報を反映する機能を有する。品質管理情報は、施工箇所で撮影された施工写真、施工完了を示す黒板情報、検査項目を示す検査リスト等を含む。また、品質管理システム8は、BIMモデルに検査ポイントを設定し、各検査ポイントに品質管理情報を登録する機能を有する。さらに、品質管理システム8は、BIMモデルに基づいて、各検査ポイントに登録された進捗管理情報(例えば、全景写真及び指摘事項)及び品質管理情報(例えば、施工写真及び黒板情報)を比較可能に表示し、建築物の品質を遠隔地から確認可能とする機能を有する。
【0038】
運用管理システム9は、運用管理業務を支援するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。運用管理業務は、運用中の建築物を維持管理する業務である。運用管理業務は、建築物の構造及び設備の監視、修理及び交換等を含む。
【0039】
本実施形態では、運用管理システム9は、施工図作成システム5により生成されたBIMモデルに、運用管理情報を反映する機能を有する。運用管理情報は、設備機器の運転データ、検査データ及び保守データ等を識別する識別情報を含む。運転データは、設備機器が常時出力する運転状態を示すデータである。検査データは、定期的に実施される建築物の構造及び設備等の検査の結果を示すデータである。保守データは、建築物の構造及び設備等の修理及び交換等の履歴を示すデータである。
【0040】
運転データ、検査データ又は保守データを識別する情報は、例えば、各データを記録した電子データの電子的な位置を示すURLである。なお、運転データ、検査データ又は保守データを記録した電子データは、運用管理システム9のHDD504等の記憶装置に記憶されてもよいし、情報共有システム10のHDD504等の記憶装置に記憶されてもよい。
【0041】
情報共有システム10は、連携業務支援システム100に含まれる業務支援システムの間で共有される共有情報を各業務支援システムに提供するパーソナルコンピュータ、ワークステーション、サーバ等の情報処理装置である。共有情報は、運用管理システム9により生成されるBIMモデル及び外部のデータソースから取得される外部情報を含む。外部情報は、過去及び現在の物価情報(資材価格、人件費等)、並びに過去及び現在の気候情報等を含む。情報共有システム10は、業務支援システムからの要求に応じて、要求された共有情報を業務支援システムに送信する。
【0042】
ユーザ端末50は、連携業務支援システム100を利用するユーザが操作するパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末等の情報処理端末である。ユーザ端末50は、ユーザの操作に応じて、連携業務支援システム100に含まれる業務支援システムに接続し、当該業務支援システムが提供する画面を介して所定の業務に関する処理を要求する。また、ユーザ端末50は、所定の業務に関する処理の結果を業務支援システムから受信し、ユーザに対して出力する。
【0043】
ユーザ端末50は、すべての業務支援システムと接続する1台の情報処理端末であってもよい。ユーザ端末50は、各業務支援システムとそれぞれ接続する複数台の情報処理端末であってもよい。連携業務支援システム100に複数のユーザ端末50が含まれる場合、各ユーザ端末50は、1つの施設内に配置されてもよいし、異なる施設内に配置されてもよい。例えば、各業務を担当する企業が異なる場合、各業務に対応する企業内にそれぞれユーザ端末50が配置されてもよい。
【0044】
なお、
図1に示した連携業務支援システム100の全体構成は一例であって、用途や目的に応じて様々なシステム構成例があり得る。例えば、自動設計システム1、見積支援システム2、引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8、運用管理システム9及び情報共有システム10の1つ以上が、連携業務支援システム100に複数台含まれていてもよい。
【0045】
例えば、自動設計システム1、見積支援システム2、引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8、運用管理システム9又は情報共有システム10は、複数台のコンピュータにより実現してもよいし、クラウドコンピューティングのサービスとして実現してもよい。
【0046】
例えば、連携業務支援システム100は、自動設計システム1及び施工図作成システム5、又は工程管理システム6、進捗管理システム7及び品質管理システム8の機能を兼ね備えるスタンドアローンの業務支援システムを含んでもよい。
図1に示す自動設計システム1、見積支援システム2、引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8、運用管理システム9及び情報共有システム10のような装置の区分は一例である。
【0047】
<連携業務支援システムのハードウェア構成>
本実施形態における連携業務支援システム100に含まれる各装置のハードウェア構成について、
図2を参照しながら説明する。
【0048】
≪コンピュータのハードウェア構成≫
本実施形態における自動設計システム1、見積支援システム2、引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8、運用管理システム9及び情報共有システム10は、例えばコンピュータにより実現される。
図2は、本実施形態におけるコンピュータのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0049】
図2に示されているように、本実施形態におけるコンピュータ500は、CPU(Central Processing Unit)501、ROM(Read Only Memory)502、RAM(Random Access Memory)503、HDD(Hard Disk Drive)504、入力装置505、表示装置506、通信I/F(Interface)507及び外部I/F508を有する。CPU501、ROM502及びRAM503は、いわゆるコンピュータを形成する。コンピュータ500の各ハードウェアは、バスライン509を介して相互に接続されている。なお、入力装置505及び表示装置506は外部I/F508に接続して利用する形態であってもよい。
【0050】
CPU501は、ROM502又はHDD504等の記憶装置からプログラムやデータをRAM503上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置である。コンピュータ500は、CPU501に加えて又はCPU501に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)を有していてもよい。
【0051】
ROM502は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM502は、HDD504にインストールされている各種プログラムをCPU501が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶装置として機能する。具体的には、ROM502には、コンピュータ500の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、EFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラムや、OS(Operating System)設定、ネットワーク設定等のデータが格納されている。
【0052】
RAM503は、電源を切るとプログラムやデータが消去される揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。RAM503は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等である。RAM503は、HDD504にインストールされている各種プログラムがCPU501によって実行される際に展開される作業領域を提供する。
【0053】
HDD504は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。HDD504に格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーション等がある。なお、コンピュータ500はHDD504に替えて、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いる記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive等)を利用するものであってもよい。
【0054】
入力装置505は、ユーザが各種信号を入力するために用いるタッチパネル、操作キーやボタン、キーボードやマウス、音声等の音データを入力するマイクロホン等である。
【0055】
表示装置506は、画面を表示する液晶や有機EL(Electro-Luminescence)等のディスプレイ、音声等の音データを出力するスピーカ等で構成されている。
【0056】
通信I/F507は、通信ネットワークに接続し、コンピュータ500がデータ通信を行うためのインタフェースである。
【0057】
外部I/F508は、外部装置とのインタフェースである。外部装置には、ドライブ装置510等がある。
【0058】
ドライブ装置510は、記録媒体511をセットするためのデバイスである。ここでいう記録媒体511には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記録媒体511には、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。これにより、コンピュータ500は外部I/F508を介して記録媒体511の読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。
【0059】
なお、HDD504にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記録媒体511が外部I/F508に接続されたドライブ装置510にセットされ、記録媒体511に記録された各種プログラムがドライブ装置510により読み出されることでインストールされる。あるいは、HDD504にインストールされる各種プログラムは、通信I/F507を介して、通信ネットワークとは異なる他のネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0060】
<連携業務支援システムのデータフロー>
本実施形態における連携業務支援システムのデータフローについて、
図3を参照しながら説明する。
図3は、本実施形態における連携業務支援システム100のデータフローの一例を示すブロック図である。
【0061】
自動設計システム1は、ユーザ端末50から建築物の仕様情報を受信する。自動設計システム1は、過去に建築した建築物に関するBIMモデル(運用BIM)と、建築物の仕様情報とに基づいて、建築物の設計図を示すBIMモデル(設計BIM)を生成する。なお、運用BIMは、運用管理システム9により生成され、情報共有システム10に蓄積されている。自動設計システム1が生成した設計BIMは、原価検討システム4及び施工図作成システム5に送られる。
【0062】
見積支援システム2は、ユーザ端末50から建築物の設計情報及び特記仕様書を受信する。見積支援システム2は、過去に建築した建築物に関する運用BIMと、建築物の設計情報及び特記仕様書とに基づいて、建築物の構造及び設備を示すBIMモデル(初期見積BIM)を生成する。見積支援システム2により生成された初期見積BIMは、原価検討システム4及び施工図作成システム5に送られる。
【0063】
引合システム3は、基幹システム30からベンダー情報及びプロジェクト情報を受信する。引合システム3は、原価検討システム4から積算情報を受け取り、機器ベンダー等に積算情報を含む提案依頼を送信する。引合システム3は、機器ベンダー等から受信した提案情報に基づいて、製品情報及び価格情報を生成し、原価検討システム4に送る。
【0064】
原価検討システム4は、見積支援システム2により生成された初期見積BIMに基づいて積算情報を生成し、引合システム3に送る。原価検討システム4は、見積システム20と連携することにより、引合システム3により決定された製品情報及び価格情報から統一原価を算出する。
【0065】
施工図作成システム5は、自動設計システム1により生成された設計BIM及び見積支援システム2により生成された初期見積BIMに基づいて、施工図を示すBIMモデル(施工BIM)を生成する。施工図作成システム5により生成された施工BIMは、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8及び運用管理システム9に送られる。
【0066】
工程管理システム6は、集中生産システム40からスケジュール情報を受信する。工程管理システム6は、施工図作成システム5により生成された施工BIMに工程情報を登録する。工程管理システム6により更新された施工BIMは、進捗管理システム7に送られる。
【0067】
また、工程管理システム6は、品質管理システム8から施工完了情報を受信する。施工完了情報は、施工が完了した施工箇所及び施工が完了した日時を示す。工程管理システム6は、施工完了情報を受信すると、施工BIMに施工完了情報を登録する。
【0068】
進捗管理システム7は、ユーザ端末50から進捗管理情報を受信する。進捗管理システム7は、施工図作成システム5により生成された施工BIMに、進捗管理情報を登録する。
【0069】
また、進捗管理システム7は、品質管理システム8から施工が完了した施工箇所を示す施工完了情報を受信する。進捗管理システム7は、施工完了情報を受信すると、施工BIMに施工完了情報を登録する。
【0070】
品質管理システム8は、ユーザ端末50から品質管理情報を受信する。品質管理システム8は、施工図作成システム5により生成された施工BIMに、品質管理情報を登録する。品質管理システム8は、施工が完了した施工箇所があれば、その施工完了情報を工程管理システム6及び進捗管理システム7に送る。すべての施工箇所で施工が完了した場合(すなわち、建築物が完成した場合)、品質管理システム8により品質管理情報が登録された施工BIMが、運用管理システム9に送られる。
【0071】
運用管理システム9は、ユーザ端末50から運用管理情報(運転データ、検査データ又は保守データ)を受信する。運用管理システム9は、運用中の建築物に関する施工BIMに、運用管理情報を登録する。運用管理システム9により運用管理情報が登録されたBIMモデル(運用BIM)は、情報共有システム10に蓄積される。
【0072】
<連携業務支援システムの機能構成>
本実施形態における連携業務支援システムの機能構成について、
図4乃至
図34を参照しながら説明する。
【0073】
≪自動設計システムの機能構成≫
図4は、本実施形態における自動設計システム1の機能構成の一例を示すブロック図である。
図4に示されているように、本実施形態における自動設計システム1は、入力部11、情報取得部12、業務処理部13、モデル生成部14及び出力部15を備える。
【0074】
入力部11、情報取得部12、業務処理部13、モデル生成部14及び出力部15は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0075】
入力部11は、建築物の仕様情報の入力を受け付ける。建築物の仕様情報は、施主が要求する建築物が満たすべき仕様を記述したデータである。入力部11は、ユーザ端末50から仕様情報を受信することで、仕様情報の入力を受け付ける。
【0076】
情報取得部12は、情報共有システム10から運用BIMを取得する。運用BIMは、過去に建築した建築物に関するBIMモデルである。運用BIMは、運用管理システム9により生成され、情報共有システム10に蓄積されている。
【0077】
業務処理部13は、設計業務を支援するための設計画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部13は、ユーザ端末50からの要求に応じて、設計業務に関する処理を実行する。業務処理部13は、設計業務に関する処理を実行すると、モデル生成部14に設計BIMの生成を要求する。
【0078】
設計画面は、建築物の仕様情報をユーザに提示する。また、設計画面は、建築物の仕様情報に基づいて設計計算書を作成し、ユーザに提示する。さらに、設計画面は、建築物の仕様情報に基づいて2次元のCAD図面を生成し、建築物内に設置する設備機器を自動的に選定し、配置する。
【0079】
また、設計画面は、建築物の仕様情報に基づいて温室効果ガス(CO2)排出量を自動的に計算し、ユーザに提示する。さらに、設計画面は、運用BIMに基づいて、建築物のランニングコストを計算し、ユーザに提示する。これにより、ユーザは建築物の温室効果ガス排出量及びランニングコストを参照しながら、効率的に設計を進めることができる。
【0080】
図5乃至
図7は、設計画面の一例である。ユーザは
図5乃至
図7に例示するような設計画面を操作することで、設計業務を実行する。
【0081】
図5に示す設計画面では、建物情報の諸源を入力する。設計画面では、まず、物件設定を行う。物件設定では、外気条件や熱源システム(冷水温度、温水温度、蒸気圧力)、塩害対策、構造体負荷(外壁がどちら側にあるのか)加湿方式、換気方式、排煙方式などを設定する。次に、系統設定を行う。系統設定では、空調の系統、空調方式(PAC、FCU)、型式(隠蔽、カセット、床置き、ビルトイン、天吊り)などを設定する。そして、部屋の用途設定を行う。用途設定では、事務個室、事務室、会議室、講堂、食堂、ロビー、トイレなどを設定する。
【0082】
図6に示すように、設計画面において、範囲選択をすると、自動的に設定が行われる。なお、外気条件は、茶本と呼ばれる全国の都市の基準があり、都市を入力することで条件が設定されるようになっている。茶本とは、建築設備設計基準:国土交通省大臣官房官庁営繕部設備である。
【0083】
モデル生成部14は、業務処理部13の要求に応じて、設計BIMを生成する。モデル生成部14は、建築物の仕様情報及び運用BIMに基づいて、設計BIMを生成する。
【0084】
モデル生成部14には、BIMソフトウェアが含まれる。モデル生成部14は、予め構造計算されている計算モデルに基づいて、建築物に関するBIMモデルを作成する。構造計算は、構造計算ソフトウェアを用いて行われる。構造計算に用いられている計算モデル(非BIMモデル)をBIMモデルに変換することにより、構造計算後のBIMモデルが作成される。
【0085】
出力部15は、モデル生成部14により生成された設計BIMを出力する。設計BIMは、原価検討システム4及び施工図作成システム5に送られる。
【0086】
≪見積支援システムの機能構成≫
図8は、本実施形態における見積支援システム2の機能構成の一例を示すブロック図である。
図8に示されているように、本実施形態における見積支援システム2は、入力部21、情報取得部22、業務処理部23、モデル生成部24及び出力部25を備える。
【0087】
入力部21、情報取得部22、業務処理部23、モデル生成部24及び出力部25は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0088】
入力部21は、建築物の設計情報及び特記仕様書の入力を受け付ける。建築物の設計情報は、例えば、建築物の構造及び設備に関する2次元のCAD図面である。入力部21は、ユーザ端末50から設計情報及び特記仕様書を受信することで、設計情報及び特記仕様書の入力を受け付ける。なお、入力部21は、紙の設計図及び特記仕様書をスキャンしてもよい。
【0089】
情報取得部22は、情報共有システム10から運用BIMを取得する。運用BIMは、過去に建築した建築物に関するBIMモデルである。運用BIMは、運用管理システム9により生成され、情報共有システム10に蓄積されている。
【0090】
業務処理部23は、見積業務を支援するための見積画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部23は、ユーザ端末50からの要求に応じて、見積業務に関する処理を実行する。業務処理部23は、見積業務に関する処理を実行すると、モデル生成部24に初期見積BIMの生成を要求する。
【0091】
見積画面は、2次元のCAD図面をユーザに提示する。また、見積画面は、ユーザの操作に応じて、CAD図面を編集する。このとき、見積画面は、運用BIMに基づいて過去に建築した建築物の設計と比較可能な態様で、CAD図面を提示する。さらに、見積画面は、ユーザの操作に応じて、編集後の2次元のCAD図面を高さに関する情報を有さないBIMモデルに変換し、ユーザに提示する。変換した部材や部品は3Dで表示され、変換されていない部材や部品は線図で表示されており、それが一つの図面内に回転させて斜視表示することができる。
【0092】
図9乃至
図12は、見積画面の一例である。ユーザは
図9乃至
図12に例示するような見積画面を操作することで、見積業務を実行する。
【0093】
見積画面では、平面図上の線分とそれに接続された記号を認識してリストアップする。また、リストの部品についてモデリングする。複数の特記仕様(標準仕様や公官庁向けの仕様など)を切り替えてモデル上の部材を一括変更し仕様ごとの必要な材料を見積ることも可能である。
【0094】
見積画面では、ティー、クロス、直管、90°エルボ、ダンパ、CAV、VAVをモデル化できる。ティーには、直交するT字型の線分のうち、ティー部分が直交する短い線分でできているもの、ティー部分が長い線分と直交する線分の交点にあるもの、ティー部分に直交する線分でできたティーのブロックがあるものが含まれる。クロスには、交差する線分のうち、クロス部分が短い線分でできているもの、クロス部分が交差する長い線分同士の交点にあるものが含まれる。90°エルボには、エルボ部分が直交する線分でできているもの、エルボ部分に線分でできた90°エルボがあるもの、エルボ部分にブロック化された90°エルボがあるものが含まれる。
【0095】
モデル生成部24は、業務処理部23の要求に応じて、初期見積BIMを生成する。モデル生成部24は、建築物の設計情報、特記仕様書及び運用BIMに基づいて、初期見積BIMを生成する。
【0096】
出力部25は、モデル生成部24により生成された初期見積BIMを出力する。初期見積BIMは、原価検討システム4及び施工図作成システム5に送られる。
【0097】
≪引合システムの機能構成≫
図13は、本実施形態における引合システム3の機能構成の一例を示すブロック図である。
図13に示されているように、本実施形態における引合システム3は、入力部31、情報取得部32、業務処理部33及び出力部35を備える。
【0098】
入力部31、情報取得部32、業務処理部33及び出力部35は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0099】
入力部31は、初期見積を示す積算情報の入力を受け付ける。入力部31は、原価検討システム4から積算情報を受信することで、積算情報の入力を受け付ける。
【0100】
情報取得部32は、ベンダー情報及びプロジェクト情報を取得する。ベンダー情報は、取引可能な機器ベンダーに関する情報である。ベンダー情報は、例えば、機器ベンダーのコンタクト先を示す情報を含む。プロジェクト情報は、過去の建築プロジェクトにおける実績を記録した情報である。プロジェクト情報は、例えば、建築物に設置した設備機器の仕様及び価格等に関する情報である。情報取得部32は、基幹システム30にベンダー情報及びプロジェクト情報を要求することで、ベンダー情報及びプロジェクト情報を取得する。
【0101】
業務処理部33は、引合業務を支援するための引合画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部33は、ユーザ端末50からの要求に応じて、引合業務に関する処理を実行する。
【0102】
引合画面は、ベンダー情報をユーザに提示する。また、引合画面は、ユーザの操作に応じて、ベンダー情報から選択された機器ベンダーに提案依頼を送信する。このとき、引合画面は、統一されたフォーマットで提案依頼を記述する。これにより、機器ベンダーから受信する提案情報も統一されたフォーマットで記述される。
【0103】
また、引合画面は、機器ベンダー等から受信した提案情報をユーザに提示する。このとき、引合画面は、過去の建築プロジェクトにおける製品情報及び価格情報と比較可能な態様で、提案情報を提示する。さらに、引合画面は、ユーザの操作に応じて、採用する提案情報を選択する。これにより、設備機器の製品情報及び価格情報が生成される。
【0104】
図14は、引合画面の一例である。ユーザは
図14に例示するような引合画面を操作することで、引合業務を実行する。
【0105】
出力部35は、業務処理部33により生成された製品情報及び価格情報を出力する。製品情報及び価格情報は、原価検討システム4に送られる。
【0106】
≪原価検討システムの機能構成≫
図15は、本実施形態における原価検討システム4の機能構成の一例を示すブロック図である。
図15に示されているように、本実施形態における原価検討システム4は、モデル記憶部41、入力部42、業務処理部43、モデル更新部44及び出力部45を備える。
【0107】
モデル記憶部41は、例えば、
図2に示されているHDD504によって実現される。入力部42、業務処理部43、モデル更新部44及び出力部45は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0108】
モデル記憶部41には、設計BIM及び初期見積BIMが記憶されている。設計BIMは、自動設計システム1により生成され、原価検討システム4に送られたものである。初期見積BIMは、見積支援システム2により生成され、原価検討システム4に送られたものである。
【0109】
入力部42は、製品情報及び価格情報の入力を受け付ける。入力部42は、初期見積BIMに基づいて初期見積を示す積算情報を生成し、引合システム3に送信する。入力部42は、引合システム3から製品情報及び価格情報を受信することで、製品情報及び価格情報を取得する。
【0110】
また、入力部42は、情報共有システム10から物価情報及びプロジェクト情報を取得する。入力部42は、入力部42は、情報共有システム10に物価情報を要求することで、物価情報を取得する。基幹システム30にプロジェクト情報を要求することで、プロジェクト情報を取得する。
【0111】
業務処理部43は、原価検討業務を支援するための原価管理画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部43は、ユーザ端末50からの要求に応じて、原価検討業務に関する処理を実行する。
【0112】
原価管理画面は、製品情報及び価格情報をユーザに提示する。また、原価管理画面は、過去の建築プロジェクトにおける製品情報及び価格情報と比較可能な態様で、提案情報を提示する。また、原価管理画面は、現在の物価情報に基づいて、統一原価を計算し、ユーザに提示する。さらに、原価管理画面は、ユーザの操作に応じて、統一原価を決定する。
【0113】
図16は、原価管理画面の一例である。ユーザは
図16に例示するような原価管理画面を操作することで、原価検討業務を実行する。
【0114】
モデル更新部44は、業務処理部43の要求に応じて、初期見積BIMを更新する。モデル更新部44は、初期見積BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に、製品情報及び価格情報を登録することで、初期見積BIMを更新する。
【0115】
モデル更新部44には、BIMソフトウェアが含まれる。モデル更新部44は、BIMソフトウェアを用いて更新前のBIMモデルに含まれる各オブジェクトの属性情報を編集することで、更新後のBIMモデルを作成する。
【0116】
出力部45は、モデル更新部44により更新された初期見積BIMに基づいて、統一原価を出力する。
【0117】
≪施工図作成システムの機能構成≫
図17は、本実施形態における施工図作成システム5の機能構成の一例を示すブロック図である。
図17に示されているように、本実施形態における施工図作成システム5は、モデル記憶部51、業務処理部53、モデル更新部54及び出力部55を備える。
【0118】
モデル記憶部51は、例えば、
図2に示されているHDD504によって実現される。業務処理部53、モデル更新部54及び出力部55は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0119】
モデル記憶部51には、設計BIM及び初期見積BIMが記憶されている。設計BIMは、自動設計システム1により生成され、施工図作成システム5に送られたものである。初期見積BIMは、見積支援システム2により生成され、施工図作成システム5に送られたものである。
【0120】
業務処理部53は、施工図作成業務を支援するための施工図作成画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部53は、ユーザ端末50からの要求に応じて、施工図作成業務に関する処理を実行する。業務処理部53は、施工図作成業務に関する処理を実行すると、モデル更新部54に施工BIMの生成を要求する。
【0121】
施工図作成画面は、設計BIMに基づいて、2次元のCAD図面を生成し、ユーザに提示する。また、施工図作成画面は、ユーザの操作に応じて、2次元のCAD図面上に設備機器を配置する。さらに、施工図作成画面は、ユーザの操作に応じて、各設備機器を接続する配管等を2次元のCAD図面上に配置する。このとき、施工図作成画面は、設備機器の配置及び配管の経路を自動的に最適化する。
【0122】
図18乃至
図22は、施工図作成画面の一例である。ユーザは
図18乃至
図22に例示するような施工図作成画面を操作することで、施工図作成業務を実行する。
【0123】
図18及び
図19は、ダクト自動設計を行うときの施工図作成画面である。ダクト自動設計では、機器の吹出口と、室内への吹出口SAをクリックすることで、つなぐダクトを自動生成する。
図20乃至
図22は、スリーブ設計を行うときの施工図作成画面である。スリーブ設計では、構造躯体の鉄骨(梁)を指定することで、鉄骨に穴をあける位置を自動設計する。
【0124】
モデル更新部54は、業務処理部53の要求に応じて、施工図作成画面で編集された2次元のCAD図面から新たな設計BIM及び初期見積BIMを生成し、これらを統合する。これにより、施工BIMが生成される。
【0125】
出力部55は、モデル更新部54により生成された施工BIMを出力する。施工BIMは、工程管理システム6及び集中生産システム40に送られる。集中生産システム40では、施工BIMに基づいて、建築物の建築に用いる資材又は設備機器等の発注状況及び納期情報等を管理し、スケジュール情報を生成する。
【0126】
≪工程管理システムの機能構成≫
図23は、本実施形態における工程管理システム6の機能構成の一例を示すブロック図である。
図23に示されているように、本実施形態における工程管理システム6は、モデル記憶部61、情報取得部62、業務処理部63、モデル更新部64及び出力部65を備える。
【0127】
モデル記憶部61は、例えば、
図2に示されているHDD504によって実現される。情報取得部62、業務処理部63、モデル更新部64及び出力部65は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0128】
モデル記憶部61には、施工BIMが記憶されている。施工BIMは、施工図作成システム5により生成され、工程管理システム6に送られたものである。
【0129】
情報取得部62は、スケジュール情報を取得する。スケジュール情報は、建築に用いる資材又は設備機器等の発注状況及び納期情報等を示す情報である。スケジュール情報は、建築プロジェクトに参画する関連会社が作成したスケジュール、歩掛、人的リソース、仮設計画書等を含んでもよい。情報取得部62は、集中生産システム40にスケジュール情報を要求することで、スケジュール情報を取得する。
【0130】
また、情報取得部62は、施工が完了した施工箇所を示す施工完了情報の入力を受け付ける。施工完了情報は、施工が完了した施工箇所があるとき、品質管理システム8から送信される。
【0131】
業務処理部63は、工程管理業務を支援するための工程管理画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部63は、ユーザ端末50からの要求に応じて、工程管理業務に関する処理を実行する。業務処理部63は、工程管理業務に関する処理を実行すると、モデル更新部64に施工BIMの更新を要求する。
【0132】
工程管理画面は、施工BIM及びスケジュール情報に基づいて、建築プロジェクトの各工程を示す工程表を生成し、ユーザに提示する。このとき、工程管理画面は、施工BIMに含まれる各オブジェクトに応じた工数で、各工程を決定する。
【0133】
また、工程管理画面は、工程表と共に、仮設計画書、絵工程、搬入工程、タスクリスト等を生成し、ユーザに提示してもよい。工程管理画面は、各工程の進捗率を計算し、工程表と共に表示してもよい。このとき、工程管理画面は、進捗率と共に予算消化率を計算し、工程表と共に表示してもよい。
【0134】
図24は、工程管理画面の一例である。ユーザは
図24に例示するような工程管理画面を操作することで、工程管理業務を実行する。
【0135】
モデル更新部64は、業務処理部63の要求に応じて、施工BIMを更新する。モデル更新部64は、施工BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に、工程を示す属性情報を登録することで、施工BIMを更新する。また、モデル更新部64は、施工完了情報を受け付けた場合、施工BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に施工完了情報を登録する。
【0136】
出力部65は、モデル更新部64により更新された施工BIMに基づいて、工程表等の書類を出力する。
【0137】
≪進捗管理システムの機能構成≫
図25は、本実施形態における進捗管理システム7の機能構成の一例を示すブロック図である。
図25に示されているように、本実施形態における進捗管理システム7は、モデル記憶部71、入力部72、業務処理部73、モデル更新部74及び出力部75を備える。
【0138】
モデル記憶部71は、例えば、
図2に示されているHDD504によって実現される。入力部72、業務処理部73、モデル更新部74及び出力部75は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0139】
モデル記憶部71には、施工BIMが記憶されている。施工BIMは、工程管理システム6により更新され、進捗管理システム7に送られたものである。
【0140】
入力部72は、進捗管理情報の入力を受け付ける。進捗管理情報は、建築物内で撮影された全景写真(360度画像)を識別する識別情報及び指摘事項を含む。入力部72は、ユーザ端末50から進捗管理情報を受信することで、進捗管理情報の入力を受け付ける。
【0141】
全景写真(360度画像)は、例えば、全天球撮影装置を装着した作業員が建築現場を移動することで撮影すればよい。また、例えば、全天球撮影装置を搭載した小型無人航空機(ドローン)を建築現場内で飛行させることで撮影してもよい。
【0142】
また、入力部72は、施工が完了した施工箇所を示す施工完了情報の入力を受け付ける。施工完了情報は、施工が完了した施工箇所があるとき、品質管理システム8から送信される。
【0143】
業務処理部73は、進捗管理業務を支援するための進捗管理画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部73は、ユーザ端末50からの要求に応じて、進捗管理業務に関する処理を実行する。業務処理部73は、進捗管理業務に関する処理を実行すると、モデル更新部74に施工BIMの更新を要求する。
【0144】
進捗管理画面は、施工BIM及び進捗管理情報に基づいて、進捗状況をユーザに提示する。例えば、進捗管理画面は、施工図上に各オブジェクトの進捗度を色分けして表示してもよい。また、進捗管理画面は、指摘事項が登録されているオブジェクトの近傍にアイコンを表示してもよい。さらに、進捗管理画面は、ユーザの操作に応じて、進捗に関するメモを登録可能としてもよい。
【0145】
さらに、進捗管理画面は、進捗状況が表示された3次元の施工図と、同じ箇所で撮影された全景写真とを比較可能に表示してもよい。このとき、進捗管理画面は、3次元の施工図を拡大又は縮小可能としてもよい。また、進捗管理画面は、ユーザの操作に応じて、3次元の施工図上で任意の位置に移動可能としてもよい。進捗管理画面は、ユーザの操作に応じて、3次元の施工図上で表示を切り替えた(拡大、縮小、移動等)場合、自動的に全景写真の表示を切り替えてもよい。
【0146】
図26乃至
図28は、進捗管理画面の一例である。ユーザは
図26乃至
図28に例示するような進捗管理画面を操作することで、進捗管理業務を実行する。
【0147】
図26は、全景写真を表示するときの進捗管理画面である。
図27は、施工図上で進捗状況を登録するときの進捗管理画面である。
図28は、施工図と全景写真とを表示するときの進捗管理画面である。
【0148】
モデル更新部74は、業務処理部73の要求に応じて、施工BIMを更新する。モデル更新部74は、施工BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に、進捗管理情報を登録することで、施工BIMを更新する。また、モデル更新部74は、施工完了情報を受け付けた場合、施工BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に施工完了情報を登録する。
【0149】
出力部75は、モデル更新部74により更新された施工BIMに基づいて、指摘事項等を出力する。
【0150】
≪品質管理システムの機能構成≫
図29は、本実施形態における品質管理システム8の機能構成の一例を示すブロック図である。
図29に示されているように、本実施形態における品質管理システム8は、モデル記憶部81、入力部82、業務処理部83、モデル更新部84及び出力部85を備える。
【0151】
モデル記憶部81は、例えば、
図2に示されているHDD504によって実現される。入力部82、業務処理部83、モデル更新部84及び出力部85は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0152】
モデル記憶部81には、施工BIMが記憶されている。施工BIMは、進捗管理システム7により更新され、品質管理システム8に送られたものである。
【0153】
入力部82は、品質管理情報の入力を受け付ける。品質管理情報は、施工箇所で撮影された施工写真、黒板情報、検査リスト等を含む。入力部82は、全景写真の入力を受け付け、進捗管理情報を生成してもよい。入力部82は、ユーザ端末50から品質管理情報を受信することで、品質管理情報の入力を受け付ける。
【0154】
施工写真は、例えば、施工に携わった作業員が作業後に施工箇所を撮影した画像である。また、例えば、進捗管理情報に含まれる全景写真に撮影されている作業後の施工箇所を切り出して施工写真としてもよい。
【0155】
写真データ以外の情報を共有することもできる。運用管理(維持管理)において進捗管理の壁面内部や天井裏などの画像データを共有する際に、BIMモデルに紐づけて記憶されている位置や方向に基づいて共有する。また、品質管理の管理情報(検査日時)についても同様にBIMモデルに紐づけて記憶された位置や方向に基づいて共有する。
【0156】
業務処理部83は、品質管理業務を支援するための品質管理画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部83は、ユーザ端末50からの要求に応じて、品質管理業務に関する処理を実行する。業務処理部83は、品質管理業務に関する処理を実行すると、モデル更新部84に施工BIMの更新を要求する。
【0157】
品質管理画面は、施工BIM及び品質管理情報に基づいて、施工状態をユーザに提示する。例えば、品質管理画面は、施工図上に検査ポイントを設定し、各検査ポイントに進捗管理情報(例えば、指摘事項)と品質管理情報(例えば、施工写真及び黒板情報)とを関連付けて表示してもよい。このとき、検査ポイントで撮影された施工前の全景写真をさらに関連付けて表示してもよい。すなわち、品質管理画面は、検査ポイントに対応するオブジェクトの属性情報に登録された進捗管理情報から全景写真を取り出し、施工写真及び黒板情報と全景写真とを比較可能に表示してもよい。
【0158】
また、品質管理画面は、ユーザの操作に応じて、各種の報告書を出力する。報告書は、例えば、試運転報告書、計測報告書、竣工図書等である。このとき、品質管理画面では、施工BIM内に含まれる各オブジェクトに応じた書式で、報告書を出力する。施工BIM内には、全景写真及び施工写真が含まれるため、例えば、検査ポイントごとに施工前後の写真が掲載された報告書を出力することができる。
【0159】
さらに、品質管理画面は、建築現場における注意事項又は指摘事項を記述したメモを出力してもよい。これらの情報は、ユーザ端末50を利用できない建築現場の作業員等に対する伝達、又は建築現場の経験が浅い人員に対する教育資料として利用することができる。
【0160】
品質管理画面では、施工BIM内に含まれる各オブジェクトに応じた書式で、検査リストを出力してもよい。検査リストは当該オブジェクトについて検査すべきポイントが一覧で記載された情報であり、建築現場の管理者等が未記入の検査リストを用いて効率的に検査を行うことが可能となる。
【0161】
図30乃至
図32は、品質管理画面の一例である。ユーザは
図30乃至
図32に例示するような品質管理画面を操作することで、品質管理業務を実行する。
【0162】
図30は、是正指示を行うときの品質管理画面である。
図31は、是正指示を表示するときの品質管理画面である。
図32は、工事写真台帳を表示するときの品質管理画面である。
【0163】
モデル更新部84は、業務処理部83の要求に応じて、施工BIMを更新する。モデル更新部84は、施工BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に品質管理情報を登録することで、施工BIMを更新する。また、モデル更新部84は、施工が完了した施工箇所があれば、施工BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に施工完了情報を登録する。
【0164】
出力部85は、施工が完了した施工箇所があれば、施工完了情報を出力する。施工完了情報は、工程管理システム6及び進捗管理システム7に送られる。また、出力部85は、モデル更新部84により更新された施工BIMに基づいて、報告書等を出力する。
【0165】
≪運用管理システムの機能構成≫
図33は、本実施形態における運用管理システム9の機能構成の一例を示すブロック図である。
図33に示されているように、本実施形態における運用管理システム9は、モデル記憶部91、入力部92、業務処理部93、モデル更新部94及び出力部95を備える。
【0166】
モデル記憶部91は、例えば、
図2に示されているHDD504によって実現される。入力部92、業務処理部93、モデル更新部94及び出力部95は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0167】
モデル記憶部91には、運用BIMが記憶されている。運用BIMは、品質管理システム8により更新された施工BIMに対して、運用管理システム9が運用管理情報を登録したBIMモデルである。
【0168】
入力部92は、運用管理情報の入力を受け付ける。運用管理情報は、運転データ、検査データ、保守データ等を含む。入力部92は、ユーザ端末50から運用管理情報を受信することで、運用管理情報の入力を受け付ける。
【0169】
業務処理部93は、運用管理業務を支援するための運用管理画面をユーザ端末50に表示する。業務処理部93は、ユーザ端末50からの要求に応じて、運用管理業務に関する処理を実行する。業務処理部93は、運用管理業務に関する処理を実行すると、モデル更新部94に運用BIMの更新を要求する。
【0170】
モデル更新部94は、業務処理部93の要求に応じて、運用BIMを更新する。モデル更新部94は、運用BIMに含まれる各オブジェクトの属性情報に運用管理情報を登録することで、運用BIMを更新する。したがって、運用BIMには、運用中の建築物に関する運転データ、検査データ、保守データ等の履歴が格納されている。
【0171】
出力部95は、モデル更新部94により生成された運用BIMを出力する。運用BIMは、情報共有システム10に送られる。
【0172】
≪情報共有システムの機能構成≫
図34は、本実施形態における情報共有システム10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図34に示されているように、本実施形態における情報共有システム10は、共有情報記憶部101及び情報提供部102を備える。
【0173】
共有情報記憶部101は、例えば、
図2に示されているHDD504を用いて実現される。情報提供部102は、例えば、
図2に示されているHDD504からRAM503上に展開されたプログラムがCPU501に実行させる処理によって実現される。
【0174】
共有情報記憶部101には、連携業務支援システム100に含まれる業務支援システムの間で共有される共有情報が予め記憶されている。共有情報は、運用BIM及び外部情報を含む。外部情報は、過去及び現在の物価情報(資材価格、人件費等)、並びに過去及び現在の気候情報等を含む。
【0175】
情報提供部102は、業務支援システムから共有情報の取得要求を受信する。情報提供部102は、取得要求で指示された共有情報を共有情報記憶部101から読み出す。情報提供部102は、読み出した共有情報を、取得要求を送信した業務支援システムに送信する。
【0176】
<連携業務支援方法の処理手順>
本実施形態における連携業務支援システム100が実行する連携業務支援方法について、
図35を参照しながら説明する。
図35は、本実施形態における連携業務支援方法の一例を示すフローチャートである。
【0177】
ステップS1において、見積支援システム2は、ユーザ端末50からの要求に応じて、見積支援業務の処理を実行する。具体的には、まず、見積支援システム2は、ユーザ端末50から建築物の設計情報及び特記仕様書を受信する。次に、見積支援システム2は、運用BIMと建築物の設計情報及び特記仕様書とに基づいて、初期見積BIMを生成する。そして、見積支援システム2は、初期見積BIMを原価検討システム4及び施工図作成システム5に送る。
【0178】
ステップS2において、自動設計システム1は、ユーザ端末50からの要求に応じて、設計業務の処理を実行する。具体的には、まず、自動設計システム1は、ユーザ端末50から建築物の仕様情報を受信する。次に、自動設計システム1は、運用BIMと建築物の仕様情報とに基づいて、設計BIMを生成する。そして、自動設計システム1は、設計BIMを原価検討システム4及び施工図作成システム5に送る。
【0179】
ステップS3において、引合システム3は、ユーザ端末50からの要求に応じて、引合業務の処理を実行する。具体的には、まず、原価検討システム4が、初期見積BIMを見積支援システム2から受け取る。次に、原価検討システム4は、初期見積BIMに基づいて積算情報を生成し、引合システム3に送る。
【0180】
引合システム3は、原価検討システム4から積算情報を受け取る。次に、引合システム3は、基幹システム30からベンダー情報及びプロジェクト情報を受信する。続いて、引合システム3は、機器ベンダー等に積算情報を含む提案依頼を送信する。次に、引合システム3は、機器ベンダー等から提案情報を受信する。続いて、引合システム3は、提案情報に基づいて、製品情報及び価格情報を生成する。そして、引合システム3は、製品情報及び価格情報を原価検討システム4に送る。
【0181】
ステップS4において、原価検討システム4は、ユーザ端末50からの要求に応じて、原価検討業務の処理を実行する。具体的には、まず、原価検討システム4は、引合システム3から製品情報及び価格情報を受け取る。次に、原価検討システム4は、見積システム20と連携することにより、製品情報及び価格情報から統一原価を算出する。
【0182】
ステップS5において、連携業務支援システム100は、ステップS4までで作成した詳細見積について受注したか否かを判定する。受注した場合(YES)、連携業務支援システム100は、ステップS6に処理を進める。受注しなかった場合(NO)、連携業務支援システム100は、処理を終了する。
【0183】
ステップS6において、施工図作成システム5は、ユーザ端末50からの要求に応じて、施工図作成業務の処理を実行する。具体的には、まず、施工図作成システム5は、自動設計システム1から設計BIMを受け取る。また、施工図作成システム5は、見積支援システム2から初期見積BIMを受け取る、次に、施工図作成システム5は、設計BIM及び初期見積BIMに基づいて、施工BIMを生成する。続いて、施工図作成システム5は、施工BIMを工程管理システム6に送る。
【0184】
ステップS7において、工程管理システム6は、ユーザ端末50からの要求に応じて、工程管理業務の処理を実行する。具体的には、まず、工程管理システム6は、施工図作成システム5から施工BIMを受け取る。また、工程管理システム6は、集中生産システム40からスケジュール情報を受信する。次に、工程管理システム6は、施工BIMとスケジュール情報とに基づいて、施工BIMを更新生成する。続いて、工程管理システム6は、施工BIMを進捗管理システム7に送る。
【0185】
ステップS8において、進捗管理システム7は、ユーザ端末50からの要求に応じて、進捗管理業務の処理を実行する。具体的には、まず、進捗管理システム7は、工程管理システム6から施工BIMを受け取る。次に、進捗管理システム7は、ユーザ端末50から進捗管理情報を受信する。続いて、進捗管理システム7は、施工BIMに進捗管理情報を登録する。続いて、進捗管理システム7は、施工BIMを品質管理システム8に送る。
【0186】
ステップS9において、品質管理システム8は、ユーザ端末50からの要求に応じて、品質管理業務の処理を実行する。具体的には、まず、品質管理システム8は、進捗管理システム7から施工BIMを受け取る。また、品質管理システム8は、ユーザ端末50から品質管理情報を受信する。次に、品質管理システム8は、施工BIMに品質管理情報を登録する。続いて、品質管理システム8は、施工が完了した施工箇所があれば、その施工完了情報を工程管理システム6及び進捗管理システム7に送る。
【0187】
工程管理システム6は、品質管理システム8から施工完了情報を受け取ると、その施工完了情報を施工BIMに登録する。進捗管理システム7は、品質管理システム8から施工完了情報を受け取ると、その施工完了情報を施工BIMに登録する。
【0188】
ステップS10において、品質管理システム8は、建築物が完成したか否かを判定する。建築物が完成した場合(YES)、品質管理システム8は、施工BIMを運用管理システム9に送り、ステップS11に処理を進める。建築物が完成していない場合(NO)、品質管理システム8は、ステップS8に処理を戻す。
【0189】
ステップS11において、運用管理システム9は、ユーザ端末50からの要求に応じて、運用管理業務の処理を実行する。具体的には、まず、運用管理システム9は、品質管理システム8から施工BIMを受け取る。また、運用管理システム9は、ユーザ端末50から運用管理情報を受信する。次に、運用管理システム9は、施工BIMに運用管理情報を登録する。そして、運用管理システム9は、運用BIMを情報共有システム10に送る。情報共有システム10は、運用BIMを共有情報記憶部101に記憶する。
【0190】
ステップS12において、連携業務支援システム100は、運用中の建築物の更新(建て替え又はリニューアル)を行うか否かを判定する。建築物を更新する場合(YES)、連携業務支援システム100は、ステップS1に処理を戻し、建築物の更新に関する見積業務を開始する。建築物を更新しない場合(NO)、連携業務支援システム100は、処理を終了する。
【0191】
<実施形態の効果>
本実施形態における連携業務支援システム100は、建築に関する所定の業務を支援する複数の業務支援システムを含む。複数の業務支援システムのうち第1の業務支援システムは、BIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を出力する。複数の業務支援システムのうち第2の業務支援システムは、BIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を入力する。すなわち、第1の業務支援システムと第2の業務支援システムとは、BIMモデル又はBIMモデルに基づいて生成された情報を入出力する連携を行う。したがって、本実施形態における連携業務支援システム100によれば、建築物のライフサイクルにおいて行われる業務をより効率化することができることができる。
【0192】
本実施形態における連携業務支援システム100は、複数の業務支援システムの間で共有される共有情報を記憶し、各業務支援システムは共有情報を取得する。共有情報は、複数の業務支援システムとは異なる外部の記憶装置(例えば、情報共有システム10)に記憶されており、各業務支援システムはネットワークを介して記憶装置に接続することで共有情報を取得する。したがって、本実施形態における連携業務支援システム100によれば、建築物のライフサイクルにおいて共通の情報に基づいて各業務を精度よく実行することができる。
【0193】
本実施形態における見積支援システム2は、2次元データに基づいて高さに関する情報を有さないBIMモデルを作成する。見積支援システム2は、高さに関する情報を有さないBIMモデルに基づいて、建築物の建築費を計算する業務を実行する。すなわち、見積支援システム2は、精緻な見積もりが必要のない場面においては、高さ方向を考慮せずに簡易な計算で建築費を見積もることができる。したがって、本実施形態における連携業務支援システム100によれば、BIMモデルに基づいて、効率的に見積業務を進めることができる。また、変換した部材や部品は3Dで表示され、変換されていない部材や部品は線図で表示されており、それが一つの図面内に回転させて斜視表示することができるので、作業者が直感的に抜け漏れを判断することができる。
【0194】
本実施形態における見積支援システム2は、高さに関する情報を有さないBIMモデルに基づく積算情報に高さに応じた係数を乗じることで建築費を計算する。すなわち、業務支援システムは、高さに関する情報を有さないBIMモデルに基づいて、高さ方向を考慮せずに建築費を見積もる場合であっても、高さに応じた建築費を計算することができる。したがって、本実施形態における連携業務支援システム100によれば、BIMモデルに基づいて、効率的に高精度な建築費を見積もることができる。
【0195】
本実施形態における施工図作成システム5は、高さに関する情報を有さないBIMモデルに基づいて、高さに関する情報を有するBIMモデルを作成する。すなわち、施工図作成システム5は、見積支援システム2により生成されたBIMモデルから施工図を作成する業務を実行する。積算情報を作成したときと同じBIMモデルに基づいて施工図を作成するため、積算情報と施工図との間で齟齬が発生するリスクが低減する。したがって、本実施形態における連携業務支援システム100によれば、BIMモデルに基づいて、効率的に高精度な施工図を作成することができる。
【0196】
[補足]
引合システム3、原価検討システム4、施工図作成システム5、工程管理システム6、進捗管理システム7、品質管理システム8及び運用管理システム9が備える入力部は、第1の入力部及び第2の入力部の一例である。第1の入力部と第2の入力部は、1つの入力部であってもよい。
上記で説明した実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)のようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)や従来の回路モジュール等の機器を含むものとする。
【0197】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0198】
1 自動設計システム
2 見積支援システム
3 引合システム
4 原価検討システム
5 施工図作成システム
6 工程管理システム
7 進捗管理システム
8 品質管理システム
9 運用管理システム
10 情報共有システム
20 見積システム
30 基幹システム
40 集中生産システム
100 連携業務支援システム